JP5471523B2 - 靱性に優れた高強度極厚h形鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築用途に好適な、靭性に優れた高強度極厚H形鋼およびその製造方法に関する。
都市の利便性が追求され、大都市の空間を効率よく活用するために、近年、建築物の大型化や高層化が進んでいる。大型の建築物では、特に構造上の主要な強度部材に、単位面積あたりの耐荷重が大きい鋼材を用いる傾向にある。このように、建築構造部材の高強度化に対する要求が高まりつつあり、一部では550MPa以上の強度を有する鋼材の使用が検討されている。
また、高層建築物の特に高層階部分では、梁、あるいは壁に高強度部材を適用し、断面積を減少すれば、建築物自体の重量を軽減することができる。一方、高層建築物を支える低層部分では、剛性の優れた高強度の大断面鋼材が必要とされる。したがって、建築構造部材には、汎用性が高く、部材としての強度発現に有効な断面構造を有しているH形鋼が好適である。
ところが、H形鋼は特殊な断面形状を有しているため、厚みを大きくする際には、各部位の機械的特性を均質にすることが難しくなる。特に高い強度を獲得するためには高度な組織制御が必要となる。さらに、構造部材では溶接による接合も考慮して設計する必要があることから、高強度と同時に優れた加工性や靱性が要求される。
そのため、異形断面鋼材の高強度化と高靱性化とを同時に達成するという課題が、製造工程の自由度の中で解決されなければならない。したがって、極厚の断面形状を有し、フランジの板厚中心の強度及び靭性を確保し、溶接性や加工性をも同時に具備するH形鋼を得るには、化学成分及び金属組織を高い精度で制御する技術が必要になる。
従来、鋼材の高強度化を実現するために、炭素濃度を低減し、合金元素によって焼入れ性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1、2、参照)。しかし、これらの合金設計の考え方は一般的な概略80mm近傍以下の板厚の鋼材に関するものである。すなわち、特許文献1及び2には、80mm以上のフランジの板厚中心において、優れた強度及び靱性を同時に、かつ安定して獲得する、H形鋼の製造技術は提案されていない。
一方、構造上、比較的厚肉の鋼材が要求される建築物においては、厚み方向での位置によらず均質な特性を得る、厚鋼板の製造技術が提案されている(例えば、特許文献3〜5、参照)。これらは、炭化物、窒化物などの析出制御や、酸化物などの介在物制御、制御圧延、加速冷却である。しかし、これらの合金設計指針は、通常の板厚を有する厚鋼板の製造には有効であるものの、80mm以上の鋼材を製造する技術は提案されていない。
H形鋼の強度と靱性を獲得する技術としては、Ni、Cuなどの合金元素を大量に添加する方法が提案されている(例えば、特許文献6、参照)。しかし、特許文献6にも80mm以上の板厚において、板厚中心での強度と靱性を両立させる技術への言及はない。また、特許文献6に提案されている方法は、Ni、Cuなどの高価な合金元素の添加量が非常に多く、極めてコストの高いH形鋼を提供する技術である。したがって、これまでには、安価かつ高性能なH形鋼を製造可能とする技術は提案されていない。
特開平10−72620号公報 特開2004−256894号公報 特開2004−339550号公報 特開平8−144019号公報 特開2002−030380号公報 特開平11−193440号公報
従来、特に、フランジの厚みが80mm以上になると、熱間圧延のみでは、厚み方向の機械特性が均質な高強度H形鋼を得ることが困難であった。そのため、建築物の構造上、フランジの厚みが80mm以上であるH形鋼が必要とされる場合は、鋼板を組み合わせて溶接する方法で製造されている。
しかし、全長にわたって、ウェブの両端に2つのフランジを溶接して製造されるH形鋼(溶接H形鋼)の生産性は、当然、圧延によって製造されるH形鋼(圧延H形鋼)に比べて低い。そのため、溶接H形鋼は製造コストが高く、結局、フランジの厚みが80mm以上で、安価な極厚H形鋼の供給は、現時点でほとんど実現していない。
すなわち、ユニバーサル圧延などによって製造される、安価、かつ80mm以上のフランジの厚みを有するH形鋼の強度と靱性を同時に満足する技術は、未だに実現を見ていない。土木、貯槽、建築機械分野においても、建材と同様な技術的課題があり、極厚H形鋼の安価な高性能化技術が望まれているものの、結局、提案されていない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、圧延H形鋼の製造工程を前提として、主に、建築物に適用する、大断面で剛性に優れた極厚H形鋼、具体的には、フランジの厚みが80mm以上で、フランジの板厚中央部において、室温における引張強さが550MPa以上であり、かつ0℃におけるシャルピー吸収エネルギーが27J以上である高強度高靱性極厚H形鋼、および、安価かつ生産性高く、高強度高靱性極厚H形鋼を製造する方法の提供を課題とするものである。
本発明者らは、極厚H形鋼のフランジの厚み方向の中央部における強度、靱性および組織と成分組成との関係について検討を行った。まず、強度の向上に有効であり、一方では靭性を低下させるCの添加量を制限し、同時に焼入れ性を向上させるMnの添加量を制御した。その結果、(x)焼入れ性の指標であるCとMnの含有量の比(C/Mn)を適正な範囲とすることが重要であることがわかった。次に、Bの添加による焼入れ性の向上について検討を行った。その結果、(y)効果を安定して獲得するためにNbとNの含有量の積(Nb×N)という、新たな焼入れ性向上指標の制限が必要であることを見出した。更に、靭性と、残留オーステナイトおよび成分組成との関係について検討した。その結果、(z)高強度極厚H形鋼の靭性を向上させるためには、C、Si、Ni、Cu、Mo、Bによって求められる予測残留オーステナイト体積率γr[%]を制御することが重要であるという知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.01〜0.50%、Mn:1.70〜2.2%、Ni:0.05〜0.4%、Cu:0.05〜0.4%、Nb:0.005〜0.025%、Al:0.005〜0.1%、Ti:0.007〜0.025%、N:0.001〜0.005%、B:0.0003〜0.0025%を含有し、
P:0.02%以下、S:0.01%以下、O:0.01%以下に制限し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、CとMnの含有量の比(C/Mn)が0.003〜0.017であり、NbとNの含有量の積(Nb×N)が1×10−4以下であり、下記(式1)によって求められる予測残留オーステナイト体積率γr[%]が2.5%以下であり、光学顕微鏡によって観察される、フランジ部の金属組織のベイナイト面積率が30%以上であり、残部がフェライトであり、フランジの厚みが80mm以上であることを特徴とする靭性に優れた極厚高強度H形鋼。
γr=C+2Si+3(Ni+Cu)+Mo+100B ・・・ (式1)
ここで、C、Si、Ni、Cu、Mo、Bは各元素の含有量[質量%]である。
(2) 更に、質量%で、Mo:0.2%以下、V:0.1%以下の一方または両方を含有することを特徴とする上記(1)に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼。
(3) 更に、質量%で、Ca:0.004%以下、Mg:0.004%以下の一方または両方を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼
(4) フランジ部の引張強度が550MPa以上であり、かつ、0℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギーが27J以上であることを特徴とする上記(1)〜()の何れか1項に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼。
) 上記(1)〜()の何れか1項に記載の極厚高強度H形鋼の製造方法であって、上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の成分を含有する鋼片を再加熱し、圧延開始温度を1200℃以上、圧延仕上温度を950℃以上として、フランジ部の板厚が80mm以上になるように熱間圧延を行うことを特徴とする靱性に優れた極厚高強度H形鋼の製造方法。
なお、本発明においてシャルピー吸収エネルギーとは、鋼材の靱性値を代表する数値であって、JIS Z2242に記載の試験方法に基づいて、JIS4号衝撃試験片により繰り返し数3の測定を実施し、その最低値をもって靭性を評価する。また、引張強さについてはJIS Z2241に記載の試験方法に基づいて、JIS4号丸棒試験片を加工採取し、繰り返し数2として、その平均値をもって強度を評価する。
本発明によれば、80mm以上の厚みを有し、そのフランジの板厚中央において、室温強度が550MPa以上であり、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーの値で27J以上となる、強度および靱性に優れた極厚H形鋼を、熱間圧延によって、生産性高く製造することが可能になる。更に、本発明のH形鋼を建築用鋼材として高層建築物の低層または基盤部分に適用することにより、従来にない高剛性基礎構造を可能とし、大都市の空間の効率的利用、利便性の向上を著しく推進することが可能となる。更には、土木、建築、貯槽、建築用機械分野においても、本発明の靱性に優れた高強度極厚H形鋼の普及させることによって、社会基盤または工業の発展に大きく寄与することが可能になるなど、産業上の貢献が極めて顕著である。
極厚H形鋼の断面形状の模式図である。 (C/Mn)と鋼材の厚み方向の中央部における強度との関係を示す図である。 (Nb×N)と鋼材の厚み方向の中央部における強度との関係を示す図である。 予測残留オーステナイト体積率と鋼材の厚み方向の中央部における靭性との関係を示す図である。
図1に、極厚H形鋼の断面を模式的に示す。本発明の極厚H形鋼は、フランジの厚み3が80mm以上である。また、本発明の極厚H形鋼では、フランジの板厚中心部2の強度と靱性に優れる。そのため、本発明の極厚H形鋼を使用して構成した建築部材または機械等は剛性が高く、また強度と靱性に優れる。本発明の極厚H形鋼は、フランジの厚みが80mm以上であり、フランジの板厚中心部では冷却速度が低下する。そのため、特に、(x)CとMnの含有量の比(C/Mn)、(y)NbとNの含有量の積(Nb×N)、(z)残留オーステナイト体積率予測式γrが重要な指標となる。
以下、各指標について説明する。
(x)CとMnの含有量の比(C/Mn)
まず、CとMnの含有量の比(C/Mn)について説明する。CおよびMnは、鋼材の焼入れ性に及ぼす影響が大きく、本発明では最も重要な元素である。Cは僅かな添加量でも著しく鋼材の焼入れ性を高める元素であり、C量が比較的多く、かつMn量が比較的少ない場合は、Cが鋼材の焼入れ性を決定することがある。
この場合には、Cの拡散速度が非常に速いことから、冷却速度の影響を強く受け、H形鋼の表層が硬質になり、厚み方向の中心部が軟質になる可能性がある。すなわち、本発明の極厚H形鋼は、フランジの厚みが80mm以上であるため、強度が部位によって変動しやすい。したがって、本発明の極厚H形鋼では、焼入れ性がC添加量によって大きく変動しないように、換言すれば、拡散速度の遅いMnが焼入れ性を決定するように、Mn量をC量に対して制御することが必要である。
そこで、本発明らは、CとMnの含有量の比(C/Mn)が、極厚H形鋼のフランジの特性に影響を及ぼす重要な因子であると考え、検討を行った。その結果、C/Mnが大きすぎると、極厚H形鋼のフランジの強度を均質にすることが難しく、厚み方向の中心部の強度が低下することがわかった。一方、C/Mnが小さすぎると、焼入れ性が不足し、強度が低下することがわかった。
具体的には、C、Si、Mn、Ni、Cu、Nb、Al、Ti、N、B、P、S、Oの含有量、更に、必要に応じて添加するMo、V、Ca、Mgの含有量を上記(1)〜(3)の範囲内に調整し、CとMnの値を種々に変化させ、板厚80mm以上の鋼材を試作し、厚み方向の中心部の強度を測定した。
図2はその一例を示すもので、含有される成分が、0.03%Si、0.22%Ni、0.20%Cu、0.018%Nb、0.012%Ti、0.003%N、0.0011%B、0.005%Moである、130mm厚みの鋼材の結果である。図2では、CとMnの含有比で、130mm厚みの鋼材の板厚中心の強度を整理している。
図中に示した曲線の概略の推定値から、C/Mnの最適値を0.003〜0.017と決定した。なお、C、Si、Mn、Ni、Cu、Nb、Al、Ti、N、B、P、S、Oの含有量、更に、必要に応じて添加するMo、V、Ca、Mgの含有量を上記(1)〜(3)の範囲内に調整した、図2以外の試作鋼材においても、ほぼと同様の数値が得られることを確認している。更に検討を進め、本発明者らは、C/Mnの値が0.003〜0.017であれば、厚みが80mm以上であるフランジの中央部の強度が550MPa以上という、高強度の極厚H形鋼が得られることを実験的に確認した。
(y)NbとNの含有量の積(Nb×N)
次に、NbとNの含有量の積(Nb×N)について説明する。Nbは、Cを固定して炭化物を形成する元素であり、本発明では、Bが炭化物として析出しないようにNbの添加量を制御する。すなわち、Nbは、Bによる焼入れ効果を確保して、強度を向上させる重要な元素である。また、微細なNbCの析出は、熱間圧延中の結晶粒の粗大化を抑制し、組織の細粒化を促すため、靱性の向上に寄与する。
しかし、Nが鋼中に多量に存在すると、NbはNと結合し、目的とするCの固定能が減殺されてしまう。すなわち、Bの焼入れ性向上効果を最大限に発揮させるべく、Nbの含有量をNの含有量に応じて制御する必要がある。Nbの窒化物の析出を抑制するためには、溶解度積の観点から、NbとNの含有量の積(Nb×N)を制限することが合理的である。したがって、(Nb×N)は、B添加による焼入れ性の向上の効果を得るための評価指標として重要である。特に、製鋼工程において、大気から溶鋼中へのNの侵入は避けられないため、(Nb×N)の制御は極めて有効である。
図3に、一例として、含有する成分が、0.015%C、0.03%Si、1.85%Mn、0.21%Ni、0.18%Cu、0.012%Ti、0.016%Al、0.0010%B、0.05%Mo、0.04%Vであり、厚みが140mmである鋼材のデータを示す。図3は、NbとNの含有量を種々に変化させて、実生産工程によって試作した、フランジの厚みが140mmであるH形鋼の、(Nb×N)と室温における引張強さの関係を示す図である。なお、図3は、フランジの厚み方向の中央部の引張強さを示しており、(Nb×N)が1.0×10−4以下の場合に、フランジの厚み中心部における強度が目標値である550MPaを安定して超えることがわかる。
同様の検討を、C、Si、Mn、Ni、Cu、Nb、Al、Ti、N、B、P、S、Oの含有量、更に、必要に応じて添加するMo、V、Ca、Mgの含有量を上記(1)〜(3)の範囲内に調整した、図3以外の試作鋼材においても行い、パラメータ(Nb×N)の上限を1.0×10−4以下と決定した。更に検討を進め、本発明者らは、(Nb×N)の上限を1.0×10−4以下とすれば、厚みが80mm以上であるフランジの中央部の強度が550MPa以上という、高強度の極厚H形鋼が得られることを実験的に確認した。
(z)予測残留オーステナイト体積率γr
本発明の鋼は、冷却速度が遅くなる厚み方向の中央部における強度低下を抑制するため炭素を低減し、焼入れ性を確保するため、MnとBを積極的に活用している。さらに、焼入れ性を高めるためにNi、Cuを添加し、Cを固定するためにNbを添加し、Nを固定するためにTiを添加する。また、必要に応じて、焼入れ性を高めるMoや、Cと結合して析出強化により強度の向上に寄与するVを添加する。
このような本発明の合金設計では、冷却速度が遅くなると残留オーステナイト(残留γ)が生成しやすくなる。本発明者らは実験を重ねた結果、残留γの存在によって、靱性のばらつきが大きくなることを見出した。したがって、靱性を獲得するためには、残留γの生成を抑制することが必要である。残留γによって靭性のばらつきが大きくなる理由については、以下のように考えている。
組織中に不安定な残留γが存在すると、衝撃が鋼材に加わった際、加工誘起変態によって、いわゆる加工誘起マルテンサイト組織を生成する。すなわち、組織中の残留γは、局部的な内部応力の上昇に起因して、硬質な加工誘起マルテンサイトに変態し、割れの起点となる。したがって、靭性のばらつきを抑制するには、残留γの生成を防止する必要がある。しかし、フランジの厚みが80mm以上になると、冷却速度を大きくすることが困難であり、残留γが生成しやすくなる。
したがって、極厚H形鋼の靭性を確保するには、冷却速度が低下しても残留γの生成が抑制されるように、成分組成を適正に制御することが必要である。本発明者らは、C、Si、Ni、Cu、Mo、Bに着目して、これらの含有量と残留γ量との関係について検討を行った。残留γ量(体積率)は、広角X線回折による、鋼中のBCC鉄のピーク高さとFCC鉄のピーク高さを比較し、一般的に実用化されている検量線を用いて、定量化して測定した。
その結果、(式1)により、鋼中の残留γの体積率を推定できることがわかった。(式1)によって求められる予測残留オーステナイト体積率γr[%]は、本発明のH形鋼において、実際にX線回折のピーク高さ判定法に極めて近い値であることを、別途確認しており、その精度は絶対値として±0.1(%)以内であった。
γr[%]=C+2Si+3(Ni+Cu)+(Mo)+100(B)・・・(式1)
ここで、C、Si、Ni、Cu、Mo、Bは、各元素の含有量[質量%]である。
本発明者らは、C、Si、Mn、Ni、Cu、Nb、Al、Ti、N、B、P、S、Oの含有量、更に、必要に応じて添加するMo、V、Ca、Mgの含有量を上記(1)〜(3)の範囲内に調整した鋼材を、実験室で溶解、鋳造、熱間圧延して140mm厚みの鋼板を試作した。得られた鋼板の板厚の中央部から試験片を採取し、0℃でシャルピー吸収エネルギーを測定した。図4に、厚み方向の中心における、0℃のシャルピー吸収エネルギーと予測残留オーステナイト体積率γr[%]との関係を示す。なお、0℃でのシャルピー吸収エネルギーは、一般的な建築用鋼材に要求される27Jを評価基準とした。
図4に示したように、予測残留オーステナイト体積率γr[%]が2.5%を超えると、0℃のシャルピー吸収エネルギーが27Jを下回る。更に検討を進め、本発明者らは、予測残留オーステナイト体積率γr[%]を2.5%以下とすれば、厚みが80mm以上であるフランジの中央部の、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーが27J以上という、高靭性の極厚H形鋼が得られることを実験によって確認した。
すなわち、(式1)から求められる予測残留オーステナイト体積率γr[%]によって、フランジの厚みが80mm以上である極厚H形鋼の、フランジの厚み方向の中心部の靱性を評価することが可能であり、良好な靭性を得るための上限値は2.5%以下である。
次に、化学成分を限定する理由について説明する。なお、%は、質量%を意味する。
C:Cは鋼材の焼入性の向上に寄与し、同時に、炭化物や炭窒化物を形成して鋼材の強度の向上に寄与する。この効果を得るには、0.005%以上のCを添加することが必要である。一方、0.05%を超えるCを添加すると、特に、フランジの厚み方向の中央部において、粗大な炭化物や炭窒化物が粒界に析出し、靱性が低下するため、上限を0.05%とする。加工性及び組織安定性を考慮すれば、C量は、0.01〜0.03%が好ましい。
Mn:Mnは、鋼の焼入れ性を向上させ、強度及び靭性の向上に寄与する元素である。厚みが80mm以上のフランジを有する本発明のH形鋼では、特に、Mnは重要な元素であり、焼入れ性の向上により厚み方向の中央部の強度の上昇に寄与する。このような効果を得るために、本発明ではMnを1.7%以上添加する。一方、2.2%を超えてMnを添加すると、中心偏析部位においてMnSを多量に生成し、靱性を損なう場合があるため、上限を2.2%以下とする。強度を重視する場合には、Mn量は1.8%以上が好ましく、靱性を重視する場合には、Mn量は2.1%以下が好ましい。
Nb:Nbは炭化物を生成してCを固定する重要な元素である。本発明では、Nbの添加によって炭硼化物の析出を抑制し、Bを粒界に偏析させて焼入れ性向上の効果を有効に発現させる。効果を得るには、0.005%以上のNbの添加が必要である。また、微細なNbCは、組織を微細化し、靭性の向上に寄与する。一方、0.025%を超えてNbを添加すると、NbCが粗大になり、靱性を低下させるため、上限を0.025%以下に限定した。したがって、靱性を重視する場合には、Nb量を0.01〜0.02%に制御することが好ましい。
N:Nは、不純物であり、BNを析出して粒界に偏析するB量を減少させ、Bによる焼入れ性向上効果を低減する場合がある。そのため、Nの含有量の上限を0.005%以下とする。また、粗大なTiNが生成すると靭性を損なうため、Ti量の上限は0.004%以下が好ましい。一方、微細なTiNが析出すると、熱間圧延中の粒成長が抑制され、靭性の向上に寄与するため、Nの含有量の下限を0.001%以上とする。
B:Bは、BNや炭硼化物の生成を防止して粒界に非平衡偏析させると、粒界からの変態に伴う粒成長を効果的に抑制する。このため僅かなBの添加で、鋼材の焼入れ性を著しく高めることが可能であり、本発明では、0.0003%以上のBを添加する。一方、0.0025%を超えてBを添加すると、M23(C,B)型炭硼化物を析出して靱性を低下させる場合があることから、上限を0.0025%以下に限定した。靱性のばらつきを抑制するためには、B量の上限を0.0020%以下に限定することが好ましい。
Ti:Tiは窒化物を生成してNを固定する重要な元素であり、本発明では、Tiの添加によってBNの析出を抑制し、Bを粒界に偏析させて、焼入れ性向上の効果を有効に発現させる。0.007%以上のTiを添加することにより、鋼中のNを有効に固定できるようになる。また、TiはNと結合して微細なTiNを析出し、熱間圧延時の結晶粒成長を抑制し、結晶粒を微細化して靭性の向上にも寄与するため、0.010%以上の添加が好ましい。一方、0.025%を超えてTiを添加すると、粗大なTiCまたはTiNが析出して靱性を低下させる場合があることから、上限を0.025%以下に限定した。靱性を重視する場合、Ti量の上限は0.020%以下が好ましい。
Ni,Cu:NiおよびCuは何れもγ相安定化元素である。Ni、Cuを添加すると、鋼材のAr点が低下し、圧延後の冷却時における変態開始温度が低下し、焼入れ性が向上する。効果を得るには、Ni、Cuを、それぞれ0.05%以上添加することが必要であり、強度を重視する場合は、それぞれ0.10%以上の添加が好ましい。一方、0.40%を超えてNi、Cuを添加すると、残留γが生成するため、それぞれの上限を0.40%以下とする。また、Cuのみを添加すると、赤熱脆性を生じて熱間圧延時に表面割れを発生させる場合があり、これを抑制するためには、Niの添加が有効である。一方、Niのみを添加して焼入れ性を高める場合には、ミクロ偏析に起因して残留γが生成しやすくなり、合金コストも高くなる。したがって、本発明では、NiとCuを同時に添加することが必要である。
Si:Siは、製鋼工程で脱酸剤として添加するが、固溶強化によって鋼の強度向上にも寄与する元素である。Si量が少ない場合は、Tiの酸化物が生成し、Nの固定が不十分になって、Bの添加による焼入れ性の向上効果が不十分になることがあるため、本発明では、Si量の下限を0.01%以上とする。また、Siの添加によって強度を高める場合は、0.05%以上を添加することが好ましい。一方、0.50%を超えてSiを添加すると、酸化物クラスターを生成して靭性が低下するため、上限を0.50%以下とする。B添加の効果を安定して発揮させるためには、Si量の上限は0.30%以下が好ましい。靱性への影響を重視する場合には、Si量の上限は0.10%以下が好ましい。
Al:Alは脱酸元素であり、本発明では、Nを固定するTiや、硫化物の形態を制御するCa、Mgが酸化物を生成しないように、Alを添加し、溶鋼の酸素濃度を低減する。Tiや、Ca、Mgなどの酸化物の生成を抑制するには、Al量を0.005%以上にすることが必要である。一方、0.1%を超えてAlを添加するとAl酸化物のクラスターが生成する場合があることから、上限を0.1%以下に制限した。クラスター生成による靱性低下を抑制するには、Al量の上限を0.08%以下とすることが好ましい。
P、S、O:P及びS、さらにOは不可避的に鋼中に含有される不純物元素であり、靭性を低下させるため、含有量を制限する。本発明では、Pを0.02%以下、Sを0.01%以下、Oを0.01%以下とする。
以上の基本化学組成に加えて、本発明では、焼入れ性を高めるMo、析出強化に寄与するV、硫化物の形態制御に有効なCa及びMgを、必要に応じて添加する。
Mo:Moは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、特にBと同時に添加することでその効果がさらに高められる。Moの効果は、0.01%以上の添加で顕著となる。一方、0.2%を超えてMoを添加すると、残留γを生成して、靱性が劣化する場合があるため、Mo量の上限は0.2%以下が好ましい。また、Moは高価な元素でもあるため、より好ましい上限は0.15%以下である。
V:Vは、主に炭化物として析出し、強度向上に寄与する元素である。効果を得るには、0.01%以上のVの添加が好ましい。一方、0.1%を超えてVを添加すると、粗大な炭化物が析出し、鋼材の靱性が劣化する場合があるため、V量の上限は0.1%以下が好ましい。靱性を重視する場合には、V量の上限を0.08%以下にすることがさらに好ましい。
CaおよびMg:CaおよびMgは、硫化物を生成する元素である。本発明では、粗大な硫化物、具体的には、MnSの偏析部への析出を防止するため、Ca、Mgの一方または両方を添加してもよい。効果を得るには、Ca、Mgの含有量は、それぞれ、0.0005%以上が好ましい。また、CaおよびMgの添加量が0.004%を超えると、酸化物がクラスターを生成して靱性が劣化することがある。そのため、CaおよびMgの添加量の上限は、0.004%以下が好ましい。O濃度を0.002%以下とした場合は、Ca、Mgの酸化を防止することができるため、それぞれ、0.003%以下を添加することにより、硫化物の形態を制御することができる。
次に、本発明のH形鋼の組織について説明する。
強度を高め、靭性を確保するには、組織をフェライト単相、またはフェライト−パーライト組織とせず、ベイナイトを生成させることが好ましい。本発明では、550MPa以上の強度を得るため、ベイナイトの面積率を30%以上にすることが好ましい。ベイナイトの面積率は、腐食液(ナイタール、ピクリン酸、硝酸、王水等)でエッチングし、光学顕微鏡で組織を観察し、画像解析装置を用いて測定することができる。
本発明のH形鋼は、剛性が要求される構造部材に使用するため、フランジの厚みが80mm以上であることが好ましい。また、H形鋼のフランジの厚み方向の中心部において、550MPa以上の強度と、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーが27J以上という優れた靭性を具備することが好ましい。このような形状、機械特性を有することにより、構造材としての性能が優れ、また圧延H形鋼であるため、生産性にも優れ、価格競争力のあるH形鋼となる。
次に、本発明のH形鋼の製造方法について説明する。
本発明のH形鋼の製造には、一般的な熱間圧延法を採用する。H形鋼の熱間圧延は、鋼板の熱間圧延に比較してロールスタンド数が多い。これは、形状の異なる圧延ロールを連続的に通過してH形の断面形状を成型するためであり、圧延ロールとの接触による抜熱で熱間圧延中の温度が低下しやすい。
本発明では、熱間圧延後の冷却時にベイナイトを生成させるため、熱間圧延の終了時に30%以上の未変態オーステナイトを残存させることが好ましい。そのため、熱間圧延の圧延終了温度を950℃以上とする。一方、本発明者らは、H形鋼を試作する際に、終了温度を950℃以上とするために、熱間圧延の開始温度を1200℃以上にすることが必要であることを見出した。したがって、圧延開始温度は、熱間圧延中の温度低下が顕著であるH形鋼の製造プロセスを考慮し、1200℃以上とする。また、熱間圧延の開始温度を1200℃以上にするためには、加熱抽出、ハンドリングの際の温度低下を加味して考えれば、加熱温度を1300℃以上にすることが好ましい。
さらに、圧延後、必要に応じて、Ar点以下の温度において、必要な時間の焼戻しを行ってもよい。焼戻しによって、本発明のH形鋼の強度と靱性のバランスをさらに改善し、最適化することができる。同様な熱処理を一回、または複数回適用しても、本発明のH形鋼の機械特性を劣化させることはない。
表1〜3に示す化学成分の鋼を溶製し、連続鋳造装置を用いて一片が300mmの角断面ビレットとした。得られたビレットを、所定の長さに切断した後、1350℃に再加熱し、その後、熱間圧延して、フランジ厚80mm以上のH形鋼を製造した。圧延開始温度及び圧延終了温度を表4(表1のつづき)、表5(表2のつづき)および表6(表3のつづき)に示す。圧延終了後は、加速冷却することなく放冷し、一部のH形鋼にはさらに熱処理を施した。
得られたH形鋼のフランジの厚み方向の中央部から試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して室温での引張強さを測定し、JIS Z 2242に準拠して0℃でのシャルピー吸収エネルギーを測定した。なお、引張試験片の長手方向は圧延方向と平行とし、シャルピー試験片(2Vノッチ)の長手方向は圧延方向および厚み方向に垂直な方向とした。なお、引張試験の繰り返し数は2として、その平均値を採用し、シャルピー試験の繰り返し数は3とし、最低値を採用した。また、フランジの厚み方向の中央部の組織を光学顕微鏡で観察し、ベイナイトの面積率を測定した。さらに、残留オーステナイトの体積率をX線回折法で測定し、予測残留γ体積率γr[%]と、ほぼ同等であることを確認した。
結果を表4(表1のつづき)、表5(表2のつづき)および表6(表3のつづき)に示す。表1に示されるように、化学成分、(C/Mn)、(Nb×N)、予測残留オーステナイト体積率が本発明の範囲内であり、表4に示されるように適正な条件で熱間圧延を行えば、フランジの厚み中心部の引張強さおよび靱性(0℃におけるシャルピー吸収エネルギー)は、それぞれ、550MPa以上および27J以上となり、ともに必要とされる性能を具備していることがわかる。一方、表2および表3、表5(表2のつづき)および表6(表3のつづき)に示した比較例は、以下に説明するように、強度、靭性の一方または両方が不十分である。
比較例31は、C量が少なく、焼入れ性が不十分であり、強度が低下し、圧延終了温度が高い本発明では同時に有効結晶粒径が大きくなり、靭性も低下した例である。一方、比較例32は、C量が多いため強度が高くなり、粒界に析出したセメンタイトに起因して、靱性が低下した例である。また、比較例33は、Si量が少なく、Tiが酸化物となり、BNが生成したため、焼入れ性が不十分になり、強度が不足し、析出物に起因して靱性が低下した例である。一方、比較例34は、Si量が多く、酸化物のクラスターを生成し、さらに残留γも増加し、靱性が低下した例である。比較例35はMn量が少なく、強度が低下した例であり、比較例36はMnが過剰であるため、中心偏析部に粗大なMnSが析出し、靱性が低下した例である。
比較例37はNiを添加せず、Cuのみを添加した例であり、赤熱脆性によって表面割れが多発して靱性が低下し、焼入れ性が不足して強度も低下している。一方、比較例38は、Cuを添加せず、Niのみを添加した例であり、焼入れ性が不足して強度が低下している。また、比較例39はNiおよびCuの含有量が少なく、焼入れ性が不足して強度が低下した例である。一方、比較例40は、NiおよびCuの含有量が過剰であり、残留γを生じて、靱性が低下した例である。
比較例41および43は、それぞれ、Ti量およびNb量が少なく、Bを有効に活用できず、強度が低下した例である。一方、比較例42および44は、それぞれ、Ti量およびNb量が過剰な例であり、比較例44は(Nb×N)も大きくなっている。比較例42は粗大なTiNやTiCが析出して靱性および強度が低下し、比較例44は、Nbの窒化物や、その他炭硼化物が生成し、靱性および強度が低下している。比較例45はAl量が少なく、Tiの酸化物が生成し、Bによる焼入れ性の向上効果が不十分になり、強度および靱性が不足した例である。一方、比較例46はAl量が多く、酸化物のクラスターが生成し、靱性が低下した例である。
比較例47はN量が少なく、TiNによる粒成長の抑制が不十分であり、組織が粗大になり、靱性が不足した例である。比較例48はN量が多く、粗大な窒化物が生成して靱性が低下し、BNの析出に起因して焼入れ性が不足し、強度も低下した例である。比較例49はB量が少なく、焼入れ性が不足して強度が低下した例である。一方、比較例50はB量が過剰であり、粗大なB化合物(BNおよびM23(CB))が粒界上に析出し、靱性が低下した例である。比較例51はO量が多く、酸化物のクラスターによって靱性が低下し、TiによるNの固定が不十分になって、Bの焼入れ性向上効果を発揮できず、強度も低下した例である。
比較例52〜55は、選択的に添加するMo、V、Ca、Mgを過剰に添加した例である。比較例52および53は、それぞれ、Mo量およびV量が多く、粗大な炭化物が生成し、靱性が低下した例である。また、比較例54および55は、それぞれ、Ca量およびMg量が多く、酸化物のクラスターが生成して靱性が低下した例である。比較例56は鋼組成は本発明の範囲内であるが、予測残留γ体積率が約3.2%、X線回折法で測定した残留γの体積率も同程度であり、靱性が低下した例である。比較例57および58は、それぞれ、鋼組成は本発明の範囲内であるが、(C/Mn)および(Nb×N)が大きく、強度が低下した例である。
比較例59は、圧延開始温度が低く、結果として、圧延仕上温度も低下し、ベイナイトの生成が不十分になって、強度が低下した例である。比較例60は、適正な温度で圧延を開始したものの、圧延仕上温度が低下し、ベイナイト面積率が低下して強度が不足した例である。比較例61および62は、それぞれ、不純物元素であるPおよびSの含有量が多く、靱性が低下した例である。
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1 フランジ
2 フランジの厚み
3 フランジの厚み方向の中心部

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.005〜0.05%、
    Si:0.01〜0.50%、
    Mn:1.70〜2.2%、
    Ni:0.05〜0.4%、
    Cu:0.05〜0.4%、
    Nb:0.005〜0.025%、
    Al:0.005〜0.1%、
    Ti:0.007〜0.025%、
    N:0.001〜0.005%、
    B:0.0003〜0.0025%
    を含有し、
    P:0.02%以下、
    S:0.01%以下、
    O:0.01%以下
    に制限し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、CとMnの含有量の比(C/Mn)が0.003〜0.017であり、NbとNの含有量の積(Nb×N)が1×10−4以下であり、下記(式1)によって求められる予測残留オーステナイト体積率γr[%]が2.5%以下であり、光学顕微鏡によって観察される、フランジ部の金属組織のベイナイト面積率が30%以上であり、残部がフェライトであり、フランジの厚みが80mm以上であることを特徴とする靭性に優れた極厚高強度H形鋼。
    γr=C+2Si+3(Ni+Cu)+Mo+100B ・・・ (式1)
    ここで、C、Si、Ni、Cu、Mo、Bは各元素の含有量[質量%]である。
  2. 更に、質量%で、
    Mo:0.2%以下、
    V:0.1%以下
    の一方または両方を含有することを特徴とする請求項1に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼。
  3. 更に、質量%で、
    Ca:0.004%以下、
    Mg:0.004%以下
    の一方または両方を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼。
  4. フランジ部の引張強度が550MPa以上であり、かつ、0℃におけるシャルピー衝撃吸収エネルギーが27J以上であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の靱性に優れた極厚高強度H形鋼。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の極厚高強度H形鋼の製造方法であって、請求項1〜3の何れか1項に記載の成分を含有する鋼片を再加熱し、圧延開始温度を1200℃以上、圧延仕上温度を950℃以上として、フランジ部の板厚が80mm以上になるように熱間圧延を行うことを特徴とする靱性に優れた極厚高強度H形鋼の製造方法。
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