JP5471143B2 - 高圧ガスタンクシステム - Google Patents
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Description
特に、高圧ガスタンクシステムの開口部周辺構造とその役割を果たす制御機能に関する。
前記燃料電池は、ガス状燃料(「水素ガス」ともいう。)と酸化ガスとの電気化学反応によって発電している。
そして、前記燃料電池に供給されるガス状燃料が貯蔵される容器の1つとして、高圧ガスタンク(「水素タンク」ともいう。)を用いた高圧ガスタンクシステムも開発されている。
この高圧ガスタンクの開口部にはバルブが取り付けられており、このバルブ内の電磁弁を開閉することにより、高圧なガス状燃料を放出することが可能となっている。
このとき、前記高圧ガスタンクから高圧なガス状燃料を放出すると、断熱膨張により高圧ガスタンク内のガス温度が低下し、その結果、高圧ガスタンクのタンクユニット全体の温度が氷点下まで下がる場合がある。
前記高圧ガスタンクと前記バルブとの機密性を保つするために、接合面部位にOリング(「オーリング」)が挿入されている。
しかし、温度が低下(保障温度は−40度)してくると、Oリングのゴムが硬化し、機密性を保つことができなくなってくるため、温度に関してタンクユニットのボルトネックとなり、高圧なガス状燃料をより長時間放出する場合には、Oリングの温度に注意を払う必要があるという不都合がある。
また、硬化に起因して発生する密閉性の低下、ガス状燃料の漏洩といった問題をなくすことができる。
更に、シール部材が部分露出する環状溝空間が、温度センサの検出位置となり、共通する空間の温度で管理できるので、温度管理の精度が高い。
図2及び図3において、1は高圧ガスタンクシステム、2は高圧ガスタンク(「水素タンク」ともいう。)である。
前記高圧ガスタンクシステム1は、図2に示す如く、車両3に搭載されるものであり、この車両3には充填所4によって高圧なガス状燃料が供給される。
また、前記高圧ガスタンクシステム1は、高圧のガス状燃料を貯蔵する高圧ガスタンク2と、この高圧ガスタンク2に設けられてガス状燃料を充填あるいは放出する開口周辺部5と、この開口周辺部5に設けられガス状燃料が前記高圧ガスタンク2外部に漏洩することを防止するシール部材、例えばOリング6とを備えている。
つまり、前記高圧ガスタンクシステム1は、図2に示す如く、車両3に高圧ガスタンク2と開口周辺部5と減圧弁7と燃料電池8とを搭載している。
前記高圧ガスタンク2の充填側の第1ガス経路9は、開口周辺部5からフィルタ10を介して充填口11に連絡しており、この充填口11を前記充填所4に連絡させることによって、前記高圧ガスタンク2へのガス状燃料の充填が可能となっている。
前記高圧ガスタンク2の放出側の第2ガス経路12は、開口周辺部5から前記減圧弁7を介して燃料電池8に連絡している。
また、前記開口周辺部5には制御装置13が接続されている。
まず、一般的な構成について説明する。
前記開口周辺部5を、前記高圧ガスタンク2に一体のタンク口金14と、このタンク口金14に取り付けられるバルブブロック15とにより構成する。
そして、図4に示す如く、前記高圧ガスタンク2の開口16に圧入される管状の前記タンク口金14と、このタンク口金14の内周面部位に取り付ける前記バルブブロック15とにより前記開口周辺部5を構成する。
つまり、この開口周辺部5は、前記高圧ガスタンク2に一体に固定された前記タンク口金14と、このタンク口金14にねじ構造などによって着脱可能に取り付けられる前記バルブブロック15とから構成される。
このとき、前記タンク口金14は、図4に示す如く、管状に形成する際に、圧入側後端にフランジ部17を形成するとともに、内周面の中央部位には螺合用のタンク口金14側第1ネジ部18を形成する。
そして、前記タンク口金14の内周面部位において、タンク口金14側第1ネジ部18よりも圧入側先端に環状の凹部19を形成し、この凹部19にシール部材である前記Oリング6を配設する。
また、前記バルブブロック15は、図4に示す如く、前記タンク口金14の内部空間を通過し、前記高圧ガスタンク2に至る棒状に形成した第1本体部20aと、この第1本体部20aよりも大径に形成し、前記タンク口金14に螺合する第2本体部20bと、この第2本体部20bよりもさらに大径に形成し、前記タンク口金14のフランジ部17に接触する第3本体部20cとからなる。
そして、前記バルブブロック15は、図4に示す如く、前記第1本体部20aの先端に前記高圧ガスタンク2内の温度を検出する第1温度センサ21を設け、この第1温度センサ21を第1〜第3本体部20a、20b、20cを軸方向に貫通する第1信号線22により前記制御装置13に接続する。
また、この第1本体部20aの先端には、図4に示す如く、ガス状燃料経路23も形成されており、このガス状燃料経路23は第1〜第3本体部20a、20b、20cを軸方向に貫通して第3本体部20cに到達した際に、第3本体部20cの径方向に指向方向が変更され、その後に図示しないバルブを経て、前記第1ガス経路9または前記第2ガス経路12に連絡される。
つまり、前記バルブブロック15のうちタンク口金14を貫通する部分および前記高圧ガスタンク2の内部空間Sに延出する部分には、その中心(ほぼタンク口金14の中心軸と一致)に水素ガス通路である前記ガス状燃料経路23が形成される。
更に、前記第2本体部20bの先端近傍には、図4に示す如く、第2温度センサ24を設け、この第2温度センサ24を第2、第3本体部20b、20cを軸方向に貫通する第2信号線25により前記制御装置13に接続する。
この第2本体部20bの外周面の中央部位には、前記タンク口金14側第1ネジ部18に係合させるための螺合用のバルブブロック15側第2ネジ部26を形成する。
そして、前記バルブブロック15の第3本体部20cには、図4に示す如く、ヒータ27を埋設し、このヒータ27の発熱部28を前記第2本体部20bのOリング6及び第2温度センサ24近傍に位置させる。
詳述すれば、前記タンク口金14と前記バルブブロック15とを一体に取り付けた状態では、前記高圧ガスタンク2の内部空間Sに臨むタンク口金14の端部付近において、バルブブロック15には前記環状溝空間29を呈する区画Aを設ける。
つまり、前記バルブブロック15の第2本体部20b先端の外周部位に、図1に示す如く、前記環状溝空間29を形成する。
また、前記タンク口金14と前記バルブブロック15との間には、前記シール部材であるOリング6が設けてあり、このOリング6は前記区画Aに臨むように設けてある。
このとき、このOリング6が永きにわたって十分なシール性を発揮するためには、凍結などの変質を促進してしまう状態を避けるようにする。
つまり、前記シール部材であるOリング6は、環状溝空間29に臨むようにして前記タンク口金14と前記バルブブロック15の第2本体部20bとの間に設ける。
更に、前記バルブブロック15の内部には、前記ヒータ27を内蔵して設けてある。
このヒータ27は、前記シール部材であるOリング6の近傍かつ内環状に発熱部28を配設している。
この発熱部28は、前記第2温度センサ24よりもシール部材であるOリング6寄りの位置となっている。
そして、前記ヒータ27の発熱部28からシール部材であるOリング6までの距離L1と、前記ヒータ27の発熱部28から第2温度センサ24までの距離L2とをほぼ等しくすることによって、熱伝導を経た結果のそれぞれの温度がほぼ等しいものになる。
つまり、前記バルブブロック15の第2本体部20bには、その内部に前記シール部材であるOリング6に沿うように前記ヒータ27の発熱部28を設ける。
このとき、ヒータ27は、図1及び図5に示す如く、前記バルブブロック15の第2本体部20b内をヒータ線30がOリング6及び第2温度センサ24の取付位置近傍まで設けられ、このヒータ線30の先端部位において前記シール部材であるOリング6に沿うように内環状に配設されるものである。
更にまた、前記バルブブロック15には、図1に示す如く、前記区画Aに臨むように、前記第2温度センサ24を設けている。
このとき、この第2温度センサ24は、ガス状燃料の温度と前記開口周辺部5の温度との境界付近において互いの影響を及ぼし合った繊細な場所の温度を測ることができる。
そして、前記区画Aの前記環状溝空間29に臨むようにして設けられている。
前記第2温度センサ24は、図1に示す如く、前記環状溝空間29は、前記高圧ガスタンク2の内部空間Sに連通しているので、ガス状燃料の温度に対する感度も良好であるが、容積に対して前記開口周辺部5(前記タンク口金14と前記バルブブロック15)の壁面に接する面積が広いので、開口周辺部5の温度に対してきわめて感度が良い。
前記ヒータ26は、前記制御装置13によって通電制御される。
従って、温度低下に伴うシール部材であるOリング6の硬化を防止できる。
また、硬化に起因して発生する密閉性の低下、ガス状燃料の漏洩といった問題をなくすことができる。
更に、シール部材であるOリング6が部分露出する環状溝空間29が、第2温度センサ24の検出位置となり、共通する空間の温度で管理できるので、温度管理の精度が高い。
つまり、前記高圧ガスタンク2内のガス状燃料の放出に伴い、タンクユニットである前記高圧ガスタンクシステム1の環状溝空間29の温度が低下する。
このとき、前記制御装置13で通電制御される前記ヒータ27の温度制御を、例えば、前記高圧ガスタンク2の法規制温度の下限値である−40度近傍となる所定温度T1を管理値として、それ以下に下がらないようにするだけのもっとも短時間となる通電制御とすることで、前記第2温度センサ24の検出温度に悪影響を与えることなく、前記シール部材であるOリング6の温度にきわめて近い正確な温度を検知することが可能となる。
従って、所定温度T1を超えて低温にならないようにし、所定温度T1より高い温度となるほど過剰に通電することがないので、前記第2温度センサ24の検出精度を損なうことがない。温度に影響を与えない。
また、前記ヒータ27への通電量が少ないので、温度管理システムを大きくしなくても良い。
この処理(102)は、第2温度センサ24の検出した検出温度信号を前記制御装置13に入力させる処理である。
そして、この第2温度センサ24入力の処理(102)の後には、第2温度センサ24の値、つまり、第2温度センサ24の検出温度が所定温度T1より高いか否かの判断(103)に移行する。
この第2温度センサ24の値が所定温度T1より高いか否かの判断(103)において、判断(103)がYESの場合には、前記制御装置13による前記ヒータ26の通電制御を行わず、「ヒータ非通電」の処理(104)に移行し、そのまま、後述するリターン(106)に移行する。
また、第2温度センサ24の値が所定温度T1より高いか否かの判断(103)がNOの場合には、前記高圧ガスタンク2の環状溝空間29部分の温度が必要以上に低下、つまり所定温度T1以下となっているため、前記制御装置13による前記ヒータ26の通電制御を行うために、「ヒータ通電」の処理(105)に移行し、そのままリターン(106)に移行する。
なお、上述の「ヒータ通電」の処理(105)においては、前記高圧ガスタンク2が法規制温度の下限値である−40度近傍、つまり所定温度T1以下に下がらないようにするだけの処理であるため、もっとも短時間となる通電制御を実現している。
2 高圧ガスタンク(「水素タンク」ともいう。)
3 車両
4 充填所
5 開口周辺部
6 Oリング
7 減圧弁
8 燃料電池
13 制御装置
14 タンク口金
15 バルブブロック
21 第1温度センサ
23 ガス状燃料経路
24 第2温度センサ
27 ヒータ
28 発熱部
29 環状溝空間
A 区画
T1 所定温度
Claims (2)
- 高圧のガス状燃料を貯蔵する高圧ガスタンクと、この高圧ガスタンクに設けられてガス状燃料を充填あるいは放出する開口周辺部と、この開口周辺部に設けられガス状燃料が前記高圧ガスタンク外部に漏洩することを防止するシール部材とを備えた高圧ガスタンクシステムにおいて、前記開口周辺部を、前記高圧ガスタンクに一体のタンク口金と、このタンク口金に取り付けられるバルブブロックとにより構成し、このバルブブロックには前記タンク口金の端部付近となる位置に環状溝空間を形成し、この環状溝空間に臨むようにして前記タンク口金と前記バルブブロックとの間に前記シール部材を設ける一方、前記バルブブロックには、前記環状溝空間に臨むようにして温度センサを設け、前記バルブブロックの内部に前記シール部材に沿うようにヒータの発熱部を設け、このヒータの発熱部は、このヒータの発熱部から前記シール部材までの距離と前記ヒータの発熱部から前記温度センサまでの距離とが等しくなるように配置され、前記ヒータの発熱部に通電制御する制御装置を備えていることを特徴とする高圧ガスタンクシステム。
- 前記制御装置は、温度センサの検出温度に基づいて検出温度が所定温度以上となるようにヒータの発熱部に通電制御することを特徴とする請求項1に記載の高圧ガスタンクシステム。
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