JP5471044B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
このような3原色のレーザーとMEMSミラーとから成る走査型プロジェクタの従来例を図1に示す。従来の走査型プロジェクタについて簡単に説明する。光源505−R、505−G、505−Bは、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)のレーザー光AR、AG、ABを放射する。レンズ506−R、506−G、506−Bは、レーザー光AR、AG、ABを集光する。ダイクロイックミラー507−R、507−G、507−Bは、それぞれ赤色光、緑色光、青色光のみを反射し、その他の光を透過させる。MEMSミラー501は、水平方向及び垂直方向に回動されることで、傾斜角が可変である。そして、MEMSミラー501は、ダイクロイックミラー507−R、507−G、507−Bからの赤色光、緑色光、青色光を反射させることで、投影面503に画像を投影させる。制御回路502は、MEMSミラー501を水平方向及び垂直方向に回動させると共に、入力ビデオ信号VINに応じて光源505−R、505−G、505−Bから光強度変調されたレーザー光を放射させる。
そのほかの画像表示装置については特許文献2または3などに記載されている。
制御回路100は、少なくとも、MEMSミラー11の回動を制御するミラー制御手段と、投影面13上に投影するレーザー光の強度変調を行う。制御回路100がビデオ信号VINを受信すると、ビデオ信号VINの各色のビデオ信号(例えば、赤色ビデオ信号、青色ビデオ信号、緑色ビデオ信号)に応じて光強度変調されたレーザー光を光源1、2、3から出射させる。
図3にMEMSミラー11の構成例の斜視図を示す。MEMSミラー11は、反射面を持つ微小ミラー101がトーションバー102、103で支持された構造を有する。制御回路100のミラー制御により、微小ミラー101は、互いに直交する2軸方向に回動する。より具体的には、トーションバー102が捻れることで軸104を略中心とした回転方向(α方向)に往復運動を行う。また、トーションバー103が捻れることで軸105を略中心とした回転方向(β方向)に往復運動を行う。この両軸104、105を略中心とする往復運動によって、微小ミラー101の反射面の法線方向が2次元的に変化する。
ここで、投影レンズ12から出射した投影光が、完全な平行光であれば、投影レンズ12と投影面13の距離Dが変わっても、投影面13上のビーム径は一定となり、色むらやにじみのない画像を表示できる。しかし、光は伝播する際に回折し、進行方向直交方向にビームは広がっていき、投影レンズ12により完全な平行光を作ることは不可能である。つまり、距離Dが大きくなれば、投影面13上のビーム径は広がっていく。距離Dは、一定の値に決まっているわけではなく、大きな画像を得たい場合は、距離Dを大きくし、直近に画像を投射したければ、距離Dを小さくする。投影レンズ12からの投影光が、収束光や発散光である場合は、距離Dの変化で、投影面13上のビーム径の変化が大きくなり、伝播距離Dに対して、投影面13上のビーム径の変化を抑えるためには、投影レンズ12を凹レンズとし、投影光を略平行光とすることが望ましい。
ガウシャンビームの波面が、ある位置において完全な平面であっても、波面は以下の式(1)で 与えられる曲率をもって発散する。つまり、以下の式(1)は、伝播距離zでの1/e2強度でのビーム半径w(z)を表したものである。
w(z)=λz/πw0 (2)
本発明の凹レンズ12を出射した、波長λ1、λ2、λ3(λ1>λ2>λ3)の光の波面が平面である位置での1/e2強度のビーム半径をそれぞれ、w1、w2、w3とすれば、式(2)より、伝播距離zの位置で各波長のビーム径の差を小さくするためには、λ1>λ2>λ3であるから、
w1>w2>w3 (3)
である必要がある。
上記式(3)を満たすような画像表示装置100であれば、色むらやにじみの少ない画像が投影面13上で投影される。
また、以下の実施例2〜7では、上記式(3)を満たすための様々な実施例を説明する。
図4に、凹レンズ12の出射光のビーム半径とMEMSミラー11の反射面14の光線の様子を示す。波長λ1、λ2、λ3の収束光のMEMSミラー11反射面14に入射するビーム半径を、φ1、φ2、φ3とすれば、w1>w2>w3とするためには、以下の式を満たす必要がある。
φ1>φ2>φ3 (4)
この式(4)を満たすように反射面14に入射するビーム半径φ1、φ2、φ3を設定すれば、投影面13上の各色のビーム径が等しくなり、結果として、色むらやにじみの少ない画像を表示すことができる。
図16に示すように、光路合成手段7により1つの光路に合成された、波長λ1、λ2、λ3の収束光50を、制限部19を透過させ、MEMSミラー11反射面14に入射するビームの半径を、λ1をψ1に、λ2をψ2に、λ3をψ3(ψ1>ψ2>ψ3)とするものである。図6に制限部19をxy面から見た図を示す。4つの領域54、55、56、57からなり、径γ1の外側の領域54は、波長λ1、λ2、λ3の光が透過しないように、反射コートを施すかあるいは、非透過物で覆われる領域であり、径γ1と径γ2で囲まれた領域55は、λ1の光のみ透過し、λ2、λ3の光を反射するダイクロイックコートが施され、径γ2と径γ3で囲まれた領域は、λ1、λ2の光を透過し、λ3の光を反射するダイクロイックコートが施され、径γ3の内部は、λ1、λ2、λ3の光を透過するように、反射防止コートが施されている。制限部19のγ1、γ2、γ3の径を所定の値に設定することで、MEMSミラー11反射面14に入射するビーム径を所定の値ψ1、ψ2、ψ3とすることができる。
また、制限部19において、ダイクロイックコートの変わりに、回折格子を用いてもよい。具体的には、図6で、径γ1の外側の領域54は、波長λ1、λ2、λ3の光が透過しないように、反射コートを施すかあるいは、非透過物で覆われる領域であり、径γ1と径γ2で囲まれた領域55に、λ1の光のみ透過し、λ2、λ3の光を回折する回折構造を形成し、径γ2と径γ3で囲まれた領域56は、λ1、λ2の光を透過し、λ3の光を回折する回折構造を形成することで、制限部19のγ1、γ2、γ3の径を所定の値に設定することで、MEMSミラー11の反射面14に入射するビーム径を所定の値ψ1、ψ2、ψ3とすることができる。図7に回折格子190を用いた場合の制限部19の表面を示す。図7に示すように、深さdの溝190aが形成されている。この深さdは領域55、56ごとに異なる。回折構造を形成する材料の屈折率を波長λ1、λ2、λ3に対し、それぞれn1、n2、n3とする。なお、領域57については、全ての波長の光を透過させるので、回折格子を形成しなくともよい。
領域55、56の深さd1、d2については、以下のように定めればよい。
領域55の深さd1については、
n1(d1−1)/λ1=P1 (5)
n2(d1−1)/λ2≠P2 (6)
n3(d1−1)/λ3≠P3 (7)
ただし、P1、P2、P3は自然数とする。式(5)〜(7)を満たし波長λ2、λ3の光束の回折効率が高くなるように、深さd1を設定すればよい。
同様に、領域56の深さd2については、
n1(d2−1)/λ1=P4 (8)
n2(d2−1)/λ2=P5 (9)
n3(d2−1)/λ3≠P6 (10)
ただし、P4、P5、P6は自然数とする。式(8)〜(10)を満たし波長λ3の光束の回折効率が高くなるように、深さd2を設定すればよい。
このように制限部19を用いることで、容易に、上記式(4)を満たすような光束を求めることができる。また、図6に示す面および図7に示す回折構造は、制限部19の入射面または出射面のどちらか一方に設ければよい。また、回折格子を用いた制限部19の方が、ダイクロイックコートを用いた制限部19よりも安価である。
一般的に、図8に示すように、カップリングレンズ4と反射面14との距離の大小と、反射面14で反射される光のビーム径とは逆の関係にある。つまり、H<I<Jである場合には、τ1<τ2<τ3となる(以下、「原理A」という)。
上記式(4)を満たすためには、この原理Aを用いると、以下の式(11)を満たせば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
L1<L2<L3 (11)
また、当然に上記式(3)を満たす。
図10に集光レンズ18とMEMSミラー11の反射面14に示す。波長λ1、λ2、λ3の光束の反射面14上のビーム半径をそれぞれρ1、ρ2、ρ3とし、集光レンズ18の入射面上のビーム径をそれぞれψ1、ψ2、ψ3とする。ただし、ρ1>ρ2>ρ3とする。図10に示すように、集光レンズ18に入射する平行光のビーム径ψ1、ψ2、ψ3の大小とMEMSミラー11反射面14上のビーム半径ρ1、ρ2、ρ3の大小は一致する。
投影面13上に投影したとき、投影距離Dによらず投影面13上のビーム径を同じにするには、
ρ1>ρ2>ρ3
を満たす必要があり、結果として以下の式(12)を満たせばよい。
ψ1>ψ2>ψ3 (12)
カップリングレンズ21、22、23は発散光を平行光としている。従って、カップリングレンズ21、22、23から集光レンズ18までの距離は自由に設定できる。また、集光レンズ18は、平行光を集光するので、MEMSミラー11の反射面上のビーム半径ρ1、ρ2、ρ3を集光レンズ18の設計のみで設定できる。
図12に制限部19と集光レンズ18についての光路を示す。図12に示すように、制限部19は、光路合成手段7よりの平行光60のビーム径をそれぞれ上記式(12)を満たすψ1、ψ2、ψ3にして通過させる。
このように制限部19を設けることで、ユーザは容易に集光レンズ18の入射面上の平行光のビーム径ψ1、ψ2、ψ3を設定できる。
投影型プロジェクタの場合、投影面までの伝播距離zは、πw2/λより十分大きいので、図13に破線で示す円錐に漸近する。また、波長λ1、λ2、λ3の各投影光について、この円錐の半頂角角度(ビームの広がり角)εは小さいため、tanε≒εであり、εは、式(3)より式(13)で表される。
ε=w(z)/z=λ/πw (13)
投影光の伝播距離zに対する広がり角εを略同一となるように設定すると、どの伝播距離zであっても、それぞれの投影光の投影面13上でのビーム径を略同一とできる。従って、式 (13)より以下の式を満たせばよい。
上記式(14)を満たすように、実施例1〜6記載の画像表示装置を構成すると、さらに、にじみや色むらの少ない画像を表示できる。
[シミュレーション結果]
従来の画像表示装置と、上記式(14)を満たすように設定した画像表示装置100(実施例1参照)との比較シミュレーション1の結果を図14(A)(B)に示す。また、従来の画像表示装置と、上記式(14)を満たすように設定した画像表示装置400(実施例4参照)との比較シミュレーション2の結果を図15(A)(B)に示す。図14(A)は、従来の画像表示装置の結果であり、図15(A)は、集光レンズ18を用いた従来の画像表示装置の結果であり、図14(B)上記式(14)を満たすように設定した画像表示装置100の結果であり、図15(B)は、上記式(14)を満たすように設定した集光レンズ18を用いた画像表示装置400の結果である。
両比較シミュレーションともに、用いた光は赤色、緑色、青色であり、それぞれの波長をλ1=640nm、λ2=530nm、λ3=445nmとする。図2に示すように、投影レンズ12の出射面12aを原点0とし、原点0からの距離fとする。図14(A)(B)および図15(A)(B)の縦軸をビーム径w(f)とし、横軸を伝播距離fとする。
図14(A)は、φ1<φ2<φ3となる(つまり上記式(4)を満たしていない)ように設計した従来の画像表示装置の結果である。図14(A)からも理解できるように、上記式(4)を満たしていないため、投影面13上でのビーム径を一致させることができず、また、伝播距離fに対し、ビーム径の広がり方も異なってしまう。
図14(B)は、上記式(4)であるφ1>φ2>φ3を満たし、上記式(13)を満たすλ1/w1≒λ2/w2≒λ3/w3≒4.3×1e−3となるように設計した画像表示装置100の結果である。図14(B)からも理解できるように、上記式(4)、(14)を満たしていることから、投影面13上でのビーム径を略一致させ、また、伝播距離fに対し、ビーム径の広がり方もほぼ同様とすることができる。従って、投影面13上に投影された画像は、色むらやにじみの少ない画像とすることができる。
図15(A)は、φ1=φ2=φ3となる(つまり上記式(4)を満たしていない)ように設計した従来の画像表示装置の結果である。図15(A)からも理解できるように、光Anを平行光の径を同一にした場合は、上記式(4)を満たしていないため、投影面13上でのビーム径を一致させることができず、また、伝播距離fに対し、ビーム径の広がり方も異なってしまう。
図15(B)は、上記式(4)であるφ1>φ2>φ3を満たし、上記式(14)を満たすλ1/w1≒λ2/w2≒λ3/w3≒4.3×1e−3となるように設計した画像表示装置400の結果である。図14(B)からも理解できるように、上記式(5)、(14)を満たしていることから、投影面13上でのビーム径を略一致させ、また、伝播距離fに対し、ビーム径の広がり方もほぼ同様とすることができる。従って、投影面13上に投影された画像は、色むらやにじみの少ない画像とすることができる。
4、5、6、21、22、23 カップリングレンズ
7 光路合成手段
11 MEMSミラー
12 投影レンズ
13 投影面
14 ミラーの反射面
18 集光レンズ
19 制限部
Claims (6)
- それぞれが、波長λn(ただし、n=1、・・・、Nであり、Nは3以上の整数であり、λ1・・・>λn・・・>λN)のレーザー光を出射するN個の光源と、
前記光源からのレーザー光をカップリングし、平行光とするカップリングレンズと、
前記レーザー光の光路を1つに合成する光路合成手段と、
1つの光路に合成された前記平行光を収束光とする集光レンズと、
前記収束光を走査する回動ミラーと、
前記回動ミラーの反射光を投影面上に投射する投影レンズと、を備えた画像表示装置において、
前記投影レンズから出射された光束のビームウエストの径を、波長λnのレーザー光のビームウエスト径をwnとしたとき、
w1・・・>wn・・・>wN
であることを特徴とする画像表示装置。 - 前記集光レンズに入射する前記波長λnの平行光のビーム径ψnを、
ψ1・・・>ψn・・・>ψN
とする制限部を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 前記投影レンズから出射された前記光束Bnについてビームウエストが形成され、このビームウエストでのビーム径wnは、w1・・・>wn・・・>wNであることを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。
- 前記投影レンズから出射された光束のビームウエストでのビーム径wnは、
λ1/w1・・・≒λn/wn・・・≒λN/wNであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の画像表示装置。 - 前記制限部は、複数の領域からなるダイクロイックフィルタにより形成されることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
- 前記制限部は、複数の領域からなる回折格子により形成されることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
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