JP5470021B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、構造物に設置されて構造物に伝達された振動を制御する制振装置に関する。
従来、地震動や原動機などによる振動が構造物に伝達した際に、構造物の振動を制御する制振装置が研究、開発されている。
制振装置には、代表的なものに、鋼材が塑性変形する際のエネルギー吸収を利用したものや、粘性体の抵抗によるエネルギー吸収を利用したものなどが挙げられる。
また、TMD(Tuned Mass Damper)のように構造物に質量要素を取り付け、バネ要素とダンパー要素とを調整して構造物の振動エネルギーを減衰させる制振装置が提案されている。実際に、TMDは建築構造物の風揺れや居室内の上下振動を減衰させ居住性を向上させることを目的として多く実施されている。さらに、近年では制振装置の省スペース化や低コスト化も実施されている。
例えば、特許文献1には、半径の異なる一対の同軸回転体を質量体(質量要素)に取り付け、入力された振動に合わせて移動する質量体の大径同軸回転体を回転ガイドにて回転させ、弾性体(バネ要素)が設置されている制振紐体を同軸の小径同軸回転体で巻き取るようにしている振幅拡大振動制御装置が開示されている。この振幅拡大振動制御装置では、一対の同軸回転体の移動量の違いにより、質量要素の移動に対してバネ要素の伸縮量が少なくてよいので、バネ定数の大きなバネ要素を使用でき、装置をコンパクトにすることができる。
また、特許文献2には、質量体(質量要素)に制振対象物の固有周期が短いほうの変位を取り出す変位抽出手段と、この変位抽出手段の変位量が第1変位伝達部材を介して伝達されて回転量に変換される回転体と、回転体の回転量が第2変位伝達部材を介して伝達されるバネ部材(バネ要素)とが設けられて、バネ要素およびこのバネ要素への変位伝達機構をコンパクトにまとめた制振装置が開示されている。
また、特許文献3には、構造物の揺れと逆方向に揺らされる可動質量体(質量要素)の揺れが、てこを介して減衰手段(ダンパー要素)に伝えられる制振装置が開示されている。この制振装置では、比較的大きな揺れがてこを介して小さな揺れに変換されるため、ダンパー要素に一般に市販されているダンパーを使用することができる。
特許文献1乃至3に示すような質量要素を利用した制振装置では、質量要素、バネ要素およびダンパー要素の特性を制御対象構造物の特性に合わせて調整している。
特開2001−254774号公報 特開2002−48187号公報 特開2003−227540号公報
TMDのような質量要素を利用する制振装置では、質量要素、バネ要素およびダンパー要素の特性を制御対象構造物の特性に合わせて調整する必要がある。そして、制御対象構造物が、例えば内部に物が収容された収納棚やサーバーラックなどで、収容される物の入れ替えなどにより構造物全体の重量変化が頻繁に行われる場合には、この重量変化により構造物の振動特性が変化するので、構造物の重量変化と共に頻繁に制振装置の調整を行わなければならない。そして、制振装置の構造が複雑であると、制振装置の調整に労力を要することになる。
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、制御対象構造物の重量が変化した際に、重量変化にあわせてバネ要素およびダンパー要素を容易に調整できる制振装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る制振装置は、構造物に設置されて前記構造物に伝達した振動を制御する制振装置であって、前記構造物に水平方向へ移動可能に保持された質量要素と、前記構造物と前記質量要素とを連結可能な複数のバネ要素と、前記構造物と前記質量要素とを連結可能な複数のダンパー要素と、前記質量要素を振動させる起振部と、前記起振部で前記質量要素を振動させて前記構造物の振動特性を計測する計測部と、計測された前記構造物の振動特性から最適バネ剛性とダンパー粘性係数とを算定する計算部とを備え、前記複数のバネ要素およびダンパー要素は、それぞれ前記構造物と前記質量要素との連結と解除とを選択可能であり、前記複数のバネ要素および前記ダンパー要素は、上部が前記質量要素と連結していて、下部には下方に開口する凹部が形成されていて、前記凹部の下側には上方に突出し前記構造物に支持されて上下方向に移動可能な凸部が設けられ、前記凹部に前記凸部が挿入されることで前記バネ要素およびダンパー要素が前記構造物と連結することを特徴とする。
本発明では、構造物に水平方向へ移動可能に保持された質量要素と、構造物と質量要素とを連結可能な複数のバネ要素と、構造物と質量要素とを連結可能な複数のダンパー要素とを備えることにより、地震動や原動機などによる振動が構造物に伝達した際に、質量要素が構造物の振動と反対方向に振動し構造物の振動を低減させている。
そして、起振部で質量要素を人為的に振動させて構造物の振動測定を計測部で計測し、構造物が振動した際にその振動を制御するために最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を計算部で算定することができるので、構造物の重量の変化した場合にもその構造物に最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を容易に算定することができる。
そして、複数のバネ要素およびダンパー要素は、それぞれ構造物と質量要素との連結と解除とを選択可能であることにより、複数のバネ要素およびダンパー要素から、構造物と質量要素とを連結するバネ要素およびダンパー要素と、構造物と質量要素とを連結しないバネ要素およびダンパー要素とを決定することで、所定のバネ剛性およびダンパー粘性係数に調整できて、構造物の重量が変化して振動特性が変化した場合にも、構造物の重量の変化に合わせて質量要素の振動特性を設定することができる。
また、複数のバネ要素およびダンパー要素は、上部が質量要素と連結していて、下部には下方に開口する凹部が形成されていて、凹部の下側には上方に突出し構造物に支持されて上下方向に移動可能な凸部が設けられ、凹部に凸部が挿入されることでバネ要素およびダンパー要素が構造物と連結することにより、凸部を凹部に挿入するかしないかで、構造物と質量要素とを連結するバネ要素およびダンパー要素と、構造物と質量要素とを連結しないバネ要素およびダンパー要素とを設定することができる。
また、本発明に係る制振装置では、前記起振部、計測部および計算部は、脱着可能であってもよい。
本発明では、起振部、計測部および計算部は、脱着可能であることにより、計測時以外の制振装置の形状をコンパクトにすることができる。
また、本発明に係る制振装置では、前記質量要素、前記バネ要素および前記ダンパー要素は、前記構造物に設けられた箱状または角筒状の収納部に収容されていて、前記収納部には、内部上面に固定されて水平方向に延在する第一のレールと、前記第一のレールに前記水平方向に移動可能に保持されたガイドと、前記水平方向と異なる他の水平方向に延在し前記ガイドに前記他の水平方向に移動可能に保持された第二のレールとが設けられ、前記質量要素は前記第二のレールに固定されていることが好ましい。
本発明では、収納部には、内部上面に固定されて水平方向に延在する第一のレールと、第一のレールに水平方向に移動可能に保持されたガイドと、水平方向と異なる他の水平方向に延在しガイドに前記他の水平方向に移動可能に保持された第二のレールとが設けられ、質量要素は第二のレールに固定されていることにより、質量要素は構造物に水平方向へ移動可能に保持された状態とすることができる。
また、本発明に係る制振装置では、前記複数のバネ要素には異なるバネ剛性のバネ要素が混在し、前記複数のダンパー要素には異なるダンパー粘性係数のダンパー要素が混在することが好ましい。
本発明では、複数のバネ要素には異なるバネ剛性のバネ要素が混在し、前記複数のダンパー要素には異なるダンパー粘性係数のダンパー要素が混在することにより、複数のバネ要素には異なるバネ剛性のバネ要素が混在し、複数のダンパー要素には異なるダンパー粘性係数のダンパー要素が混在することになる。そして、構造物と質量要素とを連結するバネ要素およびダンパー要素と、構造物と質量要素とを連結しないバネ要素およびダンパー要素との組み合わせにより、多種類の振動特性を有する構造物に対応することができる。
また、本発明に係る制振装置では、前記バネ要素および前記ダンパー要素は一体に成形されてなる粘弾性体であることが好ましい。
本発明では、バネ要素およびダンパー要素は一体に成形されてなる粘弾性体であり、粘弾性体がバネ要素およびダンパー要素を兼ねるので、バネ要素およびダンパー要素の設置が容易で、簡易な形状とすることができる。
本発明によれば、構造物が振動した際にその振動を制御するために最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を構造物の重量の変化に合わせて算定し、複数のバネ要素およびダンパー要素から構造物と質量要素とを連結するバネ要素およびダンパー要素と、構造物と質量要素とを連結しないバネ要素およびダンパー要素とを決定することで、構造物の重量が変化した場合にも、最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数に調整することができるので、高い制振効果を保持することができる。
(a)は本発明の第一の実施の形態による制振装置の一例を示す図で(b)のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 本発明の第二の実施の形態による制振装置の概要を示す模式図である。 (a)は本発明の第一の実施の形態による制振装置が設置されていないサーバーラックを示す図、(b)は本発明の実施の形態による制振装置が設置されたサーバーラックを示す図である。 シミュレーションにおける制振装置の詳細を示す図である。 図3(a)に示すサーバーラックの周波数特性を示す図である。 図3(b)に示す制振装置を設置したサーバーラックの周波数特性を示す図である。 図3(b)に示す制振装置を設置したサーバーラックの総重量が変化した場合の周波数特性を示す図である。 調整後の制振装置の詳細を示す図である。 調整後の制振装置を設置したサーバーラックの周波数特性を示す図である。 構造物の重量とバネ剛性の最適値の関係を示す図である。 構造物の重量とダンパー粘性係数の最適値の関係を示す図である。 バネ剛性の最適値とダンパー粘性係数の最適値の関係を示す図である。
以下、本発明の第一の実施の形態による制振装置について、図1(a)、(b)に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、第一の実施の形態による制振装置1Aは、サーバーラックなどの構造物30の上部に固定された箱状の収納部2と、収納部2内部の上面2aに水平方向に移動可能に保持された付加錘(質量要素)3と、付加錘3の下部に複数設けられた粘弾性体(バネ要素およびダンパー要素)4と、収納部2内部の底面2bに設けられて各粘弾性体4と連結可能な制御ユニット5と、付加錘3を人為的に振動させる起振部6と、付加錘3が起振部6によって振動している状態で構造物30の振動特性を計測する計測部7と、計測部7によって計測された構造物30の振動特性を基に、構造物30が振動した際にその振動を制御するために粘弾性体4に必要なバネ剛性およびダンパー粘性係数を計算する計算部8とから概略構成される。
図1(a)および(b)に示すように、収納部2内部の上面2aには、一の水平方向h1に延在する一対の第一のレール11が設けられていて、第一のレール11には第一のレール11に沿って水平方向h1に移動可能なガイド12(図1(a)参照)がそれぞれ2つずつ設けられている。
ガイド12は、一の水平方向h1に直交する水平方向h2(図1(b)参照)へ延在する一対の第二のレール13を水平方向h2に移動可能に保持している。第二のレール13はガイド12と共に水平方向h2に移動可能である。
付加錘3は、その面方向を水平方向とする平板状の部材で、一対の第二のレール13に固定されている。このような付加錘3は、第二のレール13と共に水平方向h2に移動可能であり、ガイド12および第二のレール13と共に水平方向h1への移動が可能である。
粘弾性体4は、水平方向に弾性変形可能であるが、鉛直方向にはほとんど変形しない部材に形成されていて、粘弾性体4自体の変形や変形速度によって抵抗力を発揮し、バネ要素およびダンパー要素の機能を果たしている。
粘弾性体4は、その上面が付加錘3の下面に連結されていて、その下面には下方側に開口した凹部18を有する板部材17が連結されている。付加錘3と板部材17とが水平方向に相対変位すると、付加錘3と板部材17との間に設置された粘弾性体4は水平方向に弾性変形する。
複数の粘弾性体4には、異なる形状の粘弾性体4が混在している。特に水平面の面積が異なる粘弾性体4が混在している。
なお、粘弾性体4に代わって高減衰ゴムを設置し、高減衰ゴムがバネ要素およびダンパー要素の機能を果たしていてもよい。
図1(a)に示すように、制御ユニット5は粘弾性体4の下方に位置しており、凹部18に対応する位置に設けられた可動凸部19と、可動凸部19を支持する可動凸部支持部20とから構成される。
可動凸部19は可動凸部支持部20の上面20aから突出していて、鉛直方向に伸縮、または移動し、凹部18に先端側を挿入可能である。可動凸部19は、可動凸部支持部20によって水平方向の変位が拘束されている。
そして、板部材17は、凹部18に可動凸部19が挿入されると、水平方向の変位が拘束される。また、板部材17は、凹部18に可動凸部19が挿入されていないと、付加錘3および粘弾性体4と共に、収納部2の上面2aから吊り下げられた状態となる。
可動凸部19は、各板部材17の凹部18に対して設置されており、各可動凸部19を凹部18に挿入するかどうかは個々に設定することができる。
以下、凹部18に可動凸部19が挿入された板部材17と連結した粘弾性体4を第一の粘弾性体4Aとし、凹部18に可動凸部19が挿入されていない板部材17と連結した粘弾性体4を第二の粘弾性体4Bとする(図1(a)参照)。
起振部6は、制振装置1Aの設置された構造物30の振動特性を測定する際に使用される。起振部6は、振動発生装置21と振動発生装置から発生した振動を付加錘3に伝達する伝達部材22とを備えている。伝達部材22は、例えば、棒状の部材などで、一方の先端が起振部6と連結し、構造物30の振動特性を測定する時のみ他方の先端が伸びて付加錘3と接触するように設けられている。
付加錘3には、伝達部材22が接触して振動を伝達させやすいように、伝達部材22の他方の先端の形状にあわせて接触面3aを設けてもよい。なお、起振部6は測定時のみに構造物30設置されてもよく、収納部2から取り外し可能な構造としてもよい。
計測部7は、起振部6によって付加錘3が振動している状態において、構造物30の振動特性を測定する。計測部7は起振部6と通信可能な構成としてもよい。
計算部8は、計測部7と通信しており、構造物30の振動特性をもとに、制振装置1Aの最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を計算する。そして、計算部8は、複数の粘弾性体4を第一の粘弾性体4Aとするか、第二の粘弾性体4Bとするか決定する。最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数は、構造物30に振動が伝達した場合に、付加錘3が変位し構造物30の振動を打ち消すことができる値とする。
このとき、複数の粘弾性体4は、形状が同一でないので、その組み合わせにより多種類のバネ剛性およびダンパー粘性係数を実現することができる。
なお、計測部7および計算部8についても起振部6と同様に取り外し可能な構造とし、計測時、計算時および可動凸部19の移動時のみに収納部2に設置してもよい。
次に、上述した第一の実施の形態による制振装置1Aの振動特性の調整方法について説明する。
まず、構造物30の上部に制振装置1Aを設置し、構造物30がサーバーラックなどで使用時に内部に収容物を設置する場合には、内部に収容物を設置し使用時と同じ状態とする。また、制御ユニット5の可動凸部19のいくつかは、凹部18に挿入されている状態とする。
そして、起振部6を作動させて付加錘3に人為的に所定の振動を与える。このとき、計測部7によって構造物30の固有周期などの振動特性を測定する。
計測部7によって計測された振動特性が計算部8に通信され、計算部8によって構造物30が振動した際にその振動を制御するために必要なバネ剛性およびダンパー粘性係数を計算し、複数の粘弾性体4のうち第一の粘弾性体4Aとするものと第二の粘弾性体4Bとするものとを分別する。なお、全ての粘弾性体4を第一の粘弾性体4Aとしてもよい。
ここで、複数の粘弾性体4には、異なる形状の粘弾性体4が混在しているので、複数の粘弾性体4の中には異なるバネ剛性およびダンパー粘性係数を有する粘弾性体が混在していることになる。
そして、第一の粘弾性体4Aと第二の粘弾性体4Bとの組み合わせにより、多種類のバネ剛性およびダンパー粘性係数を実現することができる。
そして、第一の粘弾性体4Aとなる粘弾性体4と連結された板部材17の凹部18に制御ユニット5の可動凸部19を挿入する。
なお、採用する粘弾性体4への可動凸部19の挿入は、計算部8のデータが制御ユニット5に通信されて、可動凸部支持部20によって自動的に可動凸部19を凹部18に挿入させてもよいし、手動で挿入してもよい。
次に、上述した第一の実施の形態による制振装置1Aの動作について図面に基づいて説明する。
地震などにより構造物30に振動が伝達し、構造物30が水平方向に振動すると、収納部2と収納部2に固定された第一のレール11が水平方向に振動する。このとき、ガイド12は、第一のレール11に水平方向h1へ移動可能に保持されているので、第一のレール11から水平方向h1の振動は伝達されず、水平方向h2の振動が伝達される。
また、第二のレール13は、ガイド12に水平方向h2へ移動可能に保持されているので、ガイド12から水平方向h2の振動は伝達されないことになる。よって、第二のレール13に固定された付加錘3には、構造物30の水平方向h1、h2の振動が上側から伝達されないことになる。
また、構造物30が水平方向に振動すると、収納部2および制御ユニット5を介して、第一の粘弾性体4Aに構造物30の振動が伝達され、第一の粘弾性体4Aから付加錘3に振動が伝達される。
このとき、第一の粘弾性体4Aによって構造物30が振動した際にその振動を制御するために必要なバネ剛性およびダンパー粘性係数が設定されているので、付加錘3の振動によって構造物30の振動を減衰させることができる。
次に、上述した第一の実施の形態による制振装置1Aの効果について図面に基づいて説明する。
上述した本実施の形態による制振装置1Aでは、構造物30の重量の変化に応じて、バネ剛性およびダンパー粘性係数を調整することができるので、構造物30の重量変化にあわせた制振効果を実現することができる。
次に、第二の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図2に示すように、第二の実施の形態による制振装置1Bは、図1に示す第一の実施の形態の粘弾性体4に代わって、バネ要素部41とダンパー要素部42とを個別に備えている。
バネ要素部41は、バネ要素41aとバネ要素調整部41bとからなり、バネ要素41aは構造物30と付加錘3とを連結可能である。バネ要素調整部41bは、計算部8によって算定された構造物30が振動した際にその振動を制御するために必要なバネ剛性に基づいてバネ要素41aのバネ剛性を調整する。
ダンパー要素部42は、ダンパー要素42aとダンパー要素調整部42bとからなり、ダンパー要素42aは構造物30と付加錘3とを連結可能である。ダンパー要素調整部42bは、計算部8によって算定された構造物30が振動した際にその振動を制御するために必要なダンパー粘性係数に基づいてダンパー要素42aのダンパー粘性係数を調整する。
バネ要素調整部41bおよびダンパー要素調整部42bは、計算部8と通信可能な構成としてもよい。
なお、図示しないが、付加錘3は第一の実施の形態と同様に水平方向に移動可能に収納部2に保持されている。
第二の実施の形態による制振装置1Bでは、バネ剛性とダンパー粘性係数を個別に設定することができるので、構造物30の振動特性に合わせてより詳細に制振性能を調整することができる。
次に、第一の実施の形態による制振装置1Aを設置した構造物と制振装置を設置していない構造物に振動を与え、各構造物の絶対加速度応答倍率を確認するシミュレーションを行った。
構造物はサーバーラックとし、図3(a)に制振装置が設置されていないサーバーラック31を示し、(b)に制振装置1Aを設置したサーバーラック32のモデルを示す。なお、サーバーラック31の減衰定数は3%とする。
サーバーラック31、32は、収容物を含む総重量が500kgfであり、収容物が積載された状態の固有振動数は5Hzである。制振装置の詳細を図4に示す。
制振装置1Aが設置されていないサーバーラック31は、図5に示すように、伝達された振動に共振し、応答倍率が増大していることがわかる。
しかし、制振装置1Aを備えるサーバーラック32は、図6に示すように、伝達された振動を減衰させ、応答倍率を抑えていることがわかる。
次に、制振装置1Aが設置されたサーバーラック32の収容物が変化し、サーバーラック32の総重量が500kgfから300kgfに変更された場合を想定する。
図7に示すように、サーバーラック32の総重量が変化したことにより、応答倍率の最大値が増大することがわかる。
そこで、制振装置1Aを再調整し、図8に示すような条件とした。制振装置1Aを調整したことにより、図9に示すように応答倍率を小さくすることができ、振動特性を改善することができる。
上記のことから、サーバーラック32などの構造物の重量が変化し、構造物の振動特性が比較的高い頻度で変化する場合、制振装置1Aは、バネ剛性およびダンパー粘性係数を自動的あるいは簡易に再調整することができるので、高い制振効果を確保することができる。
次に、制振装置の最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を算出し、最適なバネ剛性とダンパー粘性係数との関係について説明する。
図10に構造物の重量と制振装置の最適なバネ剛性の関係を示し、図11に構造物の重量と制振装置の最適なダンパー粘性係数の関係を示す。図12には最適なバネ剛性とダンパー粘性係数の関係を示す。
制振装置の最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数の算出において、制振装置のバネ剛性とダンパー粘性係数は、Den Hartogらにより提案された定点理論(Mechanical Vibrations,4th ed.,Dover,New York,1985)に基づき、下記の式により算出している。
Figure 0005470021
Mは構造物の質量、Kは構造物の剛性、mは付加錘の質量、kは付加錘のバネの剛性、cは付加錘のダンパーの粘性係数、μはmとMの比(=m/M)を表わす。
なお、制振装置のバネ剛性とダンパー粘性係数の算出は、必ずしも上記の式を用いる必要はなく、例えば数理計画法を用いた最適値に基づいて設定してもよい。この場合、制御対象構造物の周波数特性のみならず、構造物の構造特性の考慮、与えられた条件化での各種地震時応答値の制御も可能となる。
図10、図11より、構造物の重量の増加に伴い、最適なバネ剛性とダンパー粘性係数は小さくなることがわかる。また、図12より、最適なバネ剛性とダンパー粘性係数の関係は、ほぼ線形の比例関係にあることがわかる。
バネ剛性とダンパー粘性係数が線形関係であることにより、バネとダンパーが並列にモデル化される材料、例えば、住友3M−VEM(商品名)や高減衰ゴム等を用いてその有効な量を制御することで、目標とするバネ剛性とダンパー粘性係数に近い特性を比較的容易に得ることが可能となる。
以上、本発明による制振装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、複数の粘弾性体4は形状が異なるが、同じ形状の粘弾性体4を複数設けて、制振装置1A、1Bのバネ剛性およびダンパー粘性係数を調整してもよい。
また、上記の実施の形態では、収納部2は箱状に形成されているが、角筒状など他の形状に形成されていてもよい。
また、上記の実施の形態では、計算部8は、構造物30の振動特性をもとに最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を算出しているが、構造物30の設置された建物の振動特性も考慮して最適なバネ剛性およびダンパー粘性係数を算出してもよい。
1A、1B 制振装置
2 収納部
3 付加錘(質量要素)
4 粘弾性体(バネ要素、ダンパー要素)
6 起振部
7 計測部
8 計算部
11 第一のレール
12 ガイド
13 第二のレール
18 凹部
19 可動凸部
41a バネ要素
42a ダンパー要素

Claims (5)

  1. 構造物に設置されて前記構造物に伝達した振動を制御する制振装置であって、
    前記構造物に水平方向へ移動可能に保持された質量要素と、
    前記構造物と前記質量要素とを連結可能な複数のバネ要素と、
    前記構造物と前記質量要素とを連結可能な複数のダンパー要素と、
    前記質量要素を振動させる起振部と、
    前記起振部で前記質量要素を振動させて前記構造物の振動特性を計測する計測部と、
    計測された前記構造物の振動特性から最適バネ剛性とダンパー粘性係数とを算定する計算部とを備え、前記複数のバネ要素およびダンパー要素は、それぞれ前記構造物と前記質量要素との連結と解除とを選択可能であり、
    前記複数のバネ要素および前記ダンパー要素は、上部が前記質量要素と連結していて、下部には下方に開口する凹部が形成されていて、前記凹部の下側には上方に突出し前記構造物に支持されて上下方向に移動可能な凸部が設けられ、前記凹部に前記凸部が挿入されることで前記バネ要素およびダンパー要素が前記構造物と連結することを特徴とする制振装置。
  2. 前記起振部、計測部および計算部は、脱着可能であることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記質量要素、前記バネ要素および前記ダンパー要素は、前記構造物に設けられた箱状または角筒状の収納部に収容されていて、前記収納部には、内部上面に固定されて水平方向に延在する第一のレールと、前記第一のレールに前記水平方向に移動可能に保持されたガイドと、前記水平方向と異なる他の水平方向に延在し前記ガイドに前記他の水平方向に移動可能に保持された第二のレールとが設けられ、前記質量要素は前記第二のレールに固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の制振装置。
  4. 前記複数のバネ要素には異なるバネ剛性のバネ要素が混在し、前記複数のダンパー要素には異なるダンパー粘性係数のダンパー要素が混在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制振装置。
  5. 前記バネ要素および前記ダンパー要素は一体に成形されてなる粘弾性体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の制振装置。
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