JP5469970B2 - 地震リスク評価システム - Google Patents

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ここに開示する技術は、地震リスク評価システムに関する。
近年、地震が発生した際の構造物のリスクを評価する地震リスク評価に対する社会的要請が高まりを見せている。リスク評価方法としては、(1)地震による構造物の損傷の定量化、(2)その結果を用いた地震リスクの評価、の2つのプロセスに大別することができる。前記の(1)のプロセスとしては、例えば、震動台を用いて、実試験により構造物の損傷の程度を定量化することも考えられるが,その場合には、膨大な時間及びコストがかかってしまう。
例えば特許文献1には、地震発生時の建物内における被害状況を評価する方法として、予め設定した地震動データ、それに対する建物各階の応答データ、建物内に設置された設置物の諸元や条件等の設置物データ等に基づいて、設置物の移動確率や転倒確率を算出し、その算出した移動確率等に基づいて、被害状況を評価するシステムが開示されている。
特開2007−109107号公報
ところで、新医薬品の製造販売の承認を受けるには、その「有効性」、「安全性」及び「品質」を裏づけるための試験成績資料を厚生労働省に提出する必要があり、この内、「品質」を裏付けるための試験の一つとして、長期安定性試験がある。この長期安定性試験は、医薬用検体を、予め決められた恒温恒湿状態を保つ室内に、長期間収めて維持、保管をする試験である。この試験では、恒温恒湿状態が、一度でも許容範囲外になり、検体に影響が生じたことが否めない場合には、その医薬用検体が使用不可になることは勿論のこと、それまでに長期に亘って計測した実験データも全く使用することができないという、非常に厳しい要求が課せられている。このような長期に亘る試験であることから、長期安定性試験の実施者及び安定性試験室の製造メーカとしては、地震発生時のリスクを適切に評価すると共に、例えばリスクを回避するような対策を事前に施したいという要求がある。
一方で、昨今の設計・開発のリードタイム短縮化の動きや、製品開発時における設計変更への迅速な対応等の観点から、安定性試験室のリスク評価に膨大な時間及びコストをかけることは実際上、困難であり、簡易で、しかも高い信頼性を有するリスク評価が求められている。
例えば前記特許文献1に開示されたリスク評価手法は、振動台を用いずに簡易に評価を行い得るという利点がある。しかしながら、特許文献1に開示されたリスク評価手法は、例えば地震発生時に構造物に作用する荷重の大きさや、構造物の耐力(強度)は確定量であるとして転倒確率等の算出を行っている。しかしながら実際には、構造物に作用する荷重の大きさにはばらつきがあり、またその構造物の耐力(例えば強度)等についてもばらつきがあることから、これらのばらつきを考慮しない特許文献1の評価手法は、信頼性の点で劣る。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々の評価対象についての地震リスク評価を、簡易に、しかも高い信頼性で行うことにある。
本願発明者らは、前記の目的に鑑みて、荷重のばらつきや強度のばらつきを考慮すべく、信頼性工学に基づく確率論的な手法を用いるようにし、そのことにより、構造物の損傷が発生する確率を定量化して、振動台等を用いない簡易な評価としつつも、高い信頼性を確保するようにした。
ここに開示する地震リスク評価システムは、所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムである。システムは、ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、各種情報を記憶する記憶部、及び、前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備える。
前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶している。また、前記演算処理部は、前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出する。
前記演算処理部はまた、前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出する。そうして、前記演算処理部は、前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力する。
この構成では、解析対象物に設計用入力波形が入力されたときの、換言すれば地震動が入力されたときの応答出力を算出すると共に、その応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性との内の、少なくとも応答出力を確率変数として、解析対象物に損傷モードが発生する確率を算出する。ここで、解析対象物の耐力に関連する特性には、例えば当該解析対象物の材料特性(せん断強度や曲げ強度、後述する初通過破壊に関係する)及び最大静止摩擦係数(後述する滑動に関係する)が含まれる。
つまり、演算処理部は、応答出力にばらつきを有する、又は、応答出力と、材料特性や最大静止摩擦係数との双方にばらつきを有するとして損傷確率を算出する。
こうして、応答出力(及び耐力に関連する特性)のばらつきを考慮した、確率論的な手法により算出した損傷確率と影響度の情報とに基づいて、リスク評価を行うことで、リスク評価を定量的に行い得る。このことは、リスク評価の信頼性を高め得る。
また、振動台等を用いないことで、地震リスク評価を簡易かつ短時間で行い得る。
前記演算処理部は、単一回の地震動に起因する損傷モードとして、初通過破壊、滑動、及び転倒の内の少なくとも1つの損傷モードの発生確率を算出する、としてもよい。
こうすることで、地震発生時の解析対象物の損傷の発生を適切に評価して、地震リスク評価の信頼性が高まる。ここで初通過破壊としては、対象物に作用するせん断力がせん断強度を超えることによる破壊、及び、対象物に作用する曲げの力が曲げ強度を超えることによる破壊を含むとし、滑動(地震時に入力地震力を受けることによって、対象物が元の場所から移動をする現象)としては、地震外力が最大静止摩擦力を上回ったときに、対象物が滑動した、としてもよく、また、転倒(地震時に入力地震力を受けることによって、対象物がある支点を中心として回転運動をする現象)としては、静的加速度を用いた判定条件を利用してもよい。
前記演算処理部は、複数回の地震動に起因する損傷モードとして、累積損傷破壊の発生確率を算出する、としてもよい。
こうすることで、地震発生時の解析対象物の損傷の発生を適切に評価して、地震リスク評価の信頼性が高まる。ここで、累積損傷破壊は疲労破壊と考えてもよく、その寿命評価は、後述する累積損傷度の概念を用いて行ってもよい。
また前記演算処理部が、単一回の地震動に起因する損傷モードと複数回の地震動に起因する損傷モードとに分けて損傷確率を算出するは、地震リスク評価の信頼性をさらに高め得る。
前記演算処理部は、リスク評価として、各解析対象物についての損傷の発生確率と影響度とを含むFMEAワークシートを作成し、地震発生時に、前記評価対象の損傷を生じ得るイベントの発生プロセスを、イベントツリー解析と前記FMEAワークシートとの組み合わせによって解析して、前記イベントの発生確率及び当該イベント発生による影響度を算出する、としてもよい。
評価対象が損傷を受け得るイベントは、一つの解析対象物が損傷モードを生じることにより、及び/又は、複数の解析対象物の損傷モードが組み合わされることによって、発生し得る。イベントツリー解析とFMEAワークシートとの組み合わせにより、評価対象が損傷に至るまでのプロセスが明確化されて、イベントの発生確率(換言すれば、評価対象の損傷発生確率)及びそれによる影響度が、それぞれ定量化される。
前記演算処理部は、前記イベントの発生確率を震度階級毎に算出すると共に、前記イベントの発生確率、当該イベント発生による影響度及び震度階級の3つのパラメータを含むリスクマトリックスを作成し、これを前記出力部を通じて出力する、としてもよい。
このリスクマトリックスによって、発生確率と影響度との、リスクを構成する2つの影響を考慮したリスク評価が可能になる。
前記記憶部は、前記解析対象物が設置されている床面の定常振動の時刻歴加速度データの計測値と、地震動の経時特性を示す所定の関数と、を記憶しており、前記演算処理部は、前記計測値と前記関数とを組み合わせた波形を作成すると共に、前記入力部を通じて設定入力された震度階級に応じて、前記波形の振幅を増幅することによって、前記設定入力された震度階級に対応する、前記設計用入力波形を作成する、としてもよい。
こうすることで、簡易にかつ、精度良く、設計用入力波形を作成し得る。
前記評価対象は、所定の検体の保存安定性を試験するための環境試験装置である、としてもよい。
以上説明したように、前記の地震リスク評価システムは、解析対象物の応答出力(及び耐力に関連する特性)のばらつきを考慮して、確率論的な手法により算出した損傷確率と、解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づいて、評価対象のリスク評価を行うことで、リスク評価を定量的に行い得るようになり、リスク評価の信頼性を高め得る。また、振動台等を用いないことで、地震リスク評価が簡易になる。
地震リスク評価手順を概略的に示すフローチャートである。 地震リスク評価システムの構成を示すブロック図である。 地震リスク評価システムが有する機能ブロックを示す図である。 設計用入力波形の作成手順を示すフローチャートである。 時刻歴応答解析の手順を示すフローチャートである。 初通過破壊の発生確率を算出する手順(単一シナリオ地震に関する評価手法)を示すフローチャートである。 滑動の発生確率を算出する手順を示すフローチャートである。 転倒の発生確率を算出する手順を示すフローチャートである。 P−S−N曲線の概念図である。 累積損傷破壊の発生確率を算出する手順を示すフローチャートである。 各イベントの発生確率の例を示す図である。 Seismic P−FMEAのワークシートの一例を示す図である。 リスク抽出表の一例である。 S−P−FMEAとETとの関係を示す図である。 リスクマトリックスの一例を示す図である。
以下、地震リスク評価システムの実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1は、地震リスク評価の概略的な手順を示すフローチャートである。この実施形態では、医薬品の長期安定性試験を行う試験室に係る地震リスク評価を例に説明をする。但し、リスク評価の対象は長期安定性試験室に限定されるものではない。ここに開示する地震リスク評価手法は、様々な対象の地震リスク評価に適用することが可能である。
この評価手法の手順において、最初のステップS11では、例えば、リスク評価の対象の決定、を含む、リスク評価の機能要求を決定する。この機能要求には、決定した機能要求に基づいて、リスクの評価対象に関連する機器や配管等の解析対象物の選定も含まれる。
続くステップS12では、解析対象物の地震時の振動応答を解析する上で必要となる、設計用入力波形を作成する。この設計用入力波形は、地震動に起因して解析対象物に入力される振動外力であり、後述するように、この地震リスク評価手法では、解析対象物の振動解析として、時刻歴応答解析を採用することから、設計用入力波形として、時刻歴波形を作成する。尚、詳細は後述するが、この設計用入力波形の作成ステップS12は、解析対象物が設置される床面の振動を決定するステップ(S121)と、地震動を決定するステップ(S122)とを含む。
設計用入力波形が作成されれば、続くステップS13で、解析対象物の応答解析及び固有値解析を行う。ここでの振動解析は、FEM(Finite Element Method:有限要素法)を用いて時刻歴応答解析を行う。このステップS13には、解析対象物のFEMモデルを作成するステップ(S131)と、解析対象物の応答解析を行うステップ(S132)とが含まれる。
解析対象物の応答解析が完了すれば、その結果に基づいて、損傷モード別の評価を行う(ステップS14)。詳しくは後述するが、このステップS14では、複数の損傷モードを設定しており(ステップS141)、各解析対象物について、予め設定した各損傷モードの評価式に従って損傷モードの発生確率を算出する(ステップS142)。
損傷モード別の評価が完了すれば、その結果に基づいて、評価対象の地震リスク評価を行う(ステップS15)。この地震リスク評価は、ETA(Event Tree Analysis)及びFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)を利用し、算出した各損傷モードの発生確率の評価と影響度評価とを組み合わせることによって行う(ステップS151,S152)。尚、ここでのFMEAは、一般的なFMEAを基に、地震時のリスク評価に特化したSeismic Probability FMEA(S−P−FMEA)とする。
図2は、地震リスク評価システム1(以下、単にシステム1ともいう)の構成の一例を示している。このシステム1は、ユーザが操作を行うことによって、各種の情報をシステム1に対して入力可能なキーボードやポインティングデバイス、及び/又は、各種の計測機器等によって計測した計測値をシステム1に対して入力可能な入力インターフェース等を含んで構成される入力装置11、リスク評価に関する各種の情報等をユーザ(人)が認識可能に出力するディスプレイやプリンタ、及び/又は、各種の情報等を、別のシステムにおいて利用可能に出力する出力インターフェース等を含んで構成される出力装置12、ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の、各種の情報等を読み書き可能に記憶している記憶装置(記憶媒体)13、及び、入力装置11、出力装置12及び記憶装置13のそれぞれに対して信号の入出力可能に接続されて、これらの各装置11〜13からの信号(情報)等に基づいて、地震リスク評価に係る各種の演算等を実行する演算処理装置14(例えばパーソナルコンピュータ)を含んで構成されている。
図3は、システム1が、リスク評価に関して実行する主要な処理を機能ブロックとして示した図であり、このシステム1は、機能ブロックとして、解析条件設定部21と、損傷確率演算部22と、リスク評価部23と、データ記憶部24と、を少なくとも有している。このシステム1では、単一回の地震により解析対象物が損傷を受けるか否かを判断するための単一シナリオ地震評価と、複数回の地震により解析対象物が損傷を受けるか否かを判断するための複数シナリオ地震評価とに分けて、各処理を実行する。
解析条件設定部21は、図1のステップS12及びステップS13に相当する処理を実行する機能ブロックである。
損傷確率演算部22は、図1のステップS14に相当する処理を実行する機能ブロックである。詳しくは後述するが、このシステムは、解析対象物の損傷モードとして、複数の損傷モードを設定しており、損傷確率演算部22は、各損傷モードの発生確率を算出する算出部を、その損傷モード毎に有している(算出部221〜224)。
リスク評価部23は、図1のステップS15に相当する処理を実行する機能ブロックである。
データ記憶部24は、図2における記録装置13に関連する機能ブロックであり、入力装置11の操作等に基づいて入力された情報等を記憶すると共に、解析条件設定部21、損傷確率演算部22及びリスク評価部23からの要求に応じて、記憶している情報を各部21〜23に提供する。以下、図2,3に示す構成のシステム1によって実行される地震リスク評価の各手順について、図を参照しながら説明する。
(評価対象及び解析対象物の選定)
先ずユーザは、地震リスク評価を行う評価対象を決定する。ここでは、前述したように、医薬用検体の長期安定性試験及びその安定性試験室(安定性試験システム)を評価対象とする。
評価対象を決定すれば、ユーザは、その評価対象に関係する解析対象物を選定する。安定性試験室は複数の構成機器を組み合わせて構成されており、具体的には図12に示すように、大別して、恒温恒湿試験室(単に試験室ともいう)、試験室に水を供給するための製水室、及び、試験室に電力を供給するための発電室を含んでいる。この例において、試験室は建屋の1階に、製水室及び発電室は建屋の2階に、それぞれ設けられている。
試験室は、その室内に、検体保管用ラック、温湿感応センサ、及び保管容器を含み、その室外に、試験室を固定する上部固定部及び下部固定部を含んでいる。また、試験室を制御するためのコントロールユニットとして、電気伝導率メータ、補強板、純水装置、配電盤、ゲージ管、配管(1)、配管(2)、及び配管(3)をそれぞれ含み、安定性試験に係る各種のデータを計測する計測システムとして、キャビネットラック、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)、サーバー、警報ボックス、データロガーを含んでいる。製水室は、純水ユニットを有し、その純水ユニットは、純水タンク、ろ過装置、及びブースターを含んでいる。発電室は、発電設備として発電機を含んでいる。
こうして、評価対象である恒温恒湿試験室に関係する機器や配管等(小分類)を選定すれば、地震発生時に損傷を受け得る損傷要素を選定することが可能になる。損傷要素には、その小分類に係る本体(例えば保管用ラック、純水タンク等)、固定用ねじ(例えば保管用ラックを固定するねじ等)、及び、把持チェーン(例えば純水タンクを支持する把持チェーン)が含まれる。これらの損傷要素が損傷モードの発生確率を算出する対象となる、解析対象物である。こうして選定した解析対象物に関する情報は、例えばユーザが入力装置11を操作することに応じてシステム1に入力されて、記憶装置13(及びデータ記憶部24)に記憶されることになる。
また、解析対象物の選定と共に、ユーザは、その解析対象物が損傷し得る損傷モードを決定する。損傷モードには、詳しくは後述するが、単一シナリオ地震に係る、初通過破壊、滑動、及び転倒、並びに、複数シナリオ地震に係る累積損傷破壊が含まれる。ここで、滑動及び転倒に関しては、対象物がボルト締結や溶接等によって固定されておらず、接地面上に置かれただけの状態にあるものを選定し、破壊に関しては、対象物がボルト締結や溶接等による固定点又は固定面を有しているものを選定すればよい。ここで決定した損傷モードの情報も、例えばユーザが入力装置11を操作することに応じてシステム1に入力されて、記憶装置13(及びデータ記憶部24)に、その解析対象物の情報と対応付けて記憶されることになる(図12参照)。
(設計用入力波形の作成)
次に、図3,4を参照しながら、解析条件設定部21が実行する設計用入力波形の作成手順について説明する。解析条件設定部21の床定常振動データ入力部211は、解析対象物が設置されている建屋の1階又は2階の床面の振動応答データを、システム1に入力して記憶させる。床面の振動応答データは、図示は省略するが、建屋の1階及び2階の床面における所定箇所に設置した加速度センサによって計測した、床面の定常振動の時刻歴加速度データ(床面垂直方向)である(図4のP41参照)。入力装置11は、計測した時刻歴加速度データをシステム1に入力し、記憶装置13はそれを記憶する。
任意波形抽出部212は、記憶装置13に記憶されている時刻歴加速度データを読み出すと共に、乱数を利用してその時刻歴加速度データから任意に波形を切り出す(図4のP42参照)。
包絡曲線算出部213は、地震動を経時特性を設定するために、地震動の時間変化を示す関数として、初動の立ち上がり部分、定常部分及び減衰部分を含む包絡関数を設定する(図4のP42参照)。より具体的には、式(1)に示すJennings型包絡関数E(t)を用いると共に(「地震波形の包絡関数に関する一考察」壇 一男、渡辺 孝英,pp.773〜774,1989,日本建築学会(九州))、包絡関数の継続時間を決めるパラメータT(i=a〜d)の推定式として式(2)を用いる(「多点強震観測記録に基づく地震動の継続時間の統計的特性と推定式」鎌田 丈史、福和 伸夫、飛田 潤,2003,日本建築学会大会学術講演梗概(東海))。尚、T〜Tの期間は、初動の立ち上がり部分に対応し、T〜Tの期間は、定常部分に対応し、T〜Tの期間は、減衰部分に対応する。
Figure 0005469970
ここで、Bは減衰特性を表すパラメータ、Mはマグニチュード、Xは震源距離(km)である。式(1)(2)において、地震のマグニチュードMと震源距離Xとが、入力装置11の操作を通じてユーザにより設定されれば、包絡関数E(t)の時間に係るパラメータT(i=a〜d)及びBが設定される。
評価震度入力部214は、ディスプレイの表示を通じて、ユーザに対しリスク評価に係る地震の震度階級を設定させるように促すと共に、ユーザが入力装置11を操作することを通じて設定された震度階級を受け付けて、これを記憶装置13(及びデータ記憶部24)に記憶させる。
波形振幅増幅部215は、前記任意波形抽出部212によって切り出された時刻歴加速度データと、包絡曲線算出部213によって設定された包絡関数とを掛け合わせて地震動の経時特性を有する波形を作成する(図4のP43参照)。また、評価震度入力部214によって設定・記憶されている震度階級に応じて波形振幅を増幅し(図4のP44参照)、設計用入力波形を作成する。
設計用入力波形出力部216は、作成した設計用入力波形を、続く解析対象物の応答出力算出のために出力する。
(解析対象物の応答出力算出)
次に、図3,5を参照しながら、解析条件設定部21が実行する解析対象物の応答出力の算出手順について説明する。解析対象物入力部217は、前述したように、ユーザにより予め選定されて記憶装置13に記憶されている解析対象物に関する情報を読み出し(図5のステップS51)、FEMモデル入力部218は、読み出した解析対象物に関する情報に基づいて、各解析対象物のFEMモデル57を作成する(ステップS52)。このFEMモデル57の作成は、図示は省略するが、出力装置12の出力(ディスプレイの表示)と、入力装置11の入力(ユーザによる入力装置11の操作)とに基づく、インタラクティブな操作によってFEMモデル57を作成するようにしてもよいし、予め別途作成したFEMモデル57を入力装置11を通じて、システム1に入力するようにしてもよい。ここで作成又は入力された、各解析対象物のFEMモデル57は、記憶装置13(及びデータ記憶部24)に適宜記憶される。
減衰定数入力部219は、応答解析に用いる減衰定数をシステム1に入力する(ステップS53)。減衰定数は、例えば、予め実施された実験モード解析により得られた減衰定数を、入力装置11の操作を通じてこのタイミングで、システム1に入力するようにしてもよいし、記憶装置13に予め記憶させている減衰定数を、記憶装置13(又はデータ記憶部24)から読み込むようにしてもよい。
設計用波形入力部2110は、前記で作成された設計用入力波形58を読み込み(ステップS54)、時刻歴応答解析部2111は、FEMモデル入力部218で入力したFEMモデル57と、設計用波形入力部2110で読み込んだ設計用入力波形と、に基づき、記憶装置13に記憶されている、所定の算出式に従って、時刻歴応答解析により解析対象物の応答解析を実行する(ステップS55)。尚、時刻歴応答解析は一般的であるため、ここではその詳細な説明を省略する。この時刻歴応答解析は、解析対象物毎に行われ、これによって、地震時における各解析対象物の応答出力59が得られる。応答出力部2112は、各解析対象物の応答出力59を損傷確率演算部22(並びに記憶装置13及びデータ記憶部24)に出力する(ステップS56)。
(損傷確率演算)
地震入力を受ける構造物は、地震動を受ける間及び地震動の終了後も、その機能を維持していなければならず、各種の機械や構造物を設計する上で、安全性は重要な意味を持つ。安全性を評価する方法には大別して2つの方法がある。一つは安全率の概念による方法であり、もう一つは信頼性の概念による方法である。安全率の概念による方法は、機械や構造物に作用する荷重及びその強度は確定量であるとし、設計荷重が強度を安全率で除した値(許容荷重)以下となるように設計する決定論的な考え方である。このようにして設計された機械や構造物は、荷重や強度が確定量であれば、設計荷重の安全率倍までの荷重に対して損傷することなくその機能を保つはずである。しかしながら実際には、荷重及び強度は確定量であることは稀で、あるばらつきを有する不確定量である場合がほとんどである。このような場合には、設計荷重の安全率倍よりも低い荷重であっても損傷が生じる可能性がある。このように安全率の概念による評価方法は、損傷の確率という概念でしか評価することができない。
これに対し、信頼性の概念による評価方法は、確率論的な考え方を導入した方法であって、荷重及び強度が共に不確定量である、すなわち、ばらつきを有するとして、確率及び統計論的に損傷の確率を考える方法である。損傷確率の補確率が信頼性と呼ばれ、損傷確率が小さいほど、信頼性は高くなる。構造物の安全性をそれに関係する様々な量のばらつきを不確実さを考慮して確率論的な立場から評価する方法は、構造物の信頼性理論又は安全性理論と呼ばれる。この評価システム1では、以下に詳細に説明するように、信頼性の概念による確率論的な手法を用いて、解析対象物の損傷の評価を行う。
また、この評価システム1では、前述したように、地震動を単一シナリオ地震と複数シナリオ地震とに分類し、単一シナリオ地震による損傷モードとして、初通過破壊、滑動及び転倒の3つのモードを設定すると共に、複数シナリオ地震による損傷モードとして、累積損傷破壊を設定する。そうして、初通過破壊、滑動及び転倒、並びに、累積損傷破壊の、互いに異なる4つの損傷モードを基準を同じにして評価するようにする。以下では、損傷モード毎に、その評価について説明する。
(初通過破壊に関する評価手法)
初通過破壊の発生確率は、損傷確率演算部22の初通過破壊確率算出部221が算出する。図6は、初通過破壊の発生確率の算出手順を示している。解析対象物の耐力(材料物性)及び外力(前記の解析対象物の応答出力59)を、それぞれ確率変数R及びSで表す。図6のP61,P62に示すように、R及びSの確率密度関数をそれぞれ、f(r)、f(s)とし、R≦Sが破壊を、R>Sが非破壊を表すものと考える。尚、ここでの「破壊」は、構造耐力の指標値が、外力効果の指標値を超えるという意味であり、構造物が実際に破壊することを意味するものではない。
R≦Sが成り立つ確率を解析対象物の損傷モードの発生確率(損傷確率)Pとして、式(3)で定義する。
Figure 0005469970
RとSとを互いに独立な確率変数とすれば、Pは、図6のP63,P64の図(尚、P63は二次元イメージ、P64は三次元イメージである)における、r≦sの領域D上の同時確率密度関数fRS(r,s)を積分することにより得られ、式(4)で与えられる。式(4)は損傷確率の算出式として、入力装置11を通じてシステム1に入力されて、記憶装置13に予め記憶されることになる。
Figure 0005469970
また、初通過破壊には、せん断破壊及び曲げ破壊が含まれるとして、せん断破壊の評価式は、α≧Aτ/Mで示され、曲げ破壊の評価式は、α≧Zσ/MLで示される。ここでαは、地震外力に起因する対象物の水平加速度(最大応答加速度)であり、Aは断面積、Mは質量、τはせん断強度、Zは断面係数、Lは長さ、σは曲げ強度である。これらの評価式に含まれる確率変数は、α及び、τ又はσである(図6のP61,P62参照)。
初通過破壊に係る、前記の2つの評価式もまた、入力装置11を通じてシステム1に入力されて、記憶装置13に記憶されている。初通過破壊確率算出部221は、必要時には、記憶装置13から式(4)及び各評価式を読み込むと共に、解析条件設定部21で算出した、解析対象物の応答出力59(最大応答加速度)に基づき、式(4)及び初通過破壊評価式に従って解析対象物の初通過破壊の発生確率を算出する。
(滑動に関する評価手法)
滑動の発生確率は、損傷確率演算部22の滑動確率算出部222が算出する。図7は滑動の評価式を算出する手順を示している。滑動は、一般的には、地震時に入力地震力を受けることによって、対象物が元の場所から移動をする現象をいう。ここでは、地震外力Fが最大静止摩擦力Fを上回ったときに、対象物が滑動したとみなす(F≧F)。つまり、ここでは地震入力を受けた際の対象物の滑り始めを滑動現象として判定する。滑り始めによる滑動判定は最も厳しい条件であり、これによって信頼性の観点からも、安全側の評価を行うことになる。
最大静止摩擦力はF=μm(g−α)で示される。ここで、αは地震外力に起因する対象物の垂直加速度(最大応答加速度)であり、μは最大静止摩擦力、mは構造物の質量、gは重力加速度である。従って滑動条件は、α≧μ(g−α)となる。この式に、原子力発電所や化学プラントの設備及び機器類の評価に関して採用されている、垂直加速度と水平加速度との関係式、α=(1/2)・αを用いると、滑動条件(評価式)は最終的には、α≧(2gμ)/(2+μ)で示される。この評価式に含まれる確率変数は、α及びμ(図7のP72,P73参照)である。この評価式に必要な最大静止摩擦係数は、例えば、ばねばかりを用いた引っ張り試験を予め行って、その計測値を入力装置11を通じて記憶装置13(及びデータ記憶部24)に記憶させておけばよい(図7のP71参照)。
この滑動評価式もまた、予め入力装置11を通じてシステム1に入力されて、記憶装置13に記憶されており、滑動確率算出部222は、必要時には、記憶装置13からこの滑動評価式及び式(4)を読み込んで、解析対象物の応答出力59(最大応答加速度)に基づき、式(4)及び滑動評価式に従って解析対象物の滑動の発生確率を算出する。
(転倒に関する評価手法)
転倒の発生確率は、損傷確率演算部22の転倒確率算出部223が算出する。図8は転倒の評価式を算出する手順を示している。ここで転倒とは、地震時に入力地震力を受けることによって、対象物がある支点を中心として回転運動をする現象をいう。転倒評価としては、転倒を動的な現象と捉えて、より厳密な推定式を求めるものも存在している。ここでは最も厳しい条件である静的加速度を用いた判定条件を利用する。このことにより、滑動の評価と同様に、安全側の評価を行うことになる。
図8のP82に示すように、地震外力をF、重力をF、最大水平加速度α、最大垂直加速度αとし、対象物の幾何学的中心位置を点Cで、重心位置を点Gで表す。点O’は点Gとx軸上の交点であり、点Oは、点Cとx軸上の交点であって、ここを原点(0,0)とする。また、a,bはそれぞれ、点Cから点Gまでのx及びy方向距離である。ここでは、地震外力Fと、重力Fの合力ベクトルのx軸上交点Xにおいて、x方向成分の大きさ|O’X|が、|O’A|を上回ったときに、転倒と判断する。点Xまわりのモーメントのつりあい式に基づいて、転倒条件(評価式)は、式(5)で示される。
Figure 0005469970
βは、構造物のアスペクト比(幅に対する高さの比率)、γは重力位置による影響を表すパラメータである。ここでは寸法形状のばらつきは考慮しないとする。従って転倒評価式に含まれる確率変数はαだけとなる(図8のP81参照)ことから、転倒確率は、式(6)又は式(7)を用いて算出することが可能である(図8のP83参照)。
Figure 0005469970
この転倒評価式、及び、式(6)(又は式(7))は、入力装置11を通じてシステム1に予め入力されて、記憶装置13に記憶されており、転倒確率算出部223は、必要時には、記憶装置13からこの転倒評価式及び式(6)(又は式(7))を読み込んで、解析対象物の応答出力59(最大応答加速度)に基づき、式(6)(又は式(7))及び転倒評価式に従って解析対象物の転倒の発生確率を算出する。
ここで、図11は、解析対象物の一部について、(a)初通過破壊(せん断破壊)、(b)滑動、及び、(c)転倒の発生確率を、最大水平加速度αの関数として算出した結果の一例を示している。このように各算出部221〜223は、各解析対象物について、各損傷モードの発生確率を、最大水平加速度の大きさ、換言すれば地震の震度階級毎に、算出し得る。
このようにして単一シナリオ地震に関しては、震度階級毎に、各解析対象物の損傷の発生確率が算出され、算出された損傷の発生確率は、その解析対象物と対応付けられて、記憶装置13に記憶される。こうして詳しくは後述するが、図12に示すようなSeismic P−FMEAのワークシートにおける発生確率の欄が、埋められることになる。尚、S−P−FMEAワークシートは、震度階級毎に作成されることになる。
(累積損傷破壊に関する評価手法)
このシステム1においては、複数シナリオ地震に対する損傷モードである累積損傷破壊を、疲労破壊と考える。一般に疲労強度特性は、縦軸に応力振幅を真数または対数で,横軸に疲労寿命を対数でとったS−N線図を用いて評価される。ここで疲労寿命は、ばらつきを有するため、このS−N線図上の各点に、その点での破壊確率、つまり疲労破壊が起こる確率を求めてグラフに取り込むP−S−N線図を用いることによって、S−N線図のばらつきを考慮する(図9参照)。尚、この破壊確率曲面は縦軸が応力振幅σ、横軸が繰り返し数N、高さが破壊確率Pを表している。
疲労寿命は平均応力に依存することが知られており、このことからS−N線図は通常、平均応力又は応力比を一定にして行った疲労試験結果のみから作成される。従って、S−N線図では、平均応力または応力比が一致する疲労寿命しか評価することができない。そこで、平均応力の疲労寿命に対する影響の評価手法として疲労限度線図が用いられている。ここでは、P−S−N線図の概念に、修正グッドマン線図(疲労限度線図)を適用する。これによって、疲労限度線図上で、ばらつきを表現することを可能にする。
また、疲労寿命評価を行う際には、その値の推定よりも寿命保証を決定することが重要となる。S−N線図を用いて疲労寿命評価を行う場合には、平均応力または応力比を一定にした試験結果のみをプロットして整理する方法が一般的である。しかし、実際に部材に負荷される実働荷重は、平均応力や応力振幅が時間に対して変動する不規則荷重であることの方が多い。このため、S−N線図を用いて実働加重の疲労寿命を評価しようとすると、それに応じた平均応力又は応力比についてのS−N線図が必要となるため、膨大な試験数と時間を必要とする。そこで、ここでは変動する応力波形に対する損傷を個別に求める累積損傷度の概念を用いる。累積損傷度の概念を用いた寿命評価は、実働荷重の寿命の評価について極めて有効である。以下、図10を参照しながら、破壊確率を考慮した疲労限度線図の作成手順、及び、線形累積損傷則を用いた疲労寿命推定について順に説明する。
先ず、疲労限度線図の作成として、応力比一定(所定応力比)で疲労試験を行ってS−N線図を作成し、疲労限度線図における疲労強度分布を作成する(図10のP101参照)。この場合の疲労強度分布は、応力比一定の一直線上の分布になる。応力比をいくつも変えた疲労試験を行って疲労強度分布を求め、疲労限度線図を作成してもよいが、その場合は多大な時間を要するので、1通り又は2通り程度の応力比で疲労試験を行えばよい。
得られた疲労強度分布を基に、任意の破壊確率でP−S−N線図を作成する。次いで、作成したP−S−N線図から任意の繰り返し数での疲労強度を算出し、疲労強度線図上にプロットする。このときに、別の応力比におけるS−N線図が得られている場合には、それについての疲労強度もプロットする。ここで、S−N線図から得られる疲労強度分布は、ある繰り返し数を固定した状態の破壊確率を応力振幅の分布で表したものであり、疲労限度線図における疲労強度分布は、応力振幅と平均応力の分布で表したものである。このことから、疲労限度線図における疲労強度分布は、S−N曲線から得られる疲労強度分布を応力比一定の直線上に傾けたものである。
また、別途実施した引張試験(静的強度試験)の結果から得られる強度分布から、先にプロットした疲労強度分布の破壊確率に対応する値を算出し、疲労限度線図のx軸上にプロットする。そうして、疲労限度線図の応力比一定の直線上から求めた、ある破壊確率の点と、引張試験の結果から求めた、同じ破壊確率の点と、を互いに結ぶことによって、当該破壊確率での疲労限度線(修正グッドマン線図)が求まることになる(図10のP103参照)。このような分布を考えることによって、疲労限度線図上でのばらつきを表現することが可能になる。この疲労限度線図が意味するところは、この疲労限度線図上に位置する応力振幅、平均応力の繰り返し荷重が、疲労限度線図作成時に設定した繰り返し数N、及び、破壊確率Pに相当することを表している。つまり、プロットした繰り返し応力の平均応力及び応力振幅の繰り返し数nによりn/Nの損傷度が累積されると考える。なお、このとき累積した損傷度は破壊確率Pに対する結果であるため、これにより算出される累積損傷度Dもまた、破壊確率Pを有していると考えることができる。
この疲労限度分布の作成に際しては、3応力水準で、1応力水準当たり3点以上のデータがあることが好ましいが、それよりも少ないデータから疲労強度分布を求めるために、座古らが提案した換算応力、換算寿命の定義を用いるようにしてもよい(「平均応力・応力振幅の不確定性を考慮した破壊確率評価手法に関する研究」座古 勝、倉敷 哲生、中井 啓晶,pp.845〜846,2003,日本機械学会第16回計算力学講演会講演論文集,No.03〜26、及び、「レインフロー法と疲労限度線図を用いた実働荷重疲労に関する構造物信頼性評価」座古 勝、倉敷 哲生、中井 啓晶,pp.8〜12,2005,日本材料学会,Vol.54,No.1)。ここで、換算応力は、S−N線図の各疲労寿命において疲労強度分布が等しくなる、という仮定に基づいて、図10のP102に示すように、取得したデータを疲労寿命Nにおける強度に換算した値である。この換算応力を用いることによって、異なる疲労寿命のデータを、換算応力に代えて疲労強度分布として考えることが可能になる。換算寿命も同様に、S−N線図の各疲労強度において疲労寿命分布が等しくなるという仮定に基づいて、データをある応力振幅における寿命に換算した値である。これらの概念を用いることによって、全ての試験結果から、疲労強度分布や疲労寿命分布を推定することが可能になる。
さらに、疲労試験で、試験での繰り返し数の上限を設定し、その回数に達したら試験を打ち切ることにした場合は、打ち切った試験データは打ち切りデータとして取り扱うことになる。この場合の疲労試験の分布推定にはJonson法を用いればよい。
次に、累積損傷則を用いた疲労寿命推定について説明する。異なる応力振幅荷重の組み合わせによる疲労寿命は、各応力振幅負荷による疲労損傷をS−N線図から推定し、それを基に、線形累積損傷則の計算方法によって求めることができる。ここで、応力振幅σ,σ,…,σが単独で繰り返し与えられた時の疲労寿命を、N,N,…,Nとし、それぞれの応力振幅が、n,n,…,n回繰り返される場合、それぞれの応力の疲労損傷は、n/N,n/N,…,n/Nと考える。そうして、それぞれの応力が組み合わさって作用したときの累積損傷度をD=Σ(n/N)と考える。この累積損傷度Dが1になったとき(D=Σ(n/N)=1)が疲労寿命であると考える(線形累積損傷則又はマイナー則)。ここで、マイナー則では、応力振幅が疲労限度以下ではNが無限大と考えるが、疲労寿命がばらつきを有すること、また疲労限度以下の応力振幅を完全に無視することは危険であるため、S−N曲線の傾斜部を疲労限度以下に延長することによって、疲労限度以下の応力振幅を考慮した、修正マイナー則による寿命評価を行う。
実働荷重が部材に与えている疲労損傷を評価するには、作用している応力値の頻度を求めることが必要である。ここでは、実働荷重の応力頻度解析に、材料の応力−ひずみ挙動との対応性が良い、レインフロー法を用いる(図10のP104参照)。これによって、平均応力と応力振幅の組み合わせと、その応力の繰り返し数とが得られる。こうして算出した平均応力と応力振幅の組み合わせを、疲労限度線図上にプロットし(図10のP105参照)、これと、破壊確率を考慮した疲労限度線図とを組み合わせる(図10のP106参照)。P106は、様々な繰り返し応力に対して、疲労寿命を変化させて疲労限度線図を描写した模式図を示しており、レインフロー解析により得られる各繰り返し応力に対し、同じ破壊確率において損傷度を計算し、それらの損傷度を累積することにより、実働荷重1サイクルによる累積損傷度Dpfが計算される。言い換えると、この実働荷重が1/Dpfサイクル繰り返された際に、破壊確率Pで疲労破壊に至る。よって、この破壊確率Pを増分しながら、実働荷重に対する寿命を繰り返し計算することによって、破壊確率と実働時間との関係が得られる。この手法を地震動に対応させると、単一の地震毎に破壊確率が求められ、各地震の破壊確率を累積することにより、想定する地震動の発生回数に対する破壊確率を、例えば図10のP107に例示するように、算出することができる。ここでTは、発生した地震の回数であり、発生回数の増大に伴い、破壊確率が増加している。
この累積損傷破壊に関する複数シナリオ地震は、入力装置11を通じて、例えばユーザによって設定入力される。複数シナリオ地震としては、例えば互いに異なる震度階級の3つの地震が発生するとして、「1回目の地震の計測震度I=6.25、震度階級が6強、2回目の地震の計測震度I=7.0、震度階級が7、及び3回目の地震の計測震度I=5.25、震度階級が5強」といったように、複数シナリオ地震が具体的に適宜設定されることになる。また、例えば乱数発生等を利用して、演算処理装置14が複数シナリオ地震を自動的に設定してもよい。
累積損傷確率算出部224は、記憶部24等に記憶されている複数シナリオ地震の情報に基づいて、前述したように、一つのシナリオ地震に対する、解析対象物の損傷度(D値)を算出し、それを累積することによって、複数の地震(地震の回数)に対する破壊確率を算出することになる。
このようにして複数シナリオ地震に関しては、そのシナリオ毎に、各解析対象物の損傷の発生確率が算出され、算出された損傷の発生確率は、その解析対象物と対応付けられて、記憶装置13に記憶され、図12に示すようなSeismic P−FMEAのワークシートにおける発生確率の欄が、埋められることになる。尚、S−P−FMEAワークシートは、複数シナリオ地震については、シナリオ毎に作成されることになる。
以上のようにして、このシステム1では、構造物の耐力及び地震の外力についてのばらつきを考慮しつつ、単一シナリオ地震に係る初通過破壊、滑動及び転倒の各損傷モードの発生確率、及び、複数シナリオ地震に係る累積損傷破壊の発生確率を、数値として算出するという特徴を有し、この定量化が、このシステム1の地震リスク評価の信頼性を高める。
(リスク評価部)
リスク評価部23は、前記の損傷確率演算部22における各算出部221〜224が算出した各損傷モードの発生確率と、予めユーザによって、入力装置11を通じてシステム1に設定入力されて、記憶手段13に記憶されている影響度と、に基づいて、リスクを算出する。具体的には、このシステム1では、前述したように、FMEAを基にして、地震リスクに特化したS−P−FMEAを定義している。このS−P−FMEAでは、各解析対象物の損傷モード(一般的なFMEAにおける故障モードに相当)の発生確率と、当該解析対象物の価値損失の大きさを表す影響度との積を、地震によるリスクと定義して、地震リスクの定量的な指標とする。S−P−FMEAは、一般的なFMEAと比較したときに、損傷モードの発生確率を含めている点が特徴的である。
図12は、S−P−FMEAワークシートの一例を示している。このS−P−FMEAワークシートは、前述したように、記憶装置13(及びデータ記憶部24)に記憶されている。S−P−FMEAワークシートにおける、損傷モードの発生確率の欄は、前述したように、損傷確率演算部によって算出された発生確率によって埋められている。一方、S−P−FMEAワークシートにおける、影響度の欄は、ユーザが設定入力をする。つまり、ユーザは、例えば解析対象物の選定、及び、その損傷モードの決定と共に、各解析対象物の影響度を、数値として適宜設定し、これを入力装置11を通じてシステム1に入力する。入力された各解析対象物の影響度は、その解析対象物と対応付けられて記憶装置13に記憶されることになる。ここで、「影響度」には、地震に起因して生じたトラブルについての復旧に要する時間やコストが含まれ、特にこの例では、長期安定性試験がストップしてしまうことにより、新医薬品の製造販売の承認申請が遅れてしまうことによる損失額も含まれる。
個々の損傷要素(解析対象物)に対するリスク評価を行う場合は、発生確率と影響度の積を算出することによって評価が可能である。しかしながらS−P−FMEAでは、リスクを考える目的に対する損傷、つまり評価対象の損傷に至るまでのプロセスが明示されていないため、このままでは目的となる評価対象のリスクを算出することができない。そこで、このシステム1では、リスク分析手法であるETAを用いて損傷に至るまでのプロセスを明確にし、このS−P−FMEAとETAとの組み合わせにより、リスクを算出する。図13は、リスク抽出表の一例を示している。ここでは、リスクの対する評価対象は、検体破損と、データ消失との2つであり、検体破損には、棚から落下(イベント(I))、電源抜けによる装置停止(イベント(II))、給水抜けによる給水停止(イベント(III))、冷媒配管抜けによる温湿度逸脱(イベント(IV))、センサー落下(イベント(V))、基板落下(イベント(VI))、及び、短絡による発火(イベント(VII))が含まれ、データ消失には、PC用ラック転倒(イベント(VIII))、PC用電源線抜け(イベント(IX))、及びデバイス損傷(イベント(X))が含まれている。このリスク抽出表は、ユーザによる入力装置11の操作を通じてシステム1に入力して、記憶装置13に記憶するようにすればよい。
リスク評価部23は先ず、ET(Event Tree)を作成する。ETは、イベント発生の論理的順序を図式的に表現するものであり、これによってトップイベント(ここでは検体破損とデータ破損)に至るまでのプロセスを明確にし、各プロセスでの損傷モード発生確率が算出可能になる。ETの作成は、記憶装置13からリスク抽出表及びS−P−FMEAワークシートを読み出すと共に、それをディスプレイに表示(出力装置12による出力)しながら、ユーザが入力装置11を操作することによって作成するようにしてもよい。例えば図14は、図13のリスク抽出表におけるイベント(I)に対応するETである。こうして予め設定したリスク抽出表に含まれる全てのイベントについて、ETを作成する。尚、地震発生からトップイベントに至るまでのプロセスが存在しない場合もある(つまり、図12における、損傷要素の損傷モードがそのままトップイベントの発生確率となる場合もあり得る)。作成したETは、そのイベントと対応付けられて、記憶装置13(又はデータ記憶部24)に記憶されることになる。
リスク評価部23はまた、作成したETを用いて各イベントの発生確率を算出する(図3の231参照)。具体的には、図14に示すように、リスク評価部23は、作成したETを記憶装置13(又はデータ記憶部24)から読み出し、そこにおける各プロセスの発生確率P(i=A〜Z)に、同じく記憶装置13(又はデータ記憶部24)から読み出したS−P−FMEAワークフローの発生確率の値を代入する。そうして、各プロセスの確率を乗算することにより、発生確率Pfxを算出すると共に、その最大値P(MAX)を、当該イベントの発生確率とする。前述したように、損傷モードの発生確率が震度階級毎に算出されて、S−P−FMEAワークフローが震度階級毎に作成されている(例えば図14は、震度階級が6弱の時の例である)ことに対応して、このイベントの発生確率の算出は、震度階級毎に行われる。
一方、各イベントの影響度は、前記のETにおいて各イベントに含まれるプロセスの影響度を和によって算出される(図3の232参照)。図14の例では、影響度は、α+α+αとなる。尚、各プロセスの影響度を、震度階級毎に設定するようにして、各イベントの影響度を、震度階級毎に算出するようにしてもよい。
そうして、各イベントについて、発生確率(最大発生確率)を震度階級毎に算出すると共に、影響度を算出すれば、リスク評価部23は、それに基づいて、リスクマトリックスを作成する。図15は、リスクマトリックスの一例を示している。このリスクマトリックスは、縦軸に発生確率、横軸に影響度をとって、各イベントの値(図例では(I)〜(VIII)、尚、(I)〜(VIII)は図13に対応している)を、震度階級毎にプロットして構成されている。発生確率が高いほど、地震発生時に損傷が起こり易く、影響度が大きいほど、地震発生時の損傷による被害が大きい、ことから、このリスクマトリックスにおける相対的に左下の領域は、許容可能な領域となり、相対的に右上の領域は、許容不可の領域となる。また、発生確率が比較的高い、及び/又は影響度が比較的高いときには、何らかの対策が必要と判断することができる。対策としては、例えば、既存の安定性試験システムの評価の場合には、その既存の安定性試験システムの、所定箇所を補強する等の対策が挙げられ、安定性試験システムの設計段階の場合には、設計変更等の対策が挙げられる。このように、リスクマトリックスは、震度階級毎に、リスクを構成する発生確率及び影響度の双方の影響を考慮した評価が可能となる。
このリスクマトリックスに代えて、又は、リスクマトリックスと共に、各イベント毎の発生確率及びリスク(リスク=発生確率×影響度)を算出するようにしてもよい。
こうした作成したリスクマトリックスや、リスクの値は、ディスプレイに表示されたり、プリンタに出力されたり(出力装置12の出力)、又は、記憶装置13に記憶される。
以上説明したように、この地震リスク評価システム1では、地震リスクの評価対象を構成する各解析対象物の損傷発生の評価として、信頼性工学に基づく、確率論的な手法を用いた評価を採用している。具体的には、解析対象物の耐力に関連する特性及び地震外力を確率変数として損傷モードの発生確率を算出している。このことにより、解析対象物の耐力等のばらつき、具体的には材料物性等のばらつきや地震外力のばらつきが考慮される結果、解析対象物の損傷モードの発生確率を、高い信頼性でもって、数値化し得る。このことが、地震リスク評価システム1のリスク評価の定量化、及び、それに伴う評価の高信頼性を実現する。
また、解析対象物の損傷モードを、単一シナリオ地震に起因する損傷モードと、複数シナリオ地震に起因する損傷モードと、に分けて考えることにより、損傷モードを適切に評価し得るようになる。また、単一シナリオ地震に起因する損傷モードとして、初通過破壊、滑動及び転倒の3つの損傷モードを設定する一方で、所定の確率式(式(4),(6),(7))及び評価式に基づいて、それらの損傷モードの発生確率を算出することで、互いに異なる損傷モードを、同じ基準で評価し得るようになる。複数シナリオ地震に起因する累積損傷破壊についても同様に、他の損傷モードと同じ基準で評価し得る。
また、リスク評価として、S−P−FMEAを定義することにより、FMEAを地震リスク評価に特化し得ると共に、そのS−P−FMEAとETAとを組み合わせることで、リスク評価を定量化して、地震リスク評価の高い信頼性を確保し得る。
さらに、リスク評価の結果として、損傷モードの発生確率、影響度、及び震度の3つのパラメータに基づくリスクマトリックスを作成することで、リスクを構成する、発生確率及び影響度の双方を考慮した評価が可能となる。
従って、この地震リスク評価システム1では、例えば振動台を用いた実機の耐震特性評価に依らずとも、高い信頼性を有する地震リスク評価が可能であり、地震リスク評価を簡易に行い得る。このことは、地震リスク評価に要する時間及びコストを削減する上で、極めて有効である。
尚、前述したように、この地震リスク評価システム1の評価対象は、恒温恒湿室でなくてもよく、例えば他の環境試験を行う試験システムに対しても適用可能である。またそうした試験システムに限定されるものではなく、その他の種々のシステム等(例えば、所定の建屋に設置された各種のサーバー装置等を含むデータセンター等)の地震リスク評価に利用することが可能である。
以上説明したように、ここに開示した地震リスク評価システムは、振動台等を用いなくても、定量的な地震リスク評価が可能であり、短時間かつ低コストで、高い信頼性を有する地震リスク評価が可能な点で、各種のシステム等の地震リスク評価に有用である。
1 地震リスク評価システム
11 入力装置(入力部)
12 出力装置(出力部)
13 記憶装置(記憶部)
14 演算処理装置(演算処理部)

Claims (6)

  1. 所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムであって、
    ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、
    各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、
    各種情報を記憶する記憶部、及び、
    前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備え、
    前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、
    前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、
    前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出し、
    前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出し、
    前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、
    前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力し、
    前記演算処理部は、単一回の地震動に起因する損傷モードとして、初通過破壊、滑動、及び転倒の内の少なくとも1つの損傷モードの発生確率を算出する地震リスク評価システム。
  2. 所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムであって、
    ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、
    各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、
    各種情報を記憶する記憶部、及び、
    前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備え、
    前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、
    前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、
    前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出し、
    前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出し、
    前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、
    前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力し、
    前記演算処理部は、複数回の地震動に起因する損傷モードとして、累積損傷破壊の発生確率を算出する地震リスク評価システム。
  3. 所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムであって、
    ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、
    各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、
    各種情報を記憶する記憶部、及び、
    前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備え、
    前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、
    前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、
    前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出し、
    前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出し、
    前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、
    前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力し、
    前記演算処理部は、リスク評価として、
    各解析対象物についての損傷の発生確率と影響度とを含むFMEAワークシートを作成し、
    地震発生時に、前記評価対象の損傷を生じ得るイベントの発生プロセスを、イベントツリー解析と前記FMEAワークシートとの組み合わせによって解析して、前記イベントの発生確率及び当該イベント発生による影響度を算出する地震リスク評価システム。
  4. 請求項に記載の地震リスク評価システムにおいて、
    前記演算処理部は、
    前記イベントの発生確率を震度階級毎に算出すると共に、前記イベントの発生確率、当該イベント発生による影響度及び震度階級の3つのパラメータを含むリスクマトリックスを作成し、これを前記出力部を通じて出力する地震リスク評価システム。
  5. 所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムであって、
    ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、
    各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、
    各種情報を記憶する記憶部、及び、
    前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備え、
    前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、
    前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、
    前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出し、
    前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出し、
    前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、
    前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力し、
    前記記憶部は、前記解析対象物が設置されている床面の定常振動の時刻歴加速度データの計測値と、地震動の経時特性を示す所定の関数と、を記憶しており、
    前記演算処理部は、前記計測値と前記関数とを組み合わせた波形を作成すると共に、前記入力部を通じて設定入力された震度階級に応じて、前記波形の振幅を増幅することによって、前記設定入力された震度階級に対応する、前記設計用入力波形を作成する地震リスク評価システム。
  6. 所定の評価対象の地震リスクを評価する地震リスク評価システムであって、
    ユーザが操作可能に構成されて、当該操作に対応した情報を出力する入力部、
    各種の情報を、前記ユーザが認識可能に出力する出力部、
    各種情報を記憶する記憶部、及び、
    前記入力部、出力部及び記憶部に対し情報の授受可能に接続され、各種の演算を実行する演算処理部、を備え、
    前記記憶部は、地震発生時に損傷を受けることによって、前記評価対象に影響を及ぼし得る解析対象物に関する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、
    前記解析対象物に関する情報を前記記憶部から読み込み、
    前記解析対象物に入力される地震動を模擬した設計用入力波形が前記解析対象物に入力されたときの応答出力を、前記記憶部に記憶されている所定の応答算出式に従って算出し、
    前記算出した応答出力と、前記解析対象物の耐力に関連する特性とに基づき、前記応答出力及び耐力に関連する特性の内、少なくとも応答出力を確率変数として、前記解析対象物に損傷モードが発生する確率である損傷確率を、前記記憶部に記憶されている所定の確率算出式に従って算出し、
    前記算出した損傷確率と、前記記憶部に記憶されている前記解析対象物に損傷モードが発生したときの価値損失の大きさを表す影響度の情報と、に基づくリスク評価結果を作成し、
    前記作成したリスク評価結果を、前記出力部を通じて出力し、
    前記評価対象は、所定の検体の保存安定性を試験するための環境試験装置である地震リスク評価システム。
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