JP2007109107A - 地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体 - Google Patents

地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】専門家以外の個人でも容易に利用することができる地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】地震時建物内被害評価装置100は、建物データおよび地震動データに基づいて地震応答を計算し、地震応答、設置物データおよび床データに基づいて転倒確率、移動確率および移動量を算出し、転倒確率に基づいて転倒危険性を評価すると共に移動確率および移動量に基づいて移動危険性を評価し、地震応答、建物データおよび非構造部材データに基づいて非構造部材損傷度を評価し、転倒確率、移動確率および移動量、非構造部材損傷度、設置物データならびに部屋データに基づいて人的被害発生可能性を評価し、転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて建物内避難支障度を評価する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体に関するものである。
これまで、大地震の際、設置物である家具や機器類などの転倒や移動、さらには非構造部材である天井や壁(例えば非耐力壁など)などの損傷により、人的被害、避難障害、建物の機能障害などが発生していた。
従来、地震時における設置物の挙動や非構造部材の損傷を評価する評価ツールでは、まず建物の地震応答を地震応答解析で評価し、当該評価の結果を用いて設置物の挙動や非構造部材の損傷をそれぞれ別々に評価していた(特許文献1参照)。
ところで、地震に対する防災意識を向上させるには、建物の所有者や使用者などの個人が、地震に因り建物内で起こりうる被害の程度を、自ら把握することが重要となる。
特開2004−240886号公報
しかしながら、従来の評価ツールは、操作者に入力させる情報が多く、また当該情報は専門家以外の者には判り難いものであるので、建物の所有者や使用者など専門家以外の個人が当該評価ツールを容易に利用することは困難であったという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、建物の所有者や使用者など専門家以外の個人でも容易に利用することができる地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項1に記載の地震時建物内被害評価方法は、地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価方法であって、建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算ステップ、前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価ステップ、前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価ステップならびに前記転倒・移動危険性評価ステップで算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価ステップ、および/または前記転倒・移動危険性評価ステップで評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価ステップを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる請求項2に記載の地震時建物内被害評価方法は、請求項1に記載の地震時建物内被害評価方法において、前記人的被害発生可能性評価ステップは、前記設置物の転倒確率、前記設置物の移動確率および前記設置物の移動量、前記設置物データならびに前記部屋データに基づいて、設置物の転倒や移動に因り部屋が閉塞される確率である室内設置物閉塞率を算出する室内設置物閉塞率算出ステップと、前記非構造部材損傷度および前記部屋データに基づいて、天井の落下に因り部屋が閉塞される確率である室内天井閉塞率を算出する室内天井閉塞率算出ステップと、前記室内設置物閉塞率算出ステップで算出した室内設置物閉塞率および前記室内天井閉塞率算出ステップで算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内の安全性に関する室内安全性を評価する室内安全性評価ステップと、前記室内安全性評価ステップで評価した室内安全性および前記部屋データに基づいて、人的被害発生可能性を評価する室単位人的被害発生可能性評価ステップと、をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる請求項3に記載の地震時建物内被害評価方法は、請求項1または2に記載の地震時建物内被害評価方法において、前記建物内避難支障度評価ステップは、前記設置物の転倒危険性および前記設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の室内における当該避難の支障の度合いを示す室内避難支障度を評価する室内避難支障度評価ステップと、前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際のフロア内における当該避難の支障の度合いを示すフロア内避難支障度を評価するフロア内避難支障度評価ステップと、前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の、階段やエレベータなどの共有部分における当該避難の支障の度合いを示す共有部分避難支障度を評価する共有部分避難支障度評価ステップと、前記室内避難支障度評価ステップで評価した室内避難支障度、前記フロア内避難支障度評価ステップで評価したフロア内避難支障度および前記共有部分避難支障度評価ステップで評価した共有部分避難支障度に基づいて、建物内避難支障度を評価する室単位建物内避難支障度評価ステップと、をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は地震時建物内被害評価プログラムに関するものであり、本発明にかかる請求項4に記載の地震時建物内被害評価プログラムは、地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価方法をコンピュータに実行させる地震時建物内被害評価プログラムであって、建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算ステップ、前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価ステップ、前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価ステップならびに前記転倒・移動危険性評価ステップで算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価ステップ、および/または前記転倒・移動危険性評価ステップで評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価ステップを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる請求項5に記載の地震時建物内被害評価プログラムは、請求項4に記載の地震時建物内被害評価プログラムにおいて、前記人的被害発生可能性評価ステップは、前記設置物の転倒確率、前記設置物の移動確率および前記設置物の移動量、前記設置物データならびに前記部屋データに基づいて、設置物の転倒や移動に因り部屋が閉塞される確率である室内設置物閉塞率を算出する室内設置物閉塞率算出ステップと、前記非構造部材損傷度および前記部屋データに基づいて、天井の落下に因り部屋が閉塞される確率である室内天井閉塞率を算出する室内天井閉塞率算出ステップと、前記室内設置物閉塞率算出ステップで算出した室内設置物閉塞率および前記室内天井閉塞率算出ステップで算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内の安全性に関する室内安全性を評価する室内安全性評価ステップと、前記室内安全性評価ステップで評価した室内安全性および前記部屋データに基づいて、人的被害発生可能性を評価する室単位人的被害発生可能性評価ステップと、をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる請求項6に記載の地震時建物内被害評価プログラムは、請求項4または5に記載の地震時建物内被害評価プログラムにおいて、前記建物内避難支障度評価ステップは、前記設置物の転倒危険性および前記設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の室内における当該避難の支障の度合いを示す室内避難支障度を評価する室内避難支障度評価ステップと、前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際のフロア内における当該避難の支障の度合いを示すフロア内避難支障度を評価するフロア内避難支障度評価ステップと、前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の、階段やエレベータなどの共有部分における当該避難の支障の度合いを示す共有部分避難支障度を評価する共有部分避難支障度評価ステップと、前記室内避難支障度評価ステップで評価した室内避難支障度、前記フロア内避難支障度評価ステップで評価したフロア内避難支障度および前記共有部分避難支障度評価ステップで評価した共有部分避難支障度に基づいて、建物内避難支障度を評価する室単位建物内避難支障度評価ステップと、をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明は記録媒体に関するものであり、本発明にかかる請求項7に記載の記録媒体は、コンピュータ読み取り可能なものであって、前記請求項4から6のいずれか1つに記載された地震時建物内被害評価プログラムを記録したことを特徴とする。
また、本発明は地震時建物内被害評価装置に関するものであり、本発明にかかる請求項8に記載の地震時建物内被害評価装置は、地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価装置であって、建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算手段、前記地震応答計算手段で計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価手段、前記地震応答計算手段で計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価手段ならびに前記転倒・移動危険性評価手段で算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価手段で評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価手段、および/または前記転倒・移動危険性評価手段で評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価手段で評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、建物データおよび地震動データに基づいて建物の地震応答を階ごとに計算し、計算した階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて転倒確率、移動確率および移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて移動危険性を設置物ごとに評価し、計算した階ごとの地震応答、建物データおよび非構造部材データに基づいて非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する。そして、転倒確率、移動確率および移動量、非構造部材損傷度、設置物データならびに部屋データに基づいて人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する、および/または転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて建物内避難支障度を部屋ごとに評価する。これにより、建物の所有者や使用者など専門家以外の個人でも容易に利用することができるという効果を奏する。具体的には、操作者が入力する情報は建物データ、地震動データ、設置物データ、床データ、非構造部材データ、部屋データであり、これらデータは専門家以外の個人でも判り易く、また容易に収集可能であるので、個人でも容易に利用することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、転倒確率、移動確率および移動量、設置物データならびに部屋データに基づいて室内設置物閉塞率を算出し、非構造部材損傷度および部屋データに基づいて室内天井閉塞率を算出し、算出した室内設置物閉塞率および室内天井閉塞率に基づいて室内安全性を評価し、評価した室内安全性および部屋データに基づいて人的被害発生可能性を評価するので、部屋の設置物の転倒や移動だけでなく部屋の天井の落下や在室者の密度も考慮することにより、より厳密に人的被害発生可能性を部屋ごとに評価することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて室内避難支障度を評価し、非構造部材損傷度に基づいてフロア内避難支障度を評価し、非構造部材損傷度に基づいて共有部分避難支障度を評価し、評価した室内避難支障度、フロア内避難支障度および共有部分避難支障度に基づいて建物内避難支障度を評価するので、実際の避難経路を想定して建物内避難支障度を部屋ごとに評価することができるという効果を奏する。
また、本発明にかかる記録媒体によれば、当該記録媒体に記録された地震時建物内被害評価プログラムをコンピュータに読み取らせて実行することでコンピュータに地震時建物内被害評価プログラムを実現させるので、地震時建物内被害評価プログラムと同様の効果を得ることができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
まず、地震時建物内被害評価装置100の構成について図1から図6を参照して説明する。図1は地震時建物内被害評価装置100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、地震時建物内被害評価装置100は、当該地震時建物内被害評価装置100を統括的に制御する制御部102と、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部104と、入力装置108や出力装置110に接続する入出力インターフェース部106と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の処理を実行するための情報処理を行う。そして、制御部102は、図示の如く、地震応答計算部102aと、転倒・移動危険性評価部102bと、非構造部材損傷度評価部102cと、人的被害発生可能性評価部102dと、建物内避難支障度評価部102eと、で構成されている。
地震応答計算部102aは、建物の諸元(具体的には、構造種別(具体的には、「S構造」、「RC構造」など)、階数、高さ、各階の階高など)に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさ(具体的には、震度、断層距離、地盤種別(具体的には、「第一種」、「第二種」など)、最大加速度、最大速度など)に関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度、最大層間変形)を階ごとに計算する。
転倒・移動危険性評価部102bは、地震応答計算部102aで計算した階ごとの地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度)、建物内に設置された設置物(具体的には、家具、機器、什器など)の諸元(具体的には、寸法(高さ・幅・奥行)、付属物(具体的には、キャスター付、転倒防止器具付など)など)や設置条件(具体的には、「壁際」、「背中合せ」、「独立」、「二段重ね」など)に関する予め入力された設置物データおよび各階の床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する。ここで、転倒・移動危険性評価部102bは、転倒危険性評価部102b1と、移動危険性評価部102b2と、をさらに備えて構成されている。
転倒危険性評価部102b1は、階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて転倒確率を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を設置物ごとに評価する。ここで、転倒危険性評価部102b1は、図2に示すように、転倒確率算出部102b11と、物単位転倒危険性評価部102b12と、をさらに備えて構成されている。図2は転倒危険性評価部102b1の構成を示すブロック図である。転倒確率算出部102b11は、階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて転倒確率を算出する。物単位転倒危険性評価部102b12は、転倒確率算出部102b11で算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を評価する。
再び図1に戻り、移動危険性評価部102b2は、階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて移動確率および移動量を設置物ごとに算出し、算出した移動確率および移動量に基づいて移動危険性を設置物ごとに評価する。ここで、移動危険性評価部102b2は、図3に示すように、移動確率算出部102b21と、移動量算出部102b22と、物単位移動危険性評価部102b23と、をさらに備えて構成されている。図3は移動危険性評価部102b2の構成を示すブロック図である。移動確率算出部102b21は、設置物データおよび床データに基づいて移動確率を算出する。移動量算出部102b22は、階ごとの地震応答および床データに基づいて移動量を算出する。物単位移動危険性評価部102b23は、移動確率算出部102b21で算出した移動確率および移動量算出部102b22で算出した移動量に基づいて移動危険性を評価する。
再び図1に戻り、非構造部材損傷度評価部102cは、地震応答計算部102aで計算した階ごとの地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大層間変形)、各階に配設された非構造部材(具体的には、天井、壁、扉など)の種類に関する予め入力された非構造部材データおよび建物データ(具体的には、各階の階高)に基づいて、当該非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する。ここで、非構造部材損傷度評価部102cは、図4に示すように、最大層間変形角算出部102c1と、部材単位非構造部材損傷度評価部102c2と、をさらに備えて構成されている。図4は非構造部材損傷度評価部102cの構成を示すブロック図である。最大層間変形角算出部102c1は、階ごとの地震応答(具体的には、最大層間変形)および建物データ(具体的には、各階の階高)に基づいて最大層間変形角を階ごとに算出する。部材単位非構造部材損傷度評価部102c2は、地震応答(具体的には、最大応答加速度)、非構造部材データおよび最大層間変形角算出部102c1で算出した最大層間変形角に基づいて非構造部材損傷度を評価する。
再び図1に戻り、人的被害発生可能性評価部102dは、転倒・移動危険性評価部102bで算出した転倒確率(具体的には転倒確率算出部102b11で算出した転倒確率)、移動確率(具体的には移動確率算出部102b21で算出した移動確率)および移動量(具体的には移動量算出部102b22で算出した移動量)、非構造部材損傷度評価部102cで評価した非構造部材損傷度(具体的には部材単位非構造部材損傷度評価部102c2で評価した非構造部材損傷度)、設置物データ(具体的には、設置物の寸法(高さ・幅・奥行))ならびに部屋の床面積や在室者密度(在室者数でもよい)に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する。ここで、人的被害発生可能性評価部102dは、図5に示すように、室内設置物閉塞率算出部102d1と、室内天井閉塞率算出部102d2と、室内安全性評価部102d3と、室単位人的被害発生可能性評価部102d4と、をさらに備えて構成されている。図5は人的被害発生可能性評価部102dの構成を示すブロック図である。室内設置物閉塞率算出部102d1は、転倒確率、移動確率および移動量、設置物データ(具体的には、設置物の寸法(高さ・幅・奥行))ならびに部屋データ(具体的には、部屋の床面積)に基づいて、設置物の転倒や移動に因り部屋が閉塞される確率である室内設置物閉塞率を算出する。室内天井閉塞率算出部102d2は、非構造部材損傷度(具体的には、天井に関する非構造部材損傷度)および部屋データ(具体的には、部屋の床面積)に基づいて、天井の落下に因り部屋が閉塞される確率である室内天井閉塞率を算出する。室内安全性評価部102d3は、室内設置物閉塞率算出部102d1で算出した室内設置物閉塞率および室内天井閉塞率算出部102d2で算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内の安全性に関する室内安全性を評価する。室単位人的被害発生可能性評価部102d4は、室内安全性評価部102d3で評価した室内安全性および部屋データ(具体的には、在室者密度)に基づいて、人的被害発生可能性を評価する。
再び図1に戻り、建物内避難支障度評価部102eは、転倒・移動危険性評価部102bで評価した転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度評価部102cで評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する。ここで、建物内避難支障度評価部102eは、図6に示すように、室内避難支障度評価部102e1と、フロア内避難支障度評価部102e2と、共有部分避難支障度評価部102e3と、室単位建物内避難支障度評価部102e4と、をさらに備えて構成されている。図6は建物内避難支障度評価部102eの構成を示すブロック図である。室内避難支障度評価部102e1は、転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の室内における当該避難の支障の度合いを示す室内避難支障度を評価する。フロア内避難支障度評価部102e2は、非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際のフロア内における当該避難の支障の度合いを示すフロア内避難支障度を評価する。共有部分避難支障度評価部102e3は、非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の、階段やエレベータなどの共有部分における当該避難の支障の度合いを示す共有部分避難支障度を評価する。室単位建物内避難支障度評価部102e4は、室内避難支障度評価部102e1で評価した室内避難支障度、フロア内避難支障度評価部102e2で評価したフロア内避難支障度および共有部分避難支障度評価部102e3で評価した共有部分避難支障度に基づいて、建物内避難支障度を評価する。
再び図1に戻り、記憶部104は、ストレージ手段であり、例えば、RAM、ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。また、記憶部104には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記憶されている。そして、記憶部104は、上述した建物データ、地震動データ、設置物データ、床データ、非構造部材データおよび部屋データならびに各種処理の際に参照する後述するパラメータテーブル、グラフおよび表などの他、図示の如く、地震応答結果ファイル104aと、転倒・移動危険性結果ファイル104bと、非構造部材損傷度結果ファイル104cと、人的被害発生可能性結果ファイル104dと、建物内避難支障度結果ファイル104eと、を格納する。
地震応答結果ファイル104aは、建物の階番号と、地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度、最大層間変形)と、を相互に関連付けて格納する。転倒・移動危険性結果ファイル104bは、設置物の識別番号と、階番号と、転倒危険性と、移動危険性と、を相互に関連付けて格納する。非構造部材損傷度結果ファイル104cは、非構造部材の識別番号と、階番号と、非構造部材損傷度と、を相互に関連付けて格納する。人的被害発生可能性結果ファイル104dは、部屋の識別番号と、人的被害発生可能性と、を相互に関連付けて格納する。建物内避難支障度結果ファイル104eは、部屋の識別番号と、建物内避難支障度と、を相互に関連付けて格納する。
再び図1に戻り、入出力インターフェース部106は、入力装置108や出力装置110に接続する。ここで、出力装置110には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下で、出力装置110をモニタとして記載する場合がある。)。また、入力装置108には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
以上の構成において、地震時建物内被害評価装置100で行われるメイン処理について図7などを参照して説明する。図7は地震時建物内被害評価装置100で行われるメイン処理の一例を示すフローチャートである。
まず、地震時建物内被害評価装置100は、地震応答計算部102aで、建物データ(具体的には、構造種別、階数)および地震動データ(具体的には、最大加速度、最大速度)に基づいて、構造種別に対応する所定の応答評価式を用いて、地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度、最大層間変形)を階ごとに計算し、計算結果を地震応答結果ファイル104aの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−1)。
ここで、地震応答計算部102aで用いる応答評価式について、図10および図11を参照して説明する。図10は「S構造」の構造種別に対応する応答評価式の一例を示す図である。図11は「RC構造」の構造種別に対応する応答評価式の一例を示す図である。まず、「S構造」の構造種別に対応する最大応答加速度の式は、最上階(N階:Nは階数)に対しては図10に示すAccHで、中間階(N/2階)に対しては図10に示すAccMで、最下階(1階)に対しては図10に示すAccLで定義する。また、「S構造」の構造種別に対応する最大応答速度の式は、最上階(N階)に対しては図10に示すVelHで、中間階(N/2階)に対しては図10に示すVelMで、最下階(1階)に対しては図10に示すVelLで定義する。さらに、「S構造」の構造種別に対応する最大層間変形の式は、最上階(N階)に対しては図10に示すDisHで、中間階(0.7N階)に対しては図10に示すDisMで、最下階(1階)に対しては図10に示すDisLで定義する。つぎに、「RC構造」の構造種別に対応する最大応答加速度の式は、最上階(N階)に対しては図11に示すAccHで、中間階(N/2階)に対しては図11に示すAccMで、最下階(1階)に対しては図11に示すAccLで定義する。また、「RC構造」の構造種別に対応する最大応答速度の式は、最上階(N階)に対しては図11に示すVelHで、中間階(N/2階)に対しては図11に示すVelMで、最下階(1階)に対しては図11に示すVelLで定義する。さらに、「RC構造」の構造種別に対応する最大層間変形の式は、最上階(N階)に対しては図11に示すDisHで、中間階(0.7N階)に対しては図11に示すDisMで、最下階(1階)に対しては図11に示すDisLで定義する。なお、任意の階に対応する応答評価式については、図10や図11で定義した応答評価式を線形補間することで定義する。また、図10および図11に示すAmaxは入力加速度であり、その値は予め装置内部で定義されている。また、図10および図11に示すAは地震動データに含まれる最大加速度であり、図10および図11に示すVは地震動データに含まれる最大速度である。
また、ステップSA−1において、入力された地震動データが震度、断層距離および地盤種別であった場合、まず、地震応答計算部102aで、公知の技術(「Fukushima, Y. and T. Tanaka: A new attenuation relation for peak horizontal acceleration of strong earthquake ground motion in Japan, Shimizu Technical Research Bulletin, No.10, pp.1−11, March, 1991」、「Midorikawa, S.: Preliminary analysis for attenuation of peak ground velocity on stiff site, Procedure of the International Workshop on Strong Motion Data, 2, pp.39−48, 1993」)を用いて、これらから地震動の最大加速度および最大速度を算出し、つぎに、地震応答計算部102aで、算出した最大加速度および最大速度ならびに建物データ(具体的には、構造種別、階数)に基づいて、図10や図11に示す応答評価式を用いて、地震応答を階ごとに計算してもよい。
再び図7に戻り、地震時建物内被害評価装置100は、転倒・移動危険性評価部102bで、ステップSA−1で計算した階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて、転倒確率、移動確率および移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて移動危険性を設置物ごとに評価し、評価結果を転倒・移動危険性評価結果ファイル104bの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−2)。
ここで、ステップSA−2において、転倒・移動危険性評価部102bは、具体的には、転倒危険性評価部102b1で、階ごとの地震応答および設置物データおよび床データに基づいて転倒確率を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を設置物ごとに評価する。
より具体的には、転倒危険性評価部102b1は、まず、転倒確率算出部102b11で、地震応答、設置物データおよび床データに基づいて、以下に示す工程11から工程16により、転倒確率を算出する(「金子美香,地震時における家具転倒率の簡易推定法の提案,日本建築学会大会学術講演梗概集,2003年9月」参照)。
(工程11)まず、設置物データに含まれる設置物の高さと所定の閾値とを比較することで当該設置物を「高い(High:H)」または「低い(Low:L)」の2つに分類する。つぎに、2つに分類した設置物を対象に、さらに、設置物データに含まれる設置条件(具体的には、「壁際」、「背中合せ」、「独立」、「二段重ね」など)を考慮して、設置物を最終的に4つ(H1、H2、L1、L2)に分類する。具体的には、高さが150cm以上で且つ「壁際」以外に設置された設置物をH1と分類し、高さが150cm以上で且つ「壁際」に設置された設置物をH2と分類し、高さが90cm以上・150cm未満で且つ「壁際」以外に設置された設置物をL1と分類し、高さが90cm以上・150cm未満で且つ「壁際」に設置された設置物をL2と分類する。
(工程12)工程11での分類結果および床データ(具体的には、床の材質、床の滑り易さ(滑り難さ)または床の摩擦係数)に基づいて、記憶部104の所定の記憶領域に予め格納された図12に示すパラメータテーブルを参照して、設置物の滑り難さを表す係数αを取得する。図12は、転倒確率の算出の際に参照するパラメータテーブルの一例を示す図である。図12において、床Aとは、摩擦係数が0.2〜0.4の床(滑り易い床)であり、床Bとは摩擦係数が0.4〜0.6の床(滑り難い床)であり、床Cとは摩擦係数が0.6以上の床(滑らない床)である。ここで、係数αの値は、床と設置物との間の摩擦係数μ、および設置物の高さHと奥行Bとの比B/Hの大小関係を考慮して設定する。具体的には、設置物が滑らないと仮定される場合には係数αは1.0となり、設置物が非常に滑り易く且つ設置物が転倒する可能性が無い場合には係数αは0.0となる。また、設置物データに含まれる設置条件が「キャスター付」または「転倒防止器具付」であった場合には、設置物の寸法や床の材質に関わらず、当該設置物データに対応する設置物は転倒しないものとする。
(工程13)地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度)および設置物データに含まれる設置物の高さ・奥行に基づいて、下記に示す数式1および数式2を用いて、床応答の等価振動数および設置物の境界振動数を算出する。
Figure 2007109107
Figure 2007109107
なお、数式1において、Ffは床応答の等価振動数(単位は“Hz”)であり、Afは最大応答加速度(単位は“cm/s2”)であり、Vfは最大応答速度(単位は“cm/s”)である。また、数式2において、Fbは設置物の境界振動数(単位は“Hz”)であり、Hは設置物の高さ(単位は“cm”)であり、Bは設置物の奥行(単位は“cm”)である。
(工程14)工程11での分類結果ならびに工程13で算出した等価振動数および境界振動数に基づいて、図12に示すパラメータテーブルを参照して、パラメータζ(=(ζ1 2+ζ2 21/2:ζ1は設置物の寸法によるばらつきであり、ζ2はその他の要因(例えば地震動を示す波の特性など)によるばらつきである。)を取得する。
(工程15)工程11での分類結果、設置物データに含まれる設置物の高さ・奥行ならびに工程13で算出した等価振動数および境界振動数に基づいて、下記に示す数式3を用いて、パラメータλを算出する。
Figure 2007109107
Figure 2007109107
なお、数式3において、AR=50は、床が滑らないという条件下で転倒確率Rが50%となる際の床応答加速度(単位は“cm/s2”)であり、VR=50は、数式4で定義される、床が滑らないという条件下で転倒確率Rが50%となる際の床応答速度(単位は“cm/s”)であり、gは重力加速度(単位は“cm/s2”)である。ここで、H2およびL2に分類された設置物を対象とする場合、数式3で算出したAR=50の値および数式4で算出したVR=50の値は1.5倍にする。
(工程16)地震応答(具体的には、最大応答加速度)、工程12で取得した係数α、工程14で取得したパラメータζおよび工程15で算出したパラメータλに基づいて、下記に示す数式5を用いて、転倒確率を算出する。
Figure 2007109107
なお、数式5において、Rは転倒確率であり、Φは平均λで標準偏差ζの正規分布関数である。
そして、より具体的には、転倒危険性評価部102b1は、つぎに、物単位転倒危険性評価部102b12で、転倒確率算出部102b11で算出した転倒確率に基づいて、図13に示すグラフ(曲線)を参照して、転倒危険性を評価する。図13は、床応答加速度または床応答速度と転倒確率との関係についての曲線の一例を示す図である。なお、図13では、転倒危険性を4段階(具体的には、「低い」、「やや高い」、「高い」および「非常に高い」)で評価する。具体的には、転倒確率が50%以上の場合は転倒危険性を「非常に高い」と評価し、転倒確率が20%超・50%未満の場合は転倒危険性を「高い」と評価し、転倒確率が2%超・20%以下の場合は転倒危険性を「やや高い」と評価し、転倒確率が2%以下の場合は転倒危険性を「低い」と評価する。
また、ステップSA−2において、転倒・移動危険性評価部102bは、具体的には、移動危険性評価部102b2で、地震応答、設置物データおよび床データに基づいて、移動確率および移動量を設置物ごとに算出し、算出した移動確率および移動量に基づいて移動危険性を設置物ごとに評価する。
より具体的には、移動危険性評価部102b2は、まず、移動確率算出部102b21で、地震応答、設置物データおよび床データに基づいて、以下に示す工程31および工程32により、移動確率を算出する。
(工程31)上述した工程11と同様、設置物を最終的に4つ(H1、H2、L1、L2)に分類する。
(工程32)工程31での分類結果、設置物データに含まれる付属物(具体的には、キャスター付、転倒防止器具付など)および床データ(具体的には、床の材質、床の滑り易さ(滑り難さ)または床の摩擦係数)に基づいて、記憶部104の所定の記憶領域に予め格納された図14に示すパラメータテーブルを参照して、移動確率を取得する。図14は、移動確率の算出の際に参照するパラメータテーブルを示す図である。ここで、移動確率は、上述した工程12で取得した、設置物の滑り難さを表す係数αを用いて、1−αで表すこととする。
そして、より具体的には、移動危険性評価部102b2は、つぎに、移動量算出部102b22で、地震応答、設置物データおよび床データに基づいて、以下に示す工程41から工程43により、移動量を算出する(「金子美香ら,地震時における家具滑り量の簡易評価−新しい滑り量の推定式を用いて−,日本建築学会大会学術講演梗概集,1999年9月」、「金子美香,地震時の剛体の転倒限界と移動量に関する検討,日本建築学会構造工学論文集,Vol.43B,1997年3月」参照)。
(工程41)地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大応答速度)に基づいて、下記に示す数式6を用いて、床応答の等価振動数を算出する。
Figure 2007109107
なお、数式6において、Ffは床応答の等価振動数(単位は“Hz”)であり、Afは最大応答加速度(単位は“cm/s2”)であり、Vfは最大応答速度(単位は“cm/s”)である。
(工程42)工程41で算出した等価振動数、設置物データに含まれる付属物(具体的には、キャスター付、転倒防止器具付など)および床データ(具体的には、床の材質、床の滑り易さ(滑り難さ)または床の摩擦係数)に基づいて、下記に示す数式7を用いて、設置物が滑り始める速度を算出する。
Figure 2007109107
なお、数式7において、V0は設置物が滑り始める速度(単位は“cm/s”)であり、μは設置物と床との間の摩擦係数であり、gは重力加速度(単位は“cm/s2”)である。なお、摩擦係数μの値は、設置物がキャスター付の場合は0.05、床が滑り易い場合は0.2、床が滑り難い場合は0.4、床が滑らない場合は0.6に設定する。
(工程43)地震応答(具体的には、最大応答速度)、工程41で算出した等価振動数、工程42で算出した設置物が滑り始める速度および摩擦係数に基づいて、下記に示す数式8を用いて、設置物が移動する移動量を算出する。なお、設置物の移動量と床応答速度との関係についての曲線は、図15に示す通りである。図15は、設置物の移動量と床応答速度との関係についての曲線の一例を示す図である。
Figure 2007109107
なお、数式8において、δは設置物が移動する移動量(単位は“cm”)であり、Vfは最大応答速度(単位は“cm/s”)である。
そして、より具体的には、移動危険性評価部102b2は、つぎに、物単位移動危険性評価部102b23で、移動確率算出部102b21で算出した移動確率および移動量算出部102b22で算出した移動量に基づいて、図16に示す表を参照して、移動危険性を評価する。図16は、移動危険性の評価の際に参照する表の一例を示す図である。なお、図16では、移動危険性を4段階(具体的には、「低い」、「やや高い」、「高い」および「非常に高い」)で評価する。
再び図7に戻り、地震時建物内被害評価装置100は、非構造部材損傷度評価部102cで、ステップSA−1で計算した階ごとの地震応答(具体的には、最大応答加速度、最大層間変形)、非構造部材データおよび建物データ(具体的には、各階の階高)に基づいて、非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価し、評価結果を非構造部材損傷度結果ファイル104cの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−3)。
ここで、ステップSA−3において、非構造部材損傷度評価部102cは、具体的には、最大層間変形角算出部102c1で、地震応答の1つである最大層間変形および建物データに含まれる各階の階高に基づいて、各階の最大層間変形角を算出する。そして、非構造部材損傷度評価部102cは、部材単位非構造部材損傷度評価部102c2で、最大層間変形角算出部102c1で算出した最大層間変形角、地震応答の1つである最大応答加速度および非構造部材データに含まれる非構造部材の種類に基づいて、図17や図18に示す表を参照して、非構造部材損傷度を評価する。図17および図18は、非構造部材損傷度を評価する際に参照する表の一例を示す図である。なお、図17および図18において、Rは最大層間変形角であり、Aは最大応答加速度である。
再び図7に戻り、地震時建物内被害評価装置100は、人的被害発生可能性評価部102dで、ステップSA−2で算出した転倒確率、移動確率および移動量、ステップSA−3で評価した非構造部材損傷度、設置物データならびに部屋データに基づいて、人的被害発生可能性を部屋ごとに評価し、評価結果を人的被害発生可能性結果ファイル104dの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−4:人的被害発生可能性評価処理)。
ここで、人的被害発生可能性評価部102dが行う人的被害発生可能性評価処理について図8を参照して説明する。図8は、人的被害発生可能性評価部102dが行う人的被害発生可能性評価処理の一例を示すフローチャートである。
まず、人的被害発生可能性評価部102dは、室内設置物閉塞率算出部102d1で、転倒確率、移動確率および移動量、設置物データに含まれる寸法(高さ・奥行・幅)ならびに部屋データに含まれる部屋の床面積に基づいて、下記に示す数式9を用いて、室内設置物閉塞率を算出する(ステップSB−1)。
Figure 2007109107
なお、数式9において、Bは室内設置物閉塞率であり、Aoは下記に示す数式10で定義される設置物の転倒に因る占有面積であり、Asは下記に示す数式11で定義される設置物の移動に因る占有面積であり、Agは部屋の床面積であり、Afは設置物で常時占有されている面積である(図19参照)。
Figure 2007109107
なお、数式10において、Ro,jは設置物jの転倒確率であり、So,jは下記に示す数式12で定義される設置物jの転倒時の占有面積である。
Figure 2007109107
なお、数式11において、Rs,jは設置物jの移動確率であり、Ss,jは下記に示す数式13で定義される設置物jの移動時の占有面積である。
Figure 2007109107
なお、数式12において、Djは設置物jの幅であり、Hjは設置物jの高さである。
Figure 2007109107
なお、数式13において、δjは設置物jの移動量であり、Bjは設置物jの奥行である。
つぎに、人的被害発生可能性評価部102dは、室内天井閉塞率算出部102d2で、天井に関する非構造部材損傷度および部屋データに含まれる部屋の床面積に基づいて、下記に示す数式14を用いて、室内天井閉塞率を算出する(ステップSB−2)。
Figure 2007109107
なお、B'は室内天井閉塞率であり、Adは天井の落下に因る占有面積である。
つぎに、人的被害発生可能性評価部102dは、室内安全性評価部102d3で、ステップSB−1で算出した室内設置物閉塞率およびステップSB−2で算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内安全性を評価する(ステップSB−3)。
つぎに、人的被害発生可能性評価部102dは、室単位人的被害発生可能性評価部102d4で、ステップSB−3で評価した室内安全性および部屋データに含まれる在室者密度に基づいて、人的被害発生可能性を評価する(ステップSB−4)。
これにて、人的被害発生可能性評価処理の説明を終了する。
再び図7に戻り、地震時建物内被害評価装置100は、建物内避難支障度評価部102eで、ステップSA−2で評価した転倒危険性および移動危険性ならびにステップSA−3で評価した非構造部材損傷度に基づいて、建物内避難支障度を部屋ごとに評価し、評価結果を建物内避難支障度評価結果ファイル104eの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−5:建物内避難支障度評価処理)。
ここで、建物内避難支障度評価部102eが行う建物内避難支障度評価処理について図9を参照して説明する。図9は、建物内避難支障度評価部102eで行われる建物内避難支障度評価処理の一例を示すフローチャートである。
まず、建物内避難支障度評価部102eは、室内避難支障度評価部102e1で、室内の設置物に関する転倒危険性および移動危険性ならびに室内の天井や壁に関する非構造部材損傷度に基づいて、室内避難支障度(具体的には、「支障なし」、「支障あり」、「支障大」)を評価する(ステップSC−1)。
つぎに、建物内避難支障度評価部102eは、ステップSC−1での評価結果が「支障大」でなかった場合(ステップSC−2:No)、フロア内避難支障度評価部102e2で、フロア内の天井や壁、避難扉に関する非構造部材損傷度に基づいて、フロア内避難支障度(具体的には、「支障なし」、「支障あり」、「支障大」)を評価する(ステップSC−3)。
つぎに、建物内避難支障度評価部102eは、ステップSC−3での評価結果が「支障大」でなかった場合(ステップSC−4:No)、共有部分避難支障度評価部102e3で、避難階段やエレベータなどの共有部分に関する非構造部材損傷度に基づいて、共有部分避難支障度(具体的には、「支障なし」、「支障あり」、「支障大」)を評価する(ステップSC−5)。
つぎに、建物内避難支障度評価部102eは、ステップSC−5での評価結果が「支障大」でなく(ステップSC−6:No)、さらにステップSC−1、ステップSC−3およびステップSC−5での評価結果が全て「支障なし」であった場合(ステップSC−7:Yes)、室単位建物内避難支障度評価部102e4で、建物内避難支障度を「支障なし」と評価する(ステップSC−8)。また、建物内避難支障度評価部102eは、ステップSC−5での評価結果が「支障大」でなく(ステップSC−6:No)、さらにステップSC−1、ステップSC−3およびステップSC−5での評価結果が全て「支障なし」でなかった場合(ステップSC−7:No)、室単位建物内避難支障度評価部102e4で、建物内避難支障度を「支障あり」と評価する(ステップSC−9)。また、建物内避難支障度評価部102eは、ステップSC−1での評価結果が「支障大」であった場合(ステップSC−2:Yes)、ステップSC−3での評価結果が「支障大」であった場合(ステップSC−4:Yes)、ステップSC−5での評価結果が「支障大」であった場合(ステップSC−6:Yes)、室単位建物内避難支障度評価部102e4で、建物内避難支障度を「支障大」と評価する(ステップSC−10)。
これにて、建物内避難支障度評価処理の説明を終了する。
これにて、メイン処理の説明を終了する。
つぎに、操作者が各種データを入力するための入力画面や地震時建物内被害評価装置100が評価した各種評価結果などを出力するための出力画面の一例について、図20から図28を参照して説明する。
図20は、建物データなどの入力画面の一例を示す図である。図20に示す入力画面は、主に、建物名称を入力するための建物名称入力領域と、建物の所在地を入力するための所在地称入力領域と、建物の用途を入力するための用途入力領域と、建物の階数(地下、地上、塔屋)を入力するための階数入力領域と、構造種別を入力する構造種別入力領域と、地盤種別を入力するための地盤種別入力領域と、建物の基礎形式を入力するための基礎形式入力領域と、で構成されている。図20では、主に、建物データに含まれる階数および構造種別ならびに地震動データに含まれる地盤種別を操作者が入力する。
図21は、地震動データの入力画面の一例を示す図である。図21に示す入力画面は、入力定義方法(「マグニチュードと距離」、「加速度と速度」)を選択するための入力定義方法選択領域と、入力定義方法として「マグニチュードと距離」が選択された際にマグニチュード、断層距離および地盤種別を入力するためのマグニチュード等入力領域と、入力定義方法として「加速度と速度」が選択された際に最大加速度および最大速度を入力するための加速度等入力領域と、マグニチュード等入力領域に入力されたデータに基づいて地震時建物内被害評価装置100が算出した最大加速度、最大速度および最大加速度と最大速度との比を表示するための加速度等表示領域と、加速度等入力領域に入力されたデータに基づいて地震時建物内被害評価装置100が算出した最大加速度と最大速度との比を表示するための加速度・速度比表示領域と、で構成されている。なお、図20で地盤種別が入力された場合、マグニチュード等入力領域における地盤種別の項には、図20で入力された地盤種別を表示する。図21では、主に、地震動データに含まれる震度、断層距離および地盤種別または最大加速度および最大速度を操作者が入力する。
図22は、地震応答の計算結果の出力画面の一例を示す図である。図22に示す出力画面は、地震時建物内被害評価装置100が算出した最大応答加速度を階ごとに点で表示するための最大応答加速度表示領域と、地震時建物内被害評価装置100が算出した最大応答速度を階ごとに点で表示するための最大応答速度表示領域と、地震時建物内被害評価装置100が算出した最大層間変形を階ごとに点で表示するための最大層間変形表示領域と、で構成されている。
図23は、設置物データの入力画面の一例を示す図である。図23に示す入力画面は、設置物(図23では家具や什器)を識別する記号を入力するための識別記号入力領域と、設置物の名称を入力するための名称入力領域と、設置物の寸法(高さ、奥行)を入力するための寸法入力領域と、寸法入力領域に入力されたデータに基づいて地震時建物内被害評価装置100が算出した高さと奥行との比を表示するための高さ・奥行比表示領域と、設置物の配置が壁際であることを入力するための配置入力領域と、設置物にキャスターが付いていることを入力するためのキャスター入力領域と、備考と、で構成されている。図23では、主に、設置物データに含まれる寸法、付属物および設置条件を操作者が入力する。
図24は、床データの入力画面の一例を示す図である。図24に示す入力画面は、階ごとに床面の滑り易さをドロップダウンリストから選択するための床面選択領域で構成されている。図24では、床データに含まれる床の滑り易さ(滑り難さ)を操作者が選択する。
図25は、転倒危険性の評価結果の出力画面の一例を示す図である。図25に示す出力画面は、地震時建物内被害評価装置100が評価した各設置物の各階における転倒危険性を表示するための転倒危険性表示領域で構成されている。
図26は、移動危険性の評価結果の出力画面の一例を示す図である。図26に示す出力画面は、地震時建物内被害評価装置100が評価した各設置物の各階における移動危険性を表示するための移動危険性表示領域で構成されている。
図27は、非構造部材データの入力画面の一例を示す図である。図27に示す入力画面は、主に、非構造部材の種類を選択するための種類選択領域(プルダウンメニュー)と、種類選択領域で選択した種類の非構造部材が配設されている階を指示するための指示領域(チェックボックス)と、で構成されている。なお、種類選択領域で選択可能な種類は、外壁については「カーテンウォール(金属・ガラス)」、「カーテンウォール(プレキャストコンクリート)」、「ALC(挿入金工法)」、「ALC(その他の工法)」、「コンクリート打ち放し」、「ラスモルタル」、「タイル・石貼り(乾式工法)」、「ガラス・サッシ(弾性シーリング)」、「ガラス・サッシ(硬化性パテ)」であり、内壁については「軸組下地ボード」、「ALC」、「コンクリート下地直張りボード」、「コンクリート下地モルタル塗り」、「コンクリートブロック」であり、扉については「一般扉」、「耐震扉」であり、天井については「在来天井」、「システム天井(ラインタイプ)」、「システム天井(クロスタイプ)」である。また、図27には、エレベータ(ELV)の設定値を表示するための領域も含まれており、予め入力された建物の高さに応じた所定の値が表示されている。図27では、主に、非構造部材データに含まれる種類を操作者が選択すると共に、その種類の非構造部材の配設階も指示する。
図28は、非構造部材損傷度の評価結果の出力画面の一例を示す図である。図28に示す出力画面は、地震時建物内被害評価装置100が評価した各非構造部材の各階における非構造部材損傷度を表示するための非構造部材損傷度表示領域で構成されている。なお、図28には、地震時建物内被害評価装置100が評価したエレベータに関する非構造部材損傷度を表示するための領域も含まれている。
以上、説明したように、地震時建物内被害評価装置100によれば、建物データおよび地震動データに基づいて建物の地震応答を階ごとに計算し、計算した階ごとの地震応答、設置物データおよび床データに基づいて転倒確率、移動確率および移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて移動危険性を設置物ごとに評価し、計算した階ごとの地震応答、建物データおよび非構造部材データに基づいて非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価し、転倒確率、移動確率および移動量、非構造部材損傷度、設置物データならびに部屋データに基づいて人的被害発生可能性を部屋ごとに評価し、転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて建物内避難支障度を部屋ごとに評価するので、建物の所有者や使用者など専門家以外の個人でも容易に利用することができる。具体的には、操作者が入力する情報は建物データ、地震動データ、設置物データ、床データ、非構造部材データおよび部屋データであり、これらデータは専門家以外の個人でも判り易く、また容易に収集可能であるので、個人でも容易に利用することができる。また、各種評価結果はランクに分けて指標化される(ランクに分けて定量される)ので、専門家以外の個人でも容易に評価結果の意味を理解することができる。また、建物の使用者や所有者など専門家以外の個人が地震時建物内被害評価装置100を利用して各建物について地震時の各種危険性の程度を把握することにより、地震時建物内被害評価装置100は人々の防災意識の向上に役立つ。また、設置物データに含まれる付属物に関し、転倒防止器具付といった転倒防止対策の有無や種類を加えることにより、設置物に施した転倒防止対策が室内の地震時危険性の軽減にどの程度効果があるかを定量的に把握することができる。また、非構造部材データの種類を変えることにより、耐震性の高い部材に変えた場合に、室内の地震時危険性の軽減にどの程度影響があるかを定量的に把握することができる。
また、地震時建物内被害評価装置100によれば、転倒確率、移動確率および移動量、設置物データならびに部屋データに基づいて室内設置物閉塞率を算出し、非構造部材損傷度および部屋データに基づいて室内天井閉塞率を算出し、算出した室内設置物閉塞率および室内天井閉塞率に基づいて室内安全性を評価し、評価した室内安全性および部屋データに基づいて人的被害発生可能性を評価するので、部屋の設置物の転倒や移動だけでなく部屋の天井の落下や在室者の密度も考慮することにより、より厳密に人的被害発生可能性を部屋ごとに評価することができる。
また、地震時建物内被害評価装置100によれば、転倒危険性および移動危険性ならびに非構造部材損傷度に基づいて室内避難支障度を評価し、非構造部材損傷度に基づいてフロア内避難支障度を評価し、非構造部材損傷度に基づいて共有部分避難支障度を評価し、評価した室内避難支障度、フロア内避難支障度および共有部分避難支障度に基づいて建物内避難支障度を評価するので、実際の避難経路を想定して建物内避難支障度を部屋ごとに評価することができる。
また、地震時建物内被害評価装置100によれば、各種処理において簡易な評価方法を用いて各種評価を行っているので、高度な解析技術や専門家による判断などは不要である。また、地震時建物内被害評価装置100によれば、各種処理において簡易な評価方法を用いて各種評価を行っているので、個別の建物に関して各種評価を短時間で瞬時に行うことができる。これにより、図29に示すように、複数の建物からなる建物群に関しても各種評価を短時間で行うことができる。図29は複数の地域の高層建物群における設置物の転倒危険性を評価した結果の一例を示す図である。これにより、地域全体での防災計画を考える際、地震時建物内被害評価装置100を効果的に用いることができる。
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。例えば、本明細書では、地震時建物内被害評価装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、地震時建物内被害評価装置100とは別筐体で構成されるクライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するように構成してもよい。また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、地震時建物内被害評価装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、地震時建物内被害評価装置100の各部または各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行なわれる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。なお、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて地震時建物内被害評価装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部104などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAM等にロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
また、本発明にかかる地震時建物内被害評価プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」や、各種コンピュータシステムに内蔵されるROM、RAM、HD等の任意の「固定用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。ここで、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
また、地震時建物内被害評価装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理端末等の情報処理装置にプリンタやモニタやイメージスキャナ等の周辺装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。また、地震時建物内被害評価装置100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、各データベースを独立したデータベース装置として独立に構成してもよく、また、処理の一部をCGI(Common Gateway Interface)を用いて実現してもよい。
以上のように、本発明にかかる地震時建物内被害評価方法、地震時建物内被害評価プログラム、地震時建物内被害評価装置および記録媒体は、特に建物の地震リスク対策や防災対策の推進において好適に用いることができる。
地震時建物内被害評価装置100の構成を示すブロック図である。 転倒危険性評価部102b1の構成を示すブロック図である。 移動危険性評価部102b2の構成を示すブロック図である。 非構造部材損傷度評価部102cの構成を示すブロック図である。 人的被害発生可能性評価部102dの構成を示すブロック図である。 建物内避難支障度評価部102eの構成を示すブロック図である。 地震時建物内被害評価装置100で行われるメイン処理の一例を示すフローチャートである。 人的被害発生可能性評価部102dで行われる人的被害発生可能性評価処理の一例を示すフローチャートである。 建物内避難支障度評価部102eで行われる建物内避難支障度評価処理の一例を示すフローチャートである。 「S構造」の構造種別に対応する応答評価式の一例を示す図である。 「RC構造」の構造種別に対応する応答評価式の一例を示す図である。 転倒確率の算出の際に参照するパラメータテーブルの一例を示す図である。 床応答加速度または床応答速度と転倒確率との関係についての曲線の一例を示す図である。 移動確率の算出の際に参照するパラメータテーブルを示す図である。 設置物の移動量と床応答速度との関係についての曲線の一例を示す図である。 移動危険性の評価の際に参照する表の一例を示す図である。 非構造部材損傷度を評価する際に参照する表の一例を示す図である。 非構造部材損傷度を評価する際に参照する表の一例を示す図である。 部屋における各設置物の配置および各設置物の転倒や移動により占有される領域の一例を示す図である。 建物データなどの入力画面の一例を示す図である。 地震動データの入力画面の一例を示す図である。 地震応答の計算結果の出力画面の一例を示す図である。 設置物データの入力画面の一例を示す図である。 床データの入力画面の一例を示す図である。 転倒危険性の評価結果の出力画面の一例を示す図である。 移動危険性の評価結果の出力画面の一例を示す図である。 非構造部材データの入力画面の一例を示す図である。 非構造部材損傷度の評価結果の出力画面の一例を示す図である。 複数の地域の高層建物群における設置物の転倒危険性を評価した結果の一例を示す図である。
符号の説明
100 地震時建物内被害評価装置
102 制御部
102a 地震応答計算部
102b 転倒・移動危険性評価部
102b1 転倒危険性評価部
102b11 転倒確率算出部
102b12 物単位転倒危険性評価部
102b2 移動危険性評価部
102b21 移動確率算出部
102b22 移動量算出部
102b23 物単位移動危険性評価部
102c 非構造部材損傷度評価部
102c1 最大層間変形角算出部
102c2 部材単位非構造部材損傷度評価部
102d 人的被害発生可能性評価部
102d1 室内設置物閉塞率算出部
102d2 室内天井閉塞率算出部
102d3 室内安全性評価部
102d4 室単位人的被害発生可能性評価部
102e 建物内避難支障度評価部
102e1 室内避難支障度評価部
102e2 フロア内避難支障度評価部
102e3 共有部分避難支障度評価部
102e4 室単位建物内避難支障度評価部
104 記憶部
104a 地震応答結果ファイル
104b 転倒・移動危険性結果ファイル
104c 非構造部材損傷度結果ファイル
104d 人的被害発生可能性結果ファイル
104e 建物内避難支障度結果ファイル
106 入出力インターフェース部
108 入力装置
110 出力装置

Claims (8)

  1. 地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価方法であって、
    建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算ステップ、
    前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価ステップ、
    前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価ステップ
    ならびに
    前記転倒・移動危険性評価ステップで算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価ステップ、および/または前記転倒・移動危険性評価ステップで評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価ステップ
    を含むことを特徴とする地震時建物内被害評価方法。
  2. 前記人的被害発生可能性評価ステップは、
    前記設置物の転倒確率、前記設置物の移動確率および前記設置物の移動量、前記設置物データならびに前記部屋データに基づいて、設置物の転倒や移動に因り部屋が閉塞される確率である室内設置物閉塞率を算出する室内設置物閉塞率算出ステップと、
    前記非構造部材損傷度および前記部屋データに基づいて、天井の落下に因り部屋が閉塞される確率である室内天井閉塞率を算出する室内天井閉塞率算出ステップと、
    前記室内設置物閉塞率算出ステップで算出した室内設置物閉塞率および前記室内天井閉塞率算出ステップで算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内の安全性に関する室内安全性を評価する室内安全性評価ステップと、
    前記室内安全性評価ステップで評価した室内安全性および前記部屋データに基づいて、人的被害発生可能性を評価する室単位人的被害発生可能性評価ステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の地震時建物内被害評価方法。
  3. 前記建物内避難支障度評価ステップは、
    前記設置物の転倒危険性および前記設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の室内における当該避難の支障の度合いを示す室内避難支障度を評価する室内避難支障度評価ステップと、
    前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際のフロア内における当該避難の支障の度合いを示すフロア内避難支障度を評価するフロア内避難支障度評価ステップと、
    前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の、階段やエレベータなどの共有部分における当該避難の支障の度合いを示す共有部分避難支障度を評価する共有部分避難支障度評価ステップと、
    前記室内避難支障度評価ステップで評価した室内避難支障度、前記フロア内避難支障度評価ステップで評価したフロア内避難支障度および前記共有部分避難支障度評価ステップで評価した共有部分避難支障度に基づいて、建物内避難支障度を評価する室単位建物内避難支障度評価ステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の地震時建物被害評価方法。
  4. 地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価方法をコンピュータに実行させる地震時建物内被害評価プログラムであって、
    建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算ステップ、
    前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価ステップ、
    前記地震応答計算ステップで計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価ステップ
    ならびに
    前記転倒・移動危険性評価ステップで算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価ステップ、および/または前記転倒・移動危険性評価ステップで評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価ステップで評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価ステップ
    を含むことを特徴とする地震時建物内被害評価プログラム。
  5. 前記人的被害発生可能性評価ステップは、
    前記設置物の転倒確率、前記設置物の移動確率および前記設置物の移動量、前記設置物データならびに前記部屋データに基づいて、設置物の転倒や移動に因り部屋が閉塞される確率である室内設置物閉塞率を算出する室内設置物閉塞率算出ステップと、
    前記非構造部材損傷度および前記部屋データに基づいて、天井の落下に因り部屋が閉塞される確率である室内天井閉塞率を算出する室内天井閉塞率算出ステップと、
    前記室内設置物閉塞率算出ステップで算出した室内設置物閉塞率および前記室内天井閉塞率算出ステップで算出した室内天井閉塞率に基づいて、室内の安全性に関する室内安全性を評価する室内安全性評価ステップと、
    前記室内安全性評価ステップで評価した室内安全性および前記部屋データに基づいて、人的被害発生可能性を評価する室単位人的被害発生可能性評価ステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の地震時建物内被害評価プログラム。
  6. 前記建物内避難支障度評価ステップは、
    前記設置物の転倒危険性および前記設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の室内における当該避難の支障の度合いを示す室内避難支障度を評価する室内避難支障度評価ステップと、
    前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際のフロア内における当該避難の支障の度合いを示すフロア内避難支障度を評価するフロア内避難支障度評価ステップと、
    前記非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の、階段やエレベータなどの共有部分における当該避難の支障の度合いを示す共有部分避難支障度を評価する共有部分避難支障度評価ステップと、
    前記室内避難支障度評価ステップで評価した室内避難支障度、前記フロア内避難支障度評価ステップで評価したフロア内避難支障度および前記共有部分避難支障度評価ステップで評価した共有部分避難支障度に基づいて、建物内避難支障度を評価する室単位建物内避難支障度評価ステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載の地震時建物内被害評価プログラム。
  7. 前記請求項4から6のいずれか1つに記載された地震時建物内被害評価プログラムを記録したこと
    を特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  8. 地震発生時の建物内における被害の状況を評価する地震時建物内被害評価装置であって、
    建物の諸元に関する予め入力された建物データおよび地震動の大きさに関する予め入力された地震動データに基づいて、当該地震動に対する当該建物の地震応答を階ごとに計算する地震応答計算手段、
    前記地震応答計算手段で計算した階ごとの地震応答、建物内に設置された設置物の諸元や設置条件に関する予め入力された設置物データおよび床の材質、床の滑り易さ、床の摩擦係数のうち少なくとも1つに関する予め入力された床データに基づいて、設置物が転倒する転倒確率、設置物が移動する移動確率および設置物が移動する移動量を設置物ごとに算出し、算出した転倒確率に基づいて設置物が転倒する転倒危険性を設置物ごとに評価すると共に、算出した移動確率および移動量に基づいて設置物が移動する移動危険性を設置物ごとに評価する転倒・移動危険性評価手段、
    前記地震応答計算手段で計算した階ごとの地震応答、前記建物データおよび各階に配設された天井や壁、扉などの非構造部材の種類に関する予め入力された非構造部材データに基づいて、非構造部材の損傷の度合いを示す非構造部材損傷度を非構造部材ごとに評価する非構造部材損傷度評価手段
    ならびに
    前記転倒・移動危険性評価手段で算出した設置物の転倒確率、設置物の移動確率および設置物の移動量、前記非構造部材損傷度評価手段で評価した非構造部材損傷度、前記設置物データならびに部屋の床面積や在室者密度に関する予め入力された部屋データに基づいて、人的被害が部屋の在室者に発生する可能性を示す人的被害発生可能性を部屋ごとに評価する人的被害発生可能性評価手段、および/または前記転倒・移動危険性評価手段で評価した設置物の転倒危険性および設置物の移動危険性ならびに前記非構造部材損傷度評価手段で評価した非構造部材損傷度に基づいて、在室者が避難する際の建物内における当該避難の支障の度合いを示す建物内避難支障度を部屋ごとに評価する建物内避難支障度評価手段
    を備えたことを特徴とする地震時建物内被害評価装置。
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