JP5469481B2 - モータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネット材をロータコアのマグネット孔へ挿入する際の衝撃によってマグネット材に割れや欠けが発生することを防止することができるモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法及び装置に関する。
近年、例えばモータの回転子を構成するロータコアにおいては、そのマグネット孔にマグネット材を挿入し、その後モールド樹脂をマグネット孔とマグネット材との間の隙間に充填してマグネット材をロータコアに固定する方法が採用されている。この方法は、従来の接着剤を使用する方法に比べてロータコアの品質や生産性に優れている。
マグネット材は粉末状のフェライトを焼結して形成され、脆いという性質を有することから、衝撃を受けたときに弱いという欠点がある。このため、マグネット材をマグネット孔に挿入する場合、挿入の際に他の部品に当るとその衝撃によってマグネット材の一部に割れや欠けが生じるおそれがある。
そして、マグネット孔へのマグネット材の挿入方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。すなわち、その方法は、ロータコアをテーブルとともにマグネット材がマグネット孔から滑り落ちない角度まで傾斜させる第1工程と、ロータコアを傾斜させた状態でマグネット材をマグネット孔に挿入する第2工程と、傾斜させたロータコア及びテーブルを水平に戻す第3工程とを有するものである。この方法によれば、マグネット材に与える衝撃を低減させてマグネット材の割れや欠けの発生を抑制することができる。
特開2008−113530号公報
ところで、ロータコアは多数の薄い電磁鋼板が積層されて構成され、そのロータコアの軸線に対して平行にマグネット孔が穿設されている。従って、特許文献1に記載されている方法のようにロータコアを傾けると、ロータコアの自重で各電磁鋼板が位置ずれを生じてロータコアが崩れ、各鋼板のマグネット孔が位置ずれを起こす。
特許文献1に記載の方法では、ロータコアを支持するテーブルの傾斜角すなわちロータコアの傾斜角が水平に対して60〜85度という高い傾斜角であることから、マグネット孔へのマグネット材の挿入時にマグネット材が損傷を受けるおそれは依然として解消されていない。
そこで、本発明の目的とするところは、ロータコア等のモータコアの電磁鋼板の整列状態を維持することができるとともに、マグネット孔へのマグネット材の挿入時における衝撃によってマグネット材に割れや欠けが発生することを防止することができるモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法及び装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法は、マグネット材挿入用のマグネット孔が形成されたモータコアをその軸線が鉛直方向となるように設置するとともに、モータコア上にはマグネット孔に連通する連通孔を有するテンプレートを設け、該テンプレートに設けられた保持手段によりマグネット材を連通孔の周壁方向に押圧して保持しながらマグネット孔へ挿入するとともに、プッシャーのエア吸引部でマグネット材を上方へ吸引して吸着しながら、前記プッシャーによりマグネット材をマグネット孔に挿入することを特徴とする。
請求項に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法は、請求項に係る発明において、前記マグネット材が保持手段に対向する位置にあるときにはマグネット材を保持手段で保持し、その後マグネット材がマグネット孔に挿入されたときにはエア吸引部によってマグネット材を上方へ吸引して吸着保持することを特徴とする。
請求項4に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置は、請求項1又は請求項2に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法に用いられる装置であって、モータコアをその軸線が鉛直方向となるように設置する基台と、該基台上のモータコアに形成された複数のマグネット孔に連通する連通孔を有するテンプレートと、該テンプレートに設けられマグネット材を連通孔の周壁方向に押圧して保持する保持手段と、マグネット材を連通孔を介してマグネット孔に挿入するためのプッシャーと、該プッシャーに設けられてマグネット材を上方に吸引して吸着保持するエア吸引部と
を備えることを特徴とするモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置。
請求項に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置は、請求項に係る発明において、前記プッシャーに設けられマグネット材を吸着するエア吸引部を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置は、請求項又は請求項に係る発明において、前記保持手段はボールプランジャであることを特徴とする。
請求項に記載の発明のロータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置は、請求項から請求項のいずれか1項に係る発明において、前記連通孔のマグネット材挿入側端部には、開口側ほど拡幅するテーパ面が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のマグネット材の挿入方法では、マグネット材がマグネット孔に挿入完了されるまでモータコアの軸線が鉛直方向に維持されることから、モータコアの形状は崩れることがない。また、マグネット材が連通孔に挿入され、さらにマグネット孔に挿入されるときには保持手段で保持されることから、落下が防止される。
従って、ロータコア等のモータコアの電磁鋼板の整列状態を維持することができるとともに、マグネット孔へのマグネット材の挿入時における衝撃によってマグネット材に割れや欠けが発生することを防止することができる。
本発明の実施形態におけるマグネット材をロータコアのマグネット孔に挿入したとき、ボールプランジャに保持されながら挿入される状態を示す断面図。 テンプレート内に埋設されたボールプランジャが連通孔に挿入されたマグネット材を押圧、保持する状態を拡大して示す部分拡大断面図。 ロータコアの複数のマグネット孔にマグネット材を挿入した状態を示す平断面図。 ロータコアのマグネット孔にマグネット材を挿入する状態を示す斜視図。 マグネット材を自動挿入機でテンプレートの連通孔に挿入する状態を示す断面図。 図5の状態からマグネット材をさらに挿入したとき、エア吸引部でエアが吸引されてマグネット材が吸着され、落下することなく挿入が完了した状態を示す断面図。 保持手段の別例として、テンプレート内にエア吹き出し通路を設け、そのエア吹き出し通路からエアを吹き出してマグネット材を保持する状態を拡大して示す部分拡大断面図。
以下、本発明のマグネット材の挿入方法を具体化した実施形態を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
まず、マグネット材及びその挿入方法を実施するための装置について説明する。図1及び図4に示すように、水平な型の基台11上には多数枚の磁性体(電磁鋼板)製のコア板12が積層されて円筒状に形成されたロータコア13が支持され、該ロータコア13の軸線30が鉛直方向となるように設定される。ロータコア13の中心部には軸孔14が貫設され、その軸孔14には図示しない出力軸が嵌合され固定されるようになっている。
ロータコア13には、複数のマグネット孔15が前記軸孔14の延びる方向に貫通形成されている。マグネット孔15は平面長円状に形成され、ハの字状の連続となるように配置されたマグネット孔15が周方向に一定間隔をおいて円環状に配列されている。
図2〜図4に示すように、各マグネット孔15には永久磁石よりなる四角柱状のマグネット材16が挿入されている。マグネット材16としての例えばフェライト磁石は、酸化鉄にバリウムやストロンチウムを微量添加したものを焼いて1μm程度の微粒子に粉砕したものを所定形状に成形し、焼結したものが用いられる。従って、マグネット材16は脆く、特に端縁や側縁が脆いという性質を有している。このようなマグネット材16が埋設されたロータコア13は、永久磁石埋設型の回転子となる。
図1に示すように、ロータコア13上には前記マグネット孔15に連通する複数の連通孔17を有するテンプレート18が設置される。図2に示すように、連通孔17のマグネット材16挿入側端部には、開口側ほど拡幅するテーパ面19が形成され、連通孔17へのマグネット材16の挿入が容易に行われるように構成されている。
テンプレート18内にはその外端面から連通孔17まで水平に延びる支持孔20が設けられ、該支持孔20には保持手段としてのボールプランジャ21が支持されている。そして、ボールプランジャ21のボール21aが連通孔17に臨み、このボール21aがスプリング21bにより付勢されて、連通孔17を通るマグネット材16を連通孔17の周壁17a方向に押圧してマグネット材16がその自重で落下しないように保持している。ボールプランジャ21のボール21aは回転するため、マグネット材16を連通孔17からマグネット孔15へと円滑に挿入させることができる。
テンプレート18の上方位置には、マグネット材16を連通孔17からマグネット孔15へ挿入するためのプッシャー22が配置されている。プッシャー22の下面には、テンプレート18の連通孔17に対応する位置にマグネット材16と相似の形状を有する複数の押圧体23が垂下されている。この押圧体23の下端部には、エア吸引部を構成するエア吸引通路24が設けられ、エア吸引配管25を介してエアが吸引され、マグネット材16を吸着してその落下を防止するようになっている。特に、マグネット材16がマグネット孔15の下端近傍まで挿入され、ボールプランジャ21でマグネット材16を保持できなくなったときにマグネット材16を吸着して落下しないようにする。
図5に示すように、テンプレート18の上方位置には、自動挿入機(ローダ)26が配置され、複数のマグネット材16を同時に把持してテンプレート18の各連通孔17に挿入するように構成されている。マグネット材16が連通孔17に挿入されてボール21aに支持された後には、自動挿入機26はマグネット材16を離して退避するようになっている。その後、図1に示すように、テンプレート18の上方位置にプッシャー22が配置され、マグネット材16はそのプッシャー22によりボール21aを押し退けてマグネット孔15に押し込まれるようになっている。
次に、上記装置を用いたマグネット材16の挿入方法について説明する。
さて、図5に示すように、自動挿入機26はマグネット材16を把持し、その状態でマグネット材16がテンプレート18の連通孔17の直上位置に到るまで移動し、その位置でマグネット材16を下降させて連通孔17に挿入する。マグネット材16の挿入時には、ロータコア13の軸線30が鉛直方向に設定され、ロータコア13及びテンプレート18は図示しない支持体で保持される。マグネット材16が連通孔17に挿入されると、ボールプランジャ21のボール21aによって連通孔17内における直立状態に支持されるため、自動挿入機26はマグネット材16を離してその位置から退避する。続いて、図1に示すように、テンプレート18の上方位置にプッシャー22を配置し、その押圧体23の下端面がマグネット材16の上端面に当たるようにして、その状態でプッシャー22を下降させる。プッシャー22の下降により、マグネット材16は連通孔17を通ってマグネット孔15へと押し込まれる。
このとき、連通孔17を通過するマグネット材16の側壁16aはボールプランジャ21のスプリング21bで付勢されたボール21aによって連通孔17の周壁17a方向に押圧され、マグネット材16はその押圧力で保持されながらボール21aの回転によって滑らかに挿入される。その後、エア吸引通路24からエアが吸引されると、マグネット材16の上端面は押圧体23の下端面に吸着保持される。このエア吸引部による吸引の開始時期は、プッシャー22でマグネット材16の押圧を開始するときから、マグネット材16がボールプランジャ21で保持されなくなる直前までのいずれであってもよい。このエア吸引部での吸引動作により、図6に示すようにマグネット材16の急な落下が防止されながらマグネット材16が基台11の上面に達し、これによってマグネット材16の挿入を完了することができる。
その後、テンプレート18はロータコア13から離間され、樹脂成形用の上型に入れ替えられる。前記基台11はそのまま樹脂成形用の下型となる。そして、マグネット材16が挿入されたマグネット孔15の内周面とマグネット材16の外周面との間の隙間27に熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹脂が注入され、トランスファ成形法により例えば200℃に加熱されて成形され、封止部28が形成される。図3に示すように、この成形によって特にマグネット孔15の両端とマグネット材16の両端との間の隙間27が封止部28で満たされて封止される。
以上のように構成された実施形態により発揮される効果について以下にまとめて説明する。
(1) 本実施形態におけるマグネット材16の挿入方法では、ロータコア13の軸線30が鉛直方向となるように維持し、マグネット材16を連通孔17に挿入し、ボールプランジャ21で保持しながらさらにマグネット孔15へと挿入する。その後、プッシャー22のエア吸引部でエアを吸引しながらマグネット材16を挿入し、マグネット材16の挿入を完了するものである。
また、マグネット材16が連通孔17に挿入されるときにはボールプランジャ21で保持されると同時に、ボールプランジャ21のボール21aの回転によってマグネット材16が円滑かつ速やかに挿入される。さらに、マグネット材16がマグネット孔15に挿入されるときにはエア吸引部でエアが吸引されてマグネット材16が吸着保持され、落下が防止される。
従って、ロータコア13のコア板12の整列状態を維持することができるとともに、マグネット孔15へのマグネット材16の挿入時における衝撃によってマグネット材16に割れや欠けが発生することを防止することができ、マグネット材16の性能、延いてはロータコア13の性能を保持することができる。
(2) マグネット材16がテンプレート18のボールプランジャ21に対向する位置にあるときにはマグネット材16をボールプランジャ21で保持した後、マグネット材16がマグネット孔15に挿入されたときにはエア吸引部によってエアを吸引してマグネット材16を保持するように構成されている。このため、マグネット孔15へのマグネット材16の挿入を有効かつ円滑に進めることができる。
(3) マグネット材16の挿入方法に用いられる装置は、前記基台11と、複数のマグネット孔15に連通する連通孔17を有するテンプレート18と、テンプレート18に埋設されたボールプランジャ21と、マグネット材16をマグネット孔15に挿入するためのプッシャー22と、プッシャー22に設けられたエア吸引部とにより構成されている。このため、連通孔17に挿入されるマグネット材16をボールプランジャ21により連通孔17の周壁17a方向に押圧して落下しないように保持することができると同時に、ボールプランジャ21で保持できなくなったマグネット材16をエア吸引部により吸着して落下しないように保持することができる。
(4) 連通孔17のマグネット材16挿入側端部には、開口側ほど拡幅するテーパ面19が形成されている。このため、マグネット材16を自動挿入機26で連通孔17に挿入するときの停止位置精度の厳密度を緩和することができ、自動挿入機26によるマグネット材16の挿入速度を速くすることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 図7に示すように、テンプレート18内には保持手段としてその外端面から連通孔17まで水平に延びるガス吹き出し通路29を設け、ブロワ31から該ガス吹き出し通路29を介してエアを連通孔17に吹き出すように構成することもできる。そして、ガス吹き出し通路29から吹き出されるガスの圧力によりマグネット材16を連通孔17の周壁17a方向に押圧し、その落下を防止することができる。
・ 保持手段として、適度な粘性を有する接着剤や粘着剤をマグネット材16に向けて供給するように構成したり、マグネット材16を磁気的に吸引又は反発するマグネットを備えるように構成したりすることも可能である。
・ 保持手段として、前記ボールプランジャ21に代え、ゴムローラ等のローラをマグネット材16に押し当ててマグネット材16を保持するように構成することも可能である。
・ マグネット孔15へのマグネット材16の挿入は、マグネット材16を1個ずつ又は2個以上の所定個数ずつ実施することもできる。
・ マグネット孔15の形状、個数等は適宜設定され、それに対応してマグネット材16の形状、個数等を設定することができる。
・ 前記実施形態のエア吸引部を省略し、該エア吸引部に代えて例えばマグネット材16を磁気的に吸着するマグネットを配置することもできる。
・ 本発明は、前記実施形態のロータコア13に限らず、モータコア部品としてマグネット材16が挿入される部品に適宜応用可能である。
11…基台、13…ロータコア、15…マグネット孔、16…マグネット材、17…連通孔、17a…周壁、18…テンプレート、19…テーパ面、21…保持手段としてのボールプランジャ、22…プッシャー、24…エア吸引部としてのエア吸引通路、30…ロータコアの軸線。

Claims (6)

  1. マグネット材挿入用のマグネット孔が形成されたモータコアをその軸線が鉛直方向となるように設置するとともに、モータコア上にはマグネット孔に連通する連通孔を有するテンプレートを設け、
    該テンプレートに設けられた保持手段によりマグネット材を連通孔の周壁方向に押圧して保持しながらマグネット孔へ挿入するとともに、プッシャーのエア吸引部でマグネット材を上方へ吸引して吸着しながら、前記プッシャーによりマグネット材をマグネット孔に挿入することを特徴とするモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法。
  2. 前記マグネット材が保持手段に対向する位置にあるときにはマグネット材を保持手段で保持し、その後マグネット材がマグネット孔に挿入されたときにはエア吸引部によってマグネット材を上方へ吸引して吸着保持することを特徴とする請求項2に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入方法に用いられる装置であって、
    モータコアをその軸線が鉛直方向となるように設置する基台と、
    該基台上のモータコアに形成された複数のマグネット孔に連通する連通孔を有するテンプレートと、
    該テンプレートに設けられマグネット材を連通孔の周壁方向に押圧して保持する保持手段と、
    マグネット材を連通孔を介してマグネット孔に挿入するためのプッシャーと
    該プッシャーに設けられてマグネット材を上方に吸引して吸着保持するエア吸引部と
    を備えることを特徴とするモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置。
  4. 前記プッシャーに設けられマグネット材を吸着するエア吸引部を備えることを特徴とする請求項に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置。
  5. 前記保持手段はボールプランジャであることを特徴とする請求項又は請求項に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置。
  6. 前記連通孔のマグネット材挿入側端部には、開口側ほど拡幅するテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載のモータコアのマグネット孔へのマグネット材の挿入装置。
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