以下に添付図面を参照して、本発明にかかる各台計数システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明にかかる各台計数システムの概要について図1を用いて説明した後に、本発明にかかる各台計数システムについての実施例を図2〜図10を用いて説明することとする。
今回の本発明にかかる各台計数システムでは、各台計数装置で計数した持玉数を記録媒体の識別子に関連付けて管理装置で管理することによって、持玉、貸玉、アウト玉およびセーフ玉に基づいて不正検出を行うことができる点に主たる特徴がある。
図1は、本発明にかかる各台計数システムの概要を示す図である。ここで、本発明にかかる各台計数システムの概要を説明する前に、図11を用いて、従来の不正検出システムの概要を説明しておく。
図11は、従来の不正検出システムの概要を示す図である。同図に示すように、遊技店には、ホールコンピュータと呼ばれる遊技店の玉の状況を管理している管理装置と、台間装置とが接続されている。また、各台間装置にはパチンコ機が併設されているものとする。
台間装置では、挿入された貨幣からのパチンコ玉の貸出処理を行う際、遊技者に貸し出された遊技媒体(以下、「貸玉」と記載する)を検知して(同図の(1)参照)、検知した貸玉数をホールコンピュータに送信する。
さらに、パチンコ機または台間装置では、パチンコ機に投入された玉(以下、「アウト玉」と記載する)を検知したり(同図の(2)参照)、払出された玉(以下、「セーフ玉」と記載する)を検知して(同図の(3)参照)、検知した玉数をホールコンピュータに送信する。そして、ホールコンピュータでは、受信した貸玉、アウト玉およびセーフ玉の玉数を入出数情報として管理する。
また、一群のパチンコ機から構成され、周囲を通路に囲まれたスペース(以下、「島」と記載する)の端に設けられた図示しない玉計数機では、遊技者が獲得した玉を計数し、計数した数値を記載したレシートを発行する。
従来の不正検出システムでは、閉店後に、上述した入出数情報やレシートに記載された数値の集計値に基づいて、不正検出を行っていたが、道具等を使用して貸玉を不正に貸し出す、いわゆるゴト行為による不正であるのか、レシートに偽造が施されたのか等、不正原因やタイミングの解明を容易に行うことができなかった。
図1の説明に戻り、本発明にかかる各台計数システムでは、ホールコンピュータと、遊技者が獲得した玉を計数する各台計数装置とが接続されており、さらに、計数した玉(以下、「持玉」と記載する)の数を管理する持玉数管理装置が接続されている。
また、各台計数装置にはパチンコ機が併設されているものとする。なお、本実施例では、従来の台間装置と各台計数装置との双方どちらも各台計数装置と呼んで説明することとする。
ホールコンピュータで管理される入出数情報に関しては、従来通りであるが、各台計数装置では、遊技者が獲得した持玉を計数し(同図の(1)参照)、会員カード等のカード識別子(以下、「カードID」と記載する)に関連付けて持玉数を、持玉数管理装置に送信する(同図の(2)参照)。
なお、会員カードとは、遊技店の会員となった遊技者へ配布されるカードであり、遊技者が獲得した持玉数が関連付けられており、非会員の遊技者に対しては、計数カードと呼ばれるカードに持玉数を関連付けるものとし、以下、これらを単にカードと記載する。
一方、ホールコンピュータでは、カードIDに関連付けて持玉数を持玉数情報として登録し(同図の(2)参照)、持玉数を管理する。そして、各台計数装置は、遊技を終了した際に、持玉数が関連付けられたカードを返却する(同図の(3)参照)。
このように、各台計数装置で計数した持玉数を持玉数管理装置で管理することによって、入出数情報からだけでなく、入出数情報と持玉数情報とを比較することができる(同図の(4)参照)。したがって、貸玉数より持玉数が多いか否か等の比較結果によって、貸玉が不正に貸し出されたのか、または、持ち込み玉があるのか等、遊技店で行われる不正の原因や発生のタイミングを容易に解明することができる。以下では、本発明にかかる各台計数システムについての実施例を詳細に説明する。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる各台計数システムについての実施例を詳細に説明する。まず、本実施例にかかる各台計数システムの構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例にかかる各台計数システムの構成を示すブロック図である。
同図に示すように、各台計数システムは、ホールコンピュータ10と持玉数管理装置20と各台計数装置30と各台計数装置に併設されるパチンコ機40とで構成される。なお、本実施例では、ホールコンピュータ10と持玉数管理装置20とを個々に記載しているが、これは一体となった「管理装置」として構成してもよい。
また、図2では、ホールコンピュータ10、持玉数管理装置20および各台計数装置30の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。ここでは、処理の流れに沿って、各台計数装置30、持玉数管理装置20、そして、ホールコンピュータ10の順で説明することとする。
まず、各台計数装置30は、各パチンコ機40に併設されており、持玉計数部31と、カード書込部32と、遊技台I/F(インターフェース)33と、通信I/F(インターフェース)34と、制御部35とを備えている。また、制御部35は、持玉数送信部35aと、入出数送信部35bとをさらに備えている。
持玉計数部31は、パチンコ機40によって遊技者が獲得した持玉を各台計数方式で計数する。カード書込部32は、遊技終了時に持玉計数部31で計数した持玉数を、各台計数装置30に挿入されているカードに持玉数を関連付ける処理を行う処理部である。
遊技台I/F33は、パチンコ機40との間のデータの送受信を行う。たとえば、パチンコ機40で検知したアウト玉およびセーフ玉の数を受信する。また、通信I/F34は、LANカード等の通信デバイスで構成され、LAN等のネットワーク経由で、ホールコンピュータ10や持玉数管理装置20との間のデータ送受信を行う。たとえば、制御部35で検知した貸玉数を、ホールコンピュータ10に送信する。
持玉数送信部35aは、持玉計数部31で計数した持玉数を、各台計数装置30に挿入されているカードIDとともに、通信I/F34経由で、持玉数管理装置20に送信する処理を行う処理部である。
入出数送信部35bは、パチンコ機40を一意に特定する、たとえば、台番号とともに、各台計数装置30やパチンコ機40で検知した貸玉、アウト玉およびセーフ玉の数を、ホールコンピュータ10に送信する処理を行う処理部である。
なお、本実施例では、これら入出数に関する情報を、各台計数装置30経由で送信するように記載しているが、これは、パチンコ機40から直接ホールコンピュータ10に送信するようにしてもよい。
つぎに、持玉数管理装置20は、記憶部21と、通信I/F22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、持玉数登録部23aと、持玉数送信部23bとをさらに備えており、記憶部21は、持玉数情報21aを記憶する。
記憶部21は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、各台計数装置30に挿入されているカードのカードIDに関連付けて、持玉計数部31で計数した持玉数を持玉数情報21aとして記憶する。
通信I/F22は、LANカード等の通信デバイスで構成され、LAN等のネットワーク経由で、ホールコンピュータ10や各台計数装置30との間のデータ送受信を行う。たとえば、各台計数装置30からの持玉数に関する情報を受信する。
持玉数登録部23aは、各台計数装置30からカードIDとともに受信した持玉数を、カードIDに関連付けて、持玉数情報21aに登録する処理を行う処理部である。持玉数送信部23bは、持玉数取得部13bからの持玉数取得指示を受付けた際に、持玉数情報21aをホールコンピュータ10に送信する処理を行う処理部である。
つづいて、ホールコンピュータ10は、記憶部11と、通信I/F12と、制御部13とを備えている。また、制御部13は、入出数登録部13aと、持玉数取得部13bと、不正検出部13cと、営業割算出部13dとをさらに備えており、記憶部11は、入出数情報11aを記憶する。
記憶部11は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、各台計数装置30やパチンコ機40で検知した貸玉、アウト玉およびセーフ玉の数を、入出数情報11aとして記憶する。
通信I/F12は、LANカード等の通信デバイスで構成され、LAN等のネットワーク経由で、持玉数管理装置20や各台計数装置30との間のデータ送受信を行う。たとえば、ある一定の時間毎に、各台計数装置30からの入出数に関する情報を受信する。
入出数登録部13aは、各台計数装置30から台番号とともに貸玉、アウト玉およびセーフ玉の数等、入出数に関する情報を受信した際に、台番号に関連付けて入出数を入出数情報11aに登録をする処理を行う処理部である。
持玉数取得部13bは、不正検出を行う際に、持玉数管理装置20から持玉数情報21aに記憶される遊技者が獲得した持玉数に関する持玉数情報21aを取得する処理を行う処理部である。
不正検出部13cは、入出数情報11aと持玉数取得部13bによって取得した持玉数情報21aとを比較することによって、不正検出を行う処理を行う処理部である。比較方法については、後述することとする。
営業割算出部13dは、遊技店における営業状態や収支度合を把握するための指標である営業割を、算出する処理を行う処理部である。具体的には、持玉数取得部13bで取得した持玉数の合計値を貸玉数で除算した数値が営業割となる。
つづいて、本実施例にかかる遊技店の店内システムのシステム構成について図3を用いて説明する。図3は、本実施例にかかる店内システムのシステム構成図である。
同図に示すように、遊技店に設置されたホールコンピュータ10には、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、持玉数管理装置20と、島コントローラ50と、精算機60と、景品管理装置70と、会員カード端末機80とが接続されている。
また、島コントローラ50には、各台計数装置30と、パチンコ機40とが接続されている。なお、同図には、1台の島コントローラ50のみを示しているが、ホールコンピュータ10には所定数の島コントローラ50が接続されるものとする。
各台計数装置30は、島コントローラ50と各パチンコ機40との間に介在し、ひとつの島コントローラ50に対して、所定数の各台計数装置30が接続されるものとする。ホールコンピュータ10は、入出数情報11aをホールコンピュータ10が備えるデータベースに記憶して、貸玉、アウト玉およびセーフ玉をパチンコ機40毎に管理している。また、持玉数管理装置20は、持玉数情報21aを持玉数管理装置20が備えるデータベースに記憶して、カード毎およびパチンコ機40毎に持玉数を管理している。
島コントローラ50は、周囲を通路に囲まれたスペース(遊技島)に設けられた一群のパチンコ機40および各台計数装置30を束ねる中継装置である。パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技者がパチンコ遊技を行う装置であり、本実施例では、カード対応のパチンコ機40であるものとしている。
精算機60は、カードに関連付けられている有価価値である、プリペイド情報の残額が残っているカードが挿入されたら、残額に相当する現金の払出を行い、カードの精算を行う。
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり、図示しない交換玉数管理情報を用いて獲得玉と景品との交換情報を管理する。この交換玉数管理情報は、景品毎にその景品との交換に要する交換玉の数を対応付けて記憶している。
また、遊技者は、景品交換カウンタへカードを持参し、景品管理装置70にビジターカードを挿入したり、景品管理装置70に併設された会員カード端末機80にカードをかざしたりすることで、残数に応じた景品を受け取ることができる。
その際、景品交換カウンタ内の従業員が、遊技者により指定された景品に対応する交換ボタンを押下し、景品管理装置70は、当該景品に相当する玉数(以下、「景品玉」と記載する)を持玉から減算する交換制御を実行させ、その後に従業員による手作業で遊技者に受け渡す。
このように、遊技店には、会員をはじめ遊技者に対してサービスを提供するシステムとして、会員カードを取り扱う店内機器(例えば、各台計数装置30や景品管理装置70等)とこれらの店内機器を管理する図示しない会員管理装置とを含んで構成される会員管理システム、そして、カードを取り扱う店内機器(例えば、各台計数装置30や精算機60等)を含んで構成されるカードシステム、さらには、遊技台の台データを取り扱う店内機器(例えば、各台計数装置30やパチンコ機40等)を含んで構成されるシステムが併存している。
つぎに、不正のタイミングを検出するために設けられる、持玉数管理装置20に備える持玉数情報21aの区分け処理について、図4を用いて説明する。図4は、持玉数情報21aの運用フローを示す図である。
同図(A)に示すように、持玉数管理装置20は、遊技店の営業中には、カードIDに関連付けられた持玉数情報21aの持玉数は、「遊技中持玉」と、「カード発行済持玉」および「処理済持玉」の3つに区分けする。
「遊技中持玉」区分は、各台計数装置30にカードが挿入されている状態で、カードによって遊技者が遊技をしている時の、カードIDに関連付けられている持玉数の区分である。
そして、遊技終了時にカードが返却される際に、「遊技中持玉」区分であった持玉数が、「カード発行済持玉」区分に移行することとなる。「カード発行済持玉」区分である持玉数に関連付けられたカードIDのカードは、どの各台計数装置30にも挿入されていない状態であることを示す。
また、「カード発行済持玉」区分である持玉数に関連付けられたカードIDのカードを、各台計数装置30に挿入した場合、「カード発行済持玉」区分であった持玉数は、「遊技中持玉」区分に移行し、持玉数によって遊技をすることができる。
その後、遊技者が景品交換カウンタへカードを持参し、「カード発行済持玉」区分である持玉数に応じた景品を受け取ることができる。景品に交換した際の当該景品に相当する玉数を「カード発行済持玉」区分から減算し、同時に、「処理済持玉」区分の持玉数に、減算した数を移行することとする。ここで、「処理済持玉」区分の持玉数によって、遊技をすることはできない。
なお、本実施例では、「カード発行済持玉」区分である持玉数によって景品交換した場合、「処理済持玉」区分に移行することとした。しかし、カードに関連付けられた持玉数を、手数料がかかるが、翌日以降にも遊技をすることができる「貯玉」として取り扱うように変更することもできる。なお、会員のみが「貯玉」に移行することができる。
そこで、景品交換した場合だけでなく、「カード発行済持玉」区分である持玉数を「貯玉」に変更する際に、貯玉数を「カード発行済持玉」区分から減算し、同時に、貯玉数を「処理済持玉」区分の持玉数に移行することとしてもよい。
また、閉店後は、閉店時の処理として、同図(B)に示すように、持玉数管理装置20では、「遊技中持玉」区分および「カード発行済持玉」区分である持玉数をすべて「未処理玉」区分として、「処理済持玉」とは区別しておく。同時に、持玉数管理装置20は、「処理済持玉」区分である持玉数は、そのまま「処理済持玉」区分としておく。
つぎに、本実施例にかかる不正検出方法の一例について図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、本実施例にかかる不正検出方法の一例を示す図である。ここで、本発明にかかる不正検出方法を説明する前に、図12を用いて、従来の不正検出方法の一例を説明しておく。
従来より、遊技店における営業状態や収支度合を把握するために、以下のように営業割や、景品割という各種指標を算出している。そして、算出した営業割と景品割とが異なる場合には、不正が行われた可能性があると判定していた。
まず、営業割を算出する際には、アウト玉からセーフ玉を減算した値(以下、「差玉」と記載する)を算出する(同図の(a)参照)。これは、遊技台での玉の出入りした数の差分に相当する。
そして、貸玉から差玉を減算した値を貸玉で除算することにより、営業割を算出する(同図の(b)参照)。貸玉から差玉を減算した値は、遊技店で遊技しているすべての遊技者が持っている玉数の合計値に相当する。
したがって、遊技店で遊技しているすべての遊技者が持っている玉数の合計値と、貸玉から差玉を減算した値とを比較して、相違があることによって、不正があったか否かを判定することもできる。
しかし、営業中は、実際に遊技者が持っている玉数を正確に把握することが困難であるため、貸玉から差玉を減算した値が、不正などによって、本来あるべき数値とは異なっていても、発見することはできない。
一方、景品管理装置70で管理している景品玉を貸玉で除算する、具体的には、玉計数機で発行したレシートによって遊技者が景品交換した玉数を貸玉で除算することにより、景品割を算出する(同図の(c)参照)。
そして、算出した営業割と景品割とが異なる場合(同図の(d)参照)に、不正が行われた可能性があると判定していた。しかし、これは閉店後に算出した値であるため、ゴト行為による貸玉を不正に貸し出されたのか、レシートに偽造されたのか等、原因やタイミングまでは解明するまでには至らなかった。
図5および図6の説明に戻り、本発明にかかる各台計数システムでは、入出数情報11aおよび持玉数情報21aに基づいて営業割や、景品割という各種指標を算出し、算出した営業割および景品割によって、不正の検出を行うこととする。
まず、図5の(e)に示すように、従来の営業割を算出する際に算出した貸玉から差玉を減算した値は、遊技店で遊技しているすべての遊技者が持っている玉数の合計値に相当する。
すなわち、営業中であれば、各台計数方式で計数され、持玉数情報21aに記憶されている、「遊技中持玉」と「カード発行済持玉」および「処理済持玉」の合計(以下、「持玉合計」と記載する)となる。
したがって、持玉合計を貸玉で除算する(同図の(f)参照)ことにより、営業中であっても、実際の玉数によって営業割を算出することができる。ここで、遊技台の皿の上にある玉および通路に落ちている玉以外は各台計数装置で計数されているため、従来より、正確に算出することができる。さらに、貸玉から差玉を減算した値(以下、「取得数」と記載する)と持玉合計とが異なる場合(同図の(g)参照)には、その時点で、不正を検出することができる。
具体的には、取得数が持玉合計よりも小さいならば、要因として、貸玉が少ない、または、持玉合計が多いということから、不正に玉が遊技店外から持ち込まれた可能性があることがわかる。
また、逆に、取得数が持玉合計よりも大きいならば、要因として、貸玉が多い、または、持玉合計が少ないということがわかるが、ホッパゴトの不正によって貸玉が多くなったのか、玉の持ち出しであるかは、まだ特定することができないので、引き続き景品割を算出することで、不正の原因やタイミングの解明を行う。
つづいて、図6の(h)に示すように、景品交換された景品金額を売上額で除算することにより、景品割Aを算出する。ここで、景品金額は、景品管理装置70で管理されており、売上額は、図示しない貨幣やカードに関連付けられている有価価値であるプリペイド残額の入出金管理を行う管理装置で管理されているものとする。
また、従来の景品割を算出する際に使用した景品玉は、具体的には、玉計数機で発行したレシートによって遊技者が景品交換した玉数であることから、持玉数情報21aに記憶されている、「処理済持玉」に相当する(同図の(i)参照)。
したがって、処理済持玉を貸玉で除算する(同図の(j)参照)ことにより、景品割Bを算出することができる。そして、景品割Aと景品割Bとを比較し、さらに、上述した取得数と持玉合計との比較結果と併せて考慮することによって、不正の原因やタイミングの解明を行うことができる(同図の(k)参照)。
たとえば、景品割Aが景品割Bよりも小さいならば、玉が持ち込まれた可能性があることがわかる。一方、景品割Aと景品割Bとを比較して、相違がなかった場合には、処理済持玉および貸玉には不正が行われていないということから、遊技中持玉、または、カード発行済持玉のいずれかに不正が行われたということがわかる。
このように、取得数が持玉合計よりも大きい場合に、取得数と持玉合計とからでは、特定できなかった不正の原因やタイミングも、複数の比較結果を併せて考慮することによって、解明することができる。
つぎに、ホールコンピュータ10が実行する不正検出の処理手順の一例について図7を用いて説明する。図7は、本実施例にかかるホールコンピュータでの処理手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、ホールコンピュータ10は、各台計数装置30から台番号および入出数に関する情報を受信したら(ステップS101)、台番号に関連付けて入出数を入出数情報11aに登録する(ステップS102)。
そして、持玉数取得部13bでは、持玉数管理装置20から、持玉数情報21aを取得して(ステップS103)、不正検出部13cでは、貸玉から差玉を減算した値と持玉合計とが異なるか否かを判定する(ステップS104)。
不正検出部13cで、貸玉から差玉を減算した値と持玉合計とが異なる場合(ステップS104:Yes)、不正の可能性ありと判定し、持玉数情報21aから不正検出を行う(ステップS105)。一方、貸玉から差玉を減算した値と持玉合計とが等しい場合(ステップS104:No)、不正の可能性なしと判定し、ステップS106へ移行する。
また、不正検出部13cでは、景品金額を売上額で除算した値と処理済持玉を貸玉で除算した値とが異なるか否かを判定し(ステップS106)、景品金額を売上額で除算した値と処理済持玉を貸玉で除算した値とが異なる場合(ステップS106:Yes)、不正の可能性ありと判定し、景品割の値から不正検出を行う(ステップS107)。
一方、景品金額を売上額で除算した値と処理済持玉を貸玉で除算した値とが等しい場合(ステップS106:No)、不正の可能性なしと判定し、ステップS108へ移行する。
そして、営業割算出部13dでは、ステップS103で取得した持玉数情報21aに基づいて、営業割を算出して(ステップS108)、一連の処理を終了するが、ホールコンピュータ10では、ある一定の時間毎に、各台計数装置30からの入出数に関する情報を受信するので、受信する毎にステップS101〜ステップS108の処理を繰り返す。このように管理できるのは、遊技者が獲得した遊技媒体を「遊技中」と「カード発行済持玉」および「処理済持玉」と区分けして管理を行うようにしたからである。
なお、ここでは、景品金額を売上額で除算した値と処理済持玉を貸玉で除算した値とが等しい場合(ステップS106:No)、不正の可能性なしと判定し、ステップS108に移行するようにした。しかし、ステップS106の判定結果に基づいて、ステップS107の不正検出を行うようにしてもよい。
また、これまで本発明の実施例について説明してきたが、本発明は上記した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。本実施例においては、入出数情報11aや持玉数情報21aの遊技店全体の合計値に基づいて不正検出するように説明した。
しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。そこで、以下では、不正検出の処理手順の変形例について図8〜図10を用いて説明する。図8は、本実施例にかかる不正検出処理の一例を説明する図である。
ここでは、入出数情報11aおよび持玉数情報21aに、台番号とカードIDに関連付けて、入出数および持玉数を記憶させ、遊技店全体の合計値だけでなく、パチンコ機40毎およびカード毎の数値に基づいて高精度に不正検出を行うことができる。
遊技店の会員は会員カードを持ち、非会員はビジターカードを持つというように、遊技者はカードを必ず持って遊技台で遊技を行うとする。そして、各台計数装置30は、台番号とともにカードIDおよび入出数に関する情報をホールコンピュータ10に送信する。
一方、ホールコンピュータ10では、入出数情報11aに、台番号とカードIDに関連付けて入出数に関する情報を記憶するようにした。したがって、同図上部の表に示すように、入出数情報11aには、台番号に関連付けて、貸玉、アウト玉、セーフ玉およびカードIDが記憶される。同時に、貸玉、アウト玉およびセーフ玉の遊技店全体の合計値を算出し、「遊技店合計」として、記憶しておく(同図上部の表の最終行参照)。
また、各台計数装置30は、カードIDとともに台番号および持玉計数部31で計数した持玉数を持玉数管理装置20に送信する。そして、持玉数管理装置20では、持玉数情報21aに、カードIDと台番号に関連付けて持玉数を記憶するようにした。
したがって、同図下部の表に示すように、持玉数情報21aには、カードIDに関連付けて、遊技中持玉、カード発行済持玉、処理済持玉および台番号が記憶される。ここでも、各持玉に関して遊技店全体の合計値を算出し、「遊技店合計」として、記憶しておく(同図下部の表の最終行参照)。
たとえば、カードID333のカードを持った遊技者が、台番号1003のパチンコ機で遊技を行い、遊技終了してカード返却を行った場合について説明する。台番号1003の入出数情報11aには、カードID333のカードによる遊技中の結果として、同図上部の表の4行目に示すように、カードID333とともに入出数の情報が記憶される。
また、カードID333の持玉数情報21aには、同図下部の表の3行目に示すように、台番号1003とともに遊技中持玉からカード発行済持玉に移行した、持玉数(ここでは6900個)が記憶される。
ホールコンピュータ10では、まず、遊技店合計の貸玉から差玉を減算した値101(ここでは9400個)と、遊技店合計の持玉合計102(ここでは、10400個)とが異なることで不正の可能性があることを判定する。
さらに、ホールコンピュータ10は、カードID毎に、貸玉から差玉を減算した値と持玉合計とが異なるか否かを判定し、結果の異なるカードIDを検索する。同図に示すように、カードID333の貸玉から差玉を減算した値103(ここでは、5900個)と持玉合計104(ここでは、6900個)とが異なる。
したがって、不正の可能性があるカードIDならびに不正が行われた可能性のあるパチンコ機40まで特定することができる。また、カードID333の持玉数情報21aには、カード発行済持玉に持玉数が記憶されていることから、景品交換を行う前に、不正が行われているといった、不正のタイミングの解明を行うこともできる。
つづいて、ホールコンピュータ10が実行する持玉数情報21aから不正検出を行う処理手順の一例について図9を用いて説明する。ここでは、図7のステップS105に相当する部分についてのみ、抜粋して記述することとする。図9は、本実施例にかかる不正検出処理手順を示すフローチャートである。
同図に示すように、ホールコンピュータ10は、遊技店合計の貸玉から差玉を減算した値より遊技店合計の持玉合計が大きいか否かを判定し(ステップS201)、遊技店合計の貸玉から差玉を減算した値より遊技店合計の持玉合計が大きい場合(ステップS201:Yes)、持玉数情報21aに不正された疑いがあると判定する(ステップS202)。
一方、ホールコンピュータ10は、遊技店合計の貸玉から差玉を減算した値より遊技店合計の持玉合計が小さい場合(ステップS201:No)、貸玉に不正された疑いがあると判定する(ステップS203)。
そして、ホールコンピュータ10は、個別に、すなわち、カードID毎に、貸玉から差玉を減算した値と持玉合計とが異なるか否かを判定し、結果の異なるカードIDや台番号を検索する(ステップS204)。
その結果、ホールコンピュータ10は、該当するカードIDがあるか否かを判定し(ステップS205)、該当するカードIDがあった場合には(ステップS205:Yes)、不正が行われたカードIDを特定することとなる(ステップS206)。
そして、ホールコンピュータ10は、当該カードIDの持玉数情報21aに記憶されている持玉数の区分によって、不正のタイミングを判定する(ステップS207)。一方、ホールコンピュータ10は、ステップS205で、該当するカードIDがなかった場合には(ステップS205:No)、ステップS208へ処理を移行する。
さらに、ホールコンピュータ10は、該当する台番号があるか否か、すなわち、不正が行われた遊技台があるか否かを判定し(ステップS208)、該当する台番号があった場合には(ステップS208:Yes)、不正が行われた遊技台を特定することとなる(ステップS209)。
また、ステップS208で、該当する台番号がなかった場合には(ステップS208:No)、そのまま処理を終了する。
つぎに、ホールコンピュータ10が実行する景品割の値から不正検出を行う処理手順の一例について図10を用いて説明する。ここでは、図7のステップS107に相当する部分についてのみ、抜粋して記述することとする。図10は、本実施例にかかる不正検出処理の一例を説明する図である。
ホールコンピュータ10では、「遊技店合計」の数値に基づいて同図上部に示すように、景品金額を売上額で除算した景品割と処理済持玉を貸玉で除算した景品割とが異なるか否かによって、不正検出を行う。
ここで、景品金額÷売上額と処理済持玉÷貸玉との大小関係のケースによって、同図下部の表に示すように、要因および不正の原因が考えられる。たとえば、景品金額÷売上額<処理済持玉÷貸玉の場合、要因は、二通り考えられる。ひとつは、処理済持玉が多い場合と、もうひとつは、貸玉が少ない場合である。
処理済持玉が多い場合は、カードIDに関連付けられた持玉数を増やす等の「カード偽造」や不正に玉が遊技店外から持ち込まれること(以下、「玉持ち込み」と記載する)が不正原因であると考えられ、また、貸玉が少ない場合には、「玉持ち込み」等が不正原因であると考えられる。
また、景品金額÷売上額>処理済持玉÷貸玉の場合には、要因は、処理済持玉が少ない場合と、貸玉が多い場合との二通り考えられる。処理済持玉が少ない場合は、「カード偽造」や、不正に玉が遊技店外に持ち出されること(以下、「玉持ち出し」と記載する)が不正原因であると考えられ、また、貸玉が多い場合には、「ホッパゴト」等が不正原因であると考えられる。
同図下部の表に示したようなことは、「遊技店合計」の数値だけでなく、パチンコ機40毎およびカード毎の数値についても適用することができる。したがって、景品割の値についても、図8および図9の説明で記載した方法と同様に、パチンコ機40毎およびカード毎の数値に基づいて比較することによって、不正の原因や発生のタイミングだけでなく、不正が行われたカードIDや不正が行われた遊技台を特定することができる。
上述してきたように、本実施例では、ホールコンピュータ10で、入出数情報11aとカードIDに関連付けられた持玉数情報21aとに基づいて対比することによって、遊技店で行われる不正の原因や発生のタイミングを容易に解明するとともに、営業状態や収支度合を把握するための各種指標を高精度に算出することができる。
なお、本発明請求項記載の各台計数装置は各台計数装置30、管理装置はホールコンピュータ10および持玉数管理装置20、記録媒体発行手段はカード書込部32、持玉数情報記憶手段は持玉数情報21a、入出数情報記憶手段は入出数情報11a、不正検出手段は不正検出部13cに相当するものである。
なお、上述した実施例では、対比した値が異なる場合に、不正と判定するようにしたが、対比した差異が所定の値以内であれば、不正としないようにしてもよい。この場合、遊技店内に、こぼれた玉や、景品交換時に発生する端数の玉による多少の誤差が、不正と認識されることなく、不正検出を行うことができる。
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。