JP5468702B1 - 引き戸の防火装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】開口2を形成させた戸枠とスライドにより開口2を開閉する引き戸4との両者間にあって引き戸4の全閉時に互いに出会うようになる引き戸4の縦縁部4aと戸枠の縦枠部3aのうち一方に設けられる雄部材7と、同他方に設けられる雌部材8とを有し、雄部材7には引き戸4のスライドにより雌部材8と対向して近接離反する配置で係合突起15が設けられており、雌部材8には引き戸4の閉鎖方向のスライドにより係合突起15を嵌め入れる係合口24と、係合口24より奥方の嵌め位置で前後方向に広がって係合突起15に前後移動を許容させる奥部移動室25とが形成されている。
【選択図】図1
Description
また火災発生時などに火炎の噴き出しを防止することができ、防火構造としての法的認定を受けることもできる引き戸の防火装置を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る引き戸の防火装置は、前後方向に通り抜ける開口を形成させた戸枠と左右方向のスライドにより前記戸枠内開口を開閉する引き戸との両者間にあって前記引き戸の全閉時に互いに出会うようになる前記引き戸の縦縁部と前記戸枠の縦枠部とのうちいずれか一方に設けられる雄部材と、同他方に設けられる雌部材と、を有しており、前記引き戸は、前後方向の一方面からの加熱で加熱側へ膨張変形可能な構成とされ且つこの引き戸に対する前部側又は後部側に前記雄部材及び雌部材が配置されており、前記雄部材には、前記引き戸のスライドにより前記雌部材と対向して近接離反する配置で係合突起が設けられており、前記雌部材は、前記雄部材に設けられた係合突起よりも前後方向に広い口幅に形成された係合口及び前記係合口より奥方の嵌め位置に形成された奥部移動室を有しており、前記奥部移動室は前記係合突起に前後移動を許容可能な程度に前記係合口の口幅に比べて前後方向に広がって形成されており、且つ前記雌部材には、閉鎖状態にある引き戸が前後方向に変形するときに前記奥部移動室内に嵌った前記係合突起と当接して引き戸に閉鎖方向へ向けた押し力を生起させるカム作用発生部が形成されていることを特徴とする。
前記雄部材及び雌部材は、前記引き戸の上下方向中間部に対応する高さで設けられており、前記雌部材の奥部移動室は、前記引き戸の前記縦縁部が後方へ変形し前記戸枠の前記縦枠部から離反するときに前記係合口に対し前記係合突起の相対的な後方移動を許容する後方室を有したものとすればよい。
前記雄部材において、前記係合突起は少なくとも前記雌部材の前記係合口に嵌る部分が長手方向を上下に向けた円柱形に形成されたものとするのが好適である。
前記雄部材は、平板によって形成された取付板部と、この取付板部から張り出した状態で前記係合突起を支持する支持板部とを有しており、前記支持板部は、前記取付板部と前記係合突起とが前後方向で非面一となるように左右方向へ偏らせるために屈曲して前記取付板部に連結されたものとするのが好適である。
前記雄部材は、前記引き戸において閉鎖方向のスライド時に後側となる尻側縦縁部に設けられ、前記雌部材は、前記引き戸の全閉時に前記尻側縦縁部と出会う戸枠の縦枠部に設けられたものとするのが好適である。
図1乃至図5は、本発明に係る引き戸の防火装置1を示している。この防火装置1は、図5に示すように、前後方向に通り抜ける開口2を形成させた戸枠(左右一対の縦枠部3a,3aと上枠部3bと床面3cとで形成)と、左右方向のスライドにより戸枠内開口2を開閉する引き戸4とで構成される引き戸装置5に対して実施される。
この防火装置1は、図1及び図2に示すように、雄部材7と雌部材8とを有している。本実施形態では、雄部材7が引き戸4(尻側縦縁部4a)に設けられ、雌部材8が戸枠(縦枠部3a)に設けられたものとしてある。これら雄部材7と雌部材8との組み合わせは複数とするのがよく、更に好ましくは、図5に示したように引き戸4の上部と下部、更に上下方向の中間部に対応する高さ位置との、合計3箇所以上に設けるのがよいとされる。また、これら雄部材7及び雌部材8は、引き戸4によって閉鎖される区画が例えば冷凍庫などのように、区画外との間に大きな温度差を有している場合には区画外側に設けて、区画内の温度環境に曝されないようにする(結露防止効果や放熱遮断効果などを得る)のが
好適である。このことが、本実施形態(冷凍庫用の引き戸装置として実施することを想定している)において、雄部材7を引き戸4に設け雌部材8を戸枠に設けた理由の一つでもある。
係合突起15は、突起形成板部14の端縁部に側部開放の切欠17を形成させ、この切欠17による側部開放を横切るようにして(閉じさせるようにして)丸棒材を寄り添わせ、溶接することで、各切欠17に対応した配置で形成させてある。従って、係合突起15は長手方向を上下に向けた円柱形に形成されたものとなっている。なお、図示は省略するが、係合突起15は、突起形成板部14において切欠17に代えて角孔を形成し、この角孔の板端側に生じる縦桟を円柱状に面取り加工することで形成することもできる。このように、係合突起15の形成方法については何ら限定されるものではない。
このようなことから、係合突起15は、引き戸4をスライドさせたときに、戸枠の縦枠部3aに取り付けた雌部材8に対して対向しながら近接離反するように、引き戸4に対して設ける(配置させる)ことができる。なお、前記したように取付板部12と支持板部13と突起形成板部14とがそれぞれ屈曲した連結状態にあるので、係合突起15は、取付板部12に対して前後方向で非面一となるように左右方向へ偏った配置となっている。
ところで、図6に示したように、引き戸4が区画内(図6右側)からの加熱で加熱側(図6右方)へ凸となる膨張変形を起こしたとする。このとき、引き戸4は、その上辺部又は下辺部と、上下方向の中間部との相対的な変形として観察すれば、上辺部や下辺部が戸枠から離反する方向、即ち前方(図6の左側)へ向けて変形したものであると言える。
って徐々に前方へ斜めに推移する勾配面(図4(A)や(C)において左下がり面)として形成されたものとなっている。この勾配面は、カム作用発生部として作用する。すなわち、前方室25bへ向かう勾配面を備えた奥部移動室25では、奥部移動室25内に嵌った係合突起15が前方(図4(A)や(C)の下方)へ移動するときに、この勾配面に当接しつつ斜め向きにガイドされるようになる。そのため、係合突起15の前方へ向けた移動力は、カム作用により、引き戸4を閉鎖方向へ押す力へと変換されるものとなる(図4(A)や(C)の左方であって距離L1,L3を参照)。
また一方で、引き戸4が前記膨張変形を起こしたとき、引き戸4は、その上辺部又は下辺部と、上下方向の中間部との相対的な変形として観察すれば、上下方向中間部が戸枠に接近する方向(又は戸枠内の開口2へ入り込む方向)、即ち後方(図6の右側)へ向けて変形したものであると言える。そこで、引き戸4の上下方向中間部に設ける雌部材8において、奥部移動室25は、図4(B)に示すように、少なくとも後方室25aを有したものとするのが必要となる。この後方室25aを有することで、引き戸4の尻側縦縁部4aが後方へ変形するのに合わせて係合突起15の後方移動が許容される。ここにおいて後方室25aは、係合口24の口幅中央を含めた後半部を指すものとおく。
なお、上記説明から明らかなように、本来、雌部材8は、引き戸4に対する取付高さ位置に応じて、奥部移動室25が前方室25bを備えたものと、後方室25aを備えたものとに区別することができるものである。ただ本実施形態では、部品の共通化を図る目的で、奥部移動室25が前方室25b及び後方室25aを両方備える形状としてある。
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係る防火装置1は以下の如く作用する。すなわち、図3(A)に示すように引き戸4を閉鎖したり、図3(B)に示すように引き戸4を開放したりする際に、防火装置1の雄部材7が有する係合突起15は、雌部材8の係合口24及び奥部移動室25に対して左右方向で真っ直ぐに出たり入ったりする。ここにおいて防火装置1は、引き戸4のスライドに何ら支障を及ぼすものではない。
押す力が生じる。
このように、引き戸4の上部に設けられた雌部材8(図4(A))、引き戸4の上下方向中間部に設けられた雌部材8(図4(B))、更には、引き戸4の下部に設けられた雌部材8(図4(C))のいずれについても、引き戸4に生じた膨出変形を最大限に有効利用して、引き戸4を閉鎖方向へ押す力が得られるものとなっている。
なお、図1に一例を示したように、引き戸4には、縦縁部4aで戸枠の縦枠部3aへ向けて鉤型に前方突出する第1、第2の煙返し縁30,31を設けておき、対する戸枠の縦枠部3aでは、引き戸4の閉鎖時においてこれら第1、第2の煙返し縁30,31と噛み合うように逆向きの鉤型に後方突出する第3、第4の煙返し縁32,33を設けておくのが好適である。これら第1、第2の煙返し縁30,31の噛み合いや、第3、第4の煙返し縁32,33の噛み合いによっても、幾らかは引き戸4の反りを防止する作用をも期待できる。
その他の構成及び作用効果については、図1乃至図6に基づいて説明した実施形態と略同様であり、同一作用を奏するものに同一符号を付することでここでの詳説は省略する。
図9は、図8に示した第3例について、更に、雄部材7と雌部材8との配置関係を相対的に入れ替えた第4例を示している。このように変更した配置関係を除けば、その他の構成及び作用効果については第3例と略同様であり、同一作用を奏するものに同一符号を付することでここでの詳説は省略する。
例えば、雄部材7での係合突起15の形成数や、雌部材8での係合口24及び奥部移動室25の形成数は、図1乃至図6で説明した実施形態では3つとしたが、1つ又は2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。また、雄部材7と雌部材8との組み合わせ数についても、特に限定されるものではなく、引き戸4における上部及び下部の高さに対応させるように2組とするようなことも可能である。
2 開口
3a 縦枠部
3b 上枠部
3c 床部
3c 床面
4 引き戸
4a 縦縁部(尻側縦縁部又は頭部側縦縁部)
5 引き戸装置
5A 両引き戸タイプの引き戸装置
5B 片引き戸タイプの引き戸装置
7 雄部材
8 雌部材
12 取付板部
13 支持板部
14 突起形成板部
15 係合突起
17 切欠
18 取付孔
22 取付板部
23 ハウジングブロック
24 係合口
25 奥部移動室
25a 後方室
25b 前方室
27 取付孔
28 反り防止部材
29 反り防止部材
30 第1の煙返し縁
31 第2の煙返し縁
32 第3の煙返し縁
33 第4の煙返し縁
S 閉鎖位置
W 口幅
Claims (8)
- 前後方向に通り抜ける開口を形成させた戸枠と左右方向のスライドにより前記戸枠内開口を開閉する引き戸との両者間にあって前記引き戸の全閉時に互いに出会うようになる前記引き戸の縦縁部と前記戸枠の縦枠部とのうちいずれか一方に設けられる雄部材と、同他方に設けられる雌部材と、を有しており、
前記引き戸は、前後方向の一方面からの加熱で加熱側へ膨張変形可能な構成とされ且つこの引き戸に対する前部側又は後部側に前記雄部材及び雌部材が配置されており、
前記雄部材には、前記引き戸のスライドにより前記雌部材と対向して近接離反する配置で係合突起が設けられており、
前記雌部材は、前記雄部材に設けられた係合突起よりも前後方向に広い口幅に形成された係合口及び前記係合口より奥方の嵌め位置に形成された奥部移動室を有しており、
前記奥部移動室は前記係合突起に前後移動を許容可能な程度に前記係合口の口幅に比べて前後方向に広がって形成されており、
且つ前記雌部材には、閉鎖状態にある引き戸が前後方向に変形するときに前記奥部移動室内に嵌った前記係合突起と当接して引き戸に閉鎖方向へ向けた押し力を生起させるカム作用発生部が形成されている
ことを特徴とする引き戸の防火装置。
- 前記雄部材及び雌部材は、前記引き戸の上部及び/又は下部に対応する高さで設けられており、
前記雌部材の奥部移動室は、前記引き戸の前記縦縁部が前方へ変形し前記戸枠の前記縦枠部に向けて接近するときに前記係合口に対し前記係合突起の相対的な前方移動を許容する前方室を有したものであることを特徴とする請求項1記載の引き戸の防火装置。 - 前記雄部材及び雌部材は、前記引き戸の上下方向中間部に対応する高さで設けられており、
前記雌部材の奥部移動室は、前記引き戸の前記縦縁部が後方へ変形し前記戸枠の前記縦枠部から離反するときに前記係合口に対し前記係合突起の相対的な後方移動を許容する後方室を有したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の引き戸の防火装置。 - 前記カム作用発生部は、前記係合口から前記奥部移動室に向けて前方又は後方へ斜めに推移する勾配面によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の引き戸の防火装置。
- 前記雄部材において、前記係合突起は少なくとも前記雌部材の前記係合口に嵌る部分が長手方向を上下に向けた円柱形に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4
のいずれか1項に記載の引き戸の防火装置。 - 前記雄部材は、平板によって形成された取付板部と、この取付板部から張り出した状態で前記係合突起を支持する支持板部とを有しており、前記支持板部は、前記取付板部と前記係合突起とが前後方向で非面一となるように左右方向へ偏らせるために屈曲して前記取付板部に連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の引き戸の防火装置。
- 前記雄部材及び雌部材は、引き戸によって閉鎖される区画内の温度環境に曝されることのない区画外側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の引き戸の防火装置。
- 前記雄部材は、前記引き戸において閉鎖方向のスライド時に後側となる尻側縦縁部に設けられ、前記雌部材は、前記引き戸の全閉時に前記尻側縦縁部と出会う戸枠の縦枠部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の引き戸の防火装置。
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