JP5467335B2 - マトリクスコンバータ装置およびインバータ装置 - Google Patents

マトリクスコンバータ装置およびインバータ装置 Download PDF

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Description

本発明は、商用電源の交流を所望の周波数の交流に変換させて、直接モータを駆動する機能を有したマトリクスコンバータ装置およびインバータ装置に関する。
3相電源からの交流電力を所望の周波数の交流に直接変換し、モータ駆動などに使用するいわゆる3相マトリクスコンバータは、モータ駆動装置として実用化されており、高効率化、回路の小型化に優位性を有したものとなっている。
一方、単相電源からの交流電力を、所望の周波数の交流に直接変換し、モータ駆動などに使用するいわゆる単相マトリクスコンバータ回路としては、例えば、特許文献1に記載されたマトリクスコンバータ回路およびモータ駆動装置が提案されている。これは、双方向スイッチを介して単相交流電源をモータなどの負荷に直接接続し、双方向スイッチをPWM制御することによりモータを正常に駆動するものである。例えば、特許文献1に記載されたマトリクスコンバータ回路およびモータ駆動装置が提案されている。
また、単相電源からの交流電力を一旦直流に変換した後、所望の周波数の交流に変換し、モータ駆動などに使用する旧来のインバータ回路において、その平滑に使用する平滑コンデンサの容量を通常の1/100程度の小容量のものを使用することにより、回路の簡素化を実現するインバータ装置が提案されている。例えば、特許文献2に記載されたインバータ装置およびモータ駆動装置が提案されている。
特開2005−45912号公報 特開2002−51589号公報
しかしながら、このような単相マトリクスコンバータにおいては、交流電源からの電力を直接変換し、その接続されたモータなどの負荷に供給するため、交流電源から供給される電力の変動の影響を受ける。そのため、交流電源の電圧に従い、負荷に供給される電力も変動することにより、例えば、負荷がモータの場合、トルク変動が発生し、そのため、タイミングによっては、起動が困難になるなどの課題があった。
また、小容量の平滑コンデンサで動作するインバータ装置においても、電力を殆ど蓄積できないため、交流電源の電力に応じて出力電力が変動し、出力電力でモータ負荷を駆動する場合、モータのトルク変動が発生し、モータの起動性が悪化するという課題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、入力となる交流電源の電力変動にかかわらず、確実に起動することができるマトリクスコンバータ装置およびインバータ装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマトリクスコンバータ装置は、通流方向に対応した2個のゲート入力を有する双方向スイッチを単相交流電源の端子間に直列に接続して構成され、前記単相交流電源からの交流電力を所定の周波数の交流電圧に直接変換して3相モータの巻線に供給するマトリクスコンバータ装置において、前記単相交流電源の電源電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出した電源電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する交流電圧の位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え、前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電源電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大値となるように位相を決定する機能を有することを特徴としたものである。
このことにより、交流電源の電圧の変動に対して交流電圧を最大化するため、モータを安定に駆動することができる。また、交流電源の電圧の位相に対応して交流電圧を最大化するため、モータを安定に駆動できるマトリクスコンバータ装置を提供できる。
また、本発明のマトリクスコンバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数になるように設定することを特徴としている。このことにより、最大出力を実現する位相でモータを駆動して起動するため、モータを安定に起動するマトリクスコンバータ装置を提供できる。
また、本発明のマトリクスコンバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴としている。このことにより、モータの起動をスムーズにすることができる。
また、本発明のマトリクスコンバータ装置は、モータがファン機構を負荷としたものである。このことにより、交流電源の電圧の変動にかかわらず、ファン機構を最大出力で駆動、起動することができる。
また、本発明のマトリクスコンバータ装置は、窒化ガリウム(GaN)半導体からなる双方向スイッチにより構成されている。このことにより、交流出力の変換効率が高く、安定駆動できるマトリクスコンバータ装置を実現できる。
また、本発明のマトリクスコンバータ装置は、炭化ケイ素(SiC)半導体からなる双方向スイッチにより構成されている。このことにより、交流出力の変換効率が高く、安定駆動できるマトリクスコンバータ装置を実現できる。
次に、本発明のインバータ装置は、単相交流電源を入力とする整流回路と、前記整流回
路の整流出力を平渇する小容量の平滑コンデンサとを備え、前記平滑コンデンサの平滑出力を電源供給源として動作し、所定の周波数の交流電圧を3相モータの巻線に供給するインバータ装置において、前記平滑コンデンサの平滑出力の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出した電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する交流電圧の位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え、前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大になるように位相を決定する機能を有することを特徴としている。
このことにより、交流電源の電圧の変動に対して出力電力を最大化することができるため、モータを安定に駆動することができる。また、交流電源の電圧の位相に対応して出力電力の最大化を実現するため、安定したモータの駆動が実現される。
また、本発明のインバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数
を整数分周した周波数になるように設定することを特徴としている。このことにより、モータの起動時に最大出力を実現する周波数でモータを駆動するため、モータを安定に起動することができる。
また、本発明のインバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴としている。このことにより、最大出力によってモータを起動し、モータの起動をスムーズにするものである。
また、本発明のインバータ装置は、モータがファン機構を負荷としている。このことにより、交流電源の電圧の変動にかかわらず、最大出力によるファン機構の駆動、起動を実現するものである。
以上のように本発明によれば、負荷モータの駆動を安定化し、信頼性の高い起動を行うマトリクスコンバータ装置およびインバータ装置を実現することができる。
本発明による第一の実施形態に係るマトリクスコンバータ装置の回路構成を示す回路図 同マトリクスコンバータ装置の位相決定手段の動作原理を表す波形図(交流出力30Hz時) 同位相決定手段の動作原理を表す波形図(交流出力20Hz時) 同位相決定手段の動作原理を表す波形図(交流出力10Hz時) 第一の実施形態に係るマトリクスコンバータ装置の出力交流周波数に対する出力変化を表した特性図 同マトリクスコンバータ装置の交流出力周波数に対する出力パワーの一例を示した特性図 本発明による第二の実施形態に係るインバータ装置の回路構成を示す回路図
第1の発明のマトリクスコンバータ装置は、通流方向に対応した2個のゲート入力を有する双方向スイッチを単相交流電源の端子間に直列に接続して構成され、前記単相交流電源からの交流電力を所定の周波数の交流電圧に直接変換して3相モータの巻線に供給するマトリクスコンバータ装置において、前記単相交流電源の電源電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出した電源電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する交流電圧の位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え、前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電源電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大値となるように位相を決定する機能を有することを特徴としたものである。
このことにより、交流電源の電圧の変動に対して出力電力の最大化を実現するため、モータを安定に駆動することができる。また、交流電源の電源電圧の位相に対応して出力電圧を最大化するため、モータを安定に駆動できる。
の発明は、特に、第1の発明の制御手段が、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数になるように設定することを特徴としている。このことにより、モータの起動時にも最大出力を実現する位相でモータを駆動して起動するため、モータを安定に起動することができる。
の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段が、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴としている。このことにより、モータをスムーズに起動することができる。
の発明は、特に、第1〜第のいずれか1つの発明のモータが、ファン機構を負荷としている。このことにより、交流電源の電圧の変動にかかわらず、ファン機構を最大出力で駆動し、起動することができる。
の発明は、特に、第1〜第のいずれか1つの発明の双方向スイッチが、窒化ガリウム(GaN)半導体により構成されている。このことにより、交流出力の変換効率が高く、安定駆動できるマトリクスコンバータ装置を実現できる。
の発明は、特に、第1〜第のいずれか1つの発明の双方向スイッチが、炭化ケイ素(SiC)半導体により構成されている。このことにより、交流出力の変換効率が高く、安定駆動できるマトリクスコンバータ装置を実現できる。
の発明のインバータ装置は、単相交流電源を入力とする整流回路と、前記整流回路の整流出力を平渇する小容量の平滑コンデンサとを備え、前記平滑コンデンサの平滑出力を電源供給源として動作し、所定の周波数の交流電圧を3相モータの巻線に供給するインバータ装置において、前記平滑コンデンサの平滑出力の電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出した電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する交流電圧の位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え、前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大になるように位相を決定する機能を有することを特徴としている。
このことにより、交流電源の電圧の変動に対して出力電力を最大化することができるため、モータを安定に駆動することができる。また、交流電源の電圧の位相に対応して出力電力の最大化を実現するため、安定したモータの駆動が実現される。
の発明のインバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数になるように設定することを特徴としている。このことにより、モータの起動時にも最大出力を実現する周波数での駆動を実現するため、安定したモータの起動が実現される。
の発明のインバータ装置は、モータの起動時には、制御手段が所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴としている。このことにより、モータのスムーズな起動を最大出力により実現するものである。
10の発明のインバータ装置は、モータがファン機構を負荷としている。このことにより、交流電源の電圧の変動にかかわらず、最大出力によるファン機構の駆動、起動を実現するものである。
(実施の形態1)
以下、本発明の第一の実施の形態に係るマトリクスコンバータ装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この実施形態に係るマトリクスコンバータ装置12の回路構成を示す回路図である。同図に示すように、交流電源1からの入力の一端には双方向スイッチ2、4、6を接続し、他方の一端には双方向スイッチ3、5、7を接続した形で前者と後者の双方向スイッチが直列回路を構成している。
さらに、直列接続された双方向スイッチ2と双方向スイッチ3の中間端にはモータ8の3相巻線の一端を接続し、直列接続された双方向スイッチ4と双方向スイッチ5の中間端にはモータ8の3相巻線の別の一端を接続し、直列接続された双方向スイッチ5と双方向スイッチ7の中間端にはモータ8の3相巻線の更に別の一端を接続している。
これらの双方向スイッチは、窒化ガリウム(GaN)半導体により構成されているものである。これにより、双方向スイッチングは高速で動作することができる。なお、これらの双方向スイッチは、炭化ケイ素(SiC)半導体などの高速素子により構成しても良いことは言うまでもない。
モータ8は、ファン機構を負荷としており、マトリクスコンバータ装置12からの電力供給によりファン機構を回転し、ファン機能を発揮するものである。
この回路構成により交流電源1から入力された交流電力は、双方向スイッチ2〜7をスイッチングされることにより、所望の周波数の交流に変換され、モータ8を駆動することが可能となる。
各双方向スイッチ2〜7は、一方向に通流する2素子を双方向に接続して1つの双方向スイッチを構成している。双方向スイッチ2はスイッチング素子2a、2bを逆並列に接続して構成され、双方向スイッチ3はスイッチング素子3a、3bを逆並列に接続して構成され、双方向スイッチ4はスイッチング素子4a、4bを逆並列に接続して構成され、双方向スイッチ5はスイッチング素子5a、5bを逆並列に接続して構成され、双方向スイッチ6は、スイッチング素子6a、6bを逆並列に接続して構成され、双方向スイッチ7はスイッチング素子7a、7bを逆並列に接続して構成されている。
そして、双方向スイッチ2〜7は、各素子2a,2b,3a,3b,4a,4b,5a,5b,6a,6bの入力端に個々にゲート信号が入力されると、そのゲート信号に応じて各素子が個別にON/OFFして、通流方向を制御することができる。
また、交流電源1の両端に接続された電圧検出手段9は、交流電源1の交流電源電圧値を検出し、その交流電圧を制御手段5、および位相決定手段11に出力する。制御手段5は、その情報(交流電源電圧)に基づいて、所定の周波数の交流電力を出力するように各双方向スイッチ2〜7を制御し、モータ8の駆動を制御する。
また、位相決定手段11は、電圧検出手段9で検出した交流電源電圧波形より得られる電源電圧の位相に対応して、交流出力の位相を決定する。制御手段5は、その位相に合わせて交流を出力するべく各双方向スイッチ2〜7を制御する。
図2〜4は、この実施形態に係るマトリクスコンバータ装置12の位相決定手段11の動作原理を表す波形図である。図2は、交流出力が30Hz、図3は、交流出力が20Hz、図2は、交流出力が10Hzの場合の、電源電圧の絶対値(標準化電圧値)と、交流出力の電圧値(標準化電圧値)を表す。この場合の電源周波数は、60Hzである。
このマトリクスコンバータ装置12は、内部に昇圧機能、蓄電機能を持っていないため、交流電源の電圧値以上の電圧を出力することは不可能である。従って、その交流出力は、その最大値が交流入力値の絶対値に制限された波形を出力することになる。従って、その波形は、交流入力の位相に対する相対的な位相により大きく変化する。
図2(A)、図3(A)及び図4(A)は、交流出力が最小となるような位相で、マトリクスコンバータ装置12の出力交流を制御した場合の波形を示す。また、図2(B)、図3(B)及び図4(B)は、交流出力が最大となるような位相で、マトリクスコンバータ装置12の出力交流を制御した場合の波形を示す。この、2つの場合の位相差は、入力交流の絶対値の周期の半分の周期となっている。この差により、本来出力したい交流出力の最大となる位相点において最大値が出力できる場合と、全く電圧が出力できない場合が発生する。
例えば、交流出力が30Hzの場合で説明すると、図2(A)の時刻T1、T2及びT3は、本来、最大電圧を出力したい位相であるが、交流入力が全く得られないため、出力電圧を出力できないこととなる。一方、図2(B)の時刻T4、T5及びT6は、最大電圧を出力したい位相と交流電源1の最大電圧値と一致しており、交流電源1の入力の最大値をそのまま出力できる。この差は、交流入力に対する交流出力の位相差により発生するものであり、位相決定手段11は最大出力を得られるような位相に設定を行い、制御手段5を制御して、マトリクスコンバータ装置12の交流出力を最大出力化する。
図5は、位相決定手段11により決定される位相による出力交流の出力の変化を表した特性図である。出力交流の周波数に対する出力パワー量(出力電圧の二乗平均値)が、本発明の位相決定手段11により決定された位相により制御された場合と、制御がされずに出力パワー量が最低になる場合の値の変化を示している。
図5に示すように、制御により交流出力値は、制御なしの場合に比較して大きな値を得ることができ、その傾向は、特に交流入力の周波数である60Hzに近い周波数になれば成る程大きいことが分かる。例えば、30Hzの場合には、その差は倍以上の差となっている。このことにより、負荷であるモータ8を駆動する力も倍以上の差となり、駆動力に大きな差が発生することになるものである。
図6は、本発明に係る制御手段10により制御されたマトリクスコンバータ装置の交流出力の周波数の時間変化の一例を示した特性図である。
同図に示すように、本発明によるマトリクスコンバータ装置12は、接続されるモータ8を回転させる機能を有する。モータ8がブラシレスDCモータの場合、起動時には所定の周波数の交流電圧を印加する強制同期運転を行う。また、インダクションモータのようなモータの場合にも同様の運転を起動時に行う。これによりモータ8を起動させる。そのために、その起動時には、スムーズに起動を実現するために徐々に回転数を上昇させていく。従って、その出力交流の周波数も、徐々に上昇させる。
この例においては、時刻t0に起動を開始して出力周波数F1を出力し、それから時間が経過した時刻t1より出力周波数F2を出力し、更に時間が経過した時刻t2より出力周波数F3を出力し、時刻t3からt4では出力周波数F4を出力するというように、モ
ータ8に印加する出力電圧の周波数を徐々に上昇して、モータ8の回転を徐々に加速する。
この場合、出力周波数F1〜F4は、位相決定手段11により最大出力を実現するために、交流電源1の交流電圧の周波数の整数分周の周波数に設定される。これにより、図2、図3、図4の特性図に示された交流電源の電圧位相に対して、出力交流の電圧を最大にすることができるものである。このような出力電圧を最大にする制御は、分周器を用いて交流電源1の交流電圧の周波数を整数分周した周波数において実現される。
例えば、この場合においては、出力周波数F1を10Hz、出力周波数F2を15Hz、出力周波数F3を20Hz、出力周波数F4を30Hzに設定し、周波数ステップを徐々に大きくしてモータ8を起動する。これにより、モータ8に印加する出力電圧を最大にすることが可能となり、モータ8を安定に起動することができる。
このように、本実施形態におけるマトリクスコンバータ装置においては、電圧検出手段により検出された交流電源の電圧に従って、位相決定手段がモータに出力する電圧の位相を出力電圧が最大になるように決定し、位相決定手段により決定された位相に従い制御手段がモータへ印加される電圧を制御することにより、電源電圧の変動にかかわらず、最大限に出力電圧を最大にするものである。それにより、負荷であるモータの起動が高トルクで安定して実現されるものである。
(実施の形態2)
次に、本発明の第二の実施の形態に係るインバータ装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図7は、この実施形態に係るインバータ装置34の回路構成を示す回路図である。図7に示すように、交流電源21からの入力電力は、ブリッジ接続された4つの整流素子22により両波整流された後、整流出力に接続された小容量の平滑コンデンサ23によって平滑され、直流電圧に変換される。このインバータ装置34は、その平滑出力(直流電圧)を電源供給源として回路動作を行い、スイッチング手段24〜29をON/OFFするインバータ動作を行う。
このスイッチング手段24〜29は、モータ30へ供給する電流を導通、もしくは遮断する機能を有したスイッチング素子24a〜29aと、還流ダイオード24b〜29bとの並列回路を3相分直列接続して、平滑コンデンサ23の端子間に接続している。そして、整流素子22及び平滑コンデンサ23で得られた直流電力は、装置内に設置されたスイッチング手段24〜29によりスイッチングされ、所望の周波数の交流に変換された後、出力されモータ30を駆動する。
小容量の平滑コンデンサ23は、一般的に使用される容量、例えば1000μFの100分の一である10μFに設定する。このため、平滑出力の直流電圧は整流出力の周波数成分の影響を受けて大きく変動するが、交流電源21からインバータ装置34に流入する電流波形の高調波成分を非常に少なくすることが出来るメリットがある。
さらに、直流部(平滑コンデンサ23)の端子間電圧を検出する電圧検出手段31は、直流部の電圧値を検出して制御手段32、および位相決定手段33に出力する。制御手段32は、その情報に基づいて、所定の周波数の交流を出力するようにスイッチング手段24〜29を制御し、モータ30の駆動を制御する。
また、位相決定手段33は、電圧検出手段31により検出された直流部の電圧値、また
それにより得られる直流部の電圧変動の位相に対応して、インバータ装置34は、交流出力の位相を決定し、その位相に合わせて制御手段32は、交流を出力するべく各スイッチング手段24〜29を制御する。
本インバータ装置においては、ブリッジ接続された整流素子22が交流電源21の交流電圧を両波整流し、その整流出力を小容量の平滑コンデンサ23で平滑しているため、整流出力の周波数成分を十分に抑制できないことから、直流部の平滑電圧が整流出力波形に追従して大きく変動し、その変動は交流電源電圧の周期の二倍の周期になる。その平滑電圧の変動位相に対応して出力交流の位相を制御することにより、大きな出力パワーを得ることができ、負荷であるモータ30の起動をスムーズに行うことができる。
なお、制御手段32、および位相決定手段33の動作原理は、第一の実施の形態によるマトリクスコンバータ装置と同様であるため、説明を省くが、図2〜4の特性図に示された特性に基づき、出力位相を制御し、出力電圧の最大化を実現するものである。
このように、本実施形態におけるインバータ装置においては、電圧検出手段31により検出された交流電源の電圧に従って、位相決定手段32がモータ30に出力する電圧の位相を出力電圧が最大になるように決定し、位相決定手段33により決定された位相に従い制御手段33がモータ30へ印加される電圧を制御することにより、出力電圧を最大にするものである。これにより、負荷であるモータ30を高トルクで起動し、モータ30を安定に起動することができる。
以上説明したように本発明は、マトリクスコンバータ装置、およびインバータ装置に関し、3相モータを駆動するマトリクスコンバータ装置およびインバータ装置について有用である。
1 交流電源
2,3,4,5,6,7 双方向スイッチ
8 モータ
9 電圧検出手段
10 制御手段
11 位相決定手段

Claims (10)

  1. 通流方向に対応した2個のゲート入力を有する双方向スイッチを単相交流電源の端子間に直列に接続して構成され、前記単相交流電源からの交流電力を所定の周波数の交流電圧に直接変換して3相モータの巻線に供給するマトリクスコンバータ装置において、
    前記単相交流電源の電源電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段で検出した電源電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する交流電圧の位相を決定する位相決定手段と、
    前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え
    前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電源電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大値となるように位相を決定する機能を有することを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
  2. 制御手段は、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数になるように設定することを特徴とする請求項1に記載のマトリクスコンバータ装置。
  3. 制御手段は、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載のマトリクスコンバータ装置。
  4. モータは、ファン機構を負荷としたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のマトリクスコンバータ装置。
  5. 双方向スイッチは、窒化ガリウム(GaN)半導体により構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のマトリクスコンバータ装置。
  6. 双方向スイッチは、炭化ケイ素(SiC)半導体により構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のマトリクスコンバータ装置。
  7. 単相交流電源を入力とする整流回路と、前記整流回路の整流出力を平渇する小容量の平滑コンデンサとを備え、前記平滑コンデンサの平滑出力を電源供給源として動作し、所定の周波数の交流電圧を3相モータの巻線に供給するインバータ装置において、
    前記平滑コンデンサの平滑出力の電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段で検出した電圧に従って前記3相モータの各々の相の巻線に出力する
    電圧の位相を決定する位相決定手段と、
    前記位相決定手段により決定された位相に従い前記3相モータの各々の相の巻線へ印加される交流電圧を制御する制御手段を備え
    前記位相決定手段は、前記単相交流電源の電圧が最大となる時に前記3相モータの各々の相の巻線へ出力する交流電圧が最大になるように位相を決定する機能を有することを特徴とするインバータ装置。
  8. 制御手段は、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数になるように設定することを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  9. 制御手段は、モータの起動時には、所定の周波数の交流電圧を前記モータへ印加する強制同期運転を行い、その交流電圧の周波数が電源周波数を整数分周した周波数ステップとなるように複数の段階に切り替えることを特徴とする請求項7または8に記載のインバータ装置。
  10. モータは、ファン機構を負荷としたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のインバータ装置。
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