JP5466497B2 - 車両用開閉体の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の窓やスライドドアなどの車両用開閉体の制御装置に関する。特に、異物の挟み込みを検出することが可能な車両用開閉体の制御装置に関する。
本発明に関連する車両用開閉体の例として、図9にパワーウィンドウ装置の例を示す。図9に示すように、パワーウィンドウ装置は、ウィンドウガラス122を昇降させるために、車両のドア100の内部に設けられる。パワーウィンドウ装置は、ドア100の内部に固定された駆動ユニット101と、ウィンドウガラス122を昇降させるように駆動ユニット101によって駆動されるリフト機構121とを備える。駆動ユニット101は、モータ2及び出力ユニット111を含む。出力ユニット111は、歯車113を備えた出力軸112を有する。モータ2の回転は、出力ユニット111によって減速された状態で出力軸112に伝達される。被動機器としてのリフト機構121は、互いに交差する2つのアームを含み、両アームは中間部において軸連結される。両アームの上端はウィンドウガラス122に連結される。一方のアームはその下端に、出力軸112の歯車113に噛合する扇形ギヤ114を有する。モータ2の駆動に伴って歯車113が回転すると、リフト機構121はウィンドウガラス122を昇降させる。
上述したパワーウィンドウ装置には、挟み込み防止機能を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。このようなパワーウィンドウ駆動装置では、異物の挟み込みがあった場合に、モータの回転を停止したり反転する必要がある。このため、この異物がウィンドウガラスとウィンドウ枠(ドア)との間に挟まったか否かを検出するために、モータの駆動電圧Vとモータ回転速度(モータ角速度ωおよび角加速度dω)とを基にモータの負荷を推定するように構成されている。そして、車両走行時の振動やドア閉め時の振動によるモータ負荷上昇を、挟み込みと認識(=誤検出)しないよう、振動的なモータ負荷変動と識別する処理を行っている。
特開2007−239281号公報
しかしながら、振動発生直後のモータの負荷変動の波形が、挟み込み発生時の負荷変動の波形と全く同じ場合には、その区間における負荷変動が、挟み込みによる負荷変動か、振動(外乱)による負荷変動であるかを識別することは不可能であるため、波形に差異が出るまで判断を待つ必要がある。その差異が生じるまでの時間経過を待ってから挟み込み検出を行うように挟み込み検出を行うタイミングを遅らせる設定をすると、結果的に挟み込み検知荷重が大きくなってしまうという問題があった。
図10は、挟み込み検出における問題点の一例を示す図である。例えば、図10(A)に示すように、時刻t=0において、パワーウィンドウのUP動作(ウィンドウガラスの上昇動作)が既に開始され、モータ負荷fcが生じている状態において、時刻t1において挟み込みが発生した時の推定負荷foは波形aに示している。また、時刻t1において車両の振動により振動外乱が発生した時の推定負荷foは波形bで示している。
この場合、推定負荷foの増加が振動荷重による外乱であるか否かを検出するには、挟み込みによる推定負荷の変化と、振動による推定負荷の変化との間で違いが生じるまでの時刻t2まで待つ必要がある。そして、挟み込みによる変化と、振動による変化とで違いが生じる時刻t3において、挟み込み検出が行われる。このとき、推定負荷foは負荷fh1に達している。
上述のように挟み込み検出のタイミングを遅らせ、時刻t3において挟み込み検出を行う設定が行われていると、図10(B)に示すように、時刻t2において、符号aで示す推定負荷foを示す波形と、符号bで示す推定負荷foを示す波形との間で、波形の立ち上がりに差が生じる場合であっても、時刻t3で挟み込み検出を行うことになる。そして、時刻t3で、挟み込み検出を行うときには、推定負荷foは、負荷fh2に達し、前述の負荷fh1より大きくなってしまう場合がある。
このように、挟み込み検出の行うタイミングを遅らせることで、大きな挟み込み負荷が生じてから挟み込みを検出することとなり、結果的に、挟み込みの検知荷重が大きくなり、挟み込み検出の感度が鈍くなってしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、早期に挟み込み検出が可能になり、かつ挟み込みを判定するための検知荷重を小さく設定することができる、車両用開閉体の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の請求項1に係わる車両用開閉体の制御装置は、車両に取り付けられた開閉体をモータで駆動する車両用開閉体の制御装置であって、車両の振動を加速度センサを用いて加速度検出信号として検出する振動検出部と、前記モータの推定負荷を算出する推定負荷算出部と、前記振動検出部により検出される加速度検出信号と所定の伝達関数とに基づいて、前記振動が前記モータの負荷として現れる振動負荷を算出する振動負荷算出部と、前記推定負荷算出部で算出された推定負荷の算出値を、前記振動負荷算出部で算出された振動負荷の算出値により補正する振動除去負荷算出部と、前記振動除去負荷算出部により補正された負荷算出値に基づいて物体の挟み込みの有無を判定する挟込判定部と、を備え前記加速度検出信号に基づいて前記振動負荷を算出する際に用いられる所定の伝達関数は、前記振動検出部により検出される加速度検出信号と、前記車両の振動が前記開閉体を介してモータの負荷として現れる振動負荷の信号との間の関係を示す伝達関数であることを特徴とする。
この車両用開閉体の制御装置では、推定負荷算出部が、モータの推定負荷foを算出する。また、振動負荷算出部が、車両(例えば、モータ制御回路の基板や、ECU(Electronic Control Unit)等)に取り付けた加速度センサにより検出した加速度検出信号pから、所定の伝達関数H(s)を用いてモータの振動負荷fを算出する。そして、振動除去負荷算出部は、推定負荷算出部により算出された推定負荷foの算出値を、振動負荷算出部により算出された振動負荷fの算出値により補正する。
このように、モータの推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)を除外することにより、早期に挟み込み検出が可能になり、かつ挟み込みを判定するための検知荷重を小さく設定することができる。
の車両用開閉体の制御装置では、加速度検出信号pに基づいて、伝達関数H(s)によりモータの振動負荷fを算出する。この伝達関数H(s)は、加速度検出信号pと、モータ出力の振動外乱(振動負荷f)の信号との間の関係を示す伝達関数である。
これにより、加速度検出信号pと伝達関数H(s)とに基づいて、モータの振動負荷fを高い精度で算出することができる。
また、請求項に係わる発明は、請求項に記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記伝達関数は、車両と、車両に取り付けられた車両用開閉体と、モータにより駆動される車両用開閉体の駆動機構とを構成要素とする弾性系、質量系、および減衰系が連結したn次遅れ伝達関数で表されることを特徴とする。
この車両用開閉体の制御装置では、伝達関数H(s)として、車両と、車両用開閉体と、駆動機構とを構成要素とするバネ(弾性)系、マス(質量)系、およびダンパ(減衰)系が連結したn次の伝達関数を用いる。
これにより、加速度検出信号pとn次の遅れ伝達関数とに基づいてモータの振動負荷fを高精度で算出することができる。このため、モータの推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)を高精度でキャンセルすることができる。
また、請求項3に係わる発明は、請求項2に記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記伝達関数は、前記構成要素に含まれる車両と車両用開閉体と駆動機構とそれぞれの質量、及び、前記構成要素間の減衰係数を用いて前記車両の振動が前記モータに至るまでの機械系の遅れを表す伝達関数であることを特徴とする。
また、請求項4に係わる発明は、請求項2又は請求項3のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記伝達関数は、分子に2次のラプラス変換演算子を有し、分母に4次のラプラス変換演算子を有する4次の遅れ伝達関数であることを特徴とする。
この車両用開閉体の制御装置では、バネ(弾性)系、マス(質量)系、およびダンパ(減衰)系が連結した4次の遅れ伝達関数を用いて、加速度検出信号pに基づいて振動負荷fを算出する。
これにより、加速度検出信号pと4次の遅れ伝達関数H(s)とに基づいてモータの振動負荷fを高精度で算出することができる。このため、モータの推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)を高精度で除外することができる。
また、請求項5に係わる発明は、請求項2又は請求項3のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記伝達関数は、1次、2次、または3次遅れ伝達関数であると共に、前記振動負荷が所定の閾値を超えているか否かを判定するとともに、該振動負荷が所定の閾値を超えていると判定した場合に、さらに、当該振動負荷が、前記振動負荷が最初に前記閾値を超えてから所定時間以内に算出された振動負荷であるか否かを判定する振動負荷値判定部を備え、前記振動除去負荷算出部は、前記振動負荷値判定部により条件を満たすと判定された場合に、前記推定負荷算出部により算出される推定負荷の算出値を、前記振動負荷算出部により算出される振動負荷の算出値により補正することを特徴とする。
この車両用開閉体の制御装置では、伝達関数H(s)が、1次、2次、または3次の遅れ伝達関数である場合は、推定負荷foの振動外乱による波形と、振動負荷算出部により算出される振動負荷fとの波形の類似性が高くない。しかしながら、初回目のピーク点を含む波形の部分については波形の類似性が高いため、この部分についてのみ限定して補正を行う(2回目以降のピーク点を含む振動波形の部分は、機械系の“高次周波数による余振動”との足し算になるため波形の類似性が低下する)。
このため、振動負荷fが規定値(閾値)f1以上となった場合に、その後、規定時間T1の間(時間T1以内)に限定して、推定負荷算出部により算出された推定負荷foの算出値を、振動負荷算出部により算出された振動負荷fの算出値により補正する。
このように、伝達関数H(s)が1次、2次、または3次の遅れ伝達関数である場合においても、所定時間T1の間だけ、推定負荷foに対して振動負荷fにより補正を行うことにより、推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)をキャンセルすることができる。
また、請求項6係わる発明は、請求項5に記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記所定の時間は、前記加速度センサを用いて検出される加速度検出信号の波形において最初のピーク点を含む振動波形の部分の周期に応じて設定されることを特徴とする。
この車両用開閉体の制御装置では、伝達関数H(s)が1次、2次、または3次の遅れ伝達関数である場合において、推定負荷foに対して補正を行う時間T1を、加速度検出信号pの初回目のピーク点を含む波形部分の周期に基づいて設定する。
これにより、伝達関数H(s)が1次、2次、または3次の遅れ伝達関数である場合においても、推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)を除外することができる。
また、請求項7に係わる発明は、請求項1から6のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記加速度センサは、モータの制御回路が搭載される制御基板上に設けられることを特徴とする。
これにより、加速度センサをモータ制御回路と一体化して設備することができ、レイアウト性よく加速度センサを搭載することができる。
また、請求項8に係わる発明は、請求項1から7のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置であって、さらに、前記モータの回転速度を検出する回転速度算出部と、前記モータの回転加速度を検出する回転加速度算出部と、前記モータの駆動電圧を検出する電圧検出部と、を有し、前記推定負荷算出部は、前記モータの回転速度、回転加速度及び駆動電圧から推定負荷を算出することを特徴とする。
これにより、推定負荷算出部が、モータの回転速度、回転加速度及び駆動電圧を用いてモータの推定負荷foを算出するため、モータの推定負荷を高精度に算出することができる。
また、請求項9に係わる発明は、請求項1から8のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置であって、前記車両用開閉体が車両の窓を開閉するパワーウィンドウであることを特徴とする。
これにより、パワーウィンドウにおいて、早期に挟み込み検出が可能になり、かつ挟み込みを判定するための検知荷重を小さく設定することができる。
本発明の車両用開閉体の制御装置では、モータの回転速度、回転加速度及び駆動電圧からモータの推定負荷foを算出し、車両(例えば、モータの制御基板や、ECU等)に取り付けた加速度センサにより検出した加速度検出信号pと、所定の伝達関数H(s)とを用いてモータの振動負荷fを算出する。そして、推定負荷foの算出値を、振動負荷fの算出値により補正する。
このように、モータの推定負荷foから振動外乱(振動負荷f)を除外することにより、早期に挟み込み検出が可能になり、かつ挟み込みを判定するための検知荷重を小さく設定することができる。
本発明の第1の実施形態に係わるパワーウィンドウ駆動装置の構成を示す図である。 図1に示す制御部の構成を示す図である。 加速度検出信号pの波形を示す図である。 振動負荷算出部15において用いられる伝達関数H(s)の例について説明するための図である。 図2に示す制御部の動作について説明するための波形図である。 本発明の第2の実施の形態に係わる制御部の構成を示す図である。 図6に示す制御部の動作について説明するための波形図である。 図6に示す制御部の動作について説明するためのフローチャートである。 パワーウィンドウ装置の構成を示す図である。 パワーウィンドウ駆動装置の挟み込み検出における問題点の一例を示す図である。
次に、この発明の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる車両用開閉体の制御装置の例として、本発明を自動車用のパワーウィンドウ駆動装置に適用した場合の例を示す図である。
図1に示すように、パワーウィンドウ駆動装置1は、車両のウィンドウガラス122を開閉するための駆動装置であって、モータ(DCモータ)2と、モータ2の回転を検出する回転センサ3と、モータ2の両端(プラス端子、マイナス端子)に接続されたスイッチング手段としてのリレー回路4と、モータ2の駆動電圧を検出する電圧検出回路5と、モータ2を駆動するバッテリ等から降圧などにより生成される電源6と、ウィンドウガラス122を開閉する際に使用される操作スイッチ7と、加速度センサ8と、パワーウィンドウ駆動装置1の主制御を行う制御部10とが設けられている。なお、この制御部10は、例えば、マイクロコントローラや、カスタムマイクロコンピュータ等であり、内部にROM、RAM、A/D変換器(所望の場合にはD/A変換器も含む)、カウンタ、I/Oポート、及びバッファ出力回路等を内蔵している。
リレー回路4には、スイッチング素子であるUP側(ウィンドウガラスの閉動作側)のリレーとDOWN側(ウィンドウガラスの開動作側)の2つのリレーを含み構成され、これら2つのリレーがそれぞれモータ2の両端端子に接続されている。すなわち、制御部10からの出力信号がUP(閉)信号である場合、UP側のリレーがオンとなり、DOWN側のリレーがオフとなる。これに対し、制御部10からの出力信号がDOWN(開)信号である場合、UP側のリレーがオフとなり、DOWN側のリレーがオンとなる。このように、制御部10からの出力信号がUP(閉)とDOWN(開)とに切り替わることによって、モータ2に流れる電流の向きが正/逆反対となり、モータ2の回転方向が変わるようになっている。これによって、モータ2に連係されているウィンドウガラス122が上昇(UP)したり下降(DOWN)したりして開閉動作を行う。
また、回転センサ3は、例えば、ロータリエンコーダや、ホールIC等により構成される。回転センサ3が、ホールICで構成される場合、モータ2の図示しない回転軸に組みつけられた図示しないセンサマグネットにより、回転センサ3はモータ2の回転軸の回転に合わせて位相のずれた(例えば、A相、B相)2つの信号が制御部10に出力されるようになっている。そして、A相及びB相の信号の位相差により、モータ2の回転速度及び回転方向(正回転と逆回転と)の判定が行われる。電圧検出回路5は、例えば抵抗分圧回路とフィルタ回路で構成されており、モータ2の駆動電圧(端子電圧)を制御部10の入力ポート(A/D変換器に繋がるポート)に適合する信号レベルに変換するための回路である。
操作スイッチ7は、運転席などに設けられたスイッチである。この操作スイッチ7は、オート操作スイッチ7a及びマニュアル操作スイッチ7bで構成される。このオート操作スイッチ7a及びマニュアル操作スイッチ7bの各開閉操作信号(UP/DOWN操作信号)に応じて、制御部10によりリレー回路4内のリレーがON/OFF制御され、このリレー回路4によりモータ2が正転または逆転駆動されることによりウィンドウガラス122の開閉が行われる。
加速度センサ8は、車両(車体)の振動を検出するためのセンサである。この加速度センサ8は、車両の振動がモータ負荷(モータ出力トルク)に与える影響(外乱)を検出するためのものである。後述するように、この加速度センサ8の加速度検出波形からモータ負荷の外乱による振動負荷fを推定し、この振動負荷fによりモータ2の推定負荷foを補正する。
この加速度センサ8の取り付け位置としては、車両(例えば、ドアパネル)、モータ2の制御装置(制御基板上に搭載)、制御基板上のマイコン(カスタムマイクロコンピュータ等)に搭載する等、種々の場所に搭載することができるが、製品モジュール化が容易なモータ2と制御装置とを一体化した制御モジュール内に搭載することが好適である。例えば、図9に示すように、モータ2に一体化されて付設される制御モジュール1A内の制御基板上に加速度センサ8を搭載することができる。
なお、加速度センサ8をウィンドウガラスに搭載すると、通常挟み込み時の加速度も検出してしまうため、ウィンドウガラスへの搭載は避ける必要がある。また、この加速度センサ8としては、ピエゾ抵抗素子型(piezo-resistive)のセンサを使用できる他に、圧電型や静電容量型などを用いることができる。
(制御部10の構成の説明)
図2は、パワーウィンドウ駆動装置1の制御部10の構成を示す概略ブロック図である。
同図に示すように、制御部10には、その制御構成として、電圧検出部11と、回転速度算出部12と、モータ加速度算出部12Aと、モータ位置算出部12Bと、推定負荷算出部13と、振動検出部14と、振動負荷算出部15と、振動除去負荷算出部16と、挟込判定部17と、駆動制御部18とを有している。
電圧検出部11は、モータ2の駆動電圧の信号(電圧検出回路5によりレベル変換された信号)が入力され、モータ2の電圧を検出する。この電圧検出部11で検出されたモータ2の駆動電圧Vの信号は、推定負荷算出部13に出力される。
回転速度算出部12は、モータ2の回転に連動する回転センサ3から出力される信号に基づいてモータ2の回転速度を算出する。例えば、回転センサ3がロータリエンコーダにより構成される場合、制御部10内のカウンタ(図示せず)を用いて所定周期ごとに、回転センサ3から出力されるパルス信号の数(またはパルス間隔)を計測して、モータ2の回転方向及び回転速度(角速度)ωを算出する。また、この回転速度算出部12は、回転センサ3がホールICで構成される場合、回転センサ3から入力される位相の異なる2相(A,B相)のパルス波形、およびパルス間隔に基づいて、モータ2の回転方向及び回転速度ωを算出する。
また、回転速度算出部12は、回転方向の信号と回転速度ωの信号とを、モータ加速度算出部12A、モータ位置算出部12B、及び推定負荷算出部13に出力する。
モータ加速度算出部12Aは、回転速度算出部12から入力した回転速度(角速度)ωの信号に基づいてモータ加速度(角加速度)dωを算出し、このモータ加速度dωの信号を推定負荷算出部13に出力する。モータ位置算出部12Bは、回転速度算出部12から入力した回転速度ωの信号とモータ2の回転方向の信号とに基づいて、全閉から全開に至るウィンドウガラス122の位置に対応するモータ2の回転位置θを算出する。より詳細には回転センサ3から出力されるパルス信号の数をカウントし、このカウント値を回転位置θとしている。この回転位置θの信号は推定負荷算出部13に出力される。
推定負荷算出部13は、モータ2の駆動電圧Vと、モータ2の回転速度(角速度)ωと、モータ加速度(角加速度)dωとに基づいて、モータ2の推定負荷foを算出する。ここで推定負荷foは、以下の式(1)により算出することができる(特許文献1を参照)。
fo=(Bm+a)(ω0−ω)+b(V−V0)−Jm・dω …(1)
ここで、Bmはモータ内部負荷の粘性係数、ωは角速度、ω0は外部無負荷時の角速度定常値、Jmはモータ2を含む装置(例えばウィンドウ開閉装置)の慣性モーメント、dωは角加速度、a、bはモータ2に固有の定数である。なお、(Bm+a)(ω0−ω)を角速度差演算項、b(V−V0)を電圧差演算項、Jm・dωを角加速度演算項(または慣性項)と呼ぶこともある。
振動検出部14は、加速度センサ8により検出された加速度信号Gから加速度検出信号(波形信号)pを算出する。例えば、図3に示すように、加速度検出信号pの波形信号を算出する。図3は、横軸に時間経過をとっており、縦方向に、加速度検出信号p、および振動負荷fを並べて示している。
振動負荷算出部15は、加速度検出信号pから振動負荷fを算出する。この振動負荷fは、車両の振動により生じるモータ2の負荷外乱を推定するものである。この振動負荷算出部15では、図3に示すように、時刻t1において発生する加速度検出信号pに基づいて、伝達関数H(s)を用いて振動負荷fを算出する。なお、伝達関数H(s)の詳細については後述する。
振動除去負荷算出部16では、振動負荷算出部15から振動負荷fの信号が入力され、推定負荷算出部13から推定負荷foの信号が入力される。振動除去負荷算出部16では、入力した推定負荷foに対して振動負荷fを減算し、振動除去推定負荷fo’(fo’=fo−f)を算出する。振動除去負荷算出部16は、この振動除去推定負荷fo’の信号を挟込判定部17に出力する。挟込判定部17では、振動除去負荷算出部16から入力した振動除去推定負荷fo’が所定の閾値(検知荷重)fhを超えるか否かを判定する。挟込判定部17では、振動除去推定負荷fo’が所定の閾値fhを超える場合に、パワーウィンドウにおいて異物の挟み込みが発生したと判定し、挟込判定信号hを駆動制御部18に出力する。
駆動制御部18では、挟込判定部17から挟み込み信号hを入力すると、リレー回路4を駆動し、パワーウィンドウDOWN側(下降側)に駆動するか、またはパワーウィンドウの開閉動作を停止するようにモータ2を制御する。
なお、上述の各機能部は、制御部10内に備えられたマイクロコントローラのCPUが、マイクロコントローラに内蔵されたROMに記憶されたプログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるようにしてもよい。
(振動負荷算出部15の構成の説明)
制御部10内の振動負荷算出部15は、振動検出部14により生成される加速度検出信号pに基づいて、モータ出力における振動外乱による振動負荷fを算出する。
この振動負荷fの算出において、振動負荷算出部15では、車両の振動がモータ負荷に至るまでの機械系の遅れに相当する伝達関数H(s)により、加速度検出信号pから振動負荷fを求める。そして、振動除去負荷算出部16では、推定負荷foの算出値から振動負荷fの算出値を減算することにより、振動による負荷変動が相殺された振動除去推定負荷fo’を算出する。
以下、この伝達関数H(s)の算出方法について説明する。
図4は、伝達関数H(s)の算出方法について説明するための図である。図4(A)に示すように、車両21の振動は、ウィンドウガラス(窓ガラス)122と、このウィンドウガラス122を開閉する開閉機構とを通してモータ2の出力軸に伝わり、モータ2の振動負荷fとなる。
図4(A)において、p:車両振動(加速度G)、y1:車両変位、y2:窓ガラス変位(モータ2から見た相対変位)、k1:車両と窓ガラス間の弾性係数、k2:窓ガラスとモータ間の弾性係数、c1:車両と窓ガラス間の減衰係数、c2:窓ガラスとモータ間の減衰係数、f:モータ負荷(振動負荷)、とする。これにより、図4(A)に示すシステムの運動方程式は、次式(1−1)〜(1−3)に示すようになる。
Figure 0005466497
上記の運動方程式(1−1)〜(1−3)をラプラス変換することにより、以下に示すラプラス変換式(2−1)〜(2−3)が得られる。
Figure 0005466497
このラプラス変換式(2−1)〜(2−3)より、以下の式(3−1)〜(3−3)が得られる。
Figure 0005466497
式(3−2)より、以下の式が得られる。
Figure 0005466497
これを、式(3−1)に代入すると、以下の式(5−1)が得られる。
Figure 0005466497
また、式(3−3)より、以下の式(6−1)が得られる。
Figure 0005466497
上記式(5−1)、式(6−1)により、伝達関数H(s)は、以下の式(7−1)となる。
Figure 0005466497
上記伝達関数H(s)を離散化し、差分方程式によりソフトウェア処理を行う。この場合、図4(B)に示すように、まず、上記のように求めた連続時間表現の伝達関数H(s)(以下の式(8−1))に対して、「Z=e−ST」を用いて離散化(例えば、双一次変換)し、離散時間表現の式(9−1)における係数A,B、C,D、E,a,b,c,dを得る。
Figure 0005466497
Figure 0005466497
上記離散表現の式(9−1)に基づいて、加速度検出信号pと振動負荷fについての4周期前のサンプリング値から現在に至るまでサンプリング値により、以下に示す差分方程式(10−1)を用いたソウトウェア処理により、振動負荷Fを算出する。
Figure 0005466497
なお、各係数は、図4(A)に示すバネ・マス・ダンパ系が連結したシステム構成において、理論(物性値)により求めることができる他に、実測(システム同定)より求めることができる。この実測より求める方法では、車両に振動を印加した際の加速度検出信号のデータと、モータ負荷データ(振動外乱データ)とに基づいて、4次のシステムとして各係数を同定する。
(制御部10の動作の説明)
以下、図5を参照して制御部10の具体的な制御動作を説明する。
図5は、制御部10の行う挟み込み検出における振動負荷、推定負荷を示す波形図である。同図では、時刻t=0において、パワーウィンドウのUP側動作(ウィンドウガラスの上昇動作)が既に開始されているものとする。
図5において、図5(A)は、加速度検出信号(波形信号)pに対して生成される振動負荷fの波形例を示す図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸はそれぞれの信号のレベル(加速度、負荷)を示している。
また、図5(B)は、振動負荷算出部15、振動除去負荷算出部16、および挟込判定部17の動作を説明するための図である。図5(B)では、横軸に時間の経過をとっており、縦方向に、振動負荷fの正負の極性を反転した波形(−f)と、符号aで示す異物の挟み込み時における振動除去推定負荷fo’と、符号bで示す振動外乱時における振動除去推定負荷fo’を並べて示している。また、挟込判定部17において挟み込み判定に使用される検知荷重をfhとしている。
図5(A)に示すように、時刻t1において車両(車体)に振動が発生し、この振動が加速度センサ8により検出され、振動検出部14により加速度検出信号pが生成される。この加速度検出信号pは振動負荷算出部15に出力される。振動負荷算出部15では、加速度検出信号pに基づいて、伝達関数H(s)により振動負荷fを算出する。より正確には、加速度検出信号pをサンプリングした信号により、前述した差分方程式(図4(B)の差分方程式F(t)を参照)により振動負荷f(t)を算出する。
(振動外乱がなく挟み込みによりモータ推定負荷foが増加する場合の例)
次に、外乱(車両の振動)による振動負荷fが発生しておらず、異物の挟み込みが発生してモータ推定負荷foが次第に増加する場合の挟み込み検出処理の例について、図5(B)を参照して説明する。なお、図5(B)に示すように、時刻t=0において、パワーウィンドウが既にUP側(ウィンドウガラスの上昇側)に動作しており、推定負荷算出部13から推定負荷foの算出値fcの信号が出力されているものとする。
この状態において、時刻t2において挟み込みが発生する。この挟み込みの発生により、推定負荷算出部13から出力される推定負荷fo(符号aで示す波形)は負荷算出値fcから次第に増加する。また、振動除去負荷算出部16から出力される振動除去推定負荷fo’(符号aで示す波形)も次第に増加する(この例では、振動負荷fは発生していないので、「fo’=fo」である)。
この振動除去負荷算出部16から出力される振動除去推定負荷fo’(符号aで示す波形)が、時刻t2から次第に増加し、時刻t3において、挟み込み検知荷重fhに到達すると、挟込判定部17により挟み込みの発生が検出される。この場合に、挟み込み検知荷重fhは、パワーウィンドウがUP側に通常動作する負荷fcよりΔfだけ大きい検知荷重値fhに設定されている。
こうして、時刻t3において、挟込判定部17により異物の挟み込みが検出されることにより、挟込判定部17から駆動制御部18に挟込判定信号hが出力される。駆動制御部18は、挟込判定部17から入力した挟込判定信号hに基づいてリレー回路4を駆動し、モータ2を逆転させてガラス窓を下降側に駆動するか、又はモータ2を停止させる。
(振動負荷が発生する場合の例)
次に、車両に振動が印加されモータ出力に振動外乱(振動負荷f)が発生し、かつ異物の挟み込みが発生していない場合の例について説明する。図5(A)に示すように、時刻t1において、車体に振動が発生し、この振動が加速度センサ8により検出され、振動検出部14から加速度検出信号pが生成される。この加速度検出信号pに基づいて、振動負荷算出部15では、伝達関数H(s)(より正確には差分方程式F(t))により振動負荷fを算出し、この振動負荷fが振動除去負荷算出部16に出力される。
一方、図5(B)に示すように、推定負荷算出部13からは、時刻t2から車体の振動の影響により、ウィンドウガラスの上昇に伴う負荷fcに振動負荷が加わった推定負荷foが出力される(符号b’で示す波形)。
振動除去負荷算出部16は、推定負荷算出部13から出力される推定負荷fo(波形b’)の負荷算出値から、振動負荷fの算出値を減算する処理を行い(fo’=fo−f)、振動により発生する推定負荷foの振動外乱(波形b’)を、振動負荷fによりキャンセルした振動除去推定負荷fo’(波形b)を出力する。これにより、振動除去推定負荷fo’の算出値が検知荷重fhを超えることはなく、振動による挟み込みの誤検出を回避することができる。
その結果、挟み込み検出を早期に行うことができるとともに、挟み込み検出の判定に使用する検知荷重fhを低く設定することができる。
以上説明したように、車両の振動(加速度センサ8による加速度検出信号)とモータ負荷(振動による外乱負荷)には相関があり、バネ系(弾性系)、マス系(質量系)、およびダンパ系(減衰系)が連結したn次遅れ伝達関数で表現できる。
そして、加速度検出信号pと伝達関数とを用いて振動負荷fを算出し、この振動負荷fにより推定負荷foを補正することにより、振動時のモータ2の負荷変動(振動外乱による負荷変動)を相殺し、振動による外乱の影響を受けることなく挟み込み検出の判定を行うことができる。
これにより、振動外乱を許容するために挟み込み検知荷重を大きくしたり、挟み込み検出のタイミングを遅らせる設定をする必要がなくなり、早期に挟み込み検出が可能になり、また、挟み込み検知荷重を低く設定することができる。また、振動外乱による誤検出を防ぐために挟み込み検出の感度を鈍くする処理が不要となるので、振動中に挟み込みが起こっても振動なしの時と同様に、低い検知荷重により挟み込みを検出できる。
さらに、加速度センサ8を2軸に採用すれば、走行による垂直振動と、ドア閉め時の水平振動とを個別に検出でき、それぞれ固有の係数を設定し演算することができる。これらの係数は、理論(物性値)もしくは実測(システム同定)より求めることができる。
[第2の実施形態]
上述した例では、伝達関数H(s)として4次遅れの伝達関数を用いる例について説明したが、演算速度を高速化するために、1次、2次あるいは3次の低次の遅れ伝達関数H(s)を用いることもできる。本発明の第2の実施形態として、伝達関数H(s)として、1次、2次あるいは3次の低次の遅れ伝達関数H(s)を用いる場合の例について説明する。
この1次、2次あるいは3次の低次の遅れ伝達関数H(s)を用いる合、振動負荷fの初回目のピーク点を含む振動波形の部分は、推定負荷foと類似した波形になるが、2回目以降の振動波形は、機械系の“高次周波数による余振動”との足し算になるため波形が異なってくる。このため、初回目のピーク点を含む波形の部分に限定して、推定負荷foに対して振動負荷fによる補正処理を行う。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係わる制御部10Aの構成を示す図である。図60に示す制御部10Aが、図2に示す制御部10と構成上異なるのは、図2に示す制御部10に、図6示す振動負荷値判定部19を新たに追加した点であり、他の構成は図2に示す制御部10と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
振動負荷値判定部19では、振動負荷算出部15から振動負荷fの信号を入力し、この振動負荷fが所定の条件を満たすか否かを判定する。この所定の条件としては、後述するように、振動負荷fが所定の規定値(閾値f1)を超えるとともに(f≧f1)、この閾値f1を超える状態が、最初に閾値f1を超えてから所定時間T1以内であるか否かが用いられる。そして、この条件を満たす場合に、振動負荷fの信号(fの算出値)を振動除去負荷算出部16に出力する。
上記制御部10A内で実現される制御部の構成において、以下、図7を参照して、その制御動作について説明する。なお、図7においては、時刻t=0において、パワーウィンドウのUP側動作(ウィンドウガラスの上昇動作)が既に開始されているものとする。
図7において、図7(A)は、加速度検出信号(波形信号)pに対して生成される振動負荷fの波形例を示している。横軸は時間を示し、縦軸は加速度検出信号p、及び振動負荷fのレベルを示している。
また、図7(B)は、振動負荷算出部15、振動負荷値判定部19、振動除去負荷算出部16、および挟込判定部17の動作を説明するための図である。符号aで示す波形は、異物の挟み込み時における振動除去推定負荷fo’であり、符号bで示す波形は、振動外乱時における振動除去推定負荷fo’である。図7(B)では、横軸は時間を示し、縦軸は振動負荷fの正負の極性を反転した波形(−f)と、異物の挟み込み時及び振動外乱時振動それぞれの除去推定負荷fo’とのそれぞれの大きさを示している。また、挟込判定部17において挟み込み判定に使用される検知荷重をfhとして示している。
図7(A)に示すように、時刻t1において車両(車体)に振動が発生し、この振動が加速度センサ8により検出され、振動検出部14により加速度検出信号pが生成される。この加速度検出信号pに基づいて、振動負荷算出部15では、振動負荷fを生成して振動負荷値判定部19に出力する。
(振動外乱がなく挟み込みによりモータ推定負荷foが増加する場合の例)
次に、外乱(車両の振動)による振動負荷fが発生しておらず、異物の挟み込みが発生してモータ推定負荷foが次第に増加する場合の挟み込み検出処理の例について、図7(B)を参照して説明する。なお、図7(B)に示すように、時刻t=0において、パワーウィンドウが既にUP側(ウィンドウガラスの上昇側)に動作しており、推定負荷算出部13から推定負荷foの算出値fcの信号が出力されているものとする。
この状態において、時刻t2において挟み込みが発生する。この挟み込みの発生により、推定負荷算出部13から出力される推定負荷fo(符号aで示す波形)は負荷算出値fcから次第に増加する。また、振動除去負荷算出部16から出力される振動除去推定負荷fo’(符号aで示す波形)も次第に増加する(この例では、振動負荷fは発生していないので、「fo’=fo」である)。
この振動除去負荷算出部16から出力される振動除去推定負荷fo’(符号aで示す波形)が、時刻t2から次第に増加し、時刻t4において、挟み込み検知荷重fhに到達すると、挟込判定部17により挟み込みの発生が検出される。この場合に、挟み込み検知荷重fhは、パワーウィンドウがUP側に通常動作する負荷fcよりΔfだけ大きい検知荷重値fhに設定されている。
こうして、時刻t4において、挟込判定部17により異物の挟み込みが検出されることにより、駆動制御部18は、リレー回路4を通してモータ2を逆転させウィンドウガラスを下降側に駆動するか、またはモータ2を停止させウィンドウガラスの開閉を停止させる。
(振動負荷が発生する場合の例)
次に、車両に振動が印加されモータ出力に振動外乱が発生し、かつ異物の挟み込みが発生していない場合の例について説明する。図7(A)に示すように、時刻t1において、車体に振動が発生し、この振動が加速度センサ8により検出され、振動検出部14から加速度検出信号pが生成される。この加速度検出信号pに基づいて、振動負荷算出部15は伝達関数H(s)により振動負荷fを算出し、この算出した振動負荷fを振動負荷値判定部19に出力する。
一方、図7(B)に示すように、時刻t2から後、車体の振動の影響により、推定負荷算出部13から、ウィンドウガラスの上昇に伴う負荷fcに振動外乱が加わった推定負荷foが出力される(符号b’で示す波形)。
そして、時刻t3において、振動負荷算出部15から出力される振動負荷fが、閾値f1を超えると、振動負荷値判定部19から振動除去負荷算出部16に対して振動負荷fの信号が出力される。ここで、閾値f1は、挟み込みの誤検出が生じない範囲の小振動の振幅値以上、かつ挟み込み検出しきい値(検知荷重fh)以下に設定される。
時刻t3において、振動負荷値判定部19から振動除去負荷算出部16に対して振動負荷fの信号が出力されると、振動除去負荷算出部16では、時刻t5までの時間T1の間だけ、推定負荷算出部13から入力した推定負荷foに対する補正処理を行う。この補正処理では、推定負荷fo(波形b’)の算出値から振動負荷fの算出値を減算する処理が行われる(fo’=fo−f)。
このため、時刻t3から時刻t5までの時間T1の間において、振動除去負荷算出部16の出力fo’(波形b)は、推定負荷fo(符号b’の波形)から振動負荷fをキャンセルした(推定負荷foに逆極性の振動負荷−fを加算した)状態となる。従って、時間T1の区間で、振動除去負荷算出部16の出力(振動除去推定負荷fo’)は、波形bで示すように一定の値となり、検知荷重fhを超えることがなくなり、挟込判定部17により挟み込みの誤検出が行われることを回避できる。
このように、振動により発生する推定負荷foの振動外乱を、振動負荷fによりキャンセルすることができるため、挟み込み検出を早期に行うことができるとともに、挟み込み検出の判定に使用する検知荷重を低く設定することができる。
また、図8は、上述した制御部10Aにおける振動負荷の補正処理の流れをフローチャートで示したものである。以下、図8に示すフローチャートを参照して、制御部10Aにおける振動負荷の補正処理の流れについて説明する。
振動負荷算出部15では、振動検出部14により算出された加速度検出信号pに基づいて、伝達関数H(s)(より正確には前述の差分方程式F(t))により振動負荷fを求める(ステップS11)。
そして、振動負荷値判定部19では、振動負荷fが規定値(閾値)f1以上であると判定した場合に、さらに、当該振動負荷fが、振動負荷fが最初に規定値f1以上(f≧f1)になってから規定時間T1の間(規定時間T1以内)であるか否かを判定する(ステップS12)。この規定値f1は、挟み込み検出において誤検出処理を行わない範囲の小振動の振幅値以上、かつ挟み込み検出しきい値(検知荷重fh)以下に設定される。また、時間T1は「f≧f1」を検出後、初回目のピーク点を有するプラス振動がなくなるまでの時間を設定するが、図3に示すように、加速度検出信号pの初回目のプラス振動がなくなるまでの時間T(時刻t1〜時刻t2)に基づいて設定する。例えば、時間T1を、図3に示す時間Tの近似値とする。
なお、図7(B)の波形b’で示す推定負荷foの初回目のピーク点を含む振動波形の部分(時間T1の範囲)は、加速度検出信号pに基づいて算出される振動負荷fと波形が同じ形になるが、2回目以降の振動波形は、機械系の“高次周波数による余振動”との足し算になるため波形が異なってくる。このため、時間T1に限定して、補正処理が行われる。なお、参考例として、走行振動については、加速度Gは1〜20G程度であり、その振動周波数は、2〜30Hz程度である。また、ドア閉め振動については、加速度Gは20〜40G程度であり、その振動周波数は、2〜50Hz程度である。
図8のフローチャートに戻り、ステップS12において、「f≧f1」でないか、または規定時間T1の間(T1以内)でないと判定された場合は(ステップS12でNo)、振動除去負荷算出部16では、振動負荷fにより補正演算を行うことなく、推定負荷foをそのまま振動除去推定負荷fo’として挟込判定部17に出力する(fo’=fo)(ステップS13)。この場合は、振動負荷fが小さいか(小振動)、または加速度検出信号pに基づいて算出される振動負荷fの波形と、推定負荷foにおける振動外乱の波形との相似性が良くないため、「fo’=f」とする。
一方、ステップS12において、「f≧f1」であり、かつ規定時間T1の間(T以内)であると判定された場合は(ステップS12でYes)、振動除去負荷算出部16では、まず、振動負荷fが正であるかどうかを判定する(ステップS14)。
そして、fが負値(f<0)の場合は(ステップS14でNo)、推定負荷foをそのまま振動除去推定負荷fo’として挟込判定部17に出力する(fo’=fo)(ステップS15)。これは、振動負荷fの位相がずれて振幅が大きくなる方向に補正されるのを防ぐためである。
また、ステップS14において「f≧0」と判定された場合は(ステップS14でYes)、推定負荷foから振動負荷fを減算し、大振動時の負荷変動が相殺された振動除去推定負荷fo’を求める(ステップS16)。
このように、第2の実施形態では、4次の高次の伝達関数H(s)を用いずに、1次、2次、または3次の伝達関数H(s)を用いて振動負荷fを算出して、モータ負荷の振動外乱を除去することができる。これにより、振動負荷fの算出に伴う演算量を減らして演算時間を短縮することができるとともに、モータ2の推定負荷foから振動外乱を除外することにより、早期に挟み込み検出が可能になり、かつ挟み込みを判定するための検知荷重を小さく設定することができる。
なお、上述した第1および第2の実施形態では、車両用開閉体の制御装置の例として、車両のウィンドウガラスを開閉動作させるパワーウィンドウ駆動装置の例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、本発明の車両用開閉体の制御装置を、サンルーフ、スライドドアの開閉用に用いてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の車両用開閉体の制御装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1…パワーウィンドウ駆動装置、1A…制御モジュール、2…モータ、3…回転センサ、4…リレー回路、5…電圧検出回路、6…電源、7…操作スイッチ、8…加速度センサ、10,10A…制御部、11…電圧検出部、12…回転速度算出部、12A…モータ加速度算出部、12B…モータ位置算出部、13…推定負荷算出部、14…振動検出部、15…振動負荷算出部、16…振動除去負荷算出部、17…挟込判定部、18…駆動制御部、19…振動負荷値判定部

Claims (9)

  1. 車両に取り付けられた開閉体をモータで駆動する車両用開閉体の制御装置であって、
    車両の振動を加速度センサを用いて加速度検出信号として検出する振動検出部と、
    前記モータの推定負荷を算出する推定負荷算出部と、
    前記振動検出部により検出される加速度検出信号と所定の伝達関数とに基づいて、前記振動が前記モータの負荷として現れる振動負荷を算出する振動負荷算出部と、
    前記推定負荷算出部で算出された推定負荷の算出値を、前記振動負荷算出部で算出された振動負荷の算出値により補正する振動除去負荷算出部と、
    前記振動除去負荷算出部により補正された負荷算出値に基づいて物体の挟み込みの有無を判定する挟込判定部と、
    を備え、
    前記加速度検出信号に基づいて前記振動負荷を算出する際に用いられる所定の伝達関数は、
    前記振動検出部により検出される加速度検出信号と、前記車両の振動が前記開閉体を介してモータの負荷として現れる振動負荷の信号との間の関係を示す伝達関数である
    ことを特徴とする車両用開閉体の制御装置。
  2. 前記伝達関数は、
    車両と、車両に取り付けられた車両用開閉体と、モータにより駆動される車両用開閉体の駆動機構とを構成要素とする弾性系、質量系、および減衰系が連結したn次遅れ伝達関数で表される
    ことを特徴とする請求項に記載の車両用開閉体の制御装置。
  3. 前記伝達関数は、
    前記構成要素に含まれる車両と車両用開閉体と駆動機構とそれぞれの質量、及び、前記構成要素間の減衰係数を用いて前記車両の振動が前記モータに至るまでの機械系の遅れを表す伝達関数である
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用開閉体の制御装置。
  4. 前記伝達関数は、分子に2次のラプラス変換演算子を有し、分母に4次のラプラス変換演算子を有する4次の遅れ伝達関数である
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置。
  5. 前記伝達関数は、1次、2次、または3次遅れ伝達関数であると共に、
    前記振動負荷が所定の閾値を超えているか否かを判定するとともに、該振動負荷が所定の閾値を超えていると判定した場合に、さらに、当該振動負荷が、前記振動負荷が最初に前記閾値を超えてから所定時間以内に算出された振動負荷であるか否かを判定する振動負荷値判定部を備え、
    前記振動除去負荷算出部は、
    前記振動負荷値判定部により条件を満たすと判定された場合に、前記推定負荷算出部により算出される推定負荷の算出値を、前記振動負荷算出部により算出される振動負荷の算出値により補正する
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の車両用開閉体の制御装置。
  6. 前記所定の時間は、前記加速度センサを用いて検出される加速度検出信号の波形において最初のピーク点を含む振動波形の部分の周期に応じて設定される
    ことを特徴とする請求項5に記載の車両用開閉体の制御装置。
  7. 前記加速度センサは、モータの制御回路が搭載される制御基板上に設けられる
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用開閉体の制御装置。
  8. 前記車両用開閉体の制御装置は、さらに
    前記モータの回転速度を検出する回転速度算出部と、
    前記モータの回転加速度を検出する回転加速度算出部と、
    前記モータの駆動電圧を検出する電圧検出部と、
    を有し、
    前記推定負荷算出部は、前記モータの回転速度、回転加速度及び駆動電圧から推定負荷を算出することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用開閉体の制御装置。
  9. 前記車両用開閉体が車両の窓を開閉するパワーウィンドウである
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用開閉体の制御装置。
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