JP5466473B2 - ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、低燃費性およびウェットグリップ性能のバランスに優れたゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関する。
近年省資源、省エネルギーに加えて、環境保護の立場から排出炭酸ガスの低減の社会的要求が強まっている。自動車に対しても排出炭酸ガスの低減を目的として、自動車の軽量化・電気エネルギーの利用等の様々な対応策が検討されている。自動車の共通の課題として、タイヤの転がり抵抗改善による燃費性能の向上が必要とされており、更に自動車に対しては、走行時の安全性向上の要求も強まっている。これら自動車の燃費性能及び安全性は使用されるタイヤの性能に負うところが大きく、自動車用のタイヤに対しては、省燃費性、操縦安定性、耐久性の改善要求が強まっている。これらのタイヤ特性は、タイヤの構造・使用材料等種々の要素に左右されるが、特に路面に接するトレッド部分に用いるゴム組成物の性能が低燃費性・安全性・耐久性等のタイヤ特性への寄与が大きい。このため、タイヤ用ゴム組成物の技術的改良が多く検討・提案され、実用化されている。
例えば、タイヤトレッドのゴム性能として、低燃費性向上にはヒステリシスロスが小さいこと、ウェットグリップ性能向上にはウェットスキッド抵抗性が高いことが要求されている。しかしながら、低ヒステリシスロスとウェットスキッド抵抗性との関係は相反するものであり、一つだけの性能向上では問題点の解決は難しいのが現状である。タイヤ用ゴム組成物の改良の代表的な手法は、使用する原材料の改良であり、SBRやBRに代表される原料ゴムの構造の改良、カーボンブラック・シリカ等の補強充填剤、加硫剤、可塑剤等の構造や組成の改良が行われている。
ヒステリシスロスの小さいゴムを得るために、重合体の改良方法として、特許文献1では、ブタジエンとスチレンとを有機リチウム化合物を重合開始剤とし、エ−テルのようなルイス塩基性化合物をミクロ構造調節剤とし、炭化水素溶媒中で共重合させる方法が開示されている。また、特許文献2では、ジエン系重合体のアルカリ金属末端に特定のアクリルアミドを反応させて、ヒステリシスロスの小さい変性ジエン重合体を得る方法が提案されている。しかし近年では、環境問題からタイヤの低燃費性に対する要求はますます厳しくなっており、上記の方法では低燃費性に対する要求を満たすことができていない。
特開2000−344955号公報 特開2006−63143号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性とウェットグリップ性能に優れたタイヤを供することができるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量%中に、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物と下記一般式
Figure 0005466473
(式中、R及びRは水素、
Figure 0005466473
又は
Figure 0005466473
であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。Xは
Figure 0005466473
又は
Figure 0005466473
で置換されていてもよい。Zは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。R〜Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。R〜Rは同じであっても異なっていてもよい。R及びR〜R14は水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びR〜R14は同じであっても異なっていてもよい。lは3〜10の整数を表す。m及びnは1〜9の整数を表す。)
で表される窒素含有化合物とを共重合し、さらに少なくとも一方の末端を窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも一つ以上の原子を含む官能基を有する変性剤で変性された重合体を5質量%以上含み、該ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを1〜20質量部、シリカを5質量部以上含むことを特徴とするゴム組成物に関する。
前記重合体における窒素含有化合物の含有量が0.05〜30質量%であることが好ましい。
また、本発明は、前記ゴム組成物を用いて作製したタイヤに関する。
本発明によれば、特定の窒素化合物含有重合体、特定量のカーボンブラックおよびシリカを含むので、低燃費性およびウェットグリップ性能のバランスが優れたタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量%中に、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物と下記一般式
Figure 0005466473
(式中、R及びRは水素、
Figure 0005466473
又は
Figure 0005466473
であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。Xは
Figure 0005466473
又は
Figure 0005466473
で置換されていてもよい。Zは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。R〜Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。R〜Rは同じであっても異なっていてもよい。R及びR〜R14は水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びR〜R14は同じであっても異なっていてもよい。lは3〜10の整数を表す。m及びnは1〜9の整数を表す。)
で表される窒素含有化合物とを共重合し、さらに少なくとも一方の末端を窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも一つ以上の原子を含む官能基を有する変性剤で変性された重合体を5質量%以上含み、
該ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを1〜20質量部、シリカを5質量部以上含有する。
及びR〜R14が脂肪族炭化水素基である場合、炭素数は1〜30であり、好ましくは1〜5である。また、R及びR〜R14が脂環族炭化水素基である場合、炭素数は3〜30であり、好ましくは3〜10である。更に、R及びR〜R14が芳香族炭化水素基である場合、炭素数は5〜30であり、好ましくは5〜10である。
また、R及びR〜R14は、水素又は炭素数1〜2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
は、水素又は炭素数1〜2の炭化水素基であることが好ましい。
〜Rが脂肪族炭化水素基である場合、炭素数は1〜30であり、好ましくは1〜10である。また、R〜Rが脂環族炭化水素基である場合、炭素数は3〜30であり、好ましくは3〜10である。更に、R〜Rが芳香族炭化水素基である場合、炭素数は5〜30であり、好ましくは5〜10である。そして、R〜Rが複素環基(芳香族複素環基を含む)である場合、環構成原子数は3〜30であり、好ましくは3〜10である。
また、R〜Rは、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基であることが好ましく、脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
lの値は、3〜10であり、好ましくは3〜7である。m及びnの値は、1〜9であり、好ましくは1〜6である。
lの値は3〜10であるため、(CR)は複数存在する。複数の(CR)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。同様に、mが2以上の場合、複数の(CR1011)のそれぞれは同じであっても異なってもよく、nが2以上の場合、複数の(CR1314)のそれぞれは同じであっても異なってもよい。
本明細書において、飽和形環形成部とは、飽和環基の一部であることを意味する。すなわち、上記一般式において、XとNとは飽和環基を構成し、ZとNとは飽和環基を構成する。
前記重合体は、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物と、前記一般式で表される窒素含有化合物とを共重合し、さらに少なくとも一方の末端を窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも一つ以上の原子を含む官能基を有する変性剤で変性された重合体である。前記一般式で表される窒素含有化合物を共重合すると、窒素とフィラーとの相互作用が生じ、フィラーの分散性が向上し、またポリマーの動きが拘束されることで、ヒステリシスロスが低減するという効果が得られ、変性剤で末端変性すると、同様に変性剤とフィラーとの相互作用が生じ、フィラーの分散性が向上し、またポリマー末端の動きが拘束されることで、ヒステリシスロスが低減するという効果を得ることができる。
前記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
前記芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面からスチレンが特に好ましい。
前記一般式で表される窒素含有化合物としては、例えば3−または4−(2−アゼチジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、3−または4−(2−ヘプタメチレンイミノエチル)スチレン、3−または4−(2−オクタメチレンイミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(2,5−ジメチルピロリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2−メチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(3−メチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−メチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2−エチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−(1−ピロリジニル)ピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−ピペリジノピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2,6−ジメチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(3,3−ジメチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(3,5−ジメチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1−メチルピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1−エチルピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1−メチルホモピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−モルホリノエチル)スチレン、3−または4−(2−(2,6−ジメチルモルホリノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−チアゾリジリノエチル)スチレン、3−または4−(2−トオモルホリノエチル)スチレン、3−または4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−エチルメチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジエチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルプロピルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルイソプロピルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−エチルイソプロピルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジプロピルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−ジイソプロピルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルブチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−エチルブチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチル−tert−ブチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−tert−ブチルイソプロピルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジブチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(ジ−sec−ブチル)アミノエチル)スチレン、3−または4−(2−ジイソブチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(tert−アミル−tert−ブチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジペンチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルヘキシルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジヘキシルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(tert−アミル−tert−オクチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジオクチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−ビス(2−エチルヘキシルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジデシルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルオクタデシルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルアニリノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジフェニルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−フェニルベンジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−フェニル−1−ナフチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−フェニル−2−ナフチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−ベンジルメチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−エチルベンジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−イソプロピルベンジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−ブチルベンジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−(tert−ブチル)ベンジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−ジベンジルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−(N−メチルフェネチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(N−ベンジル−2−フェネチルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−ベンジルピペリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1−フェニルピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1−ベンジルピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−インドリノエチル)スチレン、3−または4−(2−(2−メチルインドリノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−フェノキサジノエチル)スチレン、3−または4−(2−フェノチアジノエチル)スチレン、3−または4−(2−アニリノピリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−(2−ベンジルアミノピリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2,2’−ジピリジルアミノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2−メチルアミノ)ピリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−(1−(2−ピリジル)ピペラジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(2−(2−メチルアミノエチル)ピリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−(エチルアミノメチル)ピリジノ)エチル)スチレン、3−または4−(2−(4−(エチルアミノメチル)ピリジノ)エチル)スチレンなどがあげられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中では、性能改善の点で、3−または4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、3−または4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、3−または4−(2−モルホリノエチル)スチレン、3−または4−(2−チアゾリジリノエチル)スチレンなどが好ましい。
本発明で使用する前記重合体は、前記窒素化合物を、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物と共重合させることにより製造することができる。重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に重合体の設計の自由度、加工性等の観点から溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。溶液重合法においては、例えばリチウム化合物を重合開始剤とし、前記窒素化合物を、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物とアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
溶液重合法を用いた場合には、溶媒中のモノマー濃度は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる重合体の量が少なく、コストが高くなる傾向がある。また、溶媒中のモノマー濃度は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。溶媒中のモノマー濃度が50質量%をこえると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
アニオン重合を行う場合、重合開始剤としては特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。前記有機リチウム化合物としては、炭素数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性等の観点からn−ブチルリチウムまたはsec−ブチルリチウムが好ましい。
前記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物および/または芳香族ビニル化合物と一般式で表される窒素含有化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、必要に応じてランダマイザーの存在下でアニオン重合させることにより、目的の重合体が得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記ランダマイザーとは、重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御、例えばブタジエンにおける1、2−結合、イソプレンにおける3、4−結合の増加など、あるいは重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御、例えばブタジエン−スチレン重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量をこえると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
前記重合体は、少なくとも一方の末端を窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも一つ以上の原子を含む官能基を有する変性剤で変性されたものである。窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも1つ以上の原子を含む官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基等があげられる。変性剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1,1−ジメトキシトリメチルアミン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−グリシジル−4−(2−ピリジル)ピペラジン、1−グリシジル−4−フェニルピペラジン、1−グリシジル−4−メチルピペラジン、1−グリシジル−4−メチルホモピペラジン、1−グリシジルヘキサメチレンイミン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、1−ベンジル−4−グリシジルピペラジン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(6−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2,2−ジエトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2,4−ジニトロベンゼンスルホニルクロライド、2,4−トリレンジイソシアナート、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−トリブチルスタニル−1,3−ブタジエン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−ビニルピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−ラウリルチオエチルフェニルケトン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3,4−ジアミノ安息香酸、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシジエトキシ)シラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエトキシ(メチル)シリルプロピル無水コハク酸、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシリルプロピル無水酢酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水酢酸、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフエノン、4’−(イミダゾールー1−イル)−アセトフェノン、4−〔3−(N,N−ジグリシジルアミノ)プロピル〕モルホリン、4−グリシジル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−ビニルピリジン、4−モルホリノアセトフェノン、4−モルホリノベンゾフェノン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)サクシンイミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−3−[アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[5−(トリエトキシシリル)−2−アザー1−オキソペンチル]カプロラクタム、N−[5−(トリメトキシシリル)−2−アザー1−オキソペンチル]カプロラクタム、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−アリル−アザ−2,2−ジエトキシシラシクロペンタン、N−アリル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジエトキシシラシクロペンタン、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン、N,N,N’,N’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチルチオ尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N’−エチレン尿素、N,N’−ジエチルアミノベンゾフェノン、N,N’−ジエチルアミノベンゾフェノン、N,N’−ジエチルアミノベンゾフラン、N,N’−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N’−ジエチル尿素、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N,N−ジオクチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、N,N−ジオクチル−N’−トリメトキシシリルプロピルウレア、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N−ジグリシジルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−エチルアミノイソブチルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−ビニルベンジルアザシクロヘプタン、N−フェニルピロリドン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−メチルインドリノン、N−メチルピロリドン、p−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジエトキシシラン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、アクリル酸、アジピン酸ジエチル、アセタミドプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノベンゾフェノン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、エチレンオキシド、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロリド、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリセロールトリステアレート、クロロトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロポリジメチルシロキサン、クロロメチルジフェノキシシラン、ジアリルジフェニルスズ、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ジエチル(グリシジル)アミン、ジエチルジチオカルバミン酸2−ベンゾチアゾイルエステル、ジエトキシジクロロシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリメトキシシラン、ジグリシジルポリシロキサン、ジクロロジフェノキシシラン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジビニルベンゼン、ジフェニルカルボジイミド、ジフエニルシアナミド、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジブチルジクロロスズ、ジメチル(アセトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、ジメチル(メトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルエチレン尿素、ジメチルジクロロシラン、ジメチルスルホモイルクロライド、シルセスキオキサン、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、チタンテトラキス(2−エチルヘキシオキシド)、テトラエトキシシラン、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラフェノキシシラン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)シアヌレート、トリフェニルホスフェート、トリフェノキシクロロシラン、トリフェノキシメチルケイ素、トリフェノキシメチルシラン、二酸化炭素、ビ
ス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス[(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(2−ヒドロキシメチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(2−メチルブトキシ)メチルクロロシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、ビニルベンジルジエチルアミン、ビニルベンジルジメチルアミン、ビニルベンジルトリブチルスズ、ビニルベンジルピペリジン、ビニルベンジルピロリジン、ピロリジン、フェニルイソシアナート、フェニルイソチオシアナート、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、フタル酸アミド、ヘキサメチレンジイソシアナート、ベンジリデンアニリン、ポリジフェニルメタンジイソシアネート、ポリジメチルシロキサン、メチル−4−ピリジルケトン、メチルカプロラクタム、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ラウリルチオプロピオン酸メチル、四塩化ケイ素等があげられる。これらの中では、性能改善の点で、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、四塩化ケイ素などが好ましい。
前記重合体の変性剤による変性は、前記重合体100質量部に対して0.01〜10質量部の変性剤を反応させ、たとえばアニオン重合の場合、重合体末端のアニオンと変性剤の官能基が反応することにより行うことができる。変性は、前記重合体の少なくとも一方の末端が変性されていることが好ましく、両末端が変性されていることがより好ましい。
本発明においては、この反応後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えることができる。
前記重合体における窒素含有化合物の含有量は0.05〜30質量%が好ましく、特に下限は0.1質量%が、上限は20質量%がより好ましい。窒素含有化合物の含有量が0.05質量%未満では低燃費性およびウェットグリップ性能の改善効果が得られにくく、一方、30質量%を超えると高コストになってしまう傾向がある。
前記重合体の重量平均分子量Mwは1.0×10〜2.0×10が好ましく、特に下限は2.0×10が、上限は1.5×10がより好ましい。重量平均分子量が1.0×10未満ではヒステリシスロスが大きく十分な低燃費性が得られにくいだけでなく、耐摩耗性も低下する傾向がある。一方、2.0×10を超えると加工性が低下する傾向がある。
ゴム成分としては、前記重合体は、他のゴム成分とともに使用することができる。他のゴム成分としては、特に限定されないが、たとえば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)などがあげられる。なかでも、グリップ性能および耐摩耗性をバランスよく示すことから、NR、BR、SBRが好ましい。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記重合体は、ゴム成分100質量%中、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。5質量%未満であると低燃費性およびウェットグリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。上限は特に限定されないが、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。90質量%を超えると、コストが高くなる傾向がある。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、80〜280m/gが好ましく、特に下限は100m/gが、上限は250m/gがより好ましい。カーボンブラックのNSAが80m/g未満では十分なウェットグリップ性能が得られず、また耐摩耗性が低下する傾向がある。カーボンブラックのNSAが280m/gをこえると、分散性に劣り、耐摩耗性が低下する傾向がある。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。カーボンブラックの含有量が1質量部未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、含有量の上限は20質量部以下が好ましい。カーボンブラックの含有量が20質量部をこえると、低燃費性が悪化する傾向がある。カーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用するシリカは、チッ素吸着比表面積(NSA)が50〜300m/gであることが好ましく、特に下限は80m/gが、上限は250m/gがより好ましい。チッ素吸着比表面積が50m/g未満のシリカでは補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、300m/gをこえるシリカでは分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し燃費性能が低下する傾向がある。
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。シリカの配合量が5質量部未満であると耐摩耗性が十分でない傾向がある。一方、配合量の上限は、150質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。シリカの配合量が150質量部をこえると、加工性が悪化する傾向がある。シリカは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカを配合する場合には、シランカップリング剤を併用しても良い。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどがあげられる。なかでも、補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好ましい。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。シランカップリング剤の配合量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100質量部に対し、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の配合量が20質量部をこえると、その配合量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、コストが高くなる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤などのタイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
本発明は、前記ゴム組成物を用いて作製したタイヤに関し、該タイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて前記各種薬品を配合した本発明のゴム組成物を未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを得る。このようにして得られた本発明のタイヤは、低発熱性とウェットグリップ性能において優れたバランスを示すものである。タイヤの部材の中でも、特にトレッド部に使用することが好ましい。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、モノマー(1)〜(10)の合成で用いた各種薬品について説明する。
シクロヘキサン:関東化学(株)製のシクロヘキサン
ピロリジン:関東化学(株)製のピロリジン
ヘキサメチレンイミン:関東化学(株)製のヘキサメチレンイミン
モルホリン:関東化学(株)製のモルホリン
チアゾリジン:東京化成工業(株)製のチアゾリジン
4−ピペリジノピペリジン:関東化学(株)製の4−ピペリジノピペリジン
4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン:シグマアルドリッチ社製の4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
ジプロピルアミン:シグマアルドリッチ社製のジプロピルアミン
ジフェニルアミン:シグマアルドリッチ社製のジフェニルアミン
2,2’−ジピリジルアミン:シグマアルドリッチ社製の2,2’−ジピリジルアミン
ジビニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製のジビニルベンゼン
1,3−ジイソプロペニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製の1,3−ジイソプロペニルベンゼン
1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール
製造例1(モノマー(1)の合成)
十分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン8.9ml(8.1g)を加え、0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出・精製を行うことでモノマー(1)を得た。
製造例2〜10(モノマー(2)〜(10)の合成)
表1に示す処方に従って、モノマー(1)と同様の処方にてモノマー(2)〜(10)を得た。
Figure 0005466473
以下に、重合体(1)〜(22)の合成で用いた各種薬品について説明する。
シクロヘキサン:関東化学(株)製のシクロヘキサン
スチレン:関東化学(株)製のスチレン
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
1,3−ジイソプロペニルベンゼン:シグマアルドリッチ社製の1,3−ジイソプロペニルベンゼン
変性剤(1):前述のモノマー(1)
変性剤(2):信越シリコーン(株)製のテトラエトキシシラン
変性剤(3):アヅマックス社製の3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
変性剤(4):アヅマックス社製の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
変性剤(5):アヅマックス社製の3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸
変性剤(6):アヅマックス社製の2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン
変性剤(7):アヅマックス社製のN−(3−トリエトキシシリルプロピル)4,5−ジヒドロイミダゾール
変性剤(8):アヅマックス社製の11−(スクシンイミジロキシ)ウンデシルジメチルエトキシシラン
変性剤(9):アヅマックス社製の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
変性剤(10):アヅマックス社製のトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)シアヌレート
テトラヒドロフラン:関東化学(株)製のテトラヒドロフラン
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール
製造例11
重合体(1)の合成
十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(44.0g)、モノマー(1)0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃で1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液0.2mlを加えて撹拌した。3時間後、変性剤(3)を0.5ml(0.49g)加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(1)を得た。
製造例12〜31
重合体(2)〜(21)の合成
表2に示す処方に従って、重合体(1)と同様の処方により重合体(2)〜(21)を得た。
製造例32
重合体(22)の合成
十分に窒素置換した200ml耐圧製容器に、シクロヘキサン91.3ml、1,3−ジイソプロペニルベンゼン0.7ml、テトラメチルエチレンジアミン3ml、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液5mlを加えて撹拌し、開始剤溶液1を調製した。
次に、十分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、スチレン12.6ml(11.4g)、ブタジエン71.0ml(44.0g)、モノマー(1)0.29gを加え、開始剤溶液1を1.0ml(0.98g)加えて撹拌した。1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて重合体(22)を得た。重合体(22)では、両末端が変性されていることになる。
Figure 0005466473
(重量平均分子量Mwの測定)
重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)を用いて測定した。校正は、標準ポリスチレンによって行った。
(重合体中の窒素含有化合物誘導体モノマー量の測定)
重合体中の窒素含有化合物誘導体モノマー量は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
実施例1〜22および比較例1〜3
以下に、実施例および比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150L
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(チッ素吸着比表面積(NSA):125m/g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(チッ素吸着比表面積(NSA):210m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69
オイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMOプロセスX140
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
表3に示す配合処方にしたがって、混練り配合し、各種供試ゴム組成物を得た。これらの配合物を170℃で20分間プレス加硫して加硫物を得て、これらについて以下に示す試験方法により低燃費性およびウェットグリップ性能を評価した。
(低燃費性)
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度60℃でtanδを測定した。tanδの逆数の値について比較例1を100として指数表示した。数値が大きいほど低燃費であることを示している。
(ウェットグリップ性能(1))
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてグリップ性能を評価した。幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片を用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜50%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能が高いことを示す。
(ウェットグリップ性能(2))
前記未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、タイヤ(サイズ195/65R15)を製造した。水を撒いて湿潤路面としたテストコースにて、タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度70km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定し、その距離の逆数の値を比較例1を100として、それぞれ指数表示した。数値が大きいほどウェットグリップ性能が高いことを示す。
Figure 0005466473
表3に示すように、窒素含有化合物を含んだ重合体、特定量のカーボンブラックおよびシリカを含有した実施例1〜22のゴム組成物は、比較例1〜3のゴム組成物に比べて、低燃費性とウェットグリップ性能のバランスに優れたゴム組成物を提供できることが明らかとなった。

Claims (3)

  1. 天然ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分100質量%中に、共役ジエン化合物および芳香族ビニル化合物と下記一般式
    Figure 0005466473
    (式中、R及びRは水素、
    Figure 0005466473
    又は
    Figure 0005466473
    であり、少なくともR及びRのいずれかは水素ではない。Rは水素又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。Xは
    Figure 0005466473
    又は
    Figure 0005466473
    で置換されていてもよい。Zは(CR、(CR1011−NR12−(CR1314、(CR1011−O−(CR1314、又は、(CR1011−S−(CR1314からなる飽和形環形成部を表す。R〜Rは水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基、炭素数5〜30の芳香族炭化水素基、又は環構成原子数3〜30の複素環基を表す。R〜Rは同じであっても異なっていてもよい。R及びR〜R14は水素、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜30の脂環族炭化水素基又は炭素数5〜30の芳香族炭化水素基を表す。R及びR〜R14は同じであっても異なっていてもよい。lは3〜10の整数を表す。m及びnは1〜9の整数を表す。)で表される窒素含有化合物とを共重合し、さらに少なくとも一方の末端を窒素、酸素、ケイ素の中から少なくとも一つ以上の原子を含む官能基を有する変性剤で変性された重合体を5質量%以上含み、
    該ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを1〜20質量部、シリカを5質量部以上含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記重合体における窒素含有化合物の含有量が0.05〜30質量%である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ。
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