以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、防水機構を有しており、水中に有る場合でもカメラ本体に浸水することなく、カメラ機能が動作する。また、このカメラは撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。レリーズ操作時には、静止画や動画の画像データを記録媒体に記録し、このとき併せて撮影日時、撮影モード等の情報を記録する。また、記録媒体に記録した撮影画像は、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラ10の電気回路を示すブロック図である。カメラ10は、デジタルカメラであり、制御部1、撮像部2、ピント合わせ部2a、センサ部3、記録部4、ストロボ部5、操作判定部6、加速度検知部7、表示部8、時計部9等から構成される。
撮像部2は、ズーム機能を有する撮影レンズ(ズームレンズ)や、シャッタ・絞り等の露出制御部、撮像素子、撮像素子の駆動及び読出回路等を含み、撮影レンズによって形成された被写体像を撮像素子によって画像データに変換し、これを出力する。ピント合わせ部2aは、撮影レンズのピント合わせ機構を有し、画像処理及び制御部1のピント制御部1cからの制御信号に基づいて自動焦点調節を行う。センサ部3は、撮像部2の撮影レンズが水中と水上の境目付近にあることを検知するセンサである。ストロボ部5は、被写体に照明光を照射する。
画像処理及び制御部1は、不図示の記憶部に記憶されているプログラムに従ってカメラ10の全体のシーケンスを制御する。また、画像処理及び制御部1は、画像変換部1a、表示制御部1b、ピント制御部1c、距離換算部1d、半水中判定部1eを有する。画像変換部1aは、撮像部2から出力される画像データを縮小画像の画像データに変換する。また、表示制御部1bは、表示部8に画像データに基づく画像を表示するにあたって表示範囲の制御を行う。
ピント制御部1cは、撮像部2から出力される画像データの高周波成分を抽出し、所謂コントラスト法に基づいてピント合わせ部2aに制御信号を出力する。距離換算部1dは、水中における被写体は水上における被写体に対して、水の屈折率1.33の逆数分だけ近くなることから、水の屈折率を考慮した被写体距離を換算する。半水中判定部1eは、カメラ10の撮影レンズが水上と水中の両方の画像を撮影状態または観察状態になっているか否かを判定する。本実施形態においては、撮像部2から出力される画像データに基づいて判定する。
この他、画像処理及び制御部1は、撮像部2から出力される画像データを取り込み、間引き処理、リサイズ処理、切り出し処理、エッジ強調、色補正、画像圧縮等の種々の画像処理を行い、記録部6における静止画および動画の記録用、静止画および動画の再生表示用等の画像処理を行う。
操作判定部6は、電源釦、レリーズ釦、再生釦、モード釦等の操作部材のユーザによる操作状態を判定し、画像処理及び制御部1に判定結果を出力する。前述の画像処理及び制御部1は、操作部材の操作状態に応じて、所定のシーケンスで撮影や再生の制御を行う。なお、モード釦によって半水中モードの設定を行うことができる。この半水中モードは、カメラ10が水上と水中の境にある場合、水中の被写体と水上の被写体の両方を同時に撮影するモードである。
加速度検知部7は、6軸センサ等を有し、カメラ10の3軸方向や3軸周り等の加速度を検出し、重力方向を検知することにより、カメラ10の姿勢も検知する。加速度検知部7の検出出力に基づいて、手振れ補正等を行う。記録部4は、レリーズ釦によって撮影の指示がなされた際に、撮像部2によって取得され、画像処理及び制御部1によって圧縮処理された静止画や画像データを記録する。時計部9は、計時動作を行い、撮影日時情報を出力する。この撮影日時情報は、静止画や動画の画像データを記録部6に記録する際に合わせて記録する。
表示部8は、カメラ10の背面等に配置された液晶パネル等の表示画面を有し、撮影前のライブビュー表示や、記録済みの画像の通常再生表示や、カメラ情報の表示等を行う。撮影者はライブビュー表示を観察し、構図やタイミングを決定することができる。なお、本実施形態におけるカメラ10の撮影レンズは、カメラ本体の正面であって、重心方向に対して略真ん中付近に配置され、また表示部8の表示画面は背面の略全体に配置されている。
次に、図2乃至図8を用いて、本実施形態における半水中モードでの撮影について説明する。図2は半水中モードで撮影するとき被写体であり、水上に被写体23の顔、浮き輪、水草27等の風景があり、また水中には魚24等の生物がある。このような水上と水中の両方の風景を撮影することを、本明細書では「半水中撮影」と呼ぶ。
半水中撮影を行う場合には、撮影者21は、図6(a)、図7(a)、図8(a)に示すように、空気中に顔を出し撮影を行うことを一般的には望む。水中に顔を入れたまま撮影するのでは、息が続かないことから撮影に集中することができず、また、酸素ボンベを装着して行うのでは、撮影を手軽に楽しむことができないからである。
このような半水中撮影における光学的な関係を図3に示す。水面が静止し、かつ水平であっても、水中と水上では屈折率が相違している。水上と水中を比較すると、水中では息が続かなく、また浮力で安定せず、さらに魚などが活発に動くので、自由度は水上の方が高い。そこで、水上の被写体に対して優先的にピント合わせを行い、水中にもなるべくピントがあうようなオートフォーカスを行うのが良い。
図3において、カバーガラス2b、撮影レンズ2c、撮像素子2dは、カメラ10の撮像部2を構成している。いま、撮影レンズ2cの光軸が水面31と一致している場合を想定する。光線25aは、被写体23から出射し、水上を通り、カバーガラス2b、撮影レンズ2cを通過して撮像素子2d上に結像する。撮影レンズ2cが、水上を通った光線25aに対してピントが合う位置に有る場合、被写体23より遠方から水中を通って来る光線25cが撮像素子2d上で結像し、被写体23から出射した光線25bは撮像素子2d上では結像しない。これは、空気(水上)と水(水中)の屈折率が相違するためである。
従って、撮影レンズ2cを単純に水上の被写体23に対してピント合わせを行うと、水の屈折率によって、水中の被写体23は手前に見えることから、水中に有るものは人物被写体23よりも後ろにピントが合ってしまう。このことは、人物である被写体23の手前にある魚24には、ピントが合わなくなる傾向になることから、都合がよくない。また、水中は、水の透明度の関係から、遠景は写り難いので、その意味でも都合がよくない。
そこで、本実施形態においては、半水中撮影の場合には、水上でのピント合わせ結果を優先するが、そのまま使用するのではなく、図4に示すように、水上のピント合わせ結果より近い距離ピントを合わせるように撮影レンズ2cを繰り出すようにしている。これによって、水上と水中のピントのバランスをとることができる。
通常の自動焦点調節は、前述したように画像処理及び制御部1によって画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分がピーク値となるように、撮像部2の撮影レンズの位置を調節している。半水中モードが設定された場合には、画像処理及び制御部1は、水上を通ってきた被写体光束を用いて、高周波成分のピーク値となる位置を検出するが、この位置は水上の被写体に対して合焦位置であることから、この位置よりも、所定値だけ繰り出した位置となるように制御する。このときの水中でのピント位置は、水上で得られた被写体距離に対して、水の屈折率1.33を用いて補正した値とする。
以上の半水中撮影における説明は、水面31に波がない場合であったが、波があると被写体23からカメラ10に到達する光線が水面31で乱れて像を結ばなくなる。すなわち、図5に示すように、水面31に波があると、撮影レンズ2cに入射する光線25d、25eは乱れてしまい、撮影レンズ2cによって結像されない。
例えば、図6(a)に示すように、撮影者21が水の中に入り、カメラ10で水上と水中を撮影する場合を想定する。図6(a)に示す状態では、光線25fと光線25gの間の光線は波に邪魔されず、撮影レンズ2cによって結像されるが、光線25gと光線25hの間の光線は波に邪魔されて、撮影レンズ2cによって結像されない。このため、図6(b)に示すように、水中にあたる撮影画像の下半分には被写体像が形成されない。
また、図7(a)に示す状態では、光線25gと光線25hの間の光線は波に邪魔されず、撮影レンズ2cによって結像される。しかし、光線25fと光線25gの間の光線は波に邪魔されて、撮影レンズ2cによって結像されない。このため、図7(b)に示すように、水上にあたる撮影画像の上半分には被写体像が形成されない。
上述の説明では水面31に波が有る場合であったが、波が小さくても、撮影者21の手振れが有る場合には、被写体像が形成されない部分が発生し、手振れと共にその部分が変化する。従って、水面31が不安定な状態では、被写体23と撮影者21の位置関係等が頻繁に変化し、ベストなタイミングで撮影することが極めて困難である。
そこで、本実施形態においては、水面31に波が有る場合等、水面が不安定な撮影にも対応できるようにしている。すなわち、図8に示すように、水面31の近傍のみの画像が消失し、水上と水中の両方の被写体の画像が形成されたタイミングで撮影を行うようにしている。
図8に示す状況では、光線25gと光線25hの光線は水面31の波によって乱れるために、図8(b)に示す撮影画像中、境界帯28となって、画像が形成されない。しかし、光線25fと光線25gの間の光線によって撮影画面の上側の画像が結像し、光線25hと光線25iの間の光線によって撮影画面の下側の画像が結像する。したがって、本実施形態においては、図8(b)に示すように、撮影画面の中央付近の境界帯28には画像が形成されないが、水上と水中の画像が形成されるタイミングで撮影を行うようにしている。
次に、本実施形態の動作について、図9及び図10に示すフローチャートを用いて説明する。これらのフローは、予め記憶されているプログラムに基づいて、画像処理及び制御部1によって実行される。
図9に示す撮影のフローに入ると、まず、撮影モードか否かの判定を行う(S1)。この判定の結果、撮影モードでなかった場合には、次に、再生モードか否かの判定を行う(S31)。再生モードは、再生釦を操作することによって設定されるので、このステップでは、操作判定部6によって再生釦が操作されたか否かを判定する。
ステップS31における判定の結果、再生モードが設定されていた場合には、画像再生を行う(S32)。ここでは、記録部4に記録されている画像データを読出し、画像処理及び制御部1において画像処理を行った後、表示部8に画像を再生表示する。画像再生を行うと、またはステップS31における判定の結果、再生モードでなかった場合には、次に、終了か否かの判定を行う(S33)。カメラの動作を終了させるには、電源釦を操作するので、ここでは、操作判定部6によって電源釦が操作されたか否かを判定する。この判定の結果、終了でなかった場合には、ステップS1に戻る。一方、終了であった場合には、終了処理を行った後、撮影のフローを終了する。
ステップS1における判定の結果、撮影モードであった場合には、次に、ライブビュー表示を行う(S2)。ここでは、撮像部2からの出力される画像データに基づいて、被写体像を表示部8に表示するので、撮影者はこのライブビュー表示を観察しながら構図の設定を行うことができる。
ライブビュー表示を行うと、次に、半水中モードか否かの判定を行う(S3)。撮影者が半水中モードで撮影を行う場合には、メニュー画面等において、半水中モードを設定するので、このステップでは、操作判定部6によって半水中モードが設定されたか否かの判定を行う。
ステップS3における判定の結果、半水中モードが設定されていなかった場合には、半水中モードではなく通常の撮影モードであることから、次に、画面中央でピント合わせを行う(S4)。ここでは、撮像部2から出力される画像データに基づいてピント制御部1cが画像データの高周波成分を抽出し、この高周波成分がピーク値となるように、ピント合わせ部2aによって自動焦点調節を行う。ピント合わせを行うと、次に、通常撮影を行う(S5)。ここでは、レリーズ釦が操作された際には、撮像部2から出力される画像データを画像処理及び制御部1によって画像処理を行った後、記録部4に記録を行う。通常撮影を行うと、ステップS1に戻る。
ステップS3における判定の結果、半水中モードであった場合には、以下、半水中撮影を行う。まず、画面上部でピント合わせを行う(S11)。ここでは、撮像部2から出力される画像データの内、水上に相当する撮影画面の上部に相当する画像データを用いてピント合わせを行う。なお、本実施形態における半水中モードでのピント合わせの基本的考え方は、人物である被写体の水中での位置にピントが合うようにし、かつ水の屈折率を考慮してピント位置を補正している。このようなピント合わせを行うことによって、人物の水中の位置にピントが合い、また、人物の手前の魚等の被写体と水上の身体部分のピントのバランスをとることができる。
このため、いきなり水中の被写体にピント合わせを行うのではなく、まず、ステップS11において水上の人物である被写体にピントを合わせた後、後述するステップS14において水の屈折率を考慮した被写体距離の換算距離を求め、ピント合わせを行うようにしている。なお、本実施形態においては、先に水上で被写体距離を求めているのは、水中では暗い場合や、コントラストが低い場合や、浮遊物が漂っている場合等が多いことから、信頼性の高い水上での被写体距離を求め、続いて、水中での距離に変換することによって信頼性を確保するためである。
ステップS11において画面上部でピント合わせを行うと、次に、被写体距離換算Lを求める(S12)。ここでは、ピント合わせ部2aによってピント合わせが行われ、ピントが合った状態で、撮影レンズ2cのピント位置から被写体距離換算Lを求める。被写体距離換算Lを求めると、次に、被写体距離換算Lが3mより近いか否かの判定を行う(S13)。
ステップS13における判定の結果、被写体距離換算Lが3mより近かった場合には、次に、ピント合わせ距離Lを、水の屈折率である1.3で除算する(S14)。このステップでは、前述したように、水上での被写体距離から水中での被写体距離に変換している。
一方、ステップS13における判定の結果、被写体距離換算Lが3mより遠かった場合には、画面下部でピント合わせを行う(S15)。水上が風景の場合があり、この場合に、被写体距離は無限遠であることが多く、無限遠を基準に水中での距離を決めると、水中で光の届く範囲の被写体に対してピントが合わないことになる。そこで、水中の被写体に対してピントを合わせることにし、画像データの内、画面下部に対応する画像データに基づいてピント合わせを行う。
ステップS14またはステップS15においてピント合わせの距離を求めると、次に、レリーズか否かの判定を行う(S21)。レリーズはレリーズ釦を操作することによって開始するので、ここでは、操作判定部6によってレリーズ釦の操作状態を判定する。この判定の結果、レリーズではなかった場合には、ステップS1に戻る。
ステップS21における判定の結果、レリーズであった場合には、半水中判別を行う(S22)。半水中判別では、画像データに基づいて、半水中の状態になっているか否かの判定を行う。本実施形態においては、コントラストの低い部分が画面の中央部にあり、しかも水平方向に画面を横断しているか否かを判定することによって行う。この半水中判別の詳しい動作については、図10を用いて後述する。
半水中判別を行うと、次に、半水中か否かの判定を行う(S23)。ここでは、ステップS22における判別結果に基づいて判定する。この判定の結果、半水中でなかった場合には、ステップS21に戻る。一方、判定の結果、半水中であった場合には、撮影および記録を行う(S24)。ここでは、撮像部2から出力される画像データを画像処理及び制御部1によって画像処理を行った後、記録部4に記録する。撮影及び記録が終わると、ステップS1に戻る。
本実施形態においては、半水中モードが設定され、レリーズがなされた場合には、ステップS22における半水中判別によって半水中と判別されるまでは、撮影及び記録を行うことはない。つまり、図6や図7に示すような画面の上部のみまたは下部のみしか画像が形成されない場合、言い換えると、水上のみの画像場合や水中のみの画像の場合には、レリーズを禁止し、図8に示すような画面の上部および下部に画像が形成される場合にのみレリーズを許可するようにしている。なお、レリーズ禁止状態が続き撮影を終了したい場合には、レリーズ釦から手を離すことにより、ステップS1に戻り、最初からやり直すことができる。
次に、ステップS22における半水中判別の動作について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。半水中判別のフローに入ると、まず、画面中央部にローコン域があるか否かの判定を行う(S41)。ここでは、撮像部2から出力される画像データの内、画面中央部の画像データを用いて、画像処理及び制御部1がローコントラストであるか否かの判定を行う。
ステップS41における判定の結果、画面中央部にローコン域があった場合には、次に、上下判定を行う(S42)。ここでは、加速度検知部7の検知出力を用いて、カメラ10が縦位置にあるか横位置にあるかを検出し、上下方向(重力方向)を判定する。続いて、水平ローコン域が画面を横断しているか否かの判定を行う(S43)。ステップS41およびS42における判定結果に基づいて、カメラ10の水平方向にローコン域があり、しかも画面を横断しているか否かの判定を行う。
ステップS43における判定の結果、水平ローコン域が画面を横断していた場合には、半水中と判定する(S44)。この場合は、図8(b)に示すように、画面中央部であって、かつ水平方向(水面の方向)に境界帯28が生じている状態である。このような状態は、画面の上部と下部にそれぞれ被写体像が形成されており、言い換えると、水上と水中の両方の画像が形成されており、半水中撮影を行うことができる。このステップで半水中と判定されると、前述のステップS23において半水中と判定され、ステップS24において撮影および記録がなされる。
一方、ステップS43における判定の結果、水平ローコン域が画面を横断していなかった場合、またはステップS41における判定の結果、画面中央部にローコン域がなかった場合には、非半水中と判定する(S45)。この場合には、通常撮影の場合のように画面中央にローコン域がない場合や、またローコン域があっても図6(b)や図7(b)のように、画面上部全体や下部全体にローコン域がある場合であって、半水中撮影に適さない状態である。このステップで非半水中と判定されると、前述のステップS23においてNoと判定され、ステップS21に戻る。
ステップS44またはステップS45において判定を行うと、元のフローに戻る。このように、半水中判別のフローにおいては、撮像部2から出力される画像データに基づいて、画面中央部にローコン域があり、かつローコン域が水平に画面を横断している場合に、半水中と判定している。
次に、半水中判別の変形例について、図18および図19を用いて説明する。水上と水中を同時に観察し、また撮影を行う場合には、図18に示すように、画面の下部の方が暗くなったり色が変わったりするので、この変化を検知することにより判定するようにしても良い。すなわち、水中では、光線が吸収されるために暗くなり、特に赤い波長は吸収され易いことから、全体的に青みを帯びた色調となる。また、水中には浮遊物が多いことからコントラストが低くなっている。このように、水上と水中では明るさや色調等が異なることから、画像データを分析することにより半水中であるか否かの判定が可能である。
図19に示すフローチャートでは、上述の考え方に沿って半水中であるか否かの判定を行う。この半水中判別のフローチャートは、図10に示したフローの変形例であり、このフロー以外は第1実施形態と同様である。
半水中判別のフローに入ると、まず、画面中央部にコントラスト変化があるか否かの判定を行う(S71)。半水中状態では、画面中央部に水の境界(水面31)にあることから、この影響でコントラストの変化域がある。このステップでは、撮像部2から出力される画像データに基づいて、画像処理及び制御部1が、画面の中央部にコントラストの変化が有るか否かの判定を行う。
ステップS71における判定の結果、画面中央部にコントラスト変化が有った場合には、次に、コントラスト変化境界が画面を横断しているか否かの判定を行う(S72)。半水中状態では水面31が画面を横断することから、ここでは、ステップS71において検知されたコントラスト変化域が画面を横断しているか否かの判定を行う。
ステップS72における判定の結果、コントラスト変化境界が画面を横断していた場合には、次に、上下明暗比較を行う(S73)。ここでは、画像データに基づいて、ステップS71において検知されたコントラスト変化域より上と下において、それぞれ平均的な明るさを算出する。
続いて、ローコン域の下の方が暗いか否かの判定を行う(S74)。前述したように、半水中状態の場合には、水中すなわちローコン域より下部の方が上部より暗くなる。そこで、ステップS73において求めた上部と下部の明るさを比較し、下部の方が暗いか否かの判定を行う。
ステップS74における判定の結果、ローコン域の下部の方が暗かった場合には、次に、上下の色調を比較する(S75)。ここでは、画像データのRGB成分等、色に関する情報を用いて、ローコン域より上部と下部の平均的な色調を算出する。続いて、ローコン域より下部に赤成分が少ないか否かの判定を行う(S76)。前述したように、水中では赤い波長は吸収されやすいことから赤成分が少なくなる。そこで、ステップS75において算出した色調に関するデータを比較し、下部の赤成分が少ないか否かを判定する。
ステップS76における判定の結果、下部の赤成分が少なかった場合には、ステップS44(図10参照)と同様に、半水中と判定する。一方、ステップS71、S72、S74、S76のいずれかにおいて、Noと判定された場合には、ステップS45と同様に、非半水中と判定する。ステップS77において半水中と判定されると、またはステップS78において非半水中と判定されると、図9に示すメインのフローに戻る。
このように、本変形例においては、画面中央のローコン域より上部と下部における明暗および色調を比較し、半水中状態にあるか非半水中状態であるかを判定している。このため、図10に示した半水中判別に比較し、より精度の高い判定を行うことができる。なお、本変形例においては、明暗と色調の両方について判定していたが、いずれか一方でも勿論かまわない。また、上部と下部のコントラストを比較するようにしても良い。
以上説明したように、本発明の第1実施形態においては、水中および水上の両方の被写体像を取得可能であるかを検知し、この検知結果に応じて、被写体像を撮影するタイミングを決定している。このため、水面に波が生じている場合であっても、水中と水上の両方を撮影することが可能となる。
また、本実施形態においては、 水中および水上の両方の被写体像を取得可能であるか検知するにあたって、撮像部2から出力される画像データに基づいて、水面によって生ずる画像の乱れを検知するようにしているので、特別な構成部材を追加する必要がなく、カメラを小型化することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図11ないし図13を用いて説明する。第1実施形態におけるカメラは、半水中になったタイミングで撮影を行っていた。第2実施形態は本発明を携帯電話に適用した例であり、半水中になったタイミングで取得した画像を表示部に表示するようにしている。
本実施形態における携帯電話15は、防水構造が採用されており、水中においてもその機能を実行することができる。図11は、折り畳み式の携帯電話15の使用者22が、携帯電話15のカメラ部17を水中に入れ、水上に出ている表示部16によって水面に浮いている亀26を観察している様子を示している。
この場合も、図6(a)、図7(a)、図8(a)に示した場合と同様に、水面31に生ずる波によって一部の画像が形成されない。すなわち、図11に示す状態では、光線25fと光線25gの間の光線によって画面上部(水上)の画像が形成され、光線25hと光線25iの光線によって画面下部(水中)の画像が形成される。しかし、構成25gと光線25hの間の光線は水面31の波によって邪魔されるため画像が形成されない。
図11に示す状態における画像は、図12(a)に示すように、画面の略中央に水平方向に沿って横断するように境界帯28の部分がある。この境界帯28には画像が形成されないが、画面の上部と下部には被写体である亀26の画像が形成される。しかし、水上からの光線が携帯電話15のカメラ部17に届かない場合には、図12(b)に示すように、画面の上部には亀26の画像が形成されない。また、水中での光線がカメラ部17に届かない場合には、図12(c)に示すように、画面の下部には亀26の画像が形成されない。
このように、水面31の波の状態によって携帯電話15の表示部16には、図12(a)〜(c)の画像が次々に表示されるが、このような画像の変化は大変見苦しい。そこで、本実施形態においては、図12(a)に示すような画面の上部と下部に画像が表示されるタイミングの画像を表示部16に表示し、図12(b)(c)に示すような画面の上部や下部のみの画像の場合には、表示部16に表示しないようにしている。
このような表示を行うことのできる本実施形態に係わる携帯電話15の構成は、図11に示すように、表示部16とカメラ部17が折り畳み自在である。また、内部の電気的構成は、基本的には図1に示したカメラ10の場合と同様であるので、その詳しい説明は省略する。
次に、本実施形態の動作について、図13に示す表示制御のフローチャートを用いて説明する。このフローも、図示しない記憶部に記憶されたプログラムに従って、画像処理及び制御部1によって実行される。表示制御のフローに入ると、まず、水平ローコン域が有るか否かの判定を行う(S51)。ここでは、撮像部2から出力される画像データに基づいて、画面の水平方向に沿って、ローコントラストの領域があるか否かを判定する。
ステップS51における判定の結果、水平ローコン域があった場合には、次に、上下判定を行う(S52)。ここでは、加速度検知部7の検知出力に基づいて、携帯電話15の上下方向(重力方向)を判定する。続いて、水平ローコン域は画面を横断しているか否かの判定を行う(S53)。ここでは、ステップS51において判定した水平ローコン域が、画面を横断しているか否かを判定する。
ステップS53における判定の結果、水平ローコン域が画面を横断していた場合には、次に、水平ローコン域は画面中央のみか否かを判定する(S54)。ここでは、水平ローコン域が、図12(a)に示すように、画面中央のみかを判定し、図12(b)(c)に示すように、画面中央以外にもある場合には、Noと判定する。
ステップS54における判定の結果、水平ローコン域は画面中央のみであった場合には、次に、表示を行う(S55)。ここでは、撮像部2から出力される画像データに基づいて、表示部16に表示する。ここに表示される画像は図12(a)に示すように、表示部16の画面の上部および下部の両方に画像が表示される。続いて、ステップS55において表示した画像の画像データを仮記憶する(S56)。仮記憶は、画像処理及び制御部1内の図示しない仮記憶部に記憶する。
ステップS54における判定の結果、水平ローコン域が画面中央のみでなかった場合には、次に、仮記憶画像の表示を行うと共に警告表示を行う(S58)。ステップS54の判定結果によれば、図12(b)(c)に示すように、画像の上部または下部には画像が形成されておらず、このような画像を表示部16に表示しても見苦しいので、ステップS56において仮記憶された画像を表示する。この画像は、ステップS55において表示したものであり、画面の上部(水上)および下部(水中)の画像が形成されている。また、仮記憶画像を表示したことから、「水面が安定していません」等の警告表示を行う。
ステップS51における判定の結果、水平ローコン域がなかった場合、またはステップS53における判定の結果、水平ローコン域は画面を横断していなかった場合には、全ての画像を表示する(S57)。この状態は、水上のみの撮影や、水中のみの撮影である可能性が高いことから、画像全体を表示する。
ステップS56において仮記憶すると、またはステップS58において仮記憶画像の表示と警告表示を行うと、またはステップS57において全ての画像を表示すると、元のフローに戻る。
以上、説明したように、本発明の第2実施形態においては、水中および水上の両方の画像を取得可能であるかを検知し、この検知結果に応じて、画像を表示するタイミングを決定している。このため、水面に波が生じている場合であっても、水中と水上の両方の画像を表示することが可能となる。
また、本実施形態においては、ステップS55において表示した際の画像データを仮記憶する仮記憶部を有しており、表示タイミング以外の期間においては、仮記憶部に記憶された画像データに基づいて、表示部16に表示を行うようにしている。このため、半水中表示に適さない期間においても、仮記憶された画像が表示されるので、画面が見苦しくなることがない。
次に、本発明の第3実施形態について、図11ないし図17を用いて説明する。第1および第2実施形態においては、半水中になるタイミングを撮像部2から出力される画像データに基づいて判定していた。第3実施形態においては、カメラ10に半水中状態になったことを検知するセンサを設けて、半水中の判定を行うようにしている。
本実施形態におけるカメラ10は、防水機構を備えたデジタルカメラである。カメラ10の上面には、図14(a)に示すように、操作部を構成するレリーズ釦9aが配置されている。また、カメラ10の正面の左上には、ストロボ部5を構成するメインストロボ5aが配置され、また右下にはサブストロボ5bが配置されている。サブストロボ5bは、カメラ10が半水中にある場合に、水中の被写体に対して補助光を投射する。さらに、カメラ10の正面右上側には撮影レンズ鏡筒2eが配置されており、この内部にカバーガラス2b、撮影レンズ2c等が設けられている。
撮影レンズ鏡筒2eの内側であって、水中に露呈可能な位置に、図14(b)に示すように、半水中状態か否かを検知するためのセンサ部3のセンサ部窓3eが配置されている。センサ部3は、図14(c)に示すように、投光素子3a、受光素子3b、センサ部窓3eからなる第1の投受光部と、投光素子3c、受光素子3d、センサ部窓3eからなる第2投受光部から構成されている。投光素子3a、3cは、いずれも赤外線を投光し、受光素子3b、3dはいずれも赤外線を検知することができる。また、投光素子3aの投光方向と、投光素子3cの投光方向は、共に平行であり、カメラ10を横位置に把持し水面31に下げた場合には、投光方向は水面31に対しても平行となる。
このように第1及び第2の投受光部が構成されているので、撮影レンズ2cが水上に有る場合には、投光素子3a、3cからの投光は、いずれも受光素子3b、3dに到達し、検知信号を出力する。また、撮影レンズ2cが水中に有る場合には、投光素子3a、3cからの投光は、いずれも受光素子3b、3dに到達せず、検知信号は出力されない。水中においては、赤外光は吸収されてしまい、受光素子には到達しないからである。
撮影レンズ2cの光軸付近を境に、第1の投受光部が水上にあり、第2の投受光部が水中にある半水中状態になると、投光素子3aからの投光は受光素子3bに到達し、検知信号を出力する。しかし、投光素子3cからの投稿は受光素子3dに到達することがなく、検知信号が出力されない。このため、投光素子3a、3bを投光させた状態で、受光素子3b、3dの検知信号を判定することにより、半水中状態か否かを判定することができる。
図14に示すように、撮影レンズ鏡筒2eの回りにセンサ部3を配置し、図16に示すように、撮影者21はカメラ10を水中に沈め、このとき第1及び第2の投受光部によって、それぞれの投受光部が水中にあるかを検知すると、半水中状態にあるか否かを判定することができる。
本実施形態に係わるカメラ10の電気的構成は、センサ部3が、前述したように第1及び第2の投受光部を有しており、ストロボ部5がメインストロボ5aとサブストロボ5bを有している点を除けば、基本的には図1に示したカメラ10の場合と同様であるので、その詳しい説明は省略する。
次に、本実施形態の動作について、図17に示す半水中判別撮影のフローチャートを用いて説明する。このフローも、図示しない記憶部に記憶されたプログラムに従って、画像処理及び制御部1によって実行される。半水中判別撮影のフローに入ると、まず、レリーズがなされたか否かの判定を行う(S61)。撮影者21がレリーズ釦9aを操作すると、レリーズがなされるので、このステップでは、操作判定部6によってレリーズ釦9aの操作状態を判定する。
ステップS61における判定の結果、レリーズがなされた場合には、次に、第1の投受光部によって赤外光通信が可能か否かの判定を行う(S62)。ここでは、投光素子3aおよび受光素子3bからなる第1投受光部によって赤外光通信が可能であるか、すなわち、受光素子3bによって投光素子3aから投光された赤外光を受光したか否かを判定する。
ステップS62における判定の結果、第1の投受光部によって赤外光通信が可能であった場合には、次に、第2の投受光部によって赤外光通信が可能であるか否かの判定を行う(S63)。ここでは、投光素子3cおよび受光素子3dからなる第2投受光部によって赤外光通信が可能であるか、すなわち、受光素子3dによって投光素子3cから投光された赤外光を受光したか否かを判定する。
ステップS61における判定の結果、レリーズされていなかった場合、またはステップS62における判定の結果、第1の投受光部による赤外光通信が可能でなかった場合、またはステップS63における判定の結果、第2の赤外光通信が可能であった場合には、ステップS61に戻る。ステップS62における判定の結果、第1の投受光部によって赤外光通信が可能でなかった場合には、カメラ10全体が水中に有る場合であり、またステップS63における判定の結果、第2の投受光部によって赤外光通信が可能であった場合には、カメラ10全体が水上に有る場合だからである。これらの場合には、半水中状態となっていないことから、ステップS61に戻り、レリーズ待機状態としている。
ステップS63における判定の結果、第2の投受光部によって赤外光通信が可能でなかった場合には、半水中状態にあることから、半水中判定撮影を行う(S64)。ここでは、サブストロボ5bによって被写体に補助照明光を照射し、このとき撮像部2から出力される画像データを画像処理及び制御部1によって画像処理した後、記録部4に画像処理された画像データを記録する。半水中判定撮影が終わると、元のメインフローに戻る。
センサ部3は、図14を用いて説明した構成以外にも、例えば、図15に示すような構成でも良い。このセンサ部3の変形例では、センサ部窓3eに代えて、センサ部プリズム3fを配置している。また、投光素子3a、3cは、図14(c)の場合に比較し、水中でも減衰しない程度に強度を上げて赤外発光を行う。前述のセンサ部プリズム3fは、撮影レンズ鏡筒2eにおいて投光素子3a、3c、受光素子3b、3dの前面に配置されており、撮影レンズ鏡筒2eが水中にある場合に、プリズムと水の屈折率の関係により、投光素子3a、3cからの赤外光が、受光素子3b、3cに到達するように、プリズムの角度が設定されている。
このようにセンサ部3の変形例は構成されているので、撮影レンズ鏡筒2eが水上に有る場合には、受光素子3b、3dのいずれも赤外光を受光せず、検知信号を出力しない。また、撮影レンズ鏡筒2eが水中に有る場合には、受光素子3b、3dの両方とも赤外光を受光し、検知信号を出力する。そして、撮影レンズ鏡筒2eが半水中に有る場合には、受光素子3bは赤外光を受光せず、受光素子3dが赤外光を受光し、この受光素子3dのみが検知信号を出力する。従って、受光素子3b、3dの検知信号を判定することにより、半水中にあるか否かの判定を行うことができる。
以上、説明したように、本発明の第3実施形態およびその変形例においては、水中および水上の両方の被写体像を取得可能であるかを検知し、この検知結果に応じて、水中および水上の両方の被写体像を撮影するタイミングを決定している。このため、水面に波が生じている場合であっても、水中と水上の両方を表示することが可能となる。
また、本実施形態においては、撮影レンズの周辺にセンサ部3を設け、このセンサ部3の検知信号に基づいて、半水中に有るか否かの判定を行っている。このため、直接、水の存在を検知することから、検知精度を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、撮影レンズの周辺に配置するセンサ部3として、赤外光通信によって検知するようにしていたが、可視光によって検知するようにしても良い。また、光通信以外にも、例えば、水の導電性を利用する等、他のセンサによって検出するようにしても良い。また、カメラ10の縦位置や横位置等、把持の変化に応じて、センサ部を切り換えるようにしても構わない。
以上説明したように、本発明の各実施形態においては、撮像部2から出力される画像データや、センサ部3の検知信号に基づいて、水中および水上の両方の画像(被写体像を含む)を取得可能であるかを検知している。そして、この検知結果に応じて、水中および水上の両方の画像を撮影したり、また表示するタイミングを決定している。このため、水面に波が生じている場合であっても、水中と水上の両方を撮影したり、表示することが可能となる。
なお、本発明の第1および第3実施形態においては、撮影のタイミングを決定するものであり、第2実施形態においては、表示のタイミングを決定するものであったが、両者を兼ね備えるようにしても良い。
また、本発明の第1及び第3実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、防水機構を有し、水中で使用できる撮影装置であれば良い。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。