以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部115にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタチャンスを決定する。1stレリーズ時には、被写体に人物が含まれる場合には、人物の目または顔にピントが合うように撮影レンズの自動焦点調節を行う。2ndレリーズ時には、画像データが記録媒体(外部メモリ114)に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部115に再生表示することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係わるカメラ100の主として電気的構成を示すブロック図である。撮影レンズ101の光軸上に、絞り機構103、シャッタ105および撮像素子107が配置されている。撮像素子107の出力はA/D変換部109に接続され、A/D変換部109の出力はメモリ110に接続されている。メモリ110は画像処理部111とシステム制御部116に接続されている。
システム制御部116には、撮像制御部108、シャッタ制御部106、絞り制御部104、レンズ制御部102、露出制御部112、AF処理部113、フラッシュ制御部121、不揮発性メモリ118、外部メモリ114、表示部115、操作部117、電源制御部120がそれぞれ接続されている。上述の撮像制御部108は撮像素子107に接続されており、シャッタ制御部106はシャッタ105に接続されており、絞り制御部104は絞り103に接続されており、レンズ制御部102は撮影レンズ101に接続されている。また、電源制御部120は電源部119に接続されており、フラッシュ制御部121はフラッシュ充電部122とフラッシュ発光部123にそれぞれ接続されている。
撮影レンズ101は、被写体光束を撮像素子107に集光させ、被写体像を結像させるための光学系である。この撮影レンズ101は、システム制御部116からの指示に応じて動作するレンズ制御部102により光軸方向に移動され、焦点状態が変化する。絞り機構103は、撮影レンズ101を介して撮像素子107に入射する被写体光束の入射量を調節する。絞り機構103は、システム制御部116からの指示に応じて動作する絞り制御部104により開口量が制御される。
シャッタ105は、撮影レンズ101によって形成される被写体像の光束に対して開閉を行うものであり、公知のレンズシャッタやフォーカルプレーンシャッタ等によって構成される。シャッタ105は、システム制御部116からの指示に応じて動作するシャッタ制御部106によりシャッタ開口時間(シャッタ速度値)が制御される。
撮像素子107は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の二次元固体撮像センサであり、前面に配置されたベイヤ―配列のカラーフィルタと、このカラーフィルタに対応して配列されたフォトダイオード等の光電変換素子から構成される。各カラーフィルタとこれに対応する各光電変換素子から構成される画素群によって撮像領域が構成される。撮像素子107は、撮影レンズ101により集光された光を各画素で受光し光電流に変換し、この光電流をコンデンサに蓄積し、アナログ電圧信号(画像信号)としてA/D変換部109に出力する。撮像制御部108は、システム制御部116からの指示に応じて撮像素子107の動作制御を行う。
A/D変換部109は、撮像素子107から出力されるアナログ電圧信号(画像信号)をデジタル画像信号(画像データ)に変換する。メモリ110は、A/D変換部109において得られた画像データや、画像処理部111において処理された画像データ等、各種データを一時的に記憶する記憶部である。なお、本明細書においては、撮像素子107から出力される画像信号に基づく信号であれば、A/D変換部109によってA/D変換された信号のみならず画像処理された信号も含めて画像データと称する場合がある。
画像処理部111は、メモリ110に一時記憶された画像データを読み出し、この画像データに対して、ホワイトバランス補正処理、同時化処理、色変換処理等の画像処理を行う。また、画像処理部111は、顔検出手段として機能し、画像データに基づいて被写体の中から顔を検出する。顔を検出した場合には、顔の位置、大きさについても検出する。また、画像処理部111は、顔器官検出手段としての機能も果たし、目、鼻、口元等の顔の中の器官の検出を行う。ここで目等の器官を検出した場合には、その位置、大きさ等も検出し、これらの器官の位置等に基づいて顔の向きも検出し、顔大きさ検出手段としても機能する。さらに、画像処理部111は、後述する外部メモリ114に記録する際に画像圧縮を行い、また外部メモリ114から読み出した圧縮された画像データの伸張を行う。
露出制御部112はメモリ110に一時記憶された画像データを用いて被写体輝度(被写体を含むシーンの明るさ)を算出する。なお、専用の測光センサを用いて被写体輝度を算出するようにしても勿論かまわない。
AF(Auto Focus)処理部113は、メモリ110に一時記憶された画像データより高周波成分を抽出し、積算処理によりコントラスト値を取得する。システム制御部116は、コントラスト値に基づいてレンズ制御部102を通じて、撮影レンズ101が合焦位置となるように駆動制御を行う。コントラスト値を求めるにあたっては、画面全体について求めることもできるが、設定されたAF枠に対応する画像データに基づいてコントラスト値を求めることもできる。
操作部117は、図2に示すような電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117c、動画釦117d、ファンクション釦117e、十字釦117f、OK釦117g、フォーカスモード設定釦117h、オートフォーカス設定釦117i、メニュー釦、各種入力キー等の操作部材を含む。ユーザが操作部117のいずれかの操作部材を操作すると、システム制御部116は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。
操作部117の内の電源釦117aはカメラ100の電源のオンオフを指示するための操作部材であり、電源釦117aが押されるとシステム制御部116は電源オンとし、再度押されると電源オフとする。
レリーズ釦117bは、1stレリーズスイッチ(AF開始スイッチ、または第1スイッチとして機能する)と2ndレリーズスイッチ(第2スイッチとして機能する)の2段スイッチを有している。レリーズ釦117bが半押しされると1stレリーズスイッチがオンとなり、半押しから更に押し込まれ全押しされると2ndレリーズスイッチがオンとなる。1stレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、AE処理やAF処理等撮影準備シーケンスを実行する。また2ndレリーズスイッチがオンとなると、システム制御部116は、静止画の撮影シーケンスを実行し、撮影を行う。
操作部117の内のフォーカスモード設定釦117hは、シングルAF(S−AF)、シングルAFおよびマニュアルフォーカス(S−AF+MF)、コンティニュアスAF(C−AF)、コンティニュアスAFおよびマニュアルフォーカス(C−AF+MF)、コンティニュアスAFおよびトラッキングAF(C−AF+Tr)、マニュアルフォーカスのいずれかを設定するための設定釦である。フォーカスモード設定釦117hを操作するたびに、サイクリックにモードが変更される。
ここで、シングルAFが設定されると、レリーズ釦117bが半押しされた際に、AF処理部113等によって1度だけ自動焦点調節がなされる。またコンティニュアスAFが設定されると、レリーズ釦117bが半押しされた際に、AF処理部113等によって繰り返し自動焦点調節がなされる。また、トラッキングAFが設定されると、レリーズ釦117bが半押しされた際に記憶された被写体を追尾し、この追尾した被写体に対して自動焦点調節がなされる。マニュアルフォーカスは設定されると、交換レンズ20(図2参照)の外周に設けられたフォーカスリングの操作量に応じて手動焦点調節がなされる。
操作部117の内のオートフォーカス設定釦117iは、十字釦117fの1つであるが、十字釦117fとして機能しない際には、オートフォーカス設定釦として機能する。オートフォーカス設定釦117iは、自動焦点検出する際の対象を設定する釦であり、本実施形態においては、操作するたびに、顔AF、顔+目AF、オールターゲットAF、シングルターゲットAFを順次サイクリックに設定する。
顔AFが設定されると、画像処理部111によって検出された顔に対してピントが合うように自動焦点調節される。顔+目AFが設定されると、画像処理部111によって検出され、さらに顔器官検出よって検出された目に対して、ピントが合うように自動焦点調節される。オールターゲットAFが設定されると、撮像全画面の中から被写体、例えば、近距離の被写体が選択され、この被写体に対してピントが合うように自動焦点調節される。シングルターゲットAFが設定されると、撮画像面の中央の被写体に対して、ピントが合うように自動焦点調節される。
システム制御部116は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)で構成され、撮像制御部108やフラッシュ制御部121等のカメラ100の各種シーケンスを統括的に制御する。
また、システム制御部116は、AF処理部113、レンズ制御部102、および画像処理部111等と協働して、第1合焦モード実行手段、第2合焦モード実行手段、第3合焦モード実行手段としても機能する。ここで、第1合焦モード実行手段は、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モードを実行する、第2合焦モード実行手段は、AF開始スイッチに応答して被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モードを実行する。第3合焦モード実行手段は、上述した目検出AF、すなわち目に自動的にピントを合わせる第3合焦モードを実行する。また、システム制御部116は、第3合焦モードの動作を許可および/または禁止する許可/禁止手段としても機能する。本実施形態においては、第1合焦モードが選択された場合には、第3合焦モードの実行が禁止される。
外部メモリ114は、例えば、カメラ本体に着脱自在に記録媒体であり、画像処理部111において圧縮された画像データおよびその付随データが記録される。また、記録された画像データは読み出され、表示部115に再生表示される。なお、画像データ等を記録するための記録媒体として、カメラ本体に着脱可能な外部メモリに限らず、カメラ本体に内蔵のハードディスク等の記録媒体であってもかまわない。
表示部115は、カメラ本体の背面等に配置された液晶モニタ115a(図2参照)等を含み、画像データに基づいてライブビュー表示を行う。また、表示部115は、外部メモリ114に記録された撮影画像の再生表示を行い、さらに露出制御値等の表示や撮影モード等設定のためのメニュー画面の表示を行う。なお、画像等を表示できるものであれば、液晶モニタに限らず、有機EL等のディスプレイでもよい。
不揮発性メモリ118は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、カメラ100の動作に必要な各種パラメータを記憶している。また、不揮発性メモリ118は、システム制御部116において実行するプログラムも記憶している。システム制御部116は、不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従い、また不揮発性メモリ118に記憶されているパラメータを読み込み、各種シーケンスを実行する。
電源部119は、カメラ100の各部の動作に必要な電力を供給し、例えば、2次電池等の電源電池で構成される。電源制御部120は、電源部119を構成する電池の電源電圧や残量の検出等、電源部119の制御を行う。
フラッシュ制御部121は、システム制御部116からの指示に応じてフラッシュ充電部122における充電動作、およびフラッシュ発光部123における発光動作を制御する。フラッシュ充電部122は、電源部119の電源電圧を昇圧する昇圧回路や、ここで昇圧された電圧でエネルギを蓄積するコンデンサを有し、フラッシュ発光部123の発光を行うに必要なエネルギを蓄積する。フラッシュ発光部123は、例えば、キセノン(Xe)管等の発光管や反射傘を備えており、フラッシュ制御部121から発光指示を受信した際に、フラッシュ充電部122のコンデンサに蓄積されたエネルギを利用して発光する。
次に、本実施形態に係わるカメラ100の外観について、図2を用いて説明する。図2は、背面側からみたカメラ100の外観図であり、カメラ本体10に交換レンズ20が装着されている。カメラ本体10の上面には、電源釦117a、レリーズ釦117b、撮影モードダイヤル117cが配置されている。
また、カメラ本体10の背面には、液晶モニタ115aが配置されており、これによって被写体像のライブビュー表示やメニュー画面表示、記録画像の再生表示等の各種表示を行う。カメラ本体10の背面の右上側には、動画釦117d、ファンクション釦117e、フォーカスモード設定釦117hが配置されており、また、これらの釦の下側には、十字釦117gとOK釦117fが配置されている。十字釦117gは、液晶モニタ115aに表示されるメニュー画面等において、カーソルを画面上で移動させ、OK釦117fを押下げるとカーソルによって選択された項目を確定させることができる。また、十字釦117gの左側キーは、オートフォーカスモード設定釦117iを兼ねている。
次に、本実施形態におけるカメラ100の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。このフローおよび後述する各フローは不揮発性メモリ118に記憶されているプログラムに従ってシステム制御部116によって実行される。図3に示すフローはメインルーチン動作である。このメインルーチンは、操作部117の電源釦117aがオンとなると実行を開始する。
メインルーチンの動作が開始すると、まず、ライブビュー表示を行う(S1)。ライブビュー表示では、撮像素子107から出力される画像信号が、画像処理部111によってライブビュー表示用に画像処理され、この処理された画像データが表示部115の液晶モニタ115aに表示される。撮影者はこのライブビュー表示を見て、静止画や動画の構図を決定し、シャッタタイミングを決める。
ライブビュー表示を行うと、次に、顔検出を行う(S3)。このステップでは、画像処理部111は画像データを用いて、マッチング法や顔の色等、種々の方法により被写体像の中に顔が含まれているか検出する。
ステップS3における判定の結果、顔検出を行うことができた場合には、次に、顔枠表示を行う(S5)。この顔枠の表示は、例えば、図5(a)(b)に示すように、液晶モニタ115aに表示する被写体像に、顔枠30a、31a〜31dのように、被写体の顔の部分を示す白枠を重畳して行う。なお、顔枠としては、顔の部分を表示するものであれば、白枠に限らず他の表示方法でもよい。
ステップS5において顔枠の表示を行うと、またはステップS3における判定の結果、顔を検出しなかった場合には、次に、1stレリーズ操作がなされたか否かを判定する(S11)。ここでは、操作部117のレリーズ釦117bが半押しされ、1stレリーズスイッチがオンしたか否かを判定する。この判定の結果、1stレリーズ操作がなされていなかった場合には、ステップS1に戻り、ライブビュー表示等を実行する。なお、1stレリーズ操作がなされると、トラッキングAFがスタートする。このトラッキングAFは、図3に示すフロー上は現われていないが、1stレリーズ操作時に選択した被写体を追尾しながら、追尾被写体に対してピント合わせを続行する。
ステップS11における判定の結果、1stレリーズ操作がなされた場合には、最大顔AF枠の選択を行う(S13)。ここでは、ステップS3における顔検出において検出された顔の中から、最大のサイズを有する顔を選択し、この顔に顔AF枠を被写体像に重畳する。たとえば、図6(a)に示すように、複数の顔枠31a〜31dが検出された場合には、検出された最も大きな顔を検出し、この顔を顔AF枠として選択する。選択された顔AF枠として選択された顔枠31aであることが区別できるように、枠の色を変える等により識別可能とするよい。
ステップS13において最大顔AF枠を選択すると、次に、フォーカスモードの判定を行う(S17)。フォーカスモード設定釦117hを操作することによってフォーカスモードフラグの設定されることから、このステップでは、設定されているフォーカスモードフラグに基づいて判定される。
ステップS17における判定の結果、フォーカスモードがシングルAF(S−AF)であった場合には、次に、顔器官検出を行う(S21)。このステップでは、撮像素子107からの画像データに基づいて、画像処理部111が被写体の中に人物の顔の顔器官、すなわち、目、鼻、口等を検出する。
ステップS21において顔器官検出を行うと、次に、目の大きさが所定値より大きいか否かを判定する(S23)。ここでは、ステップS13において選択した最大の顔の目が所定値より大きいか判定する。左右の目の大きい方(近い方)の大きさが所定値より大きいか判断してもよい。例えば、目の大きさとしては、図6(b)に示すように、目じりと目頭の距離としてもよい。また、黒目(瞳)の径に基づいて判定してもよい。
ステップS23において判定に用いる所定値としては、顔の奥行き程度の距離(約10cm)でピントの変化すなわちボケ具合が大きくなるような値を固定値として使用してもよい。また、ピントのボケ具合は、レンズの焦点距離、カメラから顔までの距離、絞り値等によって変化することから、固定値とせずに、これらの値に基づいて計算して所定値を決めるようにしてもよい。
ステップS23における判定の結果、目の大きさが所定値より大きかった場合には、次に、目AF枠を選択する(S25)。目の大きさが所定値より大きいことから、このステップでは目の部分にピントが合うように目AF枠の設定を行う。実用上、目AF枠が小さくなり過ぎることがないように、バストアップ撮影程度の顔の大きさ以上になったどうか検出できるような上記所定値に設定するとよい。また、目AF枠を表示する際には、目AF枠と顔AF枠の区別が一瞥でわかるように、これらのアスペクト比は異ならせるとよい。通常、顔枠は正方形で示すので、目枠は横長の長方形とするのがよい。この目AF枠の設定の詳細な動作は、図4および図7を用いて後述する。
ステップS25において目AF枠を選択すると、またはステップS17における判定の結果、コンティニュアスAF(C−AF)またはトラッキングAFであった場合、またはステップS23における判定の結果、目の大きさが所定値よりも小さい場合には、次に、コントラストAFを行う(S27)。ここでは、ステップS25において選択された目AF枠、またはステップ13において選択された最大顔AF枠内の画像データを用いて、AF処理部113が画像データの高周波成分を積算したコントラスト値を取得する。システム制御部116は、コントラスト値がピーク値となるようにレンズ制御部102を通じて、撮影レンズ101を移動させ、焦点調節制御を行う。
コントラストAFを行うと、次に、測光を行う(S29)。ここでは、目AF枠または最大顔AF枠が選択された部分の画像データを用いて、被写体輝度を求める。なお、顔全体が適正露出としたい場合もあることから、目AF枠が選択された場合であっても、測光値としては目AF枠が選択された顔の顔枠の部分の画像データを用いて被写体輝度を求めてもよい。
測光を行うと、次に、露出演算を行う(S31)。ステップS29において求めた被写体輝度を用いて、システム制御部116がアペックス演算またはテーブル参照等により、適正露光となるシャッタ速度、絞り値、ISO感度等の露出制御値を算出する。
露出演算を行うと、次に、1stレリーズ操作が続行しているか否かの判定を行う(S33)。ステップS11においてレリーズ釦117bが半押しされると、ステップS13以下に進むが、ステップS33の判定時にも、レリーズ釦117bの半押しが続行されているか否かを判定する。この判定の結果、1stレリーズ操作が続行していなかった場合には、レリーズ釦117bから手が離れたことから、ステップS1に戻る。
一方、ステップS33における判定の結果、1stレリーズ操作が続行していた場合には、次に、2ndレリーズ操作がなされたか否かを判定する(S35)。ここでは、操作部117のレリーズ釦117bが全押しされ、2ndレリーズスイッチがオンしたか否かを判定する。この判定の結果、2ndレリーズ操作がなされていなかった場合には、次に、ステップS17と同様にフォーカスモードの判定を行う(S37)。
ステップS37における判定の結果、フォーカスモードがコンティニュアスAF(C−AF)であった場合には、ステップS13に戻る。これにより、再び、顔検出を行い、最大顔AF枠を選択し、顔器官検出を行って、目の大きさが所定値より大きければ、その目に目AF枠を設定しコントラストAFによってピント合わせを行う。このように、フォーカスモードがC−AFに設定されていれば、常に、最も大きな顔の目にピントを合わせ続ける。
ステップS37における判定の結果、フォーカスモードがトラッキングAFであった場合には、ステップS27に戻る。トラッキングAFは、ステップS11において1stレリーズ操作された時点からスタートしており、被写体を追尾し、ステップS27において追尾被写体に対してピント合わせを続行する。すなわち、ステップS13における最大顔AF枠の選択によって、追尾対象が決定、保持されている。
ステップS37における判定の結果、フォーカスモードがシングルAF(S−AF)であった場合には、ステップS33に戻る。シングルAFは1回だけAF動作を行うモードであることから、新たにAFや測光は行わない。
ステップS35における判定の結果、2ndレリーズ操作がなされた場合には、静止画撮影を行う(S51)。ここでは、撮像素子107からの静止画の画像データを取得し、画像処理部111によって画像処理した後、外部メモリ114に記録を行う。静止画撮影が終了すると、ステップS1に戻る。
次に、図3に示したメインフロー中のステップS25における目AF枠選択について、図4および図7を用いて説明する。図4に示す目AF枠選択のフローに入ると、まず、向かって左目の目じりと目頭の間の距離をLとし(S61)、向かって右目の目じりと目頭の間の距離をRとする(S63)。ここでは、画像処理部111が画像データに基づいて、目じりの位置と目頭の位置を検出し、検出された両位置の間を求める。
続いて、LがRより大きいか否かを判定する(S65)。ここでは、ステップS61において求めた左目の目じり目頭間距離Lと、右目の目じり目頭間距離Rを比較する。この判定の結果、LがRより大きかった場合には、向かって左目AF枠を選択する(S67)。一方、判定の結果LがRより大きくなかった場合には、向かって右目AF枠を選択する(S69)。
図7(a)に示す例では、右目の目じり目頭間距離201Rの方が、左目の目じり目頭間距離201Lよりも大きいことから、向かって右目AF枠が選択される。また、図7(b)に示す例では、右目の目じり目頭間距離202Rと、左目の目じり目頭間距離202Lがほぼ同じ距離であることから、ステップS105における判定はNoとなり、向かって右目AF枠が選択される。
なお、本実施形態における目AF枠選択のフローおいて、両距離がほぼ等しい場合には、右目AF枠が選択されるが、いずれの目を選択しても大差がないことから、左目AF枠を選択するようにしてもよい。さらにまた、不図示であるが、左右両方の目に測距エリアを指定して、両方の領域の演算結果によりピントを合わせるようにしても良い。ステップS67またはS69においてAF枠を選択すると、元のフローに戻る。
このように、本実施形態における目AF枠選択のフローにおいては、顔の器官検出を利用し、目じりと目頭間距離を利用してAF枠を選択している。顔検出にあたって、一般的ではないが、目、鼻、口等の顔の中の器官検出機能を利用して行っているものもある。この場合には、本フローにおいても、目を検出する際に検出した目じりや目頭の情報をそのまま利用できることから、迅速な処理が可能となる。また、目じり目頭間距離が長い方の目が一般的には近距離側にあることから、カメラに近い側の目を簡単に検出することができる。
なお、目AF枠選択は、本実施形態に示すような目じりと目頭間距離を利用する以外にも、例えば、左右の瞳径をそれぞれ検出しその大小関係から選択する方法、顔の向きを検出し選択する方法、画面中心からの左右の目の距離の大小関係から選択する方法等、他の方法でも勿論かまわない。
以上、説明したように、本発明の第1実施形態においては、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード(コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモード)と、1stレリーズスイッチに応答して被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード(シングルAFモード)と、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モードと(目検出AF、図3のS25→S27)の3つの合焦モードを有し、第1合焦モードが選択された場合は第3合焦モードを禁止するようにしている(図3のS17→S27に進み、S21〜S25を不実行)。すなわち、第1実施形態においては、コンティニュアスAFモードやトラッキングAF(第1合焦モード)が設定されている場合には、目検出AFを実行しない(第3合焦モードを禁止)。このため、被写体に対して連続的にピント合わせを行う場合であっても、性能が劣化することがない。
なお、本実施形態においては、ステップS17においてフォーカスモードを判定し、コンティニュアスAFやトラッキングAF等の第1合焦モードが選択されていた場合には、目検出AF(第3合焦モード)の実行を禁止していた。しかし、フォーカスモードを選択する際に、第2合焦モードと第3合焦モードの両方を選択することは許容するが、第1合焦モードを選択した際には、第3合焦モードの選択を禁止するようにしても構わない。
次に、第1実施形態のメインフローの変形例について、図8を用いて説明する。第1実施形態においては、コンティニュアスAF(C−AF)やトラッキングAFが設定されている場合には、1stレリーズ操作時(レリーズ釦117bの半押し)には、目検出AFを1度も行うことがなかった。これに対して第1実施形態の変形例においては、1stレリーズ操作時には、最初の1回目のみ目検出AFを行うようにしている。
図3に示した第1実施形態におけるメインフローと比較し、第1実施形態の変形例では、ステップS17が省略されている点、ステップS37において、フォーカスモードがC−AFであった場合に、ステップS39において最大顔AF枠を選択してから、ステップS27に戻るようにしている点で相違し、これ以外の処理は同じである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図8に示すメインフローに入り、ステップS11における判定の結果、1stレリーズがオンであった場合には、最大顔AF枠を選択し(S13)、顔器官検出を行い(S21)、目の大きさが所定値より大きいか否かを判定し(S23)、大きかった場合には、目AF枠を選択して(S25)、コントラストAFを行う(S25)。すなわち、1stレリーズ操作がなされ、目の大きさが所定値よりも大きければ、設定されているフォーカスモードに関わりなく、少なくとも1回、目検出AFを実行する。
そして、ステップS33における判定の結果、1stレリーズがオンであれば、2ndレリーズがオンか否かを判定し(S35)、2ndレリーズがオンでなければ、フォーカスモードの判定を行う(S37)。この判定の結果、シングルAF(S−AF)が設定されていれば、ステップS33に戻り、AF動作を行うことがない。
ステップS37における判定の結果、コンティニュアスAF(C−AF)が設定されていれば、ステップS13と同様に、最大顔AF枠を選択し(S39)、ステップS27に進む。すなわち、コンティニュアスAFモードが設定されている場合には、1stレリーズ操作時の1回のみ、目検出AFを実行する(S11→S25→S27参照)。次回以降、1stレリーズ操作の続行時には(S33→S35→S37)、ステップS37からステップS27に進むことから、目検出AFを実行することがない。
ステップS37における判定の結果、トラッキングAFが設定されていれば、ステップS27に戻り、コントラストAFを実行する。前述したようにステップS11において、1stレリーズ操作がなされたことを検出した時点から、トラッキングAFが開始しており、1stレリーズ時に検出した追尾対象の被写体に対して繰り返し、ピント合わせ動作を行う。この場合、1stレリーズ操作時に、被写体の目が追尾対象となっていれば、この被写体の目を追尾して、ピント合わせを繰り返す。顔器官検出を行わないが、画像データのパターン検出より、被写体の目の部分を追尾可能である。ここで、追尾用のパターン領域としては目枠領域そのものでも良いが、よりパターン検出精度を確保するため、目を含み、目AF枠より大きく、顔AF枠よりもあまり大きくならない領域を追尾パターンとして記憶することが望ましい。
このように、本発明の第1実施形態の変形例においては、コンティニュアスAFやトラッキングAF等の第1合焦モードが設定されている場合には、1stレリーズ操作時に、1回だけ、目検出AFを実行している。目検出AFを実行するために、顔器官検出を行う必要があり、このため、処理時間が長くなり、コンティニュアスAF等、繰り返し、AF動作を行う場合にピント合わせのための時間が長くなってしまう。しかし、変形例においては、1stレリーズ操作時に1回だけであることから、被写体の目にピントを合わせながら、AF動作に要する時間を短くすることが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態について、図9ないし図11を用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、被写体に繰り返しピントを合わせるコンティニュアスAFモードやトラッキングAF(第1合焦モード)が選択された場合、目検出AFモード(第3合焦モード)の選択を禁止していた。これに対して、第2実施形態においては、目検出AFモード(第3合焦モード)が選択された場合には、コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモード(第1の合焦モード)の選択を禁止する。
本実施形態における構成は、第1実施形態に係わる図1に示すブロック図と同様である。なお、システム制御部116は、第1実施形態の場合と同様、AF処理部113、レンズ制御部102、および画像処理部111等と協働して、第1合焦モード実行手段、第2合焦モード実行手段、第3合焦モード実行手段としても機能する。また、システム制御部116は、第1合焦モードの動作を許可および/または禁止する許可/禁止手段としても機能する。本実施形態においては、第3合焦モードが選択された場合は、第1合焦モードの実行が禁止される。
本実施形態において、第3合焦モードが選択された場合に、第1合焦モードを禁止するのは、フォーカスモードを設定する際に、図9に示されるフローチャートにおいて行われる。フォーカスモードは、フォーカスモード設定釦117hを操作することにより、表示部115に表示される。また、メニュー画面において、目検出AF(eye−AF)が選択されると、図9に示すフローチャートがスタートする。なお、目検出AFが選択されると、図10(b)に示すように、目検出AFフラグ(eye−AF)フラグとして、
“1”が設定され、目検出AFが非選択の場合には、目検出フラグとして“0”が設定される。
また、オートフォーカス設定釦117iを操作することにより、オートフォーカスモードの設定が行われる。オートフォーカスモードは、ピントを合わせるためのターゲットを設定する。本実施形態においては、図11(a)に示す表示部115の画面に、被写体の顔にピント合わせる顔AFを示すアイコン115b、顔+目検出AFを示すアイコン115c、全画面の被写体についてピント合わせを行うオールターゲットAFを示すアイコン115d、画面の中央部の被写体についてピント合わせを行うシングルターゲットAFを示すアイコン115eが示される。図11(a)に示す例では、顔+目検出AFを示すアイコン115cが、他のアイコンと異なる表示形態で表示され、顔+目検出AFが選択されていることを示す。
フォーカスモードは、シングルAF、コンティニュアスAF、トラッキングAFのように、ピントを合わす回数を設定し、また、自動焦点調節(AF)と手動焦点調節(MF)の設定も行う。本実施形態においては、図11(b)に示す表示部115の画面に、シングルAF(S−AF)を示すアイコン115f、シングルAFとマニュアルフォーカスの組合せ(S−AF+MF)を示すアイコン115g、コンティニュアスAF(C−AF)を示すアイコン115h、コンティニュアスAFとマニュアルフォーカスの組合せ(C−AF+MF)を示すアイコン115i、コンティニュアスAFとトラッキングAFの組合せを示すアイコン115j、マニュアルフォーカスを示すアイコン115kが表示される。図11(b)に示す例では、シングルAFを示すアイコン115fが、他のアイコンと異なる表示形態で表示され、シングルAFが選択されていることを示す。
オートフォーカスモードとして、目検出AFが選択されると、フォーカスモードフラグの読み込みを行う(S81)。フォーカスモードフラグは、図10(a)に示すように、6ビットから構成される。すなわち、シングルAF(S−AF)モードフラグの場合には、“100000”であり、シングルAF+マニュアルフォーカス(S−AF+MF)モードの場合には、“010000”であり、コンティニュアスAF(C−AF)モードの場合には、“001000”である。また、コンティニュアスAF+マニュアルフォーカス(C−AF+MF)モードの場合には、“000100”であり、コンティニュアスAF+トラッキングAF(C−AF+Tr)モードの場合には、“000010”であり、マニュアルフォーカス(MF)の場合には、“000001”である。
フォーカスモードフラグの読み込みを行うと、次に、C−AFフラグが1であるか否かを判定する(S83)。ここでは、フォーカスモードフラグが“001000”であるか否に基づいて判定する。この判定の結果、C−AFフラグが1であった場合には、C−AFフラグを“0”とし(S85)、S−AFフラグを“1”とする(S86)。すなわち、フォーカスモードフラグとして、コンティニュアスAFモードの設定を解除し、シングルAFモード(S−AF)モードを示す“100000”を設定する。
ステップS83における判定の結果、C−AFフラグが“1”でなかった場合には、次に、C−AF+MFフラグが“1”か否かを判定する(S89)。ここでは、フォーカスモードフラグが“000100”であるか否かに基づいて判定する。この判定の結果、C−AF+MFフラグが1であった場合には、C−AF+MFフラグを“0”とし(S91)、S−AF+MFフラグを“1”とする(S93)。すなわち、フォーカスモードフラグとして、コンティニュアスAF+MFモードの設定を解除し、シングルAF+MFモード(S−AF)モードを示す“010000”を設定する。
ステップS89における判定の結果、C−AF+MFフラグが“1”でなかった場合には、次に、C−AF+Trフラグが“1”か否かを判定する(S95)。ここでは、フォーカスモードフラグが“000010”であるか否かに基づいて判定する。この判定の結果、C−AF+Trフラグが1であった場合には、C−AF+Trフラグを“0”とし(S97)、S−AFフラグを“1”とする(S99)。すなわち、フォーカスモードフラグとして、コンティニュアスAF+Trモードの設定を解除し、シングルAFモード(S−AF)モードを示す“010000”を設定する。
以上、説明したように、本発明の第2実施形態においては、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード(コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモード)と、1stレリーズスイッチに応答して被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード(シングルAFモード)と、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モードと(目検出AFモード)の3つの合焦モードを有し、第3合焦モードが選択された場合は第1合焦モードを禁止するようにしている。すなわち、第2実施形態においては、目検出AF(第3合焦モード)が選択された場合には、コンティニュアスAFやトラッキングAF(第1合焦モード)を解除し、第1合焦モードが選択されることを禁止している(図9のS83→S85、S87に進みC−AFを解除等)。このため、被写体に対して連続的にピント合わせを行う設定がなされている場合であっても、自動的に目検出AFに最適な設定がなされるので、性能が双方共に劣化することがない。
次に、本発明の第3実施形態について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、目検出AFが設定されている場合には、1stレリーズ操作がなされた際に、目検出AFを実行していた。これに対して、第3実施形態においては、2ndレリーズ操作がなされた際に、目検出AFを実行するようにしている。
本実施形態における構成は、第1実施形態に係わる図1に示すブロック図と同様である。なお、操作部117内のレリーズ釦117bの半押し操作に応じてオンとなる1stレリーズスイッチが、合焦動作を開始させる第1スイッチとして機能し、また、レリーズ釦117bの全押し操作に応じてオンとなる2ndレリーズスイッチが、静止画撮影を開始させる第2スイッチとして機能する。
システム制御部116は、第1実施形態の場合と同様、AF処理部113、レンズ制御部102、および画像処理部111等と協働して、第1合焦モード実行手段、第2合焦モード実行手段、第3合焦モード実行手段としても機能する。ここで、第1合焦モード実行手段は第1スイッチに応答して被写体に繰り返しピントを合わせる。第2合焦モード実行手段は、第1スイッチに応答して1度だけピント合わせる。本実施形態においては、第1合焦モードと第3合焦モードが選択された場合は、第2スイッチに応答して第3合焦モードが発動される。
図3に示した第1実施形態におけるメインフローと比較し、第3実施形態では、ステップS35における判定の結果、2ndレリーズがなされた場合に、ステップS41〜S50を処理してから、ステップS51における静止画撮影を実行する点において相違し、これ以外の処理は同じである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図12に示すメインフローに入り、ライブビュー表示を行うと共に顔検出し、顔枠の表示を行う(S1〜S5)。レリーズ釦の半押し操作がなされると、最大顔についてAF枠を選択し、フォーカスモードがシングルAFであり、目が所定値よりも大きければ目検出AF等を行う(S13〜S31)。一方、レリーズ釦の半押し操作がなされた際に、フォーカスモードがコンティニュアスAFまたはトラッキングAFの場合には、目検出AFは禁止される(S17→No→S27)。
続いて、再度、レリーズ釦の半押し操作がなされているかを判定し、半押し操作が続行していた場合には、レリーズ釦の全押し操作がなされているか否かを判定する(S35)。この判定の結果、レリーズ釦の全押し操作がなされていなかった場合には、フォーカスモードを判定し(S37)、判定結果に応じた処理を行う。この処理は、第1実施形態の場合と同様であることから説明を省略する。
一方、ステップS35における判定の結果、レリーズ釦の全押し操作がなされた場合には(2ndレリーズオンの場合)続いて、ステップS37と同様に、フォーカスモードの判定を行う(S41)。
ステップS41における判定の結果、フォーカスモードがコンティニュアスAFまたはトラッキングAFであった場合には、次に、レリーズ優先か否かの判定を行う(S43)。レリーズ優先は、メニュー画面において設定するので、このステップにおいては、レリーズ優先が設定されているか否かに基づいて判定する。
ステップS43における判定の結果、レリーズ優先でなかった場合には、次に、ステップS21と同様に、顔器官検出を行う(S45)。ここでは、画像処理部111が被写体の中に人物の顔の顔器官、すなわち、目、鼻、口等を検出する。
顔器官検出を行うと、次に、ステップS23と同様に、目の大きさが所定値よりも大きいか否かを判定する(S47)。ここでは、ステップS13において選択された最大顔について、ステップS45において検出した目が所定値より大きいか判定する。
ステップS47における判定の結果が、所定値よりも目が大きかった場合には、次に、ステップS25と同様に、目AF枠の選択を行う(S49)。ここでは目の部分にピントが合うように目AF枠の設定を行う。
目AF枠の選択を行うと、次に、ステップS27と同様にコントラストAFを行う(S50)。ここでは、ステップS49において選択された目AF枠内の画像データを用いて、撮影レンズ101のピント合わせを行う。
ステップS50においてコントラストAFを行うと、またはステップS41における判定の結果、フォーカスモードがシングルAFであった場合、またはステップS43における判定の結果、レリーズ優先であった場合、またはステップS47における判定の結果、目の大きさが所定値よりも小さかった場合には、次に、静止画撮影を行う(S51)。ここでは、第1実施形態の場合と同様、撮像素子107からの静止画の画像データを取得し、画像処理部111によって画像処理した後、外部メモリ114に記録を行う。静止画撮影が終了すると、ステップS1に戻る。
なお、フォーカスモードがシングルAFの場合に目検出AFを行わないのは、レリーズ釦の半押し操作時、既に目検出AFを行っているからである(ステップS17→Yes→S21〜S27)。また、レリーズ優先の場合に目検出AFを行わないのは、目検出AFを行うにあたって顔器官検出に時間がかかり、レリーズタイムラグが長くなるのを防止するためである。また、目の大きさが所定値より小さい場合に目検出AFを行わないのは、AF精度の低下を防止するためである。
以上、説明したように、本発明の第3実施形態においては、合焦動作を開始させる第1スイッチと、静止画撮影を開始させる第2スイッチを具備し、また第1スイッチに応答して被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード(コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモード)と、第1スイッチに応答して被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード(シングルAFモード)と、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モード(目検出AF)の3つの合焦モードを有し、第1合焦モードと第3合焦モードが選択された場合は、第2スイッチに応答して第3合焦モードを発動させるようにしている。すなわち、第3実施形態においては、コンティニュアスAFモードやトラッキングAF(第1合焦モード)が設定されている場合には、第2スイッチ(2ndレリーズ)に応答して目検出AF(第3合焦モード)を実行する(図12のS35Yes→S41〜S50)。このため、被写体に対して連続的にピント合わせを行う場合であっても、性能が劣化することがない。
次に、本発明の第4実施形態について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、フォーカスモードとして、コンティニュアスAFやトラッキングAFのように被写体に繰り返しピントを合わせる合焦モードが選択された場合には、目検出AFを禁止していた。これに対して、第4実施形態においては、顔の大きさを検出し、顔の大きさが所定値よりも大きい場合には、目検出AFを行うようにしている。すなわち、フォーカスモードに応じて、目検出AFの優先度を調整可能としている。
本実施形態における構成は、第1実施形態に係わる図1に示すブロック図と同様である。システム制御部116は、第1実施形態の場合と同様、AF処理部113、レンズ制御部102、および画像処理部111等と協働して、第1合焦モード実行手段、第2合焦モード実行手段、第3合焦モード実行手段としても機能する。また、画像処理部111は、画像データに基づいて、被写体の顔の大きさを検出する顔大きさ検出手段として機能し、また被写体の顔の器官を検出する顔器官検出手段としても機能する。本実施形態においては、システム制御部116は、検出された顔の大きさが所定値以下の場合は、顔器官検出を禁止する。また、この所定値は第1合焦モードと第2合焦モードによって異なっている。
図3に示した第1実施形態におけるメインフローと比較し、第4実施形態では、ステップS17におけるフォーカスモードの判定とステップS21における顔器官検出の間に、ステップS18、S19における判定を追加し、また、ステップS23の判定を省略している点において相違し、これ以外の処理は同じである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図13に示すメインフローに入り、ライブビュー表示を行うと共に顔検出し、顔枠の表示を行う(S1〜S5)。レリーズ釦の半押し操作がなされると、最大顔についてAF枠を選択し(S13)、フォーカスモードを判定する(S17)。
ステップS17における判定の結果、シングルAFであった場合には、次に、顔の大きさが所定値1より大きいか否かを判定する(S18)。一方、フォーカスモードがコンティニュアスAFまたはトラッキングAFであった場合には、顔の大きさが所定値2より大きいか否かを判定する(S19)。ステップS18またはS19における判定の結果、顔の大きさが所定値1または所定値2よりも大きい場合には、顔器官検出を行い(S21)、目AF枠を選択し(S25)、コントラストAFを行う(S27)。
一方、ステップS18またはS19における判定の結果、顔の大きさが所定値1または所定値2よりも小さい場合には、顔器官検出および目AF枠を選択することなく、コントラストAFを行う(S27)。
このように、顔の大きさが画面内で、十分に大きい場合には、目検出AFを実行し(S18Yes、S19Yes、S21〜S27)、一方、顔の大きさが小さい場合には、目検出AFを実行することがない(S18No、S19No、S27)。したがって、顔の大きさが画面内で十分に大きい場合以外は、目検出AFが行われないので、追従性が損なわれることがない。
また、所定値2>所定値1の関係を保つようにしておくことで、フォーカスモードに応じて目検出AFの優先度を調整することができる。すなわち、所定値2>所定値1の関係を保つことにより、コンティニュアスAF等に比較し、シングルAFの方が目検出AFを場合が多くすることができる。所定値1および所定値2の値を適宜、決めることにより、目検出AFの優先度を変えられる。
所定値を十分に大きくとり、例えば、顔の大きさが画面の1/3以上になるようにすると、このような撮影状況では被写体移動量が少ない場合が多くなり、顔器官検出のために多少の追従遅れが生じたとしても、実用上問題がない。
ステップS27においてコントラストAFを行うと、第1実施形態と同様に、ステップS29以下を実行する。
以上、説明したように、本発明の第4実施形態においては、被写体の顔の大きさを検出する顔大きさ検出手段と、被写体の顔の器官を検出する顔器官検出手段を具備し、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード(コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモード)と、被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード(シングルAFモード)と、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モード(目検出AF)の3つの合焦モードを有し、検出された顔の大きさが所定値以下の場合は、顔器官検出を禁止するようにしている。このため、顔の大きさが小さい場合には目検出AFを禁止し、顔の大きさが大きい場合のみ目検出AFを許可するので、被写体に対して連続的にピント合わせや追尾AFを行う場合であっても、性能が劣化しない。
また、本実施形態においては、所定値は第1合焦モードと第2合焦モードによって異ならせている。このため、目検出AFの優先度を第1合焦モードと第2合焦モードで異ならせることができる。特に、第1合焦モードの場合には、目検出AFを繰り返すと追従性が悪くなるが、顔が大きい場合にはその影響が少ない。このため、所定値を適宜、設定することにより、第1合焦モードにおいても、目検出AFを行うことが可能となる。
なお、本実施形態おいては、ステップS17における判定の結果、シングルAFであった場合にも顔の大きさの判定を行っていたが、これを省略して、シングルAFの場合には目検出AFを常に実行するようにしても構わない。シングルAFは、レリーズ釦の半押し操作がなされた場合に1回のみAFを実行することから、器官検出による遅延は無視できるからである。
次に、本発明の第5実施形態について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。本発明の第1実施形態においては、フォーカスモードとして、コンティニュアスAFやトラッキングAFのように被写体に繰り返しピントを合わせる合焦モードが選択された場合には、目検出AFを禁止していた。これに対して、第5実施形態においては、被写体の動き量を検出し、動き量の変化が大きい場合には、目検出AFを禁止するようにしている。
本実施形態における構成は、第1実施形態に係わる図1に示すブロック図と同様である。システム制御部116は、第1実施形態の場合と同様、AF処理部113、レンズ制御部102、および画像処理部111等と協働して、第1合焦モード実行手段、第2合焦モード実行手段、第3合焦モード実行手段としても機能する。また、画像処理部111およびシステム制御部116は、被写体の動き量を検出する動き量検出手段として機能する。具体的には、画像処理部111によって検出された顔に基づいて、顔枠の移動量の変化および顔枠サイズの変化を算出する。本実施形態においては、システム制御部116は、検出された動き量が所定値以上の場合は、第2合焦モードの動作を禁止する。また、この所定値は第1合焦モードと第3合焦モードによって異なっている。
図13に示した第4実施形態におけるメインフローと比較し、第5実施形態では、ステップS5における顔枠表示の後に、ステップS7〜S9を追加して実行し、また、ステップS13における最大顔AF枠の選択の後に、ステップS15、S16の判定を追加して実行する点において相違し、これ以外の処理は同じである。そこで、この相違点を中心に説明する。
図14に示すメインフローに入り、ライブビュー表示を行うと共に顔検出し、顔枠の表示を行う(S1〜S5)。顔枠の表示を行うと、次に、ステップS13と同様に、最大顔AF枠の選択を行う(S7)。ここでは、ステップS3における顔検出において検出された顔の中から、最大の顔を選択する。
最大顔AF枠の選択を行うと、次に、顔枠移動量Δmの検出を行う(S8)。顔枠の移動量は、顔枠の中心座標の変化量の絶対値(Δm)を所定回数積算し、すなわち、ΔM=Σ|Δm|を算出する。この算出値をX、Y方向の動き量の評価値(ΔM)とする。ここで、X、Y方向は、撮影レンズ101の光軸方向と垂直な面内において、それぞれ直交する方向である。
顔枠移動量を検出すると、次に、顔枠サイズ変化量Δsの検出をする(S9)。顔枠サイズの変化量(Δs)の絶対値を所定回数積算し、すなわち、ΔS=Σ|Δs|を算出する。この算出値をZ方向の動き量の評価値とする。ここで、Z方向は、撮影レンズ101の光軸方向である。
顔枠サイズ変化量Δsの検出及び積算値ΔSの算出を行うと、次に、レリーズ釦の半押し操作がなされたか否かを判定し、半押し操作がなされた場合には、最大顔についてAF枠を選択する(S13)。
最大顔AF枠の選択を行うと、次に、顔枠移動量の積算値ΔMが所定値より大きいか否かの判定を行う(S15)。ここでは、ステップS8において算出した積算値ΔMと所定値との比較に基づいて判定する。この判定の結果、積算値ΔMが所定値より大きい場合には、次に、顔枠サイズ変化量の積算値ΔSが所定値より大きいか否かの判定を御子の合う(S16)。ここでは、ステップS9において算出した積算値ΔSと所定値との比較に基づいて判定する。
ステップS16における判定の結果、積算値ΔSが所定値よりも小さい場合には、フォーカスモードの判定を行う(S17)。ステップS17以下は、図13に示した第4実施形態のフローと同様であることから、詳しい説明を省略するが、フォーカスモードと顔の大きさに応じて、目検出AFの許可または禁止がなされる。
一方、ステップS15における判定の結果、積算値ΔMが所定値より大きかった場合、または積算値ΔSが所定値より大きかった場合には、コントラスAFがなされる(S27)。ここでは、直近のステップS13において選択された最大顔AF枠の画像データに基づいて、コントラストAFがなされる。
ステップS8およびS9において、被写体の動き量に関連する顔枠移動量と顔枠サイズ変化量を算出し、この算出結果に基づいて、ステップS15およびS16において、目検出AFを行うか否かの判定を行っている。
以上、説明したように、本発明の第5実施形態においては、被写体の動き量を検出する動き量検出手段を具備し、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード(コンティニュアスAFモードやトラッキングAFモードが対応)と、被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード(シングルAFモードが対応)と、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モードの3つの合焦モードを有し、検出された動き量が所定値以上の場合は、第3合焦モードの動作を禁止している。すなわち、被写体の動き量が所定値以上の場合には(図14のS15またはS16における判定の結果、所定値以上)、目検出AF(S21、S25)が禁止されている。このため、被写体に対して連続的にピント合わせや追尾AFを行う場合であっても、性能が劣化しない。
また、本実施形態においては、被写体の動き量として、X,Y,Z方向について、検知している。このため、被写体の動きに応じた動き量を評価することができる。ステップS15およびS16における所定値は、それぞれの方向に応じた適切な値とすればよい。
なお、本実施形態においては、ステップS18、S19において顔の大きさについて判定しているが、第1実施形態と同様、コンティニュアスAF等の場合には、目検出AFを禁止し、シングルAFの場合には目検出AFを許可する等、他の実施形態と組み合わせてもよい。また、被写体の動き量として、顔枠移動量ΔMと顔枠サイズ変化量ΔSの両方を求めていたが、被写体の動き量の検出として十分であれば、いずれか一方のみでも構わない。また、被写体の動き量としては、動きベクトルの検出等、他の方法であっても構わない。
以上説明したように、本発明の各実施形態や変形例においては、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モード、被写体に1度だけピントを合わせる第2合焦モード、目に自動的にピントを合わせる第3合焦モードを設定可能な撮像装置において、設定されているモードに応じて、他のモードを許可または禁止している。このため、被写体に対して連続的にピント合わせや追尾AFを行う場合であっても、性能が劣化することがない。すなわち、目検出AFは、被写体の目にピントを合わせることができることから、撮影者の意図する被写体に対して自然な感じのピント合わせを行うことができる。しかし、目検出AFを行うための顔器官検出に時間がかかってしまい、追従性が悪くなってしまう。本発明の各実施形態や変形例においては、目検出AFを行うタイミングを合焦モードに応じて許可または禁止し、追従性が悪くなることを防止できる。
なお、本発明の各実施形態や変形例において、被写体に繰り返しピントを合わせる第1合焦モードとして、コンティニュアスAFとトラッキングAFをあげたが、これに限らず、被写体に繰り返しピントを合わせる合焦モードであれば、第1合焦モードとすることができる。また、被写体に対して1度だけピントを合わせる第2合焦モードは、レリーズ釦の半押し操作、または全押し操作に応答するとしたが、レリーズ釦以外にも他の操作スイッチであってもよい。
また、本発明の各実施形態や変形例においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。