JP5462711B2 - 組電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、組電池モジュールに関するものである。
従来、多様な負荷電圧や負荷容量に対して共通した電池で対応するために、電池を直列接続や並列接続、またはそれらを組み合わせた接続をし、組電池を構成することが多い。組電池構成方法としては、複数の電池をテープで固定したり、熱収縮チューブで固定したり、ハードケースに収納する方法が一般的である。しかし、これらの一般的な組電池構成方法では、電池自体の発熱による熱が放出せず蓄積し、電池が高温となるため、短寿命になってしまう。特に近年は、急速充電や高率放電にて使用される用途が増大し、電池温度が高温になりやすく、一層寿命を縮める原因となっている。
特に、扁平形電池の長側面同士を接するように組電池を構成した場合は、放熱経路がタブリード以外にほとんどない。そのため、両長側面が電池に接する、中央部に位置する電池の温度が非常に高くなり、他に位置する電池よりも早期に寿命に至り、組電池としての寿命が短くなってしまう。
組電池を常温以上の環境下で使用する場合には、電池温度を下げるための対策として、(1)単電池間に隙間を開け、そこに冷却風を流して冷却する空冷方式が提案されている。また、(2)単電池間に冷却液を循環させる水冷方式が提案されている。さらに、低温から高温まで温度変化の激しい環境下で使用する場合には、(3)各扁平形電池の側面上部にヒータを、同じ側面の下部に熱伝導シートを設け、低温時はヒータで電池を加熱し、高温時は熱伝導シートを介して搭載パネルに放熱する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平2−128368号公報
しかしながら、(1)の空冷方式や(2)の水冷方式では、単電池間に冷却風や冷却液を循環させるための隙間が必要になり、その分組電池モジュールが大きくなってしまう。また、これらの方式の組電池モジュールを、電気自動車や航空機などの常に大きな衝撃が加わる移動体に使用した場合、単電池間に隙間を設けているために耐振設計が複雑になってしまい、十分な耐振構造を得ることが難しい。
また、低温から高温まで広い温度環境下で使用すべく提案された、(3)の方法では、蓄電池間合せ面の上部にシート状ヒータが配置され、側面および下面に高熱伝導シートが配置され、これらは接触していないため(特許文献1中図3参照)、低温時に蓄電池全体を加熱するには時間を要し、また、シート状ヒータは積層した蓄電池間に夫々配置されているためコストがかかる、と言った問題がある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広い環境温度範囲において電池を適切な温度に保つことにより、電池の性能低下や短寿命化を防ぐことができる組電池モジュールを提供することである。
前述した目的を達成するために、本発明は、長側面同士が対向するように積層して配置された複数の扁平形の単電池と、一の単電池の一方の長側面に沿って配置された熱伝導性プレートと、前記一の単電池の他方の長側面に沿って配置されたヒータを具備し、前記熱伝導性プレートと前記ヒータとが前記単電池を挟んで交互に積層して配置されていることを特徴とする組電池モジュールである。
このような構成とし、単電池の一方の長側面に熱伝導性プレート、他方の長側面にヒータを夫々交互に配置することで、各単電池間に熱伝導性プレート、及びヒータを配置せずに単電池の加熱、冷却をすることが可能であると共に、熱伝導性プレートでの放熱と、ヒータによる加熱を行うことで、0℃以下の低温環境から常温以上の高温環境まで、広い環境温度範囲において電池を適切な温度に保つことができる。
熱伝導性プレートは、カーボンプレート、金属製プレート、カーボン粉末、又は金属粉末或いはダイヤモンド粉末を樹脂やゴムで固めた緩衝プレート等とする。これらは十分な熱伝導性を有し、このような目的に適している。特に、カーボンプレートは比重が小さいため、更なる軽量化が可能となる。
熱伝導性プレートとしてカーボンプレートを用いる場合、少なくとも平面の一の方向の熱伝導率より、厚み方向の熱伝導率が低いものとするのが好ましい。カーボンプレートは、結晶の配列方向により熱伝導率が異なるため、厚み方向に結晶を積層させることにより、厚み方向の熱伝導率を平面方向と比較して極めて低くできる。このようなカーボンプレートを使用することで、隣接する単電池に伝導する熱を少なくし、効率的に放熱することができる。
また、熱伝導性プレートとしてカーボンプレートを用いる場合、カーボンプレートの表面には、必要に応じて金属箔が貼り合わされる。カーボンプレートの表面に、アルミ箔や銅箔などの熱伝導性の高い金属箔を貼り合わせることにより、軽量であるというカーボンプレートの良好な特性を生かしつつ、振動や衝撃に対する脆さを補い、機械的耐久性を高めることができる。
熱伝導性プレートは、単電池の短側面から突出するように配置することが望ましい。熱伝導性プレートを突出させることで、熱伝導性プレート自体から空気中へ熱を放出させることができるため、従来のヒートシンクなどを用いる組電池と比較して、軽量化やコストダウンが可能となる。また、熱伝導性プレートの突出した部分に空気を流すことで、放熱性能を増大させることができる。
ヒータは、フィルムヒータとすることが望ましい。フィルムヒータを用いることにより、組電池の厚みを薄くすることができる。また、第1の発明の組電池モジュールは、単電池の電池温度を検出する温度センサを更に具備し、ヒータは、温度センサで検出した電池温度により加熱または加熱停止される。これにより、単電池の温度に応じた電池温度の制御を行う。
本発明によれば、単電池の一方の長側面に熱伝導性プレート、他方の長側面にヒータを夫々交互に配置することで、各単電池間に熱伝導性プレート、及びヒータを配置せずに単電池の加熱、冷却をすることが可能であると共に、広い環境温度範囲において電池を適切な温度に保つことにより、電池の性能低下や短寿命化を防ぐことができる組電池モジュールを提供できる。
組電池モジュール1の斜視図 組電池モジュール1の垂直断面図 組電池モジュール1の組立図 フィルムヒータ5の連結状態を示す図 組電池モジュール1aの側面図
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、組電池モジュール1の斜視図を示す。図2は、組電池モジュール1の垂直断面図を示す。図2は、カーボンプレート7やフィルムヒータ5等を横断するように組電池モジュール1を垂直方向に切断した断面図である。図3は、組電池モジュール1の組立図を示す。
図1から図3に示すように、組電池モジュール1は、複数の扁平形の単電池3(3−1、3−2、3−3、…、3−(n−2)、3−(n−1)、3−n)、熱伝導性プレートであるカーボンプレート7、ヒータであるフィルムヒータ5、低硬度熱伝導性シート17、押さえ板11、押さえ板13、固定ネジ15等からなる。
単電池3(3−1、3−2、3−3、…、3−(n−2)、3−(n−1)、3−n)は、隣り合う単電池3の長側面21同士が対向するように積層して配置される。単電池3は、端面19に端子9aおよび端子9bを有する。端子9a、端子9bは、一方が正極端子、他方が負極端子である。複数の単電池3は、端子9aおよび端子9bが組電池モジュール1の同じ側に位置するように配置される。
カーボンプレート7は、単電池3の一方の長側面21に沿って配置される。フィルムヒータ5は、単電池3の他方の長側面21に沿って配置される。図2に示すように、組電池モジュール1では、カーボンプレート7、単電池3−1、フィルムヒータ5、単電池3−2、カーボンプレート7、単電池3−3…というように、カーボンプレート7とフィルムヒータ5とが、単電池3を挟み込むように隣接する単電池3同士の間等で交互に積層して配置される。
そして、前記カーボンプレート7とフィルムヒータ5を単電池3を挟んで交互に積層して配置することによって、各単電池間にカーボンプレート7、フィルムヒータ5を配置する必要がなく、組電池の組立も容易となり、更に、低コストでの組電池の作製が可能である。
カーボンプレート7は、厚み方向に結晶を積層させたものとすることで、カーボンプレート7の幅方向(例えば図1や図3の縦方向で示す高さ方向)の熱伝導率を高く(例えば200〜500Wh/cm程度)、厚み方向の熱伝導率を当該幅方向と比較して極めて低く(例えば10Wh/cm程度以下)することが望ましい。カーボンプレート7は、突出部35が単電池3の短側面である上面23から突出するように配置される。
なお、本願では熱伝導性プレートであるカーボンプレート7を上面23から突出するように配置した例を示したが、突出させる部分は上面23に限らず、左右の短側面も含め突出させても良く、突出部分の面積を増大させることで単電池の放熱性能をさらに高めることが可能である。
低硬度熱伝導性シート17は、カーボンプレート7の両面に配置される。低硬度熱伝導性シート17は、両面粘着性である。低硬度熱伝導性シート17をカーボンプレート7と単電池3等との間に配することにより、それぞれが密着するように固定される。
押さえ板11は、組電池モジュール1の両端に1枚ずつ、単電池3の長側面21に沿って配置される。押さえ板13は、2枚の押さえ板11同士を連結するように、単電池3の端面19に沿って配置される。押さえ板11は、ネジ穴25を有する。押さえ板13は、押さえ板11のネジ穴25と重なる位置にネジ穴27を有する。押さえ板11と押さえ板13とは、重ねたネジ穴25とネジ穴27とに固定ネジ15をねじ込むことにより一体化される。一体化された押さえ板11および押さえ板13は、単電池3、カーボンプレート7、フィルムヒータ5等を固定して保持する。
図4は、フィルムヒータ5の連結状態を、平面において模式的に示す図である。図4では、低硬度熱伝導性シート17の図示は省略している。図4に示すように、複数のフィルムヒータ5は、ヒータ電源ケーブル29により直列に連結される。複数のフィルムヒータ5は、ヒータ電源ケーブル29を介してヒータコントローラ33に接続され、ヒータコントローラ33等を介して不図示の電源からの電力供給を受ける。当該電源には電池や商用電源等を用いることができる。また、ヒータコントローラ33には、中央付近の単電池3の表面に配置された温度センサ31が接続される。
次に、組電池モジュール1の動作について説明する。組電池モジュール1では、図4に示す温度センサ31が、中央付近の単電池3の温度を検出する。組電池モジュール1では、電池温度が0℃以下になると、ヒータコントローラ33によりフィルムヒータ5を加熱する。一方、電池温度が0℃以上になると、ヒータコントローラ33によるフィルムヒータ5の加熱は停止される。なお、フィルムヒータ5の加熱により電池温度が上昇し、0℃を超えてフィルムヒータ5の加熱を停止した場合でも、電池自体が発熱し電池温度が上昇するため、再度0℃以下となり加熱と加熱停止を繰り返すなどのチャタリングが起こることはない。
また、単電池3の熱はカーボンプレート7に伝わり、カーボンプレート7の突出部35から空気中へ放出される。このとき、不図示の送風機構等を用いて、カーボンプレート7の突出部35の周囲に空気を流すことで、放熱性能をさらに増大させることができる。
このように、本実施の形態では、扁平形の単電池3の一方の長側面21に沿って熱伝導プレートであるカーボンプレート7を、他方の長側面21に沿ってヒータであるフィルムヒータ5を配置し、組電池モジュール1をカーボンプレート7、単電池3、フィルムヒータ5の順で配置して構成する。そして、電池温度が0℃以下の時にフィルムヒータ5を加熱するようにコントロールする。組電池モジュール1では、0℃以下ではフィルムヒータ5で単電池3を加熱し、0℃以上では加熱を停止する。また、組電池モジュール1では、単電池3からカーボンプレート7を介して空気中に熱が放出される。これにより、各単電池間に熱伝導性プレート、及びヒータを配置せずに単電池3の加熱、冷却をすることが可能であると共に、0℃以下の低温環境から常温以上の高温環境まで、広い環境温度範囲において単電池3を適切な温度に保ち、単電池3の性能低下や短寿命化を防ぐことができる。
組電池モジュール1では、カーボンプレート7を低硬度熱伝導性シート17と併用して扁平形の単電池3の間等に配することにより、単電池3の表面のわずかな凹凸による熱抵抗が小さくなり、放熱性が向上する。また、両面粘着性の低硬度熱伝導性シート17を使用することで、カーボンプレート7と単電池3等との密着性が向上し、耐振性が向上する。低硬度熱伝導性シート17のかわりに熱伝導性接着剤を用いた場合にも、同様の効果が得られる。
組電池モジュール1では、厚み方向に結晶を積層させたものとすることで、カーボンプレート7の幅方向の熱伝導率を高く、当該幅方向と比較して厚み方向の熱伝導率を低くする。このように、少なくとも平面の一の方向の熱伝導率より、厚み方向の熱伝導率を低くすることにより、隣接する単電池3に伝導する熱を少なくし、効率的に放熱することができる。
組電池モジュール1では、熱伝導性プレートとして、比重が小さいカーボンプレート7を用い、ヒータとして組電池モジュールの厚みを小さくすることができるフィルムヒータ5を用いる。これにより、軽量化および小型化が可能となる。
組電池モジュール1では、熱伝導性プレートであるカーボンプレート7を単電池3の上面23から突出させることで、カーボンプレート7自体から空気中へ熱を放出させる。そのため、熱伝導性プレートをヒートシンク等に密着させてヒートシンク等から熱を空気中へ放出させる方法に比べ、軽量化やコストダウンが可能となる。
なお、カーボンプレート7には、表面にアルミ箔や銅箔などの熱伝導性の高い金属箔(図示せず)を貼り合わせてもよい。これにより、カーボンプレート7の耐振動性や耐衝撃性を向上させ、軽量であるというカーボンプレート7の良好な特性を損なうことなく、より高い機械的耐久性を得ることができる。
本実施の形態の組電池モジュール1では、熱伝導性プレートとしてカーボンプレート7を用いたが、熱伝導性プレートは、十分な熱伝導率を有し、扁平形の単電池3で発生した熱を放熱するために熱を伝えることができる材質のものであればよい。例えば、金属(アルミニウム、銅、ステンレス、スチール、鉄−ニッケルメッキ、マグネシウム)や、カーボン粉末、又は金属粉末或いはダイヤモンド粉末を樹脂やゴムで固めた緩衝プレート、合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロプレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド系樹脂等の高融点樹脂)、熱伝導プラスチック、シリコンゴムシート、エチレンプロピレンゴムシート(EPT)、ブチルゴムシート等を用いることが可能である。一方で、本実施の形態のようにカーボンプレート7を用いることは、比重が小さく組電池モジュール1の更なる軽量化を可能にするとともに、結晶の配列方向により熱伝導率を異なるものとし、隣接する単電池3を加熱せず効率的に放熱できるという利点がある。
また、組電池モジュール1では、ヒータとしてフィルムヒータ5を用いたが、ヒータは扁平形の単電池3を加熱できるものであればよい。但し、組電池を大型化させないためには、フィルムヒータを用いることが好ましい。
さらに、組電池モジュール1では、熱伝導性プレートであるカーボンプレート7を低硬度熱伝導性シート17で挟みこんだが、低硬度熱伝導性シート17は必須の構成部材ではない。低硬度熱伝導性シート17は、必要に応じて設置される。
本実施の形態の組電池モジュール1では、カーボンプレート7を単電池3の上面23から突出させたが、突出部35を設けず、単電池3の上面23と面一としてもよいし、ヒートシンクなどの放熱板を単電池3の間に配置して放熱手段を採っても良い。
図5は、本実施の形態の組電池モジュール1に放熱板を設けた組電池モジュール1aの側面図を示す。図5に示すように、組電池モジュール1aでは、カーボンプレート7aの突出部35aの端部37付近がL字状に折り曲げられ、突出部35aの上部にヒートシンク39が設置される。これにより、単電池3で発生した熱の放出をさらに促進させることができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a………組電池モジュール
3………単電池
5………フィルムヒータ
7、7a………カーボンプレート
17………低硬度熱伝導性シート
21………長側面
23………上面
29………ヒータ電源ケーブル
31………温度センサ
33………ヒータコントローラ
35、35a………突出部

Claims (8)

  1. 長側面同士が対向するように積層して配置された複数の扁平形の単電池と、
    一の単電池の一方の長側面に沿って配置された熱伝導性プレートと、
    前記一の単電池の他方の長側面に沿って配置されたヒータと、
    を具備し、前記熱伝導性プレートと前記ヒータとが前記単電池を挟んで交互に積層して配置されていることを特徴とする組電池モジュール
  2. 前記熱伝導性プレートが、カーボンプレートであることを特徴とする請求項1記載の組電池モジュール。
  3. 前記熱伝導性プレートが、金属製プレートであることを特徴とする請求項1記載の組電池モジュール。
  4. 前記カーボンプレートは、少なくとも平面の一の方向の熱伝導率より、厚み方向の熱伝導率が低いことを特徴とする請求項2記載の組電池モジュール。
  5. 前記カーボンプレートの表面に金属箔が貼り合わされたことを特徴とする請求項2記載の組電池モジュール。
  6. 前記熱伝導性プレートが、前記単電池の短側面から突出するように配置されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の組電池モジュール。
  7. 前記ヒータが、フィルムヒータであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の組電池モジュール。
  8. 前記単電池の電池温度を検出する温度センサを更に具備し、
    前記ヒータが、前記温度センサで検出した電池温度により加熱または加熱停止されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の組電池モジュール。
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