JP5461679B1 - 船舶用電気推進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータや可変ピッチプロペラなどを使用することなく、エネルギー効率が高くコンパクトな船舶用電気推進装置を提供する。
【解決手段】電気推進装置10は、ディーゼルエンジン33と、これの回転速度を第1設定速度から第2設定速度までの間で制御する機関制御盤35と、発電機37と、電動機39と、電動機39の回転速度を第1減速ギヤR1又は第2減速ギヤR2のいずれかに切換可能な減速機41と、減速機41の出力軸に連結された固定ピッチプロペラ31とを備える。減速機41には、その減速比を切り換えるクラッチ機構44が設けられている。減速機が第1減速ギヤR1の状態でエンジン33の回転速度を第1設定速度から第2設定速度まで変速し、その後、減速機を第2減速ギヤR2に切り換えた後に、エンジン33の回転速度を第1設定速度から第2設定速度まで変速させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電機によって発電された電力で電動機を回転させ、その電動機による電気駆動力によって船舶の固定ピッチプロペラを回転させる船舶用電気推進装置に関する。
船舶に備えられたプロペラを駆動させて船舶を推進させる推進装置として、内燃機関の出力軸から回転駆動力を得て上記プロペラを回転させる直結式推進装置と、内燃機関に連結された発電機の電力によって駆動する電動機の回転駆動力を得て上記プロペラを回転させる電気推進装置とが知られている。前者の直結式推進装置は、内燃機関から得られた回転駆動力を減速機を介して上記プロペラに伝達するものである。この直結式推進装置では、船舶の操舵室から送られてくるエンジンテレグラフ信号に応じた船速となるように上記内燃機関のガバナが制御される。これにより、上記内燃機関が上記操舵室から指示された船速に応じた回転速度に変速される。また、後者の電気推進装置では、特許文献1に記載のように、発電機が発電した一定の電圧及びその周波数を制御するインバータを備えており、上記電動機に入力される電圧及びその周波数が操舵室からのエンジンテレグラフ信号に応じた船速となるように上記インバータによって変更される。これにより、上記電動機が上記操舵室から指示された船速に応じた回転速度に変速される。近年、環境負荷の低減、貨物スペースの増加、船内作業量の低減、航行の安全性向上などの利点を有することに加え、エネルギー効率が徐々に改善されつつあることから、上記電気推進装置への関心が高まってきている。
特開2010−089550号公報
ところで、上述した従来の電気推進装置は、固定ピッチプロペラが採用されている。この固定ピッチプロペラを回転させる電動機を可変速制御するために、四象限運転(正転力行、正転制動、逆転力行、逆転制動)が可能なインバータが必要であり、また、高度な高調波抑制対策が必要である。このようなインバータは、市場における流通量が少ないため、汎用品として取り扱われておらず、特別注文に応じてメーカーが随時製造する所謂特注品であり、極めて高価である。そのため、上記インバータを用いて電動機を可変速制御する可変速システムが高価となり、電気推進装置の需要拡大を阻害する大きな要因となっている。また、上記可変速システムは、約4〜6%の変換ロスを伴う。船舶の電気推進装置において約4〜6%のエネルギー損失は極めて大きく、省エネルギーの観点から上記エネルギーが熱として無駄に消費されることは問題である。また、発生した熱量に応じた規模の排熱設備が必要であるため、排熱設備の増強が必要になるという問題もある。
また、従来の電気推進装置として、インバータに代えて可変ピッチプロペラが採用された一定速方式の電気推進装置が公知である。この一定速方式の電気推進装置は、電動機の回転駆動力を変化させずに直接プロペラに伝達する方式が採用されている。上記一定速方式の電気推進装置は、可変ピッチプロペラの翼角(ピッチ角)を変えることにより船速を増減するものであるが、可変ピッチプロペラは固定ピッチプロペラに比べて高価であり、しかも、翼角を動かす変節機構を有するため、メンテナンスの際の作業時間とメンテナンス費用が多大である。しかも、流木などの漂流物との接触によって変節機構が損傷した場合の修理にも多大な作業時間及び修理費用が必要になるという問題もある。また、上記可変ピッチプロペラのプロペラ軸には、上記変節機構を収容するためのプロペラボスが設けられている。プロベラボスは、上記プロペラ軸に比べて大きいため、上記可変ピッチプロペラは、上記固定ピッチプロペラに比べてプロペラの推進効率が低下し、インバータを使用しないとはいえ、エネルギーロスが増加するという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インバータを用いた可変速システムや、可変ピッチプロペラなどを使用することなく、エネルギー効率が高くコンパクトな船舶用電気推進装置を提供することにある。
(1) 本発明は、船舶の固定ピッチプロペラを電気駆動力によって回転させる船舶用電気推進装置として構成されている。この船舶用電気推進装置は、回転速度制御手段と、発電機と、電動機と、減速機と、を具備している。上記回転速度制御手段は、船舶が備える内燃機関の回転速度を予め定められた第1設定速度から第2設定速度の範囲内で制御する。上記発電機は、上記内燃機関の回転駆動力を得て上記第1設定速度から上記第2設定速度までの速度範囲に応じた周波数帯域の交流電力を発電する。上記電動機は、上記発電機が発電した交流電力によって回転駆動する。上記減速機は、出力軸に上記固定ピッチプロペラが連結され、上記電動機の回転速度を少なくとも2つの変速比に基づいて変速する。
これにより、電気推進装置において、変換ロスが増加する可変速システム(インバータを用いて電動機を可変速するシステム)を用いることなく、また、プロペラ効率が低下する可変ピッチプロペラを用いることなく、固定ピッチプロペラを要求される回転速度となるように回転駆動させることができる。つまり、エネルギー効率が高くてコンパクトな電気推進装置を実現することができる。
(2) 上記第1設定速度及び上記第2設定速度は、上記発電機で発電される交流電力の周波数が、上記発電機から上記電動機までの電力供給経路に設けられる電気機器で使用可能な電源周波数の許容範囲内となるように設定されている。
(3) 本発明の船舶用電気推進装置は、上記電動機の極数を予め定められた2以上の設定極数に切り換える極数切換手段を更に備える。
(4) 本発明の船舶用電気推進装置は、上記減速機の変速比を予め定められた第1減速比、又は該第1減速比よりも小さい第2減速比のいずれかに切り換える減速比切換手段を更に備える。この構成において、上記極数切換手段は、予め定められた第1設定極数、又は該第1設定極数よりも極数が少ない第2設定極数のいずれかに切り換えるものである。また、上記回転速度制御手段は、上記減速比切換手段によって上記減速機が第1減速比に切り換えられ、上記極数切換手段によって上記電動機が上記第1設定極数に切り換えられた第1状態、上記減速比切換手段によって上記減速機が第2減速比に切り換えられ、上記極数切換手段によって上記電動機が上記第1設定極数に切り換えられた第2状態、上記減速比切換手段によって上記減速機が第1減速比に切り換えられ、上記極数切換手段によって上記電動機が上記第2設定極数に切り換えられた第3状態、及び上記減速比切換手段によって上記減速機が第2減速比に切り換えられ、上記極数切換手段によって上記電動機が上記第2設定極数に切り換えられた第4状態それぞれにおいて、上記内燃機関の回転速度を上記第1設定速度から上記第2設定速度の範囲内で制御するものである。
(5) また、本発明の船舶用電気推進装置は、入力された船速信号が示す船速に応じて、上記第1状態乃至上記第4状態となるように上記極数切換手段及び上記減速比切換手段それぞれの切換を制御する切換制御手段を更に備えている。
(6) また、本発明の船舶用電気推進装置は、上記減速機の変速比を予め定められた第1減速比、該第1減速比よりも小さい第2減速比、該第2減速比よりも小さい第3減速比、又は該第3減速比よりも小さい第4減速比のいずれかに切り換える減速比切換手段を更に備える。この構成において、上記回転速度制御手段は、上記減速比切換手段によって上記減速機が第1減速比に切り換えられた第1状態、上記減速比切換手段によって上記減速機が第2減速比に切り換えられた第2状態、上記減速比切換手段によって上記減速機が第3減速比に切り換えられた第3状態、及び上記減速比切換手段によって上記減速機が第4減速比に切り換えられた第4状態それぞれにおいて、上記内燃機関の回転速度を上記第1設定速度から上記第2設定速度の範囲内で制御するものである。
また、本発明の船舶用電気推進装置は、入力された船速信号が示す船速に応じて、上記第1状態乃至上記第4状態となるように上記減速比切換手段の切換を制御する切換制御手段を更に備えている。
(7) 上記減速機は、上記電動機の回転速度を予め定められた第1減速比で減速して上記出力軸に伝達する第1伝達部、及び上記電動機の回転速度を上記第1減速比よりも小さい第2減速比で減速して上記出力軸に伝達する第2伝達部を有する。この場合、本発明の船舶用電気推進装置は、上記第1伝達部及び上記第2伝達部それぞれに連結され、上記減速機の変速比を上記第1減速比又は上記第2減速比のいずれかに切り換えるクラッチ機構からなる減速比切換手段と、上記固定ピッチプロペラが所定回転速度未満の場合に、上記回転速度制御手段によって上記内燃機関の回転速度が上記第1設定速度となるように制御された状態で、上記第1伝達部に連結された上記クラッチ機構における動力伝達力を調整して上記クラッチ機構を滑らせた状態で動力を伝達させることにより上記固定ピッチプロペラの回転速度を制御するプロペラ回転制御手段と、を更に備える。
(8) この場合、上記回転速度制御手段は、上記固定ピッチプロペラが所定回転速度以上の場合に、上記減速比切換手段によって上記減速機が第1減速比に切り換えられた第1状態、及び上記減速比切換手段によって上記減速機が第2減速比に切り換えられた第2状態それぞれにおいて、上記内燃機関の回転速度を上記第1設定速度から上記第2設定速度の範囲内で制御するものである。
本発明によれば、エネルギー効率が高くコンパクトな船舶用電気推進装置を実現することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る電気推進装置10の概略構成を模式的に示す構成図である。 電気推進装置10が適用された一実施例である二機二軸の電気推進システム11の構成を示すシステム構成図である。 電気推進システム11におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。 (A)は本発明の第2実施形態に係る電気推進装置20が適用された二機二軸の電気推進システム21の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム21におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。 (A)は電気推進装置20及び電気推進システム21の変形例の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム21におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。 (A)は本発明の第3実施形態に係る電気推進装置80が適用された二機二軸の電気推進システム81の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム81におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。 電気推進装置80に適用されるクラッチ機構84の構成を模式的に示す模式図である。 電気推進システム81において行われるプロペラ回転制御の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態に係る電気推進装置10(本発明の船舶用電気推進装置の一例)は、船舶の推進機構である固定ピッチプロペラ31(本発明の固定ピッチプロペラの一例、以下「プロペラ31」と略称する。)を電駆動力によって回転させて船舶の推進力を発生させるものである。この電気推進装置10は、図1に示されるように、船舶が備えるディーゼルエンジン33(本発明の内燃機関の一例、以下「エンジン33」と略称する。)の回転速度を制御する機関制御盤35(本発明の回転速度制御手段、切換制御手段の一例)と、発電機37(本発明の発電機の一例)と、電動機39(本発明の電動機の一例)と、減速機41(本発明の減速機の一例)とを備えている。なお、本発明は様々なタイプの船舶に適用可能であり、例えば、コンテナ船やタンカーなどの貨物船、フェリーや客船などの旅客船、タグボートや海洋調査船などのような海上又は海中作業を行う特殊船、漁業に用いられる漁船、潜水船などの船舶に幅広く適用可能である。
エンジン33は、船舶において発電機37に回転駆動力を供給する駆動源として使用されるものであり、例えば、機関出力が数百kW〜数千kWの大型のディーゼルエンジンである。なお、本実施形態では、内燃機関の一例としてエンジン33を例示するが、これに限られず、エンジン33に代えてガスエンジンやガスタービンなどのように、回転駆動力を出力可能な内燃機関であれば様々なタイプの内燃機関が適用可能である。
機関制御盤35は、CPUやROM、RAM、ASICなどで構成された制御部を有している。機関制御盤35は、入力された指示信号に応じた回転速度となるように、エンジン33を制御するものである。具体的には、機関制御盤35は、エンジン33に設けられた電子ガバナの燃料ラック位置を変更して、実際の回転速度に応じて燃料噴射ポンプの噴射量を調整することにより、エンジン33の回転速度を制御する。上記指示信号としては、船舶の操舵室又は機関室に備えられたエンジンテレグラフ等から送られてくるテレグラフ信号(「DEAD SLOW」「SLOW」「HALF」「FULL」などの船速を示す信号)が考えられる。このテレグラフ信号は、本発明の船速信号に相当する。エンジン33には、その出力軸の回転速度を検知する速度センサーが設けられており、機関制御盤35は、速度センサーからのフィードバック信号が示す回転速度に基づいて、エンジン33の回転速度が上記指示信号に応じた回転速度となるように上記電子ガバナを制御する。上記速度センサーは、例えば発電機37の発電周波数から速度を検知するものでもよい。本実施形態では、機関制御盤35は、予め定められた第1設定速度N1(本発明の第1設定速度に相当)と予め定められた第2設定速度N2(本発明の第2設定速度に相当)との範囲内でエンジン33の回転速度を制御する。なお、エンジン33の回転速度の制御の詳細につては後述する。
また、機関制御盤35は、減速機41に設けられたクラッチ機構44の嵌入及び脱離の制御や、入力されたテレグラフ信号が示す船速に応じてクラッチ機構44の減速比を切り換える制御を行うものである。なお、クラッチ機構44の嵌入及び脱離の制御、減速比の切換制御、及びその動作につては後述する。
発電機37は、エンジン33から供給された回転駆動力を受けて回転し、その回転速度に応じた周波数の交流電力を発電するものである。発電機37は、具体的には、8極3相の同期発電機である。発電機37の入力軸は、エンジン33の出力軸に図示しないカップリング(軸継ぎ手)によって直接に連結されており、エンジン33の出力軸の回転駆動力がそのままダイレクトに発電機37に伝達される。本実施形態では、極数Pが8極の発電機37に対して、エンジン33の回転速度が600min−1(=第1設定速度N1)から900min−1(=第2設定速度N2)の範囲内となるように制御される。一般に、軸回転数Nと周波数fと極数Pとの間には、N=120f/P(min−1)の関係があるため、上記範囲内でエンジン33の回転速度が制御されることによって、発電機37は、周波数fが40Hzから60Hzの交流電力を発電する。なお、発電機37の極数Pやエンジン33の回転速度は、要求される電圧に応じて決定される要素であり、例えば、60Hz以上の周波数の電圧が必要な場合は、上記第1回転速度N1以上の回転速度でエンジン33を回転駆動させればよく、また、40Hz以下の周波数の電圧が必要な場合は、上記第2回転速度N2以下の回転速度でエンジン33を回転駆動させればよい。
電動機39は、発電機37が発電した3相交流電力によって回転駆動するものである。具体的には、電動機39は、6極のかご形の回転子を利用した所謂かご形三相誘導電動機である。電動機39は、発電機37が発電した40Hzから60Hzの交流電力が入力されると、入力された交流電力の周波数に応じた回転速度で回転駆動する。具体的には、電動機39の極数Pが6極なので、40Hzの交流電力が入力されると、上述の関係式N=120f/P(min−1)によると、電動機39は800min−1で回転駆動する。また、60Hzの交流電力が入力されると、電動機39は1200min−1で回転駆動する。つまり、電動機39は、800min−1から1200min−1の範囲内で回転駆動する。なお、上述の関係式N=120f/P(min−1)では、スリップ(すべり)が考慮されていないが、実際は、電動機39のスリップを考慮した回転速度となる。
減速機41は、電動機39の出力軸と図示しない伝達ギヤを介して連結されている。この減速機41は、電動機39の回転速度を少なくとも2つの変速比に基づいて変速するものである。具体的には、減速機41は、電動機39の回転速度に対する減速比T1が「9」(本発明の第1減速比に相当)に設定された第1減速ギヤR1と、電動機39の回転速度に対する減速比T2が上記減速比T1よりも小さい「6」に設定された第2減速ギヤR2とを有している。この減速機41は、後述のクラッチ機構44によって第1減速ギヤR1又は第2減速ギヤR2のいずれかに切換可能な構成となっている。なお、第1減速ギヤR1が電動機39に連結されている場合は、第1減速ギヤR1の減速比T1=9であるため、電動機39の回転速度が9分の1に減速される。また、第2減速ギヤR2が電動機39に連結されている場合は、第2減速ギヤR2の減速比T2=6であるため、電動機39の回転速度が6分の1に減速される。
減速機41には、本発明の減速比切換手段の一例であるクラッチ機構44が設けられている。クラッチ機構44は、減速機41が備える第1減速ギヤR1又は第2減速ギヤR2のいずれか一方に電動機39の上記伝達ギヤを連結するためのクラッチ(不図示)と、このクラッチを動作させるための駆動機構(不図示)とにより構成されている。上記駆動機構としては、油圧、圧縮空気圧、電動アクチュエータなどによって動作するものが考えられる。上記駆動機構が油圧又は圧縮空気で動作する機構の場合は、油圧又は圧縮空気の経路に適宜設けられた電磁弁が外部信号を受けて開閉することにより、油圧又は圧縮空気の圧力によって上記クラッチが動作するようになっている。また、上記駆動機構が電動アクチュエータで動作する機構の場合は、外部信号を受けて動作する上記電動アクチュエータによって上記クラッチが動作するようになっている。上記駆動機構を動作させるための上記外部信号は、本発明の切換制御手段である機関制御盤35が必要なタイミングで上記駆動機構に出力する。これにより、減速機41の減速比が切り換えられる。
減速機41の出力軸には、プロペラ31が連結されている。プロペラ31は、プロペラの翼角(ピッチ角)が固定されているものであり、翼角を可変にするための変節機構を備える可変ピッチプロペラに比べて安価であり、プロペラ効率がよく、保守も容易であるというメリットがある。
上述した構成の電気推進装置10においては、例えば、操舵室からテレグラフ信号として超微速を示す「DEAD SLOW」の信号が送られてきたときは、機関制御盤35は、表1に示される第1段制御を行う。具体的には、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第1減速ギヤR1と電動機39とを連結させた状態(つまり減速機41を第1減速比T1に切り換えた状態)で、エンジン33の回転速度を600min−1に制御する。これにより、プロペラ31の回転速度が「DEAD SLOW」に対応する回転速度、つまり、電動機39の回転速度800min−1が第1減速ギヤR1によって9分の1に減速された回転速度89min−1となる。ここで、表1は、電気推進装置10において、テレグラフ信号、制御状態、エンジン回転数、連結されている減速ギヤ、発電機周波数、電動機回転数、プロペラ回転数それぞれの対応関係を示すものである。
一方、「DEAD SLOW」から「FULL」まで増速させるテレグラフ信号が入力されると、機関制御盤35は、上記第1段制御において、第1減速ギヤR1が電動機39に連結された状態のままで、エンジン33の回転速度を600min−1から900min−1まで増速させる。これにより、プロペラ31の回転速度が、電動機39の回転速度1200min−1の9分の1の回転速度133min−1に増速される。更にプロペラ31の回転速度を増速するために、機関制御盤35は、上記第1段制御から表1に示される切換動作に移行する。この切換動作の段階では、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第1減速ギヤR1と電動機39とを切り離し、第2減速ギヤR2と電動機39とを連結させる(つまり減速機41を第2減速比T2に切り換える)。また、クラッチ機構44が電動機39から脱離している間に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度を600min−1まで減速する。これにより、エンジン33の回転速度が600min−1でありながら、プロペラ31の回転速度を133min−1にすることができる。
その後、機関制御盤35は、上記切換動作から表1に示される第2段制御に移行する。この第2段制御では、機関制御盤35は、第2減速ギヤR2が電動機39に連結された状態のままで、エンジン33の回転速度を600min−1から900min−1まで増速させる。これにより、電動機39の回転速度が800min−1から1200min−1に増速され、プロペラ31の回転速度が133min−1から「FULL」に対応する回転速度、つまり、電動機39の回転速度1200min−1が第2減速ギヤR2によって6分の1に減速された回転速度200min−1となる。なお、プロペラ31の回転速度を「FULL」から「DEAD SLOW」に減速させる場合は、上述の手順とは逆の手順で回転速度の制御及び減速機41の切換を行えばよい。
これにより、電気推進装置10において、変換ロスが増加する大型のインバータを用いなくても、また、プロペラ効率の低下する可変ピッチプロペラを用いなくても、要求される回転速度となるようにプロペラ31を回転駆動させることができる。その結果、エネルギー効率が高くてコンパクトな電気推進装置10を実現することができる。
次に、図2及び図3を参照して、電気推進装置10が適用された本発明の一実施例である電気推進システム11について説明する。図2に示されるように、電気推進システム11は、2つのプロペラを回転させて船舶を推進させる所謂二機二軸の推進機構であって、2つの電気推進装置10(10A,10B)が並列に配置されたものである。エンジン33としては、定格出力が600kWのものが採用されている。電気推進装置10A,10Bは、それぞれのエンジン33が操舵室からのテレグラフ信号に応じて機関制御盤35によって同じ回転速度となるように制御される。したがって、それぞれの発電機37からは、同じ周波数で同じ電圧の交流電力が発電される。そのため、電気推進システム11においては、各発電機37の出力側は、共通の電力母線63によってそれぞれの電動機39に接続されている。
電力母線63において、それぞれの発電機37の出力側には、電路を開閉するためのACB(Air Circuit
Breaker:低圧気中遮断器)53A,53Bが設けられている。また、それぞれの電動機39の入力側には、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)55A,55Bと、始動器盤56A,56Bとが直列に設けられている。また、電力母線63には、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)55Cを介して100kW程度の小容量のインバータ57が接続されている。このインバータ57は、発電機37で発電された40Hzから60Hzの交流電力を50Hz又は60Hzの一定の周波数の交流電力に変換して、船内で使用される照明機器や各種電動モータ、パーソナルコンピュータ、オーディオなどの船内負荷機器67に供給するものであり、船内負荷機器67を駆動させるための電源としての役割を担う。なお、インバータ57の出力側の電路には、小型のエンジン60と小型の発電機61からなる非常用発電装置で発電された交流電力が供給されるようになっている。
上述したように、電気推進装置10では、発電機37で発電される交流電力の周波数は40Hzから60Hzである。そのため、電気推進システム11において、電力母線63に設けられているACB53、MCCB55、始動器盤56などの電気機器は、周波数40Hzから60Hzの交流電力でも使用可能なものが採用されている。言い換えると、発電機37で発電される交流電力の周波数はエンジン33の回転速度で決定されることから、電気推進システム11において、エンジン33の回転速度の制御範囲として設定された第1設定速度N1及び第2設定速度N2は、電力母線63に設けられた上記電気機器で使用可能な電源周波数の許容範囲内となるように設定されている。
図3は、電気推進システム11におけるエンジン出力(kW)と、エンジン回転数(min−1)と、プロペラ回転数(min−1)との関係を示すグラフ図である。縦軸はエンジン出力及びプロペラ回転数であり、横軸はエンジン回転数である。なお、縦軸のエンジン出力は、2機のエンジン33(定格出力600kW)それぞれの出力を合算したものであり、最大出力は1200kWである。図3中の破線は、2つのプロペラ31のプロペラ軸に要求される軸馬力(DHP:Direct Horse Power)と、軸馬力に対する約10%の電気ロスと、船内消費電力との合算値を示す必要電力カーブであり、電気推進システム11が搭載される船舶に必要とされる電力を示している。また、図3中の実線はエンジン出力を示しており、点線はプロペラ回転数を示している。
本実施例の電気推進システム11が十分な出力によって船舶を推進させるためには、図3のグラフにおいて、エンジン出力(実線参照)が上記必要電力カーブ(破線参照)よりも上側となるように、電気推進システム11を構成する必要がある。図3から容易に理解できるように、本実施例の電気推進システム11においては、プロペラ回転数が高回転域72にあるときは、エンジン出力としておよそ100kWの余裕を確保している。これに対して、プロペラ回転数が低回転域71にあるときは、減速機41が第1減速比T1であるため、エンジン出力として200kWから600kWの余裕が確保されている。したがって、プロペラ回転数が低回転域71にあるときに急激な増速制御が行われて負荷が急激に増加しても、増速制御の応答性がよく、しかも、エンジン33の回転速度の低下も生じないため、回転速度の低下を起因とする黒煙の発生を防止することができる。
(第2実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る電気推進装置20、及びこの電気推進装置20が適用された電気推進システム21について説明する。ここで、図4(A)は電気推進システム21の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム21におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。なお、図4(A)では、機関制御盤35の図示が省略されている。
図4(A)に示されるように、電気推進装置20が上述の第1実施形態の電気推進装置10と異なるところは、電動機39に代えて、極数切換部47(本発明の極数切換手段の一例)が搭載された電動機46(本発明の電動機の一例)が設けられている点と、機関制御盤35によるエンジン33等に対する制御方式が異なっている点である。また、減速機41の第1減速ギヤR1の減速比T1が「7.06」(本発明の第1減速比に相当)に設定されている点も相違する。なお、その他の構成については、上述の第1実施形態の構成と共通するため、ここでは共通する構成に同じ番号の符号を付し示すことによりその構成の詳細な説明を省略する。
電動機46は、発電機37が発電した3相交流電力によって回転駆動するものであり、かご形の回転子を利用した所謂かご形三相誘導電動機である。電動機46は、所謂極変換電動機と称されるものであり、極数Pを変更することが可能な従来公知の電動機である。本実施形態では、電動機46の回転子の極数Pは、6極(本発明の第2設定極数に相当)と8極(本発明の第1設定極数に相当)のいずれかに切換可能となっている。極数Pの切換は、極数切換部47によって行われる。極数切換部47は、電動機46の極数を6極又は8極のいずれかに切り換えるものであり、具体的には、異なる極数を得るために一つの巻線の接続を切り換える機構や、極数の異なる複数の巻線が設けられている場合にその巻線の接続を切り換える機構などの周知の機構が考えられる。また、巻線の接続部分にスイッチング手段を設けておき、機関制御盤35からの制御信号によってスイッチング手段を動作させることにより行う機構も考えられる。なお、極数切換部47は、電動機46の外部に設けられたものでも、電動機46の内部に一体となって設けられたものであってもよい。
また、本実施形態では、上述の第1実施形態とは異なり、極数Pが8極の発電機37に対して、エンジン33の回転速度が750min−1(=第1設定速度N1)から900min−1(=第2設定速度N2)の範囲内となるように制御される。上記範囲内でエンジン33の回転速度が制御されることによって、発電機37は、周波数fが50Hzから60Hzの交流電力を発電する。
減速機41の第1減速ギヤR1の減速比T1=7.06であるため、第1減速ギヤR1が電動機46に連結されている場合は、電動機46の回転速度が約14.2%に減速される。なお、第2減速ギヤR2の減速比T2=6に変更はないため、第2減速ギヤR2が電動機46に連結されている場合は、電動機46の回転速度が6分の1(約16.7%)に減速される。
図4(A)に示されるように、電気推進装置20が適用された電気推進システム21は、2つのプロペラを回転させて船舶を推進させる所謂二機二軸の推進機構であって、2つの電気推進装置20(20A,20B)が並列に配置されたものである。電気推進システム21は、上述の電気推進システム11と同様に、エンジン33としては、定格出力が600kWのものが採用されている。また、電気推進装置20A,20Bは、それぞれのエンジン33が操舵室からのテレグラフ信号に応じて機関制御盤35によって同じ回転速度となるように制御される。
図4(B)及び表2に示されるように、上述した構成の電気推進装置20においては、例えば、操舵室からテレグラフ信号として超微速を示す「DEAD SLOW」の信号が送られてきたときは、機関制御盤35は、表2に示される第1段制御を行う。具体的には、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第1減速ギヤR1と電動機46とを連結させた状態(つまり減速機41を第1減速比T1に切り換えた状態)とし、更に、極数切換装置47を動作させて電動機46の極数Pを8極に切り換えた状態とする。このときの制御状態である第1段制御が本発明の第1状態に相当する。機関制御盤35は、この第1段制御においてエンジン33の回転速度を750min−1に制御する。これにより、プロペラ31の回転速度が「DEAD SLOW」に対応する回転速度、つまり、電動機46の回転速度750min−1が第1減速ギヤR1によって約14.2%に減速された回転速度106min−1となる。ここで、表2は、電気推進装置20において、テレグラフ信号、制御状態、エンジン回転数、連結されている減速ギヤ、発電機周波数、電動機回転数、プロペラ回転数それぞれの対応関係を示すものである。
一方、「DEAD SLOW」から「FULL」まで増速させるテレグラフ信号が入力されると、機関制御盤35は、上記第1段制御において、第1減速ギヤR1が電動機46に連結された状態のままで、エンジン33の回転速度を750min−1から900min−1まで増速させる。これにより、プロペラ31の回転速度が、電動機46の回転速度900min−1の約14.2%の回転速度128min−1に増速される(図4(B)参照)。
更にプロペラ31の回転速度を増速するために、機関制御盤35は、上記第1段制御から表2に示される切換動作に移行する。この切換動作の段階では、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第1減速ギヤR1と電動機46とを切り離し、第2減速ギヤR2と電動機46とを連結させる(つまり減速機41を第2減速比T2に切り換える)。また、クラッチ機構44が電動機46から脱離している間に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度を再び750min−1まで減速する。これにより、エンジン33の回転速度が750min−1でありながら、プロペラ31の回転速度を125min−1にすることができる。
その後、機関制御盤35は、上記切換動作から表2に示される第2段制御に移行する。この第2段制御では、機関制御盤35は、第2減速ギヤR2が電動機46に連結された状態、且つ、電動機46の極数Pが8極に切り換えた状態のままで、エンジン33の回転速度を750min−1から900min−1まで増速させる。ここで、このときの制御状態である第2段制御が本発明の第2状態に相当する。これにより、電動機46の回転速度が750min−1から900min−1に増速され、プロペラ31の回転速度が125min−1から150min−1となる(図4(B)参照)。
更にプロペラ31の回転速度を増速するために、機関制御盤35は、上記第2段制御から表2に示される切換動作に移行する。この切換動作の段階では、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第2減速ギヤR2と電動機46とを切り離し、第1減速ギヤR1と電動機46とを連結させる(つまり減速機41を第1減速比T1に切り換える)。また、極数切換装置47を動作させて電動機46の極数Pを6極に切り換えた状態とする。また、クラッチ機構44が電動機46から脱離している間に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度を再び750min−1まで減速する。これにより、エンジン33の回転速度が750min−1でありながら、プロペラ31の回転速度を142min−1にすることができる。
その後、機関制御盤35は、上記切換動作から表2に示される第3段制御に移行する。この第3段制御では、機関制御盤35は、第1減速ギヤR1が電動機46に連結された状態、且つ、電動機46の極数Pが6極に切り換えた状態のままで、エンジン33の回転速度を750min−1から900min−1まで増速させる。ここで、このときの制御状態である第3段制御が本発明の第3状態に相当する。これにより、電動機46の回転速度が1000min−1から1200min−1に増速され、プロペラ31の回転速度が142min−1から170min−1となる(図4(B)参照)。
更にプロペラ31の回転速度を増速するために、機関制御盤35は、上記第3段制御から表2に示される切換動作に移行する。この切換動作の段階では、機関制御盤35は、クラッチ機構44を動作させて第1減速ギヤR1と電動機46とを切り離し、第2減速ギヤR2と電動機46とを連結させる(つまり減速機41を第2減速比T2に切り換える)。また、クラッチ機構44が電動機46から脱離している間に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度を再び750min−1まで減速する。これにより、エンジン33の回転速度が750min−1でありながら、プロペラ31の回転速度を167min−1にすることができる。
その後、機関制御盤35は、上記切換動作から表2に示される第4段制御に移行する。この第4段制御では、機関制御盤35は、第2減速ギヤR2が電動機46に連結された状態、且つ、電動機46の極数Pが6極に切り換えた状態のままで、エンジン33の回転速度を750min−1から900min−1まで増速させる。ここで、このときの制御状態である第4段制御が本発明の第4状態に相当する。これにより、電動機46の回転速度が1000min−1から1200min−1に増速され、プロペラ31の回転速度が167min−1から「FULL」に対応する回転速度、つまり、電動機46の回転速度1200min−1が第2減速ギヤR2によって6分の1に減速された回転速度200min−1となる(図4(B)参照)。なお、プロペラ31の回転速度を「FULL」から「DEAD SLOW」に減速させる場合は、上述の手順とは逆の手順で回転速度の制御及び減速機41の切換を行えばよい。
これにより、電気推進装置20において、変換ロスが増加する大型のインバータを用いなくても、また、プロペラ効率の低下する可変ピッチプロペラを用いなくても、要求される回転速度となるようにプロペラ31を回転駆動させることができる。その結果、エネルギー効率が高くてコンパクトな電気推進装置20を実現することができる。
また、表2に示されるように、エンジン33の回転速度が750min−1から900min−1までの間でしか制御されないため、発電機37の周波数の変動は50Hzから60Hzとなる。我が国では、50Hz及び60Hzの商用電源が提供されている。したがって、一般に、図2の電力母線63において使用される遮断器等の電気機器は、50Hzから60Hzの交流電力で駆動するように標準設計されているが、40Hzの交流電力での駆動は保証されていない。したがって、上述のように、電気推進システム21では、エンジン33の回転速度の制御範囲として設定された第1設定速度N1(750min−1)及び第2設定速度N2(900min−1)が、電力母線63に設けられた上記電気機器で使用可能な電源周波数の許容範囲内(50Hzから60Hzの範囲内)となるように設定されているので、上記電気機器として、市場における流通量が多くて汎用性が高く、安価なものを適用することができる。
また、上述したように、減速機41及び電動機46それぞれにおいて回転速度を変更できる機構が搭載されているため、電気推進装置20において、減速機41及び電動機46の重量バランスや装置規模のバランスが良くなり、船内のレイアウト設計も容易となる。
(第2実施形態の変形例)
なお、上述の第2実施形態では、減速機41を2つの減速比に切換可能な構成とし、電動機46を2つの極数に切換可能な構成としたが、例えば、上述の第2実施形態の変形例として、極数切換を行わずに減速機だけで4つの減速比に切換可能な構成としてもよい。具体的には、図5(A)に示されるように、電気推進システム21において、減速機41に代えて、4つの減速ギヤR1〜R4を有する減速機42が用いられ、電動機46に代えて、極数Pが8極に固定された電動機48が用いられた構成とする。ここで、図5(A)は電気推進システム21の変形例の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム21におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。
減速機42は、第1減速ギヤR1と、第2減速ギヤR2と、第3減速ギヤR3と、第4減速ギヤR4とを備えている。第1減速ギヤR1の減速比T1は「7.06」である。第2減速ギヤR2の減速比T2は減速比T1よりも小さい「6」である。第3減速ギヤR3の減速比T3は減速比T2よりも小さい「5.28」である。第4減速ギヤR4の減速比T4は減速比T3よりも小さい「4.50」である。減速機42は、クラッチ機構44によって、第1減速ギヤR1、第2減速ギヤR2、第3減速ギヤR3、又は第4減速ギヤR4のいずれかに切り換えられる。
このような構成においては、図5(B)及び表3に示されるように、上述の第1段制御から第4段制御へ移行する際に、減速機42の減速ギヤを第1減速ギヤR1から第2減速ギヤR2、第3減速ギヤR3、第4減速ギヤR4に順次切り換えられる。これにより、上記第1段制御では、エンジン33の回転速度が750min−1から900min−1まで増速された場合に、プロペラ31の回転速度が106min−1から128min−1に増速する。上記第2段制御では、エンジン33の回転速度が750min−1から900min−1まで増速された場合に、プロペラ31の回転速度が125min−1から150min−1に増速する。上記第3段制御では、エンジン33の回転速度が750min−1から900min−1まで増速された場合に、プロペラ31の回転速度が142min−1から170min−1に増速する。また、上記第4段制御では、エンジン33の回転速度が750min−1から900min−1まで増速された場合に、プロペラ31の回転速度が167min−1から200min−1に増速する。なお、表3は、電気推進装置20において、テレグラフ信号、制御状態、エンジン回転数、連結されている減速ギヤ、発電機周波数、電動機回転数、プロペラ回転数それぞれの対応関係を示すものである。
このような構成であっても、電気推進装置20において、変換ロスが増加する大型のインバータを用いなくても、また、プロペラ効率の低下する可変ピッチプロペラを用いなくても、要求される回転速度となるようにプロペラ31を回転駆動させることができる。その結果、エネルギー効率が高くてコンパクトな電気推進装置20を実現することができる。
なお、上述の変形例では、減速機42を4つの減速比に切換可能な構成としたが、例えば、減速機42を設けずに、電動機を4つの極数に切換可能な構成としても、発電機37の周波数の変動を50Hzから60Hzに抑えることができる。
(第3実施形態)
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る電気推進装置80、及びこの電気推進装置80が適用された電気推進システム81について説明する。ここで、図6(A)は電気推進システム81の概略構成を模式的に示す構成図であり、(B)は電気推進システム81におけるエンジン出力とエンジン回転数とプロペラ回転数との関係を示すグラフ図である。また、図7は、電気推進装置80に適用されるクラッチ機構84の構成を模式的に示す模式図である。また、図8は、電気推進システム81において行われるプロペラ回転制御の手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6(A)では、機関制御盤35の図示が省略されている。
図6(A)に示されるように、電気推進装置80が上述の第2実施形態の変形例の電気推進装置20(図5参照)と異なるところは、減速機42に代えて、減速ギヤR11及び減速ギヤR12を有する減速機83(本発明の減速機の一例)が設けられている点と、クラッチ機構44に代えて、クラッチ機構84(本発明のクラッチ機構、減速比切換手段の一例)が設けられている点と、クラッチ機構84が備える低速用クラッチ84Aに対して後述の第1段制御(クラッチ滑り制御)を行うクラッチ制御ユニット87(本発明のプロペラ回転制御手段の一例)が設けられている点と、エンジン33やクラッチ機構84等に対する制御方式が異なっている点である。なお、その他の構成については、上述の第1実施形態及び上述の第2実施形態の構成と共通するため、ここでは共通する構成に同じ番号の符号を付し示すことによりその構成の詳細な説明を省略する。
図7に示されるように、減速機83は、電動機48の回転速度を変速するものであり、電動機48の出力軸48Aと複数のギヤを介して連結されている。この減速機83は、電動機48の回転速度をダイレクトに伝達する入力ギヤ90と、減速後の回転速度をプロペラ31に伝達する出力ギヤ91とを有する。また、入力ギヤ90と出力ギヤ91との間に、第1減速ギヤR11(本発明の第1伝達部の一例)と第2減速ギヤR12(本発明の第2伝達部の一例)とが並列に設けられている。第1減速ギヤR11は、電動機48の回転速度を予め定められた第1減速比T11で減速して減速機83の出力軸に設けられた出力ギヤ91に伝達するものである。また、第2減速ギヤR12は、電動機48の回転速度を上記第1減速比T11よりも小さい第2減速比T12で減速して減速機83の出力軸に設けられた出力ギヤ91に伝達するものである。このように構成されているため、減速機83は、電動機48の回転速度を第1減速比T11又は第2減速比T12のいずれかに基づいて変速することができる。
本実施形態では、第1減速ギヤR11の減速比T11は「5.28」である。第2減速ギヤR12の減速比T12は減速比T12よりも小さい「4.50」である。減速機83は、後述のクラッチ機構84によって、第1減速ギヤR11又は第2減速ギヤR12のいずれかに切り換えられる。例えば、第1減速ギヤR11が電動機48に連結されている場合は、第1減速ギヤR11の減速比T11=5.28であるため、電動機48の回転速度が5.28分の1に減速される。また、第2減速ギヤR12が電動機48に連結されている場合は、第2減速ギヤR12の減速比T12=4.50であるため、電動機48の回転速度が4.5分の1に減速される。
減速機83には、本発明の減速比切換手段の一例であるクラッチ機構84が設けられている。クラッチ機構84は、第1減速ギヤR11及び第2減速ギヤR12それぞれに連結されており、減速機83の変速比を第1減速比T11又は第2減速比T12のいずれかに切り換えるものである。具体的には、クラッチ機構84は、入力ギヤ90から第1減速ギヤR11を経て出力ギヤ91に至る伝達経路に設けられた低速用クラッチ84Aと、入力ギヤ90から第2減速ギヤR12を経て出力ギヤ91に至る伝達経路に設けられた高速用クラッチ84Bとを有する。これらのクラッチ84A,84Bは、いずれも、船舶を前進させる回転速度を伝達するためのものである。また、クラッチ機構84は、船舶を後進させる回転速度を伝達するための後進用クラッチ84Cが設けられている。クラッチ84A,84B,84Cとしては、動力の入力側と出力側との間に複数の円板(フリクションディスク)が設けられた多重板クラッチ構造の摩擦クラッチが用いられる。上記複数の円板同士が接触することによって生じる摩擦力によって電動機48からの動力、つまり電動機48の回転速度がプロペラ31側に伝達される。
クラッチ84A,84B,84Cを動作させる駆動機構としては、油圧を制御することによって上記複数の円板同士を接触させたり離間させたりする油圧作動方式が採用されている。低速用クラッチ84Aの油圧経路には、比例電磁弁93が設けられている。比例電磁弁93は、クラッチ制御ユニット87から入力された信号値に応じて、作動用オイルが供給される流路の開閉度を無段階に調整するものであり、この比例電磁弁93が制御されることにより、上記流路から低速用クラッチ84Aに供給される作動用オイルの油圧が制御される。高速用クラッチ84Bの油圧経路には電磁切替弁94が設けられており、後進用クラッチ84Cの油圧経路には電磁切替弁95が設けられている。電磁切替弁94,95は、クラッチ制御ユニット87から入力された信号によって開状態又は閉状態のいずれかに切り換えられるものであり、これら電磁切替弁94,95の開閉が制御されることによって、作動用オイルが供給される流路が開閉される。なお、上記駆動機構に代えて、圧縮空気圧、電動アクチュエータなどによって作動する方式を適用してもよい。
クラッチ制御ユニット87は、機関制御盤35に設けられている。クラッチ制御ユニット87は、CPUやROM、RAM、ASICなどで構成されている。クラッチ制御ユニット87は、プロペラ31が所定回転数未満の場合に、低速用クラッチ84Aに対して表4に示される第1段制御(クラッチ滑り制御)を行う。ここで、プロペラ31の回転数は、プロペラ31のプロペラ軸の近傍に設けられた速度センサーからの信号に基づいて機関制御盤35が算出し、そして、その算出結果(回転数)が機関制御盤35からクラッチ制御ユニット87に出力されている。なお、クラッチ制御ユニット87の設置箇所は、機関制御盤35に限られず、機関制御盤35から独立して設けられていてもよく、或いは操舵室に設置されていてもよい。
上記第1段制御(クラッチ滑り制御)においては、プロペラ31の回転数が150min−1未満の場合に、機関制御盤35がエンジン33の回転速度を750min−1(=第1設定速度N1)となるように制御する。そして、エンジン33の回転速度が750min−1に維持された状態で、クラッチ制御ユニット87が第1減速ギヤR11に連結された低速用クラッチ84Aにおける動力伝達力を調整して、低速用クラッチ84Aを滑らせた状態で動力を伝達させる。言い換えると、プロペラ31の回転数が150min−1未満の場合に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度が750min−1(=第1設定速度N1)を維持するように制御し、一方、クラッチ制御ユニット87は、プロペラ31の回転数が操舵室からの船速信号に応じた回転数となるように比例電磁弁93を制御する。これにより、低速用クラッチ84Aによって動力が滑りながら伝達されて、プロペラ31の回転数が船速信号に応じた回転数に制御される。
本実施形態では、上述したように、機関制御盤35は、プロペラ31の回転数が150min−1未満の場合に、エンジン33の回転速度を750min−1に維持するように制御する。また、機関制御盤35は、プロペラ31の回転数が150min−1以上の場合に、極数Pが8極の発電機37に対して、エンジン33の回転速度が750min−1(=第1設定速度N1)から900min−1(=第2設定速度N2)の範囲内となるように制御する。これにより、発電機37は、周波数fが50Hzから60Hzの交流電力を発電する。
図6(B)及び表4に示されるように、上述した構成の電気推進装置80においては、例えば、操舵室に設けられた操縦ハンドル96から船速信号として前進を示す前進信号が送られてきたときは、プロペラ31の回転数が150min−1未満であることを条件に、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87は、表4に示される第1段制御(クラッチ滑り制御)を行う。具体的には、クラッチ制御ユニット87は、比例電磁弁93に対して操縦ハンドル96からの船速信号に応じた油圧となる信号を出力して、低速用クラッチ84Aの動力伝達力を調整する。ここで、上記前進信号は、例えば、操縦ハンドル96の前進側の操作範囲が前進0〜前進10の段階に分けられていた場合に、操縦ハンドル96が前進範囲(前進0〜前進10の範囲)に位置しているときにクラッチ制御ユニット87へ出力される信号である。この前進信号は、操縦ハンドル96に設けられたポテンショメーターから出力される。ここで、表4は、電気推進装置80において、テレグラフ信号、制御状態、エンジン回転数、連結されている減速ギヤ、発電機周波数、電動機回転数、プロペラ回転数それぞれの対応関係を示すものである。なお、上記第1段制御の詳細については後述する。
また、操縦ハンドル96から船速信号として中速を示す中速信号が送られてきたときは、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87は、表4に示される第2段制御を行う。具体的には、機関制御盤35は、クラッチ制御ユニット87に比例電磁弁93を全開させて、低速用クラッチ84Aを嵌入させ、第1減速ギヤR11の伝達経路を連結させた状態にする。そして、この状態で、エンジン33の回転速度を750min−1から900min−1の範囲で制御する。ここで、上記中速信号は、操縦ハンドル96が前進4から前進7までの中速範囲に位置しているときにクラッチ制御ユニット87へ出力される信号である。このときの制御状態である第2段制御が本発明の第1状態に相当する。なお、上記第2段制御の詳細については後述する。
また、操縦ハンドル96から船速信号として高速を示す高速信号が送られてきたときは、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87は、表4に示される第3段制御を行う。具体的には、機関制御盤35は、比例電磁弁93を全閉にし、代わりに電磁切替弁94を閉状態から開状態にして高速用クラッチ84Bを嵌入させて、第2減速ギヤR12の伝達経路を連結させた状態にし、この状態で、エンジン33を750min−1から900min−1の範囲で制御する。ここで、上記高速信号は、操縦ハンドル96が前進8から前進10(前進FULL)までの高速範囲に位置しているときにクラッチ制御ユニット87へ出力される信号である。このときの制御状態である第3段制御が本発明の第2状態に相当する。なお、上記第3段制御の詳細については後述する。
以下、図8のフローチャートを参照して、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87によって実行されるプロペラ回転制御の手順の一例について説明する。図8におけるS11、S12、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。説明の便宜上、以下においては、操縦ハンドル96が中立位置に配置された状態において、エンジン33の回転速度が750min−1に制御され、且つ、いずれのクラッチも嵌入されていない待機状態にあるものとし、電気推進装置80がこの待機状態のときに、操縦ハンドル96が中立位置から前進側へ移動された場合の手順について説明する。
まず、ステップS11では、機関制御盤35は、操縦ハンドル96からの船速信号に基づいて、操縦ハンドル96が前進側へ移動されたかどうかを判定する。前進側へ移動された操縦ハンドル96から、前進位置に対応する船速信号が送られてくると、機関制御盤35は、操縦ハンドル96が前進側へ移動されたと判定し、次のステップS12へ進む。
ステップS12では、クラッチ滑り制御、つまり、上述の第1段制御(表4参照)が行われる。具体的には、クラッチ制御ユニット87は、比例電磁弁93に対して操縦ハンドル96からの船速信号に応じた油圧となる信号を出力して、低速用クラッチ84Aの動力伝達力を調整する。このとき、機関制御盤35は、エンジン33の回転数が750min−1を維持するように制御する。なお、操縦ハンドル96が前進0から前進10のどの位置にあっても、プロペラ31の回転数が150min−1以上となるまでは、上記第1段制御が実行される。
ここで、操縦ハンドル96が中立位置に戻された場合は、機関制御盤35は、前進操作が中断されたと判定して、エンジン33の回転数を750min−1に維持したままにして、クラッチ制御ユニット87に全てのクラッチを脱状態にさせる。つまり、電気推進装置80を元の待機状態にする。
次のステップS13では、機関制御盤35は、操縦ハンドル96からの船速信号に基づいて、操縦ハンドル96が上記中速範囲以上の位置にあるかどうかを判定する。つまり、操縦ハンドル96が、前進4〜前進10の範囲にあるかどうかを判定する。ここで、ハンドル位置が中速範囲未満、つまり、前進0〜前進3までの低速範囲であると判定された場合は、ステップS12に戻って、ステップS12以降の処理が繰り返される。言い換えると、操縦ハンドル96が上記低速範囲にある場合は、上記第1段制御(クラッチ滑り制御)によってプロペラ31の回転数が制御される。本実施形態では、表4に示されるように、上記低速範囲に対応して、プロペラ31の回転数が106min−1〜150min−1の範囲となるように上記第1段制御が行われる。
一方、ステップS13において、ハンドル位置が中速範囲以上であると判定されると、機関制御盤35は、プロペラ31の回転数が150min−1以上と判定されるまで上記第1段制御(クラッチ滑り制御)を行う(S14のNO側)。また、プロペラ31の回転数が150min−1以上と判定された場合に(S14のYES側)、次のステップS15において上記第2段制御が行われる。
ステップS15では、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87によって上記第2段制御が行われる。具体的には、機関制御盤35は、クラッチ制御ユニット87に比例電磁弁93を全開させて、低速用クラッチ84Aを嵌入させ、第1減速ギヤR11の伝達経路を連結させた状態にする。そして、この状態で、750min−1から900min−1の範囲内で、エンジン33を操縦ハンドル96に応じた速度に制御する。本実施形態では、プロペラ31の回転数が150min−1以上であり、操縦ハンドル96が上記中速範囲内にある場合は、上記第2段制御によってプロペラ31の回転数が制御される。これにより、表4に示されるように、プロペラ31の回転数が前進4に対応する回転数、つまり、電動機48の回転速度750min−1が第1減速ギヤR11によって5.28分の1に減速された回転数142min−1から、前進7に対応する回転数、つまり、電動機48の回転速度900min−1が第1減速ギヤR11によって5.28分の1に減速された回転数170min−1までの範囲内で制御される。
次のステップS16では、機関制御盤35は、プロペラ31の回転数が170min−1以上であるかどうか判定する。例えば、操縦ハンドル96が上記中速範囲を通り超して上記高速範囲(前進8〜前進10)まで移動されていた場合は、上記第1段制御(S12)、及び上記第2段制御(S15)を経た後に、上記第3段制御が行われる。従って、上記第2段制御におけるプロペラ回転が上限の回転速度170min−1に到達した場合は、ステップS17において操縦ハンドル96が上記高速範囲にあると判定されたことを条件に、上記第2段制御から上記第3段制御に移行する。なお、ステップS16においてプロペラ回転が回転速度170min−1未満であると判定された場合は、ステップS13に戻り、ステップS13以降の処理が繰り返される。また、ステップS17において操縦ハンドル96が上記高速範囲にないと判定された場合は、ステップS16以降の処理が繰り返される。
ステップS18では、更にプロペラ31の回転数を増速させるために、機関制御盤35及びクラッチ制御ユニット87によって上記第3段制御が行われる。具体的には、まず、機関制御盤35は、上記第2段制御から表4に示される切換動作に移行する。この切換動作の段階では、機関制御盤35は、クラッチ制御ユニット87に比例電磁弁93を全閉させて、低速用クラッチ84Aを脱状態にして、第1減速ギヤR11の伝達経路を切り離す。そして、電磁切替弁94を閉状態から開状態に切り換えて、高速用クラッチ84Bを嵌入させ、第2減速ギヤR12の伝達経路を連結させた状態にする。そして、この切換動作中に、機関制御盤35は、エンジン33の回転速度を900min−1から750min−1まで減速する。その後、750min−1から900min−1の範囲内で、エンジン33を操縦ハンドル96に応じた速度に制御する。本実施形態では、プロペラ31の回転数が170min−1以上であり、操縦ハンドル96が上記高速範囲内にある場合は、上記第3段制御によってプロペラ31の回転数が制御される。これにより、表4に示されるように、プロペラ31の回転数が前進8に対応する回転数、つまり、電動機48の回転速度750min−1が第2減速ギヤR12によって4.50分の1に減速された回転数167min−1から、前進10に対応する回転数、つまり、電動機48の回転速度900min−1が第2減速ギヤR12によって4.50分の1に減速された回転数200min−1までの範囲内で制御される。
なお、ステップS18以降は、操縦ハンドル96が中立位置に戻されるまで上述のステップS12〜S18までの処理が繰り返し行われ、操縦ハンドル96に応じた回転数となるようにプロペラ31の回転数が制御される。また、上述のフローチャートに従った手順で処理が行われることにより、プロペラ31の回転数の減速も実現可能である。
このように構成された電気推進装置80であれば、変換ロスが増加する大型のインバータを用いなくても、また、プロペラ効率の低下する可変ピッチプロペラを用いなくても、要求される回転数となるようにプロペラ31を回転させることができる。また、プロペラ31を停止状態から回転させる際に、上記クラッチ滑り制御が行われることによって、プロペラ31の回転数をスムーズに増速させることができる。
10,20,80:電気推進装置
11,21,81:電気推進システム
31:固定ピッチプロペラ
33:ディーゼルエンジン
35:機関制御盤
37:発電機
39,46,48:電動機
41,42,83:減速機
44,84:クラッチ機構
47:極数切換部
56:始動器盤

Claims (3)

  1. 船舶の固定ピッチプロペラを電気駆動力によって回転させる船舶用電気推進装置であって、
    船舶が備える内燃機関の回転速度を予め定められた第1設定速度から第2設定速度の範囲内で制御する回転速度制御手段と、
    上記内燃機関の回転駆動力を得て上記第1設定速度から上記第2設定速度までの速度範囲に応じた周波数帯域の交流電力を発電する発電機と、
    上記発電機が発電した交流電力によって回転駆動する電動機と、
    出力軸に上記固定ピッチプロペラが連結され、上記電動機の回転速度を少なくとも2つの変速比に基づいて変速するものであり、上記電動機の回転速度を予め定められた第1減速比で減速して上記出力軸に伝達する第1伝達部、及び上記電動機の回転速度を上記第1減速比よりも小さい第2減速比で減速して上記出力軸に伝達する第2伝達部を有する減速機と
    上記第1伝達部及び上記第2伝達部それぞれに連結され、上記減速機の変速比を上記第1減速比又は上記第2減速比のいずれかに切り換えるクラッチ機構からなる減速比切換手段と、
    上記固定ピッチプロペラが所定回転速度未満の場合に、上記回転速度制御手段によって上記内燃機関の回転速度が上記第1設定速度となるように制御された状態で、上記第1伝達部に連結された上記クラッチ機構における動力伝達力を調整して上記クラッチ機構を滑らせた状態で動力を伝達させることにより上記固定ピッチプロペラの回転速度を制御するプロペラ回転制御手段と、を具備する船舶用電気推進装置。
  2. 上記第1設定速度及び上記第2設定速度は、上記発電機で発電される交流電力の周波数が、上記発電機から上記電動機までの電力供給経路に設けられる電気機器で使用可能な電源周波数の許容範囲内となるように設定されている請求項1に記載の船舶用電気推進装置。
  3. 上記回転速度制御手段は、上記固定ピッチプロペラが所定回転速度以上の場合に、上記減速比切換手段によって上記減速機が上記第1減速比に切り換えられた第1状態、及び上記減速比切換手段によって上記減速機が上記第2減速比に切り換えられた第2状態それぞれにおいて、上記内燃機関の回転速度を上記第1設定速度から上記第2設定速度の範囲内で制御するものである請求項1又は2に記載の船舶用電気推進装置。
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