JP5460104B2 - プラスチック製検眼レンズ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、眼鏡試験枠に装填されて被検者の視力等を検査するために使用されるプラスチック製検眼レンズ、及び、プラスチック製検眼レンズの製造方法に係わる。
被検者の視力等を検査するため、眼鏡試験枠に装填するプラスチック製検眼レンズが用いられている。
このプラスチック製検眼レンズとして、例えば、ホルダ部、外周リング部及びレンズ部が一体成形され、レンズ部の光学面に近用部と、遠用部と、遠用部及び近用部の間の累進多焦点部とを備えた累進多焦点レンズが用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
上述の累進多焦点部を備えるプラスチック製検眼レンズは、一般的に、熱可塑性樹脂を射出成型することにより、各部位を同時に形成した後、この射出成型品にハードコート層等のコーティング層を形成することにより製造される。
コーティング層は、射出成型品に表面をコーティング処理液で処理した後、紫外線を照射、又は、加熱乾燥することにより形成する。
特開2003−302610号公報 国際公開WO98/26707号パンフレット
累進多焦点部を備え、レンズ部と外周リング部とが一体成形されたプラスチック製検眼レンズでは、累進多焦点部を備える面のレンズの曲率が一定ではない。このため、外周リング部と接するレンズ部の円端部でレンズの高さが均一ではなく、部位によって高さが上下する。
このため、この累進多焦点部を備えるプラスチック製検眼レンズでは、レンズ部と外周リング部とが接する部分において、レンズ部が外周リング部よりも低くなる部分と、レンズ部が外周リング部よりも高くなる部分とがある。
このとき、上述の射出成形品のコーティング処理の際に、外周リング部よりも高さの小さいレンズ部の円端部に、コーティング液が溜まることがある。レンズ部の円端部にコーティング液が溜まると、射出成型品の外部に流下せず、余剰なコーティング液が、レンズ上に残ることなる。さらに、円端部に溜まり、プラスチック製検眼レンズの外側に流れ出さないコーティング液が、レンズ部側に流入する場合がある。このような状態で、紫外線照射又は加熱乾燥によりコーティング液の硬化を行うと、レンズ部上に厚さが不均一なコーティング層が形成されてしまう。
この場合、レンズ部上において、コーティング層の厚さに異なる部分ができるため、透明な液体が付着しているような状態で視認される。検眼レンズを使用するオペレータや被検眼者にも視認されるため、製品としての美観が損なわれる。
上述した問題の解決のため、本発明においては、レンズ部の端部でコーティング液の溜まりを防ぎ、均一な厚さのコーティング層が形成可能な、累進多焦点部を備えるプラスチック製検眼レンズ、及び、プラスチック製検眼レンズの製造方法を提供するものである。
本発明の一の側面におけるプラスチック製検眼レンズは、コーティング層が形成されているプラスチック製検眼レンズであり、少なくとも一方の面に、遠用部と、近用部と、遠用部及び近用部の間の累進多焦点部とを有するレンズ部と、レンズ部の外周に設けられ、レンズ部と一体に形成されており、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部とを備える。そして、本発明の一の側面におけるプラスチック製検眼レンズは、レンズ部の累進多焦点部が形成されている側において、レンズ部の全周にわたって、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さが、外周リング部の高さよりも大きい構成を有する。
また、本発明の他の側面におけるプラスチック製検眼レンズは、コーティング層が形成されているプラスチック製検眼レンズであり、少なくとも一方の面に、遠用部と、近用部と、遠用部及び近用部の間の累進多焦点部とを有するレンズ部と、レンズ部の外周に設けられ、レンズ部と一体に形成されており、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部と、外周リング部と接して一体に形成されたホルダ部とを備える。このホルダ部は、プラスチック製検眼レンズをコーティング液に浸漬してコーティング層を形成する際に、コーティング液の上方から支持具に固定される部位と法線方向の反対位置に備えられている。そして、本発明の他の側面におけるプラスチック製検眼レンズは、レンズ部の累進多焦点部が形成されている側において、レンズ部の中心からホルダ部と法線方向反対する位置の方向を0°としたときに、少なくともプラスチック製検眼レンズの0°から90°までの部分において、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さが、外周リング部の高さよりも大きい構成を有する。
本発明の一の側面におけるプラスチック製検眼レンズの製造方法は、プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成型品を形成する工程と、射出成型品にコーティング層を規制する工程とを有する。そして、射出成型品を形成するための型に、少なくとも一方の面に、近用部と遠用部と遠用部及び近用部の間の累進多焦点部との光学面を有する射出成型品のレンズ部を成型する、レンズ成型部と、レンズ部の周縁に形成され、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部を成型する、リング成型部と、が含まれている。そして、レンズ成型部の累進多焦点部となる光学面が形成されている側において、レンズ部の全周にわたって、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さを、外周リング部の高さよりも大きくなるように成型する。また、コーティング層を形成する工程において、コーティング液の塗工はスピンコート法である。
また、本発明の他の側面におけるプラスチック製検眼レンズの製造方法は、プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成型品を形成する工程と、射出成型品にコーティング層を規制する工程とを有する。そして、射出成型品を形成するための型に、少なくとも一方の面に、近用部と遠用部と遠用部及び前記近用部の間の累進多焦点部との光学面を有する射出成型品のレンズ部を成型する、レンズ成型部と、レンズ部の周縁に形成され、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部を成型する、リング成型部と、外周リング部から法線方向外側に延出するホルダ部を形成する、ホルダ成型部と、ホルダ部の法線方向の反対位置に延出する支持部を形成する、支持部成型部と、が含まれている。そして、レンズ成型部の累進多焦点部となる光学面が形成されている側において、射出成型品のレンズ部の中心から支持部の方向を0°としたときに、少なくとも0°から90°までの部分において、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さが、外周リング部の高さよりも大きくなるように成型する。また、コーティング層を形成する工程において、コーティング液の塗工はディップ法であり、コーティング液から射出成型品を引き上げる際において支持部から引き上げる。
本発明のプラスチック製検眼レンズによれば、レンズ部の累進多焦点部が形成されている側において、外周リング部と接するレンズ部の高さが、外周リング部の高さよりも大きい構成である。また、本発明のプラスチック製検眼レンズの製造方法によれば、レンズ部の端部の高さが、レンズ部に接する外周リング部の高さよりも大きく形成されている型を使用する。このため、本発明の製造方法により製造されるプラスチック製検眼レンズは、レンズ部の累進多焦点部が形成されている側において、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さが、外周リング部の高さよりも大きい形状となる。
プラスチック製検眼レンズを上述の構成とすることにより、プラスチック製検眼レンズにコーティング液を塗工した際、レンズ部の円端部に余剰のコーティング液が溜まらない。このため、プラスチック製検眼レンズの外部に排出されない余剰なコーティング液がレンズ部上に滞留しない。従って、コーティング液を硬化する工程において、余剰なコーティング液がレンズ部の表面側に液滴となって流入せず、レンズ部のコーティング層の厚さを均一にすることができる。
本発明によれば、プラスチック製検眼レンズにおいて、レンズ部に均一な厚さのコーティング層を形成することができる。
従来使用されているプラスチック製検眼レンズの概略構成図である。 図1に示すプラスチック製検眼レンズのA−A’線断面図である。 Aは、図1に示すプラスチック製検眼レンズを異なる角度で示す図である。Bは、図1に示すプラスチック製検眼レンズの凸面側におけるレンズ部の円端部と外周リング部との高さの関係を示すグラフである。Cは、図1に示すプラスチック製検眼レンズの凹面側におけるレンズ部の円端部と外周リング部との高さの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態のプラスチック製検眼レンズの概略構成図である。 図4に示すプラスチック製検眼レンズのA−A’線断面図である。 Aは、図4に示すプラスチック製検眼レンズを異なる角度で示す図である。Bは、図4に示すプラスチック製検眼レンズの凸面側におけるレンズ部の円端部と外周リング部との高さの関係を示すグラフである。Cは、図4に示すプラスチック製検眼レンズの凹面側におけるレンズ部の円端部と外周リング部との高さの関係を示すグラフである。 本発明のプラスチック製検眼レンズとなる射出成形品を形成すための射出成形装置の型装置の概略構成図である。 A,Bは、本発明のプラスチック製検眼レンズとなる射出成形品に、ディップ法によりコーティング液を塗工する工程を説明する図である。 C,Dは、本発明のプラスチック製検眼レンズとなる射出成形品に、ディップ法によりコーティング液を塗工する工程を説明する図である。
(発明の概要)
まず、本発明の実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
まず、図1に、従来使用されているプラスチック製検眼レンズの概略構成を示す。
図1に示すようにプラスチック製検眼レンズ100は、レンズ部101、及び、レンズ部101の円端部に接して一体に形成されている外周リング部102が形成されている。
また、レンズ部101及び外周リング部102の外周部にホルダ部103が形成されている。そして、ホルダ部103の反対側の位置に棒状の支持部108を備える。
レンズ部101は、遠用部105と、近用部106と、これらの遠用105と近用部106との間の累進多焦点部107とを有する。
また、外周リング部102には、レンズ部101の水平基準線の方向を表すマーク104が形成されている。このマーク104は外周リング部102の一部を窪ませた凹部により形成されている。
支持部108は、プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成形品をコーティング処理する際に、支持具により支持される部分である。
また、図1に示すプラスチック製検眼レンズ100は、レンズ部101の支持部108側のマーク104付近に、後述するコーティング層の厚さのバラツキによる塗工不良部110が形成されている。
次に、図1に示すプラスチック製検眼レンズ100の断面図を図2に示す。また、プラスチック製検眼レンズ100のレンズ部101と外周リング部102との接続部分の拡大図を併せて示す。
図2に示すように、レンズ部101は、凸面と凹面とからなる。そして、プラスチック製検眼レンズ101の凸面、凹面のうちの何れか一方の面、又は、両面に累進多焦点部が形成される。以下の説明では、レンズ部101の両面に、累進多焦点部が形成されている場合について説明する。
図2に示すように、レンズ部101の円端部、つまりレンズ部101が外周リング部102に接する部分において、レンズ部101と外周リング部102との間には、高さに差が発生している。
なお、本発明においては、図2に示すように、プラスチック製検眼レンズ100の両面において、外周リング部102の厚さの中心から、レンズ部101が外周リング部102に接する部分、つまりレンズ部101の円端部までを、レンズ部101の高さhL若しくはレンズ部101の円端部の高さhLとする。また、プラスチック製検眼レンズ102の両面において、外周リング部102の厚さの中心から、外周リング部102の最も厚い部分までを、外周リング部102の高さhRとする。
プラスチック製検眼レンズ100において支持部108側は、凸面、凹面共に、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも小さい。また、ホルダ部103側では、凸面において、レンズ部101の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも小さく、凹面側において、レンズ部101の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも大きい。
このように、プラスチック製検眼レンズ100では、レンズ部101の円端部と外周リング部102との高さの差が、その場所によって異なる。
上述のプラスチック製検眼レンズ100において、レンズ部101の円端部の高さhLと外周リング部102の高さhRとの関係について図3を用いて説明する。
図3Aに、図1で示したプラスチック製検眼レンズ100を異なる角度から見た状態を示す。また、図3Bに、プラスチック製検眼レンズ100の凸面側におけるレンズ部101の円端部と外周リング部102との高さの関係をグラフで示す。そして、図3Cに、プラスチック製検眼レンズ100凹面側に、おけるレンズ部101の円端部と外周リング部との高さの関係をグラフで示す。
なお、図3B及び図3Cにおいて、縦軸を、外周リング部102の高さhRを基準としたレンズ部101の円端部の高さhLとして示し、横軸を、レンズ部101の中心から支持部108が形成されている方向を0°とし、図面右方向への角度をプラスの角度、左方向への角度をマイナスの角度として示す。
図3Bに示すように、プラスチック製検眼レンズ100の凸面側では、レンズ部101の円端部の高さが−0.1mm〜0.05mmまで分布している。
レンズ部の図面上側において−30°〜50°付近において、レンズ部101の高さが外周リング部102の高さよりも小さくなっている。また、レンズ部の図面下側において、80°〜180°付近において、レンズ部101の高さが外周リング部102の高さよりも小さくなっている。
また、図3Cに示すように、プラスチック製検眼レンズ100の凹面側では、レンズ部101の円端部の高さが−0.18mm〜0.25mmまで分布している。
レンズ部の図面上側において−45°〜10°付近において、レンズ部101の高さが外周リング部102の高さよりも小さくなっている。また、レンズ部の図面下の80°〜130°付近において、レンズ部101の高さが外周リング部102の高さよりも小さくなっている。
上述のように、従来のプラスチック製検眼レンズ100では、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも小さい部分がある。このため、例えば、プラスチック製検眼レンズ100にコーティング液を塗工する際、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも小さい部分に余剰なコーティング液が溜まることがある。特に、−180°〜−170°及び130°〜180°の領域では、引き上げ時に下方に位置するため、コーティング液が溜まりやすい。
例えば、ディップ法によりコーティング液を塗工する場合には、プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成形品を、洗浄等の所定処理を行った後に、コーティング液に浸漬する。このコーティング液の塗工は、支持部108を上側とし、上向きとなった支持部108をクリップ等の支持具で支持して行う。そして、射出成形品をコーティング液に浸漬することで、レンズ部101及びホルダ部103にコーティング液を塗工する。
この後、射出成形品をコーティング液から引き上げる際、レンズ部101の表面に付着した余剰の大部分のコーティング液は、レンズ部101表面に沿ってレンズ上部からレンズ下部に向かって比較的広い面積でほぼ均一に垂直下方に流下する。また、一部のコーティング液は、レンズ部の円端部の高さhLが外周リング部の高さhRよりも低くなる部分に沿って、レンズ上部からレンズ下部へ流れる。このとき、プラスチック製検眼レンズの引き上げ方向の上半分において、レンズ部101の円端部全体の高さが、外周リング部の高さよりも小さい場合は、レンズ上部からレンズ下部に向かって安定してコーティング液が流下する。
しかし、累進多焦点部を有するレンズの場合には、図3B及び図3Cに示すように、レンズ部101を引き上げる0°方向よりも90°方向が徐々に高くなるように構成されている。このため、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも高くなる部分である、30°付近及び−50°付近において、レンズ部101の円端部に沿って流れるコーティング液が、レンズ部101の表面側に液滴となって流入する。
特に、水平基準線を示すマーク104が累進多焦点部を有する面側に凹部で形成されている場合には、このマーク104内に余剰なコーティング液が溜まりやすい。このため、このマーク104を構成する凹部に溜まった余剰なコーティング液が、レンズ部101の円端部に沿って流下する。そして、この流下するコーティング液が、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも高くなる部分から、レンズ部101の表面側に液滴となって流入する。従って、マーク104が累進多焦点部を有する面側に凹部で形成されている場合には、レンズ部101の表面側への液滴の流入がより顕著になる。
上述のように、図3Aに示すプラスチック製検眼レンズ100の支持部108側、90°〜−90の範囲に、レンズ部101の高さhLが外周リング部102の高さhRよりも小さい部分があると、この部分に溜まった余剰なコーティング液がプラスチック製検眼レンズ100の外部に排出されず、レンズ部101内に流入する。そして、余剰なコーティング液がレンズ部101内に流入した状態でコーティング液を硬化すると、余剰なコーティング液が流入した部分が、他の部分よりもコーティング層が厚く形成される。このため、レンズ部101において均一な厚さのコーティング層を形成することができない。
従って、図1に示すように、プラスチック製検眼レンズ100のレンズ部101に塗工不良部110が形成されてしまう。
なお、ディップ法でコーティング層を形成する場合には、±90°〜180°の部分、つまり、図3Aの下側では、外周リング部よりも高さが小さいレンズ部101の円端部に溜まったコーティング液は、重力に引かれて外周リング部102側に流下する。このため、レンズ部101側にコーティング液が流入せず、レンズ部101のコーティング層の厚さ影響を与えない。
また、スピンコート法によりコーティング層を形成する場合には、レンズの上下方向に関係なく、レンズ部101の円端部の高さhLが外周リング部の高さhRよりも小さくなる部分に、余剰なコーティング液が溜まる。そして、この部分に溜まった余剰なコーティング液がプラスチック製検眼レンズ100の外部に排出されず、レンズ部101内に流入する。そして、余剰なコーティング液がレンズ部101内に流入した状態でコーティング液を硬化した場合には、余剰なコーティング液が流入した部分が、他の部分よりもコーティング層が厚く形成される。このため、レンズ部101において均一な厚さのコーティング層を形成することができない。従って、図1に示すように、プラスチック製検眼レンズ100のレンズ部101に塗工不良部110が形成されてしまう。
上述したように、従来のプラスチック製検眼レンズでは、レンズ部において、塗工不良部によりコーティング層の厚さに異なる部分ができる。このような塗工不良部が生じても、検眼レンズの光学的欠陥にはならない。しかしながら、レンズ面に透明な液体が付着しているように視認されるため、製品としての美観が損なわれる。
そこで、本発明では、余剰なコーティング液がレンズ部の円端部に溜まらない構造とすることにより、レンズ部内への余剰なコーティング液の流入を防ぎ、レンズ部のコーティング層の厚さを均一に形成することが可能なプラスチック製検眼レンズを構成する。
本発明のプラスチック製検眼レンズでは、上述のレンズ部の円端部の高さhLが、外周リング部の高さhRよりも小さくなる部分を形成しないことにより、レンズ部円端部での余剰なコーティング液の液溜まりを防ぐ構成とする。このような構成は、例えば、レンズ部を光学特性が変化しない範囲でレンズ部を厚く形成し、レンズ部の円端部の高さhLを、外周リング部の高さhRよりも大きくすることにより実現することができる。
また、上述のレンズ部の円端部の高さhLが外周リング部の高さhRよりも大きい構成は、プラスチック製検眼レンズの累進多焦点部を有する面に形成すればよい。このため、凸面側が累進多焦点の場合には、凸面側のレンズ部を厚くすることにより、レンズ部の円端部での余剰なコーティング液の液溜まりを防ぐことができる。また、凹面側が累進多焦点部の場合には、凹面側のレンズ部を厚くすることにより、レンズ部の円端部での余剰なコーティング液の液溜まりを防ぐことができる。両面が累進多焦点部である場合は、両面のレンズ部の厚さを大きくすることにより、レンズ部の円端部での余剰なコーティング液の液溜まりを防ぐことができる。
(本発明の実施の形態)
次に、本発明のプラスチック製検眼レンズの具体的な実施の形態について説明する。
図4に、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズの概略構成図を示す。
図4に示すプラスチック製検眼レンズ10は、レンズ部11、外周リング部12、及び、外周リング部12に形成されたホルダ部13を備える。
また、図4に示すプラスチック製検眼レンズ10は、ホルダ部13の反対側の位置に、棒状の支持部18を備える。
プラスチック製検眼レンズ10のレンズ部11は、累進多焦点レンズに対応して設計されている。レンズ部11内において、上方に遠用部15が形成され、下方に近用部16が形成されている。そして、遠用部15と近用部16との間に累進多焦点部17が形成されている。
レンズ部11と外周リング部12とは、一体に形成されている。また、外周リング部12は、レンズ部11の外周に設けられ、眼鏡試験枠にプラスチック製検眼レンズを装填する際に、ホルダリングの代りとなる部位である。
ホルダ部13は、外周リング部12に接続して形成され、プラスチック製検眼レンズを持つための部位である。
ホルダ部13には、プラスチック製検眼レンズ10のレンズ部11が左眼用か右眼用かを表す左右区別表示や、レンズ部11の加入度を表す加入度表示が設けられる。これらの表示は、ホルダ部13がレンズ部11と同時に成形されるときに、射出圧縮成形装置の型装置を構成している部材に刻設された印刻マークによって形成される。
ホルダ部13は、プラスチック製検眼レンズ10のレンズ部11が左眼用か右眼用かに応じてレンズ部11の左右中心位置から左右いずれかの側に45度ずれて形成されている。
また、支持部18は、プラスチック製検眼レンズ10となる熱可塑性樹脂の射出成形品をコーティング液に浸漬する際に、支持部18を支持具等に固定することにより、プラスチック製検眼レンズ10を支持する部分である。
ホルダ部13と支持部18とは、支持具に固定される部位であり支持部18の法線方向の反対位置にホルダ部が形成されている位置関係で形成されている。
なお、支持部18は、プラスチック製検眼レンズ10にコーティング層を形成した後、外周リング部12との間で切断、除去される。このため、プラスチック製検眼レンズ10の構成には、支持部18は含まれない。
また、外周リング部12には、レンズ部11を上下の向きを正しく設置したときにレンズ部11の左右両側となる箇所に、水平基準線の方向を表すマーク14が形成されている。これらのマーク14は外周リング部12の一部を窪ませた凹部により形成されている。
外周リング部12、ホルダ部13及び支持部18は、レンズ部11と同時に熱可塑性樹脂の射出成形により形成される。また、マーク14は、レンズ部11、外周リング部12、ホルダ部13及び支持部18を成形するときに、射出成形に用いられる型に形成された凸部によって同時成形される。
プラスチック製検眼レンズ10のレンズ部11は、例えば、直径35mm、有効領域は35mm、レンズ部11の中心肉厚は約2.4mm程度で形成される。また、外周リング部12の厚さは、眼鏡試験枠に装填するための規格に併せて、例えば、2mm程度の厚さで形成される。
次に、図4に示すプラスチック製検眼レンズ10のA−A’断面図を図5に示す。また、図5には、プラスチック製検眼レンズ100のレンズ部101と外周リング部102との接続部分の拡大図を併せて示す。
図5に示すように、プラスチック製検眼レンズ10のレンズ部11は、凸面と凹面とからなる。そして、累進多焦点部17は、プラスチック製検眼レンズ11の凸面、凹面のうちの何れか一方の面、又は、両面に形成される。以下の説明では、レンズ部11の両面に、累進多焦点部17が形成されている場合について説明する。
図5に示すように、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズ10は、レンズ部11の円端部、つまりレンズ部11が外周リング部12に接する部分において、レンズ部11の高さhLが、このレンズ部11の円端部と接する外周リング部12の高さhRよりも大きい構成である。
なお、本実施の形態においては、図5に示すように、プラスチック製検眼レンズ12の両面において、外周リング部12の厚さの中心から、レンズ部11が外周リング部12に接する円端部まで、つまりレンズ部11の円端部までを、レンズ部11の高さhL若しくはレンズ部11の円端部の高さhLとする。また、プラスチック製検眼レンズ12の両面において、外周リング部12の厚さの中心から、外周リング部12の最も厚い部分までを、外周リング部12の高さhRとする。
プラスチック製検眼レンズ10の支持部18側は、凸面、凹面共に、レンズ部11の高さhLが外周リング部12の高さhRよりも大きい。また、ホルダ部13側においても、凸面、凹面共に、レンズ部11の高さhLが外周リング部12の高さhRよりも大きい。
プラスチック製検眼レンズ10における、レンズ部11の円端部の高さhLと外周リング部12の高さhRとの関係について説明する。
図6Aに、図4で示したプラスチック製検眼レンズ10を異なる角度から見た状態を示す。また、図6Bに、プラスチック製検眼レンズ10の凸面側におけるレンズ部11の円端部と外周リング部12との高さの関係をグラフで示す。そして、図6Cに、プラスチック製検眼レンズ10凹面側に、おけるレンズ部11の円端部と外周リング部との高さの関係をグラフで示す。
なお、図6B及び図6Cでは、上述の図3B及び図3Cと同様に、縦軸を、外周リング部12の高さhRを基準としたレンズ部11の円端部の高さhLとして示す。また、横軸を、レンズ部11の中心からホルダ部13と法線方向反対する位置の方向、つまり支持部18が形成されている方向を0°とし、図面右方向への角度をプラスの角度、左方向への角度をマイナスの角度として示す。さらに、比較のため、図3B及び図3Cに示した従来のプラスチック製検眼レンズのレンズ部の円端部の高さhLと外周リング部の高さhRとの関係を破線で示している。
図6Bに示すように、プラスチック製検眼レンズ10の凸面側では、レンズ部11の円端部の高さhLが約0.01mm〜0.15mmまで分布している。
外周リング部12の高さhRを基準にして、レンズ部11の円端部の高さhLがすべて0より大きいため、プラスチック製検眼レンズ10の凸面側は、レンズ部11の円端部の高さhLが、外周リング部12の高さhRよりも大きい構成である。
プラスチック製検眼レンズ10では、上述の図3Bで示したプラスチック製検眼レンズの最も低い部分が、ほぼ−0.1mmであったため、プラスチック製検眼レンズ10において、レンズ部11の凸面側の厚さを、図3Bの場合よりも0.1mm厚く形成した状態である。
また、図6Cに示すように、プラスチック製検眼レンズ10の凹面側では、レンズ部11の円端部の高さhLが、0.02mm〜0.44mm程度まで分布している。
外周リング部12を基準にして、レンズ部11の円端部の高さhLがすべて0より大きいため、プラスチック製検眼レンズ10の凹面側は、レンズ部11の円端部の高さhLが、外周リング部12の高さhRよりも大きい構成である。
プラスチック製検眼レンズ10では、上述の図3Cで示したプラスチック製検眼レンズの最も低い部分が、ほぼ0.18mmであったため、プラスチック製検眼レンズ10において、レンズ部11の凹面側の厚さを、図3Bの場合よりも0.2mm厚く形成した状態である。
上述のように、レンズ部11の円端部の高さhLを、外周リング部12の高さhRより大きくするためには、レンズ部11の円端部の最も低い位置が外周リング部12の高さhR以上となるように、レンズ部11の凸面側、又は、凹面側のそれぞれ厚く形成する。このとき、外周リング部12の高さhRを基準にして、レンズ部11の凸面側及び凹面側のうち、累進多焦点部が形成されている側の面のみを厚く形成する。
なお、レンズ部の厚さを凸面側、凹面側でそれぞれ0.1〜0.5mm程度厚くし、レンズ部全体の厚さを0.1〜1.0mm程度厚くしても、プラスチック製検眼レンズとしての光学特性には影響が少ない。好ましくは、レンズ部の厚さを凸面側、凹面側でそれぞれ0.1〜0.2mm程度厚くし、レンズ部全体の厚み増加量を0.1〜0.5mm程度にすれば、光学特性への影響はほとんど生じない。
上述のように、プラスチック製検眼レンズ10は、レンズ部11の円端部の高さhLが外周リング部12の高さhRよりも大きい。このため、例えば、プラスチック製検眼レンズ10を製造する際、射出成型品にコーティング液を塗工する工程において、レンズ部11の円端部に余剰のコーティング液が溜まらない。このため、プラスチック製検眼レンズ10の外部に排出されない余剰なコーティング液がレンズ部11上に滞留しない。従って、コーティング液を硬化する工程において、余剰なコーティング液の流入によるレンズ部11での、コーティング層の厚さのバラツキを防ぐことができる。
例えば、ディップ法でコーティング層を形成する場合には、図6Aに示す0°〜±90°の位置において、上述のレンズ部の円端部の高さhLが外周リング部の高さhRよりも大きい構成とする。この構成により、レンズ部11への余剰なコーティング液の流入を防ぐことができる。このため、プラスチック製検眼レンズ10において、レンズ部11でのコーティング層の厚さのバラツキを防ぐことができる。
また、ディップ法でコーティング層を形成する場合には、±90°〜180°の部分、つまり、図6Aの下側半分では、外周リング部よりも高さが小さいレンズ部11の端部に溜まったコーティング液は、重力に引かれて外周リング部12側に流下する。このため、レンズ部11側にコーティング液が流入せず、レンズ部11のコーティング層の厚さ影響を与えない。このため、±90°〜180°の部分においては、レンズ部の円端部の高さhLが外周リング部の高さhRよりも小さい部分が設けられていてもよい。
また、スピンコート法によりコーティング層を形成する場合には、レンズの上下方向に関係なく、レンズ部の円端部の高さhLを外周リング部の高さhRよりも大きい構成とする。この構成により、余剰なコーティング液が溜まる部分がレンズ部11の円端部に形成されない。このため、プラスチック製検眼レンズ10の外部に排出されないコーティング液のレンズ部11の円端部での滞留を防ぐことができる。
従って、余剰なコーティング液がレンズ部11内に流入した状態でコーティング液を硬化した場合に発生する、レンズ部11でのコーティング層の厚さのバラツキを防ぐことができる。
上述のように、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズ10によれば、レンズ部11の円端部の高さhLを、このレンズ部11の円端部と接する外周リング部12の高さhRよりも大きい構成とすることにより、レンズ部11において均一な厚さのコーティング層を形成することができる。
(プラスチック製検眼レンズの製造方法)
次に、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズ10の製造方法について説明する。
プラスチック製検眼レンズの製造方法は、プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成形品を形成する工程と、この射出成型品にコーティング層を形成する工程と、コーティング層を形成した後、支持部を除去する工程とからなる。
図7に、熱可塑性樹脂の射出成形品を形成する工程において使用する、射出成形装置の型装置の概略構成図を示す。
型装置20は、パーティクルラインPLから型分割される上型21と、下型22とを備える。
上型21は、内インサート部材23と、内インサート部材23の外側に設けられた外インサート部材24とを備える。また、内インサート部材23と外インサート部材24との間には、プラスチック製検眼レンズのレンズ部の肉厚調製用のスペーサ25が配置されている。
また、下型22は、内インサート部材26と、内インサート部材26の外側に設けられた外インサート部材27とを備える。また、内インサート部材26と外インサート部材27との間には、プラスチック製検眼レンズのレンズ部の肉厚調製用のスペーサ28が配置されている。
上型21の内インサート部材23と、下型22の内インサート部材26とは、上下に対向して配置されている。また、上型21の外インサート部材24と、下型22の外インサート部材27とも、上下に対向して配置されている。
上型21の内インサート部材23と下型22の内インサート部材26とにより、レンズ部形成部29が形成されている。また、パーティクルラインPLに沿って、外周リング部形成部31、ホルダ部形成部32、及び、支持部形成部33が、上型21の外インサート部材24と、下型22の外インサート部材27との間に形成されている。
上型21又は下型22の外インサート部材24,27には、ホルダ部形成部32にあわせて、左右区別表示や加入度表示等を形成するための図示しない印刻マークが設けられている。
レンズ部形成部29は、製造するプラスチック製検眼レンズのレンズ部に合わせて、一方の面が球面になるように凹面を形成し、他方の面が球面になるような凸面を形成する。図7に示す型装置20では、上型21の内インサート部材23が凹面を形成し、下型22の内インサート部材26が凸面を形成している。
また、上型21の内インサート部材23の凹面、及び、下型22の内インサート部材26の凸面では、遠用部、近用部、及び、加入度が異なる累進多焦点部に応じた曲面が形成されている。
なお、累進多焦点部をプラスチック製検眼レンズの凹面又は凸面の何れかの面に形成する場合には、累進多焦点部を形成する側の内インサート部材にのみ加入度が異なる累進多焦点部に応じた曲面を形成すればよい。
上述の型装置20において、内インサート部材23,26から形成されるレンズ部形成部29の端部の厚さを、外インサート部材24,27から形成される外周リング部形成部31の厚さよりも大きく構成する。レンズ部形成部29の厚さは、例えば、肉厚調製用スペーサ25,28により調製する。
このような構成の型装置20を用いることにより、累進多焦点部が形成される面のレンズ部の円端部の高さを外周リング部の高さよりも大きく構成した、射出成型品を形成することができる。
なお、累進多焦点部が凸面又は凹面の何れかの面のみに形成される場合には、累進多焦点部が形成される面のみに、上述のレンズ部の円端部の高さが大きくなる型装置20を形成する。また、凸面及び凹面の両方に累進多焦点部が形成される場合には、上述のレンズ部の両面の円端部の高さが大きくなる型装置20を形成する。
次に、図7に示すように、上型21と下型22とを型締めした後に、図示しない射出成形装置の射出ノズルから溶融した熱可塑性樹脂を型装置20内に射出する。これにより、型装置20内のレンズ部形成部29、外周リング部形成部31、ホルダ部形成部32、及び、支持部形成部33内を溶融した熱可塑性樹脂で充填する。
熱可塑性樹脂としては、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)系樹脂やPC(ポリカーボネート)系樹脂等、通常のプラスチックレンズ、又は、プラスチック製検眼レンズに使用されている材料を使用することができる。
次に、型装置20内に充填した樹脂が固化し、射出成型品が形成された後、上型21と下型22とをパーティクルラインPLから型開きする。そして、上型21及び下型22に付着した射出成型品を剥離し、型装置20から射出成型品を取り出す。
以上の工程により、プラスチック製検眼レンズとなる、熱可塑性樹脂の射出成形品を形成する。
次に、プラスチック製検眼レンズの射出成形品に洗浄等の所定処理を行う。
まず、図8Aに示すように、射出成形品30の支持部18に図示しない支持具に固定する。そして、図8Bに示すように、支持具につり下げられた状態の射出成型品30のレンズ部11、外周リング部12、及び、ホルダ部13を、コーティング液34に浸漬する。
そして、図9Cに示すように、射出成形品30コーティング液34からを引き上げる。この引き上げ時に、レンズ部11の表面に付着した大部分の余剰のコーティング液はレンズ部11表面に沿って、レンズ上部からレンズ下部に向かって比較的広い面積でほぼ均一に流下する。また、一部のコーティング液はレンズ部11の円端部に沿って下方へ流れるが、射出成型品30の構成を、レンズ部11の円端部の高さが外周リング部12の高さよりも大きい構成とすることにより、コーティング液が外周リング部12に沿って下方へ流れる。
このため、図9Dに示すように、射出成型品30をコーティング液34から完全に引き上げた際に、レンズ部11の円端部に余剰なコーティング液が溜まらない。このため、プラスチック製検眼レンズ10の外部に排出されない余剰なコーティング液が、レンズ部11の表面側に、液滴となって流入しない。
従って、コーティング液を硬化する工程において、余剰なコーティング液の流入によるコーティング層の厚さの変化を防ぐことができ、レンズ部11において均一な厚さのコーティング層を形成することができる。
また、スピンコート法によりコーティング層を形成する場合には、例えば、スピンコーターを用いて射出成型品30を回転させ、この射出成型品の表面にハードコート液等のコーティング液を滴下する。このときには、レンズの上下方向に関係なく、レンズ部11の円端部の高さが外周リング部12の高さよりも大きい構成とする。この構成により、余剰なコーティング液が溜まる部分が、レンズ部11の円端部に形成されない。このため、プラスチック製検眼レンズ10の外部に排出されないコーティング液の、レンズ部11の円端部での滞留を防ぐことができる。
従って、余剰なコーティング液がレンズ部11内に流入した状態でコーティング液を硬化した場合に発生する、レンズ部11でのコーティング層の厚さのバラツキを防ぐことができる。
そして、上述のディップ法、又は、スピンコート法によりコーティング液を塗工した後、紫外線を照射、又は、加熱乾燥することにより、射出成型品30の表面にコーティング層を形成する。さらに、射出成型品30の支持部18を、外周リング部12との間で切断することにより、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズを製造することができる。
本実施の形態のプラスチック製検眼レンズの製造方法によれば、上述のように、レンズ部の円端部の高さが外周リング部の高さよりも大きい構成とすることにより、プラスチック製検眼レンズの表面のコーティング層の厚さを均一に形成することができる。
なお、上述の本実施の形態の説明では、熱可塑性樹脂の射出成型品にコーティング層を形成することにより、本実施の形態のプラスチック製検眼レンズを構成するように説明しているが、コーティング層が形成されていない状態であっても本発明のプラスチック製検眼レンズとすることができる。プラスチック製検眼レンズのレンズ部の円端部、つまりレンズ部が外周リング部に接する部分において、レンズ部の高さが、このレンズ部の円端部と接する外周リング部の高さよりも大きい構成であれば、本発明のプラスチック製検眼レンズとすることができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,100 プラスチック製検眼レンズ、11,101 レンズ部、12,102 外周リング部、13,103 ホルダ部、14,104 マーク、15,105 遠用部、16,106 近用部、17,107 累進多焦点部、18,108 支持部、20 型装置、21 上型、22 下型、23,26 内インサート部材、24,27 外インサート部材、25,28 スペーサ、29 レンズ形成部、30 射出成型品、31 外周リング部形成部、32 ホルダ部形成部、33 支持部形成部、34 コーティング液、110 塗工不良部、PL パーティクルライン

Claims (4)

  1. コーティング層が形成されているプラスチック製検眼レンズであり
    少なくとも一方の面に、遠用部と、近用部と、前記遠用部及び前記近用部の間の累進多焦点部とを有するレンズ部と、
    前記レンズ部の外周に設けられ、前記レンズ部と一体に形成されており、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部とを備え、
    前記レンズ部の前記累進多焦点部が形成されている側において、前記レンズ部の全周にわたって、前記レンズ部の前記外周リング部と接する部分の高さが、前記外周リング部の高さよりも大きい
    ことを特徴とするプラスチック製検眼レンズ。
  2. コーティング層が形成されているプラスチック製検眼レンズであり
    少なくとも一方の面に、遠用部と、近用部と、前記遠用部及び前記近用部の間の累進多焦点部とを有するレンズ部と、
    前記レンズ部の外周に設けられ、前記レンズ部と一体に形成されており、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部と、
    前記外周リング部と接して一体に形成されたホルダ部とを備え、
    前記ホルダ部は、前記プラスチック製検眼レンズをコーティング液に浸漬して前記コーティング層を形成する際に、前記コーティング液の上方より支持具に固定される部位に対し、レンズ投影平面上におけるレンズ部中心から前記支持具への方向と反対方向における位置に備えられており、
    前記レンズ部の前記累進多焦点部が形成されている側において、レンズ投影平面上におけるレンズ部中心から前記ホルダ部へ向かう方向と反対の方向を0°としたときに、少なくとも前記プラスチック製検眼レンズの0°から90°までの部分において、前記レンズ部の前記外周リング部と接する部分の高さが、前記外周リング部の高さよりも大きい
    ことを特徴とするプラスチック製検眼レンズ。
  3. プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成型品を形成する工程と、
    前記射出成型品にコーティング層を規制する工程と、を有し、
    前記射出成型品を形成するための型に、
    少なくとも一方の面に、近用部と遠用部と前記遠用部及び前記近用部の間の累進多焦点部との光学面を有する射出成型品のレンズ部を成型する、レンズ成型部と、
    レンズ部の周縁に形成され、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部を成型する、リング成型部と、が含まれており、
    前記レンズ成型部の前記累進多焦点部となる光学面が形成されている側において、レンズ部の全周にわたって、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さを、外周リング部の高さよりも大きくなるように成型し、
    前記コーティング層を形成する工程において、コーティング液の塗工はスピンコート法である
    ことを特徴とするプラスチック製検眼レンズの製造方法。
  4. プラスチック製検眼レンズとなる熱可塑性樹脂の射出成型品を形成する工程と、
    前記射出成型品にコーティング層を規制する工程と、を有し、
    前記射出成型品を形成するための型に、
    少なくとも一方の面に、近用部と遠用部と前記遠用部及び前記近用部の間の累進多焦点部との光学面を有する射出成型品のレンズ部を成型する、レンズ成型部と、
    レンズ部の周縁に形成され、眼鏡試験枠に装填する際にホルダリングとなるリング状の外周リング部を成型する、リング成型部と、
    外周リング部から法線方向外側に延出するホルダ部を形成する、ホルダ成型部と、
    ホルダ部の法線方向の反対位置に延出する支持部を形成する、支持部成型部と、が含まれており、
    前記レンズ成型部の前記累進多焦点部となる光学面が形成されている側において、射出成型品のレンズ部の中心から前記支持部の方向を0°としたときに、少なくとも0°から90°までの部分において、レンズ部の外周リング部と接する部分の高さが、外周リング部の高さよりも大きくなるように成型し、
    前記コーティング層を形成する工程において、コーティング液の塗工はディップ法であり、コーティング液から射出成型品を引き上げる際において支持部から引き上げる
    ことを特徴とするプラスチック製検眼レンズの製造方法。
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