JP6026820B2 - バイフォーカルレンズのディップコーティング方法 - Google Patents
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Description
バイフォーカルレンズを用いるディップコーティング法としては、例えば特許文献2に記載されている方法がある。この方法は、バイフォーカルレンズを浸漬槽から引き上げる速度を通常より遅くして実施する。
特許文献2に開示されている方法では、引き上げステップに要する時間が長くなるために生産性が低くなってしまうという問題と、ハードコート膜の膜厚が薄くなってしまうという問題があった。
したがって、本発明によれば、セグメントトップから塗布液が流れた痕跡が残ることがないとともに、生産性よく充分な膜厚のコーティング膜を形成できるバイフォーカルレンズのディップコーティング方法を提供することができる。
本発明に係るバイフォーカルレンズのディップコーティング方法を実施するにあたっては、先ず、図1に示すフローチャートの浸漬ステップS1が実施される。そして、所定の時間が経過した後に引き上げステップS2が実施され、その後に硬化ステップS3が実施される。
<浸漬ステップ>
前記浸漬ステップS1は、図2および図3に示すようなバイフォーカルレンズ11を図4に示すような浸漬槽12に後述する所定の姿勢とした状態で浸漬させて行う。
前記バイフォーカルレンズ11は、凸曲面からなるレンズ面13に小玉14が形成されたものである。
ハードコート液は、例えば、以下のように調製することができる。すなわち、マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、メタノール30質量部、および、水分散コロイダルシリカ(固形分40質量%、平均粒子径15nm)28質量部を加え充分に混合し、5℃で24時間攪拌を行う。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部、シリコ−ン系界面活性剤0.05質量部、および、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−トを1.5質量部加え、充分に撹拌した後、濾過を行うことによって、ハードコーティング液が調製される。
また、このハードコート液は、粘度が2〜10cps程度であるものを用いることができる。
第1の条件は、バイフォーカルレンズ11の周方向の角度を規制するための条件である。この第1の条件は、図4に示すように、前記バイフォーカルレンズ11を正面から見て前記セグメントトップ15が上下方向に延びるとともにセグメントトップ15の下端15aを通る接線L1が鉛直方向または略鉛直方向に延びることである。この実施の形態における前記セグメントトップ15の下端15aは、前記バイフォーカルレンズ11を眼鏡フレームの形状に形成した状態において鼻側となるセグメントトップ15の一端である。
前記「略鉛直方向」とは、前記接線L1が鉛直方向に対して±5度程度、多くても±10度程度傾斜させることが可能であることを意味する。
この第2の条件を満たす傾斜角度θは、バイフォーカルレンズ11のレンズ面13の曲率(ベースカーブ)と外径とに基づいて決まる。代表的なバイフォーカルレンズ11に対する傾斜角度θを以下の表1に示す。
表1から判るように、本発明を実施するためには、前記傾斜角度θを約19度〜約37度とすることが望ましい。
引き上げステップS2は、上述したように浸漬槽12内に浸漬されたバイフォーカルレンズ11を浸漬槽12の上方に引き上げるステップである。この引き上げステップS2は、バイフォーカルレンズ11を浸漬槽12内に浸漬させたときと同一の状態(前記第1、第2の条件が満たされる状態)に保ち、上方へ所定の速度で引き上げて行う。この引き上げ速度は、バイフォーカルレンズ11ではない他のレンズ(図示せず)を使用する場合と同等の速度に設定することができる。引き上げ速度は、例えば、20cm/分とすることができる。
したがって、この実施の形態によれば、セグメントトップ15から塗布液16が流れた痕跡が残ることがなく歩留まりが向上するとともに、生産性よく充分な膜厚のコーティング膜を形成できるバイフォーカルレンズ11のディップコーティング方法を提供することができる。
このため、この実施の形態によれば、前記痕跡に起因する不良品が生じ難くなるから、歩留まりがさらに向上するバイフォーカルレンズ11のディップコーティング方法を提供することができる。
上述したように浸漬槽12から引き上げられたバイフォーカルレンズ11は、図示していない硬化装置に送られる。
硬化装置は、バイフォーカルレンズ11を予め定めた硬化時間だけ予め定めた硬化温度に保持する。前記硬化時間は、例えば60分程度とし、前記硬化温度は、例えば100℃程度とすることができる。この実施の形態によるディップコーティング方法によれば、バイフォーカルレンズ11のレンズ面13に厚みが約3μmのハードコート膜を形成することができる。
バイフォーカルレンズ11を上述した第1、第2の条件が満たされるように保持するためには、図7および図8に示すようなディップコーティング用レンズ保持装置21を用いることによって容易に行うことができる。図7および図8において、前記図1〜図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
前記枠体23は、載置用の脚部24と、この脚部24に支柱25を介して支持された支持用ブラケット26とを備えている。支持用ブラケット26は、レンズ保持部22が並ぶ水平方向に延びている。
前記第1〜第3のアーム31〜33のうち、バイフォーカルレンズ11の下端部を支える第1のアーム31と、バイフォーカルレンズ11における前記枠体23の支持用ブラケット26に近い側部を支える第2のアーム32は、前記支持部材34に固定されている。
このため、レンズ面13の下端13aを通る接線L1が鉛直方向または略鉛直方向となるようにバイフォーカルレンズ11を保持する作業を簡単に行うことができる。この結果、この実施の形態によるレンズ保持装置21を使用することによって、レンズ面13の曲率が異なるバイフォーカルレンズ11に能率よく塗布液16をコーティングすることが可能になる。
また、上方から見て隣り合うバイフォーカルレンズ11どうしが互いに離間するから、バイフォーカルレンズ11の着脱を他のバイフォーカルレンズ11に干渉されることなく容易に行うことができる。
Claims (4)
- 小玉のセグメントトップが正面視において円弧状に形成されたバイフォーカルレンズを塗布液が貯留された浸漬槽に浸漬させる浸漬ステップと、
前記バイフォーカルレンズを前記浸漬槽から引き上げる引き上げステップとを有し、
前記浸漬ステップと前記引き上げステップは、バイフォーカルレンズの周方向の角度を規制する第1の条件と、バイフォーカルレンズの傾斜角度を規制する第2の条件とが満たされるように行われ、
前記第1の条件は、前記バイフォーカルレンズを正面から見て前記セグメントトップが上下方向に延びるとともにセグメントトップの下端を通る接線が鉛直方向または略鉛直方向に延びることであり、
前記第2の条件は、前記バイフォーカルレンズを光軸と直交する水平方向から見て小玉を有するレンズ面の下端を通る接線が鉛直方向または略鉛直方向に延びることであり、
前記引き上げステップは、前記第1の条件と前記第2の条件とが満たされる状態を保ちながら前記バイフォーカルレンズを前記浸漬槽から引き上げて実施されることを特徴とするバイフォーカルレンズのディップコーティング方法。 - 請求項1記載のバイフォーカルレンズのディップコーティング方法において、前記第1の条件が満たされるように周方向の角度が設定されたバイフォーカルレンズにおける前記セグメントトップの下端は、前記バイフォーカルレンズを眼鏡フレームの形状に形成した状態において鼻側となるセグメントトップの一端であることを特徴とするバイフォーカルレンズのディップコーティング方法。
- 請求項1または請求項2記載のバイフォーカルレンズのディップコーティング方法において、
前記第2の条件を満たす前記バイフォーカルレンズの鉛直方向に対する傾斜角度は、レンズ面の曲率と外径とに基づいて予め定めた角度に設定されることを特徴とするバイフォーカルレンズのディップコーティング方法。 - 請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載のバイフォーカルレンズのディップコーティング方法において、
前記浸漬ステップは、複数のバイフォーカルレンズを水平方向に並べて一つの保持装置に前記第1および第2の条件が満たされるように保持させた状態でこの保持装置とともに前記浸漬槽に浸漬させることによって行われ、
前記引き上げステップは、前記保持装置とともに前記複数のバイフォーカルレンズを前記浸漬槽から引き上げることによって実施され、
前記浸漬ステップおよび前記引き上げステップは、上方から見て隣り合うバイフォーカルレンズどうしが互いに離間するとともに、前記バイフォーカルレンズどうしの間に上方および下方に向けて前記バイフォーカルレンズによって遮られることなく解放される空間が形成される状態で実施されることを特徴とするバイフォーカルレンズのディップコーティング方法。
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