JP2010191295A - バイフォーカルレンズのコーティング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイフォーカルレンズのコーティング方法において、スピンコート法でも液スジの発生箇所を抑えることを目的とする。
【解決手段】近用レンズ2において遠用レンズ1との境界を成す下側の第1の辺4と、遠用レンズ1と段差をもって境界を成す上側の第2の辺5との接点のうち、眼鏡として組み立てられた時の耳側に配置される接点6から水平方向耳側に延長する第1の線L1と、耳側の接点6から第1の線とは直交して上方に延長する第2の線L2とに挟まれる遠用レンズ1内の領域10Aに、スピンコートの回転中心9を配置する。
【選択図】図1
【解決手段】近用レンズ2において遠用レンズ1との境界を成す下側の第1の辺4と、遠用レンズ1と段差をもって境界を成す上側の第2の辺5との接点のうち、眼鏡として組み立てられた時の耳側に配置される接点6から水平方向耳側に延長する第1の線L1と、耳側の接点6から第1の線とは直交して上方に延長する第2の線L2とに挟まれる遠用レンズ1内の領域10Aに、スピンコートの回転中心9を配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、スピンコート法によりバイフォーカルレンズ表面をコーティングするバイフォーカルレンズのコーティング方法に関する。
眼鏡レンズには、耐擦傷性向上、衝撃吸収、調光機能、防曇、反射防止、防汚等のための様々な機能性皮膜が形成されている。
これらには、蒸着や、CVD(化学的気相成長)法等の乾式成膜法によって形成されるものもあるが、液状の皮膜材料をスピンコート法やディップ法によって被覆し硬化させる手法によって形成される湿式成膜法も採用されている。
湿式成膜法によって形成される膜として、レンズの硬度を高め、耐擦傷性を向上させるために成膜するハードコート膜が挙げられる。
これらには、蒸着や、CVD(化学的気相成長)法等の乾式成膜法によって形成されるものもあるが、液状の皮膜材料をスピンコート法やディップ法によって被覆し硬化させる手法によって形成される湿式成膜法も採用されている。
湿式成膜法によって形成される膜として、レンズの硬度を高め、耐擦傷性を向上させるために成膜するハードコート膜が挙げられる。
例えば下記特許文献1には、眼鏡レンズにスピンコート法によりハードコート液を塗膜することが開示されている。また下記特許文献2には、ディップ法によりバイフォーカルレンズにハードコート膜を形成する方法が開示されている。
しかし、凸面上に近用部の度数が加えられた+レンズを接続したバイフォーカルレンズでは、そのレンズ表面の複雑な形状のために、均一な皮膜を形成することが困難であった。この様子を、一般的なバイフォーカルレンズの例を示す図8〜図10を参照して説明する。
図8は、一般的なバイフォーカルレンズ10の正面図である。遠用レンズ1の中心点3に対して眼鏡として組み立てられた時の鼻側下寄りに、近用レンズ2が接続(形成)されている。この近用レンズ2は、下側の第1の辺4と上側の第2の辺5とを有する。一般的には第1の辺4は例えば円形に近い曲線状とされ、上側の第2の辺5は水平方向に緩やかにカーブする形状又は水平方向に辺5がほぼ直線の形状とされる。第1及び第2の辺4及び5は、眼鏡として組み立てられた時の耳側(外側)の接点6、鼻側(内側)の接点7とで接続される。
図9に、図8のII−II断面図を示す。図9に示すように、近用レンズ2はその下側の第1の辺4においては高さ(厚さ)が滑らかに変化しながら遠用レンズ1の表面と接続しているが、第2の辺5では遠用レンズ1の表面に対してほぼ垂直に切り立った段差形状となっている。
図9に、図8のII−II断面図を示す。図9に示すように、近用レンズ2はその下側の第1の辺4においては高さ(厚さ)が滑らかに変化しながら遠用レンズ1の表面と接続しているが、第2の辺5では遠用レンズ1の表面に対してほぼ垂直に切り立った段差形状となっている。
このバイフォーカルレンズ10に対しスピンコート法とディップ法によりコーティングを行った場合の液スジの現れ方を図10A及びBに示す。図10A及びBにおいて、図8及び図9と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
図10Aにおいては、このバイフォーカルレンズ10に対して遠用レンズ1の中心点3を回転中心としてスピンコートを行う場合を示す。この場合、中心点3と、近用レンズ2の第1の辺4及び第2の辺5の接点6、7とを結ぶ方向へ、各接点6及び7から放射状に液スジ18及び8がそれぞれ形成されてしまう。
図10Aにおいては、このバイフォーカルレンズ10に対して遠用レンズ1の中心点3を回転中心としてスピンコートを行う場合を示す。この場合、中心点3と、近用レンズ2の第1の辺4及び第2の辺5の接点6、7とを結ぶ方向へ、各接点6及び7から放射状に液スジ18及び8がそれぞれ形成されてしまう。
これに対してディップ法の場合には、図10Bに示すように、接点6と接点7とを結ぶ方向を、矢印duで示す引き上げ方向と揃えるようにすれば、バイフォーカルレンズ10をコーティング液から引き上げる際に、接点7から下垂する方向のみに液スジ28が形成される。したがって、液スジ28の形成される箇所を一箇所のみに抑えることができる。
ディップ法で成膜する場合、被覆後のバイフォーカルレンズの乾燥中に、コーティング液がレンズ下部に流れることによってたるみが生じやすくなる。上記引用文献2には、ディッピングスピードを遅くすることによってこのたるみをある程度抑えることも提案されているが、工程時間を延ばすことは、生産上あまり好ましくない。一方、スピンコート法で成膜する場合、レンズの外方に向けてコーティング液が振り切られるため、このたるみは生じにくい。
上記問題に鑑みて、本発明は、バイフォーカルレンズにコーティングを行うにあたって、スピンコート法においても液スジの発生する箇所を抑えることを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明では、遠用レンズ上に載置された近用レンズにおいて、遠用レンズとの境界を成す第1の辺と、遠用レンズと段差をもって境界を成す第2の辺との接点のうち、眼鏡として組み立てられた時の耳側に配置される接点から水平方向耳側に延長する第1の線と、この耳側の接点から第1の線とは直交して上方に延長する第2の線とに挟まれる遠用レンズ内の領域に、スピンコートの回転中心を配置する。
このように、近用レンズの第1の辺と第2の辺との接点のうち、耳側の接点から水平方向耳側で、上側の領域にスピンコートの回転中心を配置することにより、スピンコート法によるにも係わらず、液スジの発生を抑えることができる。具体的には、この場合近用レンズの第1の辺と第2の辺との接点のうち、鼻側の接点から鼻側に向かう液スジのみとすることができるので、ディップ法による場合と同様に液ダレを一方向に抑え、またその方向を装用者の視野に殆ど影響を与えない位置とすることが可能となる。
本発明によれば、スピンコート時に生じる液スジの発生する箇所を抑えることができる。
以下本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.第1の実施の形態(液スジが1箇所となる例)
図1は、本発明の一実施の形態に係るバイフォーカルレンズのコーティング方法における回転中心の配置領域を示す説明図であり、バイフォーカルレンズ10の平面図を示している。この例では、図8において説明したバイフォーカルレンズ10と同様の構成の例を示し、対応する部分には同一符号を付して示す。
前述したように、遠用レンズ1上の鼻側下寄りに載置された近用レンズ2は、高さ(厚さ)がほぼ滑らかに変化して遠用レンズ1の表面に接続される下側の第1の辺4と、遠用レンズ1の表面に対して断差を有する第2の辺5とを有する。本実施の形態においては、第1の辺4及び第2の辺5の接点6及び7のうち、眼鏡として組み立てられたときの耳側の接点6から水平方向耳側に延長する第1の線L1と、接点6から第1の線L1に対して垂直な上方に延びる第2の線L2を規定する。そしてスピンコートの回転中心9を、遠用レンズ1の中心点3ではなく、これら第1の線L1及び第2の線L2によって挟まれた遠用レンズ1上の領域10Aに設定する。すなわちこの領域10Aは、第1の線L1に対して上側で、且つ、第2の線L2に対して耳側の領域である。
1.第1の実施の形態(液スジが1箇所となる例)
図1は、本発明の一実施の形態に係るバイフォーカルレンズのコーティング方法における回転中心の配置領域を示す説明図であり、バイフォーカルレンズ10の平面図を示している。この例では、図8において説明したバイフォーカルレンズ10と同様の構成の例を示し、対応する部分には同一符号を付して示す。
前述したように、遠用レンズ1上の鼻側下寄りに載置された近用レンズ2は、高さ(厚さ)がほぼ滑らかに変化して遠用レンズ1の表面に接続される下側の第1の辺4と、遠用レンズ1の表面に対して断差を有する第2の辺5とを有する。本実施の形態においては、第1の辺4及び第2の辺5の接点6及び7のうち、眼鏡として組み立てられたときの耳側の接点6から水平方向耳側に延長する第1の線L1と、接点6から第1の線L1に対して垂直な上方に延びる第2の線L2を規定する。そしてスピンコートの回転中心9を、遠用レンズ1の中心点3ではなく、これら第1の線L1及び第2の線L2によって挟まれた遠用レンズ1上の領域10Aに設定する。すなわちこの領域10Aは、第1の線L1に対して上側で、且つ、第2の線L2に対して耳側の領域である。
一例として、上記領域10A内のうち、接点6の位置に回転中心を配置する場合のバイフォーカルレンズ10を回転軸に装着した状態の平面図及び断面図を図2A及びBに示す。図2Aに示すように、バイフォーカルレンズ10は、回転機構30における回転軸31の先端の吸着盤32によって固定される。
そしてこの場合、回転軸31の中心、すなわちこの場合吸着盤32の中心を、接点6に対応する裏側(図示の例では凹面側)の位置に配置する。図2Bはこの図2AにおけるIV―IV断面図である。図2Bに示すように、回転軸31と吸着盤32に通じた吸引孔33から図示しない排気手段により減圧することにより、吸着盤32上に遠用レンズ1の裏面が回転軸31に固定される。なお、回転機構30における回転軸31へのバイフォーカルレンズ10の固定態様はこの例に限定されるものではなく、その他の構成を採用することが可能であって、回転中心9の位置を領域10A内に配置できるものであればよい。
そしてこの回転軸12を中心にバイフォーカルレンズ10を回転させながら、コーティング液を塗布し皮膜を形成する。
そしてこの回転軸12を中心にバイフォーカルレンズ10を回転させながら、コーティング液を塗布し皮膜を形成する。
本実施の形態におけるコーティング液の流れを図3に示す。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。スピンコート時には、遠心力によって回転中心9を中心としてほぼ放射状に、遠用レンズ1の周縁部に向かってコーティング液が広がっていく。
ここで、広がっていくコーティング液が近用レンズ2と接触する経路には下記の2つのパターンが挙げられる。1つは図3矢印aで示す経路のように、回転中心9と接点6とを結ぶ線分に対して、中心点3寄りの領域を流れていく経路である。
ここで、広がっていくコーティング液が近用レンズ2と接触する経路には下記の2つのパターンが挙げられる。1つは図3矢印aで示す経路のように、回転中心9と接点6とを結ぶ線分に対して、中心点3寄りの領域を流れていく経路である。
この経路では、流れるコーティング液は遠用レンズ1の表面に対して段差のある近用レンズ2の第2の辺5にぶつかり、この辺5に沿って矢印a1で示すように外側に流れていくことにより、コーティング液の溜まりができる。そして接点7に達すると、ほぼ回転中心9と接点7とを結ぶ方向に働く遠心力によって再び流れ、ここに液スジ8が発生する。
これに対して回転中心9と接点6とを結ぶ線分に対して、中心点3とは反対側の領域を流れる図2の矢印bで示す経路では、コーティング液が回転中心9から近用レンズ2の第1の辺4に向かって流れる。このとき、第1の辺4は上述したように遠用レンズ1の表面に対してほぼ滑らかに高さが変化するよう接続されているため、コーティング液はそのまま矢印b1で示すように近用レンズ2上を流れ広がっていく。このため、この経路において液スジは形成されない。
このように、本実施の形態では、上述の領域10A内にスピンコート時の回転中心9を設定することで、液スジの形成される箇所を1つに抑えることができる。
また、本実施の形態では、スピンコート法によりハードコート等のコーティング液の塗布を行うので、図10Bのディップ法による場合に比べ工程時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、スピンコート法によりハードコート等のコーティング液の塗布を行うので、図10Bのディップ法による場合に比べ工程時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
次に、中心点3以外の位置で、且つ、領域10Aの外側に回転中心を配置する場合のコーティング液の流れと液スジの現れ方について説明する。このような例として、例えば図4に示すように、領域10Aと中心点3との間に回転中心9を配置することが考えられる。図4においても、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この場合には、回転中心9から放射状に広がるコーティング液が近用レンズ2の第2の辺5とぶつかるとこの辺5に沿って流れる。そして接点6及び接点7から外側に向かう方向、すなわち回転中心9から両接点6及び7に向かう方向のほぼ延長線上にそれぞれ液スジ18及び8が発生し、つまり液スジが2箇所形成されてしまう。したがって、接点7から上側に向かう第3の線L3を考えたとき、第2の線L2と第3の線L3との間で第2の辺5の上側に回転中心9を配置するとき、このように液スジが2箇所となってしまうことがわかる。
また、領域10Aの下側にスピンコートの回転中心9を配置することも考えられる。この場合を図5に示す。図5において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。回転中心9を、第1の線L1と、第2の線L2の下側に延びる延長線L2’との間の領域に配置する場合である。
このように回転中心9を配置する場合、矢印a5で示すように回転中心9から接点6に至る方向と、矢印b5で示すように第1の辺4を超えて近用レンズ2上を流れ、接点7に至る方向との間で、特に第2の辺5の段差付近に液飛びが発生してしまう。このため、第2の辺5の上側の領域15(図中斜線を付して示す)において、遠用レンズ1の表面にコーティング液が被覆されない領域や、膜厚ムラのある領域が生じる恐れがある。したがって、第1の線L1と第2の線L2の延長線L2’との間の領域に回転中心9を配置することは好ましくない。
ところで、液スジの形成箇所を1箇所に抑えるには、例えば図3において、第3の線L3より鼻側で、接点7から鼻側に水平に延長する線より上側であれば、領域10Aに回転中心9を配置する場合と同様に、液スジが接点6側のみに発生すると考えられる。しかし、バイフォーカルレンズ10における近用レンズ2は、遠用レンズ1の中心点3より鼻側に少し寄った位置に配置され、接点7から遠用レンズ1の外周までの距離は、接点6から遠用レンズ1の外周までの距離よりも短い。
このため、接点7から形成される液スジの長さは接点6から形成される液スジと比べて短くなる。つまり、回転中心9を領域10Aに配置する方が液スジを短くできることとなるので好ましい。
また、このように接点7側から鼻側に至る領域は、レンズをフレーム形状に加工する際に比較的多く削られる部分であり、また近用レンズ2よりも鼻側の位置となるため、眼鏡が完成した時には視認されにくく、目立たなくすることができる。
また、このように接点7側から鼻側に至る領域は、レンズをフレーム形状に加工する際に比較的多く削られる部分であり、また近用レンズ2よりも鼻側の位置となるため、眼鏡が完成した時には視認されにくく、目立たなくすることができる。
2.第2の実施の形態(回転方向を考慮する例)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るバイフォーカルレンズのコーティング方法における回転中心の配置位置を示す平面図である。図6において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。本実施の形態では、接点7から第2の辺5の接線方向に延びる線を第4の線L4としたとき、この第4の線L4と第2の線L2とにより挟まれる領域10Bに、回転中心9を配置する。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るバイフォーカルレンズのコーティング方法における回転中心の配置位置を示す平面図である。図6において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。本実施の形態では、接点7から第2の辺5の接線方向に延びる線を第4の線L4としたとき、この第4の線L4と第2の線L2とにより挟まれる領域10Bに、回転中心9を配置する。
一例として、図7A及びBを参照して、回転方向による塗布状態の違いについて説明する。図7A及びBにおいて、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例では、回転中心9を領域10Bの外側となる接点6上に配置する場合を示す。
図7Aにおいては、矢印r1で示すように、第2の線L2から、遠用レンズ1の周縁部に沿って第1の線L1に向かって回転する回転方向の場合を示す。このとき、接点6から放射状に流れるコーティング液は、近用レンズ2上では矢印a7で示すように滑らかに流れ、また第2の辺5の上側に流れるコーティング液も第2の辺5に沿って遠用レンズ1の表面を被覆し、液飛びは生じない。
図7Aにおいては、矢印r1で示すように、第2の線L2から、遠用レンズ1の周縁部に沿って第1の線L1に向かって回転する回転方向の場合を示す。このとき、接点6から放射状に流れるコーティング液は、近用レンズ2上では矢印a7で示すように滑らかに流れ、また第2の辺5の上側に流れるコーティング液も第2の辺5に沿って遠用レンズ1の表面を被覆し、液飛びは生じない。
しかしながら、図7Bにおいて矢印r2で示すように、第1の線L1から遠用レンズ1の周縁部に沿って第2の線L2に向かって回転する回転方向の場合は、矢印a8で示すように、近用レンズ2上からコーティング液が段差状の第2の辺5を越えて遠用レンズ1の表面へ向かう流れが生じる。この場合、コーティング液の粘度、第2の辺5の曲率や段差の程度(高さ)等の形状、また回転数等の条件によっては、第2の辺5の段差に沿って塗膜が形成されない領域が発生するとか、厚さにムラが生じる恐れがある。
これに対し、図6に示すように領域10B内に回転中心9を配置する場合は、回転方向によらずに、図7Bに示すような液飛びが生じることなく、第2の辺5の上側にムラなく塗膜することができる。
したがって、スピンコート時の回転方向を選択できない場合は、図6に示す領域10Bに回転中心9を配置することが望ましい。
したがって、スピンコート時の回転方向を選択できない場合は、図6に示す領域10Bに回転中心9を配置することが望ましい。
また、回転方向を選択できる場合は、図7Bに示すように、第2の線L2から、遠用レンズ1の周縁部に沿って第1の線L1に向かう方向に回転することが望ましい。この方向は、右眼用レンズと左眼用レンズとで異なることとなるので、コーティングを行うレンズが右眼用か左眼用か、或いは回転機構30の条件によって、回転方向を選択するか、又は回転中心の配置位置を選択すればよいこととなる。
なお、スピンコートの際に最も膜厚を均一に、ムラなくコーティングできる回転中心位置は遠用レンズ1の中心点3となる。したがって、図6に示すように、中心点3から最も近い位置、すなわち中心点3から第2の線L2に向かう垂線と第2の線L2との交点13に、回転中心9を配置することが最も好ましい。実用的には、領域10A内(好ましくは領域10B内)であればこの交点13の近傍でもよく、例えば図2に示す回転機構30における回転軸31の直径程度の範囲内に配置すればよい。これにより、十分膜厚ムラを抑えることができ、且つ、液スジを1箇所に抑えたコーティングを行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変型例または応用例を含むものであることはいうまでもない。
1・・・遠用レンズ、2・・・近用レンズ、3・・・中心点、4・・・第1の辺、5・・・第2の辺、6,7・・・接点、8,18,28・・・液スジ、9・・・回転中心、10・・・バイフォーカルレンズ、30・・・回転機構、31・・・回転軸、32・・・吸着盤、33・・・吸引孔
Claims (4)
- 遠用レンズ上に近用レンズが載置されるバイフォーカルレンズのコーティング方法であって、
前記近用レンズにおいて前記遠用レンズとの境界を成す第1の辺と、前記遠用レンズと段差をもって境界を成す第2の辺との接点のうち、眼鏡として組み立てられた時の耳側に配置される接点から水平方向耳側に延長する第1の線と、前記耳側の接点から前記第1の線とは直交して上方に延長する第2の線とに挟まれる前記遠用レンズ内の領域に、スピンコートの回転中心を配置する
バイフォーカルレンズのコーティング方法。 - 前記第2の線と、前記近用レンズの前記第2の辺の前記鼻側の接点から第2の辺の接線方向に延びる線とに挟まれる前記遠用レンズ内の領域に、スピンコートの回転中心を配置する請求項1に記載のバイフォーカルレンズのコーティング方法。
- 前記遠用レンズの中心から前記第2の線に下ろした垂線が交わる点の近傍で、前記第1の線及び第2の線に挟まれる前記遠用レンズ内の領域に、前記スピンコートの回転中心を配置する請求項1又は請求項2に記載のバイフォーカルレンズのコーティング方法。
- 前記スピンコートの回転方向を、前記第2の線から、前記遠用レンズの周縁部に沿って前記第1の線に向かって回転する方向とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバイフォーカルレンズのコーティング方法。
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