JP5459461B2 - 被加工物の評価方法、評価装置、加工装置、加工具、摺動部品、自動車用部品、シリンダブロック、クランクシャフト、カムシャフト及びバランサシャフト - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された加工装置は、被加工物を設置かつ回動可能な主軸を有する主軸部と陥没加工部とを組み合せてなるものである。
陥没加工部は、被加工物より硬度が大きい加工部を有するものであり、被加工物の表面形状に応じて当該加工部を変位可能な加工部変位手段と、当該加工部と上記被加工物の接触点に与える接触圧力を制御可能な押圧手段とを有し、その接触圧力を制御することで加工部が被加工物の表面の一部を陥没させて微細な凹部を創成するようになっている。
そのために、被加工物に加工形成された凹部を、統計的な解析ができる数十個以上のものを測定する必要があり、従ってまた、それらの測定数が非常に多いために煩雑であり、測定時間も膨大になってしまうという問題がある。
そして、上記互いに形態が異なる二種類以上の成形用凸部のうちの、一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態を測定し、当該一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態の変化に基づき、他の微細凹部の品質を評価している。
そして、上記計測部によって計測した当該一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態の変化に基づいて、他の微細凹部の品質を評価する微細凹部評価手段を有するものとしている。
・被加工物に塑性形成した微細凹部の評価を容易に短時間で行うことができる。
・他の微細凹部と計測した微細凹部との相関を事前に調査しておくことにより、当該他の微細凹部の品質を推定することができる。
また、微細凹部に要求を満たせない形態の変化があれば、その割合によって被加工物の寿命を判断できる。
本発明の自動車用部品によれば、所要の品質を保持させられるので、摺動抵抗を低減することができる。
本発明のシリンダブロックによれば、所要の品質を保持させられるので、摺動抵抗を低減することができる。
本発明のクランクシャフトによれば、所要の品質を保持させられるので、摺動抵抗を低減することができる。
具体的には、加工具駆動部(以下、「フォームローラ駆動部」という。)30、チャッキング部40、及び図示しない移動部を有して構成されている。
心押し台42は、主軸台41と同軸上に配置した尖頭状のセンタシャフト44を備えており、このセンタシャフト44を加工前のクランクシャフト20′の他端部に係合することにより、加工前のクランクシャフト20′を軸回りに回転可能に保持している。
「成形用凸部の形態」とは、成形用凸部の機械的強度、大きさ、形状若しくはこれらの組み合わせ等を含むものである。
本実施形態においては、成形用凸部11,12のうち、一方の成形用凸部12は、他方の成形用凸部11よりも低強度にして形成されている。
さらには、相対的に機械的強度の高い成形用凸部11を所要数配列する毎に、相対的に機械的強度の低い成形用凸部12を例えば1個形成する割合にしている。
また、当接面11dは、回転方向αの前端面11aから後端面11bに向けて低くなるように傾斜して形成されている。
また、当接面21dは、回転方向αの前端面12aから後端面12bに向けて低くなるように、上記当接面11dと同じ角度に傾斜して形成されている。
すなわち、当接面12dの面積を小さくすることにより、単位面積当りの荷重を大きくして機械的強度を低下させているのである。
本実施形態においてはコイルばねを採用しているが、例えば空圧や油圧を用いたシリンダ類を用いてもよい。
また、この荷重検知装置60で検知した荷重に基づき、荷重付与部50によりフォームローラ10に与える荷重を増減制御する制御部(図示しない)が接続されている。
制御部は、荷重検知装置60で検知した荷重に基づき、荷重付与部50に制御情報を送出して所定の荷重を加工前のクランクシャフト20′に付与することにより、潤滑用凹部21,22…の深さをコントロールしている。
加工前のクランクシャフト20′の外周面20aにフォームローラ10を所定の荷重で当接させ、その加工前のクランクシャフト20′を回転させる。また、クランクシャフト20′の回転により、フォームローラ101は連れ回りする。
これにより、当該クランクシャフト20′の外周面20aに、潤滑用の微細凹部21,22を、図4に示す所定の配列で加工形成することができる。
すなわち、加工済みのクランクシャフト20に形成されている微細凹部21,22の一部の微細凹部22の形態を測定し、測定した一部の微細凹部22の形態の変化に基づき、他の微細凹部21の品質を評価することを内容としている。
「一部の微細凹部22」には、一つ又は2つ以上のものを含むものである。
この微細凹部22の深さの変化は、加工具10に複数形成した成形用凸部12の破損に対応するもの、加工具の寿命に対応するもの、及びそれら双方に対応するものである。
また、図14において説明する「非加工部S」も、「微細凹部の形態の変化」に含めるものとする。
「評価」とは、クランクシャフト20に形成した微細凹部21…が所要の品質になっているかいないかを判別することである。
「所要の品質」とは、本実施形態においては、例えば上記した微細凹部21…が予め設定した深さになっていると推定できることである。
また、微細凹部22に要求を満たせない形態の変化があれば、その割合を計算し、フォームローラ10の機械的強度が低い成形用凸部12がいくつ破損し若しくは摩耗したのかを推定し、フォームローラ10の寿命を判断できる。
すなわち、フォームローラ10の交換時期が近いと判断し、クランクシャフト20に形成した微細凹部21…が所要の品質より低下する前に交換することができるのである。
本実施形態においては、計測した機械的強度の低い微細凹部22の深さの基準値等がメモリに記憶されている。
具体的には、計測部71により計測した微細凹部22の計測値が、その基準値より浅ければ、クランクシャフト20に形成した他の微細凹部21…が所要の品質になっていないと評価し、また、その値に一致するか深ければ、当該微細凹部21…が所要の品質になっていると評価する。
具体的には、所要の品質になっていないとの評価に対応して「合格」、所要の品質になっているとの評価に対して「不合格」等という文言を関連付けて上記メモリに記憶させておき、それら関連付けた文言を上記評価に対応してディスプレイ72に表示する。
(3)測定した成形用凸部22の形態の変化に基づき、フォームローラ10の寿命を評価する機能。この機能を加工具寿命評価手段70cという。
「フォームローラの寿命を評価する」とは、フォームローラ10の交換時期を見定めることと同義である。
図6に示す成形用凸部80は、機械的強度の低い第一の変形例に係るものであり、台形にした前端面80a,後端面80b、両側面80c,80c及び当接面80dにより区画された略直方体形に形成され、その長手方向を回転方向αに一致して配列されている。
また、当接面80dは、回転方向αの前端面80aから後端面80bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
成形用凸部81は、上記成形用凸部80に対し、比較的に機械的強度の高いものであり、上記成形用凸部80と同等の形状に形成されている。
すなわち、成形用凸部80の稜線上に形成した丸み(R)を、成形用凸部81のものよりも小さくすることにより、局所的に高い応力をもたせて機械的強度を低下させている。
また、当接面90dは、回転方向αの前端面90aから後端面90bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
成形用凸部91は、成形用凸部90とほぼ同じ形状に形成されているとともに、上記成形用凸部90に対し、機械的強度が比較的に高くなるように、上記成形用凸部90に比較して低く形成している。
また、当接面100dは、回転方向αの前端面100aから後端面100bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
換言すると、成形用凸部100を、点線で示す成形用凸部101よりも当接面101dの傾斜角度θ1を大きく形成することにより、成形用凸部91よりも大きな荷重が加わるようにして、機械的強度を低下させている。
また、当接面110dは、回転方向αの前端面110aから後端面110bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
換言すると、成形用凸部110の両側面110c,110cの傾斜角度を、成形用凸部111の両側面の傾斜角度よりもθ2だけ小さくすることにより、機械的強度を低下させている。
また、当接面120dは、その一頂角から後端面120bに向けて低くなるように傾斜させて形成されている。
本変形例においては、回転方向αに一頂角を向けることにより接触面積を低下させ、これにより、例えば上述した成形用凸部91よりも機械的強度を低下させたものである。
また、当接面130dは、回転方向αの前端面130aから後端面130bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
本変形例においては、当接面130d上に、所要の高さにしかつ幅狭の当接面部130eを形成することにより、単位面積当りの応力を高めて、例えば上述した成形用凸部91よりも機械的強度を低下させたものである。
本変形例によれば、当接面部130eが破損しても、当接面130aにより塑性加工を継続して行うことができる。
当接面140dは、その一頂角から後端面120bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
本変形例においては、回転方向αに一頂角を向けることにより接触面積を低下させ、これにより、例えば上述した成形用凸部91よりも機械的強度を低下させたものである。
当接面140dであって一頂角近傍に、回転方向αと直交する分割溝141を形成している。
この成形用凸部140によれば、溝141よりも一頂角側の領域140d′が破損したときにも、残りの領域140d″によって、塑性加工を継続して行うことができるとともに、加工面全面に対する微細凹部の面積率の低下を防止できる。
なお、本変形例に係る成形用凸部140は、摩耗量が非常に少なく、破損の確率が高い場合に有効である。
フォームローラ150は、図13に示すように、ローラ本体151の外周面に、互いに形態の異なる二種類の成形用凸部152,153が混成されている。
換言すると、成形用凸部152の頂部を結ぶ円周L1の直径よりも、成形用凸部153の頂部を結ぶ円周L2の直径が小さいものとなっている。
まず、加工したクランクシャフト160の全面を観察する。加工に使用したフォームローラ150は、上記した4箇所に、成形用凸部152よりも外径の小さな成形用凸部153を有している。なお、「外径の小さな成形用凸部153」は、「成形用凸部152よりも低く形成した成形用凸部153」と同義である。
そのため、成形用凸部152が破損又は摩耗していない場合は、図14に示すように、成形用凸部152より塑性加工された微細凹部161…の一部に、非加工部S…が規則的に配列される。
すなわち、非加工部Sは成形用凸部153に対応する位置に形成されるものである。
上記フォームローラ150は、外径の大きな成形用凸部152が破損や摩耗していない状態で,微細凹部161を加工した場合、図14に示すように非加工部Sが存在するということは、外径の大きなクランクシャフト160が破損や許容できない摩耗(目標の加工深さの加工ができないほどの摩耗)をしていないことを示している。
ここでは、非加工部Sへの加工痕発生の有無を微細形状加工品の検査基準としているが、上記した例と同様に、上記非加工部Sにできる加工痕の形状を検査基準としてもよい。
第九の変形例に係る各成形用凸部170,171は互いに形態の異なるものであり、そのうちの一方の成形用凸部171を、成形用凸部170よりも低く形成している。
また、当接面170dは、回転方向αの前端面170aから後端面170bに向けて低くなるように傾斜させて形成している。
上記の成形用凸部170…どうしは、フォームローラ172のローラ本体173の外周面に沿い、一定の間隔で一列に配列されている。
この成形用凸部171は、一列にした上記成形用凸部170のうち、所定数の成形用凸部170毎に、これの側方に配列されている。
この例においては、成形用凸部の破損確率を低くすることができるとともに、摩耗によって工具寿命が決定される場合に有効である。
上述した実施形態においては、フォームローラに互いに形態の異なる二種類の成形用凸部を混成したものを例として説明したが、互いに形態の異なる二種類以上のものを混成してもよい。
11,12 成形用凸部
20,160 被加工物(クランクシャフト)
20a 被加工物の表面
21,22,161 微細凹部
70a 微細凹部評価手段
71 計測部
80,81 成形用凸部
90,91 成形用凸部
100,101 成形用凸部
110,111 成形用凸部
120,130 成形用凸部
140 成形用凸部
152,153 成形用凸部
170,171 成形用凸部
A 加工装置
Claims (22)
- 加工具に混成させて形成した互いに形態が異なる二種類以上の成形用凸部を、被加工物の表面に押圧することにより、その表面に塑性加工した複数の微細凹部の品質を評価する被加工物の評価方法であって、
上記互いに形態が異なる二種類以上の成形用凸部のうちの、一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態を測定し、
当該一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態の変化に基づき、他の微細凹部の品質を評価することを特徴とする被加工物の評価方法。 - 微細凹部の形態の変化は、加工具に複数形成した成形用凸部の破損に対応するものであることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の評価方法。
- 微細凹部の形態の変化は、加工具の寿命に対応するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の被加工物の評価方法。
- 微細凹部の形態の変化は、その微細凹部の部分的な形態の変化であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法。
- 微細凹部の部分的な形態の変化は、その微細凹部の表面形状の変化であることを特徴とする請求項4に記載の被加工物の評価方法。
- 微細凹部の部分的な形態の変化は、その微細凹部の深さの変化であることを特徴とする請求項4又は5に記載の被加工物の評価方法。
- 互いに形態が異なる二種類以上の成形用凸部を混成させて形成した加工具と、
上記加工具に形成した成形用凸部を被加工物の表面に押圧することにより、その表面に塑性加工した複数の微細凹部のうち、上記互いに形態が異なる二種類以上の成形用凸部のうちの一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態の変化を計測するための計測部とを備えた被加工物の評価装置であって、
上記計測部によって計測した当該一種類の成形用凸部により被加工物に形成された微細凹部の形態の変化に基づいて、他の微細凹部の品質を評価する微細凹部評価手段を有することを特徴とする被加工物の評価装置。 - 微細凹部評価手段は、微細凹部の部分的な形態の変化に基づいて、他の微細凹部の品質を評価することを特徴とする請求項7に記載の被加工物の評価装置。
- 計測部は、触針式の表面粗さ計であることを特徴とする請求項7又は8に記載の被加工物の評価装置。
- 計測部は、非接触式の3次元測定機であることを特徴とする請求項7又は8に記載の被加工物の評価装置。
- 計測部は、撮像装置であることを特徴とする請求項7又は8に記載の被加工物の評価装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法に用いられる被加工物の加工装置であって、
加工具に複数形成した成形用凸部を被加工物の表面に押圧することにより、その表面に複数の微細凹部を塑性加工する被加工物の加工装置であり、
上記加工具には、互いに形態の異なる二種類以上の成形用凸部が混成されていることを特徴とする被加工物の加工装置。 - 互いに形態の異なる二種類以上の成形用凸部のうち、少なくとも一種類のものを、他種の成形用凸部よりも低強度に形成していることを特徴とする請求項12に記載の被加工物の加工装置。
- 互いに形態の異なる二種類以上の成形用凸部のうち、少なくとも一種類のものを、他種の成形用凸部よりも低く形成していることを特徴とする請求項12に記載の被加工物の加工装置。
- 請求項12〜14のいずれか1項に記載の被加工物の加工装置において、
被加工物の表面に押圧することにより、その表面に複数の微細凹部を塑性加工する加工具であって、
互いに形態の異なる二種類以上の成形用凸部が混成されていることを特徴とする加工具。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とする摺動部品。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とする潤滑剤中で使用される摺動部品。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とする潤滑剤中で使用される自動車用部品。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とするシリンダブロック。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とするクランクシャフト。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とするカムシャフト。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の被加工物の評価方法により、所要の品質であることを評価されていることを特徴とするバランサシャフト。
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