以下、本発明を実施するための最良の形態の一例として、宅配ボックスと特定配達物ボックスを併設して成るマンションなどの集合住宅に設置可能な物品収受装置に関する実施例を示す。
図1に本発明を採用した物品収受装置の構成を示す。
図1は、本発明を採用した物品収受装置の構成を示している。図1の装置は、2つの種類の物品収納ボックスとして宅配ボックスと特定配達物ボックスを併設して成る物品収受装置であって、図1はマンションなどの集合住宅に設置される物品収受装置のプライベート側(以下、居住者側ともいう)の構成を示している。
ここで特定配達物ボックスは、上述のような特定の組合(たとえば生活協同組合)や業者から契約や注文に基づき配達される品物ないしそれを収容したケースを収受するためのボックスである。
本実施例では、物品収受装置の公共側(以下、業者側ともいう)の構成は不図示とするが、公共側の構成は図1のプライベート側の構成とほぼ同様であるものとする(あるいは図1のプライベート側の構成が公共側の構成を兼ねる全体構成も考えられる)。
ここで、「公共側」(業者側)はマンションなどの集合住宅のエントランスより外側で、宅配物や特定配達物を配達するためにその配達業者がアクセス可能な集合住宅の建物の部分を、エントランスより内側の居住者(あるいはその許可を得た者)のみがアクセス可能な集合住宅の建物の部分をいう。また、プライベート側(居住者側)は、マンションなどの集合住宅のエントランスより内側で、通常、宅配物や特定配達物の取り出し側に相当する。
本実施例の物品収受装置の宅配ボックス1002、および特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)はレーンと呼ばれる筐体区画101、102…107に収容されている。この筐体区画101、102…107の高さはたとえばほぼ 1800mm 程度、幅は400mm 〜 600mm 程度とする。筐体区画101、102…107はたとえば1つの縦長の筐体単位として組み立てられ、マンションなどの所定の設置場所に搬入された後、図示のように配列される。
協同組合などから購入、配達される特定配達物には、生鮮食料品などが含まれ、通常、その商品に適した冷凍ボックス、野菜用チルドボックス、保冷ケース、常温ケースのような断熱仕様や、収容される保冷材の容量が異なるケースに収容されて配達される。本実施例では、このようなケース単位で配達が行なわれることを前提とし、特定配達物ボックスには冷蔵装置などを設けないが、配達業者のサービス仕様によって、特定配達物ボックス内部を冷却するような冷蔵/冷凍装置を設けることとしてもよい。
筐体区画101、102…107のうち、筐体区画101〜103には宅配ボックス1002のみが収容されている。
また、筐体区画106には、上部に1つ、また下部に2つの宅配ボックス1002が配置されるほか、後述の宅配物ないし特定配達物の取り出し(受け取り)制御に用いるコンソール1005が配置される。
そして、筐体区画104、105、107には、それぞれ他の区画101〜103、106では縦に宅配ボックス1002(ないしコンソール1005)で4分割されているスペースを全て使って、3つの縦長の特定配達物ボックス1003a〜1003cが収容されている。
コンソール1005はLCDパネルなどから成る表示装置およびタッチパネル、あるいはさらにキーボードなどから構成されるとともに、IDカードなどの情報を読み取る認証装置1006を有する。認証装置1006は、たとえばICカードリーダなどから構成され、その場合認証情報を記録したICカードなどの認証媒体は集合住宅の居住者に対して各々特有の認証情報を記録した上、1個づつ割り当てられ、居住者に対して配布される。
なお、認証装置1006はコンソール1005に1つだけ設けるのでも足りるが、後述の宅配物の取り出し(図4)、または特定配達物の取り出し(図5)のいずれかを選択できるように宅配物の取り出し、または特定配達物の取り出しをそれぞれ個別に指令するための認証装置1006をそれぞれ1つづつ設けるようにしてもよい。
上記の筐体区画101〜107の数、配置パターン、各筐体区画における宅配ボックス1002、特定配達物ボックス1003の数、配置パターンはあくまでも一例であり、図示した構成以外に任意の構成が考えられる。
本実施例では、特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)は、大型のボックスとして構成している。この内部は例えば棚などで区切って、上部の棚には特定配達物の配達業者が配布する次回(次の週、次の月など)の配達物を報知するチラシなどの載置スペースとして用い、その下部を特定配達物を宛先ごとに収容したケースの収容部として用いることが考えられる。
また、特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)は、上記の特定配達物のケースを複数宛先分収容できるサイズとする。また、特定配達物ケースのサイズが決まっている場合には、特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)中に特定サイズのケースをそれぞれ複数載置できるような棚板を複数多段配置する、といった構成が考えられる。
ただし、特定配達物ボックス1003のサイズは任意でよく、所帯数が少ない集合住宅などでは、宅配ボックス1002、特定配達物ボックス1003を同じサイズ(容積)のボックスとして構成してもよい。また、図示のようなたとえばゴルフバッグなどを収容できるような大型の宅配ボックス1002を配置することも考えられる。
宅配ボックス1002、および特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)は宅配物/特定配達物を出し入れするため、不図示のヒンジなどによって開閉自在に支持された扉(図中に矩形領域として示した部分に対応)と、この扉を施錠/開錠するための電気錠310、311を有する(破線)。宅配ボックス1002の電気錠310はコンソール1005の上部の宅配ボックス1002についてのみ示したが、同様に他の宅配ボックス1002についても設けられるのはいうまでもない。
なお、物品収受装置の公共側(ちょうど図の紙面の反対側に相当)は、上述の図1とほぼ同様に構成できる。すなわち、宅配ボックス1002、および特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)の公共側にも、宅配物/特定配達物を出し入れすれための扉、この扉を施錠/開錠するための電気錠が設けられる。また、コンソール1005の反対側は、業者用のコンソールとして構成される。この業者用のコンソールは、上述同様に表示器、認証装置を有し、あるいはさらに受領証(レシート)などをプリントするためのプリンタやスタンパが設けられる。
図2は上述の物品収受装置の制御系の構成を示している。図2においては、以上で説明した各構成部材については可能な限り同一の参照符号を用いており、各部材の機能については以下では必要な場合を除き、重ねて説明しない。
制御回路300の部分は、コンソール1005の内側の空間などに配置される。
制御回路300は、CPU301、ROM302、RAM303、と各部との入出力を行なうための入出力回路304、305、306から構成される。
宅配ボックス全体の制御は、CPU301により行なわれる。CPU301が実行する制御手順は、CPU301のプログラムなどとしてROM302に格納され、CPU301はRAM303をワークエリアとしてROM302に格納された制御プログラムを実行することにより物品収受装置全体の制御を行なう。
また、CPU301はリアルタイムクロック301aを内蔵し、現在時刻の情報、および年月日、曜日のようなカレンダー情報を読み出して利用することができる。
ROM302には後述の制御プログラム(図4、図5)を格納する。また、RAM303には居住者と認証情報を対応づけた制御データをデータテーブル化して格納しておくとともに、後述の受け取り制御を行なうための制御データの記憶領域が配置される(図3:後述)。図3のデータは、RAM303上に置く場合、データテーブルの格納領域は停電時なども保持できるようにバックアップするものとする。また、このテーブル(図3)の、ROM302、たとえばそのEEPROM領域に置くこともできる。
入出力回路304には、居住者側(および業者側)のコンソール1005の表示器およびキーボードなどから成る操作表示部141、および認証装置(本例ではICカードリーダ)1006などが接続されている。
さらに、入出力回路304には、宅配ボックス1002、および特定配達物ボックス1003内の配達物の有無を検出するためのフォトインタラプタなどから成る荷物センサー312、および宅配ボックス1002の電気錠310が接続されている。
なお、特定配達物ボックス1003内の荷物センサー312は、ここでは説明を簡単にするために、特定配達物ボックス1003内に1つでも特定配達物(ないしそのケース)が収容されていたら特定配達物あり、と検出するようなセンサーとする。あるいは、上述のように特定配達物ボックス1003内の特定配達物(ないしそのケース)が載置される棚ごとに各棚の上の特定配達物(ないしそのケース)の有無を検出するように荷物センサー312を構成するフォトセンサを配置してもよい。
これらの荷物センサー312は、たとえば、配達時に宅配物や特定配達物が指定のボックスに正しく収容されたか否かを確認するために用いることができる。
なお、配達時の宅配物や特定配達物の収容は、必ずしも荷物センサー312を用いて確認する必要はない。配達業者がこれらの配達物を収容したボックスの扉を閉成したか否かは、たとえば配達業者がボックスの扉を閉じることにより電気錠310、311が施錠状態に移行したかを検出することになどよっても確認できる。
また、ここでは、電気錠310を1つのブロックで示しているが、このブロックにはそれぞれ独立して施錠/開錠される各ボックスの居住者側および業者側の電気錠が含まれるものとする。
一方、入出力回路305には、各特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)の扉を施錠/開錠するための電気錠311が接続されている。この電気錠311も1つのブロックで示しているが、このブロックにはそれぞれ独立して施錠/開錠される居住者側および業者側の電気錠が含まれるものとする。
なお、図2では複数の宅配ボックス1002や特定配達物ボックス1003の電子回路を集合的に1ブロックで図示しているが、当然ながら、CPU301は入出力回路304、305を介して各々複数の宅配ボックス1002、特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)を特定して信号入出力を行えるものとする。たとえば、電気錠311の1つを開錠する場合は、後述の制御により特定された特定配達物ボックス1003の1つを開錠する。
入出力回路306には、通信部313が接続されている。通信部313は、マンションの情報システム600と通信できるよう構成されている。この情報システム600は、マンションのインターフォン、電子ロックなどの制御システムで、たとえば宅配物や郵便物の有無を示す信号をマンションの各居室のインターフォンに対して送信することにより、宅配物や郵便物の有無に応じてインターフォンのコンソールに配置されたLEDやLCDパネルの対応する表示を行わせることができる。情報システム600と入出力回路306の間のインターフェースは、複数の制御信号線などから構成できる。
また、通信部313は、インターネットの通信回線400を経由して管理センター500の通信部501と通信することができる。通信部313、501はたとえば、ダイヤルアップ接続、あるいは光ファイバやADSLなどのネットワーク接続方式を用いて通信回線400と接続するネットワークインターフェースを有する。
管理センター500の通信部501には、管理センターサーバ502が接続されている。管理センターサーバ502は、操作部504、表示部503を有するたとえばパーソナルコンピュータなどから成るサーバコンピュータで、管理センター500のオペレータ505は、操作部504、表示部503を介して制御部300と通信し、宅配ボックス1002、特定配達物ボックス1003の現在の状態をモニタしたり、特定配達物ボックス1003や宅配ボックス111〜114の強制開錠などの遠隔制御も行なうことができる。
図3は、上記のようにRAM303、ないしROM302のEEPROM領域などに配置した居住者の対応関係を示すデータテーブルと、宅配物および特定配達物の収受を制御するための制御データの格納領域をの一例を示している。図3のデータテーブルは、複数の居住者に対して同一の物品収納ボックスを割り当てる割り当て手段を構成する。
図3の表形式で示したテーブルデータのうち左の2つのカラムは居住者の部屋番号と、そのID情報(上記の認証情報)を対応づけて記憶する領域を示している。また、左から4つめのカラム(カラム4)は宅配制御情報の格納領域を示しており、このカラム4の宅配制御情報には、業者から宅配物が配達された際、業者のコンソール操作によって宅配物を収容した宅配ボックスが特定され、その識別情報が格納される。ここでは部屋番号104の居住者を宛先として宅配物が配達されており、「T01」という情報が部屋番号104に対応するカラム4の宅配制御情報として格納されている状態を示している。CPU301は、この「T01」という識別情報を用いて、部屋番号104を宛先とする宅配物が格納された宅配ボックス1002を特定し、当該宅配ボックス1002の電気錠310を開錠することができる。
図3の表形式で示したテーブルデータの行方向の1つは、一の居住者に関するデータレコードに相当し、たとえば、認証装置1006(ICカードリーダ)で居住者が自己の保有するIDカードを提示するなどしてそのカードに記録されたID情報が読み取られると、このID情報を図3のテーブル中で参照することにより居住者の部屋番号や、対応する宅配制御情報の領域(カラム4)を参照できる。これは、下記の特定配達物ボックスの割り当て情報(カラム3)、および特定配達制御情報(5つめ、右端のカラム5)についても同様である。
ここで、本実施例において、特定配達物ボックスの割り当て情報(カラム3)、および特定配達制御情報(カラム5)を用いて行なう制御の特徴につき説明する。
本実施例では、図1のように3つの特定配達物ボックス1003a〜1003cを設ける。この例では特定配達物ボックス1003a〜1003cは3つであるが、現実には物品収受装置を設置する集合住宅の配置スペースには限りがあるから、無制限に特定配達物ボックスの数を増加させることはできず、たとえば、この程度の数(数個)の特定配達物ボックスを集合住宅の居住者で共同使用するのが得策である。
そのための手法のひとつとして、本実施例の物品収受装置が設置される居住者(特定配達物の配達される宛先:たとえば部屋番号により識別する)を複数の宛先グループに分け、これら宛先グループで特定配達物ボックス1003a〜1003cをかわるがわる(交替で)使用することが考えられる。
ここで、協同組合のような特定配達物の配達業者は、特定の宛先(居住者)への配達を1週のうち、特定の曜日に決めて行なう場合が多い。そこで本実施例では、たとえば居住者をこの配達日(曜日)ごとに宛先グループに分けるものとする。
図3では、複数所帯から成る3つの宛先グループG01、G02、G03に分けており、たとえば、宛先グループG01、G02、G03は、特定配達物の配達業者から1週のうち、月、水、金の各曜日に特定配達物の配達を受けるものとする。ここでは配達が月、水、金の3日の例を示すが、もちろん、月曜日〜日曜日の全てに配達がある場合には7グループを割り当て、また、月曜日〜金曜日に配達がある場合には5グループを割り当てる、などの構成も考えられる。
この各宛先グループの配達日(曜日)の情報は、当該グループの識別情報(G01、G02、G03、など任意のニーモニックで表現する)、配達業者の識別情報(名前)などとともに図3のデータテーブルのカラム5に記録しておく。
なお、このグループ数は固定である必要はなく、コンソール1005からのメンテナンス操作によって、任意の数の宛先グループを割り当て、また、そのそれぞれに特定の配達日(曜日)を設定できるように構成しておけば、設置先の集合住宅の状況に応じた宛先グループ設定が可能となる。
宛先グループG01、G02、G03(…)がこれらの特定配達物ボックス1003a〜1003cを使い分ける手法には、時分割的にボックス1003a〜1003cを使い分ける方法と、空間分割的にボックス1003a〜1003cを使い分ける方法が考えられる。
たとえば、時分割的な使い分けでは、特定の配達日(曜日)においては、複数の特定配達物ボックス1003a〜1003cの全てをその配達日(曜日)に関連づけられている宛先グループG01、G02、G03(…)の1つが独占的に使用する。たとえば宛先グループG01、G02、G03の配達日(曜日)がそれぞれ月、水、金であれば、月曜日には宛先グループG01が、水曜日には宛先グループG02が、金曜日には宛先グループG03が、それぞれ複数の特定配達物ボックス1003a〜1003cを3つとも使用する。
特定の曜日にどの宛先グループが特定配達物ボックス1003a〜1003cを使用するかは、CPU301が内蔵のリアルタイムクロック301aから読み出した当日の曜日情報に基づき決定する。この場合、1宛先グループの所帯数が少なければ業者に当日配達の配達物を特定配達物ボックス1003a〜1003cのどのボックスにもランダムに収容させる方式を採用して良いが、この方法では1宛先グループの所帯数が多ければ居住者が自分宛ての配達物を捜すのが大変になってくるから、宛先グループの居住者ごとにどの特定配達物ボックス1003a〜1003cを用いるかを割り当てておくことも考えられる。
このために、図3のデータテーブルの各レコードのカラム3には、各居住者ごとに特定配達物ボックス1003a、1003b、1003c…に対応するB01、B02、B03…(図3中に「B0x」により表記)を格納できるようにしておく。このように、特定の曜日に対応する宛先グループでさらに特定配達物ボックス1003a、1003b、1003cを空間分割的に使い分ける場合には、配達時には、業者には特定の宛先に対する配達物を、図3におけるその居住者のレコードに格納されたボックス識別情報B01、B02、B03…に対応する特定配達物ボックス1003a、1003b、1003c…に収容させるよう制御する。このような居住者ごとの特定配達物ボックス1003a、1003b、1003cの使い分けをしない場合には、カラム3には必ずしもボックス識別情報B01、B02、B03…を登録する必要はない。
また、図3のデータテーブルのカラム3の使い方によっては、特定配達物ボックス1003a、1003b、1003cの異なる空間分割的な使い分けも可能である。たとえば、宛先グループG01、G02、G03のそれぞれの居住者に、特定配達物ボックス1003a、1003b、1003cに対応する同じ識別情報B01、B02、B03を割り当ててしまうことができる。これにより、たとえば、月曜日には宛先グループG01が特定配達物ボックス1003aを使い、水曜日には宛先グループG02が特定配達物ボックス1003bを使い、金曜日には宛先グループG03が特定配達物ボックス1003cを使う、といった使い分けをすることができる。この場合、ある配達日(曜日)では、他の2つのボックスが有効利用されない、という問題はあるが、配達契約が少なかったり、所帯数の少ない小規模な集合住宅では居住者の使用するボックスが特定されるため、自分宛ての特定配達物を捜し出すのが容易になる、というメリットを得られる可能性がある。
図3のデータテーブルに、以上のような登録を行なうことにより、いずれにしても、特定配達物を取り出す時の1つの特定配達物ボックス1003(1003a〜1003cのいずれか)の開錠権限は、1つの宛先グループの複数の居住者により共有されることになる。すなわち、1つの特定配達物ボックス1003(1003a〜1003cのいずれか)は、そのボックスと関連づけられた宛先グループ(G01、G02、G03)に含まれる複数の部屋番号の居住者のID情報を用いて開錠することができる。たとえば、宛先グループG01の部屋番号101、104、201…の複数の居住者は、いずれも、自己のID情報を記録したIDカード(たとえばICカード)を認証装置1006(ICカードリーダ)に提示することにより、特定配達物ボックス1003のうち少なくとも1つ、あるいは全部を開錠することができる(他の宛先グループG02、G03についても同様)。
ここで、特定配達物ボックス1003のうち少なくとも1つを開錠できるか、あるいは全部を開錠できるかは、上記の図3のカラム3のボックス識別情報の設定、ないしそれに基づく制御の手法により異なる。
この点は、たとえば宅配ボックス1002が1つの宛先に対する配達物のみを収容し、この宅配ボックス1002は、カラム4に宅配制御情報が格納されたレコードに対応する部屋番号の居住者のみが自己のID情報を記録したIDカード(たとえばICカード)を認証装置1006(ICカードリーダ)に提示することにより、開錠できる、という制御と対照的である。
次に、上記構成における動作につき説明する。
宅配ボックス1002および特定配達物ボックス1003に対して業者(宅配業者や協同組合などの業者)が配達物を収容する場合、次のような動作を行なう。
宅配ボックス1002への収容操作および制御については、従来とほぼ同様、また、特定配達物ボックス1003への収容操作および制御も宅配ボックス1002の場合とほぼ同様であるが、特定配達物ボックス1003の場合、業者がグループ指定を行ない特定配達物を収容するボックスを指定する。
宅配業者は、業者側のコンソール(不図示)を用いて収容作業を進める。ここでは宅配業者は収容(着荷)モードを選択する。
未収容の宅配ボックス1002は開錠状態であり、宅配業者は特定の所帯宛の宅配物を未収容の宅配ボックス1002のいずれかのボックスに収容する。このとき、いずれのボックスにも収容を許すようにしてもよいが、操作表示部131で空いているボックスを表示して宅配業者に指示を与えるか、宅配業者にボックスを選択させるかして、配達物を収容する宅配ボックス1002を決定する。
また、特定配達物ボックス1003への着荷の場合、業者は特定の配達日(曜日)に特定の宛先(ただし特定配達物があれば)へ配達を行なう。ここで、3つ全ての特定配達物ボックス1003を特定の曜日に対応する宛先グループに使用させる場合には、特定配達物ボックス1003a〜1003cの全てに業者が配達物を収容させることを許容する。ただし、ここで図3のカラム3のデータ(B0x)によって、を用いて当該宛先グループの各宛先への着荷ボックスが特定配達物ボックス1003a〜1003cのいずれかに指定されている場合には、特定の宛先への荷物が図3カラム3の識別データ(B0x)で指定された以外の特定配達物ボックスに収容されないように制御する。これには、たとえば特定配達物ボックス1003a〜1003cへの配達物収容を1ボックスごとに行なわせ、業者側のコンソールで各ボックスに割り当てられている宛先(部屋番号など)を「このボックスを使用している宛先は以下の通りです」などの表示とともにリスト表示することが考えられる。
また、曜日により特定配達物ボックス1003のいずれかを使い分ける場合には、CPU301が内蔵のリアルタイムクロック301aの計時情報を用いて当日の曜日を検出し、その曜日に対応する特定配達物ボックス1003a〜1003cのいずれか配達先として自動的に選択することもできる。たとえば、図3において、カラム5で月、水、金に配達物をそれぞれ受け取るよう設定された宛先グループごとに同じ識別データ(B0x)が割り当ててある場合には、CPU301が内蔵のリアルタイムクロック301aの計時情報を用いて当日の曜日を検出し、その曜日に対応する特定配達物ボックス1003a〜1003cのいずれか1つのみを着荷に使用できるよう制御する。たとえば、このとき、その曜日に使用すべき特定配達物ボックス1003a〜1003cのいずれか1つのみを開錠状態とし、他の2つのボックスは施錠状態に制御する。
以上のようにして、宅配ボックス1002、または特定配達物ボックス1003に配達物を収容し、その扉を閉成すると、CPU301は電気錠310、311をロックし、その宅配ボックスの表裏の扉を施錠状態に制御する。なお、このとき、宅配ボックスに関しては、その扉が閉成されたにもかかわらず荷物センサー312により物品を検出できていない場合にはコンソールでエラー処理(ブザー音による警報や表示警告など)を行なうようにするとよい。また、宅配ボックスに関し、荷物センサー312による物品の検出は、居住者が宅配物を取り出したか否かを確認するために行なうようにしてもよい。
以上までのいずれかのタイミングにおいて、宅配物または特定配達物の配達業者は宛先の居住者を識別する部屋番号や氏名などの識別情報、さらに業者を識別する情報(識別番号や業者名など)を業者側のコンソールを介して入力する。
収容操作が完全に終了すると、業者側のコンソールのプリンタやスタンパ(不図示)により業者に対してレシートを発行する。なお、収容操作を特定の業者のみに限定したいなどの場合には、収容操作を許容するID情報を記録したIDカードなどを業者に配布し、業者側のコンソールに提示させ、認証が正しく行なえた場合にのみ収容操作を許容するような制御を行ってもよい。
宅配ボックス1002に配達物が収容されると、CPU301は、図3の宛先の居住者のレコードのカラム4に荷物が収容されているボックスの識別情報(ボックス番号など)を記憶する。特定配達物ボックス1003に関しても同様の着荷情報を記憶してもよいが、契約上、特定の曜日に特定配達物を配達する決まりになっているような場合には、必ずしも1宛先ごとに着荷情報を記憶しなくてもよい。
居住者に対しては、あらかじめ居住者ごとに固有のID情報(認証情報)を記録したカードキー(IDカード)を配布しておく。居住者は、居住者側(ないし業者側)のコンソール1005を用いて宅配された宅配物ないし特定配達物の取り出しを行なうことができる。
ここで、図4、図5を参照して、上記構成において宅配物(図4)、または特定配達物(図5)を取り出す場合の制御につき説明する。図示の手順はCPU301の制御手順としてROM302に格納される。
宅配物の取り出し(図4)、または特定配達物の取り出し(図5)のいずれを行なうかは、コンソール1005の操作によって選択するか、前述のように宅配物の取り出し、または特定配達物の取り出しをそれぞれ個別に指令するための認証装置1006をそれぞれ1つづつ設けておけば、居住者はIDカードを提示する認証装置1006を選択することにより宅配物の取り出し、または特定配達物の取り出しのいずれかを選択することができる。
宅配物の取り出しが選択されると、まず図4のステップS10で居住者が自己のIDカードをコンソール1005の認証装置1006(ICカードリーダ)に提示して認証を行ない、その認証が成功したか否かを判定する。この認証が成功しなければ続く処理は実行しない。なお、数度、認証操作が失敗した場合は、それ以上の操作を受け付けない、などのエラー処理を行なってもよい。
認証が成功すると、ステップS14では、該当の居住者宛ての宅配物が宅配ボックス1002に存在するか否かを判定する。この判定は、IDカードのID情報から図3の該当レコードのカラム4に宅配制御情報が格納されているかを判定することにより行なう。ここで宅配物が存在しない場合には処理を終了し、宅配物が存在する場合にはステップS15に移行する。図3の例では、部屋番号104宛ての宅配物が存在するため、部屋番号104の居住者がIDカードを提示した場合のみステップS15へ移行する。
当該居住者宛の宅配物が存在する場合にはステップS15において、カラム4の宅配制御情報を読み出して、IDカードを提示した居住者を宛先として配達された宅配物を収容した宅配ボックスを特定する。図3の例では、部屋番号104の宅配物を格納した宅配ボックスT01(ボックス番号1番、たとえば、図1の左上角の宅配ボックス1002)が特定される。
そして、ステップS18において、当該の宅配ボックス1002の電気錠310を開錠する。このとき、電気錠310を開錠することにより、宅配ボックス1002の扉がわずかに(数cm程度)開いた位置で停止するようにポップアップ開錠を行なう。
このように、宅配ボックス1002の扉がわずかに開くようにポップアップ開錠することによって、居住者は自分の開いた宅配ボックス1002の扉の位置と、それが開いたことを明確に認識できる。
ステップS19では、居住者による宅配物の取り出しが行なわれ、宅配物を取り出すと居住者はステップS20において宅配ボックス1002の扉を閉じる。扉が閉じられると、その電気錠310は、この閉成操作によって施錠され、当該の宅配ボックス1002の扉をロックする。
特定配達物の取り出しにおいては、まず、図5のステップS30で居住者が自己のIDカードをコンソール1005の認証装置1006(ICカードリーダ)に提示して認証を行ない、その認証が成功したか否かを判定する。この認証が成功しなければ続く処理は実行しない。なお、数度、認証操作が失敗した場合は、それ以上の操作を受け付けない、などのエラー処理を行なってもよい。
ステップS30で認証が成功すると、ステップS34では、該当の居住者が、当日、特定配達物ボックス1003を開く開錠権限がある権限のある宛先グループに属しているか、たとえば、この判定は、少なくとも、
(1)IDカードのID情報から図3の該当レコードのカラム5を参照し、当日を配達日(曜日)とする特定の宛先グループに属している、すなわち、その居住者に対して特定の配達業者からの配達を示す配達情報が配達日(曜日)情報とともに登録されており、かつ、
(2)CPU301の内蔵リアルタイムクロック301aの示す当日の曜日データが(1)でカラム5から読み出した曜日情報と一致する。
の2つの条件が成立するか否かを判定することにより行なう。
このステップS34が肯定された場合にはステップS35に移行する。また、ステップS34が否定された場合には処理を終了するが、このとき、ステップS34の判定結果に応じて、「貴方の配達日ではありません」、「配達のご契約がありません」などのエラーメッセージをコンソール1005で可視表示する(あるいは合成音声などを用いて表示してもよい)。
ステップS34が肯定された場合には、ステップS35において、当該の居住者が使用する(開錠する)特定配達物ボックスが1003a〜1003cのいずれであるかを選択する。この処理においては、図3のカラム3に関して説明した配達仕様のいずれかを採用しているかによって、選択すべき特定配達物ボックスが異なる。
まず、図3のカラム3の登録情報を用いない場合には、業者が宛先にかかわらず特定配達物ボックス1003a〜1003cのいずれかにランダムに特定配達物を収容する場合には、開錠すべきボックスは3つの特定配達物ボックス1003a〜1003cの全てとする。
また、図3のカラム3に特定配達物ボックス1003a〜1003cを指定するボックス識別情報B01、B02、B03…が登録され、これに応じて居住者がボックスを使い分ける配達仕様においては、当然ながらカラム3に格納されたボックス識別情報を用いて開錠すべき特定配達物ボックス1003a〜1003cを特定する。
そして、ステップS38において、ステップS35で特定した特定配達物ボックス1003(特定配達物ボックス1003a〜1003cの全て、あるいは特定の1つ、のいずれかの場合がある)の電気錠311を開錠する。このとき、電気錠311を開錠することにより、特定配達物ボックス1003の扉がわずかに(数cm程度)開いた位置で停止するようにポップアップ開錠を行なう。
このように、特定配達物ボックス1003(1003a〜1003c)の扉がわずかに開くようにポップアップ開錠することによって、居住者は自分の開いた特定配達物ボックス1003(1003a〜1003cのいずれか)の扉の位置と、それが開いたことを明確に認識できる。
ステップS39では、居住者による特定配達物の取り出しが行なわれ、特定配達物を取り出すと居住者はステップS40において特定配達物ボックス1003の扉を閉じる。扉が閉じられると、その電気錠310は、この閉成操作によって施錠され、当該の特定配達物ボックス1003の扉をロックする。
以上のようにして、本実施例においては、1つの宛先グループの複数の居住者は、いずれも自己のID情報を記録したIDカード(たとえばICカード)を認証装置1006(ICカードリーダ)に提示することにより特定配達物ボックス1003(の全て、あるいは図3カラム3のボックス識別情報で定義された特定のボックスの1つ)を開錠することができる。
本実施例の宛先グループ(G01、G02、G03…)には、同じ条件で、たとえば配達日(曜日)に特定の配達業者から配達を受ける複数の居住者(の認証情報)を登録することができ、しかも、リアルタイムクロック301aの計時と照合する(ステップS34)ことによりその配達日(曜日)においてのみ、間違いなくその居住者が特定配達物ボックス1003を開錠することができ、他の(他の宛先グループの)居住者が特定配達物ボックス1003を使用している他の配達日(曜日)に特定配達物ボックス1003を開くことがなくなり、自分とは異なる宛先の配達物を誤まって取り出したりすることを防止できる。
以上のような構成により、配達業者は同じ日に配達すべき特定配達物を特定配達物ボックスを開いて収容するだけで良くなり(ただし、空間分割的に特定配達物ボックス1003a〜1003cを使い分ける場合には仕分けを行なう必要がある)、配達作業が著しく軽減され、配達業者の利便性を高めることができる、複数所帯の特定配達物の収受を1つの特定配達物ボックスで共通に取り扱うことができ、宛先との関係が1:1である宅配ボックスを流用するような構成に比して必要なボックスの数を低減でき、1つのボックスで多数の宛先に対する配達を行なう1:多の配達態様を実現でき、物品収受装置のスペース利用効率を大きく向上できる、といった優れた効果がある。
以上の実施例の特徴を要約すると、たとえば次のように説明できる。
複数(N人)の居住者に対して、各居住者が注文した生協注文品を収納する一つの特定配達物ボックスが割り当てられる。
宅配ボックスとの相違は、宅配ボックスは一つの認証情報で一つのボックスが開錠できる(1:1の関係)のに対して、特定配達物ボックスでは、複数の認証情報で一つのボックスを開錠でき、これにより、1つのボックスで1:多の宛先への配達を行なう1:多の配達態様を実現できる。
物品収受装置が設置される集合住宅の居住者は、特定配達物の配達日(曜日)ごとにN1人、N2人、N3人など複数の宛先グループGnに分けることができ、各宛先グループごとにボックスBn(B1〜Bn)を割り当てる。たとえば、宛先グループGnにはそれぞれ月曜日グループ、火曜日グループなどのように同一の配達日(曜日)に業者から特定配達物の配達を受ける居住者を登録するものとする。なお、以上では、配達日として週のうちの特定の曜日を例示したが、たとえば月のうち5、10、15、30日、のような特定の日付で表現されるものであってもよい。宛先グループGnに登録されたある居住者はボックスBnを利用できるものとするが、図3のカラム3に関して説明したように、このボックスBnはB1〜Bnの全てでも良いし、また、特定のボックスBnの1つのみでも、いずれの態様も考えられる。
制御手段(図2)は、宅配ボックスと特定配達物ボックスを上記のような登録態様を図3に示したような制御データテーブルを用いて制御する。
また、上記のような特定配達物収受システムは、物品収受装置の設置業者や管理業者と、たとえば協同組合のような配達業者が連携して管理、運営することもできる。
その場合、居住者や配達業者のメリットは、次のように要約することができる。
居住者は電気錠によりロックされる特定配達物ボックスを用いて従来の宅配ボックスでは受取ることが出来なかった生鮮食料品を受取ることができ、特定配達物のケースを門口や集積場所に放置するような従来方式に比して、盗難、異物混入のおそれがなく、保安上のメリットがあり、設定された時間内であれば、いつでも自由に特定配達物を取り出し可能である。
協同組合のような配達業者は、個別配達作業が必要なくなり、エントランスの美観を損ねる等の条件がある集合住宅、のように、従来配達サービスが導入困難であったサイトに対して配達システムの導入が可能となる。
マンションデベロッパー、管理会社と物品収受装置の設置業者が協力して営業を行なうことにより、新規、既存のマンションに対して本サービスを導入することが考えられ、拡販のスピードが上がる。また、管理組合は特定配達物の収受に関してサービス料金を徴収するシステムとすることも考えられ、その売上に対して一定の割合で管理組合に収入が入るようにできる。
なお、宛先グループ(G01、G02、G03…)に居住者を登録する場合には次のような操作手順をコンソールで実行することが考えられる。
たとえば、業者側コンソールで、[特定配達物宛先グループ登録]→[特定配達物初期設定]のようなメニューを経由して初期登録を開始する。その際、まず、宅配ボックス登録画面で業者カードにて認証を行ない、宛先グループをグループ番号(G01、G02…)とともに登録し、また、対応する特定配達物の配達日(たとえば曜日)を選択、設定する。また、宛先グループ(G01、G02、G03…)ごとに空間分割的に特定配達物ボックスを使い分ける場合には宛先グループごとに特定配達物ボックスを登録することもできる。
その後、登録したグループG01、G02、G03…に対して配達業者との契約などに基づき、居住者の部屋番号を登録する(例:G01→101、203、505…など、1グループにたとえば最大7ないし10部屋程度まで登録可能とする)。
なお、年末年始などの時期には、居住者に対して普段の配達日(曜日)以外にも荷物を配達するような必要が生じることが考えられる。そこで、このような時期には自動的に上述のグループ単位の受け取り制御を解除するようにしてもよい。
たとえば、上記実施例でいえば、特定の曜日にそれぞれ届く特定配達物を受け取る居住者にそれぞれ宛先グループを定義しており、特定の曜日には特定の宛先グループの居住者のみが特定配達物ボックスの開錠権限を有するように制御している。
しかし、上記の年末年始のような時期(CPU301は内蔵リアルタイムクロック301aの計時データを参照することにより現在この時期かどうかを判定できる)には、自動的に全ての配達日において、全ての居住者が宛先グループの登録にかかわらず、グループ単位の受け取り制御を解除する、具体的には、IDカードの認証(図5ステップS30)さえパスすれば特定配達物ボックスの開錠権限を与えるように制御する(たとえば図5ステップS34をバイパスする)ことが考えられる。