JP5456199B2 - 耐エロージョン性金属材料の溶接方法及びタービン翼 - Google Patents

耐エロージョン性金属材料の溶接方法及びタービン翼 Download PDF

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Description

本発明は、耐エロージョン性金属材料の溶接方法及びタービン翼に関するものである。
蒸気タービン翼は、蒸気中の凝縮水滴や酸化鉄を主体とする微細な固体粒子から受ける衝撃作用によって浸食されて、表面が磨耗するおそれがある。そこで、蒸気タービン翼の前方(蒸気流の上流側)である前縁部に耐エロージョン(浸食)層を形成する場合があり、これによって、蒸気タービン翼の浸食が抑制される。
特許文献1には、表面にホウ化処理層が形成されたエロージョンシールドを、蒸気タービン翼の基体に接合することによって、エロージョン損耗を少なくする技術が開示されている。また、特許文献2には、タービン回転翼の翼形状の一部である翼リーディングエッジ部を切り取り、レーザによる肉盛溶接を用いて浸食防止部を復元形成することが記載されている。
特公昭61−12082号公報 特許第4901413号公報
蒸気タービン翼の基体に接合される耐エロージョン層は、例えば、コバルトを主成分とするステライト(登録商標)等の耐摩耗性の高いコバルト基合金などが使用される。コバルト基合金などを基体に接合する場合、ろう付けやTIG溶接による肉盛溶接が行われる。しかし、ろう付けによる接合の場合、接合不良等の不具合が発生しやすく、手戻りによる複数回の加熱によって蒸気タービン翼の品質低下が生じやすい。また、TIG溶接による接合の場合、コバルト基合金などの溶着金属への母材混入が発生して、溶着金属が希釈化されるという問題がある。その結果、耐エロージョン層の硬さが低下し、コバルト基合金などによる耐エロージョン性能が低下する。
また、特許文献2の技術では、特許文献2の図1(c)に示すように、タービン回転翼の翼リーディングエッジ部を翼長方向に沿って切断して帯状の平面を形成した後、平面から多層盛りをして硬質材料からなる浸食防止部を形成する。図16は、従来の蒸気タービン翼の前縁部1Aの基体1と浸食防止部を構成する溶接ビードを示す横断面図であり、図16中の二点鎖線は、浸食防止部の予定仕上がり面Sを示したものである。硬質材料は、翼本体部の材料に比べてもろいため、特許文献2のように翼リーディングエッジ部全体を置換すると、浸食防止部が翼本体部からもげたり破損したりする。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、翼前縁部における耐エロージョン層の硬さ低下を抑制することが可能な耐エロージョン性金属材料の溶接方法及びタービン翼を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の耐エロージョン性金属材料の溶接方法及びタービン翼は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の参考例に係る耐エロージョン性金属材料の溶接方法は、タービン翼前縁部における基体への耐エロージョン性金属材料の溶接方法であって、前記耐エロージョン性金属材料が施される前記前縁部における曲面の半径を前記基体の厚さよりも大きく形成するステップと、前記前縁部に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップとを備える。
この参考例によれば、前縁部の基体は熱を逃がしやすい形状となり、耐エロージョン性金属材料を基体に溶接する際、基体における熱のこもりを抑制できる。その結果、基体から熱が放熱されて局所的な温度上昇を抑えることができる。そして、耐エロージョン性金属材料への母材の混入による耐エロージョン性金属材料の希釈化を低減し、耐エロージョン層の硬さ低下を抑制できる。なお、前端部の断面形状は、円弧形状に限られず、翼先端部を滑らかな曲面に形成できれば、他の形状でもよい。
また、本発明に係る耐エロージョン性金属材料の溶接方法は、タービン翼前縁部における基体への耐エロージョン性金属材料の溶接方法であって、耐エロージョン性金属材料が1層で埋まるように、耐エロージョン層の予定仕上げ面と耐エロージョン層の厚さに基づいて、前記耐エロージョン性金属材料が施される溝を前記基体に形成するステップと、前記溝に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップとを備える。
この発明によれば、耐エロージョン性金属材料が施される溝が、耐エロージョン層の予定仕上げ面と耐エロージョン層の厚さに基づいて基体に形成される。耐エロージョン性金属材料は、例えばコバルト基合金である。予定仕上がり面に対する溝深さが、例えば、耐エロージョン性金属材料が1層で埋まる深さ、すなわち多層盛溶接とならない深さであり、かつ、硬さ低下領域が表面に出現しないように極力深く形成されることで、耐エロージョン性能の低下を防止できる。硬さ低下領域とは、溶接によって、溶着金属に母材(基体)が混入する領域である。
上記発明において、前記溝の深さは、前記予定仕上げ面に対して2mm以下であることが望ましい。これにより、溝の深さを、耐エロージョン性金属材料が1層で埋まる深さ、すなわち多層盛溶接とならない深さとすることができる。
上記発明において、新たに形成されるビードと既に形成されているビードとの接触部分が、前記基体との接触部分よりも広く形成されるように、溶接時の各パスの重ね量を決定するステップと、前記重ね量に基づいて前記基体に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップとを更に備えてもよい。
この発明によれば、溶接時の各パスの重ね量が大きくなり、新たに形成されるビードが基体(母材)と接触する部分は、既に形成されているビードとの接触部分よりも少なくなる。その結果、耐エロージョン性金属材料(溶着材料)への母材の混入による耐エロージョン性金属材料の希釈化を低減し、耐エロージョン層の硬さ低下を抑制できる。
上記発明において、溶接された前記耐エロージョン性金属材料は、前記基体の材料による希釈が10%以下であることが望ましい。これにより、耐エロージョン性金属材料の希釈化が低減されて、耐エロージョン層の硬さ低下を抑制できる。
上記発明において、前記耐エロージョン性金属材料を溶接して形成される仕上げ加工前の耐エロージョン層は、1層で2mm以下であることが望ましい。
この発明によれば、母材による希釈を低減できることから、耐エロージョン性に必要な最小限の厚さであって、高品質の耐エロージョン層を形成できる。
上記発明において、前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップは、エネルギー密度分布が平坦化するようにレーザを進行方向に対して横方向にウィービングさせることを特徴とする。
この発明によれば、エネルギー密度分布を平坦化することができ、溶融部分を浅く又は幅広くすることができる。
耐エロージョン性金属材料を粉末状若しくは帯板状で供給しながら溶接する、又は耐エロージョン性金属材料を溶接箇所に予め溶射若しくはコールドスプレーで付着した後に溶接してもよい。
この発明によれば、パス数を減らすことができ、欠陥の発生を抑制できる。
また、本発明に係るタービン翼は、上述の耐エロージョン性金属材料の溶接方法によって前縁部に耐エロージョン層が形成されている。
本発明によれば、翼前縁部における耐エロージョン層の硬さ低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体を示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体を示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体と溶接ビードを示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体と溶接ビードを示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体と溶接ビードを示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の基体と溶接ビードを示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の第1の例を示す横断面図である。 本発明の一実施形態に係る蒸気タービン翼前縁部の第2の例を示す横断面図である。 図7の前縁部の硬さ測定結果を示す横断面図である。 図7の前縁部の硬さ測定結果を示す横断面図である。 蒸気タービン翼を示す側面図である。 従来の蒸気タービン翼前縁部の基体を示す横断面図である。 蒸気タービン翼を示す斜視図である。 レーザを高速でウィービングさせない場合のレーザのエネルギー密度分布と溶接による溶融部分の関係を示す概略図である。 レーザを高速でウィービングさせる場合のレーザのエネルギー密度分布と溶接による溶融部分の関係を示す概略図である。 従来の蒸気タービン翼前縁部の基体と溶接ビードを示す横断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、蒸気タービン翼10の前縁部1Aの構成について説明する。図11は、蒸気タービン翼10を示す側面図である。
蒸気タービン翼10の前縁部1Aは、主成分をコバルトとするコバルト基合金による耐エロージョン層3が基体1に接合されて形成されている。耐エロージョン層3は、蒸気タービン翼10が回転して蒸気流が流れる際、蒸気タービン翼10のうち蒸気流の上流側である前縁部1Aに配置されている。これにより、蒸気タービン翼10の前縁部1Aのエロージョン(浸食)を抑制できる。
基体1(母材)は、例えばクロム基合金であり、耐エロージョン層3が形成される前は、図1に示すような断面形状を有する。図1は、蒸気タービン翼10の前縁部1Aを形成するための基体1を示す横断面図であり、蒸気タービン翼10の翼長方向に対して垂直方向に切断した図である。図1中の二点鎖線は、耐エロージョン層3の予定仕上がり面Sを示したものである。
耐エロージョン層3を形成する前の基体1は、予定仕上がり面Sに対して基体1の内部側に凹んだ形状の溝部2を有する。蒸気タービン翼10が回転する際、溝部2の前端部2Aは蒸気流の上流側に位置し、溝部2の後端部2Bは蒸気流の下流側に位置する。
溝部2の前端部2Aは、例えば断面の表面が円弧形状である角部を有する。角部の断面の半径Rは、例えば、基体1の厚さtよりも大きい。これにより、後述する溶接方法によって耐エロージョン層3を形成する際、基体1における熱のこもりを抑制できる。なお、前端部2Aの角部の断面形状は、円弧形状に限られず、基体1から熱を逃がしやすい形状であって、翼先端部を滑らかな曲面に形成できれば、他の形状でもよい。
溝部2の後端部2Bにおける予定仕上がり面Sに対する溝深さDは、溶着金属が1層で埋まる深さ、すなわち多層盛溶接とならない深さであり、かつ、硬さ低下領域が表面に出現しないように極力深く形成されることが望ましい。1層で溶接が可能な溝深さDは、例えば2mm以下である。硬さ低下領域とは、溶接によって、溶着金属のコバルト基合金に母材が混入する領域であり、コバルト基合金によって得られるはずの耐エロージョン性能が低下した領域である。
溝部2に形成された耐エロージョン層3は、複数のパスから形成されるが、1層盛りの肉盛溶接によって形成され、仕上げ加工前の状態(図7及び図8参照)の厚さが2mm以下である。耐エロージョン層3は、母材による希釈が10%以下となることが望ましい。なお、溝部2の先端部2Cは、溶着金属への母材の溶け込みを防止するため、尖った形状ではなく、図1に示すように平面部が形成されることが望ましい。
耐エロージョン層3は、例えばコバルトを主成分とするコバルト基合金である。本実施形態では、コバルト基合金として、例えば、ステライト(登録商標)を適用できる。耐エロージョン層3は、隣り合う溶接ビードが互いに重なるように形成される。溶接ビードは、母材に接触する部分と、既に形成された隣り合う溶接ビードに接触する部分を有し、母材に接触する部分を少なくし、隣り合う溶接ビードに接触する部分を広くすることが望ましい(図7のビード<3>〜<7>及び図8のビード<3>〜<8>参照)。耐エロージョン層3は、複数回のパスが実行されることによって形成される。なお、図7及び図8に示すような溶接ビードが形成された後、前縁部1Aは、図1中の二点鎖線で示したような予定仕上がり面Sとなるように加工される。
前縁部1Aは、全体が耐エロージョン性金属材料で置換される(特許文献2又は図16参照)のではなく、基体1の形状に沿って均一な厚さで表層のみが耐エロージョン性金属材料で形成される。そのため、基体1に比べてもろい性質を有する耐エロージョン性金属材料の耐エロージョン層3の損傷を抑えることができる。
次に、本実施形態に係る蒸気タービン翼10の前縁部1Aの形成方法、すなわち、基材に耐エロージョン層3を接合する方法について説明する。
まず、蒸気タービン翼10の基体1に溝部2を形成して、例えば図1に示すような形状とする。すなわち、溝部2の前端部2Aには、基体1の厚さよりも長い半径Rを有する、断面が円弧形状の角部を形成する。また、溝部2の後端部2Bの深さDは、溶着金属が1層で埋まる深さ、かつ、硬さ低下領域が表面に出現しないような深さに形成する。
次に、上述のような形状を有する基体1に対して、レーザ溶接による肉盛溶接を実行して、1層で耐エロージョン層3を形成する。肉盛溶接は、図7又は図8の<>内の数字に示すような順番で複数回のパスが実行される。図7と図8は、パスの実行方法が異なる例を示している。
このとき、溶接時の各パスの重ね量を大きくし、溶接ビードが母材と接触する部分を少なくすることによって、溶着金属のコバルト基合金に母材が混入する量を低減できる。重ね量は、例えば、レーザの狙い角度やパス間移動量で調整される。
レーザ溶接の場合、自動化が可能であり、溶接前にプログラムを作成し、溶接装置にプログラムを実行させることによって、各状態に応じた適切な溶接を実行できる。
レーザ溶接は、通常の溶接装置を用いることができ、本実施形態では、次に示すような条件で行われる。すなわち、位置決めカメラと、高さセンサーを有する高さ調整用治具を用いる。溶接姿勢は常に下向きとし、基体1を回転させながらパス間移動をする。プログラムには、各パスの狙い位置が、ティーチングによって、ティーチングポイントとして入力されている。また、溶接時における熱の影響による基体1の変形形状を予測し、予めパスを基体1の変形形状に沿うように設定する。さらに、位置決めカメラを用いることによって、フィードバックしながら、位置ずれが生じないように溶接することができる。
レーザの狙い方向は、母材の平面に対して約90°、又は、凸部と凸部を結ぶ接線に対して約90°である。例えば、図2に示すように、レーザ先端部11がシュラウド部12(図13参照)等に近い場合、レーザ狙い方向は、レーザ先端部11がシュラウド部12に干渉せず、かつ、溶接箇所の二つの凸部を結ぶ接線に対して90°に近くなるように溶接プログラムが作成される。また、レーザの狙い方向は、図2に示すように、R面と反対側の平板面では平板面に対して90°であり、図3及び図4に示すように、ビードが既に形成されている場合は、ビードの凸部と母材の凸部を結ぶ接線に対して90°である。また、レーザの狙い方向は、図5に示すように、基体1の先端部については、平板面に対して平行であり、図6に示すように、二つのビードが既に形成されている場合は、一のビードの凸部と他のビードの凸部を結ぶ接線に対して90°である。このように、レーザ狙い方向を決定することによって、溶着不良を低下でき、かつ、溶着金属への母材の混入を抑制できる。
また、レーザ溶接の際、溶接箇所にオシレーションをかけてもよい。これにより、溶着不良を低下できる。オシレーションをかけながら溶接する方法として、以下に示すような方法がある。
粉末状の耐エロージョン性金属材料を溶接箇所に帯状に供給しながら、溶接箇所におけるレーザを幅方向に高速でウィービングさせて、耐エロージョン層3を形成する。または、一定厚さを有する帯板状の耐エロージョン性金属材料を溶接箇所に供給しながら、溶接箇所におけるレーザを幅方向に高速でウィービングさせて、耐エロージョン層3を形成する。
さらには、耐エロージョン層3を形成する部分の全体に、あらかじめ溶射やコールドスプレー等によって耐エロージョン性金属材料による層を形成しておき、溶接箇所におけるレーザを幅方向に高速でウィービングさせて、耐エロージョン層3を形成する。このときのレーザの振動幅は、粉末や帯板状の耐エロージョン性金属材料を供給する場合に比べて、幅広にすることができ、かつ、材料の重ね合わせ部がないため、欠陥が生じにくい。
ここで、幅方向とは、レーザの進行方向に対する横方向である。また、高速とは、溶接箇所におけるレーザのエネルギー密度分布を山状ではなく矩形状にして、母材の混入する希釈部分を浅くする速度である。通常のウィービング溶接が数Hzの周波数であるのに対して、本実施形態では、数十Hz〜数百Hzの周波数である。すなわち、レーザを高速でウィービングさせない場合は、図14に示すように、エネルギー密度分布が山状になり、溶融部分が深くなるが、レーザを高速でウィービングさせることによって、図15に示すように、エネルギー密度分布を平坦化することができ、溶融部分を浅くかつ幅広くすることができる。
以上のとおり、本実施形態の方法により、肉盛溶接時のパス数が少なくなって欠陥数を減らすことができ、作業効率も向上させることができる。また、レーザのエネルギー密度分布が平坦化するため、母材による耐エロージョン層3の希釈を抑制する。そして、母材による希釈を低減できることから、耐エロージョン性に必要な最小限の厚さであって、高品質の耐エロージョン層3を形成することができる。
以上、本実施形態による蒸気タービン翼10の前縁部1Aの形成方法によれば、次のような作用効果が得られる。
まず、蒸気タービン翼10の基体1における溝部2の前端部2Aに形成する角部について、基体1の厚さよりも長い半径Rを有する円弧形状の断面とすることによって、溶接時の角部の熱のこもりを緩和できる。従来、角部は、基体1の厚さよりも短い半径Rを有する円弧形状の断面であったところ、このような基体1の断面形状は、溶着金属から受けて蓄積された熱が放熱されにくい。一方、本実施形態のように、角部断面の円弧形状を緩やかにすることによって、基体1から熱が放熱されて局所的な温度上昇を抑えることができる。その結果、溶着金属への母材の混入による溶着金属の希釈化を低減し、耐エロージョン層3の硬さ低下を抑制できる。
また、蒸気タービン翼10の基体1における溝部2の後端部2Bにおいて、耐エロージョン層3の予定仕上がり面Sよりも可能な限り深くすることによって、母材が溶着金属に混入する希釈領域を蒸気タービン翼10の表面側ではなく内部側に位置させることができる。その結果、溶着金属への母材の混入によって硬さが低下した希釈領域が表面に出現しづらくなるため、硬度が担保された耐エロージョン層3を有する蒸気タービン翼10を形成できる。
一方、図12に示すように、溝部2の深さが浅い場合、硬さの低い希釈領域が、耐エロージョン層3の予定仕上がり面Sに近くなるため、耐エロージョン性能が低下するおそれがある。
また、溝部2の深さは、溶着金属が1層で埋まる深さであることから、多層溶接の場合の基材の温度上昇を抑制でき、溶着金属の希釈率を低下させることができる。
さらに、溶接時の各パスの重ね量を大きくし、溶接ビードが母材と接触する部分を少なくすることによって、溶着金属への母材の混入による溶着金属の希釈化を低減し、耐エロージョン層3の硬さ低下を抑制できる。
またさらに、レーザ溶接を適用することによって、溶接作業を自動化でき、溶接部を適正に形成でき、かつ、基材への入熱量を抑制させて溶着金属の希釈率を低下させることができる。
上述した溶接方法では、溝部2に形成された耐エロージョン層3は、1層の溶接によって形成され、母材による希釈が10%以下となるようにする。
図7及び図8は、基体1の厚さが4.6mmであるとき、角部の半径を7.8mm、溝深さを0.8mm、各溶接パスのラップ量を3.2mmとしてレーザ溶接を実行したときの断面の一例である。<>内は、パスの順序を示す。
図9及び図10は、それぞれ図7及び図8の順序で肉盛溶接して耐エロージョン層3を形成したときのビッカース硬さ測定試験の結果を表す。<>内の数値の単位は、硬さHvである。測定点は、耐エロージョン層3の予定仕上がり面Sに対応する。測定結果から、予定仕上がり面Sにおいて、硬さHv400を超える値となることが分かり、Hv400以上の硬さを有する耐エロージョン層3を形成できることが確認された。
なお、本実施形態では、耐エロージョン層3の接合について、レーザ溶接の場合について説明したが、本発明はこの例に限定されず、他の溶接方法、例えばTIG溶接などによる場合でも、基材の形状や耐エロージョン層3を上記と同様に形成することによって、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
1 基体
2 溝部
3 耐エロージョン層
10 蒸気タービン翼
11 レーザ先端部
12 シュラウド部
S 予定仕上がり面

Claims (8)

  1. タービン翼前縁部における基体への耐エロージョン性金属材料の溶接方法であって、
    前記耐エロージョン性金属材料が1層で埋まるように、耐エロージョン層の予定仕上げ面と耐エロージョン層の厚さに基づいて、前記耐エロージョン性金属材料が施される溝を前記基体に形成するステップと、
    前記溝に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップと、
    を備え
    新たに形成されるビードと既に形成されているビードとの接触部分が、前記基体との接触部分よりも広く形成されるように、溶接時の各パスの重ね量を決定するステップと、
    前記重ね量に基づいて前記基体に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップと、
    を更に備える耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  2. タービン翼前縁部における基体への耐エロージョン性金属材料の溶接方法であって、
    前記耐エロージョン性金属材料が1層で埋まるように、耐エロージョン層の予定仕上げ面と耐エロージョン層の厚さに基づいて、前記耐エロージョン性金属材料が施される溝を前記基体に形成するステップと、
    前記溝に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップと、
    を備え
    溶接された前記耐エロージョン性金属材料は、前記基体の材料による希釈が10%以下である耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  3. 新たに形成されるビードと既に形成されているビードとの接触部分が、前記基体との接触部分よりも広く形成されるように、溶接時の各パスの重ね量を決定するステップと、
    前記重ね量に基づいて前記基体に前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップと、
    を更に備える請求項に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  4. 前記溝の深さは、前記予定仕上げ面に対して2mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  5. 前記耐エロージョン性金属材料を溶接して形成される仕上げ加工前の耐エロージョン層は、1層で2mm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  6. 前記耐エロージョン性金属材料を溶接するステップは、エネルギー密度分布が平坦化するようにレーザを進行方向に対して横方向にウィービングさせることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  7. 耐エロージョン性金属材料を粉末状若しくは帯板状で供給しながら溶接する、又は耐エロージョン性金属材料を溶接箇所に予め溶射若しくはコールドスプレーで付着した後に溶接する請求項6に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の耐エロージョン性金属材料の溶接方法によって前縁部に耐エロージョン層が形成されたタービン翼。
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