JP2020121315A - 金属肉盛層の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属肉盛層や基材が薄い場合であっても変形を十分に抑制できる肉盛溶接方法を提供する。より具体的には、タービン翼の先端部や刃物の先端部に金属肉盛層を形成させた場合であっても、変形の矯正や余肉の除去が不要、又は最小限の処理で最終製品とすることができる程度に変形を抑制できる肉盛溶接方法を提供する。【解決手段】レーザメタルデポジションを用いて金属肉盛層を形成させる方法であって、金属肉盛層の短手方向にレーザ走査を繰り返し、連続して形成される前記金属肉盛層を隣接させること、を特徴とする金属肉盛層の形成方法。【選択図】図1

Description

本発明は、本発明は、レーザメタルデポジションを用いて金属肉盛層を形成させる方法に関する。
従来、表面処理技術の一つとして、金属基材の表面に当該金属基材とは異なる耐熱材料や高硬度材料を肉盛りするこことにより、最表面の耐エロージョン性や耐摩耗性等を向上させる技術が知られている。
例えば、特許文献1(特開2013−176778号公報)には、Fe基材表面にクラッド材としてFe系の高速度工具鋼粉末を供給し、レーザビームの走査によってFe基材とクラッド材とを一体化するクラッディング工程と、クラッディング工程の後に全体を加熱しその後徐冷し、レーザ走査部分のビッカース硬度が700以上1000以下とする熱処理工程と、を含むことを特徴とするレーザクラッディング方法が開示されている。
また、特許文献2(特開平10−280907号公報)には、重量%で、Cr:23〜27%、Ni:3〜6%、Si:2〜4%、Mn:7〜10%、C:1〜1.4%、残部FeよりなるCrNiSiMnCを含有する鉄基合金よりなる粉末溶接材料を、17−4PH析出硬化形ステンレス鋼(SUS630)製蒸気タービン動翼先端前縁部にプラズマトランスファアーク溶接により肉盛溶接してエロージョンシールドを形成してなる蒸気タービン動翼が提案されている。
特開2013−176778号公報 特開平10−280907号公報
しかしながら、従来の肉盛溶接法では、形成させる金属肉盛層(金属肉盛部材)が薄い場合(例えば、壁状の肉盛層)は、金属肉盛層自体に大きな変形が生じてしまい、所望の形状の金属肉盛層を得ることは困難である。また、肉厚の薄い基材に対して肉盛溶接を施す場合は、熱履歴によって基材が大きく変形してしまう。
上記特許文献1のレーザクラッディング法及び上記特許文献2の蒸気タービン動翼においても、最終形状を得るためには余肉の除去等の仕上げ加工が必須であることに加え、金属肉盛層や基材が薄い場合に、変形を十分に抑制することは極めて困難であった。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、金属肉盛層や基材が薄い場合であっても変形を十分に抑制できる肉盛溶接方法を提供することにある。より具体的には、タービン翼の先端部や刃物の先端部に金属肉盛層を形成させた場合であっても、変形の矯正や余肉の除去が不要、又は最小限の処理で最終製品とすることができる程度に変形を抑制できる肉盛溶接方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、レーザメタルデポジションを用いた金属肉盛層の形成方法について鋭意研究を重ねた結果、一般的には肉盛プロセスの効率化に不利である、金属肉盛層や基材の短手方向にレーザ走査を繰り返すこと等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
レーザメタルデポジションを用いて金属肉盛層を形成させる方法であって、
前記金属肉盛層の短手方向にレーザ走査を繰り返し、
連続して形成される前記金属肉盛層を隣接させること、
を特徴とする金属肉盛層の形成方法、を提供する。
レーザメタルデポジションとは、金属基材の表面に金属粉末を供給しつつ、レーザビームを照射して金属肉盛層を形成させる技術であり、レーザクラッディングやダイレクトエナジーデポジション等と略同様の手法である。金属粉末は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、金属肉盛層に求められる機械的、化学的特性に応じて、従来公知の種々の金属粉末を用いることができる。
ここで、例えば、壁状の金属肉盛層を形成させる場合、長手方向にレーザ走査をすることで、少ない走査回数で最終形状を得ることができるが、熱履歴によって金属肉盛層が大きく変形してしまう。これに対し、本発明者らが様々なレーザ走査パターンについて多数の実験を繰り返した結果、金属肉盛層の短手方向にレーザ走査することで変形を劇的に抑制できることが明らかとなった。なお、本明細書において「金属肉盛層が薄い」とは、膜厚が薄い場合を意味するのではなく、高さ方向に金属肉盛層を積層させた場合(例えば、壁状の金属肉盛層を形成させる場合)の金属肉盛層の厚さを意味する。
本発明の金属肉盛層の形成方法においては、短手方向に金属肉盛層が配列することになる。ここで、「連続して形成される前記金属肉盛層を隣接させる」とは、先に形成された金属肉盛層とその直後に形成された金属肉盛層が隣接するようにレーザ走査することを意味しており、短手方向の終端部では一度レーザ照射を停止してもよく、レーザ照射を継続してもよい。
本発明の金属肉盛層の形成方法においては、薄肉部材の表面に前記金属肉盛層を形成させること、が好ましい。薄肉部材を基材とする場合、レーザメタルデポジションの熱影響によって基材が顕著に変形してしまう。これに対し、金属肉盛層の短手方向にレーザ走査することで、基材の変形を極めて効果的に抑制することができる。ここで、薄肉部材の先端部に金属肉盛層を形成させる場合、レーザ走査方向は薄肉部材に対しても短手方向となる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記薄肉部材における最小の肉厚が10mm以下であること、が好ましい。本発明の変形抑制効果は極めて顕著であり、基材となる薄肉部材の最小の肉厚が10mm以下であっても、最大変形量を十分に抑えることができる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記薄肉部材の端部が曲面形状を有し、前記端部に少なくとも一部が重複する二区画以上の前記金属肉盛層を形成させること、が好ましい。金属肉盛層を二区画以上に分割して形成させることで、曲面形状を有する薄肉部材の端部に対しても変形量を画期的に抑制することができると共に、欠陥の形成も抑制することができる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記レーザメタルデポジションにウィービング動作を伴わないこと、が好ましい。ウィービング動作を伴うレーザメタルデポジションではシールドガスや金属粉末の供給状態が不安定になり易いことから、金属肉盛層に欠陥が導入される確率が高くなる。これに対し、レーザメタルデポジションにウィービング動作を伴わないことで、金属肉盛層への欠陥の形成を抑制することができる。ここで、金属肉盛層を二区画以上に分割して形成させることで、曲面形状を有する薄肉部材の端部に対してもウィービング動作なしで曲面形状に応じた金属肉盛層を形成させることができる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記レーザ走査を往復方向に施すこと、が好ましい。レーザ走査の開始位置をいつも同じ側に設定するパターンも存在するが、レーザ走査が終了した側から次のレーザ走査を開始する(レーザ走査を往復方向に施す)ことで、金属肉盛層及び金属基材の変形量を更に抑制することができる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記金属肉盛層が鉄基合金、ニッケル基合金又はコバルト基合金であること、が好ましい。金属肉盛層を鉄基合金、ニッケル基合金又はコバルト基合金とすることで、金属肉盛層を形成させた状態で耐熱部材や耐摩耗部材等に広く用いることができる。
また、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記金属肉盛層を形成させた後に、前記薄肉部材の変形の矯正及び/又は余肉の除去加工を施さないこと、が好ましい。本発明の金属肉盛層の形成方法で得られる金属部材では殆ど変形が発生しないことから、薄肉部材の変形の矯正及び/又は余肉の除去加工を施すことなく最終部材として用いることができる。即ち、変形の矯正や余肉の除去加工のための費用及び時間を削減することができる。
更に、本発明の金属肉盛層の形成方法においては、前記薄肉部材がタービン翼又は刃物であること、が好ましい。タービン翼や刃物は厳密な薄肉部形状が要求される代表的な金属部材であるが、本発明の金属肉盛層の形成方法を用いることによって、極めて安価かつ効率的にこれらを製造することができる。
本発明によれば、金属肉盛層や基材が薄い場合であっても変形を十分に抑制できる肉盛溶接方法を提供することができる。より具体的には、タービン翼の先端部や刃物の先端部に金属肉盛層を形成させた場合であっても、変形の矯正や余肉の除去が不要、又は最小限の処理で最終製品とすることができる程度に変形を抑制できる肉盛溶接方法を提供することができる。
本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法の模式図である。 本実施形態で用いるレーザ走査方向の模式図である。 形成後における金属肉盛層1の断面図である。 タービン翼の製造工程図である。 金属肉盛層101の形成工程(S02)の模式図である。 実施例1で用いた平面基材の正面図及び側面図である。 実施例1で用いた平面基材端部の断面図である。 レーザ走査パターンを示す模式図である。 実施例1における変形量の測定位置である。 金属肉盛層を形成させた基材の変形量の最大値を示すグラフである。 実施例2で用いた基材の形状及び寸法を示す三次元外観図である。
以下、図を参照しながら、本発明の金属肉盛層の形成方法における代表的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではなく、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて比や数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
1.金属肉盛層の形成方法
図1に本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法の模式図を示す。本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法は、レーザメタルデポジション法を用い、レーザ走査を短手方向Xに繰り返すことによって金属肉盛層1を形成することを特徴とするものである。ここでレーザメタルデポジション法とは、例えばレーザクラッディング法やダイレクトエナジーデポジション法等と略同様で、レーザビーム5を用いて金属粉末を溶融し、金属肉盛層1を形成する表面処理法である。
当該レーザメタルデポジション法では、レーザ光源から射出されたレーザビーム5を集光させて局所的な入熱を行うことで金属粉末を溶融するため、金属肉盛層1は急速溶融及び急冷凝固により形成される。また、基材3に対する熱ひずみや熱影響部を少なくし、基材3と形成した金属肉盛層1とにおける希釈率を低減することが可能である。更に、レーザビーム5及び金属粉末を射出するトーチ部7はプログラムによるロボット制御が可能であり、金属肉盛層1の形成場所及び形状を比較的正確にコントロールすることができるため、種々の刃物や工具の部分的な再生補修及びコーティング等にも好適に利用することができる。
図2に本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法に用いるレーザ走査方向の模式図を示す。レーザデポジション法では、所望の被肉盛領域に対してレーザビーム5の直線移動及び所定の間隔による並行移動によって略面状の金属肉盛層1を形成することが基本であるが、図2に示すとおり、本実施形態では被肉盛領域9の短手方向Xにレーザビーム5を直線移動させ、これを長手方向Yに繰り返し並行移動させることによって金属肉盛層1を形成する。
より具体的には、基材3上の被肉盛領域9に対し、短手方向Xにレーザビーム5を直線移動させて第一肉盛りライン15Aを形成した後、レーザビーム5を長手方向Yに所定量並行移動させ、再度短手方向Xにレーザビーム5を直線移動させて第一肉盛りライン15Aに隣接する第二肉盛りライン15Bを形成する。同様に第三肉盛りライン15C、第四肉盛りライン15D、と繰り返して更に複数の肉盛りラインを形成することによって面積を増加させ、所望の金属肉盛層1を形成する。なお、隣り合う肉盛りラインでレーザビーム5を往復方向(反対方向)に動作させることが望ましい。
上記方法で金属肉盛層1を形成することにより、レーザデポジションに起因する変形を好適に低減することができる。ここで、レーザ走査を金属肉盛層1の短手方向にすることで劇的に変形量が抑制される理由は必ずしも明らかになっていないが、熱弾塑性解析を用いて変形量に及ぼすレーザ操作方向の影響を検討したところ、短手方向のレーザ走査が変形量の抑制に効果的であることが示された。即ち、本発明の金属肉盛層の形成方法では、レーザメタルデポジションによる熱履歴が、変形量の抑制に関して最適化されていると考えられる。
図3に形成した金属肉盛層1の断面図を示す。図3に示すとおり、形成する金属肉盛層1の厚さ方向の寸法を調整する場合は、積層構造とすることが望ましい。より具体的な積層方法としては、特開2016−155155号公報に開示された工具材の製造方法を用いることができる。
金属肉盛層1の形成に用いるレーザメタルデポジションの条件としては、レーザ出力、レーザ焦点距離、レーザ走査速度、金属粉末の供給量、キャリアガス(シールドガス)の供給量、及び長手方向Yの並行移動量であるが、使用する基材3や金属粉末の材料、形成する金属肉盛層1のサイズ、及びブローホールの発生状況等に応じて適宜最適な条件を選択することが望ましい。
基材3は、最小の肉厚が10mm以下の薄肉部材を用いることが望ましく、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下とすることが望ましい。また基材の材質は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の金属材を用いることができる。当該金属材としては、例えば、各種ステンレス鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼等の鉄基合金、ニッケル基合金及びコバルト基合金を用いることができる。
金属肉盛層1の原料となる金属粉末としては、レーザメタルデポジションに適当な組成及び粒度分布等を有する鉄基合金、ニッケル基合金又はコバルト基合金の粉末を用いることができ、より具体的には、各種ステンレス鋼、高速度工具鋼、インコネル、ハステロイ、コルモノイ、ステライト及び自溶性合金等の粉末を用いることができる。
2.金属肉盛層の形成方法を用いたタービン翼の製造
本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法を用いることにより、例えば、部分的に耐エロージョン性や耐摩耗性を向上させたタービン翼を製造することができる。以下、本発明の金属肉盛層の形成方法の適用例として、タービン翼の製造について詳細に説明する。
ここで製造するタービン翼は、通常の製造方法で成形したタービン翼基体103と、該タービン翼基体103の一部に形成した金属肉盛層101と、により構成するものであって、より具体的には、タービン翼の先端前縁部にタービン翼基体103と比して耐エロージョン性や耐摩耗性に優れた金属肉盛層101を形成するものである。図4に本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法を用いたタービン翼の製造工程図を示す。本実施形態に係る金属肉盛層の形成方法を用いたタービン翼の製造は、タービン翼基体103の成形工程(S01)と、金属肉盛層101の形成工程(S02)と、を有している。
<タービン翼基体103の成形工程(S01)>
タービン翼基体103の成形工程(S01)は、金属肉盛層101を形成させるタービン翼基体103を成形する工程である。
製造するタービン翼の形状と、後工程で金属肉盛層101を形成するための被肉盛領域109の位置及び形状と、を決定し、タービン翼基体103を成形する。なお、被肉盛領域109は、タービン翼の先端前縁部に配置され、形成する金属肉盛層101の略厚さ寸法分を表面から控えて形成した窪み状の領域とすることが好ましい。
タービン翼基体103の成形方法としては、例えば熱間型鍛造や切削加工を用いることができる。例えば、タービン翼基体103の形状に加工された上下一組の金型内に、再結晶温度以上の高温に加熱したステンレス鋼等の鍛造材料を設置し、熱間型鍛造を行う。熱間型鍛造が終了すると、タービン翼基体103の形状に近い鍛造物が成形される。成形したタービン翼基体103は、冷却した後にバリ等の不要な部分を除去し、熱処理を施すことによって残留応力及び熱応力を解放することが好ましい。
ここで、タービン翼基体103の形状は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々のタービン翼形状とすることができる。また、金属肉盛層101の形成工程(S02)においてタービン翼基体103の変形が効果的に抑制されるため、タービン翼基体103に最小の肉厚が10mm以下の薄肉領域が存在しても問題ない。
<金属肉盛層101の形成工程(S02)>
金属肉盛層101の工程(S02)は、前工程で成形したタービン翼基体103の被肉盛領域109にレーザデポジション法によって金属肉盛層101を形成する工程である。
タービン翼の先端前縁部のような曲面形状を呈する部位に対しては、少なくとも二つ以上の区画に分けて金属肉盛層を形成し、更に各金属肉盛層の一部を重複させることが好ましい。本実施形態では、タービン翼基体103に形成した被肉盛領域109に対し、第一区画肉盛層101A、第二区画肉盛層101B、及び第三区画肉盛層101Cの三つを形成し、互いに一部を重複させることによって金属肉盛層101を形成する。
上記方法を用いて金属肉盛層101を形成することで、曲面形状を有する薄肉部材の端部に対してもウィービング動作なしで曲面形状に応じた金属肉盛層101を形成させることができる。その結果、タービン翼基体103の変形量を抑制できることに加え、シールドガスの状態及び金属粉末の供給が不安定になることを抑え、金属肉盛層101への欠陥導入を抑制することができる。
図5に、金属肉盛層101の形成工程(S02)の模式図を示す。タービン翼基体103の被肉盛領域109に対し、第一区画肉盛層101A、第二区画肉盛層101B、第三区画肉盛層101Cの順で形成を行う。各区画の範囲及び重複量は、被肉盛領域109及び形成する金属肉盛層101の形状とサイズに応じ、各区画間で顕著な偏りがないよう適宜決定すればよい。また、第一区画肉盛層101A、第二区画肉盛層101B、第三区画肉盛層101Cの形成に用いるレーザデポジションの条件は、各区画におけるタービン翼基体103の肉厚及び曲率や金属肉盛層101の厚さ等に応じて適宜変更することが好ましい。
タービン翼基体103の被肉盛領域109に対し、第一区画肉盛層101A、第二区画肉盛層101B、及び第三区画肉盛層101Cの形成を終えることで、金属肉盛層101の形成工程(S02)が完了する。なお、上記工程を終えたタービン翼基体103は、レーザデポジションに起因する変形量が好適に抑制されるため、変形矯正及び/又は余肉の除去を行う後加工を施す必要がない。
以下、実施例によって発明の金属肉盛層の形成方法を更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
粒径63〜150μmのステライト6粉末を用い、13クロムステンレス鋼製の平板基材にレーザメタルデポジションを施して金属肉盛層を形成させた。レーザにはディスクレーザを用い、レーザメタルデポジション条件を、レーザ出力1.1kW、レーザスポット径(フォーカス径)1mm、レーザ移動速度0.01m/sとした。
平面基材の正面図及び側面図を図6に示す。また、金属肉盛層を形成させる平面基材端部の断面図を図7に示す。平面基材端部は先端に向けて薄くなるように加工されており、当該加工面に対してレーザメタルデポジションを施した。なお、レーザメタルデポジションを施した領域は図6及び図7の黒色領域で、中央の100mm区間となっている。
基材表面に形成させる金属肉盛層は1mm×10mm×100mmの長尺形状の直方体とし、図8に示すレーザ走査パターンにてレーザメタルデポジションを施した。即ち、レーザ走査は金属肉盛層の短手方向となっている。
金属肉盛層を形成させた基材を室温まで空冷した後、接触式三次元測定機によって変形量を測定した。より具体的には、金属肉盛層を形成させる前後において、基材表面の位置を56点測定した(図9の丸印が測定位置である)。なお、金属肉盛層を形成させた基材は2つ製造し、各基材の変形量の最大値を図10に示す。変形量の最大値は0.001mm及び0.008mmであり、極めて小さな値となっている。
<実施例2>
レーザメタルデポジションによって、図11に示すタービン翼形状の基体の端部(図中に矢印で示す領域)に金属肉盛層を形成させた。レーザメタルデポジションの条件は実施例1と同様であり、レーザ走査は基体の短手方向となっている。
金属肉盛層を形成させる前後において、非接触式三次元測定機によって変形量を測定したところ、基材根元部に対する基材先端部(図11に矢印で示す)の変形量は1.306mmであった。
<比較例1>
図8に示すレーザ走査パターン(比較例1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板基材にレーザメタルデポジションを施して金属肉盛層を形成させた。
また、実施例1と同様にして金属肉盛層を形成させた基材の変形量を測定した。変形量の最大値を図10に示す。
<比較例2>
図8に示すレーザ走査パターン(比較例2)を用い、スポット溶接(スポット肉盛)を2000回繰り返して金属肉盛層を形成させた。原料粉末、平板基材及び金属肉盛層の形状及び寸法は実施例1と同様である。スポット溶接にはディスクレーザを用い、レーザ出力0.5kW、パルス長100ms、レーザスポット径(フォーカス径)1mmとした。
また、実施例1と同様にして金属肉盛層を形成させた基材の変形量を測定した。変形量の最大値を図10に示す。
<比較例3>
図8に示すレーザ走査パターン(比較例3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板基材にレーザメタルデポジションを施して金属肉盛層を形成させた。なお、比較例3においては、短手方向の線溶接(線肉盛)が外側から内側に進むようにレーザ走査している。
また、実施例1と同様にして金属肉盛層を形成させた基材の変形量を測定した。変形量の最大値を図10に示す。
<比較例4>
図8に示すレーザ走査パターン(比較例4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、平板基材にレーザメタルデポジションを施して金属肉盛層を形成させた。なお、比較例4においては、短手方向の線溶接(線肉盛)が内側から外側に進むようにレーザ走査している。
また、実施例1と同様にして金属肉盛層を形成させた基材の変形量を測定した。変形量の最大値を図10に示す。
<比較例5>
レーザメタルデポジションのレーザ走査パターンをタービン翼形状基体の長手方向としたこと以外は実施例2と同様にして、金属肉盛層を形成させた。
実施例2と同様にして、金属肉盛層を形成させる前後における変形量を測定したところ、当該変形量は5.784mmであった。
実施例1と比較例1〜4の結果から、レーザ走査パターンを金属肉盛層の短手方向にし、連続して形成される金属肉盛層を隣接させることで、劇的に変形量が低減されることが分かる。実施例1における最大変形量は0.001mm及び0.008mmであり、変形の矯正及び/又は余肉の除去加工を施すことなく、最終形状として十分に使用することができる。
また、実施例2と比較例5の結果から、タービン翼のように薄肉部を含む複雑形状を有する基材の端部に金属肉盛層を形成させる場合であっても、本発明の金属肉盛層の形成方法を用いることで、明瞭な基材の変形抑制効果を得ることができる。
1 金属肉盛層
3 基材
5 レーザビーム
7 トーチ部
9 被肉盛領域
15A 第一肉盛りライン
15B 第二肉盛りライン
15C 第三肉盛りライン
15D 第四肉盛りライン
101 金属肉盛層
101A 第一区画肉盛層
101B 第二区画肉盛層
101C 第三区画肉盛層
103 タービン翼基体
109 肉盛領域

Claims (9)

  1. レーザメタルデポジションを用いて金属肉盛層を形成させる方法であって、
    前記金属肉盛層の短手方向にレーザ走査を繰り返し、
    連続して形成される前記金属肉盛層を隣接させること、
    を特徴とする金属肉盛層の形成方法。
  2. 薄肉部材の表面に前記金属肉盛層を形成させること、
    を特徴とする請求項1に記載の金属肉盛層の形成方法。
  3. 前記薄肉部材における最小の肉厚が10mm以下であること、
    を特徴とする請求項2に記載の金属肉盛層の形成方法。
  4. 前記薄肉部材の端部が曲面形状を有し、
    前記端部に少なくとも一部が重複する二区画以上の前記金属肉盛層を形成させること、
    を特徴とする請求項2又は3に記載の金属肉盛層の形成方法。
  5. 前記レーザメタルデポジションにウィービング動作を伴わないこと、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属肉盛層の形成方法。
  6. 前記レーザ走査を往復方向に施すこと、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の金属肉盛層の形成方法。
  7. 前記金属肉盛層が鉄基合金、ニッケル基合金又はコバルト基合金であること、
    を特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の金属肉盛層の形成方法。
  8. 前記金属肉盛層を形成させた後に、前記薄肉部材の変形の矯正及び/又は余肉の除去加工を施さないこと、
    を特徴とする請求項2〜7のうちのいずれかに記載の金属肉盛層の形成方法。
  9. 前記薄肉部材がタービン翼又は刃物であること、
    を特徴とする請求項2〜8のうちのいずれかに記載の金属肉盛層の形成方法。
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