JP5455412B2 - オイル導入装置およびオイルフィルタ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、異なるオイルの流れが生じる場に配置され、前記オイルをオイルフィルタ側に導入するオイル導入装置およびこれを用いたオイルフィルタ装置に関するものである。
従来から、建設機械や一般車両には歯車装置が用いられている。この歯車装置は、たとえば、ブルドーザ、ダンプトラック、油圧ショベルなどの終減速歯車、ホイールローダのアクスル、油圧ショベルの旋回モータ減速機などである。これらの歯車装置には、潤滑油が充填されているが、一般に潤滑用ポンプを備えていないことからオイルフィルタが設けられていない。このため、歯車から生成される硬い摩耗粉や外部から侵入する土砂(ダスト)が装置内に堆積し、攪拌によって巻き上げられることによって、歯車の歯面間や、歯車と転がり軸受けとの間などに摩耗粉やダストが挟まり、結果的に歯車の折損や転がり軸受けの疲労損傷を発生させてしまう場合があった。
このため、特許文献1には、歯車装置に、攪拌されるオイルの流れを用いたオイルフィルタを設けるようにしている。また、特許文献2には、油圧ショベルの旋回減速機に用いられる歯車装置の回転シャフトにインペラーポンプを設けてオイルの流れを発生させ、このオイルのフィルタリングを行うようにしている。
実用新案登録第2551579号公報 実公平6−39162号公報
しかしながら、頻繁に前後進を繰り返す建設機械の車両や旋回モータ減速機などの歯車装置に、特許文献1に記載された歯車装置を適用すると、一方向の流れのオイルのみをフィルタリングするため、オイルの逆流によってフィルタ捕捉物が流出するため、フィルタリング効率が悪いという問題点があった。
また、特許文献2では、頻繁に前後進を繰り返す歯車装置に、オイルの流れを発生させるインペラーポンプを設ける必要があるため、歯車装置全体構成に大きな変更が必要となり、歯車装置が複雑かつ大型化するという問題点があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で、異なる方向の流れが生成するオイルのフィルタリング効率を高めることができるオイル導入装置およびオイルフィルタ装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるオイル導入装置は、異なるオイルの流れが生じる場に配置され、前記オイルをオイルフィルタ側に導入するオイル導入装置であって、前記異なるオイルの流れ方向に対向して配置されて前記オイルを取り込む複数のオイル取込口と、前記オイルフィルタ側に設けられ、取り込んだ前記オイルを出力するフィルタ側出力口と、前記オイルの流れの下流側に向けて可動して前記オイルを反射し、該オイルを前記フィルタ側出力口に導くオイル反射板と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるオイル導入装置は、上記の発明において、前記オイル反射板は、前記複数のオイル取込口間に配置され、前記オイルの流れによって回動端を中心に回動して排他的に前記複数のオイル取込口を開閉する開閉板であることを特徴とする。
また、この発明にかかるオイル導入装置は、上記の発明において、前記オイル反射板は、前記複数のオイル取込口間に配置され、前記オイルの流れによって該オイルの下流側にスライドして前記オイルを反射するスライド板であることを特徴とする。
また、この発明にかかるオイル導入装置は、上記の発明において、前記オイル反射板は、前記複数のオイル取込口間の略中央に前記フィルタ側出力口に向けて立設した弾性部材からなる固定板であり、前記オイルを前記フィルタ側出力口に導く際、前記オイルの流れによって傾斜することを特徴とする。
また、この発明にかかるオイル導入装置は、上記の発明において、前記フィルタ側出力口の後段に、出力されたオイル流を整流するオイル整流部を設けたことを特徴とする。
また、この発明にかかるオイルフィルタ装置は、上述した発明のいずれか一つに記載のオイル導入装置と、前記フィルタ側出力口あるいは前記オイル整流部の後段に取り付けられたオイルフィルタと、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、異なるオイルの流れ方向に対向して配置されて前記オイルを取り込む複数のオイル取込口を設け、このオイル取込口によって取り込まれたオイルは、前記オイルの流れの下流側に向けて可動するオイル反射板によって反射され、フィルタ側出力口に導かれるようにしているので、装置全体構成の大きな変更を加えることなく、異なるオイルの流れを有するオイルのフィルタリング効率を簡易な構成で高めることができる。
図1は、この発明の実施の形態1にかかるオイル導入装置を含むオイルフィルタ装置が適用されるアクスルの全体構成およびディファレンシャル部分の一部を破断した構成を示す斜視図である。 図2は、図1に示したオイルフィルタ装置の概要構成を示す斜視図である。 図3は、図1に示したオイルフィルタ装置の内部構成を示す斜視図である。 図4は、オイルフィルタの構成を示す縦断面図である。 図5は、逆止弁の構成を示す断面図である。 図6は、オイル導入装置の動作を示す平面図である。 図7は、この発明の実施の形態1の変形例1のオイル導入装置の構成を示す断面図である。 図8は、この発明の実施の形態1の変形例2のオイル導入装置の構成を示す断面図である。 図9は、この発明の実施の形態1の変形例3のオイル導入装置の構成を示す断面図である。 図10は、この発明の実施の形態2のオイル導入装置の構成を示す平面図である。 図11は、この発明の実施の形態2のオイル導入装置の構成を示す平面図である。
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるオイル導入装置およびオイルフィルタ装置について説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるオイル導入装置を含むオイルフィルタ装置が適用されるアクスルの全体構成およびディファレンシャル部分の一部を破断した構成を示す斜視図である。図1(a)は、ホイールローダのアクスルの全体構成を示しており、図1(b)は、アクスルのディファレンシャル部分E1の内部構成を示している。ディファレンシャル部分E1は、ディファレンシャルケース2内にベベルギア3が組み込まれ、車軸に動力を伝達する。ベベルギア3の両端には、湿式多板ブレーキ4が設けられる。このディファレンシャルケース2内には、ベベルギア3が浸る程度に粘性の高いオイルが注入され、ホイールローダの前後進に対応して、ベベルギア3によってオイルが巻き上げられ、ベベルギア3の回転周方向に沿ってオイルの流れが生じる。ベベルギア3の回転周方向に沿って異なる方向をなし、後述するオイル導入装置20の取込口22a,22bに略直交する方向をFA,FBとする。この実施の形態1では、このディファレンシャルケース2内のベベルギア3の上部に、オイルフィルタ装置10が設けられ、たとえば、ディファレンシャルケース2の上蓋1aにボルトなどで固定される。
図2は、オイルフィルタ装置10の概要構成を示す斜視図である。また、図3は、オイルフィルタ装置10の内部構成を示す斜視図である。図2および図3に示すように、このオイルフィルタ装置10は、オイル導入装置20、整流部30、およびオイルフィルタ40を有する。オイル導入装置20は、ベベルギア3で巻き上げられたオイルを取り込んで、オイルフィルタ40の前段に設けられた整流部30側に導く。整流部30は、オイル導入装置20が取り込んだオイルをオイルフィルタ40に整流して出力する。オイルフィルタ40は、整流部30から入力されたオイルに含まれる摩耗粉などをフィルタリングして清浄なオイルとしてディファレンシャルケース2内に排出する。
オイル導入装置20は、ベベルギア3によって巻き上げられるオイルの流れFA方向に対向して開口が配置されたオイル取込口22aと、オイルの流れFB方向に対向して開口が配置されたオイル取込口22bとが形成されたケース21を有する。オイルの流れFA,FBは、ベベルギア3の異なる回転周方向に沿う流れである。ケース21は、長方形の筐体であり、オイル取込口22a,22bは、それぞれ水平方向の対向した側面であって、流れFA,FBに略直交する面に開口している。ケース21は、たとえば鋼、アルミニウム、樹脂などで形成される。
オイル取込口22a,22b間の一対のケース側面の一方には、整流部30が接続され、このケース側面は、フィルタ側出力口24が形成される。また、他方のケース側面には、反射板23bの回動を支持する回転軸23aが該ケース側面の略中央に鉛直に設けられる。反射板23bは、オイル取込口22bからオイルが取り込まれる場合、このオイルの流れによってオイル取込口22a側に回転し、オイル取込口22aを塞ぎ、取り込まれたオイルをフィルタ側出力口24側に導く。すなわち、反射板23bは、オイルの流れF1を反射して流れF2に変更し、オイルをフィルタ側出力口24に導く。一方、反射板23bは、オイル取込口22aからオイルが取り込まれる場合、このオイルの流れによってオイル取込口22b側に回転し、オイル取込口22bを塞ぎ、取り込まれたオイルをフィルタ側出力口24側に導く。すなわち、回転軸23aに支持された反射板23bは、オイルの流れに応じて回転軸23aを中心に水平方向に回動し、オイルの流れの下流側に位置するオイル取込口22a,22bを塞ぐという排他的な開閉板の機能を実現している。
整流部30は、ケース31内に、オイルの流れF2に沿って平行配置された単数または複数の整流板32を有し、オイルの流れF2を一方向に整流する機能を実現している。整流板32によって整流されたオイルは、ケース31の鉛直下側に設けられた単数または複数の開口45を介してオイルをオイルフィルタ40側に流れF3として出力する。
オイルフィルタ40は、整流部30の鉛直下部に設けられる。オイルフィルタ40は、整流部30側の台座42と鉛直下部の台座43との間に設けられたフィルタケース41内のフィルタエレメント44によって整流部30側から入力されたオイルをフィルタリングして台座43の略中央から排出する。フィルタケース41は、円筒形状をなし、内部に鉛直軸周りに設けられたフィルタエレメント44を有し、フィルタエレメント44の外周側から内周側にオイルを透過させることによってフィルタリングする。
図4は、オイルフィルタ40の構成を示す縦断面図である。図4に示すように、台座42の開口45のフィルタケース側出口には、オイルの逆流を防止する逆止弁49が設けられ、逆止弁49を通過したオイルは、フィルタエレメント44の外周に流れF4として導かれる。フィルタエレメント44によってフィルタリングされたオイルは、フィルタエレメント44の内周側に透過し、台座43に設けられた内周側の開口46、逆止弁49、および中心軸の開口47を介して流れF5としてオイルフィルタ40の外部に排出される。なお、台座43は、ナットなどの取付部48によってフィルタケース41側に固定される。フィルタエレメント44を交換する場合、取付部48を外した後、台座43とフィルタケース41とが外される。なお、フィルタエレメント44は、公称10μmのろ過精度を持つセルロース繊維や、公称3〜6μmのろ過精度も持つ合成繊維が好ましい。もちろん、オイルの流速が遅い場合、ろ過精度105μm程度のステンレスや黄銅製のストレーナなどによっても、歯車損傷を生起する粗大摩耗粉を除去することができるため、これらで実現してもよい。
逆止弁49は、上述したように、オイルの逆流を防ぐとともに、フィルタエレメント44によって捕捉された摩耗粉などがフィルタエレメント44から取れて逆流してしまうことを防止する。特に、異なる方向の流れFA,FBが切り替わる際、一時的に負圧になり、オイルが逆流したり、乱れたりするため、逆止弁49を設ける効果は大きい。この逆止弁49は、図5に示すように、入力側である開口45,46側を凹部とする弾性部材によって形成され、基部が固定されるとともに、先端部が入力側開口の縁部に接触する。逆止弁49の基部は、取付板51に取り付けられた鋼板50などによって接着固定あるいは圧着固定される。
上述したように、オイル導入装置20は、反射板23bを用いて、オイル導入装置20に導入される異なる2方向のオイルの流れF1a,F1bを排他的に、1つのオイルの流れF2に変更する。たとえば、図6に示すように、オイルが流れF1bである場合にはこの流れF1bによって反射板23bが下流に回動し、オイル取込口22aを塞ぐとともに反射機能を形成し、オイルの流れを略垂直方向に曲げてオイルを取り込むようにしている。
ここで、図7でこの実施の形態の変形例を示す。図7は、図6のA−A線断面図である。図7に示すように、オイル導入装置20a上面を開口状態にして上面を上蓋1aの内壁に取り付けることによって、部品点数が少なくなるとともに小型軽量化を図ることができる。また、オイル導入装置20a上面を上蓋1aの内壁に取り付けることによって、オイル取込口22a,22b近傍の内壁が反射板となり、上蓋1a内壁で反射するオイルの流れF1cをさらに効率良く取り込むことができる。
また、図8に示したオイル導入装置20bのように、オイル取込口22a,22bの上蓋1a側側面も開口し、開口部上面を削除した状態で上蓋1a内壁に固定配置するようにしてもよい。これによって、上蓋1a内壁を反射板としてさらに活用することができるとともに、実質的な開口面積を大きくすることができ、結果的に、一層効率よくオイルを取り込むことができる。
もちろん、図9に示したオイル導入装置20cのように、オイル取込口22a,22bの上蓋1a側側面を開口し、さらに上面の一部(上面の略中央部)を残して開口し、上面と上蓋1aとの間に間隙を設けた状態で、上蓋1aに取り付けるようにしてもよい。
この実施の形態1では、異なるオイルの流れFA,FBに対向して配置され一対のオイル取込口22a,22bを設け、このオイル取込口22a,22bによって取り込まれたオイルを、オイルの流れによって下流側に回動する反射板23bによって反射し、共通のフィルタ側出力口24に導くようにしているので、アクスル1全体構成の大きな変更を加えることなく、前後進などによって頻繁に切り替わる異なるオイルの流れを有するオイルのフィルタリング効率を簡易な構成で高めることができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、反射板23bを有する開閉弁23によってオイルを取り込むようにしていたが、この実施の形態2では、オイルの流れによってスライド板をスライドさせてオイルを取り込むようにしている。
図10は、この発明の実施の形態2であるオイル導入装置の構成を示す平面図である。図10に示すように、このオイル導入装置60は、実施の形態1で回転軸23aが取り付けられていた側面にガイド部62を設け、スライド板61がこのガイド部62上をスライドして水平方向に移動するようにしている。
たとえば、オイルの流れF1bが生じた場合、スライド板61は、この流れF1bの下流側にスライドし、オイル取込口22aを塞ぎ、オイルの流れF1bをフィルタ側出力口24側に導く流路を形成するようにしている。
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1,2では、いずれも可動部を有していたが、この実施の形態3では、可動しない固定板を用いてオイルの流れを反射するようにしている。
図11は、この発明の実施の形態3であるオイル導入装置の構成を示す平面図である。図11に示すように、このオイル導入装置70は、実施の形態1で回転軸23aが取り付けられた位置から、フィルタ側出力口24側に延びる壁である固定板71を設けている。
たとえば、オイルの流れF1bが生じた場合、このオイルは、オイルの流れF1bの下流側で、固定板71のオイル取込口22b側表面で反射し、フィルタ側出力口24側に導かれる。なお、図11に示すように固定板71の断面をやや基部に向かってテーパ形状にすることによって、反射面が傾斜するので、オイルの流れの変換を容易に行うことができる。また、固定板71を弾性部材で形成することによって、図11に示すように、オイルの流れで固定板71を傾斜させるようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態1,2においても、反射板23bあるいはスライド板61を弾性部材で形成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1〜3では、いずれもオイル導入装置が長方形であったが、これに限らず、たとえばベベルギア3の周方向に沿ったリング状であってもよい。すなわち、オイル取込口の面は、平行である必要はなく、異なるオイルの流れを効率よく取り込めればよい。したがって、オイル導入装置全体が台形形状にし、オイル取込口が設けられる側面が傾斜していてもよい。
以上のように、この発明にかかるオイル導入装置およびオイルフィルタ装置は、ブルドーザ、ダンプトラック、油圧ショベルなどの終減速歯車、ホイールローダのアクスル、油圧ショベルの旋回モータ減速機などの歯車装置に有用であり、特に、頻繁に前後進する車両や旋回する建設機械に適している。
1 アクスル、1a 上蓋、2 ディファレンシャルケース、3 ベベルギア、10 オイルフィルタ装置、20,20a,20b,20c,60,70 オイル導入装置、22a,22b オイル取込口、23 開閉弁、23a 回転軸、23b 反射板、24 フィルタ側出力口、30 整流部、32 整流板、40 オイルフィルタ、61 スライド板、62 ガイド部、71 固定板

Claims (6)

  1. 異なるオイルの流れが生じる場に配置され、前記オイルをオイルフィルタ側に導入するオイル導入装置であって、
    前記異なるオイルの流れ方向に対向して配置されて前記オイルを取り込む複数のオイル取込口と、
    前記オイルフィルタ側に設けられ、取り込んだ前記オイルを出力するフィルタ側出力口と、
    前記オイルの流れの下流側に向けて可動して前記オイルを反射し、該オイルを前記フィルタ側出力口に導くオイル反射板と、
    を備えたことを特徴とするオイル導入装置。
  2. 前記オイル反射板は、
    前記複数のオイル取込口間に配置され、前記オイルの流れによって回動端を中心に回動して排他的に前記複数のオイル取込口を開閉する開閉板であることを特徴とする請求項1に記載のオイル導入装置。
  3. 前記オイル反射板は、
    前記複数のオイル取込口間に配置され、前記オイルの流れによって該オイルの下流側にスライドして前記オイルを反射するスライド板であることを特徴とする請求項1に記載のオイル導入装置。
  4. 前記オイル反射板は、
    前記複数のオイル取込口間の略中央に前記フィルタ側出力口に向けて立設した弾性部材からなる固定板であり、前記オイルを前記フィルタ側出力口に導く際、前記オイルの流れによって傾斜することを特徴とする請求項1に記載のオイル導入装置。
  5. 前記フィルタ側出力口の後段に、出力されたオイル流を整流するオイル整流部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のオイル導入装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載のオイル導入装置と、
    前記フィルタ側出力口あるいは前記オイル整流部の後段に取り付けられたオイルフィルタと、
    を備えたことを特徴とするオイルフィルタ装置。
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