以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.接触検知および近接検知の基本原理(図1、図2)
2.第1の実施の形態(接触検知可能な表示装置)(図3〜図11)
3.第2の実施の形態(接触検知・近接検知可能な表示装置)(図12〜図16)
<接触検知および近接検知の基本原理>
最初に、以下の実施の形態の表示装置で用いられる接触検知および近接検知の基本原理について説明する。図1は、接触検知を行うことの可能な検知装置100の構成例を表したものである。図2は、接触検知だけでなく近接検知も行うことの可能な検知装置200の構成例を表したものである。
検知装置100は、静電容量型の検知装置であり、例えば、図1に示したように、2次元電極110を備えている。2次元電極110は、検出面(図示せず)に形成されたものであり、例えば、複数の検知電極110Hと、複数の検知電極110Vとにより構成されている。複数の検知電極110Hは、一の面内において、横方向に延在するとともに縦方向に所定の間隔で並列配置されている。複数の検知電極110Vは、複数の検知電極110Hの配置された面と平行な面内において、縦方向に延在するとともに横方向に所定の間隔で並列配置されている。
検知装置100は、2次元電極110の他に、2次元電極110の切り替え用のスイッチ素子120と、2次元電極110に交流信号を供給する信号源130と、周波数・電圧変換回路(F・V変換回路)140とを備えている。スイッチ素子120は、例えば、マルチプレクサである。マルチプレクサの一端側に設けられた複数の端子が、各検知電極110Hおよび各検知電極110Vの一端に1つずつ接続されており、マルチプレクサの他端側に設けられた1つの端子が信号源130およびF・V変換回路140に接続されている。
この検知装置100では、スイッチ素子120によって、複数の検知電極110Hが順次1つずつ選択されるとともに、複数の検知電極110Vが順次1つずつ選択される。これにより、信号源130の信号が複数の検知電極110Hに順次1つずつ印加されるとともに、複数の検知電極110Vに順次1つずつ印加される。このとき、検出面に、例えば指など(図示せず)が接触すると、検出面の表面電界が変化し、その変化が2次元電極110に流れる電流の周波数を変化させ、その周波数の変化がF・V変換回路140によって電圧の変化に変換される。この電圧変化を評価することにより、検出面における指などの接触位置を検出することができる。
なお、この検知装置100では、消費電力の低減や、検出周期の短縮化を目的として、スキャンする検知電極を間引くことが可能である。例えば、スイッチ素子120によって、複数の検知電極110Hのうち所定の電極だけを順次1つずつ選択するとともに、複数の検知電極110Vのうち所定の電極だけを順次1つずつ選択することにより、間引きスキャンを行うことが可能である。
検知装置200は、検知装置100と同様、静電容量型の検知装置であり、例えば、図2に示したように、2次元電極110、スイッチ素子120、信号源130およびF・V変換回路140を備えている。検知装置200は、さらに、2次元電極110とスイッチ素子120との間にスイッチ素子150を備えており、スイッチ素子120とスイッチ素子150との間の配線に信号源130の信号を供給する増幅器160および抵抗器170を備えている。スイッチ素子150は、入力端子の数と出力端子の数とが互いに等しいスイッチであり、一の入力端子と一の出力端子との間の電気的な継断を、端子ごとに独立に行うスイッチである。
この検知装置200では、スイッチ素子150によって、複数の検知電極110Hのうち所定の電極だけが選択されるとともに、複数の検知電極110Vのうち所定の電極だけが選択される。なお、複数の検知電極110Hのうちスイッチ素子150によって選択される電極を選択電極110H’(図示せず)と称し、複数の検知電極110Vのうちスイッチ素子150によって選択される電極を選択電極110V’(図示せず)と称するものとする。
さらに、スイッチ素子120によって、複数の選択電極110H’が順次1つずつ選択されるとともに、複数の選択電極110V’が順次1つずつ選択される。つまり、複数の選択電極110H’および複数の選択電極110V’に対して、常時、信号源130の信号が増幅器160および抵抗器170を介して印加されている。そして、その状態で、それらの電極がスイッチ素子120によって順次1つずつ選択される。このとき、検出面(図示せず)の表面には、複数の選択電極110H’および複数の選択電極110V’の配置に対応した表面電界が形成されている。この検知装置200では、検出面に、例えば指など(図示せず)が近接し、F・V変換回路140の出力電圧(検知感度)が変化すると、その電圧値の変化に応じて、スイッチ素子150によって選択される複数の検知電極110Hおよび複数の検知電極110Vの数(検知電極ピッチ)が変化する。つまり、指などの空間位置に応じて、間引きする電極の数(検知電極ピッチ)を変化させることにより、検知感度が制御される。これにより、検出面における指などの接触位置だけでなく、検出面から離れた指などの空間位置や、検出面上の指などの動きも検出することができる。
<第1の実施の形態>
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表すものである。表示装置1は、タッチセンサ付きの表示装置であり、例えば、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、この液晶表示素子の表面に静電容量型のタッチセンサを液晶表示素子とは別体で備えている。
表示装置1は、例えば、図3に示したように、液晶表示パネル10、タッチパネル20、バックライト30、周辺回路40および検知回路50を備えている。タッチパネル20は、液晶表示パネル10の観察者側(正面)に配置されており、バックライト30は液晶表示パネル10の背後に配置されている。
[液晶表示パネル10]
液晶表示パネル10は、液晶分子の配列を変化させることにより光源(バックライト30)からの光を透過、変調させて映像表示を行うものである。この液晶表示パネル10は、例えば、映像信号40Aおよび同期信号40Bに応じて、マトリクス状に配置された複数の画素(図示せず)が周辺回路40によって駆動される透過型の表示パネルである。液晶表示パネル10は、例えば、行状に配置された複数の走査線WSL1と、列状に配置された複数の信号線DTLとを有している。各走査線WSL1と各信号線DTLとの交差部に対応して、複数の画素が行列状に配置されている。
[タッチパネル20]
タッチパネル20は、指などで、表示装置1の画像表示面20A(タッチパネル20の表面)に触れることにより情報を入力するためのものである。このタッチパネル20は、例えば、液晶表示パネル10とは別体で設けられたものであり、例えば、液晶表示パネル10の表面に、接着剤(図示せず)などを介して貼り合わされている。このタッチパネル20は、上述した静電容量型のタッチセンサの一具体例に相当するものであり、XY(行列)マトリクスで接触・非接触を検出するものである。
[バックライト30]
バックライト30は、液晶表示パネル10を背後から照明するものであり、例えば、導光板と、導光板の側面に配置された光源と、導光板の上面(光射出面)に配置された光学素子とを備えている。導光板は、光源からの光を導光板の上面に導くものであり、側面から入射した光を散乱し、均一化する機能を有している。光源は、線状光源であり、例えば、HCFL (Hot Cathode Fluorescent Lamp)、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)、または複数のLED(Light Emitting Diode)を一列に配置したものなどからなる。光学素子は、例えば、拡散板、拡散シート、レンズフィルム、偏光分離シートなどを積層して構成されたものである。
[検知装置2]
図4は、表示装置1のうち、接触・非接触の検知に関与する部分(検知装置2)を抜き出したものである。検知装置2は、図1に例示した検知装置100と同様、接触検知を行うことの可能な検知装置であり、例えば、図4に示したように、タッチパネル20および検知回路50を含んで構成されている。タッチパネル20は、例えば、センサ部21を有している。一方、検知回路50は、例えば、選択部51、発振部52、変換部53、制御部54、出力部55、入力部56、校正部57およびメモリ部59を含んで構成されている。
センサ部21は、指などの画像表示面20Aへの接触・非接触を検出するものである。センサ部21は、検出面である画像表示面20Aに形成されたものであり、例えば、図5に示したように、複数の検知電極21Hと、複数の検知電極21Vとにより構成されている。複数の検知電極21Hは、一の面内において、横方向に延在するとともに縦方向に所定の間隔で並列配置されている。複数の検知電極21Vは、複数の検知電極21Hの配置された面と平行な面内において、縦方向に延在するとともに横方向に所定の間隔で並列配置されている。
校正部57は、各検知電極21Hのインピーダンスのばらつきと、各検知電極21Vのインピーダンスのばらつきとを校正する際に用いられるものである。校正部57は、例えば、図5、図6に示したように、各検知電極21Hのインピーダンスのばらつきを校正する複数の校正用素子57H(4つの校正用素子57H−1〜57H−4)を有している。さらに、校正部57は、例えば、各検知電極21Vのインピーダンスのばらつきを校正する複数の校正用素子57V(図示せず)をさらに有している。
校正用素子57H(57H−1〜57H−4)は、例えば、図5に示したように、容量素子であり、校正用素子57H−1〜57H−4ごとに素子容量が少しずつ異なっている。なお、校正用素子57H(57H−1〜57H−4)は、例えば、図6に示したように、配線となっていてもよい。この場合、校正用素子57H−1〜57H−4ごとに、例えば配線の長さが異なっており、その長さに応じて校正用素子57H−1〜57H−4ごとの配線容量が少しずつ異なっている。校正用素子57Vは、例えば、校正用素子57Hと同様に、容量素子であり、個々の校正用素子57Vごとに素子容量が少しずつ異なっている。なお、校正用素子57Vは、例えば、校正用素子57Hと同様に、配線となっていてもよい。この場合、個々の校正用素子57Vごとに、例えば配線の長さが異なっており、その長さに応じて個々の校正用素子57Vごとの配線容量が少しずつ異なっている。
選択部51は、センサ部21内の各検知電極と、校正部57内の各校正用素子との電気的な継断を行うものである。具体的には、選択部51は、複数の検知電極21H,21Vのうち1または複数の電極を選択するとともに、複数の校正用素子57H,57Vのうち1または複数の素子を選択するようになっている。選択部51は、複数の検知電極21H(図5、図6では4つの検知電極21H−1〜21H−4)の切り替え用のスイッチング素子51Aを有している。選択部51は、また、複数の校正用素子57H(図5、図6では4つの校正用素子57H−1〜57H−4)の切り替え用のスイッチング素子51Bを有している。選択部51は、さらに、複数の検知電極21Vの切り替え用のスイッチング素子51C(図示せず)と、複数の校正用素子57Vの切り替え用のスイッチング素子51D(図示せず)とを有している。
スイッチング素子51A〜51Dは、それぞれ、例えば、マルチプレクサである。スイッチング素子51Aにおいて、マルチプレクサの一端側に設けられた複数の端子が走査線WSL2を介して各検知電極21Hの一端に1つずつ接続されており、マルチプレクサの他端側に設けられた1つの端子が加算部51Eに接続されている。また、スイッチング素子51Bにおいて、マルチプレクサの一端側に設けられた複数の端子が各校正用素子57Hの一端に1つずつ接続されており、マルチプレクサの他端側に設けられた1つの端子が加算部51Eに接続されている。また、図示しないが、スイッチング素子51Cにおいて、マルチプレクサの一端側に設けられた複数の端子が走査線WSL3を介して各検知電極21Vの一端に1つずつ接続されており、マルチプレクサの他端側に設けられた1つの端子が加算部51Eに接続されている。また、図示しないが、スイッチング素子51Dにおいて、マルチプレクサの一端側に設けられた複数の端子が各校正用素子57Vの一端に1つずつ接続されており、マルチプレクサの他端側に設けられた1つの端子が加算部51Eに接続されている。
スイッチング素子51A〜51Dは、制御部54から入力される選択信号およびEN信号(後述)に従って内部スイッチの切り替えを行うようになっている。スイッチング素子51A,51Cは、EN信号がイネーブルである場合は、センサ部21側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、センサ部21とは反対側の端子とを電気的に接続するようになっている。スイッチング素子51B,51Dは、EN信号がイネーブルである場合は、校正部57側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、校正部57とは反対側の端子とを電気的に接続するようになっている。スイッチング素子51A,51Cは、EN信号がディスエーブルである場合は、センサ部21側の全ての端子と、センサ部21とは反対側の端子とを電気的に開放するようになっている。スイッチング素子51B,51Dは、EN信号がディスエーブルである場合は、校正部57側の全ての端子と、校正部57とは反対側の端子とを電気的に開放するようになっている。
加算部51Eは、スイッチング素子51Aの、センサ部21とは反対側の端子の電圧と、スイッチング素子51Bの、校正部57とは反対側の端子の電圧と、スイッチング素子51Cの、センサ部21とは反対側の端子の電圧と、スイッチング素子51Dの、校正部57とは反対側の端子の電圧と、発振部52の出力端の電圧とを互いに加算するものである。加算部51Eは、例えば、スイッチング素子51Aの、センサ部21とは反対側の端子と、スイッチング素子51Bの、校正部57とは反対側の端子と、スイッチング素子51Cの、センサ部21とは反対側の端子と、スイッチング素子51Dの、校正部57とは反対側の端子、発振部52の出力端とを互いに接続する配線によって構成されている。
発振部52は、選択部51により選択された1または複数の検知電極21H,21Vおよび1または複数の校正用素子57H,57Vに生じた容量により発振周波数が決まるようになっている。発振部52は、例えば、交流信号を発生する信号源を含んで構成されている。発振部52は、加算部51Eおよびスイッチング素子51Aを介して各検知電極21Hに交流信号を印加するとともに、加算部51Eおよびスイッチング素子51Cを介して各検知電極21Vに交流信号を印加するようになっている。
変換部53は、例えば、図示しないが、F・V変換回路と、A/Dコンバータとを含んで構成されている。F・V変換回路は、発振部52からの信号を周波数に応じて電圧に変換するものである。F・V変換回路は、例えば、発振部52の出力端の信号を、その信号の周波数の大きさに応じた電圧値に変換し、その電圧値のアナログ信号を出力するようになっている。A/Dコンバータは、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するものであり、例えば、F・V変換回路から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するようになっている。出力部55は、例えば、制御部54で導出された接触座標などを検知信号50Aとして出力するものである。入力部56は、例えば、検知回路50を駆動する際に使用する同期信号50Bや、画像表示面20Aに表示されるボタンなどの機能部分の座標を示す位置信号50Cなどの入力を受け付けるものである。
制御部54は、選択部51に含まれる各スイッチング素子51A〜51Dを制御するものである。制御部54は、選択部51が複数の検知電極21H,21Vのうち一部の電極だけを順次選択するとともに複数の校正用素子57H,57Vを順次選択する選択信号を生成し選択部51(各スイッチング素子51A〜51D)に印加するようになっている。具体的には、制御部54は、各スイッチング素子51A〜51Dに対して、EN信号および選択信号を入力することにより、各スイッチング素子51A〜51Dの内部スイッチの切り替えを行うようになっている。
制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51AにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Aにおいて、センサ部21側の全ての端子と、センサ部21とは反対側の端子とが電気的に開放される。同様に、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51BにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Bにおいて、校正部27側の全ての端子と、校正部27とは反対側の端子とが電気的に開放される。制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51CにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Cにおいて、センサ部21側の全ての端子と、センサ部21とは反対側の端子とが電気的に開放される。制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51DにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Dにおいて、校正部27側の全ての端子と、校正部27とは反対側の端子とが電気的に開放される。
また、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51Aに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Aにおいて、センサ部21側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、センサ部21とは反対側の端子とが電気的に接続される。同様に、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51Bに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Bにおいて、校正部27側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、校正部27とは反対側の端子とが電気的に接続される。制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51Cに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Cにおいて、センサ部21側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、センサ部21とは反対側の端子とが電気的に接続される。制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51Dに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Dにおいて、校正部27側の複数の端子のうち選択信号で選択された端子と、校正部27とは反対側の端子とが電気的に接続される。
制御部54は、センサ部21に連結された各スイッチング素子51A,51Cに対して選択信号およびEN信号を入力する際には、その選択信号で選択した端子に連結された検知電極21H,21Vに対応する選択信号およびEN信号を生成するようになっている。具体的には、制御部54は、センサ部21内の各検知電極21H,21Vと、校正部57内の各校正用素子57H,57Vとの組み合わせを記述した校正テーブルを用いて、選択信号およびEN信号を生成するようになっている。
ここで、校正テーブルは、例えば、図7(A)に示したような電圧値のリストとなっていたり、例えば、図7(B)に示したような補正値のリストとなっていたりする。校正テーブルは、メモリ59内に格納されている。
図7(A)に示した電圧値は、画像表示面20Aおよびその近傍に、指などが存在しないときに、スイッチング素子51A,51Bの内部スイッチを切り替え、その結果、F・V変換回路から出力された電圧値を計測した値である。図7(A)には、計測した電圧値が全ての検知電極21H−1〜21H−4において互いに等しくなる組み合わせ(検知電極21Hと校正用素子57Hとの組み合わせ)に対して丸が付されている。F・V変換回路から出力された電圧値が全ての検知電極21H−1〜21H−4において互いに等しくなるというのは、それぞれの組み合わせにおいて、発振部52の出力端に、互いに同等の容量が取り付けられていることを意味する。従って、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとの組み合わせを、図7(A)において丸が付された組み合わせにした場合には、指などが画像表示面20Aのいずれの場所に接触したとしても、F・V変換回路から出力される電圧値の変化量がほぼ等しくなる。
そこで、本実施の形態では、制御部54は、例えば、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての検知電極21Hにおいて互いに等しくなるように、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。具体的には、制御部54は、例えば、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとの組み合わせが、例えば図7(A)で丸で示した組み合わせとなるように、スイッチング素子51Bへ入力するEN信号および選択信号を決定するようになっている。同様に、制御部54は、例えば、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての検知電極21Vにおいて互いに等しくなるように、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
図7(B)に示した補正値は、画像表示面20Aおよびその近傍に、指などが存在しないときに、スイッチング素子51A,51Bの内部スイッチを切り替え、その結果、F・V変換回路から出力された電圧値に対して所望の演算処理を施した数値である。図7(B)には、補正値が互いに等しくなる組み合わせ(検知電極21Hと校正用素子57Hとの組み合わせ)に対して丸が付されている。補正値が全ての検知電極21H−1〜21H−4において互いに等しくなるというのは、それぞれの組み合わせにおいて、補正処理を考慮した画像表示面20Aの基準条件が、画像表示面20Aのいずれの場所においても揃っていることを意味する。従って、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとの組み合わせを、図7(B)において丸が付された組み合わせにした場合には、指などが画像表示面20Aのいずれの場所に接触したとしても、補正処理後の補正値の変化量がほぼ等しくなる。
そこで、本実施の形態では、制御部54は、例えば、補正値が全ての検知電極21Hにおいて互いに等しくなるように、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。具体的には、制御部54は、例えば、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとの組み合わせが、例えば図7(B)で丸で示した組み合わせとなるように、スイッチング素子51Bへ入力するEN信号および選択信号を決定するようになっている。同様に、制御部54は、例えば、補正値が全ての検知電極21Vにおいて互いに等しくなるように、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
ところで、制御部54は、通常、選択部51内のスイッチング素子51A,51Cに対して、選択信号として、センサ部21内の全ての検知電極21H,21Vを順次1つずつスキャンさせる信号を入力するようになっている。しかし、本実施の形態では、制御部54は、所定の条件下では、センサ部21内の全ての検知電極21H,21Vのうち所定の電極だけをスキャンさせる信号を、選択信号として選択部51内のスイッチング素子51A,51Cに入力するようになっている。ここで、上記の「所定の条件」としては、例えば、画像表示面20Aにわずか2つしかボタンが表示されていない場合や、指などの物体の検出面上の動きを連続して検出する必要のある場合などが挙げられる。このように、センサ部21内の全ての検知電極21H,21Vのうち所定の電極だけをスキャンする「間引きスキャン」を行うことにより、消費電力を低減したり、検出周期を短くしたりすることができる。
具体的には、制御部54は、所定の条件下で、センサ部21内の全ての検知電極21Hのうち所定の電極だけを順次1つずつスキャンさせる信号を、選択信号としてスイッチング素子51Aに出力するようになっている。また、制御部54は、所定の条件下で、センサ部21内の全ての検知電極21Vのうち所定の電極だけを順次1つずつスキャンさせる信号を、選択信号として、スイッチング素子51C(図示せず)に出力するようになっている。
このとき、制御部54は、例えば図7(A)または図7(B)の校正テーブルにおいて、間引きの対象となった検知電極についてのデータを利用することがなくなる。例えば、間引きの対象となった検知電極が検知電極21H−2、21H−3であったとする。このとき、制御部54は、例えば図7(A)または図7(B)の校正テーブルにおいて、21H−2および21H−3の欄のデータを利用することがなくなる。つまり、制御部54は、例えば図8(A)または図8(B)に示したような歯抜けの校正テーブルを用いて、スイッチング素子51A,51Cへ入力する選択信号およびEN信号を決定することになる。その結果、制御部54は、センサ部21内の全ての検知電極を順次1つずつスキャンさせるときに選択する組み合わせ(図7(A),(B)で丸で示した個所)とは異なる組み合わせ(図8(A),(B)で丸で示した個所)を選択することになる場合がある。
次に、本実施の形態の検知装置2における動作の一例について説明する。
[動作全体]
図9は、検知装置2における動作全体の手順の一例を表したものである。まず、例えば、表示装置1の電源投入、または検知装置2の起動により、制御部54は、検知装置2の動作を開始する(ステップS101)。制御部54は、まず、センサ部21内の各検知電極21H,21Vと、校正部57内の各校正用素子57H,57Vとの組み合わせを調査し、適切な組み合わせを決定する(ステップS102)。次に、制御部54は、先のステップS102で決定した組み合わせを用いて、指などの画像表示面20Aへの接触・非接触を検知する(ステップS103)。その後、制御部54は、引き続きステップS103を実行するか、それとも、ステップS102に戻るかの判断をする。なお、図9では、検知装置2の動作を修了するステップについての記載が省略されている。
[校正処理]
図10は、検知装置2における校正処理(ステップS102)の手順の一例を表したものである。制御部54は、検知装置2の動作の開始に伴い、校正処理を開始する(ステップS201)。制御部54は、まず、校正用データの計測を行う(ステップS202)。具体的には、制御部54は、センサ部21内の各検知電極21Hと校正部57内の各校正用素子57Hとの全ての組み合わせにおいて、校正用データの計測を行う。さらに、制御部54は、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとの全ての組み合わせにおいて、校正用データの計測を行う。具体的には、制御部54は、変換部53からの信号を利用して、選択部51により選択された検知電極21H,21Vおよび校正用素子57H,57Vの組み合わせにおける特性値を生成する。次に、制御部54は、それらの結果得られたデータ(特性値)を校正データとしてメモリ部59に保存する(ステップS203)。
例えば、制御部54は、スイッチング素子51Aに対して、センサ部21内の一の検知電極21Hに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Bに対して、校正部57内の一の校正用素子57Hに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された検知電極21Hと、制御部54によって選択された校正用素子57Hとが互いに電気的に接続される。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての検知電極21Hおよび校正部57内の全ての校正用素子57Hに対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Cに対して、センサ部21内の一の検知電極21Vに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Dに対して、校正部57内の一の校正用素子57Vに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された検知電極21Vと、制御部54によって選択された校正用素子57Vとが互いに電気的に接続される。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての検知電極21Vと、校正部57内の全ての校正用素子57Vに対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Aに対して、センサ部21内の一の検知電極21Hに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Bに対して、EN信号としてディスエーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された検知電極21Hは、校正部57内のいずれの校正用素子57Hとも非接続となる。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての検知電極21Hに対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Cに対して、センサ部21内の一の検知電極21Vに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Dに対して、EN信号としてディスエーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された検知電極21Vは、校正部57内のいずれの校正用素子57Vとも非接続となる。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての検知電極21Vに対して順次行う。
なお、制御部54は、さらに、上述の一連のプロセスを経て取得した電圧値に対する補正値をメモリ部59に格納してもよい。
次に、制御部54は、組み合わせを決定する(ステップS204)。具体的には、制御部54は、まず、校正データを用いて、センサ部21内の各検知電極21Hと校正部57内の各校正用素子57Hとの最も好ましい組み合わせを決定する。制御部は、例えば、選択部51により選択された検知電極21Hおよび校正用素子57Hの組み合わせにおいて、得られたデータ(特性値)が互いに最も等しくなる組み合わせを選択する。さらに、制御部54は、校正データを用いて、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとの最も好ましい組み合わせを決定する。制御部は、例えば、選択部51により選択された検知電極21Vおよび校正用素子57Vの組み合わせにおいて、得られたデータ(特性値)が互いに最も等しくなる組み合わせを選択する。制御部54は、例えば、全体としてばらつきが小さくなるように、組み合わせを決定する。また、制御部54は、例えば、誤差の最大値と誤差の最小値との差が小さくなるように、組み合わせを決定する。
制御部54は、センサ処理(ステップS103)において、センサ部21内の全ての検知電極21H,21Vのうち所定の電極だけをスキャンする「間引きスキャン」を行う際には、校正処理(ステップS102)において、例えば、以下のプロセスを実行する。なお、以下では、複数の検知電極21Hのうち「間引きスキャン」を行うために選択された電極を選択電極21H’と称し、複数の検知電極21Vのうち「間引きスキャン」を行うために選択された電極を選択電極21V’と称するものとする。
制御部54は、「間引きスキャン」において最も好ましい組み合わせとなるように、校正データを用いて、センサ部21内の各選択電極21H’と校正部57内の各校正用素子57Hとの最も好ましい組み合わせを決定する。制御部は、例えば、選択部51により選択された選択電極21H’および校正用素子57Hの組み合わせにおいて、得られたデータ(特性値)が互いに最も等しくなる組み合わせを選択する。さらに、制御部54は、「間引きスキャン」において最も好ましい組み合わせとなるように、校正データを用いて、センサ部21内の各選択電極21V’と校正部57内の各校正用素子57Vとの最も好ましい組み合わせを決定する。制御部は、例えば、選択部51により選択された選択電極21V’および校正用素子57Vの組み合わせにおいて、得られたデータ(特性値)が互いに最も等しくなる組み合わせを選択する。
このとき、制御部54は、選択電極21H’,21V’についての校正データだけを利用して、選択電極21H’,21V’と校正用素子57H,57Vとの最も好ましい組み合わせを決定する。つまり、制御部54は、「間引きスキャン」のときは、複数の選択電極21Hのうち選択電極21H’以外の電極や、複数の選択電極21Vのうち選択電極21V’以外の電極についての校正データを利用しない。従って、「間引きスキャン」を行うときと、「間引きスキャン」を行わないときとで、最も好ましい組み合わせが異なる場合がある。その場合、制御部54は、スキャンの方法に応じた最適な組み合わせの校正データを利用する。
その後、制御部54は、一連の校正処理の実施を終了する(ステップS205)。
[校正判断]
図11は、検知装置2における校正判断(ステップS104)の手順の一例を表したものである。制御部54は、ステップS103の修了に伴い、校正判断を開始する(ステップS301)。制御部54は、まず、先のステップS103で得られたデータから、センサ部21が何かを検出しているか否かを判断する(ステップS302)。制御部54は、センサ部21が何かを検出していると判断した場合は、ステップS103を実行する。その逆に、制御部54は、センサ部21が何も検出していない判断した場合は、検知状態が終了した直後か否かを判断する(ステップS303)。
制御部54は、検知状態が終了した直後であると判断した場合は、ステップS103を実行する。その逆に、制御部54は、検知状態が終了してから所定の期間が経過していると判断した場合は、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値またはその電圧値を補正した値が許容値未満であるか否かを判断する(ステップS304)。制御部54は、電圧値またはその電圧値を補正した値が許容値未満であると判断した場合は、ステップS103を実行する。その逆に、制御部54は、電圧値またはその電圧値を補正した値が許容値以上であると判断した場合は、システム運用上、連続計測をすべきか否かを判断する(ステップS305)。制御部54は、連続計測をすべきであると判断した場合は、ステップS103を実行する。その逆に、制御部54は、連続計測すべきでないと判断した場合は、ステップS102を実行する。
[効果]
本実施の形態では、「間引きスキャン」でセンサ処理を行う際に、「間引きスキャン」を行うために選択された選択電極21H’,21V’についての校正データだけを利用して、選択電極21H’,21V’と校正用素子57H,57Vとの最も好ましい組み合わせが決定される。これにより、スキャンする検知電極21H,21Vを間引いて、画像表示面20A上の物体を検知する際に、検出感度が検知電極ごとにばらつくのをなくすることができる。
[変形例]
上記実施の形態では、制御部54は、センサ処理(ステップS103)において「間引きスキャン」を行う場合であっても、校正処理(ステップS102)において、全ての検出電極21H,21Vをスキャンする「順次スキャン」を行っていた。しかし、制御部54は、センサ処理(ステップS103)において「間引きスキャン」を行う場合には、校正処理(ステップS102)においても「間引きスキャン」を行うようにしてもよい。このとき、校正処理(ステップS102)において選択する検出電極21H,21Vが、センサ処理(ステップS103)において選択する検出電極21H,21Vと等しくなっていることが必要である。このように、校正処理(ステップS102)においても「間引きスキャン」を行うようにした場合には、「順次スキャン」を行っていた場合と比べて、校正処理(ステップS102)に要する時間を短縮することができる。
<第2の実施の形態>
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置3の断面構成の一例を表すものである。表示装置3は、近接センサ付きの表示装置であり、例えば、表示素子として液晶表示素子を備えており、さらに、この液晶表示素子の表面に静電容量型の近接センサを液晶表示素子とは別体で備えている。
表示装置3は、例えば、図12に示したように、液晶表示パネル10、近接パネル60、バックライト30、周辺回路40および検知回路70を備えている。近接パネル60は、液晶表示パネル10の観察者側(正面)に配置されており、バックライト30は液晶表示パネル10の背後に配置されている。
[近接パネル60]
近接パネル60は、指などで、表示装置3の画像表示面60A(近接パネル60の表面)に触れたり、指などを画像表示面60Aに近づけたり、指などを画像表示面60A上で動かしたりすることにより情報を入力するためのものである。この近接パネル60は、例えば、液晶表示パネル10とは別体で設けられたものであり、例えば、液晶表示パネル10の表面に、接着剤(図示せず)などを介して貼り合わされている。この近接パネル60は、上述した静電容量型のタッチセンサの一具体例に相当するものであり、XY(行列)マトリクスで接触・非接触を検出したり、空間位置を検出したり、動きを検出したりするものである。
[検知装置4]
図13は、表示装置3のうち、接触・非接触、空間位置、動きの検知に関与する部分(検知装置4)を抜き出したものである。検知装置4は、図2に例示した検知装置200と同様、接触検知および近接検知を行うことの可能な検知装置であり、例えば、図13に示したように、近接パネル60および検知回路70を含んで構成されている。近接パネル60は、例えば、センサ部21を有している。一方、検知回路70は、例えば、図13に示したように、選択部58、発振部52、変換部53、制御部54、出力部55、入力部56、校正部57およびメモリ部59を含んで構成されている。
本実施の形態において、センサ部21は、指などの画像表示面60Aへの接触・非接触を検出したり、空間位置を検出したり、動きを検出したりするものである。センサ部21は、上記実施の形態のセンサ部21と同様、複数の検知電極21Hと、複数の検知電極21Vとにより構成されている。
選択部58は、例えば、図14に示したように、上記実施の形態の選択部51において、スイッチング素子58A、抵抗器58B、増幅器58Cおよびスイッチング素子58D(図示せず)をさらに設けた構成となっている。スイッチング素子58Aは、検出電極21Hとスイッチング素子51Aとの間に挿入されており、スイッチング素子58Dは、検出電極21Vとスイッチング素子51C(図示せず)との間に挿入されている。また、選択部58では、発振部52の出力端が、抵抗器58Bおよび増幅器58Cを介して、スイッチング素子51A,51Cの、センサ部21側の各端子に接続されている。つまり、選択部58は、発振部52から出力された信号がスイッチ素子51A,51Cの、センサ部21とは反対側の端子だけでなく、スイッチ素子51A,51Cの、センサ部21側の各端子にも印加されるようになっている。
スイッチ素子58A,58Dは、例えば、複数対の入力端子および出力端子を有するスイッチであり、一の入力端子と一の出力端子との間の電気的な継断を、端子ごとに独立に行うスイッチである。抵抗器58Bは、例えば、複数対の入力端子および出力端子を有する抵抗器であり、一の入力端子と一の出力端子との間に抵抗素子が設けられた抵抗器である。増幅器58Cは、発振部52の出力を増幅するものである。
制御部54は、選択部58に含まれる各スイッチング素子を制御するものである。具体的には、制御部54は、選択部58に含まれる各スイッチング素子に対して、EN信号および選択信号を入力することにより、選択部58に含まれる各スイッチング素子の内部スイッチの切り替えを行うようになっている。
制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子58AにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子58Aにおいて、センサ部21側の全ての端子と、センサ部21とは反対側の全ての端子とが電気的に開放され、発振部52の出力がいずれの検知電極21Hにも印加されなくなる。同様に、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子51DにEN信号としてディスエーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子51Dにおいて、センサ部21側の全ての端子と、センサ部21とは反対側の全ての端子とが電気的に開放され、発振部52の出力がいずれの検知電極21Vにも印加されなくなる。
また、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子58Aに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子58Aにおいて、複数対の入力端子および出力端子のうち選択信号で選択された1または複数対の入力端子および出力端子(以下「選択端子」と称する)が電気的に接続される。その結果、複数の検知電極21Hのうち選択端子に接続された電極には、発振部52の出力が増幅部58Cおよび抵抗器58Bを介して印加される。このとき、スイッチング素子58Aにおいて、全ての対の入力端子および出力端子が電気的に接続される場合もある。
同様に、制御部54は、例えば、所定のときに、スイッチング素子58Dに選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力するようになっている。これにより、スイッチング素子58Dにおいて、複数対の入力端子および出力端子のうち選択信号で選択された1または複数対の入力端子および出力端子(以下「選択端子」と称する)が電気的に接続される。その結果、複数の検知電極21Vのうち選択端子に接続された電極には、発振部52の出力が増幅部58Cおよび抵抗器58Bを介して印加される。このとき、スイッチング素子58Dにおいて、全ての対の入力端子および出力端子が電気的に接続される場合もある。
制御部54の、スイッチング素子51A〜51Dに対する制御は、上記実施の形態と同様である。しかし、制御部54の、スイッチング素子51A,51Cに対する制御は、スイッチング素子58A,58Dに対する制御と連動する場合がある。
例えば、制御部54は、スイッチング素子51Aにおいて、スイッチング素子58A内の複数の内部スイッチのうちオン(接続)となっているスイッチの端子に接続された端子だけを、選択信号で選択するようになっている。これにより、制御部54は、例えば、複数の検知電極21Hのうち、スイッチング素子58Aに入力した選択信号で選択された1または複数の端子に接続された電極(以下「選択電極21H’(図示せず)」と称する)を全てスキャンする速度を速くすることができる。
同様に、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Cにおいて、スイッチング素子58D内の複数の内部スイッチのうちオン(接続)となっているスイッチの端子に接続された端子だけを、選択信号で選択するようになっている。これにより、制御部54は、例えば、複数の検知電極21Vのうち、スイッチング素子58Dに入力した選択信号で選択された1または複数の端子に接続された電極(以下「選択電極21V’(図示せず)」と称する)を全てスキャンする速度を速くすることができる。
また、制御部54は、例えば、全ての検知電極21Hをスキャンするときと同じ時間で、全ての選択電極21H’をスキャンすることにより、各選択電極21H’に発振部52の出力を長い時間、印加させることも可能である。同様に、制御部54は、例えば、全ての検知電極21Vをスキャンするときと同じ時間で、全ての選択電極21V’をスキャンすることにより、各選択電極21V’に発振部52の出力を長い時間、印加させることも可能である。そのようにした場合は、高精度の接触検知および空間検知を実現することができる場合がある。
なお、制御部54は、例えば、スイッチング素子58A内の複数の内部スイッチの状態に拘わらず、スイッチング素子51Aの各端子に接続された端子を、選択信号で選択するようになっていてもよい。
制御部54は、センサ部21に連結された各スイッチング素子51A,51Cに対して選択信号およびEN信号を入力する際には、その選択信号で選択した端子に連結された検知電極21H,21Vに対応する選択信号およびEN信号を生成するようになっている。具体的には、制御部54は、センサ部21内の各検知電極21H,21Vと、校正部57内の各校正用素子57H,57Vとの組み合わせを記述した校正テーブルを用いて、選択信号およびEN信号を生成するようになっている。
ここで、制御部54は、スイッチング素子58A内の全ての内部スイッチをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図7(A)に示したような電圧値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての検知電極21Hにおいて互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。また、制御部54は、スイッチング素子58D内の全ての内部スイッチをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図7(A)と同様の電圧値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての検知電極21Vにおいて互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
また、制御部54は、スイッチング素子58A内の全ての内部スイッチをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図7(B)に示したような補正値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、補正値が全ての検知電極21Hにおいて互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各検知電極21Hと、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。また、制御部54は、スイッチング素子58D内の全ての内部スイッチをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図7(B)と同様の補正値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、補正値が全ての検知電極21Vにおいて互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各検知電極21Vと、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
また、制御部54は、スイッチング素子58A内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図8(A)に示したような電圧値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての選択電極21H’において互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各選択電極21H’と、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。また、制御部54は、スイッチング素子58D内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図8(A)に示したような電圧値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、F・V変換回路から出力される電圧値が全ての選択電極21V’において互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各選択電極21V’と、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
また、制御部54は、スイッチング素子58A内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図8(B)に示したような補正値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、補正値が全ての選択電極21H’において互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各選択電極21H’と、校正部57内の各校正用素子57Hとを組み合わせるようになっている。また、制御部54は、スイッチング素子58D内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にする場合には、校正テーブルとして、例えば、図8(B)と同様の補正値のリストを使用するようになっている。このとき、制御部54は、補正値が全ての選択電極21V’において互いに等しくなるように、校正テーブルを用いて、センサ部21内の各選択電極21V’と、校正部57内の各校正用素子57Vとを組み合わせるようになっている。
このように、制御部54は、スイッチング素子58A,58D内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にする場合には、校正テーブルにおいて、間引きの対象となった検知電極についてのデータを利用することがなくなる。そのため、制御部54は、例えば図8(A)または図8(B)に示したような歯抜けの校正テーブルを用いて、スイッチング素子51A,51Cへ入力する選択信号およびEN信号を決定することになる。その結果、制御部54は、センサ部21内の全ての検知電極を順次1つずつスキャンさせるときに選択する組み合わせ(図7(A),(B)で丸で示した個所)とは異なる組み合わせ(図8(A),(B)で丸で示した個所)を選択することになる場合がある。
次に、本実施の形態の検知装置4の動作の一例について説明する。検知装置4における動作全体の手順は、上記第1の実施の形態と同様である。また、検知装置4における校正処理(ステップS102)の手順についても、スイッチング素子58A,58D内の全ての内部スイッチをオン(接続)にする場合には、上記第1の実施の形態と同様である。検知装置4における校正判断(ステップS104)の手順についても、上記第1の実施の形態と同様である。
一方、検知装置4における校正処理(ステップS102)の手順のうち、スイッチング素子58A,58D内の一部の内部スイッチだけをオン(接続)にするときの手順については、上記第1の実施の形態と異なる。そこで、以下では、上記第1の実施の形態と異なる部分について主に説明し、上記第1の実施の形態と共通する部分についての説明を省略するものとする。
[校正処理]
制御部54は、検知装置4の動作の開始に伴い、校正処理を開始する。制御部54は、まず、校正用データの計測を行う。具体的には、制御部54は、センサ部21内の各選択電極21H’と校正部57内の各校正用素子57Hとの全ての組み合わせにおいて、校正用データの計測を行う。さらに、制御部54は、センサ部21内の各選択電極21V’と、校正部57内の各校正用素子57Vとの全ての組み合わせにおいて、校正用データの計測を行う。このとき、校正処理(ステップS102)において選択する検出電極21H,21Vが、センサ処理(ステップS103)において選択する検出電極21H,21Vと等しくなっていることが必要である。次に、制御部54は、それらの結果得られたデータを校正データとしてメモリ部59に保存する。
例えば、制御部54は、スイッチング素子51Aに対して、センサ部21内の一の選択電極21H’に接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Bに対して、校正部57内の一の校正用素子57Hに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された選択電極21H’と、制御部54によって選択された校正用素子57Hとが互いに電気的に接続される。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての選択電極21H’および校正部57内の全ての校正用素子57Hに対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Cに対して、センサ部21内の一の選択電極21V’に接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Dに対して、校正部57内の一の校正用素子57Vに接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された選択電極21V’と、制御部54によって選択された校正用素子57Vとが互いに電気的に接続される。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての選択電極21V’と、校正部57内の全ての校正用素子57Vに対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Aに対して、センサ部21内の一の選択電極21H’に接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Bに対して、EN信号としてディスエーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された選択電極21H’は、校正部57内のいずれの校正用素子57Hとも非接続となる。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての選択電極21H’に対して順次行う。
また、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Cに対して、センサ部21内の一の選択電極21V’に接続された端子を選択する選択信号を入力するとともにEN信号としてイネーブルを入力する。さらに、例えば、制御部54は、スイッチング素子51Dに対して、EN信号としてディスエーブルを入力する。これにより、制御部54によって選択された選択電極21V’は、校正部57内のいずれの校正用素子57Vとも非接続となる。制御部54は、この状態で、変換部53(F・V変換回路)から出力された電圧値を取得し、メモリ部59に格納する。制御部54は、この一連のプロセスを、センサ部21内の全ての選択電極21V’に対して順次行う。
なお、制御部54は、さらに、上述の一連のプロセスを経て取得した電圧値に対する補正値をメモリ部59に格納してもよい。
次に、制御部54は、組み合わせを決定する。具体的には、制御部54は、まず、校正データを用いて、センサ部21内の各選択電極21H’と校正部57内の各校正用素子57Hとの最も好ましい組み合わせを決定する。さらに、制御部54は、校正データを用いて、センサ部21内の各選択電極21V’と、校正部57内の各校正用素子57Vとの最も好ましい組み合わせを決定する。制御部54は、例えば、全体としてばらつきが小さくなるように、組み合わせを決定する。また、制御部54は、例えば、誤差の最大値と誤差の最小値との差が小さくなるように、組み合わせを決定する。
このように、本実施の形態では、制御部54は、「間引きスキャン」でセンサ処理を行う際には、校正処理においても「間引きスキャン」を行うようになっている。これは、「間引きスキャン」を行ったときと、「順次スキャン」を行ったときとでは、校正処理により得られた校正テーブルの値が異なる場合があるからである。本実施の形態では、制御部54は、そのような誤差が校正テーブルに入り込まないようにするために、あえて校正処理時にも「間引きスキャン」を行うようにしている。
[効果]
本実施の形態では、「間引きスキャン」でセンサ処理を行う際に、「間引きスキャン」を行うために選択された選択電極21H’,21V’についての校正データだけを利用して、選択電極21H’,21V’と校正用素子57H,57Vとの最も好ましい組み合わせが決定される。さらに、本実施の形態では、センサ処理を行う際に「間引きスキャン」を行うときには、校正処理においても「間引きスキャン」が行われる。これにより、スキャンする検知電極21H,21Vを間引いて、画像表示面20A上の物体を検知する際に、検出感度が検知電極ごとにばらつくのをなくすることができる。
[変形例]
上記実施の形態では、スイッチング素子58Aが検出電極21Hとスイッチング素子51Aとを互いに結ぶ走査線WSL2に挿入されていたが、他の場所に挿入されていてもよい。例えば、図15に示したように、スイッチング素子58Aが走査線WSL2と抵抗器58Bとを互いに結ぶ配線に挿入されていてもよい。また、例えば、図16に示したように、スイッチング素子58Aが抵抗器58Bと増幅器58Cとを互いに結ぶ配線に挿入されていてもよい。
以上、実施の形態ならびにその変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、液晶表示素子として透過型の素子を用いた場合について説明したが、透過型以外のもの、例えば、反射型の素子を用いることも可能である。ただし、その場合には、光源(バックライト30)をなくするか、または液晶表示素子の上面側に配置することが必要となる。
また、上記実施の形態等では、表示素子として液晶表示素子を用いた表示装置に対して本発明を適用した場合について説明したが、それ以外の表示素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置にも適用可能である。
また、上記実施の形態等において説明した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされるようになっている。このようなプログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体に予め記録しておくことも可能である。