JP5453020B2 - 切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法 - Google Patents

切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法 Download PDF

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本発明は、被写体たとえば切削工具を画像認識しその変位(磨耗または熱変位などを含む概念)に基づき加工位置を補正する切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法に関するものである。
例えば、特許文献1には、加工熱や環境の温度変化によっても計測誤差が生じなく、しかも工具の刃先形状や磨耗量、加工物の寸法などをも計測することができる刃先位置計測装置が開示されている。具体的には、数値制御の基準となる加工基準点に対して位置決めされた計測基準面が基準ピースに形成され、計測基準面と工具の刃先との輪郭がカメラによって捕らえられる。捕らえられた輪郭は電気的な画像情報として画像メモリに記憶され、相対位置演算回路は画像情報に基づいて加工基準点および刃先間の相対距離を演算する。即ち、特許文献1では、熱などによる部位の変位の影響を受けずに相対位置を計測できる。
そして、特許文献1の一実施例において、数値制御装置には加工基準点と工具の刃先との間でそれらの相対距離を計測する刃先位置計測装置が設けられている。この刃先位置計測装置は、加工基準点に対する相対位置が予め決められている計測基準面を持つ基準ピースと、計測基準面および刃先の輪郭を画像として捕らえるカメラと、メインプロセッサとを備える。基準ピースは、主軸のチャックに保持される(段落番号「0015」および図1参照)。
特開平9−253979号公報
特許文献1では、切削工具の刃先すなわちNCテーブルの移動量を測定(即ち、切削工具のベクトル測定)する際の基準は、変動する。即ち、上記基準となる例えばチャックは環境温度などによって熱変位するが、この特許文献1では熱変位に対する解決策が無い。また、切削工具は、その切削中において、背分力を受ける(図20参照)。この時、切削工具は、背分力および切削工具の支持系(例えば、切削工具自体,支軸,刃物台およびNCテーブルなど)のコンプライアンス(しなやかさを表し、単位はmm/kgf)に比例して、背分力の方向に撓む。
更に、切削工具は、図20(A)に示すように、主分力の方向(切削時に受ける分力であり、切削方向に対し受け流す方向)及び送り分力の方向(送り方向と逆方向)にも、撓む。しかし、主分力および送り分力の方向への撓みは、背分力に比べてわずかであるが、背分力と同様に加工精度に影響を与える。なお、主分力および送り分力の方向への撓みは、背分力と同様な関係を有するので、詳細説明は省略する。
図20(A)に示すように、切削工具が新品の場合、切削工具がしなやか(即ち、切削工具の切味が良好)であるので、切削背分力が小さくなり、背分力による撓み量は小さい。図20(B)に示すように、切削工具の逃げ面が磨耗した場合、一般に逃げ角が小さくなるので、切削背分力が大きくなり、背分力による撓み量は大きくなる。図20(C)に示すように、切削工具の先端が磨耗によって丸くなる(所謂ノーズ角が大きくなる)場合、切削工具の切味が悪くなるので、切削背分力が大きくなり、背分力による撓み量は大きくなる。
ここで、磨耗状態の切削工具(以下、刃具またはバイトともいう)が形状変化を起こす場合に、背分力が変化する刃具磨耗を「刃具変形磨耗」という。なお、図20(A)乃至(C)には弾力があることをバネ(コイルスプリング)で模式的に図示しているが、実際にはバネが配置されていない。また、図示しないが、すくい面が磨耗する場合であっても、すくい角度が大きくなり、切削背分力が小さくなることもある。即ち、すくい角度が大きくなると、切削工具のチップ等がワークに食い込み易くなるので、しなやかさが戻り、背分力による撓み量は小さくなる。
本発明は、切削工具の変位(変形磨耗をも含む概念)に対して切削工具の加工位置を精度良く補正し得る切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法を提供するものである。
本発明に係る切削工具の加工位置補正装置は、被写体を撮像する撮像手段と、上記撮像手段は被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づき上記切削工具自体の磨耗量および上記切削工具の変位量を演算すると共に、上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算する演算手段と、上記演算手段の演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する制御手段と、を備える。
また、本発明に係る切削工具の加工位置補正装置は、被写体を撮像する撮像手段と、上記撮像手段は被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づく基準画像データおよびキャリブレーションサイクル時の画像データを照合する照合手段と、上記照合手段の照合結果に基づく上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算する演算手段と、上記演算手段の演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する制御手段と、を備える。
更に、本発明に係る切削工具の加工位置補正方法は、被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づき上記切削工具自体の磨耗量および上記切削工具の変位量を演算すると共に、上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算し、この演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する。
本発明に係る切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法では、切削工具を撮像した画像データに基づき、切削工具自体の磨耗量および切削工具の変位量を演算し、更に切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を変形摩耗係数または変形摩耗関数を用いて演算する。そして、この演算結果に基づき、制御手段は切削工具の加工位置を補正する。なお、演算手段で演算する前に、上述した画像データに基づく基準画像データおよびキャリブレーションサイクル時の画像データを照合するようにしても良い。
ここで、変形摩耗係数(切削工具の撓み量をも含む係数)とは、切削工具自体の摩耗量に対する切削追い込み追加量を経験によって得る係数のことである。変形摩耗関数(切削工具の撓み量をも含む)とは、切削工具自体の摩耗量に対する切削追い込み追加量を求める経験値すなわち関数である。総合切削追い込み追加量とは、切削時(切削工具の撓み及び切削工具の変位をも含む)における変形摩耗係数または変形摩耗関数を考慮した総ての追込み追加量である。また、基準画像データとは、切削工具における刃先の輪郭部分を位置認識する基準となる画像データである。更に、キャリブレーションサイクルとは、切削の精度を所定水準に維持する補償値を得るため、切削機械の稼動時に強制的に所定間隔を設けて検査を行うことである。
本発明に係る切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法において、切削工具の変位(変形磨耗をも含む概念)を起こした場合の補正を、変形摩耗係数または変形摩耗関数を用い且つ「総合切削追込み追加量」で行うので、切削工具の摩耗具合に拘らず、加工精度を維持して使用し得る。即ち、本発明に係る切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法によれば、切削工具における変位に対して切削工具の加工位置を精度良く補正し得る。従って、本発明に係る切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法によれば、長期間の切削工具変形摩耗に対応できるので、切削工具の交換タイミングを伸ばしても、より長く使用し得る。
本発明に係る実施例1の単軸タイプのターレット旋盤を示す正面図である。 図1に示すターレット旋盤の主要部を示す側面図である。 図2に示す撮像装置に関する図であり、(A)はその撮像装置の端面図、(B)はそのシャッターの平面図である。 図3(A)に示す撮像装置が隔壁に配置されている状態を示す端面図である。 図3に示すカメラでバイトまたは基準ゲージとインバー体とをカメラ視野に収めて撮像する時の位置関係を説明する図である。 図1に示すターレット旋盤のブロック図である。 図1に示すターレット旋盤に係るバイト画像処理モードに関するフローチャート図である。 オリジナルテンプレートを示す図である。 切削工具の切削線を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具のX方向が磨耗した様子を示す図である。 切削工具のZ方向が磨耗した様子を示す図である。 実験で求めたデータをプロットし、切削工具の磨耗量およびその補正量の関係を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図である。 切削工具の検査様子を示す図であり、(A)はそのチップのエッジを求める様子を示す図、(B)〜(D)はチップのノーズを求める様子を示す図である。 切削工具に対する背分力を説明する図であり、(A)は背分力が小さい状態を示す図、(B)または(C)は背分力が大きい状態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、具体化した一実施例を説明する。
以下、図1乃至図6に基づいて、本発明の一実施形態である切削工具の加工位置補正装置およびその加工位置補正方法について説明する。なお、実施例1の切削機械であるNC旋盤は、単軸タイプのターレット旋盤(以下、単に旋盤という)Sとして説明する。
(旋盤Sの概略構成)
図1に示すように、旋盤S内には、軸線がZ軸方向(水平方向)と平行になるように固定された主軸台10と、Z軸方向に平行な方向及びZ軸方向と直交し垂直方向に対し60度後方に傾斜したX軸方向に平行な方向に移動可能なターレット装置20とが対向するように配置されている。主軸台10には、主軸11がZ軸方向と平行な軸線の回りに回転可能に支持されている。主軸11は、図示しない主軸駆動モータによって回転駆動されるようになっている。主軸11のターレット装置20側の先端部には、被加工物であるワークWを把持するチャック12が取り付けられている。このような構成の主軸台10及び主軸駆動モータは、ベッド13上に配置されている。
ターレット装置20には、取付台であるターレット刃物台(以下、単に刃物台という)21がZ軸方向と平行な軸線の回りに回転割出し可能に設けられている。刃物台21上には、複数の切削工具25,26(図5参照)が円周上等角度間隔に取り付けられている。このような構成のターレット装置20は、X軸方向およびZ軸方向へスライド可能に配置されている。なお、ターレット装置20は、図6に示すNCテーブル50のNCモータ52によってボールねじ機構(図示省略)を介して移動する。即ち、ターレット装置20は、固定配置された主軸台10に対して移動する。一方、刃物台21は、図6に示すターレットモータ54によって回転駆動する。
図1に示すように、旋盤S内には、主軸台10とターレット装置20を覆うカバー14が設けられ、カバー14内には、主軸台10側とターレット装置20側と仕切る隔壁15が設けられている。この隔壁15は、刃物台21上の図5に示す切削工具25,26によってチャック12に把持されたワークWの外周または端面などを切削加工する際に、飛散する切削粉や切削液などが主軸台10などに付着しないようにするために設けられている。即ち、この隔壁15で仕切られた主軸台10側が隔離ゾーンS1となっており、ターレット装置20側が加工ゾーンS2となっている。
主軸11は隔壁15に設けられた孔から加工ゾーンS2側に突き出され、その主軸11の先端にチャック12が取り付けられている。図2及び図5に示すように、チャック12の外周から若干突出するように配置される基準ゲージ18は、後述する撮像装置27の位置誤差を測定するものであり、内径加工バイト25と外径加工バイト26の両方に共通して使用する。この基準ゲージ18は、切粉などによる磨耗を防止するため、熱処理済みの鋼で成形される。なお、基準ゲージ18はチャック12の外周面からの突出量が小さいので、チャック12が回転する際の基準ゲージ18の回転範囲が少ない。また、基準ゲージ18をチャック12に固定しているので、撮像する際の位置合わせが容易となる。
(撮像装置27に関する構成)
図1及び図2に示すように、旋盤S内には、撮像装置27が隔離ゾーンS1と加工ゾーンS2との間をスライド可能に配置されている(図4参照)。この撮像装置27は、被写体となる切削工具(以下、バイトともいう)25,26の例えば図5に示すチップ25A,26A(バイト等のチップでない切削工具のときは刃先)などを撮像する。即ち、撮像装置27は、チップ25A,26Aなどを撮像する際には加工ゾーンS2側へスライドし、撮像が終了すると隔離ゾーンS1側へスライドする。なお、撮像装置27で撮像した画像データは、図6に示すCPU60へ出力するように構成されている。そして、CPU60は、チップ25A,26Aの変位などを照合・演算し、それらの結果に基づいて切削工具の加工位置を補正する。
図3(A)に示すように、撮像装置27の筐体27Aは撮像スペース(レンズ室ともいう)28A及び防塵スペース(シャッタ室ともいう)28Bに区画されている。具体的には、角筒状の筐体27Aのレンズ室28Aには、例えば500万画素のカメラ(撮像素子であるCCD30Aを含む)30と,撮像レンズ体29と,フルミラー31Aと,ハーフミラー31Bとが収納されている。
このハーフミラー31Bは、撮像レンズ体29及びフルミラー31Aの間に配置されており、入射する被写体光を一部反射し一部投下するミラーである。
上述したフルミラー31Aとハーフミラー31Bは、それぞれの撮像光学系の視野が同一サイズとなるように配設している。即ち、それぞれの被写体を交互に撮像できるように、フルミラー31A及びハーフミラー31Bは配設されている。例えばフルミラー31Aで図3(A)の2点鎖線に示す被写体(チップ)23Aを撮像する際にはハーフミラー31Bの光路を遮断し、ハーフミラー31Bで被写体(チップ)24Aを撮像する際にはフルミラー31Aの光路を遮断するように構成している。
従って、カメラ30の撮像レンズ体29と2つの被写体(例えばバイト23,24など)との間の光路を一対のミラー31A及び31Bでそれぞれ直角に屈曲させ、1つの視野領域(撮像領域と同義)の範囲で被写体を撮像する。そして、図3に示すように、1つの視野領域で例えばバイト23のチップ23Aを先ず撮像し、且つ上記撮像後に1つの視野領域でバイト24のチップ24Aを引続き撮像する。なお、視野領域は、500万画素のカメラを用いた場合において、短辺は17mm(2000画素)、長辺は21.5mm(2500画素)となっている。
レンズ室28A及びシャッター室28Bの間には、焦点合わせレンズ33がフルミラー31Aに対応する光路上に、透明の防護ガラス34がハーフミラー31Bに対応する光路上にそれぞれ配置されている。ここで、焦点合わせレンズ33は、2系列の焦点距離LA(例えば100mm)を合わせるものである。なお、撮像スペースは、常時所定気圧たとえば+0.5気圧に保持されている。
また、レンズ室28A及びシャッター室28Bの間には孔27Bが形成されており、この孔27Bからシャッター室28Bへ圧縮空気(以下、エアーともいう)が送られる。即ち、常時シャッター室28Bは、レンズ室28Aよりも低い加圧状態たとえば+0.11MPaに加圧されている。従って、シャッター室28Bが加圧されているので、クーラント液または切粉などが、シャッター室28Bへ流入するのを防止する。なお、レンズ室28Aには図示しないエアー接続口が配置されており、このエアー接続口およびコンプレッサ(図示省略)の間はコンプレッサで生成されるエアーを供給するエアー通路となっている。そして、後述するシャッター38又は39を開放する前から閉鎖完了までの間、エアーをレンズ室28Aへ噴出し続ける。
シャッター室28Bの焦点合わせレンズ33及び防護ガラス34に対向する部位には、開口27C及び27Dがそれぞれ形成されている。切換手段であるシャッター38及び39は、筐体27Aとその支持片27E間にスライド可能に配置されており、開口27Cまたは27Dを開閉する。即ち、上述した光路を遮断するシャッター38または39は、上述したエアー通路のエアーを用いて、スライドするように構成されている。また、支持片27Eには、開口27F及び27Gが、開口27C及び27Dに対向するように形成されている。
図3(B)に示すように、シャッター38はその平面形状が帯状となっており、シャッター39はその平面形状が略L字状となっている。そして、シャッター38及び39は、開口27G及び27Fに対向するように移動し、開口27C及び27Dを開閉する。即ち、シャッター38及び39は、それぞれの光路を開放し、図3に示す被写体となる切削工具24のチップ24A(図面では2点鎖線で示す)をカメラ30で撮像する。
シャッター38及び39は、クーラント液または切粉などがシャッター室28Bへ流入するのを防止するために、閉止している。また、シャッター38及び39は、常には閉止しており、且つ同時に光路を開放しない。図1及び図2に示すように、撮像装置27の各ミラー31A及び31B(図3参照)に対向する光路上の位置には、照明用の光源43及び44がそれぞれ配置されている。これらの光源43及び44は、例えば発光LEDなどで構成されている。
(撮像装置27のスライド機構に関する概略構成)
図1及び図4に示すように、撮像装置27は、隔壁15の所定箇所に配置されており、図示しないスライド機構(例えばエアー通路のエアーで作動するシリンダ等)が連結されている。そのため、上述したように撮像装置27は、隔離ゾーンS1と加工ゾーンS2との間をスライドし、切削加工直前には加工ゾーンS2から隔離ゾーンS1へ後退する。撮像装置27を後退させる理由は、切削加工のターレット装置20に搭載するバイト等との干渉を防止すると共に、撮像装置27が切削作業中における作業者の視覚障害を回避し作業性を向上させるためである。
また、図4に示すように、撮像装置27と隔壁15との間には、合成樹脂製(例えばウレタンゴム製)のシールカバー40が配置されている。即ち、撮像装置27は、シールカバー40に嵌め込まれる状態で保持されている。このシールカバー40には、スライド時の撮像装置27が加工ゾーン内の切粉を挟んだりするのを防止すると共に、クーラント液が隔離ゾーンS1内へ滲み込むのを防止するものである。更に、撮像装置27の回りを囲うような導口40Aが開口されている。そして、エアーは図示しないエアー通路から導口40Aへ送出し(図4の矢印参照)、撮像装置27とシールカバー40との隙間からエアーが吹き出るようになっている(図4の太線矢印参照)。
(チャックに関する概略構成)
図5に示すように、チャック12の外周側には、基準体であるインバー体47が、上述した基準ゲージ18に対向するように配置されている。即ち、インバー体47の先端47Aと基準ゲージ18とバイト26のチップ26Aとが、撮像装置27の視野領域に収めて撮像(一望視と同義)できるように、インバー体47及び基準ゲージ18並びにバイト26が配置される。なお、バイト26は、チップ検出時に撮像装置27の一望視Aエリア(図中では「A枠」という)または一望視Bエリア(図中では「B枠」という)内の所定位置に移動するように予め設定されている。
インバー体47は、旋盤S(図1参照)を構成する熱処理済み鋼と比較して熱膨張率が小さい材料(例えば不変鋼であるインバー又は熱膨張率が鉄の2倍であるアルミニウム等)を用いて、例えば角柱状に形成している。そして、インバー体47は、その一端を図示しない締結部材(ボルトなど)で固定している。そのため、飛び出し防止用のストッパ(図示省略)は、インバー体47の自由端側にインバー体47と若干離間した状態で配置されている。なお、振動防止用のカウンタウエイト72は、インバー体47の配置場所の反対側に配置している。
(旋盤Sの制御系に関する構成)
旋盤S(図1参照)は、図6に示すように、CPU60と、不揮発性メモリであるROM62,RAM64と、NCテーブル50に配置されるモータドライバ51,NCモータ52と、ターレット装置20に配置されるモータドライバ53,ターレットモータ54と、操作部56と、表示部57と、ブザー58と、を備える。制御手段および補正手段であるCPU60は、旋盤Sの全体的な動作を司り、たとえば操作部56に配置される操作キーが操作された場合に、その操作に基づく処理を行う。また、CPU60には位置検出手段および撮像手段の一部を構成する一対のカメラ30がそれぞれ接続されており、カメラ30で撮像された画像データがCPU60へそれぞれ入力される。
ROM62は旋盤Sに各種の処理を制御するプログラムを記録し、そのプログラムによって旋盤Sが制御される。記録手段であるRAM64は各種データの読み書き用の記録域たとえば画像データ領域65を有し、この画像データ領域65に画像データ等が記録される。モータ52または54は、CPU60の駆動信号に基づき、モータドライバ51または53を介して回転する。表示手段である表示部12は、カメラ30で撮像される画像データなどを表示する。警告手段であるブザーは、警告音を出力する。
(本実施例の作用)
先ず、チップ検出時においては、図5に示すように、基準ゲージ18及びインバー体47並びにバイト26のチップ26Aを、撮像装置27のカメラ30(図3A参照)の一望視Aエリアに収めて撮像する場合は、基準ゲージ18とバイト26の刃先26Aの上面の高さを同一高さとして行なう。また、チップ検出時には、図4に示すように、撮像装置27を隔離ゾーンS1から加工ゾーンS2へスライドさせると共に、図1に示す光源43を発光させる。
そして、図5に示すバイト26のチップ26Aを検出する場合、撮像位置(図4の破線で示す状態)の撮像装置27は、図3に示すように、シャッター38をスライドさせハーフミラー31B側の光路を開放する。なお、シャッター39側の光路を遮断しているので、ハーフミラー31Bは一望視Aエリアの被写体光をカメラ30へ反射させる。
カメラ30は、図5に示すように一望視Aエリア内に位置する被写体であるインバー体47の先端47Aと基準ゲージ18とバイト26のチップ26Aを撮像する。その後の照合処理および補正処理などは、特願2009−38185号の明細書に記載する処理と同様である。以下、バイト画像処理モードについて、図7のフローチャートで説明する。
(バイト画像処理モード)
図6に示すCPU60は、ステップ162において、刃先が折損か否かを判断する。ステップ162が否定の場合はステップ164で刃先が膨張(構成刃先または切粉の付着など)か否かを判断し、ステップ164が否定の場合はステップ167で刃先が磨耗か否かを判断する。なお、これらの判断手法は、後述するシークラインなどを用いる。ここで、構成刃先とは、切粉等が例えば切削工具のすくい面に溶着し膨張する状態をいう。また、ステップ162が肯定の場合すなわち折損している場合には、ステップ163において、折損データをRAM64に記録する(即ち、メンテナンス等の際のデータとする)。
ステップ164が肯定の場合すなわち刃先が膨張している場合には、ステップ165において、膨張が設定値以上か否かを判断する。ステップ165が肯定の場合すなわち設定値以上の場合には、ステップ166において、膨張データをRAM64に記録する。また、ステップ167が肯定の場合すなわち磨耗と判断される場合、ステップ168で磨耗が設定値(例えば20μm)以上か否かを判断する。ステップ168が肯定の場合すなわち設定値以上の場合、ステップ170において、摩擦データをRAM64に記録する。
ステップ167が否定の場合すなわち刃先が磨耗でないと判断した場合、ステップ176において、CPU60は刃先の変位が設定値(例えば100μm)以上か否かを判断する。刃先の変位は、例えば図9または図10に示す切削線の総合位置を検出することによって判断され、熱変位の他に刃先の磨耗も含まれる場合がある。
ステップ176が肯定の場合すなわち設定値以上の場合、ステップ177において、変位データをRAM64に記録する。ステップ176が否定の場合すなわち設定値以下の場合、ステップ178において、測定時の変位データに基づき補間データをRAM64に記録する(即ち、メンテナンス等の際のデータとする)。そして、ステップ165が否定の場合またはステップ168が否定の場合またはステップ178の処理後、ステップ179において、フィードバックして補償処理を行なう。なお、このフィードバック補正は、後述するチップ26Aにおける切削線の位置(図9および図10参照)などに基づいて、行うことになる(特願2009−11973号の明細書参照)。
そして、ステップ163またはステップ166またはステップ170またはステップ177の各処理が終了した後に、ステップ172で旋盤Sの運転を強制的に停止(例えばバイトが交換されるまで切削加工運転禁止等のフェールセーフ処置の実施を含む)させ、ステップ174で警告する。具体的には、表示部(図6参照)に警告表示またはブザー58を作動させて警告音または図示しないスピーカから警告音声を出力させる。作業者は、上記警告によりバイト交換が促される。なお、撮像した視野部分に切粉などの異物が付着した場合、CPU60は画像認識機能としてエラー設定できるので、フェールセーフ処置の実施ができる。以下、図8乃至図10に基づき、シークライン及び切削線の設定方法について説明する。
(シークラインの設定方法)
図8に示すように、複数本のシークライン(刃先部分輪郭の位置を求める手段)CLをチップ26Aの輪郭に沿って例えは10μm毎の等間隔で予め設定される。この際、シークラインCLの長さは輪郭線を中心として基準長すなわち半長たとえば50μm(全長は100μm)で、シークラインCLはチップ26Aの輪郭線に対し直角になるよう予め設定される。ここで、図8に示すシークラインCL群(刃先の輪郭部分を位置認識する手段)より構成されるテンプレート(刃先の位置を求める手段)を、基準画像となるオリジナルテンプレートという。オリジナルテンプレートデータ(基準画像データを含む概念)は、チップ26Aの輪郭部分を位置認識する基準となる画像データとなる。
基準長を例えば50μmに設定したのは、チップ26Aの欠損または切粉等の付着の大きさ(即ち、最大長さ)などを、50μm以上あるいは以下として認識させるためである。即ち、被写体であるチップ26Aに切粉等が付着して外形が変化する時、被写体の位置(所謂オブジェクトベクトル)が移動するのを回避するためである。
従って、シークラインCLのエッジ位置(チップ26Aの輪郭線などにおける交点位置と同義)が、シークラインCLの半長以上または以下にズレる場合は、対象となるシークラインCLをエラー処理(無効と同義)してオブジェクトベクトルの演算に算入させないためである。ここで、パターンマッチング(照合と同義)による被写体の位置決めは、ズレがシークラインCL内に収まるものでのみオブジェクトベクトルを演算し、シークラインCL数の内ある割合の本数までのエラーは許容している。
パターンマッチング後は、各シークラインCLについて、その中点(半長50μmの点)とエッジ位置とのシークラインCL上の差分を演算する。この差分は、被写体(例えば、バイト等)の初期画像データ設定時を基準に、被写体外形の変形度合いを示す。この基準は、オリジナルテンプレートに対する切削線のベクトル値(以下、相対値という)の場合にも適用する。
なお、上記基準は、バイト自体の位置がボールネジ(図示省略)の熱膨張などによって変位しても、これらのシークラインCL上の差分は変動しない。また、バイトの変形箇所たとえばチップの欠損箇所あるいは切粉等の付着箇所は、シークラインCL全数の割合からすると、非常に低いので、被写体全体の変位に与える影響は少ない。
所謂マルチステップパターンマッチング(以下、「MS」という)パターンマッチングの技法は、被写体の位置認識に適用しているが、これ以外に正規化相関によるパターンマッチング等を用いるようにしても良い。また、この場合、各エッジ認識にMSパターンマッチングのテンプレートを構成するシークラインCLを用いているが、これ以外にエッジ検出用のキャリパスライン(シークラインCLを変形したもの)などを適用しても良い。
更に、図9及び図10に示すシークラインCLは、求める切削線(X方向切削線およびZ方向切削線)に対し直角方向で、チップ26Aの内側から外側へ向かいように生成する。そして、シークラインCLは、中央から両端の方向へ向かって例えば10μピッチの等間隔で生成する。
(切削線データの設定方法)
図9に示すように、X方向切削線は、シークラインCL群の中でエッジ位置が最下端のものを演算し、その最下端エッジ位置から水平方向へ描いた直線である。即ち、X方向切削線は、チップ26Aの輪郭に対する水平接線である。図10に示すように、Z方向切削線に係るシークラインCLも、上述したX方向切削線の場合と同様に生成する。即ち、Z方向切削線は、チップ26Aの輪郭に対する垂直接線である。そして、X方向切削線およびZ方向切削線の位置を、図8に示すオリジナルテンプレートに対する差分量として、図6に示すRAM64にそれぞれ記録する。ここで、切削線の位置(ベクトル)は相対ベクトルおよび絶対ベクトルの意義があり、絶対ベクトルは刃具の磨耗と機械全体の熱歪の合計である。そして、絶対ベクトルをNCテーブル50(図6参照)で補償し、刃具の磨耗と機械の熱変位をフィードバック補償する。即ち、NCテーブル50の補正データは、切削線の絶対位置に基づいて処理する。
一方、切削線の相対ベクトルは、オリジナルテンプレートでパターンマッチングした位置に対する切削線の位置に基づき、刃具の磨耗量限界値の演算(内側への移動)および切粉の付着と構成刃先の検出(外側への移動)の処理に用いる。なお、図6に示すCPU60は、刃具の磨耗量=切削線/刃具全体位置(切削線の相対位置)で演算する。
なお、500万画素のカメラ30(図3A参照)では、図13に示すチップ26Aのエッジ等の位置決めの認識精度が±0.25μm(=1/34ピクセル)の精度で画像認識される。即ち、500万画素(1画素当りの実寸法は8.6μm)の光学系のカメラでも、最近の画像処理技術の上記認識精度が向上したことによって十分にチップ等の折損・磨耗などを画像認識できると共に、チャック12(図1参照)などの温度を1℃単位で測定できる。ここで、図8の四角枠は、チップ26Aの先端(即ち、すくい面)を検出するときに用いる刃先検出エリアである。
そして、本実施形態では、図11に示すように、画像取込方向がすくい面を見る方向であるので、逃げ面の角度の変化またはノーズ角の量は検出できず、刃具変形磨耗の度合いを画像認識できない。また、本実施形態では、刃具の画像取込を非切削時のみに行う構成となっているので、上述した撓み量を画像処理で認識できない。即ち、この場合、切削変形磨耗の度合いにより、切削背分力が変化するので、ワークの仕上がり加工寸法が異なる。従って、本実施形態では、以下の方法で補正データを取得する。
(補正データの取得方法)
この補正データは、刃具変形磨耗量および刃具の変位量に対する「総合切削追込み追加量」のデータに基づくものである。この総合切削追込み追加量は、以下のように演算する。ここで、一般に、刃具でワーク(材料)を切削する場合、以下の関係があるとする。即ち、刃具自体の摩耗量=Cab(刃具が新品の時をゼロ値とし、刃具全体が変位している量は考慮しない),変形摩耗係数=Kcb(刃具自体の摩耗量に対する切削追い込み追加量を経験によって得る係数),Func(Cab)=変形磨耗関数(刃具自体の摩耗量に対する切削追い込み追加量を求める経験値すなわち関数),刃具変位量=Coffset(刃具全体の変位量たとえばNCテーブルなどの熱膨張で生じる変位),総合切削追込み追加量=Mtotal(総合的な切削追い込み追加量)とする。
特願2009−38185号の刃具認識システムでは、Mtotal=MtotalOrg=Cab+Coffset(式20)で演算している。まず、この場合、刃具自体の摩耗量(Cab)分を補正する。次に、刃具変位量(Coffset)は、刃具全体がワークに対して相対的に移動した量であるから、追加して補正する必要がある。なお、刃具の切削線(図9及び図10参照)の位置を求めると、Cab+Coffsetをまとめて得ることができる(図11及び図12参照)。ここで、図11及び図12は視覚にて把握し易いように図示しているが、実際には変位および磨耗は微小である。
(刃具自体の磨耗が比例する場合の演算方法)
刃具自体の磨耗量が比例する場合は、Mtotal=Cab×(1+Kcb)+Coffset即ちMtotal=MtotalOrg+Cab×Kcb(式21)で演算する。ここでは、刃具自体の摩耗量を補正するが、係数(Kcb)を加えた分さらに追込み補正する。Kcbは、一般にプラス値である。即ち、刃具が摩耗すると、更に余分に補正する。なお、Kcbがマイナス値の場合は、減算して補正する。Kcbは、実験的に求める。また、Kcbは切削条件(例えば刃具の種類、ワークの材質など)によって異なる。
(刃具自体の磨耗が比例しない場合の演算方法)
刃具自体の磨耗が比例しない場合は、Mtotal=Cab+Func(Cab)+Coffset即ちMtotal=MtotalOrg+Func(Cab)の式(22)で演算する。上述した式21のアルゴリズムにおいて、刃具自体の磨耗量に対する補正量は、直線的であるとした。しかし、実験的に求めた結果、曲線になる場合があるので、式22で対応する。即ち、上述した式21は、式22の特殊な形である。
本実施形態では、実験で求めたデータをプロットし(図13参照)、テーブルを作成する。そして、各プロットの間の領域では、補間して用いる。なお、図13の縦軸は追込み補正量Func(Cab)を表し、その横軸はバイトの磨耗量Cabを表す。これらの単位は、μmである。別の方法としては、データ値を級数展開(例えば、マクロ展開またはテーラ展開など)して関数を作成し、これを用いるようにしても良い。
(刃具自体の磨耗量Cabを求める方法)
第1の方法は、図14に示すように、認識マーク(即ち、基準位置を定めるマーク)92をチップ26A自体に設け、このマーク92を基準に切削線の相対位置を求める方法である。この場合、刃具が新品の時の値(即ち、磨耗量の値)をゼロとする。ここで、認識マーク92は、例えば特開平2001−127497号公報または特開平7−38519号公報などに記載される方法を用い、チップ26Aに設ける(図14参照)。
第2の方法は、チップ26A全体のテンプレート(図15参照)の位置に対する切削線(図16参照)の相対位置を求める方法である。即ち、CPU60は、チップ26A全体の位置と切削線位置との差分(図16参照)に基づき、磨耗量を演算する。第2の方法では、チップ26Aが磨耗する領域が小さいので、チップ26A全体に対する影響は少ない(即ち、全体的には変わらない)。なお、第2の方法は、初期設定時の切削線の相対位置に対する変化のみならず、キャリブレーションサイクル時の現検出時における切削線位置に対する変化をも検出(演算)する。ここで、キャリブレーションサイクルは、切削の精度を所定水準に維持する補償値を得るため、図1に示す旋盤Sの稼動時に強制的に所定間隔を設けて検査を行うことである。即ち、キャリブレーションサイクルは、旋盤Sの運転が開始した後に行う検査である。
第3の方法は、チップ26Aの刃先以外のテンプレート(図17参照)の位置に対する切削線(図16参照)の相対位置を求める方法である。即ち、刃先以外の部分(磨耗箇所を除く部分と同義)のテンプレート(パターンマッチング用モデル)において、パターンマッチング(位置決めと同義)して求めたバイト全体の位置に対する切削線の相対位置を求める。この場合は、刃先以外の領域を除いてパターンマッチングすることを特徴とする。
(刃具変位量Coffsetを求める方法)
第1の方法は、図18に示すように、認識マーク92をチップ26A自体に設け、このマーク92の位置を求める方法である。この場合、刃具が新品の時の値(即ち、磨耗量の値)をゼロとする。第2の方法は、チップ26A全体のテンプレート(図15参照)の位置を求める方法である。即ち、CPU60は、オリジナルテンプレート(図8参照)にキャリブレーションサイクル時の画像データ(図15参照)をパターンマッチングして比較し、その差分に基づいて磨耗量を演算する。第2の方法では、チップ26Aが磨耗する領域が小さいので、チップ26A全体に対する影響は少ない。第3の方法は、図17に示すように、チップ26Aの刃先以外のテンプレートの位置を求める方法である。
本実施形態において、切削機械を製造した時または新しい切削工具をセットした時などは、よく使用する切削条件でテストカットし、式21のKcb又は式22のFunc(Cab)を求める。ここで、切削機械を製造した時は、機械毎にコンプライアンス(支持系の堅さの逆数)が異なる場合があるので、機械毎にテストカットして演算する。そして、同一の切削条件であれば、刃具の摩耗度合い及び摩耗形状について再現性があり、上述した「総合切削追込み追加量」の演算方法を適用し得る。
本実施形態においては、上記演算データを機械又は生産システムに入力してRAM64(図6参照)などの記録手段に記録する。また、新しいワークを切削する時は、複数データの中から対応するデータを用いて、上記「総合切削追込み追加量」の演算方法を用いる。そして、本実施形態の旋盤Sは、演算で得られた補正データに基づき、図6に示すNCテーブル50を移動(補正と同義)させて切削加工する。
更に、新しいワークと切削工具による新たな切削条件であると判断する場合には、切削工具の摩耗と「総合切削追込み追加量」との関係を、テストカットで求める。そして、旋盤Sは、演算で得られた補正データに基づき、NCテーブル50を補正させて切削加工する。即ち、本実施形態によれば、刃具の変位(変形磨耗をも含む概念)を起こした場合の補正を、「変形摩耗係数」又は「変形摩耗関数」を用い且つ「総合切削追込み追加量」で補正するので、刃具の摩耗具合に拘らず、加工精度を維持して使用し得る。また、本実施形態によれば、長期間の刃具変形摩耗に対応できるので、刃具交換を行っているタイミングを伸ばしても、より長く使用し得る。
なお、図19(A)に示すように、複数のシークラインLaを設定することによりチップ26Aのエッジを求める。使用前後のチップ26Aのエッジを求めてパターンマッチングし、各エッジの位置が閾値以下に異なっている場合はチップ26Aの折損と判断する。一方、各エッジの位置が閾値以上に異なっている場合はチップ26Aに切粉が溶着などした膨張(構成刃先ともいう)と判断する。なお、閾値は例えば20μmなどの幅を設け、その幅は任意に変更し得る。
チップのノーズも、シークラインを用いて求めることができる。即ち、図19(B)に示すように、下方に向かう複数のシークラインLbを所定間隔で設定し、輝度の極大値(暗から明に変化する点)が最下点となるシークラインLbmを求めてX方向切削線とする。同様に、図19(C)に示すように、左方に向かう複数のシークラインLcを所定間隔で設定し、輝度の極大値(暗から明に変化する点)が最左点となるシークラインLcmを求めてZ方向切削線とする。
次に、図19(D)に示すように、X方向切削線Lbmと、このX方向切削線Lbmに平行であってZ方向切削線LcmのエッジEcを通る線Lbpとの距離Rzを求める。同様に、Z方向切削線Lcmと、このZ方向切削線Lcmに平行であってX方向切削線LbmのエッジEbを通る線Lcpとの距離Rxを求める。そして、距離Rzと距離Rxのうち、大きい方をノーズに設定する。使用後のチップ26Aのノーズが使用前のチップ26Aのノーズよりも設定値以上になっている場合はチップ26Aの摩耗と判断する。
なお、本発明は実施例1で説明した短軸旋盤に限定されず、例えば2軸正面旋盤またはフライス盤など種々の切削機械(切削工具とワークを相対的に移動させて加工する機械)に適用できる。
12…チャック、18…基準ゲージ、21…ターレット刃物台(取付台)、25…内径加工用のバイト(切削工具)、25A…刃先、26…外径加工用のバイト(切削工具)、26A…刃先、27,68…撮像装置(撮像手段)、30…カメラ、47…インバー体(基準体)、47A…インバー体の先端、60…CPU(照合手段,演算手段,補正手段)、62…ROM(記憶手段)、64…RAM(記録手段)、91…基準マーク、92…認識マーク、S…旋盤(切削機械)、W…ワーク(被加工物)

Claims (3)

  1. 被写体を撮像する撮像手段と、
    上記撮像手段は被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づき上記切削工具自体の磨耗量および上記切削工具の変位量を演算すると共に、上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算する演算手段と、
    上記演算手段の演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する制御手段と、
    を備える切削工具の加工位置補正装置。
  2. 被写体を撮像する撮像手段と、
    上記撮像手段は被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づく基準画像データおよびキャリブレーションサイクル時の画像データを照合する照合手段と、
    上記照合手段の照合結果に基づく上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算する演算手段と、
    上記演算手段の演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する制御手段と、
    を備える切削工具の加工位置補正装置。
  3. 被写体として切削工具を撮像し、この画像データに基づき上記切削工具自体の磨耗量および上記切削工具の変位量を演算すると共に、上記切削工具の撓みをも含む変形磨耗量および上記切削工具の熱変位をも含む変位量に対する総合切削追込み追加量を比例関係にある変形摩耗係数または比例関係のない変形摩耗関数を用いて演算し、この演算結果に基づき上記切削工具の加工位置を補正する切削工具の加工位置補正方法。
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