JP5453009B2 - 音響測定方法及びシステム - Google Patents

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本発明は、騒音等の測定を行う音響測定センサーを用いた音響測定方法及びシステムに係り、特に指向性マイクロホンを複数用いた音響測定センサーの出力信号を校正処理する音響測定方法及びシステムに関する。
高精度かつ簡便に音響情報を取得するために、2つの単一指向性マイクロホンを180°反対向きに設置して得られた出力信号の差分を用いて、音の到来方向θを含む音の方向情報を測定する手法がある(特許文献1)。
ここで音の方向情報は、方向別の時間波形x(θ,t)あるいは方向別の複素振幅X(θ,ω)などで表現できる。そして、特許文献1の手法では、時間t、角周波数ωのパラメータを省略した関数f(θ)を2次元の音の方向情報として考えると、基本周期Tが2πなので、方向(角度)θをパラメータとした式1で示すフーリエ級数展開で表される。
Figure 0005453009
ここで、nは1周あたりの振動数を表すので、方向情報の周波数と考えることができる。従って、方向情報の周波数特性を用いて音響測定センサーの評価をすることができる。例えば、音響測定センサーであるマイクロホンやスピーカが鋭い指向性を持つ場合は高い方向周波数成分を多く含むので、指向性の鋭さの指標として応用できる。また、無指向性は方向情報の直流成分となるので、全エネルギーに対する直流成分の比率によって、マイクロホンやスピーカの無指向性の程度や、音場の等方性を評価することができる。
特開2008−249702
しかしながら、特許文献1の手法では、測定結果はマイクロホンの指向性が理想的な単一指向性であることを前提としていた。しかし、実際のマイクロホンでは、単一指向性のマイクロホンと言っても指向特性は理想的な単一指向性(カーディオイド型)となることはほとんどなく、さらに指向特性も周波数に依存していた。さらに、複数のマイクロホンの出力信号から音圧及び/又は音響粒子速度を演算により算出するため、従来のような単一の音響測定センサーを用いた感度のみの校正処理では正確な測定結果を保証することは難しかった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、指向性マイクロホンを用いて音圧及び/又は音響粒子速度を正確に算出できるような校正処理を備えた音響測定方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明の音響測定方法は、音響測定方法であって、指向性マイクロホンによって複数の音波入射角度で測定した出力信号から指向特性計算を行う工程と、該指向特性計算の結果を用いてフーリエ級数展開計算を行う工程と、該フーリエ級数展開計算の結果を用いて特定の周波数帯域制限を行う工程と、前記フーリエ級数展開計算の結果を用いて音圧及び/又は音響粒子速度を校正するための補正係数を算出する工程を備え、前記指向特性計算を行う工程において、複数の周波数成分を同時に測定できる手法により得られた出力信号から、特定の周波数に着目した複素音圧指向特性を計算し、前記フーリエ級数展開計算を行う工程において、前記周波数成分毎の前記複素音圧指向特性のフーリエ級数展開計算を行い、前記周波数帯域制限を行う工程において、前記フーリエ級数展開計算の結果、高次のフーリエ係数成分が所定の閾値より大きい周波数帯域を用いないように除外し、複数の指向性マイクロホンで構成される音響測定センサーの出力信号を、前記補正係数により校正処理して音圧及び/又は音響粒子速度を計算することを特徴とする。
本発明の音響測定方法は、測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホン選別を行う工程をさらに備え、該測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホンの選別を行う工程において、前記フーリエ級数展開計算の結果、前記フーリエ係数成分のうち音響粒子速度に関連した成分のうち、所定方向の振幅が所定の閾値より大きい前記指向性マイクロホンを測定に用いないよう除外することを特徴とする。
本発明の音響測定方法は、前記指向性マイクロホンは、理想的には単一指向性マイクロホンであることが望ましいが、指向性が理想的な単一指向性とならなくても校正できることを特徴とする。
本発明の音響測定方法は、前記指向性マイクロホンを2式対向させる場合には、音圧は下記の式14を用いて及び/又は音響粒子速度は下記の式15を用いて校正処理を行うことを特徴とする。
Figure 0005453009
Figure 0005453009
本発明の音響測定方法は、前記校正処理された音圧及び/又は音響粒子速度を用いて音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、又は音響運動エネルギーを含む二次量を計算することを特徴とする。
本発明の音響測定システムは、音響測定システムであって、指向性マイクロホンによって複数点の音波入射角度で測定した出力信号から指向特性計算を行う手段と、該指向特性計算の結果を用いてフーリエ級数展開計算を行う手段と、該フーリエ級数展開計算の結果を用いて特定の周波数帯域制限を行う手段と、前記フーリエ級数展開計算の結果を用いて音圧及び/又は音響粒子速度を校正するための補正係数を算出する手段と、前記指向性マイクロホン選別を行う手段とを備えて、前記指向特性計算を行う手段は、複数の周波数成分を同時に測定できる手法により得られた出力信号から、特定の周波数に着目した複素音圧指向特性を計算し、前記フーリエ級数展開計算を行う手段は、前記周波数成分毎の前記複素音圧指向特性のフーリエ級数展開計算を行い、前記周波数帯域制限を行う手段は、前記フーリエ級数展開計算の結果、高次のフーリエ係数成分が所定の閾値より大きい周波数帯域を用いないように除外し、複数の指向性マイクロホンで構成される音響測定センサーの出力信号を、前記補正係数により校正処理して音圧及び/又は音響粒子速度を計算することを特徴とする。
本発明の音響測定システムは、測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホン選別を行う手段をさらに備え、該測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホンの選別を行う手段は、前記フーリエ級数展開計算の結果、前記フーリエ係数成分のうち音響粒子速度に関連した成分のうち、所定方向の振幅が所定の閾値より大きい前記指向性マイクロホンを測定に用いないよう除外することを特徴とする。
本発明の音響測定システムは、前記指向性マイクロホンは、単一指向性マイクロホンであることを特徴とする。
本発明の音響測定システムは、前記指向性マイクロホンを2式対向させる場合には、音圧は下記の式14を用いて及び/又は音響粒子速度は下記の式15を用いて校正処理を行うことを特徴とする。
Figure 0005453009
Figure 0005453009
本発明の音響測定システムは、前記校正処理された音圧及び/又は音響粒子速度を用いて音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、又は音響運動エネルギーを含む二次量を計算することを特徴とする。
本発明の校正処理を用いて音響測定センサーの測定値を校正することによって、測定される音圧及び/又は音響粒子速度に対してより正確な値を保証することができる。また、本発明の音源測定方法及びシステムでは、特にこれまでは位相特性が揃ったペアマイクロホンを用いて音響インテンシティの計算を行っていたところを、低コストの指向性マイクロホンを複数用い、校正処理を行なって正確な測定値を得ることができるので、高精度な音響測定システムを低コストで構成することができる。
本発明の実施の形態に係る校正情報を算出する校正情報算出システムXの構成図である。 本発明の実施の形態に係る音響測定センサー1の測定値を校正する音響測定システムYの構成図である。 本発明の実施の形態に係る理想的な単一指向性マイクロホンの指向特性を示した図である。 本発明の実施の形態に係る校正処理のフローを示す図である。 本発明の実施の形態に係る平面波の伝搬と波数kとの関係を示した図である。 本発明の実施の形態に係るターンテーブルを使った指向特性の自動測定を示した概念図である。 本発明の実施の形態に係る測定された指向特性と、フーリエ級数展開結果の例を示した図である。 本発明の実施の形態に係る指向特性の周波数特性表示を示した図である。 本発明の実施の形態に係る実施例の同一モデル/3個の単一指向性マイクロホンでの指向特性の周波数特性表示を示した図である。
<実施の形態>
[システム構成]
本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXを図1に示す。また、本発明の実施の形態に係る音響測定システムYを図2に示す。
本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXは、音圧p及び音響粒子速度uを正確な値に校正処理するための校正情報を算出する。そして、校正情報算出システムXで算出された校正情報を利用して、音響測定システムYは、実際の測定における校正の適用を行う。これによって、音響測定センサー1の出力信号である音圧p及び音響粒子速度u、更には音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響ポテンシャルエネルギー、運動エネルギー等の二次量もより正確な値に校正処理する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る校正情報を算出する校正情報算出システムXの構成について以下に具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXは、校正処理のための測定データを収集するために指向性マイクロホン2を備える。
最も理想的には、指向性マイクロホン2が単一指向性マイクロホンの場合である。単一指向性マイクロホンは、カーディオイド型とも呼ばれ、センシングできる音圧振幅が、図3のようなポーラーパターンの形のように音の到来方向θに依存するマイクロホンである。また、カーディオイド型のみならず、例えば、スーパーカーディオイド型、ハイパーカーディオイド型、ウルトラカーディオイド型等の指向性マイクロホンも用いることもできる。なお、好ましくは単一指向性マイクロホンを用いるが、必ずしも単一指向性である必要ではなく、理論的には無指向性以外のマイクロホンであれば本発明に用いることができる。
指向性マイクロホン2は、インターネットやイントラネット等であるネットワーク5を介して、サーバー10に接続されている。そして、指向性マイクロホン2の出力信号である指向性音圧信号のデータは、サーバー10において指向性マイクロホン2の出力信号の校正情報を算出する計算処理に供される。
指向性マイクロホン2で収集したアナログ信号である出力信号は、A/D変換装置でデジタル信号へ変換され、出力信号の校正処理を行うサーバー10に送信される。また、指向性マイクロホン2で測定した信号をサンプリングし、ほぼリアルタイムでこの信号の経時変化(時系列)のデータをLANインターフェイス等を用いて送信することができる。ここでは実際の指向性音圧波形を、例えば、24ビット、サンプリング周波数96kHzでデジタルサンプリングし、原波形を完全に復元することができるロスレスコーデックで圧縮して送信することができる。そして、このデータは、上記のネットワーク5の形態に合わせて送信する。
ネットワーク5は、デジタルオーディオネットワーク、LAN、電灯線LAN、cLink、無線LAN、携帯電話又はPHS網、有線電話回線、専用の回線等、音響測定センサー1のデータ転送レートに応じた回線速度を持つものであればいかなるネットワークでも用いることができる。また、ネットワーク5の形態として、IPネットワークやその他のスター状やリング状のネットワーク等を用いることができる。さらに、フレキシブルディスク、各種フラッシュメモリカード、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)等の記憶媒体を介してデータをやり取りすることもできる。
サーバー10は、PC/AT互換機を用いたPCサーバーや汎用機等であり、音響測定センサー1から入力した指向性音圧を解析して、指向性マイクロホン2の出力信号を校正処理するための校正情報を算出するプログラムを実行する。
次に、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXのサーバー10の制御構成について、より詳しく説明する。
サーバー10は、指向性マイクロホン2から得られた信号の解析と演算を行うことができる構成部位であり、指向性マイクロホン2で取得した指向性音圧のデータ等を入力する入力部11(入力手段)、入力されたデータや各データ処理結果等を記憶する記憶部12(記憶手段)、指向性マイクロホン2で得られた値によって音響測定センサー1の出力信号の校正処理を行う校正情報算出部13(校正情報算出手段)、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット、中央処理装置)やMPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)等である制御部14(制御手段)、LCDディスプレイ等の表示装置やプリンタやプロッタや波形出力機等である出力部15(出力手段)とを主に備えている。
なお、校正情報算出部13で計算するための指向性マイクロホン2から取得したデータは、図2の音響測定センサー1で使用するマイクロホンと同一であればよいが、図9の説明で後述するように同一モデルのマイクロホンの指向性はほぼ同等であることが判明しているため、サーバー10が、直接指向性マイクロホン2から取得しても、同一モデルの別のセンサーや情報サイト等に蓄積されている情報を直接ネットワーク5から取得しても、記憶媒体を介して直接取得してもよい。
さらに具体的に説明すると、入力部11は、LANインターフェイス等であり、また、キーボードやポインティングデバイスや光学・磁気スキャナ等の入力手段も含む。これにより、入力部11は、指向性マイクロホン2からのデータや、予め測定員が測定したデータ等を入力することができる。さらに、入力された指向性マイクロホン2の指向性音圧データについて、測定員がデータの種類等を入力するためのユーザインターフェイスも備えていてもよい。
記憶部12は、RAMやROMやフラッシュメモリやHDD等である。記憶部12は、指向性マイクロホン2から得られたデータ、校正情報算出用のアルゴリズム、校正情報算出による結果等を記憶する。
校正情報算出部13は、汎用の演算装置を用いてオフラインで算出しても構わないし、専用の演算用DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)や物理演算専用演算装置やGPU(Graphics Processing Unit)等のリアルタイムに演算可能な演算器を用いることもできる。また、校正情報算出部13の機能を、制御部14の演算機能を用いて実現してもよい。
制御部14は、実際に以下の指向性マイクロホン2の測定値の校正処理を行う際の制御と演算を行う構成部位である。このために、記憶部12のROMやHDD等に記憶しているプログラムに従って、A/D変換器で変換されたデジタル信号である出力信号に対して各種の制御と演算の処理を実行する。
出力部15は、表示部やプリンタ等の出力手段に出力を行うI/O等である。出力部15は、後述する指向周波数特性等のグラフに出力表示することができる。
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係る音響測定センサー1の測定値を校正する音響測定システムYの構成について以下に具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る音響測定システムYは、校正処理に供する測定データを収集するために音響測定センサー1を備える。
音響測定センサー1には様々な形式があり、いずれのセンサーも音圧p、音響粒子速度u、更には音響インテンシティや音響インピーダンス、音響エネルギー密度の測定を目的とする。音響測定センサー1は、単独もしくは複数のマイクロホン等の素子で構成され、音圧pもしくは音響粒子速度u、更には音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、音響運動エネルギー等の二次量も計算できる。
本発明の実施の形態に係る音響測定センサー1に用いるそれぞれの素子は、一般に指向性を有する。この音響測定センサー1内で用いる素子としては、例えば、マイクロホンや音響粒子速度プローブ等があげられる。これらの音響測定センサー1は、特定の音響現象に対応する目的で、さらなる精度を追及するために構成される素子の出力信号に周波数帯域毎のフィルタ及び目的音源に特化したフィルタ等を用いることも可能である。ただし、音響測定センサー1で用いられるマイクロホンは、校正情報算出システムXで校正されたマイクロホンと同一モデルである必要がある。
音響測定センサー1は、インターネットやイントラネット等であるネットワーク50を介して、サーバー100に接続されている。そして、音響測定センサー1の出力信号は、サーバー100において、校正情報算出システムXで算出された校正情報を用いて、音響測定センサー1の出力信号の校正処理を実行する計算処理に供され、最終的に音圧p、粒子速度u、並びに二次量である音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、音響運動エネルギー等を得ることができる。
音響測定センサー1で収集したアナログ信号である出力信号は、A/D変換装置でデジタル信号へ変換され、出力信号の校正処理を行うサーバー100に送信される。また、音響測定センサー1で測定した信号をサンプリングし、ほぼリアルタイムでこの信号の経時変化(時系列)のデータをLANインターフェイス等を用いて送信することができる。ここでは実際の波形を、例えば、24ビット、サンプリング周波数96kHzでデジタルサンプリングし、場合によっては原波形を完全に復元することができるロスレスコーデックで圧縮して送信することができる。そして、このデータは、上記のネットワーク50の形態に合わせて送信する。
ネットワーク50は、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXのネットワーク5と同様の構成を有する。
サーバー100は、上記のサーバー10と同様の構成を有し、音響測定センサー1から入力した波形を解析して、以下に述べる音響測定センサー1の出力信号の校正処理を行う機能を有するプログラムを実行する。
次に、本発明の実施の形態に係る音響測定システムYのサーバー100の制御構成について、より詳しく説明する。
サーバー100は、音響測定センサー1から得られた信号の解析と演算を行うことができる構成部位であり、音響測定センサー1で取得したデータ等を入力する入力部110(入力手段)、入力されたデータや各データ処理結果等を記憶する記憶部120(記憶手段)、音響測定センサー1で得られた値によって、校正情報算出システムYで算出された校正情報を用いて音響測定センサー1の出力信号の校正処理を行う校正処理部130(校正処理手段)、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット、中央処理装置)やMPU(マイクロ・プロセッシング・ユニット)等である制御部140(制御手段)、LCDディスプレイ等の表示装置やプリンタやプロッタや波形出力機等である出力部150(出力手段)とを主に備えている。
なお、校正処理部130で計算するための音響測定センサー1から取得したデータは、サーバー100が、直接音響測定センサー1から取得しても、別の同一モデルのセンサーや情報サイトに蓄積されている情報を直接ネットワーク5から取得しても、記憶媒体を介して直接取得してもよい。
さらに具体的に説明すると、入力部110は、LANインターフェイス等であり、また、キーボードやポインティングデバイスや光学・磁気スキャナ等の入力手段も含む。これにより、入力部110は、音響測定センサー1からのデータや、予め測定員が測定したデータ等を入力することができる。さらに、入力された音響測定センサー1のデータについて、測定員がデータの種類等を入力するためのユーザインターフェイスも備えていてもよい。
記憶部120は、RAMやROMやフラッシュメモリやHDD等である。記憶部120は、音響測定センサー1から得られたデータや予め測定員が測定した音響測定センサー1のデータ、校正処理された音圧p及び音響粒子速度uデータから計算された音響インピーダンス等の二次量のデータ、音響測定センサー1の校正を行う校正処理用のアルゴリズム、校正処理による結果等を記憶する。
校正処理部130は、汎用の演算装置で実現しても構わないし、専用の演算用DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)や物理演算専用演算装置やGPU(Graphics Processing Unit)等のリアルタイムに演算可能な演算器を用いてもよい。また、校正処理部130の機能を、制御部140の演算機能を用いて実現してもよい。
制御部140は、実際に以下の音響測定センサー1の測定値の校正処理を行う際の制御と演算を行う構成部位である。このために、記憶部120のROMやHDD等に記憶しているプログラムに従って、A/D変換器で変換されたデジタル信号である出力信号に対して各種の制御と演算の処理を実行する。
出力部150は、表示部やプリンタ等の出力手段に出力を行うI/O等である。出力部150は、後述する指向周波数特性等のグラフに出力表示することができる。
[校正処理工程]
本発明の実施の形態に係る校正処理工程のフローを図4に示す。この校正処理工程は、音響測定センサー1を騒音測定や音響解析の目的で利用するために、音響測定センサー1の出力信号を校正し、正確な音圧pや音響粒子速度uを得る。本発明の実施の形態では、上記のように校正情報の算出には、実際の音響測定センサー1で使用するものと同一モデルの指向性マイクロホン2を用いる。
一般的に、音響測定で測定対象となるのは、音圧p又は音響粒子速度uである。音圧pはスカラー量であり、ベクトル量である音響粒子速度uとは一般に式2の関係があり、音響粒子速度uは音圧pのグラディエントとして表すことができる。
Figure 0005453009
ここで特に理想的な単一指向性マイクロホンでは、センシングできる音圧振幅が、図3のようなポーラーパターンの形で音の到来方向θに依存する。音圧pは本来スカラー量であり音の到来方向θに依存しないはずであるが、このように“指向性”マイクロホンで測定されたときには、図3で示したような方向選択性を持つ。したがって、本発明ではその性質を利用して校正処理並びに測定を行う。
まず、図5を参照して、指向性について説明する。指向性を理解するためには、音の伝搬を波数空間で表現すると分かりやすい。ここで、波数kは、ω/cで表される(ωは角周波数、cは空気中の音速をそれぞれ示す)。そして、二次元平面上(xy平面上)を平面波がθ方向から音場を伝搬しているとし、波数kをx軸方向の波数成分k、y軸方向の波数成分kに分解すると、いかなる方向から伝搬している平面音波も式3を満たす。
Figure 0005453009
つまり、平面波の伝搬を考慮した場合、x軸方向、y軸方向に分解された波数k,kの組は常に半径の円上の値を取る。したがって、特定の到来方向θから到来する音波をセンシングするような指向性を持つセンサーを作成することは、波数空間でk,kに依存した式4で示すようなフィルタを実現することと等価である。
Figure 0005453009
そして、特に理想的な単一指向性マイクロホンの場合には、波数空間でのフィルタは式5のように示される。
Figure 0005453009
上記のように音響情報を伝搬方向に分解して波数成分で表現することは、音響解析の手法としては以前より多く用いられる手法である。
例えば、近距離音響ホログラフィの手法では、マイクロホンアレイで測定された音圧pを波数成分に分解することで行われている(例えば、Earl J. Williams, “Nearfield acoustic holography: I. Theory of generalized holography and the development of NAH”, Journal Acoustical Society of America vol. 78, No.4, 1985参照)が、波数成分への分解には一般に空間的なフーリエ変換を用いる。そして、球面座標系での近距離音響ホログラフィでは、球面上の音圧分布を式6及び式7のような球面調和関数でフーリエ級数展開する。ここで球面調和関数とは、球面座標系のフーリエ級数展開の基底関数となる正規直交関数である。
Figure 0005453009
Figure 0005453009
これらを利用して、二次元平面上(XY平面上)で示した音響情報を、特許文献1の手法を用いて式8で示すようにθ方向のフーリエ級数に分解する。これは、二次元(θ,φ)の展開である球面調和関数を使ったフーリエ級数展開を、一次元(θ)に次元を落としたものと考えてよく、実質的には音響情報を波数空間で表現することを意味する。
Figure 0005453009
ここで、音圧pは音の到来方向θに依存しないスカラー量で、式9で示すように、フーリエ級数展開した場合の直流成分(n=0の成分)が音圧pに対応する。
Figure 0005453009
また、音響粒子速度uのx軸方向成分は、音の到来方向θに対応してcosθの指向性を持ち、式10に示すように、フーリエ級数展開した場合の1次成分(n=1の成分)がx軸方向の音響粒子速度uに対応する。
Figure 0005453009
ここで、n=1に対して球面調和関数はm=−1,0,1と3つの形を取り、デカルト座標系での直交する3方向の成分に一致する。これらの結果から、理想的な単一指向性マイクロホンで測定される音圧pは、式5に式9及び式10を代入して式11で示される。つまり、理想的な単一指向性マイクロホンの出力信号には、音の到来方向θに依存しない音圧pに関係した成分と、cosθの形の指向性を持つ音響粒子速度uに関係した成分の和で構成されている。
Figure 0005453009
したがって、特許文献1の方法を用いて、2つの単一指向性マイクロホンを180°反対向きに設置することで、音圧pを式12で、x軸方向の音響粒子速度uを式13のように求める。また、求めた音圧p及び音響粒子速度uから音響インテンシティを算出し、音のエネルギーの流れや音の伝搬方向を求めることができる。
Figure 0005453009
Figure 0005453009
しかし、この定式化で音圧p、音響粒子速度uが絶対的に正確に測定できるためには、マイクロホンの指向特性が理想的な単一指向特性であることが前提である。ここで、理想的な単一指向性マイクロホンでは、両者の寄与は周波数によらずに等しく、理想状態での振幅は共に0.5である。つまり、指向性が式5で示される場合には、音圧pと音響粒子速度uの寄与が1/2ずつであり、音圧pと音響粒子速度uの絶対値を得ることは容易である。しかし、実際はマイクロホンの指向性は理想的な単一指向性でなく、更には指向性が周波数に依存しているという問題がある。この場合、音圧p又は音響粒子速度uの絶対値に誤差が生じるばかりか、音圧pにも音響粒子速度uにも関係しないフーリエ級数展開の高次成分を含めて評価してしまう可能性がある。
そこで本発明では、マイクロホンの指向特性が理想的でないとの前提に立ち、指向性マイクロホン2を利用した校正処理を提供する。本発明の実施の形態では、単一指向性マイクロホンを用いた校正処理工程を示すが、無指向性以外の指向性を持つマイクロホンであればどのようなマイクロホンでも適用できる。ただし、音圧が無指向性成分、粒子速度が1次のフーリエ展開成分に由来することから、高次の成分が多く含まれるタイプのマイクロホンはマイクロホンを選別する工程(ステップS4)の工程で除外されるため、この目的には適さない。以下その手順について図4を参照して具体的に説明する。
本発明の実施の形態に係る校正処理工程では、指向特性計算をする工程(ステップS1)、フーリエ級数展開計算をする工程(ステップS2)、周波数帯域制限をする工程(ステップS3)、マイクロホン選別をする工程(ステップS4)から校正情報を算出し、実際の測定における校正の適用を行う。
(ステップS1)
まず、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXの校正情報算出部13及び/又は制御部14は、指向性マイクロホン2で取得した測定データから指向性マイクロホン2の周波数特性の指向特性計算を行う。この指向特性は、複素音圧指向特性Fとして位相情報を含んだ形で得られる必要がある。
ここで用いる測定データは、無響室内で、平面音波入射と近似できる条件で取得する。また、指向特性計算では、二次元の複素音圧指向特性Fが得られることが好ましいが、計算は非常に煩雑となる。実用上は、一次元の複素音圧指向特性Fが得られればよい。
指向特性計算に供する測定データは、複数の音波入射角度において取得する。例えば、図6で示すようなターンテーブルを用い、スピーカを固定して指向性マイクロホン2を回転させ、離散的な角度で取得する。この場合は、1つの指向性マイクロホン2があれば測定可能である。また、その他いかなる手段であっても、複素音圧指向特性が得られればよい。
この指向特性計算では、様々な周波数成分を同時に測定できる手法で行うことが望ましい。例えば、正弦波スウィープ信号を使ったインパルス応答の測定は、幅広い周波数帯域に対して振幅特性とともに位相特性を、高いS/N比で求めることができるためより好ましい。実用上は、位相情報も含めて測定できれば、任意の方法を用いることができる。
なお、インパルス応答のような時系列データから周波数応答を計算する場合には、フーリエ級数変換を行って周波数応答特性に変換することが必要である。
そして、計算された複数のデータから、特定の周波数に着目した複素音圧指向特性F(二次元の場合:F(ω,θ,φ),一次元の場合:F(ω,θ))を計算する。ここで複素音圧指向特性Fとしたのは、位相の考慮を含むためである。
(ステップS2)
次に、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXの校正情報算出部13及び/又は制御部14は、複素音圧指向特性Fに対してフーリエ級数展開計算を行う。ここで、二次元の指向特性の場合は球面調和関数、一次元の指向特性の場合は三角関数が基底関数となる。
球面調和関数で展開する二次元の複素音圧指向特性Fの場合、座標系の取り方によっても異なるが、n=0の場合振幅が音圧pに関係する成分、n=1の成分が音響粒子速度uに関係する成分である。例えば、特許文献1のように、z軸方向の音響粒子速度uをセンシングするように単一指向性マイクロホンを180°向きを変えて2式配置した場合には、m=0の成分がz軸方向の音響粒子速度uの振幅を表す。また、m=−1、m=1に対応した成分は他の直交軸方向の音響粒子速度成分を表し、この場合他の直交軸方向の音響粒子速度成分の影響は非常に小さくなる。
また、三角関数で展開する一次元の複素音圧指向特性Fの場合、直流成分が音圧pに関係する成分、cosθ成分がx軸方向の音響粒子速度uに関連した成分である。sinθに関連した成分はy軸方向の音響粒子速度成分を表すため、特許文献1のように単一指向性マイクロホンを180°向きを変えて2式x軸に沿って配置した場合には、y軸方向の音響粒子速度成分の影響は非常に小さくなる。
図7を用いて一次元で展開した場合に得られた結果を示す。図7の上側では、周波数が100Hzにおけるポーラーパターンを示す。実際の音響測定センサー1による測定データによるポーラーパターン(Measured)と、フーリエ級数展開を行った結果から再合成したポーラーパターン(Reconstructed)を示す。このようにフーリエ級数展開により、実際の指向特性をモデル化できていることがわかる。
また、図7の下側では、フーリエ級数展開を行った各成分について示す。直流成分(0th、cos成分の横軸0)が音圧pに関係する成分、cosθ成分(1st、cos成分の横軸1)がx軸方向の音響粒子速度uに関連した成分である。高次成分の振幅(cos成分の横軸2〜10)も観察される。さらに、sinθに関連した成分(sin成分の横軸1)ではy方向の音響粒子速度成分を表す。
本発明では、マイクロホンの指向性をあたかも理想的な単一指向性をなすように校正することによって、音圧p又は音響粒子速度uの絶対値の誤差を低減させることができる。さらに、音圧pにも音響粒子速度uにも関係しないフーリエ級数展開の高次成分の値の影響が大きいマイクロホンや周波数範囲を除外して評価することによって、より正確な音圧p及び音響粒子速度uの値を計算することができる。
さらに出力部15は、上記で得られた各成分を、横軸は周波数(Frequency[Hz])、縦軸はフーリエ係数の振幅(Amplitude)としてグラフに出力表示する。図8を用いて、一次元展開した場合の例を示す。
図8では、直流成分の係数である音圧p(cos 0th)に関連した成分、cosθの係数であるx軸方向音響粒子速度u(cos 1st)に関連した成分、高次の成分のエネルギー和(cos higher order)、sinθの係数であるy方向音響粒子速度uに関連した成分(sin 1st)、を周波数特性として示す。
通常、図3や図7の上側で示すように、マイクロホンの指向特性はポーラーパターンと呼ばれる形式で表示される。しかし、ポーラーパターンの形では全体的な指向性こそわかるものの、音圧関連成分、音響粒子速度関連成分の含まれている割合を知ることは難しい。また、複数の周波数において結果を比較することも困難である。それに対して図8で示したような表示形式は、ポーラーパターンに代わる指向性の新しい表現形式であり、指向性の周波数特性を一度に知ることができ、且つ、音圧p、音響粒子速度u、更には音圧pや音響粒子速度uに関係しない高次成分まで一時に評価することができる。
(ステップS3)
次に、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXの校正情報算出部13及び/又は制御部14は、使用可能な周波数帯域の制限を行う。具体的には、まず、高次のフーリエ係数成分が顕著に大きい周波数帯域は、測定に大きな誤差を生じるため、用いないように除外する。その閾値は、使用目的等によって任意に決定することができる。これにより、使用可能な周波数範囲を制限できる。
音響測定センサー1での測定結果には、音圧pに関連する0次成分と音響粒子速度uに関連する1次成分が含まれるが、上記のように定められた周波数範囲では、誤差を生じる他の成分は、ほとんど除外できると解される。
なお、理想的な単一指向性マイクロホンでは、両者の寄与は周波数によらずに等しく、理想状態での振幅は共に0.5であるが、高次成分の振幅がほぼ無視できる領域であれば必ずしも0.5でなくても構わず、周波数依存性があっても補正が可能であるため問題はない。
(ステップS4)
次に、本発明の実施の形態に係る校正情報算出システムXの校正情報算出部13及び/又は制御部14は、マイクロホンの選別を行う。従来のマイクロホンは、感度や自己ノイズ、周波数応答関数のバラツキで選別を行うことが通常であったが、本発明の実施の形態を用いて、指向特性の観点からも選別が可能となる。すなわち、複数の指向性マイクロホン2のうちy方向(三次元の場合はz方向も考慮)の音響粒子速度uに関連した成分の振幅が顕著に大きいものは、音響軸が曲がっている可能性が高い。このような指向性マイクロホン2は測定結果に大きく誤差を生じ、校正が困難であることから測定に用いることは好ましくないため除外する。
このような条件から選別された指向性マイクロホン2は、自己ノイズ、歪み、周波数応答特性等に問題がなければ、音響計測に適したものとして使用することが可能である。そして、音響測定センサー1及び/又は選別された指向性マイクロホン2の指向性に対して適宜平均処理等を行い、0次、1次成分の周波数応答特性を決定することができる。
音圧p、音響粒子速度uの算出方法は、指向性マイクロホン2の配置によって異なる。例えば、2つの単一指向性マイクロホンを反対向きに対向させる場合、式14及び式15の形で正確な音圧及び粒子速度に校正する。式14中のCdir,p(ω)、式15中のCdir,u(ω)がそれぞれ、指向性のフーリエ展開結果から得られた音圧、音響粒子速度を校正するための係数であり、校正処理部130で使用すべきものである。
Figure 0005453009
Figure 0005453009
なお、上の例では、二次元平面上(XY平面上)でセンサーの指向性を測定する場合の定式化を示したが、この手法は三次元空間(XYZ空間)でセンサーの指向性を測定する場合も、同様の形で定式化が可能である。
そして、本発明の実施の形態に係る音響測定システムYの校正処理部130及び/又は制御部140は、校正情報算出システムXで得られたCdir,p(ω),Cdir,u(ω)を、指向性を有する音響測定センサー1で取得した出力信号の校正処理に適用して、正確な音圧p及び音響粒子速度uを得る。音圧p及び音響粒子速度uが求まれば、音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、音響運動エネルギー等の二次量も計算して実際の測定における校正の適用を行う(非特許文献: Frank J. Fahy, “SOUND INTENSITY” E & FN SPON, 1989参照)。なお、これらの二次量の値は、当業者が用いることができる任意の方法を用いて算出することができる。
以下の実施例により、本願発明をさらに説明する。しかし、本実施例により、本願発明が、限定的に解釈されるものではない。
図9は、本発明の実施の形態における校正処理を行った複数の同一モデルのマイクロホンにおける指向周波数特性を示す。例として3つの同一モデルのマイクロホンの一次元展開の例を示している。縦軸は振幅(Amplitude)を示し、横軸は周波数(Frequency[Hz])を示す。
図9では、直流成分の係数である音圧p(cos 0th)に関連した成分、cosθの係数であるx軸方向音響粒子速度u(cos 1st)に関連した成分、高次の成分のエネルギー和(cos higher order)、sinθの係数であるy方向音響粒子速度uに関連した成分(sin 1st)を周波数特性として示している。
このように同一モデルのマイクロホンでは、指向周波数特性はほぼ同等になる。したがって、複数のマイクロホンの指向性を測定し、適宜平均処理等を行い、その機種を代表する0次、1次成分の周波数応答特性を決定することができる。また、図9の各図より、1000Hz以上の高周波数帯域では、誤差を生じる高次成分が含まれることが示されるため(各cos higher order参照)、これらの帯域を除外するように測定に用いる周波数範囲を設定することができる。
このように本発明を用いることにより、指向性マイクロホンの指向特性を理想的な単一指向性に近づくように校正を行うことができ、さらに高次の誤差成分が顕著に大きい周波数帯域を省くことが出来るので、音響測定センサーの測定値を正確な値に校正することができる。
騒音等の測定に用いられる音響測定センサーには、電話や音声録音を目的とした音響測定センサーに比べて、高い信頼性、対候性等と共に、測定される音圧もしくは音響粒子速度に高い精度が求められる。しかし、これまでに多くのセンサーが考案され利用されてきたが、いずれもコストが高く、広く利用されるには至っていなかったが、本発明の校正処理を用いることによって、安価で広く利用されることが期待される。
また、特許文献1に係る手法は、マイクロホンの指向性が理想的な単一指向性であることを前提としている。しかし、この指向特性は理想的な単一指向性となることはほとんどなく、さらに指向特性も周波数に依存しているという困難性を有しているが、本発明を用いることによって解決することができる。すなわち、本発明の校正処理によって、指向特性を周波数毎に理想的な単一指向性に校正することができ、さらに誤差の生じやすい周波数帯域を除外することによって校正された正確な音響測定値を提供することができる。
なお、上記実施の形態の構成、解析及び測定は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
また、上記実施の形態の構成、解析及び測定で示した処理工程は、当業者にとって実際の処理の一部または全部を行い、若しくはその処理工程・ステップの順番を変更しても、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
1 音響測定センサー
2 指向性マイクロホン
5、50 ネットワーク
10、100 サーバー
11、110 入力部
12、120 記憶部
13 校正情報算出部
130 校正処理部
14、140 制御部
15、150 出力部
X 校正情報算出システム
Y 音響測定システム

Claims (10)

  1. 音響測定方法であって、
    指向性マイクロホンによって複数の音波入射角度で測定した出力信号から指向特性計算を行う工程と、
    該指向特性計算の結果を用いてフーリエ級数展開計算を行う工程と、
    該フーリエ級数展開計算の結果を用いて特定の周波数帯域制限を行う工程と、
    前記フーリエ級数展開計算の結果を用いて音圧及び/又は音響粒子速度を校正するための補正係数を算出する工程を備え、
    前記指向特性計算を行う工程において、複数の周波数成分を同時に測定できる手法により得られた出力信号から、特定の周波数に着目した複素音圧指向特性を計算し、
    前記フーリエ級数展開計算を行う工程において、前記周波数成分毎の前記複素音圧指向特性のフーリエ級数展開計算を行い、
    前記周波数帯域制限を行う工程において、前記フーリエ級数展開計算の結果、高次のフーリエ係数成分が所定の閾値より大きい周波数帯域を用いないように除外し、
    複数の指向性マイクロホンで構成される音響測定センサーの出力信号を、前記補正係数により校正処理して音圧及び/又は音響粒子速度を計算する
    ことを特徴とする音響測定方法。
  2. 測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホン選別を行う工程をさらに備え
    該測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホンの選別を行う工程において、前記フーリエ級数展開計算の結果、前記フーリエ係数成分のうち音響粒子速度に関連した成分のうち、所定方向の振幅が所定の閾値より大きい前記指向性マイクロホンを測定に用いないよう除外する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響測定方法。
  3. 前記指向性マイクロホンは、単一指向性マイクロホンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響測定方法。
  4. 前記指向性マイクロホンを2式対向させる場合には、音圧は下記の式14を用いて及び/又は音響粒子速度は下記の式15を用いて校正処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の音響測定方法。
    Figure 0005453009
    Figure 0005453009
  5. 前記校正処理された音圧及び/又は音響粒子速度を用いて音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、又は音響運動エネルギーを含む二次量を計算することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の音響測定方法。
  6. 音響測定システムであって、
    指向性マイクロホンによって複数点の音波入射角度で測定した出力信号から指向特性計算を行う手段と、
    該指向特性計算の結果を用いてフーリエ級数展開計算を行う手段と、
    該フーリエ級数展開計算の結果を用いて特定の周波数帯域制限を行う手段と、
    前記フーリエ級数展開計算の結果を用いて音圧及び/又は音響粒子速度を校正するための補正係数を算出する手段と、
    前記指向性マイクロホン選別を行う手段とを備えて、
    前記指向特性計算を行う手段は、複数の周波数成分を同時に測定できる手法により得られた出力信号から、特定の周波数に着目した複素音圧指向特性を計算し、
    前記フーリエ級数展開計算を行う手段は、前記周波数成分毎の前記複素音圧指向特性のフーリエ級数展開計算を行い、
    前記周波数帯域制限を行う手段は、前記フーリエ級数展開計算の結果、高次のフーリエ係数成分が所定の閾値より大きい周波数帯域を用いないように除外し、
    複数の指向性マイクロホンで構成される音響測定センサーの出力信号を、前記補正係数により校正処理して音圧及び/又は音響粒子速度を計算する
    ことを特徴とする音響測定システム。
  7. 測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホン選別を行う手段をさらに備え
    該測定された指向特性に基づいて前記指向性マイクロホンの選別を行う手段は、前記フーリエ級数展開計算の結果、前記フーリエ係数成分のうち音響粒子速度に関連した成分のうち、所定方向の振幅が所定の閾値より大きい前記指向性マイクロホンを測定に用いないよう除外する
    ことを特徴とする請求項6に記載の音響測定システム。
  8. 前記指向性マイクロホンは、単一指向性マイクロホンであることを特徴とする請求項6又は7に記載の音響測定システム。
  9. 前記指向性マイクロホンを2式対向させる場合には、音圧は下記の式14を用いて及び/又は音響粒子速度は下記の式15を用いて校正処理を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の音響測定システム。
    Figure 0005453009
    Figure 0005453009
  10. 前記校正処理された音圧及び/又は音響粒子速度を用いて音響インテンシティ、音響インピーダンス、音響エネルギー密度、音響ポテンシャルエネルギー、又は音響運動エネルギーを含む二次量を計算することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の音響測定システム。
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