JP5452975B2 - 内服用虫よけ剤 - Google Patents
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Description
蚊以外にも、ノミ、ハエ、ダニ、シラミ等によって媒介される病気も数多くある。また、健康には直接影響しないが、繊維ケラチンを食べることで衣服に被害与えるものも我々にとっては深刻な害虫である。
さらに、この技術は、適用する面積が広いため塗布すること自体が面倒であることや、顔面への使用はできないこと等の欠点があった。
その結果、驚くべきことに、同じ非芳香族モノテルペン化合物であっても、リモネン、シトラール及びシトロネルアセトアルデヒドは経口投与により虫よけ効果が発現するが、ゲラニオールには該効果が期待できないことを見出した。特に、シトラール及びシトロネルアセトアルデヒドには、微量の経口投与で優れた効果が発現することを見出し、本発明を完成させるに至った。
(2)シトラールのみを有効成分とし、1回あたり0.1〜0.5mg/Kg、好ましくは0.5mg/Kgの有効成分量で服用されること、を特徴とする内服用虫よけ剤。
(3)シトロネルアセトアルデヒドのみを有効成分とし、1回あたり0.1〜0.5mg/Kg、好ましくは0.5mg/Kgの有効成分量で服用されること、を特徴とする内服用虫よけ剤。
(5)ヒト用、ペット(イヌ、ネコ、ウサギ、その他哺乳類、鳥類、爬虫類等であって愛玩を目的としてヒトに飼われている動物)用、家畜(ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ウマ等のヒトが利用する目的で飼われている動物)用のいずれかであること、を特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の内服用虫よけ剤。
(7)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の内服用虫よけ剤を添加剤として使用し、虫の誘引作用を有する成分及び/又は有効成分の虫よけ作用を阻害、相殺する成分(例えば、シトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、ネロール、ゲラニオールなど)を含有しないこと、を特徴とするサプリメント(虫除け用の飲食用の経口投与剤)又は飲食品(虫除け用のヒト飲食品(ドリンク剤を含む)、ペットフード、家畜飼料、その他動物用飲食品、これらの飲食品用の添加剤)。
(8)喫食時までに有効成分が香料の機能を発揮していないこと(消化器官に到達するまで香気が揮発していない状態)、を特徴とする(7)に記載のサプリメント又は飲食品。
(9)有効成分がマイクロカプセル化又は包接化され、あるいは他の香料成分により香気が阻害され、喫食時までに有効成分が香料の機能を発揮していないこと、を特徴とする請求項8に記載のサプリメント又は飲食品。
(11)シトロネルアセトアルデヒドを有効成分として30〜100ppm、好ましくは50ppm添加し、虫の誘引作用を有する成分及び/又は有効成分の虫よけ作用を阻害、相殺する成分(例えば、シトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、ネロール、ゲラニオールなど)を含有させないこと、を特徴とする虫よけ飲食品の製造方法。
(A)(7)〜(9)のいずれか1つに記載の虫よけ飲食品を投与し;
(B)衣服着用中に体表面からの自然発汗又は自然蒸散した汗を衣服に吸着させた後;
(C)当該衣服を着用して虫よけするか、あるいは、当該衣服を保管して衣服自体を繊維害虫から保護する。
(13)シトラール、シトロネルアセトアルデヒド及びリモネンから選ばれる少なくともひとつからなる非芳香族モノテルペン化合物を有効成分とすること、を特徴とする蚊の降着忌避剤及び/又は吸血忌避剤。
本発明によれば、蚊取り線香、蚊取り器、虫よけスプレー等の器具の必要もなければ、器具を使用する手間も必要でなく、安全な虫よけ剤を経口摂取するという簡単な方法で虫よけが達成できるという著効が奏される。
本発明において、リモネン、シトラール及びシトロネルアセトアルデヒドの使用量は、例えば、食品添加物公定書等に記載された経口摂取の安全量の範囲内である。
また、本発明に係るリモネン等内服用虫よけ剤は、ヒトを対象動物とするだけでなく、イヌ、ネコ、ウサギ、その他哺乳類、鳥類、爬虫類等の愛玩を目的としてヒトに飼われている動物(ペット)や、ウシ、ブタ、ニワトリ、ヒツジ、ヤギ、ウマ等のヒトが利用する目的で飼われている動物(家畜)などにも効果を発現する。対象動物は、発汗する動物のみに限定されるものではなく、イヌやマウスなど発汗しない動物にも適用することができ、また、体毛の有無も問わない。
天然香料・精油等には、リモネンやシトラールなどを含有しているものがあるが、同時にシトロネロール等の他の香料成分も含まれる。よって、このような構成では、有効成分の虫よけ効果が阻害、相殺等されてしまうため好ましくない。本発明に係るサプリメント又は飲食品は、虫の誘引作用を有する香料成分及び/又は有効成分の虫よけ作用を阻害、相殺する成分を含有しないため、顕著な虫よけ効果を奏し、かつ、本発明の化合物を用いたサプリメント又は飲食品は、天然香料・精油等、及びこれらを使用したサプリメント及び飲食品と明確に区別できるものである。
例えば、本発明の組成物の剤形が錠剤の場合、賦形剤としては本発明実施例記載のものを、結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール等を、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等を使用することができる。
例えば、本発明の化合物を他の食品ないし食品成分と併用したりして適宜常法にしたがって製造することができる。その剤形は適宜選択すればよいが、固体状(粉末状、顆粒状等)、ペースト状、液状、懸濁液状ないし乳化液状のいずれでもよく、例えば、甘味料、酸味料、ビタミン剤等ドリンク剤製造に常用される各種成分を用いて虫よけドリンクに製剤化してもよい。なお、その際には、上述の虫の誘引作用を有する香料成分及び/又は有効成分の虫よけ作用を阻害及び/又は相殺する成分を含有させないことが重要である。また、医薬品組成物ないしサプリメントの剤形に製剤化したものを飲食品組成物として使用しても何らさしつかえはない。なお、シトロネルアセトアルデヒドを有効成分として配合した虫よけ飲食品の製造に際しては、当該成分の配合量を30〜100ppm、好適には30〜50ppmとするのが好ましい。
(1)成分
本錠剤の成分を下記表1に示す。
1錠中 (mg) (mg)
――――――――――――――――――――――――――――――
リモネン、又は、シトラール 30 −
シトロネルアセトアルデヒド − 20
タルク 30 30
ステアリン酸マグネシウム 10 10
ヒドロキシプロピルセルロース 5 5
結晶セルロース 250 250
トウモロコシ澱粉 150 150
乳糖 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製造する。
(1)成分
本顆粒剤の成分を下記表2に示す。
1包中 (mg) (mg)
――――――――――――――――――――――――――――――
リモネン、又は、シトラール 30 −
シトロネルアセトアルデヒド − 20
トウモロコシ澱粉 350 350
ヒドロキシプロピルセルロース 50 50
乳糖 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製造する。
(1)成分
本カプセル剤の成分を下記表3に示す。
1〜2カプセル中 (mg) (mg)
――――――――――――――――――――――――――――――
リモネン、又は、シトラール 30 −
シトロネルアセトアルデヒド − 20
トウモロコシ澱粉 350 350
ヒドロキシプロピルセルロース 50 50
乳糖 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製造した後、カプセルに充てんして硬カプセル剤を製造する。
(1)成分
本液剤の成分を下記表4に示す。
100mL中 (mg) (mg)
――――――――――――――――――――――――――――――
リモネン、又は、シトラール 30 −
シトロネルアセトアルデヒド − 20
安息香酸ナトリウム 70 70
ポリビニルアルコール 60 60
白糖 900 900
精製水 残部 残部
――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「液剤」の項に準じて液剤を製造する。
以下に、被験物質についての、防虫効果試験を示す。
リナロール、シトロネラール、リモネン及びゲラニオールはシグマ−アルドリッチ社製のものを購入して使用した。被験物質は、これらを各7.5μgずつ等量含むアロマミックスを作製して投与した。投与液量はいずれの場合も0.2mL/Kgとなるようにした。
BALB/c雄性マウスの6週齢を日本チャールズリバー(株)から購入し、温度20〜26℃、湿度30〜70%、照明時間7時〜19時に制御されたラット飼育室内でラット用ブラケットテーパーケージに5匹ずつ入れ、飼料(マウス・ラット飼育用F−2、船橋農場製)および水フイルターを通した水道水を自由に摂取させて約1週間予備飼育した。試験開始日に肉眼で動物の健康状態を観察し良好なことを確認して体重を測定し無作為に1群5匹に群分けして用いた。
本結果をもとに本発明者らは、動物に防虫成分を経口投与して尿中に当該成分が代謝されずに排泄されるならば、防虫効果を有する体臭が実現できることに気付いた。
更に、本発明者らは、防虫・虫よけ効果のある物質を経口摂取して、ヒト体表面から当該物質が代謝されずに放出されるならば、人体にとって無害な経口防虫剤が実現できることに気付いた。
SPMEファイバー:スペルコ社 DVB/Carboxen/PDMS
分析装置:Hewlett Packard 5890(Restek Stabilwax column 装着)
分析条件:キャリアガス:ヘリウム; 流速:2.4ml/min; 気化室温度:230℃;
カラム温度:40℃で5分、その後、毎分5℃ずつ240℃まで上昇
得られた結果を図1に示す。なお、値は1群5匹の平均値である。
図1より、リモネン、シトロネラール及びリナロールの摂取で防虫効果を有する体臭が実現できると認められた。しかし、同じ非芳香族モノテルペン化合物であっても、ゲラニオールの摂取では防虫効果を有する体臭が実現できるとは認められなかった。
(1)被験物質
リモネン、シトロネルアセトアルデヒド、シトラール、リナロール及びシトロネラールはシグマ−アルドリッチ社製のものを購入して使用した。これらの原液を精製水で50ppm、500ppm及び5000ppmの濃度に希釈したものを被験物質として使用した。投与液量はいずれの場合も0.2mL/被験動物となるようにした。
吸血害虫として未吸血の雌蚊(ヒトスジシマカ)成虫を用い、被吸血動物としては皮膚が露出している動物(ヘアレスマウス雄性)を用いた。
被験薬経口投与1時間後のヘアレスマウスを、ヒトスジシマカ未吸血雌成虫20匹が入った、ナイロンゴーズ袖付き透明アクリル製容器(300mm×300mm×300mm)に入れ、吸血飛来してマウスにとまった蚊の数を30秒ごとに5分間測定した[のべ降着数(被験薬投与)]。また、5分間に実際に吸血した蚊の数[のべ吸血数(被験薬投与)]を測定した。
なお、被験薬の効果比較のために被験薬を投与していない場合の[のべ降着数(非投与)]と実際の[のべ吸血数(非投与)]は被験薬ごとに測定した。
試験は24.2±1℃、55±3%RH(Relative Humidity:相対湿度)の条件下で行った。降着忌避率および吸血忌避率は以下の式で算出した。
吸血忌避率(%)=[1−のべ吸血数(被験薬投与)/のべ吸血数(非投与)]×100
各被験薬の降着忌避率および吸血忌避率を表5及び表6に示す。数値は3回行った試験結果の平均値である。
表5より、シトラール及びリモネンはどの投与量(濃度)においても、蚊の延べ降着数、吸血数ともに忌避効果が認められ、特に、シトラールには優れた虫よけ作用が発現した。また、シトラール及びシトロネルアセトアルデヒドについては負の用量依存性が認められ、低用量であるほど優れた防虫効果を発現していることが認められた。一方、表6より、リナロール及びシトロネラールについては正の用量依存性が認められ、低用量(例えば、0.5mg/Kg程度)では逆に虫の誘引作用が認められた。
被験物質 濃度ppm 降着忌避率% 吸血忌避率%
―――――――――――――――――――――――――――――――
50 25.4 25.4
リモネン 500 25.9 20.1
5000 20.4 20.6
―――――――――――――――――――――――――――――――
シトロネル 50 40.2 71.0
アセト 500 −36.7 −1.3
アルデヒド 5000 −65.1 −32.8
―――――――――――――――――――――――――――――――
50 73.5 82.1
シトラール 500 61.0 69.6
5000 41.5 22.6
―――――――――――――――――――――――――――――――
被験物質 濃度ppm 降着忌避率% 吸血忌避率%
―――――――――――――――――――――――――――――――
50 −39.0 −9.4
リナロール 500 34.8 42.4
5000 20.6 35.7
―――――――――――――――――――――――――――――――
50 −20.8 6.3
シトロネラール 500 6.2 14.9
5000 28.9 31.6
―――――――――――――――――――――――――――――――
Claims (7)
- シトラールのみを有効成分とし、1回あたり0.1〜0.5mg/Kgの有効成分量で服用されること、を特徴とする内服用虫よけ医薬剤。
- 対象害虫が、蚊、ハエ、ブヨ、アブ、ノミ、ダニ、シラミ、ゴキブリ、蛾、繊維害虫、カメムシ、アリ、蜂から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1に記載の内服用虫よけ医薬剤。
- ヒト用、ペット用、家畜用のいずれかであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の内服用虫よけ医薬剤。
- シトラールのみを有効成分とし、1回あたり0.1〜0.5mg/Kgの有効成分量で摂取され、消化器官に到達するまでシトラールの香気が揮発していないこと、を特徴とする内服用虫よけ剤。
- 対象害虫が、蚊、ハエ、ブヨ、アブ、ノミ、ダニ、シラミ、ゴキブリ、蛾、繊維害虫、カメムシ、アリ、蜂から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項4に記載の内服用虫よけ剤。
- ヒト用、ペット用、家畜用のいずれかであること、を特徴とする請求項4又は5に記載の内服用虫よけ剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤を服用又は摂取させること、を特徴とするヒトを除く動物の虫よけ方法。
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