JP5452849B2 - 少なくとも1つのゲッターを備えた密閉超小型部品 - Google Patents

少なくとも1つのゲッターを備えた密閉超小型部品 Download PDF

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Description

本発明は、カバーによって画定された封止空洞を備える密閉超小型部品に関し、この空洞には、空洞内に配置することができる、ガスを捕捉することを意図した少なくとも1つのゲッター(ガス収集器とも呼ばれる)が備えられる。
MEMSとして知られる微小電子機械システムの密閉化は、現在ではその開発の必須の部分になっている。他の電子超小型部品、光学超小型部品、および光学電子超小型部品もまた、この密閉化に関係し得る。以下では超小型部品(マイクロコンポーネント)という用語を用いており、この場合これは、微小システム、あるいは電子超小型部品、光学超小型部品、または光学電子超小型部品を包含する。集積回路は、電子超小型部品、光学超小型部品、または光学電子超小型部品のカテゴリに含まれる。
ガスが存在すると動作に悪影響を及ぼす可能性があるので、ますます数多くのこれらの超小型部品が真空または減圧状態で動作するようになっている。これは特に、可動部分を有する超小型部品について言える。その動作の品質は、圧力、残留ガスまたは放出ガスに関してだけでなく、寿命に関しても、密閉時に得られる真空の制御と関連する。
個別素子の形で、またはフィルムの形でゲッターが、超小型部品の近くに設置されなければならず、空洞内に存在する様々な部品が放出する残留ガスと、長期にわたるとカバーを通り抜けることがある分子とを吸収することによって、ゲッターが空洞内の圧力の低減または安定化に寄与する。
現在、この分野には様々なタイプの解決策がある。
超小型部品は、金属ケースまたはセラミックケース内に密閉することができ、このケースは、超小型部品に近接する環境において個別ゲッターを収容するのに十分な大きさである。使用可能な個別ゲッターは、数百平方マイクロメートルの表面積、および数十または数百マイクロメートルもの厚さを有する。真空は、ベース部分にカバーが封止されるときに、またはこの目的のために設けられたチップの補助によって作り出される。その場合ケースは、それが収容する超小型部品よりもずっと大きい。この解決策は、現在ますます望まれている小型化と両立しない。加えて、空洞内にゲッターを取り付けるとき、およびそれを熱的に活性(アクティブ)化させるときに行き当たる諸問題を考慮に入れる必要がある。ゲッターは、超小型部品が完成するよりもかなり前に所定の位置に置かれ、密閉超小型部品が完成するときには部分的に飽和しているおそれがある。また、微粒子の放出のおそれもあり、この微粒子は、生産プロセス中に吸収され、後で超小型部品の寿命の間に放出される。
これらの微粒子は微細であるが、超小型部品の動作に悪影響を及ぼす可能性がある。
加えて、このような構造は、ウェハレベルパッケージングとして知られるウェハレベルでの密閉化プロセスと両立しない。これらのプロセスは、同一の半導体材料ウェハ上に製作されたすべての超小型部品の一括密閉化を実施することからなる。これらのプロセスは、部品をさらに小型化し、また製造コストを著しく低減させることを可能にするので、ますます多く使用されている。
また、超小型部品を支持する基板上に、アノード封止や共晶溶接などによってカバーを設置することも提案されている。ゲッターは、個別素子または薄膜の形をとり、カバーによって画定された空洞内に設置される。大きいこと、飽和、およびガス放出という問題が依然として存在する。
国際公開第2004/006290号パンフレットでは、超小型部品を支持する基板上にカバーが直接設置されて、第1の空洞が形成される。ゲッターは、超小型部品が位置する面の反対側の面を基板内でくり抜いた第2の空洞内に配置される。その2つの空洞は、基板を貫通する少なくとも1つの管路を介して連通する。このような超小型部品の生産は時間がかかり、また複雑である。しかし、その大きさは、上述の構成と比べて低減される。
国際公開第2004/065289号パンフレットでは、ゲッターの材料を支持体上に堆積させ、この被覆された支持体をカバーで画定された空洞内に封止すること、またはカバーの内側をゲッターの材料で被覆することのいずれかが推奨されている。この構成の主な不都合は、カバー封止の段階でゲッターが飽和することであり、これを回避すべき場合にはゲッターが保護されなければならないことである。
薄膜を用いてのカバーの製作は、このタイプの超小型部品でより広く使用される技法である。この技法は、たとえば欧州特許出願第0525764号明細書、および欧州特許出願第1101730号明細書に記載されている。カバーによって画定された空洞は、超小型部品のアクティブ部分の周囲に数十または数百マイクロメートルの空間を、また超小型部品の上に数マイクロメートルまたは数十マイクロメートルの空間を残すのみである。その中に個別ゲッターを収容することは不可能である。
本発明は、ゲッターを備える密閉超小型部品の上述の不都合を克服するものである。
本発明の他の目的は、一括生産プロセスによってその全体を製作することができるゲッターを備えた密閉超小型部品を提案することである。
本発明の別の目的は、薄膜からそのカバーを作製することができるゲッターを備えた密閉超小型部品を提案することである。
本発明の別の目的は、超小型部品の完成前に飽和するおそれがなく、したがってこの飽和を回避するために保護する必要がない、あるいは最初の動作の前に活性化させる必要さえもないゲッターを備えた密閉超小型部品を提案することである。
本発明の別の目的は、カバーの補強物として働くゲッターを備えた密閉超小型部品を提案することである。
本発明は、これらの狙いを達成するために、封止空洞を画定するカバーを有する密閉超小型部品であり、このカバーは、空洞内に露出されるゲッター材料からなる部分を含むプラグが設けられた少なくとも1つの孔を備える。
このプラグはまた、ゲッター材料部分の上に載せられる少なくとも1つの封止部分を含むことも可能である。
ゲッター材料部分のゲッター材料は、実現可能な最善のガス吸収容量を有するように、コラム構造を有することが好ましい。
あるいは、カバーの封止を改善するために、ゲッター材料部分の材料は、第2の結晶化構造領域によって拡張された第1のコラム構造領域を有することが可能であり、そのコラム構造領域は、結晶化構造領域よりもカバーから遠くにある。
たとえば、チタン、バナジウム、ジルコニウム、バリウム、またはそれらの混合物からゲッター材料を選択することが可能である。
封止部分は、金、白金、クロム、アルミニウム、またはそれらの混合物から選択された金属材料、あるいは窒化シリコン、または酸化シリコンから選択された誘電体材料からなるものとすることができる。
プラグは、そのゲッター材料部分の基準面で基板と接触することができる。
カバーは、活性空洞を画定する部分と、活性空洞よりも薄い厚さのポンプチャネルを画定する部分とを含み、活性空洞はポンプチャネルと連通し、孔はポンプチャネルおよび/またはアクティブ部分に通じている。
別の構成では、カバーは、プラグが配置された上部壁を含む。
超小型部品のアクティブ部分は、空洞内に収容され、カバーが接触する基板によって支持される。ゲッター材料部分は、アクティブ部分内に設けられた穴を貫通することが可能である。
カバーが基板と接触するので、ゲッター材料の活性化用素子内の電極対の一方の電極を、プラグのゲッター材料部分と基板の間に挿入することができる。
ゲッター材料の活性化用素子の電極対の他方の電極は、カバーによって支持することができ、この他方の電極は、空洞内側、または空洞外側のどちらかで伸長し、孔の近くでゲッター材料と接触している。
ゲッター材料の活性化用素子の電極対の他方の電極は、封止部分として働くことができる。
本発明はまた、以下の各段階を含む、密閉超小型部品を生産する方法にも関する。
超小型部品のアクティブ部分を支持する基板を犠牲材料で覆う段階。この犠牲材料は、超小型部品カバーの型材として働く。
空洞を画定するカバーを形成するように、密閉材料を犠牲材料上に堆積させる段階。
密閉材料中に1つまたは複数の孔を開ける段階。
孔を通して犠牲材料を除去する段階。
ゲッター材料を、それが空洞内側に露出されて孔を全体的または部分的にふさぐように、カバー上に堆積させる段階。
ゲッター材料を真空蒸着によって、少なくともその開始時に温度がゲッター材料の融解温度の約0.2倍〜0.5倍である表面に堆積させて、ゲッター材料のコラム堆積構造を得ることができる。温度はケルビン度で表されている。
ゲッター材料をその後、同一の圧力のもとであるが、温度がゲッター材料の融解温度の約0.5倍よりも高い表面に堆積させて、ゲッター材料の結晶化堆積構造を得ることができる。
封止を改善するために、第1の封止層の堆積の段階、および任意選択で第1の封止層上への第2の封止層の堆積の段階を設けることが可能であり、この第1および第2の封止層は、ゲッター材料上に載せられる。
第1の封止層は、ゲッター材料の堆積とほぼ同じ圧力で堆積させることができる。
各孔の基準面にプラグのみを残し、したがって密閉超小型部品の体積を低減させ、また、たとえば光学部品の場合に、検出または放出されるべき光放射を遮断しないように、ゲッター材料ならびに、存在すれば、第1の封止層をエッチングする段階を設けることが可能である。
同様に、プラグを完全なものにするために、第2の封止層をエッチングする段階を設けることが可能である。
また、ゲッター材料の活性化用素子の、各孔に対する電極を基板上に堆積させる段階を設けることも可能であり、この電極は、孔の反対側に位置してゲッター材料と電気的に接触することを意図した端部を有する。
次いで、ゲッター材料の活性化用素子の別の電極を犠牲材料の上、または密閉材料の上のどちらかに堆積させる段階があり、この別電極は、孔の近くでゲッター材料と接触しなければならない。
超小型部品の寿命の間中にゲッター材料によって吸収されるべきガスの量を限定するために、犠牲材料を除去する段階の後で、かつゲッター材料を堆積させる段階の前にガス抜き段階を含めることが可能である。
本発明は、全く非限定的な説明を目的として提供する実施形態の例についての説明を添付の図面を参照して読めば、よりよく理解することができよう。
様々な図の同一、類似、または同等な部分は、図の間で一貫性をもたせるために同じ参照数字を有する。
図に示される様々な部分は、図を見やすくするために必ずしも一定の尺度に従って示されていない。
ここで、本発明による密閉超小型部品の例を示す図1Aおよび図1Bを参照する。本発明による密閉超小型部品は、基板2によって支持されたアクティブ部分1、たとえばアクチュエータ、共振器、または他の電子部品、光学部品、光学電子部品、または機構部品を含む。カバー3は、アクティブ部分1を覆い、アクティブ部分1が収容される空洞4を画定している。カバー3は、基板2と接触している。薄膜技法によって製作されたこのカバー3は、カバー3の内側輪郭、すなわち空洞4を画定する働きをした犠牲材料(図示せず)の除去のために、少なくとも1つの孔5を備える。この孔5は、空洞4の内側に露出されるゲッター材料からなる少なくとも1つの部分6.1を有するプラグ6によってふさがれている。このプラグは、その想定される適用に関して孔5が十分に封止される場合には、全体がゲッター材料からなるものとすることができる。そうでない場合には、図4Cに示すように、少なくとも1つの封止部分7をプラグに付加することができる。
この構成はまた、ゲッター材料を堆積させるときの空洞4内の圧力が、超小型部品の動作中に必要な圧力と比べて十分には低くない場合にも使用される。ゲッター材料部分6.1は、孔を完全にはふさがず、空洞4内部の圧力が必要な値に達したときに、プラグ6を完全なものにする封止部分7で封止される方法によって孔5がふさがれる。
ゲッター材料は、たとえばチタン、バナジウム、ジルコニウム、バリウム、またはそれらの混合物から選択することができる。ゲッター材料の選択は、温度制約、捕捉されるべきガスの種類、および必要なポンプ容量に従って行われる。
封止部分7は、たとえば金、白金、クロム、アルミニウム、さらには窒化シリコンまたは酸化シリコンもベースとすることができる。
プラグ6のゲッター材料部分6.1は、その厚さが十分であれば十分に封止される。
後で説明するように、ゲッター材料の構造をプラグの製作中に変更することによって、所望の封止を実現することが可能である。
超小型部品の動作中に、圧力Pで体積Vの空洞4内に現れる可能性があるすべての不純物をゲッター材料が吸収できるように、使用されるべきゲッター材料の量が計算される。この量は、ゲッター材料の表面積Sによって定義され、表面積Sは空洞4の内部に位置し、次式で表される。
S=(P×V)/(a×C)
ただし、aはゲッター材料の活性化レベル、Cはゲッター材料のポンプ容量で単位がPa/cm3/cm-2である。チタンの理論上のポンプ容量は非常に高く、5.2×104Pa/cm3/mg-1であり、これは1マイクロメートルの厚さでは2.7×104Pa/cm3/mg-1になる。
この式を、体積が200×200×4立法マイクロメートル、圧力が6.7×10-1Paの空洞4に適用する。使用されるチタンの実際のポンプ容量は1.34×102Pa/cm3/cm-2であり、その活性化レベルは50%であると考えられる。必要なポンプ容量を有するための、空洞4の内側と接触するゲッター材料の実際の表面積は、次式になる。
S=[6.7×10-1×(200×10-4)2×4×10-4]/0.5×133.3
S=1.6×10-7cm2
この表面積の値は、たとえば、直径が2マイクロメートルの円形断面で、空洞4内の使用可能表面の高さが1マイクロメートルである6つの円筒プラグによって得ることができる。このようなプラグ6は、図3に示されている。これらは全体が、コラム構造を有するゲッター材料からなるものとする。
所与の量のゲッター材料に対して、カバー3を脆弱にするおそれがある単一のプラグではなく、ゲッター材料を分散させる複数のプラグ6が好ましい。
ゲッター材料によってふさがれるべき孔5は、必ずしも円形ではない。それらは1よりも大きい長さと幅の比を有し、図2Aに示される長円形または四辺形とすることができる。それらの形状およびサイズを選択するときに必要なのは、孔がカバーを脆弱にしないこと、および孔が適切にふさがれることの確認だけである。
図1Aでは、カバー3は、基板2上に一辺が210マイクロメートルの正方形のグリップを有するものとしている。このグリップは、活性空洞40.1を画定する中央部分3.1によって形成され、活性空洞には、超小型部品のアクティブ部分1と、ポンプチャネル40.2を画定する周辺部分3.2とが配置されている。中央部分3.1は、各辺が200マイクロメートルの正方形とすることができる。活性空洞40.1とポンプチャネル40.2は連通している。
活性空洞40.1の高さは、ポンプチャネル40.2の高さよりも大きい。図1Aおよび図1Bの例では、中央部分の高さは4マイクロメートル、周辺部分の高さは1マイクロメートルとする。
孔5は、周辺部分3.2に分布している。周辺部分の4つの辺上に、直径が2マイクロメートルの51個の孔5がほぼ規則正しく分布しているとする。このように分布した孔5は、各辺が204マイクロメートルの正方形を画定する。したがって、全部で204の孔がある。丸孔は、4マイクロメートル刻みになっている。孔が図3に示すようにチタンプラグによってふさがれている場合には、ポンプ容量は4.2×10-4Pa/cm3/cm-2になる。このポンプ容量は、ガス抜きによる圧力の上昇と、超小型部品を構成する材料を介してのガスの通過による圧力の上昇とを、超小型部品の全寿命にわたって容易に補償することができる。あるいは、同じポンプ表面積を有する、図2Aのような長円形または四辺形の孔を使用することも可能である。
プラグ6のゲッター材料部分6.1は、記載した組立品に用いられる堆積プロセスにより、基板2と接触する。実際のところは、それが基板と接触している必要はない。
図2で、カバーは、単一部分だけを含み、これは、アクティブ部分1が位置する空洞4を上部壁4.1および側壁4.2によって画定する。孔5を上部壁4.1の周辺に限定する必要はない。孔5は、アクティブ部分1の上の、上部壁4.1の中央部分に配置することができる。この構成では、図1Aおよび図1Bに示されたものと比べて、基板上に空間を確保することが可能になる。上部壁4.1全体を、孔5に利用することができる。プラグ6のゲッター材料部分6.1が基板2と接触する限り、超小型部品のアクティブ部分1にはレジストが各プラグ6に対して設けられ、このレジストを貫通してプラグ6が基板2に達することができる。次いでプラグ6は、その基部が基板2と接触する柱を形成する。この構成は、たとえばその上部壁が少なくとも300マイクロメートル×300マイクロメートル程度である大きなカバー3に、特に推奨される。このようなプラグ6は、カバー3の機械的補強物として働き、超小型部品のアクティブ部分1の動作を決して妨げない。
カバー3を製作するとき、後で説明する一般に低圧蒸着による堆積の段階において孔5をふさぐことができるように、少なくとも局所的にこの孔5の基準面にカバー3の高さを合わせることが可能である。たとえば0.5マイクロメートル未満の高さは小さすぎ、数マイクロメートルを超える高さは大きすぎる。1マイクロメートル程度の値が、このタイプの材料、およびこの堆積プロセスには最適である。
この場合に、周辺部分および中央部分を備えるカバー3では、孔5が周辺部分上にも中央部分上にも分布すると考えることが可能である。
ゲッター材料の、後で説明する堆積プロセスは、孔がふさがれた直後にゲッター材料を活性化させることが不要であり得ることを意味する。しかし、超小型部品の寿命全体を通して、ゲッター材料部分が飽和表面を有するとき、すなわちその表面に捕捉されてきた不純物が捕捉現象の作用の継続を妨げることになるときに、活性化が必要になることがある。必要とされるのはゲッター材料を、捕捉された不純物が深く拡散し、再び表面を使用可能にするのに十分な高い温度まで加熱することだけである。ゲッター材料の活性表面は、そのポンプ機能を保持するために再生される。この再生は、電流をプラグ中に循環させることによって生成されるジュール効果で実現することができる。超小型部品のアクティブ部分を妨害し、さらには破壊するおそれがあるので、超小型部品を全体的に加熱しないことが好ましい。図4Aおよび図4Bは、プラグ6のゲッター材料の局所活性化用の素子を示す。
電極対9.1、9.2が設けられ、この電極対は、それを流れる電流の配給および回収のために各プラグ6と協働する。一方の電極9.1は基板2の上に延びる。この電極は、プラグ6の基部に達する端部を有し、かつプラグのゲッター材料部分6.1の基準面で基部と電気的に接触している。他方の電極9.2は、カバー3によって支持されている。電極9.2は、図4Cに示すように空洞4の内側に配置することができ、あるいは図4Bに示すように外側に配置することができる。図4Aに示すように、電極9.2は、部品のアクティブ部分1が光学部品の場合、それによって検出または放出されるべき光放射を、カバー3によって支持される電極9.2が妨害しないように配置される。
他方の電極9.2はまた、プラグ6の上部、および好ましくはそのゲッター材料部分6.1の上部に達する端部を有することもできる。電極9.2は、孔5の近くでゲッター材料と電気的に接触する。この代替手段はまた、封止部分7がある場合にも適する。対をなす2つの電極9.1および9.2は、互いが電気的に分離される。
電極9.1および9.2は、たとえば、金とクロムの合金、または金とチタンの合金を用いて作製することができ、クロムおよびチタンが金の付着性を確保する。
ゲッター材料が少なくとも部分的に上に堆積されて電気的接触を確保するように、電極9.2は、少なくとも部分的に孔5の基準面に配置される。
図4Bのように、電極9.2が空洞4の外側に位置し、それが、カバー3の孔5に最も近いプラグ6のゲッター材料部分6.1の表面を全面的に覆う場合には、この電極9.2の端部は、封止部分7として働くことができる。この場合には、電極9.2は、プラグ6のゲッター材料部分6.1を製作するために使用されるものと同じ真空チャンバで堆積される。
あるいは、図4Cに示されるように、空洞4内に露出されるゲッター材料の表面を過度に低減させないように、ゲッター材料と接触する電極9.1または9.2の表面ができるだけ小さくなることが可能である。孔5および/またはプラグ6の基部に最も近いゲッター材料部分5.1の表面は、対応する電極9.1または9.2と部分的にだけ接触することができる。したがって、この構造を用いると、ポンプ容量に関してゲッター材料の最大限の自由表面が保持される。
次に、本発明による密閉超小型部品を製造する方法の例を論じる。
超小型部品のアクティブ部分1を支持する基板2から始める(図5A)。この段階は、それが当業者にとっての問題を起こさず、想定される超小型部品のタイプによって決まるので、さらには説明しない。
各プラグのゲッター材料を活性化するための電極対を設ける場合には、各対の一方の電極9.1は、基板2上に堆積される。この電極9.1の一端は、プラグのゲッター材料部分が基板上で終わる場所、すなわち、後で作製される孔の反対側に配置される。他端は、カバーの外側からアクセス可能である。電極9.1および9.2は、前述のように金チタン合金、または金クロム合金からなるものとすることができる。電極9.1は、たとえば、陰極スパッタ、または真空蒸着によって堆積させることができる。
犠牲材料の1つまたは2つの層10.1および10.2が、基板2およびアクティブ部分1の上に堆積される。カバーが超小型部品のアクティブ部分の上の1つの空洞だけを画定し、超小型部品がゲッター材料の活性化用素子を有さないので、図5Bの例では1つの層10.2だけが堆積されたとしている。対照的に図5Cでは、2つの層10.1および10.2が堆積されており、第1の層10.1が、ポンプチャネルを画定するのを助け、第2の層が、超小型部品のアクティブ部分の上に活性空洞を画定するのを助けている。犠牲材料10は、たとえば感光性樹脂などのポリマー、たとえばJSR 社の品番JSR PFR420またはAZ4562タイプの感光性樹脂とすることができる。層10.1および10.2それぞれは、それらの堆積の後に約350℃の温度でアニールされる。このアニーリングは、以下で説明する画定の後に行われる。
層10.1および10.2それぞれは、堆積の後に、ポンプチャネルおよび活性空洞内側の輪郭上にフォトリソグラフィによって画定される。堆積層が1つだけある場合には、その画定は、空洞内側の輪郭で実施される。犠牲材料の第1の層10.1は、約0.2〜1マイクロメートルの厚さを有することができ、一方、第2の層10.2(または単一層)は、密閉超小型部品のアクティブ部分の上に、約4〜10マイクロメートルの厚さを有することができる。
電極対9.1、9.2がゲッター材料の活性化のために設けられ、その第2の電極9.2が空洞内部に配置されなければならない場合には、電極9.2は、犠牲材料10上にその画定の後で堆積されて、確実に電極対の第1の電極9.1と接触しないようにされる。図5Dは、第2電極9.2を示す。基板2の基準面の上で、それは第1電極9.1の上にあり、誘電体材料9.3によって電極9.1から分離されているとする。第2電極9.2は、空洞外部へアクセスできる端部を有する。第2電極9.2は、たとえば、陰極スパッタまたは真空蒸着によって堆積させることができる。
次いで、第2電極9.2は、空洞外側に堆積され、したがってその堆積は、カバーの製作の後に行われるものとする。この実施形態では、堆積は、真空蒸着によって実施されるのが好ましい。
したがって、カバー3は、このように画定された犠牲材料上に、密閉材料の1つまたは複数の層として堆積される。この堆積は共形堆積である。この段階は、図5Eに示されている。この図5Eは、活性部分4.2およびポンプチャネル4.1を備えて空洞4を画定するカバー3の製作を示す。カバーがポンプチャネルを有さない場合に関しては、不要な図を追加しないように、プロセスの残りを示さなかった。同じ段階が両方の場合に使用される。
密閉材料3は、酸化シリコンまたは窒化シリコンなど、誘電体材料が好ましい。多層堆積が行われる場合には、これら2つの材料を互い違いにすることが可能である。アモルファスシリコンなど、他の材料を想定することも可能である。
堆積は、たとえばプラズマ化学気相成長法(PECVD)、または低圧化学気相成長法(LPCVD)とすることができる。
カバー3を形成する密閉材料の厚さは、約1〜3マイクロメートルとすることができる。窒化シリコンSiNまたはSi3N4、あるいは酸化シリコンSiO2のカバーは、1〜3マイクロメートルの厚さを有することができる。酸化シリコンのカバーの典型的な厚さは、たとえば1.5マイクロメートルとすることができる。
次いで、密閉材料中に、1つまたは複数の孔5がエッチングされる(図5F)。記載した例では、孔5は、ポンプチャネルの基準面にエッチングされているが、もちろん、空洞のアクティブ部分の基準面の上で孔5をエッチングすることも可能である。エッチングは、たとえば、フッ化ガスCF4またはSF6を用いるドライプラズマエッチングとすることができる。
次いで、犠牲材料10は、孔5を通して除去される(図5G)。この除去は、有機残留物を除去するO2プラズマへの露出によって行うことができる。
次いで、空洞4の内部に存在する材料のガス抜きの段階に進むことができる。これは、真空状態での高温で行うことができる。たとえば、このガス抜きを200℃の温度で数時間実施することが可能である。この段階は必須ではないが、超小型部品の寿命全体を通して吸収されるべきガスの量を限定することを可能にする。
次いで各孔5は、ゲッター材料部分6.1から始まるプラグ6でふさがれる(図5H)。図5Hは部分的のみの図である。この、たとえばチタンの堆積は、たとえば5×10-4Pa程度の低圧蒸着によって行うことができる。この堆積技法が低圧蒸着によって実施されるので、吸収されるべきガスの量は、数千倍高いこともある圧力での真空封止技法によるものと比べれば、少なくなる。
ゲッター材料が堆積されるべき表面、すなわち空洞内側のカバー3および基板2は、Td/Tf比が約0.2〜0.5になるように、温度Td(ケルビン度)にされる。Tfは、ゲッター材料の融解温度を表し、たとえばチタンでは1941°Kである。このような堆積条件で、チタンはコラム構造の形に堆積される。このコラム構造は多孔質であり、層を成す様々な粒子間に多数の境界を有し、これは、吸収されるべきガスとの可能な大きい接触表面となり、したがって高いポンプ容量に寄与する。
実際には、粒状材料が得られ、その粒子は粒子境界で互いに固着される。材料は、その構造を堆積条件に負う。コラム構造は、最も好ましい状態に相当する。この場合、コラムの最大寸法は、堆積の方向と一致する。
当業者は、MovchanとDemchishinのモデルを使用してTd/Tf比を求めることができ、この比は、堆積される材料に適した、最大のゲッタ効果に対する最善の構造を与える。
ゲッタ効果は、少量の材料が堆積されるとすぐに示され、この材料は、アクティブ部分の近くの環境中に堆積され、それによって閉鎖の開始と同時に空洞内部のさらに低い圧力が確保される。ゲッター材料は、このタイプのプロセスを用いて、孔と反対側の基板上に堆積される。
ゲッター材料部分6.1の堆積は、前記部分が十分に厚い場合、空洞の気密封止を確実なものにすることができる。これは図2Bに示した構成であるとするので、再度示さない。
ゲッター材料が構造を変え、かつ再結晶するように、導入されるべきゲッター材料の堆積中に堆積条件を変更することが可能である。この段階もまた、図5Hに示されている。このとき、堆積物は封止されている。堆積条件の変更は、温度の変更とされてよい。温度は、約0.5よりも大きいTd/Tf比を有するように決めることができる。再結晶部分は参照数字6.2である。これは、プラグ6の封止部分を形成し、あるいは形成するのを助ける。この構成では、ゲッター材料部分は、結晶化構造領域によって拡張されたコラム構造領域を含む。
代替物または補完物としての封止材を得るために、同じ圧力を保持しながら金属を変更することが可能である(図5I)。たとえば約1マイクロメートルの厚さの金からなる封止層7.1をゲッター材料上に堆積させ、それによって封止部分を形成、あるいは形成するのを助けることがたとえば可能である。温度は、使用される新しい金属に適合させなければならない。この方法では、ゲッター材料は大気圧にさらされない。第1の封止層7.1はまた、第2の封止層7.2について以下に説明するように、誘電体とすることもできる。
プラグ6の輪郭を局所的に画定し、堆積材料を他の場所へ移動して、カバー3を露出させるために、従来のフォトリソグラフィの段階の中で堆積材料をエッチングすることが可能である。この段階は、部品が光学部品である場合に、部品が放出または検出しなければならない光放射が遮蔽されてはならないので、特に適している。また、プラグの輪郭をエッチングによって局所的に画定するほかに、堆積された材料を残しておくことを選択するのも可能である。この段階は任意選択である。封止層7.1は、ゲッター材料部分6.1の活性化用素子の、電極対の第2電極として働く。
密閉超小型部品の寿命が非常に長くなければならない場合には、空洞4の封止を改善するために、さらに第2の封止層7.2をプラグ6の上に、図5Kの段階にあるように設けることが有利となり得る。封止層7.1は、第1の封止層である。前記第2の封止層7.2は、図5Kに示されている。この第2封止層7.2は、金属または誘電体とすることができる。第1封止層または第2封止層の金属は、金、白金、クロム、アルミニウム、またはそれらの混合物から選択することができる。このリストは網羅的なものではない。第2封止層の誘電体は、SiO2、SiN、またはSi3N4から選択することができる。第2封止層7.2は、これらの材料から成る複数の層によって構成することができる。活性化電極がない場合には、この第2層は誘電体とすることができる。この第2封止層7.2は、画定の後にゲッター材料を空洞4の外側に、すなわち段差交差部の基準面に露出する、プラグ6の横方向領域6.4の基準面で特に、プラグの封止を補強する。上記と同様に、第2層7.2は、プラグ6の輪郭で局所的にエッチングし、他の場所へ移動させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を示し、詳細に説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正を加えることができることを理解されたい。説明した様々な代替実施形態は、必ずしも互いが排他的でないことを理解されたい。
本発明による超小型部品の第1の例の上面図である。 本発明による超小型部品の第1の例の断面図である。 本発明による超小型部品の別の例の上面図である。 本発明による超小型部品の別の例の断面図である。 本発明の超小型部品のカバーをふさぐことを意図した、ゲッター材料からなるプラグを示す図である。 本発明による超小型部品の別の例を示す図である。 本発明による超小型部品の別の例を示す図である。 本発明による超小型部品の別の例を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。 本発明による超小型部品を製造する方法の一段階を示す図である。
符号の説明
1 アクティブ部分
2 基板
3 カバー
3.1 中央部分
3.2 周辺部分
4 空洞
4.1 上部壁
4.2 側壁
40.1 活性空洞
40.2 ポンプチャネル
5 孔
6 プラグ
6.1 ゲッター材料部分
6.2 再結晶部分、結晶化構造領域
7 封止部分
7.1 第1の封止層
7.2 第2の封止層
9.1 電極
9.2 電極
9.3 誘電体材料
10 犠牲材料
10.1 犠牲材料層
10.2 犠牲材料層

Claims (10)

  1. プラグ(6)が設けられた少なくとも1つの孔(5)を備え封止空洞(4)を画定するカバーを有する密閉超小型部品であって、前記プラグが、前記封止空洞の内側に露出されるゲッター材料から成るゲッター材料部分(6.1)と、前記ゲッター材料部分(6.1)の上に載せられる少なくとも1つの封止部分(7)とを含み、
    前記ゲッター材料部分のゲッター材料が、コラム構造領域を有し、
    前記コラム構造領域が、多孔質であり、層を成す様々な粒子間に多数の境界を有し、
    晶化構造領域(6.2)が前記コラム構造領域の上に形成されていることを特徴とする、密閉超小型部品。
  2. 前記ゲッター材料が、チタン、バナジウム、ジルコニウム、バリウム、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の超小型部品。
  3. 前記封止部分(7)が、金、白金、クロム、アルミニウム、またはそれらの混合物から選択された金属材料、あるいは窒化シリコンまたは酸化シリコンから選択された誘電体材料からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の超小型部品。
  4. 前記カバー(3)が基板(2)と接触し、前記プラグ(6)が、そのゲッター材料部分(6.1)の基準面で前記基板(2)と接触することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の超小型部品。
  5. 前記カバー(3)が、アクティブ空洞(40.1)を画定する部分と、前記アクティブ空洞よりも薄い厚さのポンプチャネル(40.2)を画定する部分とを含むことを特徴とし、前記アクティブ空洞が前記ポンプチャネルと連通し、前記孔(5)が、前記ポンプチャネルおよび/または前記アクティブ空洞に通じている、請求項1から4のいずれか一項に記載の超小型部品。
  6. 前記カバー(3)が、前記プラグ(6)の位置する上部壁(4.1)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の超小型部品。
  7. 前記封止空洞(4)内に収容され、かつ前記カバー(3)が接触する基板(2)によって支持されたアクティブ部分(1)を含むことを特徴とし、前記ゲッター材料部分(6.1)が、前記アクティブ部分(1)内に設けられた穴(8)を貫通する、請求項1から6のいずれか一項に記載の超小型部品。
  8. 前記カバー(3)が基板(2)と接触し、前記ゲッター材料の活性化用素子内の電極対(9.1、9.2)の一方の電極(9.1)が、前記プラグ(6)の前記ゲッター材料部分(6.1)と前記基板(2)の間に挿入されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の超小型部品。
  9. 前記ゲッター材料の前記活性化用素子の前記電極対の他方の電極(9.2)が前記カバー(3)によって支持され、この他方の電極(9.2)が前記封止空洞の内側または前記封止空洞(4)の外側のどちらかで伸長し、孔(5)の近くでゲッター材料と接触していることを特徴とする、請求項8に記載の超小型部品。
  10. 前記ゲッター材料の前記活性化用素子の前記電極対の前記他方の電極(9.2)が、封止部分として働くことを特徴とする、請求項9に記載の超小型部品。
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