以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
以下の説明では、ダウンリンクにおけるマルチホップ通信を一例として説明する。
また、以下の説明では、ダウンリンク(Downlink)において、複数の中継装置(RN)間での通信のための第1の期間(以下、期間Aという)及び第2の期間(以下、期間Bという)と、複数の中継装置と端末との間での通信のための第3の期間(以下、期間Cという)とを含むサブフレーム(ダウンリンクサブフレーム、以下、DLサブフレームという)単位で、かつ、同一の周波数で、複数の中継装置が基地局と端末との間の通信を中継する無線通信システムについて説明する。
また、DLサブフレーム内の期間A及び期間Bでは、複数の中継装置において、隣接する2つの中継装置が互いに異なる期間(つまり、期間A及び期間Bのいずれか一方)でそれぞれ送信処理を行う。また、DLサブフレーム内の期間Cでは、複数の中継装置が、各中継装置に接続している端末への送信を同時に行う。
また、以下の説明では、図1と同様、隣接する2つの中継装置のうち、基地局(マクロセル基地局)と端末との間の信号(ダウンリンク信号)の伝達方向において、より上位に位置する中継装置を上位RNと呼び、より下位に位置する中継装置を下位RNと呼ぶ。例えば、基地局からの距離の順に複数の中継装置が多段に接続されている場合、隣接する2つの中継装置のうち、基地局(マクロセル基地局)により近い中継装置を上位RNとし、より遠い中継装置を下位RNとする。
また、以下の説明では、基地局(マクロセル基地局)と直接通信を行う中継装置、例えば、基地局に最も近い中継装置(最上位RN)のRN番号を1(奇数)とし、RN番号1の中継装置よりも下位の中継装置のRN番号を順に2,3,4,…とする。すなわち、基地局と端末との間の通信を中継する複数の中継装置のRN番号は、最上位RNから順に奇数と偶数とが交互に入れ替わる。なお、最上位RNのRN番号を偶数(例えばRN番号を0)とし、RN番号0の中継装置よりも下位の中継装置のRN番号を順に1,2,3,…としてもよい。以下、RN番号が奇数である中継装置を奇数RNと呼び、RN番号が偶数である中継装置を偶数RNと呼ぶ。
また、以下の説明では、奇数RNは、期間Aで、下位RN(つまり、偶数RN)への中継信号を送信し、偶数RNは、期間Bで、下位RN(つまり、奇数RN)への中継信号を送信する。換言すると、偶数RNは、期間Aで、上位RN(つまり、奇数RN)からの中継信号を受信し、奇数RNは、期間Bで、上位RN(つまり、偶数RN)からの中継信号を受信する。
本実施の形態に係る中継装置100の構成を図2に示す。
図2に示す中継装置100において、受信RF部102は、上位の装置(最上位RNの場合は基地局、最上位RN以外の中継装置の場合は上位RN)から送信された信号をアンテナ101を介して受信する。そして、受信RF部102は、受信した信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。そして、受信RF部102は、受信処理後の信号を第1メモリ103に出力する。なお、基地局又は上位RNから送信される中継信号には、中継装置100に接続された端末(中継装置100配下の端末)向けの中継信号(データ信号及び制御情報)又は中継装置100よりも下位の中継装置(下位RN)に接続された端末向けの中継信号(データ信号及び制御情報)、及び、既知信号(参照信号又はパイロット信号とも呼ばれる)等が含まれる。
第1メモリ103は、タイミング制御部109からの指示に従って、受信RF部102から入力される信号(上位の装置からの信号)、及び、後述する送信処理部106から入力される信号(中継装置100に接続された端末向けの中継信号又は下位RN向けの中継信号)を格納(書き込み)する。また、第1メモリ103は、タイミング制御部109からの指示に従って、格納している各信号を受信処理部104又は送信RF部107に出力(読み出し)する。
受信処理部104は、まず、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれる制御情報に対して復調及び復号を行う。ここで、制御情報のマッピング位置及びMCS(Modulation and Coding Scheme)は予め設定され既知であるとする。また、制御情報には、データ信号(中継装置100に接続された端末宛てのデータ又は下位RNに接続された端末宛てのデータ)のマッピング位置及びMCSが含まれている。そして、受信処理部104は、制御情報に含まれるマッピング位置及びMCSに基づいて、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれるデータ信号に対して復調及び復号を行う。そして、受信処理部104は、復号後の信号を第2メモリ105に出力する。
第2メモリ105は、タイミング制御部109からの指示に従って、受信処理部104から入力される信号(復号後の信号)を格納(書き込み)する。また、第2メモリ105は、タイミング制御部109からの指示に従って、格納している各信号を送信処理部106に出力(読み出し)する。
送信処理部106は、第2メモリ105から入力される信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号、又は、下位RNに接続された端末向け中継信号)に対して符号化及び変調を行う。そして、送信処理部106は、変調後の信号を第1メモリ103に出力する。
送信RF部107は、第1メモリ103から入力される信号に対して、D/A変換、増幅及びアップコンバート等の送信処理を行う。そして、送信RF部107は、送信処理後の信号をアンテナ101から送信する。
奇数/偶数切替部108は、中継装置100のRN番号に応じて、中継装置100が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定を切り替える。例えば、奇数/偶数切替部108は、基地局から通知される、マルチホップ通信におけるRN数に応じて、中継装置100が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定を切り替えてもよい。または、奇数/偶数切替部108は、通信開始前に基地局から通知によって、中継装置100が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定を切り替えてもよい。そして、奇数/偶数切替部108は、中継装置100が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定情報(例えば、‘奇数’又は‘偶数’)をタイミング制御部109に出力する。
タイミング制御部109は、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ103及び第2メモリ105に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
例えば、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(中継装置100が奇数RNの場合)、タイミング制御部109は、期間Aにおいて、第1メモリ103に対して、下位RN向け中継信号を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に対して受信RF部102から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号又は下位RNに接続された端末向け中継信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に中継信号が格納されると、第1メモリ103に対して、格納している中継信号を受信処理部104へ出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ105に対して、受信処理部104から入力される信号(復号後の信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第2メモリ105に復号後の信号が格納されると、第2メモリ105に対して、中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号又は下位RNに接続された端末向け中継信号)を送信処理部106へ出力するように指示(読み出し指示)し、第1メモリ103に対して、送信処理部106から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号又は下位RNに接続された端末向け中継信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(中継装置100が偶数RNの場合)には、タイミング制御部109は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aと同様の処理を期間Bで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bと同様の処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNと偶数RNとの間では、タイミング制御部109での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
また、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部109は、期間Cにおいて、第1メモリ103に対して、中継装置100に接続された端末向け中継信号を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
次に、本実施の形態に係る端末200の構成を図3に示す。
図3に示す端末200において、受信RF部202は、中継装置100(図2)から送信された信号をアンテナ201を介して受信する。そして、受信RF部202は、受信した信号に対しダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を行う。そして、受信RF部202は、受信処理後の信号を第1メモリ203に出力する。なお、端末200が接続している中継装置100から送信される中継信号には、端末200向けの中継信号(データ信号及び制御情報)及び既知信号が含まれる。
第1メモリ203は、タイミング制御部214からの指示に従って、受信RF部202から入力される中継信号を格納(書き込み)する。また、第1メモリ203は、タイミング制御部214からの指示に従って、格納している信号を既知信号検出部204及び受信処理部207に出力(読み出し)する。
既知信号検出部204は、第1メモリ203から入力される中継信号に含まれる既知信号と、想定される既知信号の全てのパターンとの間で相関演算を行う。ここで、既知信号のパターン数はマルチホップ通信を構成し得るRN数となるが、現実的には、最大でも数十パターンあれば(つまり、数十ホップまでを許容すれば)十分である。既知信号検出部204は、相関演算結果に基づいて、中継装置100から送信された既知信号を検出し、検出した既知信号を信号強度測定部205に出力する。また、既知信号検出部204は、既知信号のどのパターンにおいてピークが現れたか(つまり、どの中継装置からの既知信号を受信したか)を検出し、検出したパターンに対応するRN番号を選択部206に出力する。
信号強度測定部205は、既知信号検出部204から入力される既知信号の受信信号強度(RSSI)を測定する。そして、信号強度測定部205は、測定した受信信号強度を選択部206に出力する。
選択部206は、既知信号検出部204から入力されるRN番号及び信号強度測定部205から入力される既知信号の受信信号強度(RSSI)を用いて、端末200が接続すべき中継装置(RN)を決定する。ここで、選択部206は、端末200が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合、2つの中継装置のうち、基地局と端末200との間の信号(ここでは、ダウンリンク信号)の伝達方向において上位に位置する中継装置(基地局により近い中継装置)、つまり、上位RNとの接続を選択する。つまり、選択部206は、端末200が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合、2つの中継装置のうち上位RNを、Serving cellとして選択する。そして、選択部206は、選択結果である端末200の接続先RN(Serving cell)のRN番号を第2メモリ210及び奇数/偶数切替部213に出力する。なお、選択部206における接続先RN選択処理の詳細については後述する。
受信処理部207は、受信部208及び干渉除去部209を備える。
受信処理部207の受信部208は、第1メモリ203から入力される中継信号に対して復調及び復号を行う。具体的には、端末200が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合には、受信部208は以下の処理を行う。受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末200が接続可能な2つの中継装置における上位RNから下位RNへ送信される中継信号(他の端末向けの中継信号)を受信し、その信号に対して復調及び復号を行う。つまり、受信部208は、期間A又は期間Bでは、他の端末向けの中継信号、つまり、期間Cで端末200に対して干渉を与え得る信号(干渉信号)を受信する。そして、受信部208は、期間A又は期間Bで受信した他の端末向けの中継信号(干渉信号)を第2メモリ210に出力する。また、受信部208は、他の端末向けの中継信号を用いて、端末200が接続している中継装置(上位RN)と端末200との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。同様に、受信部208は、下位RNからの中継信号を用いて、下位RNと端末200との間のチャネル推定値を算出し、干渉信号のチャネル推定値として第2メモリ210に出力する。
干渉除去部209は、第2メモリ210に格納されている期間A又は期間Bで受信された他の端末向けの中継信号(干渉信号)と干渉信号のチャネル推定値とを用いて、期間Cで受信する中継信号から、期間Cに下位RNから送信される他の端末向けの中継信号を除去する。そして、受信部208は、DLサブフレーム内の期間C(中継装置と端末との間の通信期間)で受信する中継信号において、干渉除去部209で干渉信号が除去された信号に対し復調及び復号を行うことで、上位RN(端末200のServing cell)から送信される端末200向けの中継信号(所望信号)を得る。そして、受信部208は、復号後の信号を第2メモリ210に出力する。なお、干渉除去部209における干渉除去処理の詳細については後述する。
第2メモリ210は、選択部206から入力される選択結果(端末200のServing cellのRN番号)を格納する。また、第2メモリ210は、タイミング制御部214からの指示に従って、受信処理部207の受信部208から入力される信号(干渉信号及び干渉除去後の信号)を格納する。また、第2メモリ210は、タイミング制御部214からの指示に従って、格納している各信号を受信処理部207(干渉除去部209)及び送信処理部211に出力する。
送信処理部211は、端末200の端末IDと、第2メモリ210から入力されるServing cellのRN番号とを含む信号に対して符号化及び変調を行う。そして、送信処理部211は、変調後の信号を応答信号として送信RF部212に出力する。
送信RF部212は、送信処理部211から入力される応答信号に対して、D/A変換、増幅及びアップコンバート等の送信処理を行う。そして、送信RF部212は、送信処理後の応答信号をアンテナ201から送信する。これにより、応答信号に示されるServing cellに該当する中継装置は、端末200を自装置に接続される端末(自装置配下の端末)として認識し、端末200に対して応答信号を送信する。
奇数/偶数切替部213は、選択部206から入力されるServing cellのRN番号に応じて、奇数/偶数切替部108(図2)と同様にして、端末200が接続する中継装置が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定を切り替える。そして、奇数/偶数切替部213は、端末200が接続する中継装置が奇数RNであるか偶数RNであるかを示す設定情報(‘奇数’又は‘偶数’)をタイミング制御部214に出力する。なお、奇数/偶数切替部213は、選択部206からServing cellのRN番号(選択部206の選択結果)が入力されるまでは、不定値をタイミング制御部214に出力する。
タイミング制御部214は、タイミング制御部109(図2)と同様にして、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
例えば、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(Serving cellが奇数RNの場合)、タイミング制御部214は、期間Aにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される下位RN向け中継信号を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Aにおいて、第1メモリ203に下位RN向け中継信号が格納されると、第1メモリ203に対して、下位RN向け中継信号を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される干渉信号(他の端末向け中継信号)、及び、Serving cellと端末200との間のチャネル推定値を格納するように指示(書き込み指示)する。
また、タイミング制御部214は、期間Bにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される、端末200が接続可能な2つの中継装置のうち下位RNから送信される中継信号を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Bにおいて、第1メモリ203に下位RNからの中継信号が格納されると、第1メモリ203に対して、格納している下位RNからの中継信号を受信処理部207へ出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される、下位RNと端末200との間のチャネル推定値を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(Serving cellが偶数RNの場合)には、タイミング制御部214は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aと同様の処理を期間Bで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bと同様の処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNに接続された端末200と偶数RNに接続された端末200との間では、タイミング制御部214での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
また、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部214は、期間Cにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される各RNからの信号を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Cにおいて、第1メモリ203に各RNからの信号が格納されると、第1メモリ203に対して、格納している各RNからの信号を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、期間A及び期間Bで受信した、干渉信号、Serving cellと端末200との間のチャネル推定値及び下位RNと端末200との間のチャネル推定値を、受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)する。また、タイミング制御部214は、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される信号(干渉除去後の信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。
次に、本実施の形態に係る端末200の選択部206(図3)における接続先RN選択処理の詳細について説明する。
以下の説明では、図4に示すように、奇数RN(例えば、RN番号=2n+1)のカバーエリアと、偶数RN(例えば、RN番号=2n+2)のカバーエリアとが重複する位置に存在するMS(端末200)について説明する。また、図4に示す奇数RNが偶数RNに対して中継信号を送信する。つまり、図4では、隣接する2つの中継装置(奇数RNと偶数RN)との間では、奇数RNが上位RNとなり、偶数RNが下位RNとなる。なお、図4に示す奇数RN及び偶数RNは、図2に示す中継装置100の構成を備える。
まず、奇数RN及び偶数RNは、予め設定されたリソース及び予め設定された送信電力により、既知信号をMSにそれぞれ送信する(図4に示す手順1)。図4では、奇数RN及び偶数RNは、自装置のRN番号を既知信号に含めている。また、奇数RNと偶数RNとで既知信号を時間多重している。なお、各RNは、自装置のRN番号を既知信号に含める場合に限らず、自装置のRN番号に対応付けられたコードで既知信号を符号化して、同一タイミングで既知信号を送信してもよい。また、MS(端末200)では、接続先RN(Serving cell)が選択されていないため、MSのタイミング制御部214には、奇数/偶数切替部213から設定情報として不定値が入力される。そこで、MSのタイミング制御部214は、図4に示す奇数RN及び偶数RNの双方の既知信号を確実に受信できるように受信タイミング(受信窓幅)を制御する。
そして、MS(端末200)の既知信号検出部204は、時間多重された既知信号を検出する(図4に示す手順2の既知信号検出処理)。例えば、図4では、既知信号検出部204は、手順1で受信した既知信号と、想定される既知信号のパターン全てとの相関演算をする。そして、既知信号検出部204は、相関演算の結果、奇数RN(RN番号=2n+1)の既知信号パターン(例えば、パターン#2n+1)及び偶数RN(RN番号=2n+2)の既知信号パターン(例えば、パターン#2n+2)でピークを検出することにより、奇数RN及び偶数RNの各既知信号を検出する。
次いで、信号強度測定部205は、既知信号検出部204で検出された奇数RNの既知信号及び偶数RNの既知信号を用いて、奇数RNの受信信号強度RSSI2n+1及び偶数RNの受信信号強度RSSI2n+2を測定する(図4に示す手順2の信号強度測定処理)。
次いで、選択部206は、図4に示す奇数RNと偶数RNとが同時に信号を送信した場合のMS(端末200)における、奇数RNに関するSIRoddを、例えば次式(1)に従って算出し、偶数RNに関するSINevenを、例えば次式(2)に従って算出する。
SIRodd=10log10(RSSI2n+1/RSSI2n+2) (1)
SIReven=10log10(RSSI2n+2/RSSI2n+1) (2)
そして、選択部206は、算出したSIRodd及びSIRevenと、予め設定された閾値αとを比較することにより、MS(端末200)の接続先RN、つまり、Serving cellを決定する。具体的には、選択部206は、以下の条件(1)〜(4)に従って、Serving cellを選択する(図4に示す手順2の選択処理)。
条件(1)SIRodd≧α,SIReven≧α … Serving Cell RN番号=2n+1
条件(2)SIRodd≧α,SIReven<α … Serving Cell RN番号=2n+1
条件(3)SIRodd<α,SIReven≧α … Serving Cell RN番号=2n+2
条件(4)SIRodd<α,SIReven<α … Serving Cell RN番号=none(セル再選択)
つまり、選択部206は、2つのRN(図4では奇数RN及び偶数RN)からの受信信号強度の双方が予め設定された閾値α以上の場合、上位RN(図4では奇数RN)との接続を選択する(条件(1))。また、選択部206は、2つのRNのうち、上位RN(図4では奇数RN)からの受信信号強度が閾値α以上であり、下位RN(図4では偶数RN)からの受信信号強度が閾値α未満の場合、上位RNとの接続を選択する(条件(2))。また、選択部206は、2つのRNのうち、上位RN(図4では奇数RN)からの受信信号強度が閾値α未満であり、下位RN(図4では偶数RN)からの受信信号強度が閾値α以上の場合、下位RNとの接続を選択する(条件(3))。一方、選択部206は、2つのRNからの受信信号強度の双方が閾値α未満の場合、いずれのRNも選択せず(none)、接続先RNの再選択(セル再選択)を行う(条件(4))。
ここで、閾値αの値は固定でも可変でもよい。また、閾値αは地形的な理由によりRN毎に異なる値を用いてもよい。また、閾値αは、一般に端末200で用いられるA/D変換器のダイナミックレンジにおいて所望信号成分をどこまで含めるかに応じて決定されてもよい。または、閾値αとして、シミュレーション等で予め求められた、所要誤り率を満たすSIRを設定してもよい。または、閾値αは、実測により予め求められた隣接するRN間のSIR分布を用いて決定されてもよい。
例えば、図4に示すMSの信号強度測定部205で算出されたSIRodd及びSIRevenの双方が閾値α以上となるとする。この場合、MSの選択部206は、条件(1)に従って、図4に示す奇数RN及び偶数RNのうち、上位RNである奇数RNをServing cellとして選択する。このように、選択部206は、SIRが閾値α以上となるRNが複数存在する場合、SIRが閾値α以上となる複数のRNのうち、最上位のRNをServing cellとして選択する。
次いで、図4に示すMS(端末200)は、MSの端末IDと、選択部206で選択されたServing cell RN番号(ここでは2n+1)とを含む応答信号を、奇数RN及び偶数RNに送信する(図4に示す手順3)。
次いで、図4に示す奇数RNは、MS(端末200)から送信される応答信号に含まれるServing cellのRN番号(2n+1)が自装置のRN番号(2n+1)と一致するので、MS(応答信号に含まれる端末IDの端末)を、自装置配下の端末として認識する。そして、奇数RNは、MS(端末200)に対して応答信号を送信する(図4に示す手順4)。一方、図4に示す偶数RNは、MS(端末200)から送信される応答信号に含まれるServing cellのRN番号(2n+1)が自装置のRN番号(2n+2)と一致しないので、MS(応答信号に含まれる端末IDの端末)を、自装置配下の端末として認識しない。
次に、本実施の形態に係る端末200の干渉除去部209における干渉除去処理の詳細について説明する。
以下の説明では、図5に示すように、図4と同様、奇数RNのカバーエリアと、偶数RNのカバーエリアとが重複する位置に存在するMS(端末200)について説明する。また、図5では、図4と同様、奇数RNが上位RNとなり、偶数RNが下位RNとなる。なお、図5に示す奇数RN及び偶数RNは、図2に示す中継装置100の構成を備える。
また、図5では、図4で説明したようにして奇数RNにMS(端末200)が接続される。つまり、奇数RNがMS(端末200)のServing cellとなる。
図5に示すように、DLサブフレーム内の期間Aでは、奇数RNは、下位RNである偶数RNに対して中継信号を送信する。なお、図5に示す期間Aで奇数RNから送信される中継信号には、偶数RNに接続された端末(図5に示すMS以外の他の端末)向けの信号11、及び、偶数RNよりもさらに下位に位置するRNに接続された端末向けの信号12が含まれる。
ここで、図5に示すMS(端末200)は、期間Aにおいて、奇数RN(上位RN)から偶数RN(下位RN)へ送信される他の端末向けの信号(信号11及び信号12)を受信する。具体的には、MSの第1メモリ203には、受信RF部202で受信した信号(信号11及び信号12)が格納される。また、より具体的には、RN間で通信される中継信号には、図6(ここでは期間Aの場合)に示すように、信号11及び信号12に加え、プリアンブル信号、及び、信号11及び信号12各々の中継信号におけるマッピング位置、MCS等を含む制御情報が含まれている。そこで、MSの受信処理部207(受信部208)は、期間Aでの中継信号(信号11及び信号12)に含まれるプリアンブル信号から、奇数RN(Serving cell)とMSとの間のチャネル推定値を得て、そのチャネル推定値を第2メモリ210に出力する。次いで、MSの受信処理部207(受信部208)は、期間Aでの中継信号(信号11及び信号12)に含まれる制御情報(信号11に関するデータ信号の中継信号におけるマッピング位置及びMCSを含む情報)に対して復調及び復号を行う。ここで、プリアンブル信号及び制御情報のマッピング位置及びMCSはMSでは既知とする。そして、MSの受信処理部207(受信部208)は、制御情報の復号結果(マッピング位置及びMCS)に基づいて、信号11に含まれるデータ信号に対して復調及び復号を行い、復号後のデータ信号(期間Cで干渉成分となる信号。以下、干渉信号という)を第2メモリ210に格納する。次いで、MSの干渉除去部209は、第2メモリ210に格納された復号後のデータ信号(干渉信号)に対して符号化及び変調を行い、変調後の信号(つまり、期間Cにおける干渉信号のレプリカ)を保持する。
次に、図5に示すDLサブフレーム内の期間Bでは、図5に示す偶数RNは、偶数RNの下位RNである奇数RN(図示せず)に対して中継信号を送信する。なお、図5に示すように、偶数RNから送信される中継信号には、期間Aで上位RN(奇数RN)から受信した、偶数RNよりもさらに下位に位置するRNに接続された端末向けの信号12が含まれる。
ここで、図5に示すMS(端末200)は、期間Bにおいて、図5に示す偶数RNから下位RNである奇数RN(図示せず)へ送信される信号12を受信する。具体的には、MSの第1メモリ203には、受信RF部202で受信した信号12が格納される。そして、MSの受信処理部207(受信部208)は、信号12に含まれるプリアンブル信号を用いて、図5に示す偶数RNとMSとの間のチャネル推定値(つまり、干渉信号に関するチャネル推定値)を算出し、そのチャネル推定値を第2メモリ210に出力する。
また、期間Bでは、図5に示す奇数RNは、図示しない上位の装置(最上位RNの場合はマクロセル基地局、最上位RN以外のRNの場合は偶数RN)から、奇数RNに接続されているMS宛ての信号13を受信する。
次に、図5に示すDLサブフレーム内の期間Cでは、図5に示す奇数RNは、期間Bで上位の装置(図示せず)から受信したMS向けの信号13を送信し、図5に示す偶数RNは、期間Aで上位の奇数RNから受信した、偶数RNに接続されている端末(MS以外の他の端末)向けの信号11を送信する。よって、期間Cでは、図5に示すMSは、奇数RN(Serving cell)からの信号13(MS向けの所望信号)及び偶数RNからの信号11(MSに対する干渉信号)を含む信号を受信する。
そして、図5に示す期間Cでは、MS(端末200)の干渉除去部209は、期間Aで得た信号11(干渉信号のレプリカ)、期間Aで得た奇数RNとMSとの間のチャネル推定値(所望信号に関するチャネル推定値)、及び、期間Bで得た偶数RNとMSとの間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)を用いて、期間Cで受信した信号(信号13及び信号11を含む信号)から、干渉信号である信号11を除去することにより、MS宛ての信号13(所望信号)を得る。そして、MSの受信部208は、干渉除去後の信号(つまり、信号13)に対して復調及び復号を行い、復号後の信号を第2メモリ210に格納する。
このようにして、端末200は、DLサブフレーム内の期間A及び期間B(つまり、RN間での通信のための期間)で、期間A及び期間Bよりも後の期間Cにおいて干渉信号となる信号(図5では信号11)、及び、期間Cにおいて干渉信号となる信号のチャネル推定値を得る。
ここで、図5に示すように、RN間での通信のための期間(期間A及び期間B)では、隣接するRNは、互いに異なる期間で同一周波数を用いて中継信号の送信処理をそれぞれ行う。例えば、図5に示すように、奇数RNは、期間Aで、周波数f1を用いて中継信号を送信するのに対して、偶数RNは、期間Aとは異なる期間Bで、周波数f1を用いて中継信号を送信する。つまり、隣接する2つのRNは、中継信号を期間Aと期間Bとで時分割して直交化している。よって、各RN(中継装置100)は、期間A及び期間Bのいずれか一方で、隣接するRNからの干渉を受けることなく、中継信号を下位RNへ送信することができる。
これにより、隣接するRNの双方に接続可能な端末200(図5に示すMS)では、全てのRNが同一周波数を用いる場合でも、図5に示す期間A及び期間Bで、各RNが下位RNへ送信する中継信号を干渉なくそれぞれ受信できる。例えば、図5では、MS(端末200)は、期間Aで奇数RN(上位RN)から送信される信号のみを受信でき、期間Bで偶数RN(下位RN)から送信される信号のみを受信できる。
また、端末200は、隣接する複数のRNに接続可能な場合には、隣接する複数のRN(図5では2つのRN)のうち、より上位となるRN(基地局と端末との間の信号の伝達方向においてより上位に位置するRN。つまり、ダウンリンクでは基地局に最も近いRN)をServing cellとして選択する。
ここで、図5に示す期間A及び期間BにおいてMS(端末200)が受信する信号(RN間で通信される信号)は、図5に示す奇数RN(MSのServing cell)よりも下位に位置するRNに接続された端末宛ての信号、つまり、MS以外の他の端末向けの信号である。つまり、図5に示す期間A及び期間BにおいてMS(端末200)が受信する信号は、MSに対して干渉信号となり得る信号である。これにより、端末200は、複数のRNと端末との間での通信のための期間(図5に示す期間C)よりも前の時刻で、端末200に対して干渉信号となり得る信号を予め把握することができる。
よって、端末200は、予め把握している干渉信号及びその干渉信号のチャネル推定値を用いて、複数のRNから送信される信号から干渉信号を除去することができる。ここで、干渉除去技術として様々な技術が知られているが、例えば、所望信号(図5では信号13)及び干渉信号(図5では信号11)のそれぞれに対して、MLD(Maximum Likelihood Detection)処理を施すJD(Joint Detection)がある。JDでは、所望信号のチャネル推定値及び干渉信号のチャネル推定値がそれぞれ得られれば、干渉除去を精度良く行うことができることが知られている。これに対して、端末200は、所望信号のチャネル推定値及び干渉信号のチャネル推定値のみでなく、干渉信号自体も予め既知となるため、SIRが低い状況でも、精度良く干渉信号を除去でき、所望の信号を得ることができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。
なお、本実施の形態では、端末が接続されるRNよりも下位となるRNが存在する場合について説明した。しかし、マルチホップ通信で使用される複数のRNのうち最下位RN(基地局から最も遠いRN)には下位のRNが存在しないため、最下位RNにのみ接続可能なMSでは、最下位RN以外のRNから送信される信号による干渉は発生しない。よって、最下位RNに接続されているMSは、期間A又は期間Bでは何もせず、期間Cでは、最下位RNから送信されるMS宛ての信号を受信すればよい。また、マルチホップ通信で使用される複数のRNのうち最下位RNは、下位のRNが存在しないため、下位RN向けの中継信号を送信しない。
また、本実施の形態において、図4及び図5では、奇数RNが上位RNとなり、偶数RNが下位RNとなる場合を一例として説明した。しかし、偶数RNが上位RNとなり、奇数RNが下位RNとなる場合でも本発明を適用することができる。具体的には、上述した条件(1)と同様にして、端末は、2つのRN(偶数RN(上位RN)及び奇数RN(下位RN))からの受信信号強度の双方が予め設定された閾値α以上の場合には、上位RNである偶数RNとの接続を選択すればよい。そして、上位RNである偶数RNに端末が接続されると、端末は、図5に示す期間Aでの処理を期間Bで行い、図5に示す期間Bでの処理を期間Aで行えばよい。
(実施の形態2)
本実施の形態において、或る端末が2つの中継装置に接続可能である場合に、2つの中継装置のうち上位RNとの接続を選択する点は実施の形態1と同様である。本実施の形態では、さらに、上位RNが、自装置に接続している端末向けの制御情報を用いて、下位RNに接続している端末向けの制御情報を生成(スケジューリング)する場合について説明する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。図7は、本実施の形態に係る中継装置の構成を示すブロック図である。なお、図7に示す中継装置300において、実施の形態1(図2)と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
図7に示す中継装置300において、スケジューリング部301は、中継装置300に接続された端末(中継装置300配下の端末)向けの中継信号が受信処理部104から入力されると、その中継信号に含まれる制御情報(つまり、中継装置300配下の端末向け制御情報)を抽出する。なお、この制御情報には、中継装置300が期間Cで端末にデータを中継する際に用いるマッピング位置及びMCS等が含まれている。そして、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け制御情報を用いて、中継装置300よりも下位に位置する中継装置(下位RN)に接続されている端末(下位RN配下の端末)のスケジューリング(マッピング位置及びMCS等の決定)を行う。
具体的には、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け制御情報に含まれる、中継装置300配下の端末向け中継信号のマッピング位置を用いて、下位RN配下の端末向け中継信号のマッピング位置を決定する。例えば、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け中継信号のマッピング位置に固定のオフセットを付加した結果を、下位RN配下の端末向け中継信号のマッピング位置としてもよい。これにより、中継装置300配下の端末は、自端末向け中継信号のマッピング位置を特定することで、どのマッピング位置に干渉信号(下位RN配下の端末向け中継信号)がマッピングされているかも特定することができる。または、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け中継信号のマッピング位置のうち、回線品質が良好であるマッピング位置を、下位RN配下の端末向けの中継信号のマッピング位置とし、回線品質が劣悪であるマッピング位置を下位RN配下の端末向け中継信号のマッピング位置としなくてもよい。これにより、中継装置300配下の端末は、どのマッピング位置に干渉信号がマッピングされているかを特定できる。さらに、回線品質が劣悪であるマッピング位置には干渉信号がマッピングされないため、中継装置300配下の端末は、回線品質が劣悪なマッピング位置では干渉の影響による受信品質の低減を抑えて、所望の信号を受信できる。
また、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け制御情報に含まれる、中継装置300配下の端末向け中継信号のMCSを用いて、下位RN配下の端末向け中継信号のMCSを決定する。例えば、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け中継信号のMCSと同一のMCSを、下位RN配下の端末向け中継信号のMCSとして決定してもよい。これにより、中継装置300配下の端末は、自端末向け中継信号のMCSを特定することで、干渉信号(下位RNは以下の端末向け中継信号)のMCSも特定することができる。または、スケジューリング部301は、下位RN配下の端末向けの中継信号のMCSとして、中継装置300配下の端末向け中継信号のマッピング位置のうち、回線品質が良好であるマッピング位置では低多値変調であるMCSを決定し、回線品質が劣悪であるマッピング位置では高多値変調であるMCSを決定してもよい。これにより、中継装置300配下の端末では、既知となる干渉信号の干渉除去処理への寄与をより大きくすることができ、所望信号の推定精度を向上させることができる。
そして、スケジューリング部301は、中継装置300配下の端末向け制御情報、及び、下位RN配下の端末向け制御情報を第2メモリ105に出力する。
送信処理部302は、第2メモリ105から入力される中継装置300配下の端末向け制御情報に基づいて、第2メモリ105から入力される、中継装置300配下の端末向け中継信号及び中継装置300配下の端末向け制御情報に対して符号化及び変調を行う。また、送信処理部302は、第2メモリ105から入力される下位RN配下の端末向け中継信号及び下位RN配下の端末向け制御情報に対して、予め設定された符号化及び変調を行う。
タイミング制御部303は、実施の形態1のタイミング制御部109の処理に加え、中継装置300配下の端末向け制御情報、及び、下位RN配下の端末向け制御情報の入出力タイミングを、第1メモリ103及び第2メモリ105に対して指示する。
例えば、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(中継装置300が奇数RNの場合)、タイミング制御部303は、期間Bにおいて、タイミング制御部109と同様の処理に加え、第2メモリ105に対して、スケジューリング部301から入力されるスケジューリング結果(中継装置300配下の端末向け制御情報及び下位RN配下の端末向け制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部303は、期間Bにおいて、第2メモリ105に復号後の信号(中継信号)が格納されると、タイミング制御部109と同様の処理に加え、第2メモリ105に対して、中継装置300配下の端末向け制御情報及び下位RN配下の端末向けの制御情報を送信処理部302へ出力するように指示(読み出し指示)する。
一方、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(中継装置300が偶数RNの場合)には、タイミング制御部303は、上述した、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bの処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNと偶数RNとの間では、タイミング制御部303での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
次に、本実施の形態に係る端末について説明する。図8は、本実施の形態に係る端末の構成を示すブロック図である。なお、図8に示す端末400において、実施の形態1(図3)と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
図8に示す端末400において、ポインタ生成部401は、タイミング制御部402から入力されるDLサブフレーム番号を用いて、端末400向け制御情報、及び、端末400のServing cell(上位RN)の下位RNである中継装置配下の端末向け制御情報の格納アドレスを示すポインタをそれぞれ生成する。
例えば、予め通知されている、マルチホップ通信を構成し得るRN数=Nとし、端末400のServing cellのRN番号=Lとし、タイミング制御部402から入力されるDLサブフレーム番号=mとする。また、奇数/偶数切替部213における設定情報を‘奇数’とする。この場合、ポインタ生成部401は、DLサブフレームm内の期間Aでは、端末400向け制御情報の格納アドレス[m−L]を示すポインタ、及び、下位RN配下の端末向け制御情報の格納アドレス[m−L]を示すポインタをタイミング制御部402に出力する。次いで、ポインタ生成部401は、期間Aにおいて、下位RN配下の端末向け制御情報の格納アドレス[m−N+1]を示すポインタをタイミング制御部402に出力する。また、ポインタ生成部401は、DLサブフレームm内の期間Cでは、端末400向け制御情報の格納アドレス[m−N+1]を示すポインタをタイミング制御部402に出力する。
タイミング制御部402は、現時点のDLサブフレーム番号(例えばDLサブフレーム番号m)をポインタ生成部401に出力する。また、タイミング制御部402は、ポインタ生成部401から入力されるポインタを用いて、実施の形態1のタイミング制御部214(図3)の処理に加え、端末400向け制御情報、及び、下位RN配下の端末向け制御情報の入出力タイミングを、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して指示する。
例えば、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(Serving cellが奇数RNの場合)、タイミング制御部402は、DLサブフレームm内の期間Aにおいて、タイミング制御部214の処理に加え、第2メモリ210に対して、端末400向け制御情報(格納アドレス[m−L])及び下位RN配下の端末向け制御情報(格納アドレス[m−L])を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部402は、期間Aにおいて、受信処理部207から第2メモリ210に干渉信号(他の端末向け中継信号)が入力されると、タイミング制御部214の処理に加え、第2メモリ210に対して、下位RN配下の端末向け制御情報(格納アドレス[m−N+1])を受信処理部207(干渉除去部209)に出力するように指示(読み出し指示)する。これにより、干渉除去部209は、下位RN配下の端末向け制御情報(格納アドレス[m−N+1])に基づいて、第2メモリ210に格納されている干渉信号に対して符号化及び変調を行い、変調後の干渉信号(期間Cにおける干渉信号のレプリカ)を保持する。また、タイミング制御部402は、DLサブフレームm内の期間Cにおいて、タイミング制御部214の処理に加え、第2メモリ210に対して、端末400向け制御情報(格納アドレス[m−N+1])を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)する。
一方、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(Serving cellが偶数RNの場合)には、タイミング制御部402は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aの処理を、期間Bで行う。つまり、つまり、奇数RNに接続された端末400と偶数RNに接続された端末400との間では、タイミング制御部402での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
次に、本実施の形態に係る中継装置300におけるスケジューリング処理の詳細について説明する。
以下の説明では、図9及び図10に示すように、4つのRN#1〜#4によりマルチホップ通信を行う場合について説明する。図9及び図10では、RN#1が最も上位のRNであり、RN#4が最も下位のRNである。なお、図9及び図10に示すRN#1〜#4は、図7に示す中継装置300の構成を備える。
また、図10では、例えば、RN番号=αのRN配下の端末に対するスケジューリング結果(制御情報)を、‘#α向けスケジューリング’と表す。また、図9及び図10では、RN#1(奇数RN)がDLサブフレーム[β]で上位の装置(図10ではマクロセル基地局MeNB)から受信した、RN#1配下の端末向け制御情報の格納アドレスを、‘[β]’で表す。また、格納アドレス[β]の制御情報に基づいて生成された下位RN配下の端末向け制御情報の格納アドレスも[β]で表す。例えば、DLサブフレーム[β]でRN#1が受信した制御情報(#1向けスケジューリング[β])に基づいて生成される、RN番号=3のRN配下の端末向け制御情報は、‘#3向けスケジューリング[β]’となる。また、RN番号=αのRN配下の端末を‘#α端末’で表す。
また、図10では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
また、ここでは、図9及び図10において、RN#1(奇数RN)がDLサブフレーム[m]でRN#1配下の#1端末向け制御情報(#1向けスケジューリング[m])を受信してから、その制御情報を端末に反映するまでの処理に着目して説明する。
図9及び図10に示すDLサブフレーム[m]では、RN#1は、RN#1の上位の装置(図10ではMeNB)から、RN#1配下の#1端末向け制御情報を受信する。具体的には、RN#1は、図10に示すDLサブフレーム[m]内の期間Bで、RN#1の上位の装置(MeNB)から、RN#1配下の#1端末向け制御情報(図10に示す#1向けスケジューリング[m])を受信する。そして、RN#1のスケジューリング部301は、RN#1配下の#1端末向け制御情報(図10に示す#1向けスケジューリング[m])を用いて、RN#1の下位RNであるRN#2配下の#2端末に対するスケジューリング処理を行う。これにより、RN#1のスケジューリング部301は、RN#2配下の#2端末向け制御情報(図10に示す#2向けスケジューリング[m])を得る。つまり、DLサブフレーム[m]では、RN#1は、図9に示すように、RN#1配下の#1端末及びRN#2配下の#2端末に対するスケジューリング結果を得る。
次いで、図9及び図10に示すDLサブフレーム[m+1]では、RN#1は、RN#2配下の#2端末向け制御情報(図10に示す#2向けスケジューリング[m])を期間Aで送信し、RN#2は、RN#2配下の#2端末向け制御情報を受信する。そして、RN#2のスケジューリング部301は、RN#2配下の#2端末向け制御情報(図10に示す#2向けスケジューリング[m])を用いて、RN#2の下位RNであるRN#3配下の#3端末に対するスケジューリング処理を行う。これにより、RN#2のスケジューリング部301は、RN#3配下の#3端末向け制御情報(図10に示す#3向けスケジューリング[m])を得る。つまり、DLサブフレーム[m+1]では、RN#2は、図9に示すように、RN#2配下の#2端末及びRN#3配下の#3端末に対するスケジューリング結果を得る。
また、図9及び図10に示すDLサブフレーム[m+2]では、RN#3は、RN#1及びRN#2と同様にして、期間BにおいてRN#2から受信した、RN#3配下の#3端末向け制御情報(図10に示す#3向けスケジューリング[m])を用いて、RN#3の下位RNであるRN#4配下の#4端末に対するスケジューリング処理を行う。そして、RN#3は、RN#4配下の#4端末向け制御情報(図10に示す#4向けスケジューリング[m])を、DLサブフレーム[m+3]内の期間AでRN#4に送信する。
そして、図9及び図10に示すDLサブフレーム[m+3]内の期間Cでは、RN#1〜RN#4の全てのRNは、DLサブフレーム[m]〜[m+2]でそれぞれ決定されたスケジューリング結果(図9に示す#1〜#4向けスケジューリング[m])に基づいて、各RN配下の端末(図10では#1端末〜#4端末)向け中継信号を同時送信することで、端末に対してスケジューリング結果を反映する。具体的には、図10に示すように、RN#1は、DLサブフレーム[m]で得た#1端末向け制御情報(図10に示す#1向けスケジューリング[m])を用いて、RN#1配下の#1端末向け中継信号を期間Cで送信する(図10に示す#1端末@スケジューリング[m] TX)。同様に、図10に示すように、RN#2は、DLサブフレーム[m+1]で得た#2端末向け制御情報(図10に示す#2向けスケジューリング[m])を用いて、RN#2配下の#2端末向け中継信号を期間Cで送信する(図10に示す#2端末@スケジューリング[m] TX)。RN#3及びRN#4についても同様である。
次に、本実施の形態に係る端末400における干渉除去処理の詳細について説明する。
以下の説明では、図9及び図10と同様、4つ(RN数N=4)のRN#1〜#4によりマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図11では、RN#1〜#4のうち、2つのRN#1及びRN2についてのみ説明する。また、図9及び図10と同様、RN#1が最も上位のRNであり、RN#4が最も下位のRNである。つまり、図11に示すRN#1とRN#2との間では、RN#1が上位RNであり、RN#2が下位RNである。また、図11では、RN#1には#1端末が接続され、RN#2には#2端末が接続されている。なお、図11に示すRN#1及びRN#2は図7に示す中継装置300の構成を備え、#1端末及び#2端末は図8に示す端末400の構成を備える。
また、図11では、RN#1(RN番号L=1)がDLサブフレーム[β]で上位の装置(図11ではMeNB)から受信した、RN#1配下の#1端末向け中継信号を‘#1端末向け[β]’で表す。そして、中継信号(#1端末向け[β])に含まれる#1端末向け制御情報の格納アドレスを‘[β]’で表し、格納アドレス[β]の制御情報に基づいて生成された下位RN配下の端末向け制御情報の格納アドレスも[β]で表す。また、図11では、DLサブフレーム[β]内の期間Cにおいて、RN番号=αのRNが、RN番号=αのRN配下の端末に送信する中継信号を、‘#α端末@[β−N+1]’と表す。これは、端末向け制御情報(格納アドレス[β−N+1])に基づいて送信される中継信号を意味する。
また、図11では、信号の送信処理を‘TX’で表し、信号の受信処理を‘RX’で表す。
まず、図11に示すDLサブフレームm内の期間A〜期間Cにおける端末400の動作について説明する。以下の説明では、RN番号Lが奇数である奇数RN配下の端末(図11ではRN#1(L=1)配下の#1端末)の動作を一例として説明する。なお、RN番号Lが偶数である偶数RN配下の端末(図11ではRN#2(L=2)配下の#2端末)における処理は、後述する奇数RN配下の端末の期間Bでの処理を期間Aで行い、期間Aでの処理を期間Bで行えばよい。
図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Aでは、端末400(RN番号=LのRN配下の端末)は、RN#1からRN#2への信号を受信することにより、端末400向け中継信号及び下位RN配下の端末向け中継信号(格納アドレス[m−L])を受信する。例えば、図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Aでは、RN#1(RN番号L=1)配下の#1端末は、#1端末向け中継信号及び#2端末向け中継信号(図11では#1,#2端末向け[m−1])を受信する。ここで、#1,#2端末向け[m−1]に含まれる#1端末向け制御情報(#1端末向け[m−1])は、図示しないDLサブフレーム[m−1]でRN#1がMeNBから受信した制御情報である。また、#2端末向け制御情報(#2端末向け[m−1])は、図示しないDLサブフレーム[m−1]で、RN#1が、#1端末向け制御情報を用いて生成した制御情報である。
そして、#1端末は、実施の形態1と同様にして、中継信号に含まれるプリアンブル信号から、#1端末とRN#1との間のチャネル推定値(所望信号のチャネル推定値)を得て、そのチャネル推定値を第2メモリ210に出力する。また、#1端末は、各中継信号(#1,#2端末向け[m−1])に含まれる制御情報を復調及び復号し、#1端末向け制御情報(格納アドレス[m−1])、及び、#2端末向け制御情報(格納アドレス[m−1])を取得し、第2メモリ210に格納する。そして、#1端末は、期間AにおけるRN間の中継信号に含まれる制御情報(中継信号における干渉信号のマッピング位置及びMCSを含む制御情報。例えば、図6に示す制御情報)、及び、端末#1とRN#1との間のチャネル推定値を用いて、干渉信号(#2端末向け[m−1])を復調及び復号する。そして、#1端末では、復号後の干渉信号、#1端末向け制御情報(格納アドレス[m−1])及び#2端末向け制御情報(格納アドレス[m−1])が第2メモリ210に格納される。
また、期間Aにおいて干渉信号が第2メモリ210に格納されると、端末400は、第2メモリ210に格納されている干渉信号及び下位RN配下の端末向け制御情報(格納アドレス[m−N+1])を干渉除去部209に出力する。例えば、図11に示す#1端末は、干渉信号(つまり、#2端末向け中継信号)、及び、RN#2配下の#2端末向け制御情報(格納アドレス[m−3])を干渉除去部209に出力する。そして、#1端末の干渉除去部209は、#2端末向け制御情報(格納アドレス[m−3])を用いて、干渉信号を符号化及び変調し、変調後の干渉信号(DLサブフレーム[m]内の期間Cにおける干渉信号のレプリカ)を保持する。
図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Bでは、端末400(奇数RN配下の端末)は、実施の形態1の端末200における期間Bでの処理と同様の処理を行う。例えば、図11に示す#1端末は、RN#2からRN#3へ送信される、#2端末向け中継信号及び#3端末向け中継信号(図11では#2,#3端末向け[m−2])を受信する。この中継信号に含まれるプリアンブル信号を用いて、図11に示す#1端末は、RN#2と#1端末との間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)を得る。
図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Cでは、端末400(奇数RN配下の端末)は、第2メモリ210に格納されている、上位RNと端末400との間のチャネル推定値(期間Aで算出)、及び、既に受信している端末400向け制御情報(格納アドレス[m−N+1])を干渉除去部209に出力する。例えば、図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Aでは、RN#1配下の#1端末は、RN#1と#1端末との間のチャネル推定値及び#1端末向け制御情報(格納アドレス[m−3])を受信処理部207に出力する。そして、#1端末の干渉除去部209は、期間Cにおいて、RN#1と#1端末との間のチャネル推定値、RN#2と#1端末との間のチャネル推定値、干渉信号のレプリカ、及び、#1端末向け制御情報(格納アドレス[m−3])を用いて、期間Cで受信した信号から、RN#2からの干渉信号である#2端末向け中継信号(図11に示す#2端末@[m−3])を除去することにより、RN#1からの所望信号である#1端末向け中継信号(図11に示す#1端末@[m−3])を得る。
次いで、図11において、RN#1(奇数RN)がDLサブフレーム[m]でRN#1配下の#1端末向け中継信号(#1端末向け[m])を受信してから、その中継信号を#1端末に送信するまでの処理に着目して説明する。
図9及び図10で説明したように、図11に示すDLサブフレーム[m]内の期間Bで#1端末向け中継信号(#1端末向け[m])を受信すると、RN#1(スケジューリング部301)は、#1端末向け中継信号(#1端末向け[m])に含まれる#1端末向け制御情報を用いて、下位RN配下の#2端末向け制御情報(格納アドレス[m])を生成する。
そして、RN#1は、DLサブフレーム[m+1]内の期間Aで、#1端末向け制御情報及び#2端末向け制御情報を含む中継信号(図11に示す#1,#2端末向け[m])をRN#2に送信する。このとき、#1端末は、RN#1からRN#2へ送信される中継信号(図11に示す#1,#2端末向け[m])を受信する。そして、上述したように、#1端末は、中継信号(図11に示す#1,#2端末向け[m])を用いて、干渉信号(#2端末向け中継信号)、RN#1と#1端末との間のチャネル推定値、#1端末向け制御情報及び#2端末向け制御情報を取得する。また、#1端末は、#2端末向け制御情報(格納アドレス[m−2])及び干渉信号を用いて、干渉信号を符号化及び変調し、DLサブフレーム[m+1]内の期間Cでの干渉信号のレプリカを生成する。
また、RN#2は、DLサブフレーム[m+1]内の期間Aで、中継信号(図11に示す#1,#2端末向け[m])を受信すると、中継信号に含まれる#2端末向け制御情報を用いて、下位RNであるRN#3(図示せず)配下の#3端末(図示せず)向け制御情報(格納アドレス[m])を生成する。
そして、RN#2は、DLサブフレーム[m+2]内の期間Bで、#2端末向け制御情報及び#3端末向け制御情報を含む中継信号(図11に示す#2,#3端末向け[m])をRN#3(図示せず)に送信する。このとき、#1端末は、RN#2からRN#3へ送信される中継信号(図11に示す#2,#3端末向け[m])を受信する。そして、上述したように、#1端末は、中継信号(図11に示す#2,#3端末向け[m])を用いて、RN#2と#1端末との間のチャネル推定値を取得する。
そして、DLサブフレーム[m+3]内の期間Cでは、RN#1は、#1端末向け中継信号(図11に示す#1端末@[m])を#1端末に送信し、RN#2は、#2端末向け中継信号(図11に示す#2端末@[m])を#2端末に送信する。よって、#1端末が受信する信号には、#1端末向け中継信号(図11に示す#1端末@[m])と#2端末向け中継信号(図11に示す#2端末@[m])とが含まれる。
そこで、#1端末は、図11に示すように、DLサブフレーム[m+3]内の期間Aで取得した干渉信号(期間Cにおける干渉信号のレプリカ)、RN#1と#1端末との間のチャネル推定値、#1端末向け制御情報、及び、期間Bで取得したRN#2と#1端末との間のチャネル推定値を用いて、#1端末が期間Cで受信した信号から#2端末向け中継信号(図11に示す#2端末@[m]、つまり、干渉信号)を除去することにより、#1端末向け中継信号(図11に示す#1端末@[m]、つまり、所望信号)を得る。
このようにして、本実施の形態では、上位RN(中継装置300)は、自装置配下の端末に対するスケジューリングに基づいて、下位RN配下の端末に対するスケジューリング処理を行う。そして、上位RN(中継装置300)は、RN間の通信時(期間A又は期間B)に、自装置配下の端末向け制御情報及び下位RN配下の端末向け制御情報を含む中継信号を、下位RNに送信する。これにより、上位RNに接続している端末400は、期間A又は期間Bで、端末400向け制御情報及び下位RN配下の端末向け制御情報を干渉無く受信できる。
これにより、端末400は、端末400向け中継信号(所望信号)のマッピング位置及びMCSのみでなく、他の端末向け中継信号(干渉信号)のマッピング位置及びMCSも、干渉信号となる中継信号を実際に受信する時刻(期間C)よりも前に把握することができる。よって、端末400は、期間Cにおいて干渉信号となる信号を事前に取得した時点(期間A又は期間B)から干渉除去処理の準備(例えば、干渉信号のレプリカ生成処理又は干渉除去方法の選択処理等)を開始することができるため、所望信号を得るのに必要な受信処理時間を短縮することができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態1と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。さらに、本実施の形態によれば、端末は、干渉信号を除去するための、干渉信号に関する制御情報を確実に得ることができるため、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。
なお、本実施の形態において、図11では、奇数RN配下の端末400が、端末400向け制御情報を期間A(偶数RN配下の端末400の場合は期間B)で得て、その制御情報を期間Cで使用する場合について説明した。しかし、図11の場合に限らず、端末400は、期間Cにおいて上位RNから送信される端末400向け制御情報を得て、その制御情報を使用してもよい。同様に、本実施の形態では、奇数RN配下の端末400が、奇数RNと端末400との間のチャネル推定値を期間Aで得て、そのチャネル推定値を期間Cで使用する場合について説明した。しかし、これに限らず、端末400は、期間Cにおいて上位RNから送信される端末400向け中継信号からチャネル推定値を得て、そのチャネル推定値を使用してもよい。
また、本実施の形態では、端末が接続されるRNよりも下位となるRNが存在する場合について説明した。しかし、マルチホップ通信で使用される複数のRNのうち最下位RN(基地局から最も遠いRN)には下位のRNが存在しないため、最下位RNにのみ接続可能な端末では、最下位RN以外のRNから送信される信号による干渉は発生しない。よって、最下位RNに接続されている端末は、期間A又は期間Bでは何もせず、期間Cでは、最下位RNから送信される端末向け中継信号を受信すればよい。そして、端末は、期間Cにおいて、中継信号に含まれるプリアンブル信号を用いて算出される最下位RNと端末とのチャネル推定値、及び、中継信号に含まれる制御情報に含まれるマッピング位置及びMCSを用いて、中継信号(データ信号)を復調及び復号すればよい。また、マルチホップ通信で使用される複数のRNのうち最下位RNは、下位のRNが存在しないため、下位RN向けの中継信号を送信しない。
また、本実施の形態では、隣接する2つのRNのうち、上位RNが、下位RN配下の端末に対してスケジューリングを行う場合について説明した。しかし、マルチホップ通信を行う複数のRNのうち、最上位RN(又はマクロセル基地局)が、全てのRN(つまり、下位に位置する全てのRN)配下の端末に対するスケジューリングを行ってもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態において、端末が、自端末向け制御情報及び他の端末向け制御情報(干渉信号の制御情報)を用いて干渉除去処理を行う点は実施の形態2と同様であるが、端末が用いる制御情報の通知方法が実施の形態2と異なる。
一般に、上述したようなマルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)では、送信処理と受信処理とを切り替えるためのガード時間(ガードタイム)が設けられている。
例えば、或るDLサブフレーム内の期間A〜期間Cにおいて、隣接する奇数RN(上位RN)及び偶数RN(下位RN)が通信を行う場合を一例として説明する。この例では、奇数RNは、期間Aで中継信号を下位RNへ送信し、期間Bで中継信号を上位の装置から受信する。一方、偶数RNは、期間Aで中継信号を上位RNから受信し、期間Bで中継信号を下位RNへ送信する。すなわち、期間Aと期間Bとの間において、奇数RN及び偶数RN(つまり、全てのRN)では、送信処理と受信処理とが切り替わる。よって、期間Aと期間Bとの間には、いずれのRNでもガードタイムを設ける必要がある。
また、奇数RN及び偶数RNは、期間Cで中継信号を各RN配下の端末へ送信する。よって、期間Bと期間Cとの間において、奇数RNでは、送信処理と受信処理とが切り替わるのに対し、偶数RNでは、送信処理のままである。よって、奇数RNは期間Bと期間Cとの間にガードタイムを設ける必要がある。一方、偶数RNは期間Bと期間Cとの間にガードタイムを設ける必要がない。換言すると、期間Bと期間Cとの間のガードタイムに対応する期間では、奇数RNは、送受信処理の切替のため、信号を送信することができないのに対して、偶数RNは、送信処理のままであるので、信号を送信することができる。
このように、隣接する複数のRN(或る端末が接続可能な複数のRN)のうち一方のRN(上記例では奇数RN)における送受信処理の切替のために設けられるガードタイムでは、他方のRN(上記例では偶数RN)は、一方のRNからの信号による干渉を受けることなく、端末に対して信号を送信することができる。
また、本実施の形態に係る無線通信システムでは、ダウンリンクとアップリンク(Uplink)とがサブフレーム単位で交互に切り替わる。すなわち、DLサブフレームの直後(又は直前)にはアップリンクサブフレーム(以下、ULサブフレームという)が存在する。より具体的には、上述したDLサブフレーム内の期間A〜期間Cのうち、期間Cの後には、ULサブフレームが存在する。
そのため、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)では、ダウンリンクとアップリンクとを切り替える際にも、ガードタイムが設けられている。例えば、上述したDLサブフレームの後(つまり、期間Cの後)にガードタイムが設けられる。そして、ガードタイム中は、複数のRNは送受信処理を行わない。
よって、ダウンリンクとアップリンクとの間に設けられたガードタイムでは、隣接する複数のRN(或る端末が双方に接続可能なRN)のうち一方のRN(例えば、奇数RN)のみが信号を送信することで、他方のRN(例えば、偶数RN)からの信号による干渉を受けることなく、端末に対して信号を送信することができる。
そこで、本実施の形態では、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)において、或る端末が双方に接続可能な、隣接する2つの中継装置のうち、一方の中継装置は、他方の中継装置の送受信処理の切替のために設けられるガードタイムで自装置配下の端末向け制御情報を送信し、他方の中継装置は、ダウンリンクとアップリンクとの間に設けられるガードタイムで自装置配下の端末向け制御情報を送信する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。なお、本実施の形態では、ダウンリンクとアップリンクとがサブフレーム単位で切り替わり、DLサブフレームとULサブフレームとの間にガードタイム(第1のガードタイム)を設けるとともに、DLサブフレームm内の期間Bと期間Cとの間にガードタイム(第2のガードタイム)を設ける無線通信システムについて説明する。
図12は、本実施の形態に係る中継装置の構成を示すブロック図である。なお、図12に示す中継装置500において、実施の形態1(図2)と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
図12に示す中継装置500において、タイミング制御部501は、実施の形態1のタイミング制御部109の処理に加え、各DLサブフレーム内の期間Aと期間Bとの間、及び、期間Bと期間Cとの間にガードタイムを設け、DLサブフレームとULサブフレームとの間にガードタイムを設ける。
ただし、タイミング制御部501は、期間Bと期間Cとの間のガードタイム及びダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムのうちいずれか1つのガードタイムで、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信するように、第1メモリ103及び第2メモリ105の入出力タイミングを制御する。
例えば、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(中継装置500が奇数RNの場合)、タイミング制御部501は、タイミング制御部109と同様の処理に加え、期間Cの後、つまり、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムに対応する期間(以下、期間post−Cという)では、第2メモリ105に対して、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信処理部106へ出力するように指示(読み出し指示)し、第1メモリ103に対して、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
一方、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合、タイミング制御部501は、タイミング制御部109と同様の処理に加え、期間Bと期間Cとの間のガードタイムに対応する期間(以下、期間pre−Cという)では、第2メモリ105に対して、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信処理部106へ出力するように指示(読み出し指示)し、第1メモリ103に対して、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
次に、本実施の形態に係る端末について説明する。図13は、本実施の形態に係る端末の構成を示すブロック図である。なお、図13に示す端末600において、実施の形態1(図3)と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
図13に示す端末600において、タイミング制御部601は、実施の形態1のタイミング制御部214(図3)の処理に加え、期間Bと期間Cとの間のガードタイムに対応する期間pre−C、及び、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムに対応する期間post−Cの2つの期間のうちいずれか一方において端末600向け制御情報を受信し、他方において下位RN配下の端末向け制御情報を受信するように、第1メモリ203及び第2メモリ210の入出力タイミングを制御する。
例えば、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(Serving cellが奇数RNの場合)について説明する。この場合、タイミング制御部601は、期間Bと期間Cとの間のガードタイムに対応する期間(期間pre−C)では、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される下位RN配下の端末向け制御情報(つまり、干渉信号に関する制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部601は、期間pre−Cでは、第1メモリ203に下位RN配下の端末向け制御情報が格納されると、第1メモリ203に対して、下位RN配下の端末向け制御情報を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される下位RN配下の端末向け制御情報を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部601は、期間pre−Cでは、第2メモリ210に復号後の信号(期間Cで干渉信号となる信号)が格納されると、第2メモリ210に対して、干渉信号(下位RN配下の端末向け中継信号)及び下位RN配下の端末向け制御情報を受信処理部207(干渉除去部603)に出力するように指示(読み出し指示)する。
また、タイミング制御部601は、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムに対応する期間(期間post−C)では、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される端末600向け制御情報を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部601は、期間post−Cでは、第1メモリ203に端末600向け制御情報が格納されると、第1メモリ203に対して、端末600向け制御情報を受信処理部207(受信部602)に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207(受信部602)から入力される端末600向け制御情報を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(Serving cellが偶数RNの場合)には、タイミング制御部601は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間pre−Cの処理を期間post−Cで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間post−Cの処理を期間pre−Cで行う。つまり、奇数RNと偶数RNとの間では、タイミング制御部601での期間pre−C及び期間post−Cにおける処理の順序が入れ替わる。
受信処理部207の受信部602は、実施の形態1の受信部208の処理に加え、期間pre−C又は期間post−Cで、下位RN配下の端末(他の端末)向け制御情報が第1メモリ203から入力されると、下位RN配下の端末向け制御情報を復調及び復号する。これにより、受信部602は、干渉信号(下位RN配下の端末向け中継信号)のマッピング位置及びMCS等を取得する。そして、受信部602は、復号後の下位RN配下の端末向け制御情報を第2メモリ210に出力する。さらに、受信部602は、期間pre−C又は期間post−Cで、端末600向け制御情報が第1メモリ203から入力されると、端末600向け制御情報を復調及び復号する。これにより、受信部602は、端末600向け中継信号(所望信号)のマッピング位置及びMCS等を取得する。そして、受信部602は、復号後の端末600向け制御情報を第2メモリ210に出力する。
受信処理部207の干渉除去部603は、実施の形態1の干渉除去部209と同様にして、期間pre−C又は期間post−Cで、干渉信号(下位RN配下の端末向け中継信号)及び下位RN配下の端末向け制御情報が第2メモリ210から入力されると、下位RN配下の端末向け制御情報を用いて、干渉信号を符号化及び変調する。そして、干渉除去部603は、変調後の干渉信号(期間Cにおける干渉信号のレプリカ)を保持する。そして、干渉除去部603は、実施の形態1と同様にして、変調後の干渉信号、上位RNと端末600との間のチャネル推定値、下位RNと端末600との間のチャネル推定値、及び、端末600向け制御情報(所望信号のマッピング位置及びMCS)を用いて、期間Cで受信した信号から干渉信号を除去することにより、端末600向け中継信号(所望信号)を得る。
次に、本実施の形態に係る中継装置500及び端末600における処理の詳細について説明する。
以下の説明では、3つ以上のRNによりマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図14では、3つ以上のRNのうち、2つのRN1及びRN2のみを示す。また、図14に示すRN1とRN2との間では、RN1が上位RNであり、RN2が下位RNである。また、図14では、RN1にはMS1が接続され、RN2にはMS2が接続されている。なお、図14に示すRN1及びRN2は図12に示す中継装置500の構成を備え、MS1及びMS2は図13に示す端末600の構成を備える。
また、図14では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
なお、ここでは、RN1に接続しているMS1(RN1配下のMS1)における干渉除去処理に着目して説明する。
図14に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、RN1は、下位RNであるRN2配下の端末(MS2)向け中継信号を、RN2へ送信し、RN2は、RN2配下の端末(MS2)向け中継信号を受信する。このとき、RN1とRN2との間に位置するMS1(RN1配下の端末)は、RN1からRN2へ送信された、RN2配下の端末(MS2)向け中継信号を受信する。これにより、MS1は、実施の形態1と同様、MS2向け中継信号(期間Cで干渉信号となる信号)、及び、RN1とMS1との間のチャネル推定値を取得する。
次いで、RN1及びRN2(タイミング制御部501)は、図14に示す期間Aと期間Bとの間にガードタイムを設ける。
次いで、図14に示すDLサブフレーム内の期間Bでは、RN1は、上位の装置(図14ではMeNB)からRN1配下のMS1向け中継信号を受信する。一方、RN2は、下位RNであるRN3配下のMS3(図示せず)向け中継信号を、RN3へ送信する。このとき、MS1は、RN2からRN3へ送信された、RN3配下のMS3向け中継信号を受信する。これにより、MS1は、実施の形態1と同様、RN2とMS1との間のチャネル推定値(期間Cにおける干渉信号に関するチャネル推定値)を取得する。
次いで、RN1(タイミング制御部501)は、図14に示す期間Bと期間Cとの間にガードタイム(期間pre−C)を設ける。一方、RN2は、RN1が設けたガードタイムに対応する期間pre−Cにおいて、RN2配下のMS2向け制御情報をMS2へ送信する。このとき、MS1は、RN2からMS2へ送信された、MS2向け制御情報(期間Cにおける干渉信号の制御情報)を受信する。
ここで、図14に示す期間pre−Cでは、RN1は、期間B(受信処理)及び期間C(送信処理)の送受信処理の切替のため何もしない(ガードタイムを設ける)。これに対して、図14に示す期間pre−Cでは、RN2は、期間B及び期間Cの双方が送信処理であるため、期間pre−Cでも信号を送信することができる。よって、図14に示す期間pre−Cでは、MS1は、RN1からの信号による干渉を受けることなく、RN2からの信号(干渉信号の制御情報)を受信することができる。そして、MS1(干渉除去部603)は、期間pre−Cにおいて、期間pre−Cで取得した干渉信号の制御情報を用いて、期間Aで取得した干渉信号(MS2向け中継信号)を符号化及び変調することにより、変調後の干渉信号(期間Cにおける干渉信号のレプリカ)を得る。
次いで、図14に示すDLサブフレーム内の期間Cでは、RN1は、RN1配下のMS1向け中継信号をMS1に送信し、RN2は、RN2配下のMS2向け中継信号をMS2に送信する。よって、図14に示すように、MS1は、RN1からのMS1向け中継信号(所望信号)及びRN2からのMS2向け中継信号(干渉信号)を含む信号を受信する。
次いで、図14に示す期間Cの後、つまり、DLサブフレームとULサブフレーム(図示せず)との間のガードタイムに対応する期間post−Cでは、RN1は、RN1配下のMS1向け制御情報をMS1へ送信する。そして、MS1は、RN1からMS1へ送信された、MS1向け制御情報(所望信号の制御情報)を受信する。一方、RN2(タイミング制御部501)は、図14に示すDLサブフレームとULサブフレーム(図示せず)との間にガードタイム(期間post−C)を設ける。
ここで、図14に示す期間post−Cでは、RN2は、ダウンリンクとアップリンクとの切替のため何もしない(ガードタイムを設ける)。これに対して、図14に示す期間post−Cでは、RN1はRN1配下の端末向け制御情報を送信する。よって、期間pre−Cと同様、図14に示す期間post−Cでは、MS1は、RN2からの信号による干渉を受けることなく、RN1からの信号(所望信号の制御情報)を受信できる。
そして、図14に示すMS1(干渉除去部603)は、実施の形態1と同様にして、期間Aで取得した干渉信号(期間pre−Cで変調された干渉信号)、期間Aで取得したRN1とMS1との間のチャネル推定値(所望信号に関するチャネル推定値)、期間Bで取得したRN2とMS1との間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)、期間post−Cで取得した所望信号の制御情報(MS1向け制御情報)を用いて、期間Cで受信した信号から、期間CでRN2が送信した干渉信号(MS2向け中継信号)を除去することにより、所望信号(MS1向け中継信号)を得る。
なお、ここでは、奇数RN(RN1)配下の端末600(MS1)について説明した。これに対し、偶数RN(RN2)配下の端末600(MS2)の場合には、奇数RN配下の端末における期間A及び期間pre−Cでの処理を、期間B及び期間post−Cで行い、奇数RN配下の端末における期間B及び期間post−Cでの処理を、期間A及び期間pre−Cで行えばよい。
例えば、図14に示すRN2(偶数RN)配下のMS2は、期間AではRN3(図示せず)から送信されるRN4配下の端末向け中継信号を受信して、RN3とMS2との間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、MS2は、期間BではRN2から送信されるRN3配下のMS3向け中継信号を受信して、MS2に対する干渉信号、及び、RN2とMS2との間のチャネル推定値(所望信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、MS2は、期間pre−CではRN2から送信されるMS2向け制御情報(所望信号の制御情報)を取得する。また、MS2は、期間post−CではRN3(図示せず)から送信されるMS3向け制御情報(干渉信号の制御情報)を取得する。これにより、奇数RN配下の端末(図14ではMS1)と同様にして、偶数RN配下の端末(図14ではMS2)は、期間Cで受信した信号から干渉信号を除去することにより、所望信号を得ることができる。
このようにして、本実施の形態では、中継装置500(全てのRN)は、期間Bと期間Cとの間のガードタイム(送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間pre−C))、又は、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイム(ダウンリンクとアップリンクとの切替のために設けられるガードタイム(期間post−C))のうちいずれか一方で、中継装置500配下の端末向け制御情報を送信する。そして、端末600は、期間Bと期間Cとの間のガードタイム、又は、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムにおいて、上位RNから送信される端末600向け制御情報(所望信号の制御情報)、及び、下位RNから送信される他の端末向け制御情報(干渉信号の制御情報)をそれぞれ受信する。
具体的には、期間Bと期間Cとの間のガードタイムでは、端末600は、送受信処理の切替が不要である中継装置(図14では偶数RN)からの制御情報を、送受信処理の切替が必要である中継装置(図14では奇数RN)からの信号による干渉を受けずに、受信することができる。
同様に、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムでは、端末600は、端末600が接続可能な隣接する2つの中継装置のうち一方の中継装置(つまり、期間Bと期間Cとの間でガードタイムを設ける必要がある中継装置。図14では奇数RN)からの制御情報を、他方の中継装置(図14では偶数RN)からの信号による干渉を受けずに、受信することができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態1と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。さらに、本実施の形態によれば、端末は、中継装置における送受信処理の切替、又は、ダウンリンクとアップリンクとの切替のためのガードタイムを、制御情報の通信に利用することで、干渉信号に関する制御情報を確実に得ることができる。このため、本実施の形態では、実施の形態2と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。
なお、本実施の形態では、例えば図14に示す期間pre−C及び期間post−Cにおいて、所望信号及び干渉信号の制御情報(マッピング位置及びMCS等)を送信する場合について説明した。しかし、例えば図14に示す期間pre−C及び期間post−Cでは、マッピング位置及びMCS等の制御情報に限らず、他のデータを送信してもよい。例えば、期間pre−C及び期間post−Cで送信する情報としては、マルチホップ通信ネットワークの構成の変更を通知する情報(変更後のRN数又は新たに追加されたRNのRN番号)、中継信号のデータ種別を示す情報、ハンドオーバの通知、チャネル推定を行うための既知信号、又は、干渉レベルを示す情報等が挙げられる。
(実施の形態4)
実施の形態1〜3では、ダウンリンクにおけるマルチホップ通信について説明したのに対し、本実施の形態では、アップリンクにおけるマルチホップ通信について説明する。
以下の説明では、図15に示すように、アップリンクにおいて、複数の中継装置と端末との間での通信のための期間A’と、複数の中継装置間での通信のための期間B’及び期間C’とを含むサブフレーム(ULサブフレーム)単位で、かつ、同一の周波数で、基地局及び端末が複数の中継装置を介して通信を行う無線通信システムについて説明する。
また、図15に示すULサブフレーム内の期間B’及び期間C’では、DLサブフレーム内の期間A及び期間Bと同様にして、複数の中継装置において、隣接する2つの中継装置が互いに異なる期間(つまり、期間B’及び期間C’のいずれか一方)でそれぞれ送信処理を行う。また、図15に示すULサブフレーム内の期間A’では、各端末置が、Serving cellである中継装置への送信を同時に行う。
また、以下の説明では、隣接する2つの中継装置のうち、端末と基地局(マクロセル基地局)との間の信号(アップリンク信号)の伝達方向において、より上位に位置する中継装置を上位RNと呼び、より下位に位置する中継装置を下位RNと呼ぶ。例えば、基地局からの距離の順に複数の中継装置が多段に接続されている場合、隣接する2つの中継装置のうち、基地局(マクロセル基地局)により遠い中継装置を上位RNとし、より近い中継装置を下位RNとする。つまり、ダウンリンクとアップリンクとでは、上位RNと下位RNとの関係が入れ替わる。例えば、図15に示すように、隣接する2つの中継装置RN1及びRN2のうち、アップリンク信号の伝達方向においてより上位に位置するRN2(基地局を上位RNとし、信号の伝達方向においてより下位に位置するRN1を下位RNとする。
また、以下の説明では、実施の形態1と同様、基地局と直接通信を行う中継装置、例えば、基地局に最も近い中継装置(最下位RN)のRN番号を1(奇数)とし、RN番号1の中継装置よりも上位の中継装置のRN番号を順に2,3,4,…とする。すなわち、基地局と端末との間の通信を中継する複数の中継装置のRN番号は、最下位RNから順に奇数と偶数とが入れ替わる。なお、最下位RNのRN番号を偶数(例えばRN番号を0)とし、RN番号0の中継装置よりも上位の中継装置のRN番号を順に1,2,3,…としてもよい。
また、以下の説明では、奇数RN(図15ではRN1及びRN3)は、期間B’で、下位RN(又はマクロセル基地局)への中継信号を送信し、偶数RN(図15ではRN2)は、期間C’で、下位RNへの中継信号を送信する。換言すると、偶数RNは、期間B’で、上位RNからの中継信号を受信し、奇数RNは、期間C’で、上位RNからの中継信号を受信する。
上記無線通信システムにおいて、本実施の形態に係る端末(例えば、選択部)は、実施の形態1と同様にして、隣接するRNの双方に接続可能な場合には、隣接する複数のRN(図15では2つのRN)のうち、より上位となるRN(基地局と端末との間の信号の伝達方向において上位に位置するRN。つまり、基地局により遠いRN)との接続を選択(つまり、Serving cellとして選択)する。例えば、図15に示すように、MS1は、RN1及びRN2の双方に接続可能である。また、RN1とRN2との間では、RN1が下位RNとなり、RN2が上位RNとなる。そこで、MS1は、RN1及びRN2のうち、より上位であるRN2との接続を選択する。図15に示すMS2についても同様である。
そして、本実施の形態に係る端末は、ULサブフレーム内の期間A’において、Serving cellとして選択した中継装置に対して、基地局向けの信号を送信する。
一方、本実施の形態に係る中継装置(例えば、受信部)は、期間A’において、端末から送信される信号を受信する。ただし、この信号には、自装置配下の端末からの信号(所望信号)のみでなく、上位RN配下の端末からの信号(干渉信号)も含まれる。また、中継装置(例えば、受信部)は、期間B’又は期間C’において、上位RNから自装置へ送信される中継信号(自装置配下の端末以外の他の端末から送信された基地局向け信号)を受信する。つまり、中継装置は、期間B’又は期間C’(中継装置間の通信)において、期間A’で自装置に対する干渉信号となる信号を含む中継信号を受信する。
そして、中継装置(例えば、干渉除去部)は、期間B’又は期間C’で受信した、中継信号(上位RN配下の端末から送信された基地局向け信号)(つまり、期間A’での干渉信号)、及び、自装置配下の端末向け制御情報を用いて、期間A’で受信した信号から、期間A’で上位RN配下の端末から送信された信号(干渉信号)を除去することにより、自装置配下の端末から送信された信号(所望信号)を得る。なお、中継装置は、自装置配下の端末に対して自装置配下の端末向け制御情報を通知している(つまり、自装置配下の端末向け制御情報は既知である)。また、中継装置は、上位RNに対して、上位RN配下の端末向けの制御情報を通知している。
次に、本実施の形態に係る中継装置及び端末における処理の詳細について説明する。
上述したように、図15では、RN2にMS1が接続され、RN3にMS2が接続される。
なお、ここでは、図15に示すRN2における干渉除去処理に着目して説明する。
図15に示すように、ULサブフレーム内の期間A’では、MS1は、Serving cellであるRN2に対して、基地局向けの信号11を送信し、MS2は、Serving cellであるRN3に対して、基地局向けの信号12を送信する。よって、期間A’では、RN2は、MS1からの信号11(所望信号)及びMS2からの信号12(干渉信号)を含む信号を受信する。
次いで、図15に示すように、DLサブフレーム内の期間B’では、RN1及びRN3(奇数RN)は、下位の装置(RN1の場合はマクロセル基地局、RN3の場合はRN2)に対して中継信号を送信する。なお、図15に示すように、RN3から送信される中継信号には、RN3に接続されたMS2から期間A’で送信された信号12、及び、RN3よりも上位に位置するRN(図示せず)に接続された端末から送信された基地局向けの信号13が含まれる。
ここで、図15に示すRN2は、期間B’において、期間A’で干渉信号となる信号12を含む中継信号(信号12及び信号13)を受信する。そこで、RN2は、実施の形態1の端末と同様にして、中継信号(信号12及び信号13)に含まれる制御情報(例えば、図6に示す制御情報)を用いて、信号12に含まれるデータ信号に対して復調及び復号を行い、復号後の信号(期間A’での干渉信号)を得る。次いで、RN2は、復号後の干渉信号に対して符号化及び変調を行い、変調後の干渉信号(つまり、期間A’における干渉信号のレプリカ)を生成する。そして、RN2は、期間B’で生成した干渉信号のレプリカ、及び、MS1向け制御情報(既知の情報)を用いて、期間A’で受信した信号(信号11及び信号12を含む信号)から、干渉信号である信号12を除去することにより、RN2配下のMS1から送信された信号11を得る。
そして、図15に示すULサブフレーム内の期間C’では、RN2(偶数RN)は、下位RNであるRN1に対して中継信号を送信する。なお、図15に示すように、RN2から送信される中継信号には、期間B’で上位RNであるRN3から受信した信号12及び信号13と、期間B’で得られた信号11(干渉除去後の信号11)とが含まれる。
このようにして、本実施の形態に係る端末は、隣接するRNの双方に接続可能な場合には、隣接する複数のRN(図15では2つのRN)のうち、より上位となるRN(基地局と端末との間の信号の伝達方向においてより上位に位置するRN。つまり、アップリンクでは基地局に最も遠いRN)をServing cellとして選択する。これにより、図15に示す期間B’及び期間C’において各RNが受信する信号(RN間で通信される信号)は、各RNよりも上位に位置するRN配下の端末からの基地局宛ての信号、つまり、各RN配下の端末以外の他の端末向けの信号である。つまり、図15に示す期間B’及び期間C’において各RNが受信する信号は、期間A’において各RNに対して干渉信号となり得る信号を含んでいる。例えば、図15に示すRN2は、ULサブフレーム内の期間B’で、期間A’において干渉信号となる信号12を得る。
ここで、実施の形態1(DLサブフレーム)と同様、ULサブフレームでは、図15に示すように、RN間での通信のための期間(期間B’及び期間C’)では、隣接するRNは、互いに異なる期間で同一周波数を用いて中継信号の送信処理をそれぞれ行う。例えば、図15に示すように、奇数RN(RN1及びRN3)は、期間B’で、周波数f1を用いて中継信号を送信するのに対して、偶数RN(RN2)は、期間B’とは異なる期間C’で、周波数f1を用いて、中継信号を送信する。つまり、隣接する2つのRNは、中継信号を期間B’と期間C’とで時分割して直交化している。よって、各RNは、期間B’及び期間C’のいずれか一方で、隣接するRNからの干渉を受けることなく、中継信号を下位RNへ送信することができる。
これにより、各RNは、期間A’において干渉信号となる、上位RN配下の端末から送信される基地局向け信号(図15ではRN2に対する信号12)を、期間B’又は期間C’で干渉無く受信することができる。つまり、端末が、接続可能な上位RN及び下位RNのうち、上位RNとの接続を選択することで、下位RNは、下位RNに対して干渉信号となる信号(上位RN配下の端末の基地局向け信号)を、上位RNからの中継信号として干渉無く受信できる。
よって、本実施の形態に係る中継装置は、複数のRNと端末との間での通信のための期間(図15に示す期間A’)以外の時刻(期間B’又は期間C’)で、その中継装置に対する干渉信号を把握することができる。これにより、中継装置は、把握した干渉信号を用いて、期間A’で受信した信号から干渉信号を除去することができる。
このようにして、本実施の形態によれば、アップリンクにおいても、実施の形態1と同様にして、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、中継装置に接続されている端末からの信号に対する、他の中継装置に接続されている端末からの信号による干渉を低減させることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、さらに、実施の形態2と同様にして、アップリンクにおいて、或る端末が2つの中継装置に接続可能である場合に、2つの中継装置のうち下位RNが、自装置に接続している端末向けの制御情報を用いて、上位RNに接続している端末向けの制御情報を生成(スケジューリング)する場合について説明する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
本実施の形態に係る中継装置(例えば、スケジューリング部)は、ダウンリンクにおいては、実施の形態2と同様、自装置配下の端末に対するスケジューリングに基づいて、ダウンリンクにおける下位RN(つまり、自装置よりも基地局から遠いRN)配下の端末に対するスケジューリング処理を行う。一方、中継装置(例えば、スケジューリング部)は、アップリンクにおいて、自装置配下の端末に対するスケジューリングに基づいて、アップリンクにおける上位RN(つまり、自装置よりも基地局から遠いRN)配下の端末に対するスケジューリング処理を行う。つまり、中継装置(例えば、スケジューリング部)は、ダウンリンク及びアップリンクのいずれにおいても、自装置配下の端末向け制御情報を用いて、自装置よりも基地局から遠い中継装置(ダウンリンクでは下位RNとなり、アップリンクでは上位RNとなる中継装置)配下の端末向け制御情報を生成する。
そして、中継装置は、ダウンリンクにおけるRN間の通信時(例えば、図9に示す期間A又は期間B)に、ダウンリンク及びアップリンクの自装置配下の端末向け制御情報、及び、ダウンリンク及びアップリンクの他の中継装置(ダウンリンクでは下位RN、アップリンクでは上位RN)配下の端末向け制御情報を含む中継信号を送信する。
本実施の形態に係る端末(例えば、選択部)は、ダウンリンク及びアップリンクにおいて、実施の形態1及び実施の形態4と同様にして、接続可能な複数の中継装置が存在する場合、上位RN(信号の伝達方向においてより上位に位置する中継装置)との接続を選択する。例えば、端末は、ダウンリンクでは、接続可能な複数の中継装置のうち、基地局により近い中継装置(ダウンリンク信号の伝達方向においてより上位に位置する中継装置)との接続を選択する。一方、端末は、アップリンクでは、接続可能な複数の中継装置のうち、基地局により遠い中継装置(アップリンク信号の伝達方向においてより上位に位置する中継装置)との接続を選択する。
また、本実施の形態に係る端末(例えば、タイミング制御部)は、実施の形態2と同様にして、ダウンリンクにおけるRN間の通信時(例えば、図9に示す期間A又は期間B)に、ダウンリンク及びアップリンクの自端末向け制御情報、及び、ダウンリンク及びアップリンクの他の端末向け制御情報を含む中継信号を受信するように、入出力タイミングを制御する。
次に、本実施の形態に係る中継装置におけるスケジューリング処理の詳細について説明する。
以下の説明では、図16に示すように、4つのRN#1〜#4によりマルチホップ通信を行う場合について説明する。また、図16では、RN#1がマクロセル基地局に最も近く、RN#4がマクロセル基地局に最も遠い。よって、図16に示すように、ダウンリンク信号の伝達方向は、RN#1からRN#4への方向となり、アップリンク信号の伝達方向は、RN#4からRN#1への方向となる。すなわち、ダウンリンクでは、RN#1が最上位RNであり、RN#4が最下位RNである。また、アップリンクでは、RN#4が最上位RNであり、RN#1が最下位RNである。
よって、図16において、ダウンリンクでは、MS1は、接続可能なRN#1及びRN#2のうち、ダウンリンクにおける上位RNであるRN#1に接続される。同様に、ダウンリンクでは、MS2は、接続可能なRN#2及びRN#3のうち、ダウンリンクにおける上位RNであるRN#2に接続される。MS0、MS3、MS4についても同様である。
一方、図16において、アップリンクでは、MS1は、接続可能なRN#1及びRN#2のうち、アップリンクにおける上位RNであるRN#2に接続される。同様に、アップリンクでは、MS2は、接続可能なRN#2及びRN#3のうち、アップリンクにおける上位RNであるRN#3に接続される。MS0、MS3についても同様である。なお、アップリンクでは、図16に示すRN#4よりも上位のRN(RN4よりも基地局から遠いRN)は存在しないため、MS4はRN#4に接続される。
なお、ここでは、図16において、RN#1(奇数RN)がDLサブフレーム[m]で、ダウンリンク(DL)におけるRN#1配下のMS1向け制御情報(DL制御情報)及びアップリンク(UL)におけるRN#1配下のMS0向け制御情報(UL制御情報)を受信してから、その制御情報を端末に反映するまでの処理に着目して説明する。
図16において、ダウンリンクにおける中継装置のスケジューリング処理は、実施の形態2と同様である。すなわち図16に示すサブフレーム[m]では、RN#1は、RN#1配下のMS1向けDL制御情報を用いて、RN#2配下のMS2向けDL制御情報を生成する。同様に、図16に示すサブフレーム[m+1]では、RN#2は、RN#2配下のMS2向けDL制御情報を用いて、RN#3配下のMS3向けDL制御情報を生成する。図16に示すサブフレーム[m+2]におけるRN#4ついても同様である。
これに対して、アップリンクにおける中継装置のスケジューリング処理は以下のようになる。具体的には、図16に示すサブフレーム[m]では、RN#1は、マクロセル基地局から、RN#1配下のMS0向けUL制御情報を受信する。そこで、RN#1は、RN#1配下のMS0向けUL制御情報を用いて、アップリンクにおけるRN#1の上位RNであるRN#2配下のMS1に対するスケジューリング処理を行う。これにより、RN#1は、RN#2配下のMS1向けUL制御情報を得る。同様に、図16に示すサブフレーム[m+1]では、RN#2は、RN#1から送信されるRN#2配下のMS1向けUL制御情報を用いて、アップリンクにおけるRN#2の上位RNであるRN#3配下のMS2向けUL制御情報を生成する。図16に示すサブフレーム[m+2]におけるRN#3についても同様である。
そして、図16に示すサブフレーム[m+3]では、RN#1〜RN#4の全てのRNは、サブフレーム[m]〜[m+2]でそれぞれ決定されたスケジューリング結果に基づいて、各RN配下の端末(図16ではMS0〜MS4)との通信を行うことで、端末に対してスケジューリング結果を反映する。
このように、本実施の形態では、中継装置は、自装置配下の端末に対するスケジューリングに基づいて、自装置よりも基地局から遠い隣接する中継装置(ダウンリンクでは下位RN、アップリンクでは上位RN)配下の端末に対するスケジューリング処理を行う。
これにより、ダウンリンクでは、実施の形態2と同様、端末は、自端末向け中継信号(所望信号)のマッピング位置及びMCSのみでなく、他の端末向け中継信号(干渉信号)のマッピング位置及びMCSも、干渉信号となる中継信号を実際に受信する時刻(例えば、図9に示す期間C)よりも前に干渉無く受信できる。よって、端末は、干渉信号となる信号を事前に取得した時点から干渉除去処理の準備(例えば、干渉信号のレプリカ生成処理又は干渉除去方法の選択処理等)を開始することができるため、所望信号を得るのに必要な受信処理時間を短縮することができる。
また、アップリンクでは、中継装置は、アップリンクにおける上位RN配下の端末向け制御情報を生成する。これにより、中継装置は、自装置に対して干渉信号となる信号を送信する端末向け制御情報を把握することができる。例えば、図16に示すRN#2は、アップリンクにおける上位RNであるRN#3に接続されるMS2向け制御情報を生成する。これにより、図16に示すRN#2は、RN#2配下のMS1からの信号を受信する際の干渉信号、つまり、MS2からの信号の制御情報を確実に得ることができる。
このようにして、本実施の形態によれば、ダウンリンクでは、実施の形態2と同様、端末は、干渉信号を除去するための、干渉信号に関する制御情報を確実に得ることができるため、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。また、本実施の形態によれば、アップリンクでは、中継装置は、自装置に対して干渉信号となる信号を送信する端末向けの制御情報を生成する。このため、本実施の形態によれば、中継装置は、自装置配下の端末から送信される信号に対する、他の中継装置配下の端末から送信される信号による干渉を確実に低減させることができる。
なお、本実施の形態では、ダウンリンクでのスケジューリングとアップリンクでのスケジューリングをダウンリンク及びアップリンクのそれぞれで実施する場合を一例として説明した。しかし、これに限らず、例えば、ダウンリンクで次のアップリンク及びダウンリンクの双方のスケジューリングを同時に実施してもよく、アップリンクで次のダウンリンク及びアップリンクの双方のスケジューリングを同時に実施してもよい。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4と同様、アップリンクにおけるマルチホップ通信において、実施の形態3と同様にして端末が、Serving cell以外の中継装置に対して、自端末の制御情報(通知先の中継装置に対する干渉信号の制御情報)を通知する場合について説明する。
なお、以下の説明では、実施の形態4と同様、ULサブフレーム内の期間A’〜期間C’において、奇数RNは、期間B’で、下位RN(又はマクロセル基地局)への中継信号を送信し、偶数RNは、期間C’で、下位RNへの中継信号を送信する。
また、DLサブフレームと同様、ULサブフレームでも、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)では、送信処理と受信処理とを切り替えるためのガード時間(ガードタイム)が設けられている。
例えば、ここでは、奇数RNは、期間B’で中継信号を下位の装置へ送信し、期間C’で中継信号を上位RNから受信する。一方、偶数RNは、期間B’で中継信号を上位RNから受信し、期間C’で中継信号を下位の装置へ送信する。すなわち、期間B’と期間C’との間において、奇数RN及び偶数RN(つまり、全てのRN)では、送信処理と受信処理とが切り替わる。よって、期間B’と期間C’との間には、いずれのRNでもガードタイムを設ける必要がある。
また、奇数RN及び偶数RNは、期間A’で各RN配下の端末から送信される基地局向け信号(中継信号)を受信する。よって、期間A’と期間B’との間において、奇数RNでは、受信処理と送信処理とが切り替わるのに対し、偶数RNでは、受信処理のままである。よって、奇数RNは期間A’と期間B’との間にガードタイムを設ける必要がある。一方、偶数RNは期間A’と期間B’との間にガードタイムを設ける必要がない。換言すると、期間A’と期間B’との間のガードタイムに対応する期間では、奇数RNは、送受信処理の切替のため、信号を受信することができないのに対して、偶数RNは、受信処理のままであるので、信号を受信することができる。
つまり、隣接する複数のRN(或る端末が接続可能な複数のRN)のうち一方のRN(上記例では奇数RN)における送受信処理の切替のために設けられるガードタイムでは、他方のRNは、自装置配下の端末のみでなく、自装置以外のRN配下の端末からの信号も受信することができる。
また、実施の形態3で説明したように、本実施の形態に係る無線通信システムでは、ダウンリンクとアップリンクとがサブフレーム単位で交互に切り替わる。そのため、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)では、ダウンリンクとアップリンクとを切り替える際にも、ガードタイムが設けられている。すなわち、上述したULサブフレームの直後(又は直前)にはDLサブフレームが存在し、例えば、ULサブフレーム内の期間A’〜期間C’のうち、期間A’の前には、DLサブフレームとの切替のためのガードタイムが設けられている。
よって、実施の形態3と同様、ダウンリンクとアップリンクとの間に設けられたガードタイムでは、隣接する複数のRN(或る端末が接続可能な複数のRN)のうち一部のRNが、端末からの信号を受信することも可能である。
そこで、本実施の形態では、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)において、隣接する2つの中継装置配下の各端末のうち、一方の中継装置配下の端末は、接続している中継装置の送受信処理の切替のために設けられるガードタイムで自端末に関する制御情報を送信し、他方の中継装置配下の端末は、ダウンリンクとアップリンクとの間に設けられるガードタイムで自端末に関する制御情報を送信する。
また、マルチホップ通信を構成する複数の中継装置(RN)において、隣接する2つの中継装置のうち、一方の中継装置は、他方の中継装置の送受信処理の切替のために設けられるガードタイムで他方の中継装置配下の端末からの制御情報を受信し、他方の中継装置は、ダウンリンクとアップリンクとの間に設けられるガードタイムで一方の中継装置配下の端末からの制御情報を受信する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。なお、本実施の形態では、ダウンリンクとアップリンクとがサブフレーム単位で切り替わり、DLサブフレームとULサブフレームとの間にガードタイムを設けるとともに、ULサブフレーム内の期間A’と期間B’との間にガードタイムを設ける無線通信システムについて説明する。
上記無線通信システムにおいて、本実施の形態に係る中継装置は、実施の形態4における中継装置の処理に加え、各ULサブフレーム内の期間A’と期間B’との間(期間post−A’)、及び、期間B’と期間C’との間にガードタイムを設け、DLサブフレームとULサブフレームとの間(期間pre−A’)にガードタイムを設ける。ただし、中継装置は、期間A’と期間B’との間のガードタイム(期間post−A’)、及び、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイム(期間pre−A’)のうちいずれか1つのガードタイムにおいて、上位RN配下の端末からの制御情報(つまり、干渉信号の制御情報)を受信する。なお、中継装置は、自装置配下の端末に対して、各端末に関する制御情報(UL制御情報)を通知している(つまり、自装置配下の端末向けの制御情報は既知である)。また、中継装置は、上位RNに対して、上位RN配下の端末向けの制御情報を通知している。
そして、中継装置は、期間pre−A’又は期間post−A’で受信した、上位RN配下の端末からの制御情報(干渉信号の制御情報)を復調及び復号する。これにより、中継装置は、干渉信号(上位RN配下の端末からの中継信号)のマッピング位置及びMCS等を取得する。なお、中継装置では、自装置配下の端末向けの制御情報(所望信号の制御情報)は既知であるため、所望信号(自装置配下の端末からの中継信号)のマッピング位置及びMCS等を把握している。よって、中継装置は、実施の形態4と同様にして、期間pre−A’又は期間post−A’で受信した上位RN配下の端末からの制御情報を用いて、期間B’又は期間C’で受信した中継信号に含まれる干渉信号を符号化及び変調する。そして、中継装置は、変調後の干渉信号(干渉信号のレプリカ)、及び、自装置配下の端末向けの制御情報(所望信号の制御情報)を用いて、期間A’で受信した信号から干渉信号を除去することにより、自装置配下の端末から送信された中継信号(所望信号)を得る。
本実施の形態に係る端末は、実施の形態4における端末の処理に加え、期間A’と期間B’との間のガードタイムに対応する期間(以下、期間post−A’という)、及び、期間A’の直前、つまり、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムに対応する期間(以下、期間pre−A’という)の2つの期間のうちいずれか一方において、自端末に関する制御情報を送信する。例えば、端末は、Serving cellが期間post−A’にガードタイムを設ける場合には、期間post−A’で自端末に関する制御情報を送信する。また、端末は、Serving cellが期間post−A’にガードタイムを設けない場合には、期間pre−A’で自端末に関する制御情報を送信する。なお、各端末では、自端末に関する制御情報(UL制御情報)は、Serving cellから通知される。
次に、本実施の形態に係る中継装置及び端末における処理の詳細について説明する。
以下の説明では、3つ以上のRNによりアップリンクにおけるマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図17では、3つ以上のRNのうち、2つのRN#1及びRN2のみを示す。また、図17に示すRN1とRN2との間では、RN1が下位RNであり、RN2が上位RNである。また、図17では、RN1にはMS0(図示せず)が接続され、RN2にはMS1が接続されている。また、図17に示すMS2はRN3(図示せず)に接続されている。
また、図17では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
図17に示す期間pre−A’では、RN2配下のMS1は、MS1に関する制御情報を送信する。なお、MS1には、MS1に関する制御情報がServing cellであるRN2から通知される。また、RN2には、MS1に関する制御情報が下位RN(つまり、基地局により近いRN)から通知される。そして、期間pre−A’では、RN1は、MS1に関する制御情報を受信する。つまり、RN1は、期間pre−A’において、期間A’で干渉信号の送信元となるMS1に関する制御情報(干渉信号の制御情報)を受信できる。そして、RN1は、期間pre−A’で受信したMS1に関する制御情報を用いて、RN1とMS1との間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、期間pre−A’では、RN2は、ガードタイムを設けるため、MS1に関する制御情報を受信しない。
次いで、図17に示す期間A’では、RN1は、RN1配下のMS0からの中継信号を受信し、RN2は、RN2配下のMS1からの中継信号を受信する。ただし、RN1が期間A’で受信する信号には、MS0からの中継信号(所望信号)の他に、RN2配下のMS1からの中継信号(干渉信号)も含まれる。同様に、RN2が期間A’で受信する信号には、MS1からの中継信号(所望信号)の他に、RN3配下のMS2からの中継信号(干渉信号)も含まれる。
次いで、図17に示す期間post−A’では、RN3(図示せず)配下のMS2は、MS2に関する制御情報を送信する。なお、MS2には、MS2に関する制御情報がServing cellであるRN3(図示せず)から通知される。また、RN3(図示せず)には、MS2に関する制御情報が下位RN(つまり、基地局により近いRN)から通知される。そして、期間post−A’では、RN2は、MS2に関する制御情報を受信する。つまり、RN2は、期間post−A’において、期間A’で干渉信号の送信元となるMS2に関する制御情報(干渉信号の制御情報)を受信できる。そして、RN2は、期間post−A’で受信したMS2に関する制御情報を用いて、RN2とMS2との間のチャネル推定値(干渉信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、期間post−A’では、RN1は、ガードタイムを設ける。
図14に示す期間B’では、奇数RNであるRN1は、下位の装置であるマクロセル基地局に対して中継信号を送信する。また、奇数RNであるRN3(図示せず)は、下位RNであるRN2に対して中継信号を送信する。また、図14に示す期間C’では、偶数RNであるRN2は、下位RNであるRN1に対して中継信号を送信する。これにより、実施の形態4と同様、RN1は、期間A’での干渉信号(RN2配下のMS1から送信された信号)を、期間C’で受信した中継信号から抽出する。同様に、RN2は、期間A’での干渉信号(RN3配下のMS2から送信された信号)を、期間B’で受信した中継信号から抽出する。これにより、RN1及びRN2は、期間pre−A’又は期間post−A’で取得した干渉信号の制御情報を用いて、期間A’における干渉信号のレプリカを取得する。
そして、図17に示すRN1及びRN2は、実施の形態4と同様にして、期間B’又は期間C’で取得した干渉信号のレプリカ、期間pre−A’又は期間post−A’で取得した干渉信号に関するチャネル推定値、及び、既知である自装置配下の端末に関する制御情報(所望信号の制御情報)を用いて、期間A’で受信した信号から干渉信号を除去することにより、所望信号を得る。
このようにして、本実施の形態では、端末は、期間A’と期間B’との間のガードタイム(送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間post−A’))、又は、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイム(ダウンリンクとアップリンクとの切替のために設けられるガードタイム(期間pre−A’))のうちいずれか一方で、自端末に関する制御情報を送信する。そして、中継装置は、期間A’と期間B’との間のガードタイム、又は、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムにおいて、上位RN配下の端末から送信される制御情報、つまり、干渉信号の制御情報を受信する。
これにより、期間A’と期間B’との間のガードタイムでは、送受信処理の切替が不要である中継装置(ここでは偶数RN)は、上位RN(ここでは奇数RN)配下の端末からの制御情報を、干渉を受けずに受信することができる。同様に、ダウンリンクとアップリンクとの間のガードタイムでは、期間A’と期間B’との間でガードタイムを設ける必要がある中継装置(ここでは奇数RN)は、上位RN(ここでは偶数RN)からの制御情報を、干渉を受けずに受信することができる。
このようにして、本実施の形態によれば、アップリンクにおいて、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態4と同様、中継装置に接続されている端末からの信号に対する、他の中継装置に接続されている端末からの信号による干渉を低減させることができる。さらに、本実施の形態によれば、中継装置は、中継装置における送受信処理の切替、又は、ダウンリンクとアップリンクとの切替のためのガードタイムを、制御情報の通信に利用することで、干渉信号に関する制御情報を確実に得ることができる。このため、本実施の形態では、中継装置において、中継装置に接続されている端末からの信号に対する、他の中継装置に接続されている端末からの信号による干渉を確実に低減させることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、端末が、自端末向けの制御情報及び他の端末向けの制御情報(干渉信号の制御情報)を用いて干渉除去処理を行う点は実施の形態1〜3と同様である。これに対して、本実施の形態では、端末が干渉除去処理に用いる制御情報の通知方法が実施の形態2及び実施の形態3と異なる。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。まず、本実施の形態に係る中継装置について説明する。本実施の形態に係る中継装置100(図2)は、実施の形態1と同様の構成であるが、受信処理部104、送信処理部106、及び、タイミング制御部109の動作が異なる。
なお、本実施の形態では、基地局又は上位RNから中継装置100へ送信される中継信号には、既知信号(参照信号又はパイロット信号とも呼ばれる)、期間Cで送信される中継装置100に接続された端末(中継装置100配下の端末)向けの中継信号(データ信号及びそのデータ信号に対する制御情報)、中継装置100よりも下位の中継装置(下位RN)に接続された端末向けの中継信号(データ信号及びそのデータ信号に対する制御情報)、及び、期間Cで送信される中継装置100に接続された端末向けの中継データを中継する際に用いる制御情報等が含まれる。
図2に示す中継装置100において、受信処理部104は、まず、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれる、中継装置間の中継信号に対する制御情報に対して復調及び復号を行う。ここで、制御情報のマッピング位置及びMCS(Modulation and Coding Scheme)は予め設定され既知である等、中継装置100が知り得ている情報とする。また、制御情報には、中継装置間の中継信号(中継装置100に接続された端末宛てのデータ及び/又は下位RNに接続された端末宛てのデータ)のマッピング位置及びMCSが含まれている。そして、受信処理部104は、制御情報に含まれるマッピング位置及びMCSに基づいて、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれるデータ信号に対して復調及び復号を行う。そして、受信処理部104は、復号後の信号を第2メモリ105に出力する。
送信処理部106は、第2メモリ105から入力される信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継データ)、中継装置100に接続された端末向けの中継信号に対する制御情報(端末向けの制御情報。つまり、端末向けの中継データ伝送用制御情報)、下位RNに接続された端末向け中継信号(下位RNに接続された端末向け中継データ)、又は、下位RNに接続された端末向けの中継信号に対する制御情報(RN向けの制御情報。つまり、中継装置間の中継データ伝送用制御情報))に対して符号化及び変調を行う。そして、送信処理部106は、変調後の信号を第1メモリ103に出力する。
タイミング制御部109は、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ103及び第2メモリ105に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
例えば、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(中継装置100が奇数RNの場合)、タイミング制御部109は、期間Aにおいて、第1メモリ103に対して、期間Cで送信する中継装置100配下の端末向けの中継データに対する制御情報、下位RN向けの中継データに対する制御情報、及び、下位RN向け中継データ(データ信号)を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に対して受信RF部102から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号、下位RNに接続された端末向け中継信号、及び、これらの中継信号に対する制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に中継信号が格納されると、第1メモリ103に対して、格納している中継信号を受信処理部104へ出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ105に対して、受信処理部104から入力される信号(復号後の信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第2メモリ105に復号後の信号が格納されると、第2メモリ105に対して、中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号及び/又は下位RNに接続された端末向け中継信号、これらの中継信号に対する制御情報)を送信処理部106へ出力するように指示(読み出し指示)し、第1メモリ103に対して、送信処理部106から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号及び/又は下位RNに接続された端末向け中継信号、これらの中継信号に対する制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(中継装置100が偶数RNの場合)には、タイミング制御部109は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aと同様の処理を期間Bで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bと同様の処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNと偶数RNとの間では、タイミング制御部109での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
また、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部109は、期間Cにおいて、第1メモリ103に対して、中継装置100に接続された端末向け中継信号を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
次に、本実施の形態に係る端末について説明する。本実施の形態に係る端末200(図3)は、実施の形態1と同様の構成であるが、受信処理部207(受信部208及び干渉除去部209)、及び、タイミング制御部214の動作が異なる。
なお、本実施の形態では、端末200が接続している中継装置100から送信される中継信号には、端末200向けの中継信号(データ信号)及び既知信号が含まれる。
図3に示す端末200において、受信処理部207の受信部208は、第1メモリ203から入力される中継信号に対して復調及び復号を行う。具体的には、端末200が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合には、受信部208は以下の処理を行う。受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末200が接続可能な2つの中継装置における上位RNから下位RNへ送信される中継信号(既知信号、期間Cで送信される端末200向けの中継データに対する制御情報(端末200向けの制御情報)、下位RN配下の他の端末向けの中継データ(下位RN向けの中継データ)、及び、下位RN配下の他の端末向けの中継データに対する制御情報(下位RN向けの制御情報))を受信する。更に、受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末200が接続可能な2つの中継装置における下位RNが送信する中継信号(期間Cで送信される、他の端末(端末200にとっての干渉局)向けの中継データに対する制御情報)を受信する。そして、受信部208は、受信した中継信号に対して復調及び復号を行う。
つまり、受信部208は、期間A又は期間Bでは、他の端末向けの中継データと他の端末向けの制御情報(つまり、期間Cで端末200に対して干渉を与え得る信号(干渉信号)と制御情報)、及び、端末200向けの中継データに対する制御情報(つまり、期間Cで端末200に対して送信される信号に対する制御情報)を受信する。そして、受信部208は、期間A又は期間Bで受信した他の端末向けの中継データ(干渉信号)と他の端末向けの制御情報、及び、端末200向けの制御情報を第2メモリ210に出力する。
また、受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)における上位RNから下位RNへの中継信号に含まれる既知信号を用いて、端末200が接続している中継装置(上位RN)と端末200との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。同様に、受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)における下位RNからの中継信号に含まれる既知信号を用いて、下位RNと端末200との間のチャネル推定値を算出し、干渉信号のチャネル推定値として第2メモリ210に出力する。
受信処理部207の干渉除去部209は、第2メモリ210に格納されている、期間A又は期間Bで受信された、他の端末向けの中継データ(干渉信号)、他の端末向けの制御情報、干渉信号のチャネル推定値、及び、端末200向けの制御情報を用いて、期間Cで受信する中継信号から、期間Cに下位RNから送信される他の端末向けの中継データを除去する。そして、受信部208は、DLサブフレーム内の期間C(中継装置と端末との間の通信期間)で受信する中継信号において、干渉除去部209で干渉信号が除去された信号に対し復調及び復号を行うことで、上位RN(端末200のServing cell)から送信される端末200向けの中継データ(所望信号)を得る。
タイミング制御部214は、タイミング制御部109(図2)と同様にして、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
例えば、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(Serving cellが奇数RNの場合)、タイミング制御部214は、期間Aにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される、既知信号、下位RN向け中継信号、下位RN向けの制御情報、及び、端末200向けの制御情報を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Aにおいて、第1メモリ203に下位RN向け中継信号、及び、端末200向けの制御情報が格納されると、第1メモリ203に対して、既知信号、下位RN向け中継信号、下位RN向けの制御情報、及び、端末200向けの制御情報を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される干渉信号(他の端末向け中継信号)及び端末200向けの制御情報、更に、Serving cellと端末200との間のチャネル推定値を格納するように指示(書き込み指示)する。
また、タイミング制御部214は、期間Bにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される、端末200が接続可能な2つの中継装置のうち下位RNから送信される中継信号(既知信号、及び、他の端末向けの制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Bにおいて、第1メモリ203に下位RNからの中継信号が格納されると、第1メモリ203に対して、格納している下位RNからの中継信号を受信処理部207へ出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される、下位RNと端末200との間のチャネル推定値を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(Serving cellが偶数RNの場合)には、タイミング制御部214は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aと同様の処理を期間Bで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bと同様の処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNに接続された端末200と偶数RNに接続された端末200との間では、タイミング制御部214での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
また、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部214は、期間Cにおいて、第1メモリ203に対して、受信RF部202から入力される各RNからの信号を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部214は、期間Cにおいて、第1メモリ203に各RNからの信号が格納されると、第1メモリ203に対して、格納している各RNからの信号を受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ210に対して、期間A及び期間Bで受信した、干渉信号、干渉信号に対する制御情報、端末200向けの制御情報、Serving cellと端末200との間のチャネル推定値及び下位RNと端末200との間のチャネル推定値を、受信処理部207に出力するように指示(読み出し指示)する。また、タイミング制御部214は、第2メモリ210に対して、受信処理部207から入力される信号(干渉除去後の信号)を格納するように指示(書き込み指示)する。
次に、本実施の形態に係る中継装置100及び端末200における処理の詳細について説明する。
以下の説明では、3つ以上のRNによりマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図18では、3つ以上のRNのうち、3つのRN1、RN2及びRN3のみを示す。また、図18に示すRN1とRN2との間では、RN1が上位RNであり、RN2が下位RNである。また、図18に示すRN2とRN3との間では、RN2が上位RNであり、RN3が下位RNである。また、図18では、RN1にはMS1が接続され、RN2にはMS2が接続されている。なお、図18に示すRN1、RN2及びRN3は図2に示す中継装置100の構成を備え、MS1及びMS2は図3に示す端末200の構成を備える。
また、図18では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
また、図18では、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(下位RN向けの制御情報)を‘制御情報 for RN’と表し、中継装置間の中継データ(下位RN向けの中継データ)を‘データto RN’と表す。同様に、図18では、端末向けの中継データ伝送用制御情報(端末向けの制御情報)を‘制御情報for MS’と表し、端末向け中継データを‘データ to MS’と表す。つまり、図18の点線矢印に示すように、‘制御情報 for MS’は‘データ to MS’の中継の際に用いる制御情報(マッピング位置及びMCS等)であり、‘制御情報 for RN’は‘データ to RN’の中継の際に用いる制御情報(マッピング位置及びMCS等)である。
なお、ここでは、図18に示すRN2(偶数RN)、及び、RN2に接続しているMS2(RN2配下のMS2)における制御情報通知処理に着目して説明する。
図18に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、RN2は、上位RNであるRN1から、既知信号、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。一方、期間Aでは、MS2は、RN3から、RN3の下位RNへ送信された、既知信号、及び、RN3配下の端末向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)を受信する。そして、MS2は、RN3からの既知信号を用いて、RN3とMS2との間のチャネル推定値(期間Cにおける干渉信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、MS2は、期間AではRN3から送信されるRN3配下の端末(図示せず)向け制御情報(干渉信号の制御情報)を取得する。
次いで、図18に示すDLサブフレーム内の期間Bでは、RN2は、既知信号、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を送信する。一方、期間Bでは、MS2は、RN2からMS2へ送信された、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)を受信する。また、MS2は、RN2からRN3へ送信された、既知信号、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。そして、MS2は、期間BではRN2から送信されるRN3配下の端末向け中継データ及び制御情報を用いて、期間CにおけるMS2に対する干渉信号を取得する。また、MS2は、期間BではRN2から送信される既知信号を用いて、RN2とMS2との間のチャネル推定値(所望信号に関するチャネル推定値)を取得する。また、MS2は、期間BではRN2から送信されるMS2向け制御情報(所望信号の制御情報)を取得する。
次いで、図18に示すDLサブフレーム内の期間Cでは、RN2は、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ(データ to MS)をMS2へ送信する。一方、期間Cでは、MS2は、RN2からの、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ(データ to MS)を受信する。そして、MS2は、期間A及び期間Bで取得した、干渉信号、干渉信号の制御情報、MS2向けの制御情報、RN2とMS2との間のチャネル推定値、及び、RN3とMS2との間のチャネル推定値を用いて、期間Cで受信した信号(RN2からの中継データ(所望信号)及びRN3からの中継データ(干渉信号))から干渉信号を除去することにより、所望信号を得る。
このように、中継装置100は、期間Cで端末200に送信する中継データに対する制御情報(端末200向け中継データのマッピング位置及びMCS等)を、中継装置間の通信時(期間A又は期間B)に送信する。例えば、図18では、期間Aにおいて、奇数RN(RN1及びRN3)は、期間Cで自装置配下の端末に送信する中継データ(データ to MS)に対する制御情報(制御情報 for MS)を送信する。また、図18では、期間Bにおいて、偶数RN(RN2)は、期間Cで自装置配下の端末に送信する中継データ(データ to MS)に対する制御情報(制御情報 for MS)を送信する。
そして、端末200は、端末200が接続する中継装置100が期間A又は期間Bで送信する端末200向けの制御情報と、端末200が接続する中継装置100の下位RNが期間B又は期間A(つまり、中継装置100と異なる期間)で送信する、下位RN配下の端末向けの制御情報(干渉信号の制御情報)と、を受信する。これにより、端末200は、期間A又は期間Bで、端末200が接続可能な隣接する2つの中継装置(図18に示すMS2に対するRN2及びRN3)から、端末200向け制御情報(所望信号の制御情報)及び下位RN配下の端末向け制御情報(干渉信号の制御情報)を、それぞれ干渉無く受信できるので、干渉除去(干渉キャンセラ)を精度良く行うことができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態1と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。さらに、本実施の形態によれば、端末は、中継装置間の通信期間(期間A及び期間B)を、端末向けの制御情報の通信に利用することで、所望信号(自端末向けの中継データ)に関する制御情報及び干渉信号(他の端末向けの中継データ)に関する制御情報を確実に得ることができる。このため、本実施の形態では、実施の形態2及び実施の形態3と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、端末は、実施の形態7と同様にして、中継装置間の通信期間で端末向けの制御情報を受信する。更に、本実施の形態では、端末向けの制御情報に設けられた制御ヘッダに各端末向けの中継データ(中継信号)の有無を示す通知情報を含める場合について説明する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
本実施の形態に係る中継装置100(図2)は、実施の形態7と同様の構成であり、実施の形態7と同様の動作を行う。つまり、中継装置100は、実施の形態7と同様、期間A又は期間Bでは、既知信号、中継装置100配下の端末向けの制御情報、中継装置100よりも下位の中継装置(下位RN)に接続された端末向けの中継データ(下位RN向けの中継データ)、及び、下位RNに接続された端末向けの制御情報を送信する。また、中継装置100は、実施の形態7と同様、期間Cでは、中継装置100配下の端末向けの中継データ(データ信号)を送信する。
ここで、各制御情報には制御ヘッダが設けられている。制御ヘッダには、制御情報の長さ(データ量)、制御情報が割り当てられた時間リソース又は周波数リソースを端末が把握するための情報(つまり、制御情報に続くデータの開始位置を把握するための情報)、又は、MCS等の制御情報に対する変調方式、チャネル符号化率を端末が把握するための情報が含まれる。
ただし、本実施の形態に係る中継装置100では、中継装置100配下の端末向けの制御情報に設けられた制御ヘッダには、更に、端末向けの中継信号(中継データ及び制御情報)の有無を示す通知情報が含まれる。
また、中継装置100は、実施の形態3と同様にして、隣接するRNにおける送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間Bと期間Cとの間)で既知信号を送信する。
図19は、本実施の形態に係る端末の構成を示すブロック図である。なお、図19に示す端末700において、実施の形態7(図3)と同一構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。
図19に示す端末700において、受信処理部207の受信部208は、第1メモリ203から入力される中継信号に対して復調及び復号を行う。具体的には、端末200が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合には、受信部208は以下の処理を行う。受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末200が接続可能な2つの中継装置における上位RNから下位RNへ送信される中継信号(既知信号、期間Cで送信される端末200向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダ(以下、CH’で表す)、下位RN向け制御情報とその制御ヘッダ(以下、CHで表す)、及び、下位RN配下の他の端末向けの中継データ)を受信する。
ただし、受信部208は、まず、期間Cで送信される端末200向けの中継データに対する制御情報の制御ヘッダCH’に対して復調及び復号を行い、復号後の制御ヘッダCH’を中継信号有無検出部701に出力する。
次いで、受信部208は、端末700向けの中継信号(中継データ及び制御情報)が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701(後述する)から入力された場合、期間Cで送信される端末700向けの中継データに対する制御情報、下位RN向け制御情報とその制御ヘッダCH、及び、下位RN向けの中継データに対して、復調及び復号を行う。更に、受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末700が接続可能な2つの中継装置における下位RNが送信する中継信号(既知信号、期間Cで送信される他の端末(端末700にとっての干渉局)向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダCH’)を受信する。そして、受信部208は、受信した中継信号に対して復調及び復号を行う。
また、受信部208は、端末700向けの中継信号(中継データ及び制御情報)が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、隣接する2つのRNのうち一方のRNにおける送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間Bと期間Cとの間)で、他方のRNから送信される既知信号を受信する。そして、受信部208は、既知信号を送信したRNと端末700との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。同様に、受信部208は、期間A〜Cで送信される各RNからの既知信号を用いて、各RNと端末700との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。
一方、受信部208は、端末700向けの中継信号(中継データ及び制御情報)が無い旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、端末700向けの中継信号が存在しないDLサブフレームでの受信処理を停止する。
中継信号有無検出部701は、受信部208から入力される制御ヘッダCH’に含まれる通知情報を用いて、端末700向けの中継信号(中継データ及び制御情報)が有るか無いかを判断する(中継信号の有無を検出する)。つまり、中継信号有無検出部701は、端末700向けの制御情報に設けられた制御ヘッダCH’に含まれる、端末700向けの中継信号の有無を示す通知情報を検出して、端末700向けの中継信号が中継装置100(端末700が接続している上位RN)から送信されるか否かを判断する。そして、中継信号有無検出部701は、中継信号の有無を示す情報(‘有り’又は‘無し’)を、受信部208及びタイミング制御部214に出力する。
タイミング制御部214は、端末700向けの中継信号が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、実施の形態7と同様にして、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。一方、タイミング制御部214は、端末700向けの中継信号が無い旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、端末700向けの中継信号が存在しないDLサブフレームでの受信処理を停止するように、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して指示する。
次に、本実施の形態に係る中継装置100及び端末700における処理の詳細について説明する。
以下の説明では、実施の形態7(図18)と同様、3つ以上のRNによりマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図20及び図21では、3つ以上のRNのうち、3つのRN1、RN2及びRN3のみを示す。また、図20及び図21に示すRN1とRN2との間では、RN1が上位RNであり、RN2が下位RNである。また、図20及び図21に示すRN2とRN3との間では、RN2が上位RNであり、RN3が下位RNである。また、図20及び図21では、RN1にはMS1が接続され、RN2にはMS2が接続されている。なお、図20及び図21に示すRN1、RN2及びRN3は図2に示す中継装置100の構成を備え、MS1及びMS2は図19に示す端末700の構成を備える。
また、図20及び図21では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
また、図20及び図21では、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(下位RN向けの制御情報)を‘制御情報 for RN’と表し、中継装置間の中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダを「CH」と表し、中継装置間の中継データ(下位RN向けの中継データ)を‘データ to RN’と表す。また、図20及び図21では、端末向けの中継データ伝送用制御情報(端末向けの制御情報)を‘制御情報 for MS’と表し、端末向けの中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダを「CH’」と表し、端末向け中継データを‘データ to MS’と表す。
なお、ここでは、図20及び図21に示すRN1(奇数RN)、及び、RN1に接続しているMS1(RN1配下のMS1)における制御情報通知処理に着目して説明する。
まず、図20に示すように、DLサブフレームにおいてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1からMS1に送信される場合について説明する。
すなわち、図20に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、RN1は、既知信号、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)とその制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を送信する。このとき、制御ヘッダCH’には、RN1配下の端末(MS1)向け中継信号(データ to MS)が含まれること(割当データ有り)を示す通知情報が含まれる。
また、期間Bでは、RN1は、上位装置から、既知信号、上位装置配下の端末向け中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。また、期間Cでは、RN1は、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ(データ to MS)をMS1へ送信する。
一方、図20に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、MS1(受信部208)は、まず、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダCH’を受信し、制御ヘッダCH’に対して復調及び復号を行う。そして、MS1(中継信号有無検出部701)は、制御ヘッダCH’に含まれる通知情報を用いて、MS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1から送信されると判断する。
そこで、MS1は、実施の形態7と同様、期間Aでは、更に、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)、RN1からRN2へ送信された、既知信号、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。また、期間Bでは、MS1は、RN2からRN3へ送信された、既知信号、及び、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)とその制御ヘッダCH’を受信する。また、期間Cでは、MS1は、RN1からの、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ(データ to MS)を受信する。そして、MS1は、実施の形態7と同様にして、期間A及び期間Bで取得した、干渉信号、干渉信号の制御情報、MS1向けの制御情報、RN1とMS1との間のチャネル推定値、及び、RN2とMS1との間のチャネル推定値を用いて、期間Cで受信した信号(RN1からの中継データ(所望信号)及びRN2からの中継データ(干渉信号))から干渉信号を除去することにより、所望信号を得る。
次に、図21に示すように、DLサブフレームにおいてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1からMS1に送信されない場合について説明する。
すなわち、図21に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、RN1は、既知信号、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)の制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を送信する。つまり、図21に示すDLサブフレームでは、RN1は、MS1向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)及びMS1向け中継データ(データ to MS)を送信しない。なお、期間Aで送信される制御ヘッダCH’には、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ(データ to MS)が含まれないこと(割当データ無し)を示す通知情報が含まれる。
一方、図21に示すDLサブフレーム内の期間Aでは、MS1(受信部208)は、図20と同様に、まず、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダCH’を受信し、制御ヘッダCH’に対して復調及び復号を行う。そして、MS1(中継信号有無検出部701)は、制御ヘッダCH’に含まれる通知情報を用いて、MS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1から送信されないと判断する。そこで、MS1は、図21に示すDLサブフレームでの、制御ヘッダCH’よりも後の受信処理(復調及び復号)を停止する。
このように、端末700は、制御ヘッダCH’に含まれる通知情報を用いて、接続している中継装置100(上位RN)から端末700向けの中継信号(中継データ及び制御情報)が送信されると判断した場合(図20)、実施の形態7と同様にして、期間A又は期間Bにおいて上位RNから送信される端末700向けの制御情報、及び、下位RNから送信される他の端末装置向けの制御情報の受信処理を行う。そして、端末700は、実施の形態7と同様にして、期間Cで干渉除去処理を行う。
つまり、端末700は、期間Cにおいて端末700向けの中継信号が有る場合には、実施の形態7と同様、期間A又は期間Bで、端末700が接続可能な隣接する2つの中継装置(図20に示すMS1に対するRN1及びRN2)から、端末700向け制御情報及び下位RN配下の端末向け制御情報を、それぞれ干渉無く受信できるので、干渉除去(干渉キャンセラ)を精度良く行うことができる。
これに対して、端末700は、制御ヘッダCH’に含まれる通知情報を用いて、接続している中継装置100(上位RN)から端末700向けの中継信号が送信されないと判断した場合(図21)、期間A又は期間Bにおいて上位RNから送信される端末700向けの制御情報、及び、下位RNから送信される他の端末装置向けの制御情報の受信処理を停止する。
つまり、端末700は、期間Cにおいて端末700向けの中継信号を受信する場合(つまり、干渉除去処理が必要な場合)にのみ、期間A及び期間Bでの中継信号の受信処理を動作させる。すなわち、端末700は、期間Cにおいて端末700向けの中継データが無い場合には、期間A又は期間Bにおいて中継信号の受信処理を停止させることで、干渉信号及び干渉信号の制御情報の受信処理、及び、干渉局とのチャネル推定処理等の無駄な処理を抑えることができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態1と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。更に、本実施の形態によれば、端末は、中継装置間の通信期間(期間A及び期間B)を、端末向けの制御情報の通信に利用することで、所望信号(自端末向けの中継データ)に関する制御情報及び干渉信号(他の端末向けの中継データ)に関する制御情報を確実に得ることができる。このため、本実施の形態では、実施の形態7と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。更に、本実施の形態によれば、或るサブフレームにおいて、端末向けの中継データが存在しない場合(干渉除去処理が不要な場合)、端末は、各中継装置からの中継信号の受信処理を停止することで、干渉除去処理に関する無駄な処理を抑えることができる。
(実施の形態9)
実施の形態8では、端末向けの制御情報に設けられた制御ヘッダに端末向けの中継信号の有無を示す通知情報を含める場合について説明した。これに対して、本実施の形態では、中継装置が、或るサブフレームにおける端末向けの中継信号(中継データ及び制御情報)の有無を示す情報を、そのサブフレームの直前のサブフレーム(前回のサブフレーム)で送信する場合について説明する。
以下、本実施の形態について具体的に説明する。
図22は、本実施の形態に係る中継装置800である。なお、図22に示す中継装置800において、実施の形態8の中継装置100(図2)と同一構成には同一の符号を付しその説明を省略する。図22に示す中継装置800は、次サブフレーム送信情報生成部801が追加された点、及び、受信処理部104及びタイミング制御部109の動作が中継装置100と異なる。
図22に示す中継装置800において、受信処理部104は、まず、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれる中継装置間の中継信号に対する制御情報に対して復調及び復号を行う。ここで、制御情報のマッピング位置及びMCS(Modulation and Coding Scheme)等は、その制御情報に設けられた制御ヘッダで通知される。また、制御情報には、中継装置間の中継信号(中継装置100に接続された端末宛てのデータ及び/又は下位RNに接続された端末宛てのデータ)のマッピング位置及びMCSが含まれている。そして、受信処理部104は、制御情報に含まれるマッピング位置及びMCSに基づいて、第1メモリ103から入力される中継信号に含まれるデータ信号に対して復調及び復号を行う。そして、受信処理部104は、復号後の信号を第2メモリ105に出力する。
さらに、受信処理部104は、受信した中継信号に、現在のサブフレームの次のサブフレームで送信される中継装置800配下の端末向けの中継信号が含まれていたか否かを検出する。そして、受信処理部104は、受信した中継信号に、次のサブフレームで送信される中継信号が含まれていた場合には、中継装置800配下のどの端末向けの中継信号であるかを示す情報を、次サブフレーム送信情報生成部801に出力する。
次サブフレーム送信情報生成部801は、受信処理部104から入力される情報に基づいて、中継装置800配下の全端末に対して次のサブフレームで送信する中継信号が存在するか否かをマッピングした情報を、次サブフレーム送信情報として生成する。そして、次サブフレーム送信情報生成部801は、生成した次サブフレーム送信情報を、第2メモリ105に出力する。これにより、第2メモリ105には、次サブフレーム送信情報が格納(書込)される。
タイミング制御部109は、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ103及び第2メモリ105に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
例えば、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘奇数’を示す場合(中継装置800が奇数RNの場合)、タイミング制御部109は、期間Aにおいて、第1メモリ103に対して、期間Cで送信する中継装置100配下の端末向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダ、下位RN向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダ、及び、下位RN向け中継信号を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に対して受信RF部102から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号及び/又は下位RNに接続された端末向け中継信号、各中継信号に対する制御情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に中継信号が格納されると、第1メモリ103に対して、格納している中継信号を受信処理部104へ出力するように指示(読み出し指示)し、第2メモリ105に対して、受信処理部104から入力される信号(復号後の信号)及び次サブフレーム送信情報生成部801から入力される次サブフレーム送信情報を格納するように指示(書き込み指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第2メモリ105に復号後の信号が格納されると、第2メモリ105に対して、中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号及び/又は下位RNに接続された端末向け中継信号、各中継信号に対する制御情報、及び、次サブフレーム送信情報)を送信処理部106へ出力するように指示(読み出し指示)する。また、タイミング制御部109は、期間Bにおいて、第1メモリ103に対して、送信処理部106から入力される中継信号(中継装置100に接続された端末向け中継信号及び/又は下位RNに接続された端末向け中継信号、各中継信号に対する制御情報、及び、次サブフレーム送信情報)を格納するように指示(書き込み指示)する。
一方、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報が‘偶数’を示す場合(中継装置100が偶数RNの場合)には、タイミング制御部109は、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Aと同様の処理を期間Bで行い、設定情報が‘奇数’を示す場合における期間Bと同様の処理を期間Aで行う。つまり、奇数RNと偶数RNとの間では、タイミング制御部109での期間A及び期間Bにおける処理の順序が入れ替わる。
また、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部109は、期間Cにおいて、第1メモリ103に対して、中継装置100に接続された端末向け中継信号を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。また、奇数/偶数切替部108から入力される設定情報がいずれの場合でも、タイミング制御部109は、期間Cの後のタイミング(例えば、サブフレームの最後尾)において、第1メモリ103に対して、次サブフレーム送信情報を送信RF部107へ出力するように指示(読み出し指示)する。
また、中継装置100は、実施の形態8と同様にして、隣接するRNにおける送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間Bと期間Cとの間)で既知信号を送信する。
次に、本実施の形態に係る端末について説明する。本実施の形態に係る端末700(図19)は、実施の形態8と同様の構成であり、受信部208、タイミング制御部214、及び中継信号有無検出部701の動作のみが異なる。
本実施の形態に係る端末700において、受信処理部207の受信部208は、第1メモリ203から入力される中継信号に対して復調及び復号を行う。具体的には、端末700が隣接する2つの中継装置(RN)に接続可能である場合には、受信部208は以下の処理を行う。受信部208は、まず、前回のサブフレームの期間Cの後のタイミングで受信した次サブフレーム送信情報に対して復調及び復号を行い、復号後の次サブフレーム送信情報を中継信号有無検出部701に出力する。なお、前回のサブフレームで受信した次サブフレーム送信情報には、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号の有無が示されている。
次いで、受信部208は、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701(後述する)から入力された場合、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末700が接続可能な2つの中継装置における上位RNが送信する中継信号(既知信号、期間Cで送信される端末200向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダ(以下、CH’で表す)、下位RN向け制御情報とその制御ヘッダ(以下、CHで表す)、及び、下位RN向けの中継データ)を受信し、受信した中継信号に対して復調及び復号を行う。更に、受信部208は、期間A又は期間B(中継装置間の通信期間)において、端末700が接続可能な2つの中継装置における下位RN送信する中継信号(既知信号、期間Cで送信される、他の端末(端末700にとっての干渉局)向けの中継データに対する制御情報とその制御ヘッダCH’)を受信し、受信した中継信号に対して復調及び復号を行う。
また、受信部208は、端末700向けの中継信号が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、隣接する2つのRNのうち一方のRNにおける送受信処理の切替のために設けられるガードタイム(期間Bと期間Cとの間)で、他方のRNから送信される既知信号を受信する。そして、受信部208は、既知信号を送信したRNと端末700との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。同様に、受信部208は、期間A〜Cで送信される各RNからの既知信号を用いて、各RNと端末700との間のチャネル推定値を算出し、チャネル推定値を第2メモリ210に出力する。
一方、受信部208は、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号が無い旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、期間Aにおいて端末700が接続可能な2つの中継装置における上位RNから下位RNへ送信される中継信号(既知信号のみ)を受信し、上位RNとの同期を維持する。また、受信部208は、現在のサブフレームのうち期間Cの後のタイミングで次サブフレーム送信情報を受信する。すなわち、受信部208は、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号が無い旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合(つまり、端末700向けの中継信号が存在しないDLサブフレームでは)、期間Aにおける既知信号及び次サブフレーム送信情報以外の中継信号の受信処理をすべて停止する。
中継信号有無検出部701は、受信部208から入力される、前回のサブフレームで上位RNから送信された次サブフレーム送信情報(通知情報)を検出して、現在のサブフレームで端末700向けの中継信号が中継装置800(端末700が接続している上位RN)から送信されるか否かを判断する(中継信号の有無を検出する)。そして、中継信号有無検出部701は、中継信号の有無を示す情報(‘有り’又は‘無し’)を、受信部208及びタイミング制御部214に出力する。
タイミング制御部214は、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号が有る旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、現在のサブフレームでは、実施の形態7と同様にして、奇数/偶数切替部213から入力される設定情報に基づいて、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して、中継信号の入出力タイミングを指示する。
一方、タイミング制御部214は、現在のサブフレームにおいて端末700向けの中継信号が無い旨を示す情報が中継信号有無検出部701から入力された場合、現在のサブフレームでは、期間Aにおける既知信号、及び、期間Cの後のタイミングにおける次サブフレーム送信情報のみを受信し、その他のタイミングでの受信処理を停止するように、第1メモリ203及び第2メモリ210に対して指示する。例えば、タイミング制御部214は、期間Aの既知信号に対応するタイミング、及び、期間Cの後のタイミングのみで各構成部が動作するように、各構成部のクロックをマスクする。
次に、本実施の形態に係る中継装置800(図22)及び端末700(図19)における処理の詳細について説明する。
以下の説明では、実施の形態8(図20及び図21)と同様、3つ以上のRNによりマルチホップ通信を行う場合について説明する。ただし、図23及び図24では、3つ以上のRNのうち、3つのRN1、RN2及びRN3のみを示す。また、図23及び図24に示すRN1とRN2との間では、RN1が上位RNであり、RN2が下位RNである。また、図23及び図24に示すRN2とRN3との間では、RN2が上位RNであり、RN3が下位RNである。また、図23及び図24では、RN1にはMS1が接続され、RN2にはMS2が接続されている。なお、図23及び図24に示すRN1、RN2及びRN3は図22に示す中継装置800の構成を備え、MS1及びMS2は図19に示す端末700の構成を備える。
また、図23及び図24では、送信処理を‘TX’で表し、受信処理を‘RX’で表す。
また、図23及び図24では、実施の形態8(図20及び図21)と同様、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(下位RN向けの制御情報)を‘制御情報 for RN’と表し、中継装置間の中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダを「CH」と表し、中継装置間の中継データ(下位RN向けの中継データ)を‘データ to RN’と表す。また、図23及び図24では、端末向けの中継データ伝送用制御情報(端末向けの制御情報)を‘制御情報 for MS’と表し、端末向けの中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダを「CH’」と表し、端末向け中継データを‘データ to MS’と表す。また、図23及び図24では、次サブフレーム送信情報を「i」と表す。ただし、次サブフレーム送信情報iは、隣り合う中継装置同士で干渉し合わないように、例えば、中継送信間で互いに異なるリソース(時間、周波数、符号等)を用いて送信される。
なお、ここでは、図23及び図24に示すRN1(奇数RN)、及び、RN1に接続しているMS1(RN1配下のMS1)における制御情報通知処理に着目して説明する。
まず、図23に示すように、DLサブフレーム(n)においてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1からMS1に送信される場合について説明する。
このとき、図23に示すDLサブフレーム(n)の前回サブフレームであるDLサブフレーム(n−1)内の期間Cの後のタイミングでは、RN1は、次サブフレーム送信情報iを送信する。DLサブフレーム(n−1)内の次サブフレーム送信情報iには、DLサブフレーム(n)で送信されるMS1向け中継信号(データ to MS)が有ること(割当データ有り)が示されている。
また、図23に示すDLサブフレーム(n)内の期間Aでは、RN1は、実施の形態8と同様、既知信号、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)とその制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を送信する。また、DLサブフレーム(n)内の期間Bでは、RN1は、上位装置から、既知信号、上位装置配下の端末向け中継データ伝送用制御情報の制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。また、DLサブフレーム(n)内の期間Cでは、RN1は、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ(データ to MS)をMS1へ送信する。
また、図23に示すDLサブフレーム(n)内の期間Cの後のタイミングでは、RN1は、次のDLサブフレーム(n+1)(図示せず)におけるRN1配下の端末向け中継信号の有無を示す次サブフレーム送信情報iを送信する。
一方、DLサブフレーム(n−1)内の期間Cの後のタイミングでは、MS1(受信部208)は、次サブフレーム送信情報iを受信する。そして、MS1(中継信号有無検出部701)は、次サブフレーム送信情報iを用いて、DLサブフレーム(n)においてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1から送信されると判断する。
そこで、MS1は、DLサブフレーム(n)内の期間Aでは、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)とその制御ヘッダCH’、RN1からRN2へ送信された、既知信号、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報 for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を受信する。また、DLサブフレーム(n)内の期間Bでは、MS1は、RN2からRN3へ送信された、既知信号、及び、RN2配下の端末(MS2)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)とその制御ヘッダCH’を受信する。また、DLサブフレーム(n)内の期間Cでは、MS1は、RN1からの、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ(データ to MS)を受信する。そして、MS1は、実施の形態8と同様にして、期間A及び期間Bで取得した、干渉信号、干渉信号の制御情報、MS1向けの制御情報、RN1とMS1との間のチャネル推定値、及び、RN2とMS1との間のチャネル推定値を用いて、期間Cで受信した信号(RN1からの中継データ(所望信号)及びRN2からの中継データ(干渉信号))から干渉信号を除去することにより、所望信号を得る。
次に、図24に示すように、DLサブフレーム(n)においてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1からMS1に送信されない場合について説明する。
このとき、図24に示すDLサブフレーム(n)の前回サブフレームであるDLサブフレーム(n−1)内の期間Cの後のタイミングでは、RN1は、次サブフレーム送信情報iを送信する。DLサブフレーム(n−1)内の次サブフレーム送信情報iには、DLサブフレーム(n)で送信されるMS1向け中継信号(データ to MS)が無いこと(割当データ無し)が示されている。
また、図24に示すDLサブフレーム(n)内の期間Aでは、RN1は、既知信号、RN1配下の端末(MS1)向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)の制御ヘッダCH’、中継装置間の中継データ伝送用制御情報(制御情報for RN)とその制御ヘッダCH、及び、中継装置間の中継データ(データ to RN)を送信する。つまり、図24に示すDLサブフレーム(n)では、RN1は、MS1向け中継データ伝送用制御情報(制御情報 for MS)及びMS1向け中継データ(データ to MS)を送信しない。
また、図24に示すDLサブフレーム(n)内の期間Cの後のタイミングでは、RN1は、次のDLサブフレーム(n+1)(図示せず)におけるRN1配下の端末向け中継信号の有無を示す次サブフレーム送信情報iを送信する。
一方、DLサブフレーム(n−1)内の期間Cの後のタイミングでは、MS1(受信部208)は、次サブフレーム送信情報iを受信する。そして、MS1(中継信号有無検出部701)は、次サブフレーム送信情報iを用いて、DLサブフレーム(n)においてMS1向けの中継データ(データ to MS)がRN1から送信されないと判断する。
そこで、MS1は、図24に示すDLサブフレーム(n)内の期間Aでは、RN1との同期を維持するために、RN1からの既知信号を受信する。また、MS1は、図24に示すDLサブフレーム(n)内の期間Cの後のタイミングでは、次のDLサブフレーム(n+1)におけるMS1向けの中継信号の有無を判断するために、次サブフレーム送信情報iを受信する。つまり、図24に示すDLサブフレーム(n)では、MS1は、干渉除去処理のための受信処理を停止する。
ここで、端末700向けの中継信号が無いDLサブフレームについて、実施の形態8(図21)と本実施の形態(図24)とを比較する。実施の形態8(図21)では、各端末は、或るDLサブフレームにおける自端末向けの中継信号の有無を示す通知情報を、そのDLサブフレーム内(制御ヘッダCH’)で受信する。よって、例えば、実施の形態8(図21)では、MS2に着目すると、MS2は、MS2向けの中継信号の有無を期間Bでしか判断できない。すなわち、実施の形態8(図21)では、MS2(偶数RN配下の端末)は、MS2向けの中継信号の有無にかかわらず干渉候補となる制御情報を期間Aで受信する必要がある。これに対して、本実施の形態(図24)では、端末700は、或るDLサブフレームにおける端末700向けの中継信号の有無を示す通知情報(次サブフレーム送信情報)を、そのDLサブフレームの前のDLサブフレーム(前回のDLサブフレーム)で受信する。つまり、本実施の形態(図24)では、全ての端末700(図24ではMS1及びMS2)は、いずれのRNに接続している場合でも、端末700向けの中継信号の有無をDLサブフレームの開始時点で判断することができる。
これにより、端末700は、端末700向けの中継信号が無いDLサブフレームでは、干渉除去のための情報(干渉候補となる中継データ、制御情報)を一切受信しなくて済むので、実施の形態8よりも無駄な処理を抑えることができる。
また、端末700は、実施の形態7及び実施の形態8と同様、期間A又は期間Bで、端末700が接続可能な隣接する2つの中継装置(図20に示すMS1に対するRN1及びRN2)から、端末700向け制御情報及び下位RN配下の端末向け制御情報を、それぞれ干渉無く受信できるので、干渉除去(干渉キャンセラ)を精度良く行うことができる。
このようにして、本実施の形態によれば、複数の中継装置間で同一周波数を用いてマルチホップ通信を行う場合でも、実施の形態1と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する、他の中継装置からの信号による干渉を低減させることができる。さらに、本実施の形態によれば、端末は、中継装置間の通信期間(期間A及び期間B)を、端末向けの制御情報の通信に利用することで、所望信号(自端末向けの中継データ)に関する制御情報及び干渉信号(他の端末向けの中継データ)に関する制御情報を確実に得ることができる。このため、本実施の形態では、実施の形態7及び実施の形態8と同様、端末が接続している中継装置からの信号に対する他の中継装置からの信号による干渉を確実に低減させることができる。更に、本実施の形態によれば、端末は、或るサブフレームにおいて端末向けの中継データが存在しない場合(干渉除去処理が不要な場合)、そのサブフレームの開始時点から、各中継装置からの中継信号の受信処理を停止することで、実施の形態8よりも更に、干渉除去処理に関する無駄な処理を抑えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態1〜3では、中継装置及び端末が、各DLサブフレーム内の期間Cまでに、全ての信号の受信処理及び送信処理が完了する場合を想定して説明した。しかし、中継装置及び端末での処理内容、処理能力、又は、中継信号のデータ量等に応じて、送受信処理に要する時間が異なる。しかし、本発明では、各DLサブフレーム内の期間A又は期間Bにおいて中継装置で受信されたデータの処理が、期間A及び期間Bよりも後の期間Cまでに完了せず、期間Cにおいて前回のDLサブフレームで受信された信号を送信する場合でも、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本発明において、端末における接続先の中継装置(RN)(Serving cell)の選択処理(例えば図4に示す処理)は、例えば、図25に示すように、DLサブフレーム(図25に示す‘DL’)とULサブフレーム(図25に示す‘UL’)との間に、周期的に設けられた接続先RN選択処理のための期間(図25に示す‘RN選択’)で行われてもよい。または、端末における接続先RNの選択処理は、上述した、ダウンリンク及びアップリンクでのRN間の通信及びRNと端末との間の通信と並行して行われてもよい。この場合、図4に示す端末における接続先RNの選択処理(手順1〜手順4)のうち、手順1及び手順2は、図5に示すDLサブフレーム内の期間A及び期間Bで行われる。すなわち、図4に示す手順1及び手順2では、RN(上位RN及び下位RN)間で通信される中継信号に含まれる既知信号を用いる。また、図4に示す端末における接続先RNの選択処理のうち、手順3は、図14に示すULサブフレーム内の期間A’で行われる。また、図4に示す端末における接続先RNの選択処理のうち、手順4は、手順1及び手順2が行われたDLサブフレームの次のDLサブフレーム内の期間A又は期間Bで行われる。
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
2010年1月29日出願の特願2010−019058および2010年4月26日出願の特願2010−100870の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。