以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1. 液体噴射ヘッド
まず、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を模式的に示す斜視図である。図2は、液体噴射ヘッド100を模式的に示す平面図である。図3および図4は、液体噴射ヘッド100を模式的に示す断面図である。なお、図3は、図2のIII−III線断面図であり、図4は、図2のIV−IV線断面図である。また、図2では、便宜上、第1封止板30、第1制御部40の図示を省略している。
液体噴射ヘッド100は、図1〜図4に示すように、基板1と、第1圧電素子10と、第2圧電素子20と、制御部(第1制御部40,第2制御部42)と、を含む。液体噴射ヘッド100は、さらに、第1振動板8aと、第2振動板8bと、第1封止板30と、第2封止板32と、を含むことができる。
基板1は、液体の経路となる流路2を有する。流路2は、1対の圧電素子10,20に対して1つ設けられている。図示の例では、流路2は、複数の圧電素子10,20の対に1対1に対応して複数設けられている。基板1の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを例示することができる。流路2は、圧力室3と、第1開口部4と、第2開口部6と、を有している。基板1が第1振動板8aと第2振動板8bとの間の空間を区画することにより、圧力室3、第1開口部4、および第2開口部6が設けられる。
圧力室3は、振動板8a,8bおよび基板1によって囲まれた空間である。圧力室3の上方には、第1振動板8aを介して、第1圧電素子10が形成され、圧力室3の下方には、第2振動板8bを介して、第2圧電素子20が形成されている。圧力室3は、第1開口部4および第2開口部6と連通している。液体噴射ヘッド100では、圧力室3の容積を、第1振動板8aおよび第2振動板8bの変形により変化させることができる。したがって、圧力室の容積を1つの振動板の変形により変化させる液体噴射ヘッドと比べて、圧力室3の容積の変化量を大きくできる。振動板8a,8bの変形により圧力室3の容積が拡大すると、圧力室3内が減圧され、第1開口部4から液体が供給される。振動板8a,8bの変形により圧力室3の容積が縮小すると、圧力室3内が加圧され、第2開口部6から液体が排出される。
第1開口部4は、基板1の側方に形成されている。第1開口部4は、圧力室3に液体を供給するために設けられている。第1開口部4は、図2に示すように、平面視して、基板1の1つの辺に配列されている。第1開口部4の開口面積は、例えば、圧力室3の断面積よりも小さく形成されることができる。第1開口部4の開口面積を小さくすれば、圧力室3への液体の導入経路が狭窄された形状となる。これにより、第1開口部4から圧力室3内に充填された液体の流動状態を制御することができる。第1開口部4は、図示はしないが、例えば、リザーバー(液体貯留部)に接続されることができる。リザーバーは、外部(例えばインクカートリッジ)から供給されるインクを、一時貯留することができる。複数の第1開口部4は、同一、或いは別々のリザーバーに接続されることができる。
第2開口部6は、基板1の側方に形成されている。第2開口部6は、図示の例では、平面視して、第1開口部4が配列された基板1の辺とは反対側の基板1の辺に配列されている。第2開口部6は、圧力室3に充填された液体を排出するために設けられている。第2開口部6は、例えば、振動板8a,8bの変位方向に直交する方向に向かって開口している。したがって、第2開口部6から液体が排出される方向は、振動板8a,8bの変位方向に直交する方向となる。第2開口部6の開口面積は、図2に示すように、圧力室3の断面積よりも小さく形成されることができる。そのため、圧力室3から液体が排出される経路が狭窄された形状となる。これにより、第2開口部6は、液体を噴射するノズルとして機能することができる。
なお、図示の例では、圧力室3と、開口部4,6と、を区別して説明するが、これらはいずれも液体の流路であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また、例えば、開口部4,6は、図示の例では、液体の経路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計に従って任意に形成することができる。
第1振動板8aは、基板1上に形成されている。第2振動板8bは、基板1の下に形成されている。振動板8a,8bは、可撓性を有し、圧電体14,24の動作によって変形(屈曲)することができる。これにより、圧力室3の容積を変化させることができる。振動板8a,8bの材質としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機酸化物、ステンレス鋼などの合金を例示することができる。振動板8a,8bは、単層であってもよいし、例示した物質の2種以上の積層構造であってもよい。
なお、図示はしないが、第1振動板8aを設けずに、第1電極12が振動板であってもよい。同様に、第2振動板8bを設けずに、第3電極22が振動板であってもよい。すなわち、第1電極12および第3電極22は、圧電体14,24に電圧を印加するための一方の電極としての機能と、圧電体14,24の動作によって変形することのできる振動板としての機能と、を有していてもよい。
第1圧電素子10は、第1振動板8aを介して基板1上に形成されている。第1圧電素子10は、圧力室3(流路2)に1対1に対応して設けられている。図示の例では、第1圧電素子10は、複数の圧力室3に1対1に対応して複数設けられている。第1圧電素子10は、第1電極12と、第1電極12に対向する第2電極16と、第1電極12と第2電極16とに挟まれた第1圧電体14と、を有している。
第1電極12は、第1振動板8a上に形成されている。第1電極12は、第1圧電体14を挟む2つの電極12,16のうち基板1側に形成された電極である。第1電極12と第1振動板8aとの間には、例えば、両者の密着性を付与する層や、強度や導電性を付与する層が形成されてもよい。このような層の例としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属からなる層や、それらの酸化物からなる層を例示することができる。
第1電極12の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第1電極12の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。また、第1電極12の平面的な形状は、第2電極16が対向して配置されたときに両者の間に第1圧電体14を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。
第1電極12の材質は、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuOx:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiOx:LNO)などを例示することができる。第1電極12は、例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第1電極12の機能の一つとしては、第2電極16と一対になって、第1圧電体14に電圧を印加するための一方の電極となることが挙げられる。第1電極12は、図示の例では、複数の第1圧電素子10の共通電極である。なお、図示はしないが、第1電極12は、第1圧電素子10ごとに形成された個別電極であってもよい。第1電極12は、配線(図示せず)を介して、第1制御部40と電気的に接続されている。
第1圧電体14は、第1電極12上に形成されている。第1圧電体14の少なくとも一部は、第1電極12と第2電極16とに挟まれている。第1圧電体14は、例えば、第1電極12の上面および側方、並びに第1振動板8aの上方に形成されている。第1圧電体14の厚さは、例えば、300nm以上3000nm以下とすることができる。
第1圧電体14は、圧電材料によって形成される。そのため第1圧電体14は、第1電極12および第2電極16によって電圧が印加されることで変形することができる。この変形により第1振動板8aは、変形(屈曲)することができる。
第1圧電体14の材質としては、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物(たとえば、Aは、Pbを含み、Bは、ZrおよびTiを含む。)が好適である。このような材料の具体例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO3)などが挙げられる。
第2電極16は、第1圧電体14上に形成されている。第2電極16は、第1電極12と対向して配置されている。第2電極16の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第2電極16の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。第2電極16の平面的な形状は、第1電極12に対向して配置されたときに両者の間に第1圧電体14を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。
第2電極16の材質は、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuOx:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiOx:LNO)などを例示することができる。第2電極16は、例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第2電極16の機能の一つとしては、第1圧電体14に電圧を印加するための一方の電極となることが挙げられる。第2電極16は、図示の例では、第1圧電素子10ごとに形成された個別電極である。なお、図示はしないが、第2電極16は、複数の第1圧電素子10の共通電極であってもよい。第2電極16は、配線(図示せず)を介して、第1制御部40と電気的に接続されている。
第2圧電素子20は、第2振動板8bを介して基板1の下に形成されている。第2圧電素子20は、圧力室3(流路2)に1対1に対応して設けられている。すなわち、第1圧電素子10と第2圧電素子20とは、それぞれ振動板8a,8bを介して、1つの圧力室3(流路2)を挟むように配置されている。図示の例では、第2圧電素子20は、複数の圧力室3に1対1に対応して複数設けられている。第2圧電素子20は、第3電極22と、第3電極22に対向する第4電極26と、第3電極22と第4電極26とに挟まれた第2圧電体24と、を有している。
第3電極22は、第2振動板8bの下に形成されている。第3電極22は、第2圧電体24を挟む2つの電極22,26のうち基板1側に形成された電極である。第3電極22と第2振動板8bとの間には、例えば、両者の密着性を付与する層や、強度や導電性を付与する層が形成されてもよい。このような層の例としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属からなる層や、それらの酸化物からなる層を例示することができる。
第3電極22の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第3電極22の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。また、第3電極22の平面的な形状は、第4電極26が対向して配置されたときに両者の間に第2圧電体24を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。
第3電極22の材質としては、例えば、第1電極12と同様の材質を例示することができる。第3電極22は、単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第3電極22の機能の一つとしては、第4電極26と一対になって、第2圧電体24に電圧を印加するための一方の電極となることが挙げられる。第3電極22は、図示の例では、複数の第2圧電素子20の共通電極である。なお、第3電極22は、例えば、第2圧電素子20ごとに形成された個別電極であってもよい。第3電極22は、配線(図示せず)を介して、第2制御部42と電気的に接続されている。
第2圧電体24は、第3電極22の下に形成されている。第2圧電体24の少なくとも一部は、第3電極22と第4電極26とに挟まれている。第2圧電体24は、例えば、第3電極22の下面および側方、並びに第2振動板8bの下方に形成されている。第2圧電体24の厚さは、例えば、300nm以上3000nm以下とすることができる。
第2圧電体24は、圧電材料によって形成される。そのため第2圧電体24は、第3電極22および第4電極26によって電圧が印加されることで変形することができる。この変形により第2振動板8bは、変形(屈曲)することができる。第2圧電体24の材質としては、第1圧電体12と同様の材質を例示することができる。
第4電極26は、第2圧電体24の下に形成されている。第4電極26は、第3電極22と対向して配置されている。第4電極26の形状は、例えば、層状または薄膜状の形状である。第4電極26の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。第4電極26の平面的な形状は、第3電極22に対向して配置されたときに両者の間に第2圧電体24を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。
第4電極26の材質としては、例えば、第2電極16と同様の材質を例示することができる。第4電極26は、単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
第4電極26の機能の一つとしては、第2圧電体24に電圧を印加するための一方の電極となることが挙げられる。第4電極26は、図示の例では、第2圧電素子20ごとに形成された個別電極である。なお、図示はしないが、第4電極26は、複数の第2圧電素子20の共通電極であってもよい。
第1封止板30は、第1圧電素子10の上方に設けられ、空間を介して第1圧電素子10を覆うように形成されている。第1封止板30は、図示の例では、複数の第1圧電素子10を覆うように形成されている。図示はしないが、第1封止板30は、第1圧電素子10を1つずつ覆うように形成されていてもよい。第1封止板30は、その内側の空間を気密に保つ機能を有していてもよい。これにより、第1圧電素子10を外部雰囲気から保護することができる。したがって、例えば、第1圧電体14の劣化を抑制することができる。また、第1封止板30を設けることにより、液体噴射ヘッド100の取り扱いが容易になる。第1封止板30の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、ガラスなどを挙げることができる。
第2封止板32は、第2圧電素子20の下方に設けられ、空間を介して第2圧電素子20を覆うように形成されている。第2封止板32は、図示の例では、複数の第2圧電素子20を覆うように形成されている。図示はしないが、第2封止板32は、第2圧電素子20を1つずつ覆うように形成されていてもよい。第2封止板32は、その内側の空間を気密に保つ機能を有していてもよい。これにより、第2圧電素子20を外部雰囲気から保護することができる。したがって、例えば、第2圧電体24の劣化を抑制することができる。また、第2封止板32を設けることにより、液体噴射ヘッド100の取り扱いが容易になる。第2封止板32の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、ガラスなどを挙げることができる。
第1制御部40は、第1封止板30上に設けられている。第1制御部40は、第1圧電素子10を制御することができる。第1制御部40は、例えば、第1圧電素子10を駆動させるための駆動電圧を発生する駆動電圧発生回路を有している。第1制御部40は、第1電極12および第2電極16と電気的に接続されており、第1電極12と第2電極16との間に駆動電圧を印加することができる。第1制御部40は、第1電極12の電位が第2電極16の電位よりも低くなる時間が、第1電極12の電位が第2電極16の電位よりも高くなる時間よりも長い駆動電圧を、第1電極12と第2電極16との間に印加する第1制御を行うことができる。この第1制御により、第1振動板8aを変形させることができる。
図5は、圧電素子を駆動させるための駆動電圧パルスPを示す波形図である。第1制御部40は、例えば、電極12,16間に印加する駆動電圧として、図5に示す駆動電圧パルスPを用いて第1制御を行うことができる。
ここで、駆動電圧パルスPについて説明する。駆動電圧パルスPは、図5に示すように、圧力室3の基準容積に対応する基準電位Vmから最低電位VLまで電位を降下させる電位下降要素p1と、最低電位VLを所定時間保持する第1電位保持要素p2と、最低電位VLから最高電位VHまで電位を上昇させる電位上昇要素p3と、最高電位VHを所定時間保持する第2電位保持要素p4と、最高電位VHから基準電位Vmまで電位を下降させる復帰要素p5と、を含んで構成されている。
第1制御部40は、例えば、第1電極12に一定のバイアス電圧を印加し、かつ第2電極16に時系列で変化するパルス電圧を印加することにより、電極12,16間に駆動電圧パルスPを印加する。図5に示すように、駆動電圧パルスPは、プラスの電圧を印加する時間がマイナスの電圧を印加する時間よりも長い。そのため、第1電極12に印加されるバイアス電圧を、少なくとも第2電極16に印加されるパルス電圧の基準電位(中間電位)より低く(例えば、0Vに)設定する。これにより、第1電極12の電位が第2電極16の電位より低くなる時間が、第1電極12の電位が第2電極16の電位よりも高くなる時間よりも長くなる。このようにして、第1制御部40は、第1制御を行うことができる。
なお、第1制御部40が行う第1制御は、上述した駆動電圧パルスPを用いた例に限定されず、第1電極12の電位が第2電極16の電位より低くなる時間が、第1電極12の電位が第2電極16の電位より高くなる時間よりも長い駆動電圧を、電極12,16間に印加できればよい。
第2制御部42は、第2封止板32の下に設けられている。図示はしないが、第2制御部42は、第1封止板30上に第1制御部40と一体的に設けられてもよい。また、液体噴射ヘッド100は、1つの制御部で2つの圧電素子10,20の制御を行ってもよい。第2制御部42は、第2圧電素子20を制御することができる。第2制御部42は、例えば、第2圧電素子20を駆動させるための駆動電圧を発生する駆動電圧発生回路を有している。第2制御部42は、第3電極22および第4電極26と電気的に接続されており、第3電極22と第4電極26との間に駆動電圧を印加することができる。第2制御部42は、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも高くなる時間が、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも低くなる時間よりも長い駆動電圧を、第3電極22と第4電極26との間に印加する第2制御を行うことができる。この第2制御により、第2振動板8bを変形させることができる。
第2制御部42は、例えば、電極22,26間に印加する駆動電圧として、図5に示す駆動電圧パルスPを用いて第2制御を行うことができる。第2制御部42は、例えば、第3電極22に時系列で変化するパルス電圧を印加し、かつ第4電極26に一定のバイアス電圧を印加することにより、電極22,26間に駆動電圧パルスPを印加する。図5に示すように、駆動電圧パルスPは、プラスの電圧を印加する時間がマイナスの電圧を印加する時間よりも長い。そのため、第4電極26に印加されるバイアス電圧を、少なくとも第3電極22に印加されるパルス電圧の基準電位(中間電位)よりも低く(例えば、0Vに)設定する。これにより、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも高くなる時間が、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも低くなる時間よりも長い駆動電圧を、第3電極22と第4電極26との間に印加することができる。このようにして、第2制御部42は、第2制御を行うことができる。
なお、第2制御部42が行う第2制御は、上述した駆動電圧パルスPを用いた例に限定されず、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも高くなる時間が、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも低くなる時間よりも長い駆動電圧を、電極22,26間に印加できればよい。
駆動電圧パルスPが第1圧電素子10および第2圧電素子20に印加されたときの液体噴射ヘッド100の動作について説明する。電位下降要素p1が圧電素子10,20に供給されると、第1圧電素子10が第1振動板8aを上方に変位させ、第2圧電素子20が第2振動板8bを下方に変位させる。これにより、圧力室3が膨張し圧力室3内が減圧される。そして、第1保持要素p2が圧電素子10,20に供給されることで圧力室3が膨張した状態が維持される。次に、電位上昇要素p3が圧電素子10,20に供給されると、第1圧電素子10が第1振動板8aを下方に変位させ、第2圧電素子20が第2振動板8bを上方に変位させる。これにより、圧力室3が収縮して圧力室3内が加圧され、第2開口部6から液体が排出される。その後、圧電素子10,20に第2電位保持要素p4に続いて復帰要素p5が供給されることにより、第1圧電素子10が第1振動板8aを上方に変位させ、第2圧電素子20が第2振動板8bを下方に変位させる。これにより、圧力室3が膨張して圧力室3内が減圧され、液体が排出された後の第2開口部6のメニスカスの振動を収束させる。このように、液体噴射ヘッド100では、制御部40,42が第1制御および第2制御を同時に行うことによって、圧力室3内の圧力を変化させて、第2開口部6から液体を排出することができる。
上述したように、第1制御において、第1圧電素子10に印加される駆動電圧は、第1電極12の電位が第2電極16の電位よりも低くなる時間が、第1電極12の電位が第2電極16の電位よりも高くなる時間よりも長い。そのため、図3に示すように、駆動電圧によって第1圧電素子10に印加される主な電界の方向(印加される時間が長い電界の方向)E10は、第2電極16から第1電極12に向かう方向である。この電界の方向E10と、第1圧電体14の成長方向(圧電素子の形成された面の垂線方向であって、基板から離れる方向)T1とは、互いに反対の方向である。
また、第2制御において、第2圧電素子20に印加される駆動電圧は、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも高くなる時間が、第3電極22の電位が第4電極26の電位よりも低くなる時間よりも長い。そのため、駆動電圧によって第2圧電素子20に印加される主な電界の方向E20は、第3電極22から第4電極26に向かう方向である。この電界の方向E20と、第2圧電体24の成長方向T2とは、同じ方向である。
図6は、圧電素子の耐久試験の結果を示すグラフである。サンプルS1は、第1圧電素子10と同様に、圧電素子に印加される主な電界の方向と圧電体の成長方向とが互いに反対の方向となるように駆動電圧パルスPが印加された圧電素子である。サンプルS2は、第2圧電素子20と同様に、圧電素子に印加される主な電界の方向と圧電体の成長方向とが同じ方向となるように駆動電圧パルスPが印加された圧電素子である。
図6に示すように、サンプルS1は、駆動電圧パルスPの印加数が増えるに従って、変位量が減少する傾向がある。逆に、サンプルS2は、駆動電圧パルスPの印加数が増えるに従って、変位量が増加する傾向がある。したがって、サンプルS1の変位量とサンプルS2の変位量との平均値Aをとれば、駆動電圧パルスPの印加数が増えても、サンプルS1やサンプルS2と比べて、一定した変位量が得られることがわかる。
液体噴射ヘッド100では、上述のように、第1制御および第2制御によって、第1圧電素子10および第2圧電素子20を変位させて、液体を噴射する。すなわち、第1圧電素子10の変位と第2圧電素子20の変位をあわせた変位によって、液体を噴射する。ここで、図6に示す第1圧電素子10の変位の傾向と第2圧電素子20の変位の傾向をあわせた変位の傾向は、平均値Aと同様の傾向を示す。したがって、液体噴射ヘッド100では、圧電素子10,20に繰り返し駆動電圧を印加しても、2つの圧電素子10,20をあわせた変位量としては、一定した値が得られる。すなわち、液体噴射ヘッド100では、圧電素子10,20に繰り返し駆動電圧を印加しても、一定した量の液体を噴射することができる。
液体噴射ヘッド100は、例えば、以下の特徴を有する。
液体噴射ヘッド100によれば、上述のように、圧電素子10,20に繰り返し駆動電圧を印加しても、一定した量の液体を噴射することができる。すなわち、液体噴射ヘッド100は、長期にわたって、安定した噴射特性を有することができる。
液体噴射ヘッド100によれば、第1圧電素子10および第2圧電素子20によって、圧力室3の容積を変動させることができる。そのため、圧電素子が1つの場合と比べて、圧力室3の容積の変動量を大きくすることができる。したがって、多量の液体を噴射することができる。すなわち、液体噴射ヘッド100では、液体の噴射能力を高めることができる。
液体噴射ヘッド100によれば、第1圧電素子10が基板1の上方に形成され、第2圧電素子20が基板1の下方に形成され、第2開口部6が基板1の側方に形成されていることができる。これにより、例えば、2つの圧電素子10,20を、基板1を拡大することなく、効率よく配置することができる。したがって、装置の小型化を図ることができる。
液体噴射ヘッド100によれば、第1封止板30と、第2封止板32と、を有することができる。これにより、圧電素子10,20を外部雰囲気から保護することができる。
2. 液体噴射ヘッドの製造方法
次に、液体噴射ヘッド100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図7〜図8は、液体噴射ヘッド100の製造工程を模式的に示す断面図であり、図3に示す断面図に対応している。
図7に示すように、基板1となる部材1a上に第1振動板8aを形成する。第1振動板8aは、例えば、シリコンからなる部材1aを熱酸化して酸化シリコン層を形成後、スパッタ法によりジルコニウム(Zr)層を形成し、該ジルコニウム層を熱酸化して酸化ジルコニウム層を形成することにより得られる。
次に、第1振動板8a上に第1圧電素子10を形成する。まず、第1振動板8a上に第1電極12を形成する。第1電極12は、例えば、スパッタ法などにより形成される。次に、第1電極12上に第1圧電体14を形成する。第1圧電体14は、例えば、CVD法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタ法などにより形成される。次に、第1圧電体14上に第2電極16を形成する。第2電極16は、例えば、スパッタ法などにより形成される。第1電極12、第1圧電体14、および第2電極16は、各層の形成ごとにパターニングされることもできるし、複数層の形成ごとに一括してパターニングされることもできる。このようにして、第1圧電素子10を形成する。
次に、第1封止板30を、第1圧電素子10の上方に接合する。当該接合は、例えば、陽極接合や、接着剤等を用いて行われる。次に、部材1aに開口部2aを形成する。例えば、部材1aの一部をエッチングすることにより、開口部2aを形成することができる。部材1aのエッチングは、例えば、水酸化カリウム水溶液などを用いて行うことができる。なお、部材1aをエッチングする前に、部材1aの裏面(第1振動板8a側とは反対側の面)を研磨することにより、部材1aの膜厚を減少させてもよい。
図8に示すように、基板1となる部材1b上に第2振動板8bを形成する。第2振動板8bは、第1振動板8aと同様に形成される。
次に、第2振動板8b上に第2圧電素子20を形成する。第2圧電素子20は、第1圧電素子10と同様に形成される。
次に、第2封止板32を、第2圧電素子20の上方に接合する。当該接合は、例えば、陽極接合や、接着剤等を用いて行われる。次に、部材1bに開口部2bを形成する。例えば、部材1bの一部をエッチングすることにより、開口部2bを形成することができる。部材1bのエッチングは、部材1aのエッチングと同様に行うことができる。
図3に示すように、部材1aの開口部2a側の面と部材1bの開口部2b側の面を接合する。当該接合は、例えば、陽極接合や、接着剤等を用いて行われる。これにより、圧力室3および開口部4,6を有する流路2を形成することができる。次に、封止板30,32の上面に、接着剤等を用いて制御部40,42を貼り付ける。次に、例えば、ワイヤーボンディング等を行って、第1制御部40と電極12,16とを電気的に接続し、第2制御部42と電極22,26とを電気的に接続する。
以上の工程により、液体噴射ヘッド100を製造することができる。なお、液体噴射ヘッド100の製造方法は、上述の製造方法に限定されない。
3. 液体噴射ヘッドの変形例
次に、本実施形態の変形例に係る液体噴射ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の変形例に係る液体噴射ヘッド200を模式的に示す斜視図である。なお、図9では、便宜上、ノズルプレート210の一部を透視して示している。
液体噴射ヘッド200は、液体噴射ヘッド100と、貫通孔212を有するノズルプレート210と、を含むことができる。
ノズルプレート210は、基板1の側方に設けられている。貫通孔212は、第2開口部6と連通している。したがって、第2開口部6から排出された液体は、貫通孔212を介して、外部に噴射される。これにより、液体噴射ヘッド200は、外部に噴射される液体の飛行精度(飛行方向や飛行速度)を向上させることができる。ノズルプレート210の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを例示することができる。
4. ライン型液体噴射ヘッド
次に、本実施形態に係るライン型液体噴射ヘッドについて、図面を参照しながら説明する。図10は、本実施形態の変形例に係るライン型液体噴射ヘッド300を模式的に示す斜視図である。図11は、ライン型液体噴射ヘッド300の側面を模式的に示す平面図である。
ライン型液体噴射ヘッド300は、本発明に係る液体噴射ヘッドを複数有することができる。ここでは、本発明に係る液体噴射ヘッドとして、本実施形態に係る液体噴射ヘッド100を用いた場合について説明する。
ライン型液体噴射ヘッド300は、図10の例では、4つの液体噴射ヘッド100(第1液体噴射ヘッド100a、第2液体噴射ヘッド100b、第3液体噴射ヘッド100c、第4液体噴射ヘッド100d)を有しているが、その数は限定されない。4つの液体噴射ヘッド100a,100b,100c,100dは、液体の排出方向が揃うように、第2開口部6a,6b,6c,6dが同じ方向を向くように配列されている。図11に示すように、第1液体噴射ヘッド100aの第2開口部6aは、基板1の側面に複数形成されており、複数の第2開口部6aは、第1方向Xに並んでいる。第2開口部6b、6c、6dも同様に、基板1の側面に複数形成されており、複数の第2開口部6b、6c、6dは、第1方向Xに並んでいる。
図11に示すように、第1液体噴射ヘッド100aの第2開口部6aは、第1方向Xに延びる第1仮想直線A上に配置されている。また、第2液体噴射ヘッド100bの第2開口部6bは、第1仮想直線A上に配置されている。第3液体噴射ヘッド100cの第2開口部6cは、第1方向Xに延びる第2仮想直線Aと、第1液体噴射ヘッド100aの第2開口部6aと第2液体噴射ヘッド100bの第2開口部6bとの間を通り第1方向Xと直交する第2方向Yに延びる第3仮想直線Cと、が交差する位置に配置されている。すなわち、第2開口部6a,6b,6cは、第1方向Xに沿って千鳥状に配置されている。これに対応して、図示の例では、第1〜第4液体噴射ヘッド100a,100b,100c,100dが、第1方向Xに沿って千鳥状に配置されている。
その結果、ライン型液体噴射ヘッド300は、媒体の表面に沿って、相対的な位置を第2方向Yに変化させたときに、液体噴射ヘッド100が単数の場合に比べて、媒体の4倍の面積に対して液体を塗布することができる。これにより、ライン型液体噴射ヘッド300と媒体との相対的な位置を変化させるとき、ライン型液体噴射ヘッド300または媒体の移動に要する操作を減少させることができる。また、たとえば、ラスタースキャンによって液体を塗布する場合、走査回数を減少させることができる。
本実施形態のライン型液体噴射ヘッドが有する液体噴射ヘッド100の個数は、任意である。そのため、たとえば、ライン型液体噴射ヘッド300の第1方向Xの長さが、媒体の幅以上の大きさとなるように、液体噴射ヘッド100の数を増せば、媒体およびライン型液体噴射ヘッド300のいずれかを走査することのみによって、媒体の目標位置に液体を塗布することができる。そのため、このようなライン型液体噴射ヘッドによれば、ラスタースキャンが不要になり、ラスタースキャンのための機構や制御装置等を簡略化することができる。
ライン型液体噴射ヘッド300によれば、液体噴射ヘッド100を有するため、安定した噴射特性を得ることができる。さらに、液体噴射ヘッド100が単数の場合に比べて、広い面積に液体を塗布することができる。
5. 液体噴射装置
次に、本実施形態に係る液体噴射装置について説明する。本実施形態に係る液体噴射装置は、本発明に係る液滴噴射ヘッド100を有する。ここでは、本実施形態に係る液体噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明する。図12は、本実施形態に係る液体噴射装置1000を模式的に示す斜視図である。
液体噴射装置1000は、ヘッドユニット1030と、駆動部1010と、制御部1060と、を含む。また、液体噴射装置1000は、装置本体1020と、給紙部1050と、記録用紙Pを設置するトレイ1021と、記録用紙Pを排出する排出口1022と、装置本体1020の上面に配置された操作パネル1070と、を含むことができる。
ヘッドユニット1030は、例えば、上述した液滴噴射ヘッド100から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット1030は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ1031と、ヘッドおよびインクカートリッジ1031を搭載した運搬部(キャリッジ)1032と、を備える。
駆動部1010は、ヘッドユニット1030を往復動させることができる。駆動部1010は、ヘッドユニット1030の駆動源となるキャリッジモーター1041と、キャリッジモーター1041の回転を受けて、ヘッドユニット1030を往復動させる往復動機構1042と、を有する。
往復動機構1042は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸1044と、キャリッジガイド軸1044と平行に延在するタイミングベルト1043と、を備える。キャリッジガイド軸1044は、キャリッジ1032が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ1032を支持している。さらに、キャリッジ1032は、タイミングベルト1043の一部に固定されている。キャリッジモーター1041の作動により、タイミングベルト1043を走行させると、キャリッジガイド軸1044に導かれて、ヘッドユニット1030が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
なお、本実施形態では、液体噴射ヘッド100および記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる液体噴射装置の例を示しているが、本発明の液体噴射装置は、液体噴射ヘッド100および記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であればよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液体噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
制御部1060は、ヘッドユニット1030、駆動部1010および給紙部1050を制御することができる。
給紙部1050は、記録用紙Pをトレイ1021からヘッドユニット1030側へ送り込むことができる。給紙部1050は、その駆動源となる給紙モーター1051と、給紙モーター1051の作動により回転する給紙ローラー1052と、を備える。給紙ローラー1052は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー1052aおよび駆動ローラー1052bを備える。駆動ローラー1052bは、給紙モーター1051に連結されている。制御部1060によって供紙部1050が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット1030の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット1030、駆動部1010、制御部1060および給紙部1050は、装置本体1020の内部に設けられている。
液体噴射装置1000では、本発明に係る液滴噴射ヘッド100を有することができる。したがって、液体噴射装置1000は、安定した噴射特性を有することができる。
なお、上記例示した液体噴射装置1000は、1つの液体噴射ヘッド100を有し、この液体噴射ヘッド100によって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の液体噴射ヘッドを有してもよい。液体噴射装置が複数の液体噴射ヘッドを有する場合には、複数の液体噴射ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよい。
以上、本発明にかかる液体噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしての液体噴射装置1000を説明したが、本発明にかかる液体噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明の液体噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
6. ライン型液体噴射装置
本実施形態のライン型液体噴射装置は、本実施形態に係るライン型液体噴射ヘッド300を有する。ここでは、本実施形態にかかるライン型液体噴射装置2000がインクジェットプリンターである場合を例にとって説明する。
図13は、本実施形態に係るライン型液体噴射装置2000を概略的に示す斜視図である。
ライン型液体噴射装置2000は、ヘッドユニット1030と、制御部1060と、を含む。ライン型液体噴射装置2000は、液体噴射装置1000における駆動部1010を有さない。また、ライン型液体噴射装置2000は、装置本体1020と、給紙部1050と、記録用紙Pを設置するトレイ1021と、記録用紙Pを排出する排出口1022と、装置本体1020の上面に配置された操作パネル1070と、を含むことができる。ライン型液体噴射装置2000のヘッドユニット1030以外の部材は、液体噴射装置1000と同様であるため、当該部材についての詳細な説明を省略する。
ヘッドユニット1030は、上述したライン型液体噴射ヘッド300から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ライン型液体噴射ヘッド300は、記録用紙Pの幅よりも大きいX方向の大きさを有している。ヘッドユニット1030は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ1031を備える。
ライン型液体噴射ヘッド300は、ヘッドユニット1030に、記録用紙Pの移動方向と、液体噴射ヘッド100a,100b.100c.100dが並ぶ第1方向Xに直交する第2方向Y(図11参照)とが一致するように、ヘッドユニット1030に取り付けられている。
制御部1060によって、給紙部1050の動作とともにヘッドユニット1030が駆動され、ライン型液体噴射ヘッド300と記録用紙Pとの相対的な位置を変化させながらインクが記録用紙Pの所望の位置に塗布され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
ライン型液体噴射装置2000では、本発明に係るライン型液滴噴射ヘッド300を有することができる。したがって、ライン型液体噴射装置1000は、安定した噴射特性を有することができる。
なお、本発明にかかるライン型液体噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしてのライン型液体噴射装置2000を説明したが、本発明にかかるライン型液体噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明のライン型液体噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
以上に述べた実施形態および変形例は、任意の複数の形態を適宜組み合わせることが可能である。これにより、組み合わされた実施形態は、それぞれの実施形態が有する効果または相乗的な効果を奏することができる。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。