以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板P上に投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する主制御装置CONTとを備えている。更に、露光装置EXは、マスクステージMST及び投影光学系PLを支持するメインコラム3を備えている。
メインコラム3は、床面FDに水平に載置された第1ベース部材BP1上に設けられている。メインコラム3には、内側に向けて突出する上側段部3A及び下側段部3Bが形成されている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系(照明系)ILは、メインコラム3の上部に固定された支持コラム5により支持されている。したがって、照明光学系ILは、メインコラム3及び支持コラム5を介して第1ベース部材BP1上に支持された構成となっている。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージ(マスク保持部材)MSTは、マスクMを移動可能に保持するものであって、その中央部にマスクMのパターン像を通過させる開口部34Aを備えている。メインコラム3の上側段部3Aには、防振ユニット6を介してマスク定盤31が支持されている。防振ユニット6は、エアダンパなどの受動的除振機構と電力によって駆動するアクチュエータ(電磁式アクチュエータなど)とを有しており、マスク定盤31とメインコラム3との間の振動の伝達を能動的に抑制している。また、防振ユニット6は少なくとも3箇所に設けられており、主制御装置CONTの指令に基づいてそれぞれが駆動することにより、マスク定盤31の位置(姿勢)を調整可能である。マスク定盤31の中央部にも、マスクMのパターン像を通過させる開口部34Bが形成されている。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。マスクステージMSTはエアベアリング32によりマスク定盤31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等のマスクステージ駆動系により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。
ここで上述したように、マスクステージMSTはメインコラム3の上側段部3Aに支持されたマスク定盤31上に支持されているため、メインコラム3及びマスク定盤31を介して第1ベース部材BP1上に支持された構成となっている。
マスクステージMST上の+X側の所定位置には移動鏡35が設けられている。また、移動鏡35に対向する位置にはレーザ干渉計36が設けられている。同様に、不図示ではあるが、マスクステージMST上の+Y側にも移動鏡が設けられ、これに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計36によりリアルタイムで計測され、計測結果は主制御装置CONTに出力される。
主制御装置CONTは、レーザ干渉計36の計測結果に基づいてマスクステージ駆動系を駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられている。また、先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。これにより、金属からなる鏡筒PKの腐蝕等が防止されている。
光学素子2は蛍石で形成されている。蛍石は純水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2は水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2Aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
鏡筒PKの外周部にはフランジ部FLGが設けられている。また、メインコラム3の下側段部3Bには、防振ユニット7を介して鏡筒定盤8が支持されている。防振ユニット7は、エアダンパなどの受動的除振機構と電力によって駆動するアクチュエータ(電磁式アクチュエータなど)とを有しており、鏡筒定盤8とメインコラム3との間の振動の伝達を能動的に抑制している。また、防振ユニット7は少なくとも3箇所に設けられており、主制御装置CONTの指令に基づいてそれぞれが駆動することにより、鏡筒定盤8の位置(姿勢)を調整可能である。そして、フランジ部FLGが鏡筒定盤8に係合することによって、鏡筒PKが鏡筒定盤8に支持される。
ここで上述したように、投影光学系PLの鏡筒PKはメインコラム3の下側段部3Bに支持された鏡筒定盤8上に支持されている。したがって、投影光学系PLは、メインコラム3及び鏡筒定盤8を介して第1ベース部材BP1上に支持された構成となっている。
基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを移動可能に保持するものであり、その下面には複数の非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。基板ステージPSTはエアベアリング42により基板定盤41の上面(ガイド面)41Aに対して非接触支持されている。ガイド面41Aに対して非接触支持されている基板ステージPSTは、ガイド面41Aに沿って移動可能である。基板ステージPSTは、リニアモータ等の基板ステージ駆動系により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。
そして、基板定盤41は、防振ユニット9を介して、第1ベース部材BP1とは別の第2ベース部材BP2上に支持されている。防振ユニット9は、エアダンパなどの受動的除振機構と電力によって駆動するアクチュエータ(電磁式アクチュエータなど)とを有しており、基板定盤41と第2ベース部材BP2(床面FD)との間の振動の伝達を能動的に抑制している。また、防振ユニット9は少なくとも3箇所に設けられており、主制御装置CONT(又は後述するステージ制御装置PSTC)の指令に基づいてそれぞれが駆動することにより、基板定盤41の位置(姿勢)を調整可能である。基板ステージPSTは、基板定盤41を介して第2ベース部材BP2上に支持された構成となっている。
メインコラム3を介して照明光学系IL、マスクステージMST、及び投影光学系PLを支持する第1ベース部材BP1と、基板定盤41を介して基板ステージPSTを支持する第2ベース部材BP2とは分離しており、互いに独立した部材である。第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との間には隙間(ギャップ)4が形成されている。
第2ベース部材BP2は液体受け部材60上に載置されており、液体受け部材60は床面FD上に設けられている。すなわち、第2ベース部材BP2は液体受け部材60を介して床面FD上に設けられている。液体受け部材60は、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との間のギャップ4に流れた液体LQを回収するものであって、第2ベース部材BP2よりも大きい底板60Aと、その底板60Aの周りを囲む周壁60Bとを備えている。
なお、液体受け部材60は、予想される漏出液体の最大量よりも10〜20%程度多い量の液体を保持できるようにしておくとよい。また、第2ベース部材BP2上に液体受け部材を配置するとともに、さらにその上に防振ユニット9を介して基板定盤41を配置するようにしてもよい。この場合、第2ベース部材BPの下の液体受け部材60は省略しても良いし、併用してもよい。
また、ギャップ4の上方には、ギャップ4に向けて気体を流す気体供給系150が設けられている。気体供給系150は、少なくとも基板ステージPSTよりも上方、更には液体供給口12よりも上方に設けられている。
基板ステージ駆動系は、基板ステージPSTをX軸方向に移動自在に支持するXガイドステージ44を備えている。基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に案内されつつXリニアモータ47によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ47は、Xガイドステージ44にX軸方向に延びるように設けられた固定子47Aと、この固定子47Aに対応して設けられ基板ステージPSTに固定された可動子47Bとを備えている。そして、可動子47Bが固定子47Aに対して駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。ここで、基板ステージPSTは、Xガイドステージ44に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTはXガイドステージ44に非接触支持された状態でXリニアモータ47によりX軸方向に移動する。
Xガイドステージ44の長手方向両端には、このXガイドステージ44を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ48、48が設けられている。Yリニアモータ48のそれぞれは、Xガイドステージ44の長手方向両端に設けられた可動子48Bと、この可動子48Bに対応して設けられた固定子48Aとを備えている。
そして、可動子48Bが固定子48Aに対して駆動することでXガイドステージ44が基板ステージPSTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ48、48のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ44はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ48、48により基板ステージPSTがXガイドステージ44とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
基板定盤41のX軸方向両側のそれぞれには、Xガイドステージ44のY軸方向への移動を案内するガイド部49が設けられている。ガイド部49はベースプレート4上に支持されている。一方、Xガイドステージ44の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材45が設けられている。ガイド部49は被ガイド部材45と係合し、ガイド部49の上面(ガイド面)と被ガイド部材45の内面とが対向するように設けられている。ガイド部49のガイド面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)46が設けられており、Xガイドステージ44はガイド部49のガイド面に対して非接触支持されている。
基板ステージPST(基板ホルダPH)上の+X側の所定位置には移動鏡80が設けられ、鏡筒PKの+X側の所定位置には参照鏡(固定鏡)81が設けられている。また、移動鏡80に対向する位置にはレーザ干渉計82が設けられている。レーザ干渉計82は、移動鏡80に測長ビーム(測定光)を照射するとともに、参照鏡81に参照ビーム(参照光)をミラー83A、83Bを介して照射する。照射した測長ビーム及び参照ビームに基づく移動鏡80及び参照鏡81それぞれからの反射光はレーザ干渉計82の受光部で受光され、レーザ干渉計82はこれら光を干渉し、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、ひいては、参照鏡81を基準とした移動鏡80の位置(座標)や変位を計測する。参照鏡81は投影光学系PLの鏡筒PKに支持され、移動鏡80は基板ステージPSTに支持されているため、レーザ干渉計82は、鏡筒PKを基準とした基板ステージPSTの位置を計測する。そして、投影光学系PLの鏡筒PKは鏡筒定盤8に支持されているため、レーザ干渉計82は、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤8(ひいてはメインコラム3)と基板ステージPSTとの位置関係を計測する。なお、参照鏡81を鏡筒PKに設ける代わりに、鏡筒定盤8に設けてもよい。
同様に、不図示ではあるが、基板ステージPST上及び鏡筒PKの+Y側にも移動鏡及び参照鏡が設けられ、これらに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。
基板ステージPST上の基板Pの2次元方向(XY方向)の位置、及び回転角はレーザ干渉計82によりリアルタイムで計測される。基板ステージ駆動系は、レーザ干渉計82の計測結果に基づいて、レーザ干渉計82で規定される2次元座標系内で基板ステージPSTを移動することで、基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、露光装置EXは、基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス検出系(不図示)を有している。フォーカス検出系は、液体LQを介して基板P表面(露光面)に斜め方向から検出光を投射するとともに、その基板Pからの反射光を液体LQを介して受光することによって、基板P表面の面位置情報を検出する。そして、フォーカス検出系は、所定基準面(例えば像面)に対する基板P表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)を検出する。また、基板P表面における複数の各点での各フォーカス位置を求めることにより、フォーカス検出系は基板Pの傾斜方向の姿勢を求めることもできる。なお、フォーカス検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。また、フォーカス検出系は液体LQを介さずに検出光を基板P表面に投射し、その反射光を受光するものであってもよい。
基板ステージ駆動系は、基板ステージPSTに保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、基板ステージ駆動系は、フォーカス検出系の検出結果に基づいて基板ステージPSTを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
基板ステージPST上には凹部55が設けられており、基板ホルダPHは凹部55に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部55以外の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。基板ステージPSTの上面51は撥液化処理されて撥液性を有している。
撥液化処理としては、例えばフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面51を設けたので、基板P表面のエッジ領域を液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。ただし、液浸領域AR2が良好に保持できるならば、基板Pの表面と上面51とに段差があってもかまわない。また、基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた平坦面51との間には0.1〜2mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pのエッジ領域を露光する場合にも、投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
図2は基板Pを保持して移動可能な移動体である基板ステージPSTを上方から見た平面図である。図2において、平面視矩形状の基板ステージPSTの互いに垂直な2つの縁部に移動鏡80が配置されている。
また、基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、基準部材300が配置されている。基準部材300には、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような基板アライメント系(不図示)により液体を介さずに非液浸状態で検出される基準マークPFMと、例えば特開平7−176468号公報に開示されているようなマスクアライメント系(不図示)により液体を介して液浸状態で検出される基準マークMFMとが所定の位置関係で設けられている。基準部材300の上面301Aはほぼ平坦面となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。
また、前記基板アライメント系は、基板P上に形成されたアライメントマーク1も検出する。図2に示すように、基板P上にはマトリクス状に配置された複数のショット領域S1〜S24が設けられており、アライメントマーク1は複数のショット領域S1〜S24に対応して基板P上に複数設けられている。
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ400が配置されている。照度ムラセンサ400は平面視矩形状の上板401を備えている。上板401の上面401Aはほぼ平坦面となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板401の上面401Aには、光を通過可能なピンホール部470が設けられている。上面401Aのうち、ピンホール部470以外はクロムなどの遮光性材料で覆われており、投影光学系PLと液体LQとを介して、露光光ELの照度分布を計測する。
また、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、計測用センサとして例えば特開2002−14005号公報に開示されているような空間像計測センサ500が設けられている。空間像計測センサ500は平面視矩形状の上板501を備えている。上板501の上面501Aはほぼ平坦面となっており、基板ステージPSTに保持された基板P表面、及び基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。上板501の上面501Aには、光を通過可能なスリット部570が設けられている。上面501Aのうち、スリット部570以外はクロムなどの遮光性材料で覆われており、投影光学系PLと液体LQとスリット部570とを介して露光光ELを受光し、その受光結果に基づいて各種の結像特性を計測する。
また、不図示ではあるが、基板ステージPST上には、例えば特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)も設けられており、その照射量センサの上板の上面は基板ステージPSTに保持された基板P表面や基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)に設けられている。
そして、基準部材300、及び上板401、501などは基板ステージPSTに対して脱着可能(交換可能)となっている。なお、移動鏡80の上面も、基板ステージPSTの上面51とほぼ同じ高さ(面一)となるように配置されている。
図1に戻って、基板ステージPSTを移動するための基板ステージ駆動系は、主制御装置CONTとは別に設けられたステージ制御装置PSTCによって制御される。ステージ制御装置PSTCは、基板ステージ駆動系を介して基板ステージPSTの移動を制御する。ステージ制御装置PSTCは、主制御装置CONTの指令のもとで基板ステージPSTの移動を制御することもできるし、主制御装置CONTの指令によらずに単独で基板ステージPSTの移動を制御することもできる。
また、露光装置EXは、主制御装置CONTとステージ制御装置PSTCとを無線で通信するための無線装置130を備えている。無線装置130によって、主制御装置CONTとステージ制御装置PSTCとは無線で通信可能となっている。
第1ベース部材BP1上に支持された電気機器は、主電源100Aから供給される電力によって駆動される。一方、第2ベース部材BP2上に支持された電気機器は、主電源100Aとは独立して、ステージ用電源100Bから供給される電力によって駆動される。
そして、第1ベース部材BP1上の電気機器と、第2ベース部材BP2上の電気機器とは電気的に独立している。
ここで、第1ベース部材BP1上の電気機器(第2機器)としては、メインコラム3を介して支持された、マスクステージMSTやこのマスクステージMSTを移動するためのマスクステージ駆動系、照明光学系ILを構成する光学部材を駆動する駆動系、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤8を支持する防振ユニット(防振系)7、及び投影光学系PLを構成する光学部材を駆動する駆動系などが挙げられる。更に、第1ベース部材BP1上の電気機器としては、主電源100A及び主制御装置CONTも含まれる。また、電気機器としては、上記駆動系を構成するリニアモータ、各種ケーブル類、及び制御基板等も含まれる。そして、これら第1ベース部材BP1上に支持され、主電源100Aから供給される電力によって駆動する電気機器によってメイン電気系120Aが構成されている。なお、主電源100Aから電力が供給される電気機器は、上述したものに限られず、上述したものをすべて含む必要もない。
一方、第2ベース部材BP2上の電気機器(第1機器)としては、基板ステージPSTやこの基板ステージPSTを、X、Y、Z、θX、θY、θZ方向に移動するためのリニアモータ47、48などを含む基板ステージ駆動系、基板ステージPSTを基板定盤41を介して支持する防振ユニット(防振系)9、及び基板ステージPST上に配置された照度ムラセンサ400や空間像計測センサ500などを含むセンサ系などが挙げられる。更に、第2ベース部材BP2上の電気機器としては、ステージ用電源100B及びステージ制御装置PSTCも含まれる。また、電気機器としては、上記駆動系を構成するリニアモータ、上記センサ系を構成する受光素子、各種ケーブル類、及び制御基板等も含まれる。
そして、これら第2ベース部材BP2上に支持され、ステージ用電源100Bから供給される電力によって駆動する電気機器によってステージ電気系120Bが構成されている。なお、ステージ用電源100Bから電力が供給される電気機器は、上述したものに限られず、上述したものをすべて含む必要もない。
また、主制御装置CONTは、主に第1ベース部材BP1上の電気機器を含むメイン電気系120Aを制御するものであり、ステージ制御装置PSTCは、主に第2ベース部材BP2上の電気機器を含むステージ電気系120Bを制御する。
本実施形態において、ステージ電気系120Bを構成する電気機器のうち、ステージ駆動系を構成するリニアモータ、ステージ用電源100B、ステージ制御装置PSTCを構成する制御基板、及びこれらを接続するケーブル類(不図示)などは、基板ステージPSTよりも下方に配置されている。また、上述したように、センサ系などは基板ステージPST上に配置されている。一方、メイン電気系120Aを構成する例えば主制御装置CONTや主電源100Aは、基板ステージPSTよりも上方、更に具体的には後述する液体供給口12よりも上方に設けられている。
図3は、液体供給機構10、液体回収機構20、及び投影光学系PL先端部近傍を示す拡大図である。
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、及び供給する液体LQの温度を調整する液体温調装置等を備えている。液体供給部11の液体供給動作は主制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを投影光学系PLと基板ステージPST上の基板Pとの間に供給する。なお、液体を供給するためのタンク、加圧ポンプ、温調装置などは、その全てを露光装置EXで備えている必要はなく、少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場などの設備で代替することもできる。
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。また、気液分離器や回収タンクも工場などの設備を代用してもよい。液体回収部21の液体回収動作は主制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍には流路形成部材70が配置されている。流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。流路形成部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、流路形成部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。
流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体供給口12を備えている。液体供給口12は流路形成部材70の下面70Aに設けられている。また、流路形成部材70は、その内部に液体供給口12に対応した供給流路を有している。
更に、流路形成部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体回収口22を備えている。液体回収口22は流路形成部材70の下面70Aに設けられている。また、流路形成部材70は、その内部に液体回収口22に対応した回収流路を有している。
本実施形態において、流路形成部材70は、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。そして、液体供給機構10を構成する液体供給口12は、少なくとも投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられている。液体回収機構20を構成する液体回収口22は、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12の外側に設けられている。なお、本実施形態における投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。
供給管13の他端部は、流路形成部材70の供給流路を介して液体供給口12に接続されている。供給管13は、複数設けられた液体供給口12のそれぞれに対応して設けられている。同様に、回収管23の他端部は、流路形成部材70の回収流路を介して液体回収口22に接続されている。
供給管13の途中には、供給管13の流路を開閉するバルブ15が設けられている。バルブ15の開閉動作は主制御装置CONTにより制御されるようになっている。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(主制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13の流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
また、供給管13の途中には、液体供給部11から送出され、液体供給口12に対する単位時間あたりの液体供給量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器16が設けられている。流量制御器16による液体供給量の制御は主制御装置CONTの指令信号の下で行われる。
液体供給部11及び流量制御器16の動作は主制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQを供給する際、主制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13、及び流路形成部材70の供給流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12より基板P上に液体LQを供給する。このとき、液体供給口12は少なくとも投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、その液体供給口12を介して、投影領域AR1の両側から液体LQを供給可能である。
また、液体供給口12から基板P上に供給される液体LQの単位時間あたりの量は、供給管13に設けられた流量制御器16により制御可能である。
液体回収部21の液体回収動作は主制御装置CONTにより制御される。主制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた液体回収口22から回収された基板P上の液体LQは、流路形成部材70の回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。
投影光学系PLの光学素子2の液体接触面2A、及び流路形成部材70の下面(液体接触面)70Aは親液性(親水性)を有している。本実施形態においては、光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面に対して親液処理が施されており、その親液処理によって光学素子2及び流路形成部材70の液体接触面が親液性となっている。換言すれば、基板ステージPSTに保持された基板Pの被露光面(表面)と対向する部材の表面のうち少なくとも液体接触面は親液性となっている。本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、親液処理(親水処理)としては、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、この光学素子2や流路形成部材70の液体接触面に親水性を付与する。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを前記液体接触面に設ける処理が望ましい。あるいは、MgF2、Al2O3、SiO2などの親液性材料を前記液体接触面に設けてもよい。
流路形成部材70の下面(基板P側を向く面)70Aはほぼ平坦面であり、光学素子2の下面(液体接触面)2Aも平坦面となっており、流路形成部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、広い範囲で液浸領域AR2を良好に形成することができる。なお、例えば国際公開第2004/053955号パンフレットに開示されている液浸機構や、欧州特許公開第1420298号公報に開示されている液浸機構も本実施形態の露光装置に適用することができる。
図4は、第1ベース部材BP1と、基板ステージPSTを基板定盤41を介して支持する第2ベース部材BP2との位置関係を示す平面図である。 図4に示すように、本実施形態においては、第2ベース部材BP2は平面視略矩形状に形成されており、第1ベース部材BP1は第2ベース部材BP2を囲む枠状に形成されている。なお第1ベース部材BP1を平面視U字状に設けるなど、第1、第2ベース部材BP1、BP2の形状を、所望の強度を維持できる範囲で任意に設けることができる。
そして、第2ベース部材BP2の所定の位置には、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との相対位置を計測する計測装置90が設けられている。本実施形態においては、計測装置90は、第2ベース部材BP2上において互いに離れた2つの位置のそれぞれに設けられている。
図5は、計測装置90の一例を示す斜視図である。計測装置90は、顕微鏡を有するマーク検出部91を有しており、マーク検出部91は支持部92を介して第2ベース部材BP2上に支持されている。一方、第1ベース部材BP1上には、位置検出用マーク93が設けられている。支持部92は、マーク検出部91と位置検出用マーク93とを対向するようにマーク検出部91を支持している。位置検出用マーク93は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向に複数並んだライン・アンド・スペースマーク93Xと、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向に複数並んだライン・アンド・スペースマーク93Yとを有している。なお、計測装置90を第1ベース部材BP1上に設け、位置検出用マーク93を第2ベース部材BP2上に設けてもよい。
計測装置90はマーク検出部91を使って位置検出用マーク93を検出し、その位置検出結果に基づいて、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との水平方向(XY方向)に関する相対位置を求める。具体的には、計測装置90は、マーク検出部91で検出した位置検出用マーク93の画像情報に基づいて、検出したマーク位置の初期設定位置に対するずれ量を求め、求めたずれ量に基づいて、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2とのXY方向に関する相対位置(位置ずれ量)を求める。
なお図4では、計測装置90は2箇所に設けられているが、1箇所に設けられる構成であっても、第1ベース部材B1と第2ベース部材BP2との相対位置を計測することができる。一方、計測装置90を2箇所以上の複数位置にそれぞれ設け、主制御装置CONTがこれら複数の計測装置90の計測結果を演算処理して第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との相対位置情報(相対的な回転情報を含む)を求めることにより、前記相対位置情報をより高精度に求めることができる。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターンの像を基板Pに露光する方法について説明する。
まず、マスクMがマスクステージMSTに搬入(ロード)されるとともに、被露光対象である基板Pが基板ステージPSTに搬入(ロード)される。そして、基板Pを露光する前に、主制御装置CONTは、計測装置90を使って、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との相対位置情報を求める。主制御装置CONTは、求めた前記相対位置情報に基づいて、投影光学系PLを介したマスクMのパターン像と基板Pとの位置関係を調整するための補正量を求める。そして主制御装置CONTは、求めた補正量に基づいて、マスクステージMST、基板ステージPST、及び防振ユニット6、7、9等を駆動し、マスクステージMSTや基板ステージPST等の露光開始時における初期位置を調整する。
本実施形態においては、メインコラム3を支持する第1ベース部材BP1と基板ステージPSTを支持する第2ベース部材BP2とは分離しているので、例えば経時的に相対位置が変動する可能性がある。特に、露光装置EXの立ち上げ時などにおいては、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との相対位置関係が所望の相対位置関係に対して大きくずれている可能性がある。相対位置関係が大きくずれている場合、例えばメインコラム3に取り付けられたレーザ干渉計82の計測可能領域内に基板ステージPST上の移動鏡80が配置されないなどの不都合が生じる。同様に、上述した基板アライメント系がメインコラム3に取り付けられている構成であると、基板ステージPST上の基準マークPFMや基板P上のアライメントマーク1を基板アライメント系の検出領域内に配置できないなどの不都合が生じる。したがって、計測装置90を使って第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との相対位置関係(ひいてはメインコラム3と基板ステージPSTとの相対位置関係)を大まかに計測し、その計測結果に基づいて、例えば基板ステージPSTの位置を補正することで、上記不都合の発生を防止することができる。具体的には、計測装置90の計測結果に基づいて、主制御装置CONT(あるいはステージ制御装置PSTC)は、レーザ干渉計82の計測可能領域内に移動鏡80を配置するためや基板アライメント系の検出領域内に基準マークを配置するために基板ステージPSTを移動し、基板ステージPSTの大まかな位置合わせを行う。
なおここでは、計測装置90を使って第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との水平方向(XY方向)における相対位置を計測し、その計測結果に基づいて、基板ステージPSTのXY方向における位置を調整しているが、計測装置90にZ軸方向に関する相対位置を計測する機能を持たせ、その計測結果に基づいて、基板ステージPSTのZ軸方向における位置を調整するようにしてもよい。
なお、ここでは基板ステージPST上に配置されているセンサなどを用いた計測やその計測結果に基づく装置の較正などはすでに完了しているものとする。また、レーザ干渉計82で規定される座標系内におけるベースライン情報(投影光学系PLによって形成されるパターン像の投影位置と基板アライメント系の検出基準位置との位置関係)も、基準部材300を用いてすでに計測されているものとする。
次に、基板Pに対するアライメント計測が行われる。主制御装置CONTは、基板P上の露光対象領域であるショット領域S1〜S24に形成されているアライメントマーク1を基板アライメント系で液体LQを介さずに(ドライ状態で)検出する。基板アライメント系がアライメントマーク1の検出を行っているときの基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計82で計測されており、その計測結果は主制御装置CONTに出力される。主制御装置CONTは、基板アライメント系の検出基準位置に対するショット領域S1〜S24の位置情報(ずれ)を求め、そのときの基板ステージPSTの位置からショット領域S1〜S24のアライメント情報(配列情報)を求める。
基板P上のアライメントマーク1を基板アライメント系で検出した後、主制御装置CONTは、基板Pの液浸露光を行うために、液体供給機構10を駆動して基板P上に液体LQを供給するとともに液体回収機構20を駆動して基板P上の液体LQを所定量回収する。これにより、投影光学系PLの先端部の光学素子2と基板Pとの間に液体LQの液浸領域AR2が形成される。
主制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上に対する液体LQの供給と並行して、液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターンの像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する。このとき、先に求められたベースライン情報とショット領域S1〜S24のアライメント情報とに基づいて、マスクMと基板Pとの位置合わせが行われる。また、基板Pの露光時においても、主制御装置CONT(又はステージ制御装置PSTC)は、レーザ干渉計82の計測結果に基づいて、基板ステージPSTの移動を制御する。
液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10の液体供給部11から供給された液体LQは、供給管13を流通した後、流路形成部材70内部に形成された供給流路を介して液体供給口12より基板P上に供給される。液体供給口12から基板P上に供給された液体LQは、投影光学系PLの先端部(光学素子2)の下端面と基板Pとの間に濡れ拡がるように供給され、投影領域AR1を含む基板P上の一部に、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2を局所的に形成する。
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。基板P上には複数のショット領域S1〜S24が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域S1〜S24に対する走査露光処理が順次行われる。
基板Pの液浸露光中や、液体LQを介した計測処理中、基板ステージPST上に供給した液体LQが基板ステージPSTの外側に漏出する可能性がある。液体LQが漏出すると、基板ステージPST周辺の金属部品等の部材、制御基板、ケーブル類、電源等の電気機器に被害がおよび、錆びや漏電あるいは故障などといった不都合が生じる。特に、基板ステージPSTに設けられたセンサ系をはじめとする電気機器や、その基板ステージPSTの下方に配置された基板ステージ駆動系や防振ユニット等の電気機器に対する被害が顕著となる。また、漏出した液体LQが拡散すると、例えばメインコラム3に支持されている各種電気機器に対しても被害が拡大し、復帰作業にも多くの時間と手間を要することとなり、露光装置ELの稼働率の低下を招く。
ところが、本実施形態においては、第1ベース部材BP1と、基板ステージPSTを支持する第2ベース部材BP2とは分離されているので、基板ステージPST上から第2ベース部材BP2に液体LQが漏出しても、図6の模式図に示すように、第2ベース部材BP2上に漏出した液体LQは、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との間のギャップ4に流れ、第1ベース部材BP1へは拡散しない。
このように、基板P上やその基板Pを保持する基板ステージPST上から液体LQが第2ベース部材BP2上に漏出しても、第1ベース部材BP1への拡散が防止されているので、漏出した液体LQによる第1ベース部材BP1に支持された電気機器などへの被害の拡大を防止できる。また、漏出した液体LQの拡散を防止して被害の拡大を抑えることで、復帰作業を円滑に行って復帰までの時間を短くすることができる。したがって、露光装置EXの稼働率の低下を招くことなく露光処理することができる。
更に、ギャップ4に液体LQが流出したとしても、ギャップ4に流れた液体LQは、第2ベース部材BP2を載置した液体受け部材60に回収されるので、液体LQの拡散を効果的に防止できる。このように、液体受け部材60は、照明系などを支持する第1ベース部材BP1とは分離して配置されているので、液体LQの漏出の被害の拡大を防止することができる。
また、図6に示すように、気体供給系150は、基板ステージPSTから漏出した液体LQを第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との間のギャップ4へ導くように気体を流しているので、漏出した液体LQの拡散を防止し、漏出した液体LQを液体受け部材LQで円滑に回収することができる。
また、気体供給系150から吹き出される気体を、基板ステージPSTを取り囲むように流すことで、しずくなどの飛散を防止することもできる。
本実施形態においては、基板P上に液体LQを局所的に設けた状態で露光する局所液浸方式であって、特に基板P上や基板ステージPST上から液体LQが漏出する可能性が高い。したがって、その基板ステージPSTを支持する第2ベース部材BP2を、露光装置EXを構成する複数の機器のうち基板ステージPST以外の機器を支持する第1ベース部材BP1とは分離して設けることで、第1ベース部材BP1への液体LQの拡散を防止し、第1ベース部材BP1上に支持されている機器への液体LQの浸入(拡散)を防止することができる。
そして、基板ステージPSTを含む第2ベース部材BP2上に設けられた各種電気機器に対しては、主電源100Aとは独立したステージ用電源100Bから電力を供給するようにし、第2ベース部材BP2上の電気機器と第1ベース部材BP1上の電気機器とを電気的に独立したので、仮に漏出した液体LQに起因して第2ベース部材BP2上の電気機器やこの電気機器を含むステージ電気系120Bが漏電や故障などで停止した場合でも、第1ベース部材BP1上の電気機器を含むメイン電気系120Aは動作可能である。したがって、露光装置EX全体の電気系の故障や停止といった大きな被害を被ることを防止できる。また、復帰作業を行う場合にも第2ベース部材BP2上の電気機器を含むステージ電気系120Bのみに対して復帰作業を施せばよい。したがって、復帰作業時間を短くすることができ、露光装置EXの稼働率の低下を防止することができる。
また、ステージ電気系120Bが液体LQの漏出に起因して停止した場合でも、メイン電気系120Aは動作可能であるので、第1ベース部材BP1上の電気機器の駆動を継続することができ、例えば第2ベース部材BP2上の電気機器に対する復帰作業と並行して、第1ベース部材BP1上の電気機器や部材に対する例えばメンテナス作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。この場合において、主制御装置CONTはステージ制御装置PSTCとは電気的に独立しているので、ステージ制御装置PSTCが故障や停止した場合でも、主制御装置CONTは動作可能であるため、ステージ電気系120Bが停止しているときにも、主制御装置CONTの指令に基づいて、メイン電気系120Aを駆動することができる。
また、主制御装置CONTを含む第1ベース部材BP1上の電気機器と、ステージ制御装置PSTCを含む第2ベース部材BP2上の電気機器とをケーブルなどを介して信号伝達や電力伝達などの通信を行った場合、その漏出した液体LQが前記ケーブルにかかり、漏電等の不都合を引き起こす可能性がある。また、例えば第2ベース部材BP2上の電気機器が漏出した液体LQに起因して漏電したとき、そのケーブルを介して第1ベース部材BP1上の電気機器にも電気的な被害を及ぼす可能性がある。ところが、本実施形態のように、主制御装置CONTを含む第1ベース部材BP1上の電気機器と、ステージ制御装置PSTCを含む第2ベース部材BP2上の電気機器とを無線で通信することで、第1ベース部材BP1上の機器と第2ベース部材BP2上の機器とを物理的及び電気的に分離することができ、上記不都合の発生を防止することができる。
なお、図1には、第2ベース部材BP2上のステージ制御装置PSTCと第1ベース部材BP1上の主制御装置CONTとが無線装置130によって無線通信可能であるように示されているが、ステージ制御装置PSTCや主制御装置CONT以外の電気機器どうしが無線で通信されるようにしてもよい。
また、図1に示すように、基板ステージPSTの側面などの所定位置に、基板ステージPST上から漏出した液体LQを検出する液体センサ160を設けておき、液体センサ160が予め設定された許容値以上の液体量を検出したとき、液体供給機構10のバルブ15が供給管13の流路を閉じるようにしてもよい。また、液体センサ160の検出結果に基づいて、バルブ15が供給管13の流路を閉じた後において、液体供給口12とバルブ15との間の液体流路の容積にほぼ等しい量の液体LQに基板ステージPST上で液浸領域AR2を形成する液体の量を加えた液体LQが、基板ステージPST上から漏出し、液体受け部材60に流れる可能性がある。したがって、液体受け部材60は、少なくとも予想される漏出液体の最大量を収容可能な程度の大きさを有している必要があり、その予想最大量の110〜120%程度を収容可能な程度であることが望ましい。
また、上述した実施形態においては、メイン電気系120Aを構成する例えば主制御装置CONTや主電源100Aは、基板ステージPSTよりも上方、更に具体的には液体供給口12よりも上方に設けられているため、液浸領域AR2から液体LQが飛散したり、基板ステージPST上から液体LQが漏出しても、それら液体LQが主制御装置CONTを構成する例えば制御基板や主電源100Aにかかる不都合が抑制されている。
なお、上述した実施形態においては、基板定盤41と鏡筒定盤8とは互いに異なるベース部材BP1、BP2上にそれぞれ支持されているため、基板定盤41と鏡筒定盤8との相対位置関係を確認するために、例えば国際公開第00/14779号パンフレットに開示されているような、第1ベース部材BP1に対する基板定盤41の位置を計測する基板定盤位置センサと、第1ベース部材BP1に対する鏡筒定盤8の位置を計測するコラム位置センサとを設けるようにしてもよい。前記基板定盤位置センサは、少なくとも第1ベース部材BP1を基準とする基板定盤41のX方向、Y方向、Z方向、θX、θY、θZ方向の位置を計測する。同様に、前記コラム位置センサは、第1ベース部材BP1を基準とする鏡筒定盤8のX方向、Y方向、Z方向、θX、θY、θZ方向の位置を計測する。したがって、主制御装置CONTは、基板定盤位置センサの計測結果に基づいて第1ベース部材BP1と基板定盤41との6自由度方向の相対位置を求めることができるとともに、コラム位置センサの計測結果に基づいて第1ベース部材BP1と鏡筒定盤8との6自由度方向の相対位置を求めることができる。主制御装置CONTは、基板定盤位置センサの計測値に基づいて基板定盤41の第1ベース部材BP1に対する6自由度方向の相対位置を求め、この相対位置の情報を用いて防振ユニット9を制御することにより、基板定盤41を第1ベース部材BP1を基準として定常的に安定した位置に維持することができる。また、主制御装置CONTは、コラム位置センサの計測値に基づいて鏡筒定盤8の第1ベース部材BP1に対する6自由度方向の相対位置を求め、この相対位置の情報を用いて防振ユニット7を制御することにより、鏡筒定盤8を第1ベース部材BP1を基準として定常的に安定した位置に維持することもできる。
なお、上述した実施形態においては、ギャップ4に流れた液体LQを回収する液体回収機構は液体受け部材60によって構成されているが、図7に示すように、ギャップ4の下方に、ギャップ4の形状及び大きさに応じて設けられた樋部材61を配置する構成であってもよい。図7において、第1ベース部材BP1と第2ベース部材BP2との間に流れた液体LQを回収する液体回収機構64は、ギャップ4に対応して配置された樋部材61と、真空系(吸引装置)63と、樋部材61と真空系63との間に設けられた気液分離器62などを備えている。樋部材61と気液分離器62とは流路62Aを介して接続され、気液分離器62と真空系63とは流路63Aを介して接続されている。第2ベース部材BP2上に漏出した液体LQはギャップ4に流れる。ギャップ4に流れた液体LQは樋部材61で回収される。樋部材61に回収された液体LQは、真空系63による吸引動作によって流路62Aを介して気液分離器62に送られる。気液分離器62は流路62Aを介して回収された液体成分と気体成分とを分離する。気液分離器62で分離された気体成分は真空系63に吸引され、液体成分は排出流路62Bを介して排出される。
次に、本発明に係る液体供給口12について図8を参照しながら説明する。図8は流路形成部材70の下面70Aを下から見た図である。
図8において、流路形成部材70の下面70Aのうち、X軸方向(走査方向)に関して投影光学系PLの投影領域AR1の両側には、基板P上に液体LQを供給する液体供給口12A、12Bがそれぞれ設けられている。液体供給口12A、12Bは、Y軸方向を長手方向とするスリット状である。また、流路形成部材70の下面70Aのうち、Y軸方向(非走査方向)に関して投影光学系PLの投影領域AR1の両側には、基板P上に液体LQを供給する液体供給口12C、12Dがそれぞれ設けられている。液体供給口12C、12Dは、X軸方向を長手方向とするスリット状である。また、流路形成部材70の下面70Aには、投影光学系PLの投影領域AR1、及び液体供給口12A〜12Dを囲むように形成された環状の液体回収口22が設けられている。
上述したように、基板Pの各ショット領域S1〜S24のそれぞれを走査露光するときは、基板PをX軸方向に移動させつつ、液体LQの供給及び回収を行いながら露光光ELを基板P上に照射する。そして、1つのショット領域を走査露光するために必要なX軸方向への移動距離をL1、液体供給口12A、12Bどうしの間の距離をL2としたとき、
L1≧L2 …(1)
の条件を満足するように設定されている。ここで、X軸方向(走査方向)への移動距離L1とは、走査露光時の基板P(基板ステージPST)の等速区間と加速及び減速区間とを含む距離である。
また、基板P上の1つのショット領域を露光後の、次のショット領域を露光するためのY軸方向へのステップ移動距離をL3、液体供給口12C、12Dどうしの間の距離をL4としたとき、
L3≧L4 …(2)
の条件を満足するように設定されている。
上記(1)式の条件を満足することにより、基板P上に良好に液浸領域AR2を形成できるとともに、液浸領域AR2の液体LQに温度分布(温度むら)が生じる不都合を防止できる。
基板P上に供給される液体LQは、液体供給部11に設けられた温調装置により温度管理されているものの、基板P上に供給された後、温度分布を生じる可能性がある。基板P上に形成された液浸領域AR2の液体LQに温度分布が生じる要因の1つとして、露光光ELの照射による発熱が挙げられる。そして、液浸領域AR2に露光光ELが照射されているとき、液浸領域AR2の液体LQの移動量が小さいと(液体LQが滞留していると)、液体LQは局所的に温度上昇し、温度分布が顕著となる。そこで、少なくとも露光光ELの光路上に配置された液体LQを十分に移動し(入れ替えを行い)、液体LQの滞留を抑制することで、温度分布の発生を防止することができる。そして、上記(1)式の条件を満足することにより、液体LQの滞留を抑制することができる。
基板PをX軸方向に移動しつつ走査露光する場合において、投影領域AR1とは離れた液体供給口12から供給された液体LQのうち露光光ELの光路上に配置される液体LQとしては、投影光学系PLと基板Pとの間を濡れ拡がるようにして露光光ELの光路上に配置される第1の成分と、基板Pの移動に伴ってその基板Pに引き寄せられるようにして露光光ELの光路上に配置される第2の成分とが挙げられる。そして、露光光ELの光路上における液体LQの滞留を防止するためには、基板Pの移動に伴って配置される前記第2の成分の比率を多くすることが有効であると考えられる。例えば基板を+X方向に移動しつつ走査露光する場合、−X側の液体供給口12Aから供給された液体LQを、基板Pの移動に伴って+X側に移動し、露光光ELの光路上に配置することが有効である。逆に、基板を−X方向に移動しつつ走査露光する場合、+X側の液体供給口12Bから供給された液体LQを、基板Pの移動に伴って−X側に移動し、露光光ELの光路上に配置することが有効である。上記(1)式の条件を満足しない場合、上記第2の成分が減少し、露光光ELの光路上における液体LQの移動量が少なくなるが、上記(1)式の条件を満足することで、液体LQの滞留を防止し、液浸領域AR2に温度分布が生じる不都合を防止できる。
同様に、基板Pのステップ移動方向に関しても、上記(2)式を満足することで、液体LQの滞留を防止することができる。
また、液体LQを滞留させないようにし、常にフレッシュな液体LQを露光光ELの光路上に配置することで、滞留に起因する液浸領域AR2の液体LQの清浄度の低下を防止でき、また外部から混入した異物を除去することもできる。
なお、液体供給口12A〜12Dの形成位置を調整したり、基板Pの移動距離を調整することで、上記(1)式、(2)式の条件を達成することができる。
なお、投影領域AR1の両側のそれぞれに液体供給口12A、12Bを設けた場合、当然のことながら液体供給口12A、12Bどうしの間の距離L2は投影光学系PLの先端部の光学素子2の直径(又はX軸方向に関する大きさ)Φよりも大きく設定される。したがって、
L1≧L2≧Φ …(3)
の条件を満足するように設定される。
同様に、投影光学系PLの先端部の光学素子2の直径(又はY軸方向に関する大きさ)をΦ’としたとき、
L3≧L4≧Φ’ …(4)
の条件を満足するように設定される。
ところで、液浸領域AR2を良好に形成するためには、液浸領域AR2に気体部分が形成されたり、気体成分(気泡)が混入することを防止する必要がある。そこで、図9に示す模式図において、基板PをX軸方向に移動しながら液体LQを供給して液浸領域AR2を形成するとき、供給管13より液体供給口12に供給される単位時間あたりの液体供給量をQ、液体供給口12の面積をS、X軸方向における液体供給口12の幅をH、液体供給口12より基板P上に供給される液体LQの流速をU、基板Pの移動速度をV、投影光学系PLの先端部と基板Pとの間の距離(ワーキングディスタンス)をWDとしたとき、 H×U≧WD×V (但しU=Q/S) …(5)の条件を満足することが好ましい。上記(5)式の条件を満足することにより、投影光学系PLと基板Pとの間を液体LQで良好に満たすことができる。
次に、本発明に係る液体供給機構及び液体回収機構の一部を構成する流路形成部材の別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。図10は本発明の別の実施形態に係る流路形成部材70’を示す断面図、図11は流路形成部材70’を下方から見た図である。
図10及び図11において、流路形成部材70’は、基板ステージPSTと対向するように配置され、複数の液体供給孔71を形成された供給用板状部材72を備えている。また、流路形成部材70’は、基板ステージPSTと対向するように配置され、複数の液体回収孔73を形成された回収用板状部材74を備えている。
供給用板状部材72は平面視略扇状であって、投影光学系PLの投影領域AR1を囲むように複数(4つ)設けられている。回収用板状部材74は供給用板状部材72の外側を囲むように複数(4つ)設けられている。流路形成部材70’は枠部材(支持部材)75を有しており、板状部材72、74は枠部材75に支持されている。流路形成部材70’のうち基板ステージPSTと対向する下面70Aは、複数の供給用板状部材72と複数の回収用板状部材74とによって、複数の液体供給領域及び複数の液体回収領域に分けられた構成となっている。
本実施形態において、液体供給孔71は略円形状に形成されており、液体回収孔73も略円形状に形成されている。複数の液体供給孔71のそれぞれはほぼ同じ大きさに形成されており、その径は0.1〜3mm程度に設けられている。但し、液体供給孔71の径は、基板P上に供給する液体量の目標値に応じて適宜変更可能である。そして、液体供給孔71は、その孔の径とほぼ同じピッチで供給用板状部材72に一様に形成されている。同様に、複数の液体回収孔73のそれぞれの大きさはほぼ同じ大きさに形成されており、その径は0.1〜3mm程度に設けられている。但し、液体回収孔73の径は、基板P上から回収する液体量の目標値に応じて適宜変更可能である。そして、液体回収孔73は、その孔の径とほぼ同じピッチで回収用板状部材74に一様に形成されている。
流路形成部材70’は、供給管13に接続する供給用空間部76を有している。供給用空間部76は、供給用板状部材72と枠部材75とで囲まれた空間部であって、供給用板状部材71に対応して複数(4つ)形成されている。複数の供給用空間部76はそれぞれ独立した空間である。また、流路形成部材70’は、回収管23に接続する回収用空間部77を有している。回収用空間部77は、回収用板状部材74と枠部材75とで囲まれた空間部であって、回収用板状部材74に対応して複数(4つ)形成されている。複数の回収用空間部77もそれぞれ独立した空間である。
供給管13から供給された液体LQは、供給用空間部76に満たされた後、複数の液体供給孔71のそれぞれより基板P上に供給される。液体LQは、供給用板状部材72に一様に形成された液体供給孔71を介して供給されることで、基板ステージPSTと対向する供給用板状部材72の表面から均一に供給される。また、基板P上の液体LQは、回収用板状部材74に一様に形成された液体回収孔73を介して回収される。液体回収孔73から回収された液体LQは、回収用空間部77を介して回収管23に回収される。基板P上の液体LQは、回収用板状部材74に一様に形成された液体回収孔73を介して回収される。
このように、一様に形成された液体供給孔71より液体LQを供給することで、複数の液体供給孔71のそれぞれからほぼ同じ圧力で、供給用板状部材72の表面から均一に液体LQを供給することができる。これにより、液浸領域AR2を良好に形成した状態で露光処理を行うことができる。特に、供給管13から供給された液体LQは、空間部76に一時的に溜められた後、液体供給孔71を介して基板P上に供給される構成であるため、複数の液体供給孔71のそれぞれから供給する液体LQの圧力を良好に均一化することができる。
なお、空間部76に液体LQの圧力を検出する圧力検出器を設けることもできる。液体供給機構10は、前記圧力検出器の検出結果に基づいて、液体供給部11から供給管13を介して空間部76に供給する単位時間あたりの液体供給量を調整し、ひいては基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量を調整することができる。
なお、本実施形態においては、液体供給孔71は略円形状であるが、矩形状やスリット状など、任意の形状を採用可能である。同様に、液体回収孔73も任意の形状を採用可能である。また、供給用板状部材71は4つ設けられているが、その数は任意である。更には、供給用板状部材71は1枚であってもよい。同様に、回収用板状部材73の数も任意に設けることができる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の液浸法を適用した露光装置では、投影光学系PLの光学素子2の光射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号に開示されているように、投影光学系PLの光学素子2の光入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光し、その後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。
また、投影光学系を持たないタイプの露光装置、例えば、プロキシミティ型露光装置や干渉縞をウエハ上に形成することによってウエハを露光する二光束干渉型の露光装置を使用することもできる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
なお、露光装置が基板Pを保持するステージとは別に、測定用の部材やセンサを搭載して投影光学系の像面側で移動する測定ステージを備えていてもよい。この場合、測定ステージについても基板Pを保持するステージと同様に、第1移動情報と第2移動情報とを取得して、第1移動情報と第2移動情報とに基づいて測定ステージの移動を制御するようにしてもよい。なお、測定ステージを備えた露光装置は、例えば特開2000−164504号(対応米国出願第09/593,800号)に開示されており、本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国出願における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、例えば特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに詳細に記載されているように、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも本発明を適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP5,874,820)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。