JP5446513B2 - 光スキャナ、この光スキャナを備えた画像表示装置、光スキャナの駆動方法 - Google Patents

光スキャナ、この光スキャナを備えた画像表示装置、光スキャナの駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーザープリンタや画像表示装置に用いられる光スキャナ、特にMEMSミラーを有する光スキャナ、この光スキャナを用いた画像表示装置、光スキャナの駆動方法に関する。
従来、レーザープリンタや光を走査して画像を表示する画像表示装置等には、光スキャナが利用されてきた。一般に、この光スキャナとしては、ポリゴンミラーを用いるものやガルバノミラー、MEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems)ミラーを用いるものが存在する。特に、MEMSミラーを用いた光スキャナは、光の反射面が一面だけで良く、またミラー、トーションバー、支持枠を一体加工できるので、ポリゴンミラー及びガルバノミラーを用いた光スキャナに対し小型化、軽量化が可能になる。
例えば光スキャナが画像投影装置に用いられる場合、表示画像の画角は光スキャナの偏向角の大きさに依存する。従って、大きな画像や精緻な画像を表示するためには、光スキャナの偏向角は大きいほど望ましい。光スキャナの偏向角を大きくするための方法としては、光スキャナを光スキャナの共振周波数にて共振駆動する方法が挙げられる。また、大きな偏向角を得るためには、共振の特性を表すQ値の高い(典型的には10程度)光スキャナを共振駆動するのが望ましい。
光スキャナを共振駆動するためには、光スキャナを駆動する駆動周波数を、光スキャナの共振周波数に等しく設定すれば良い。特に、Q値の高い光スキャナを共振させるためには、駆動周波数を正確に共振周波数に一致させる必要がある。しかし、光スキャナの共振周波数は一定ではなく、温度変化や経年変化等の外乱によって変化する。特許文献1では、光スキャナの共振周波数が含まれる周波数範囲を往復掃引し、往復掃引で得られる揺動振幅値が極大となる少なくとも2つの周波数に基づいて、光スキャナの共振数波数を決定する。この光スキャナの共振周波数に基づいて駆動信号を生成することで、共振駆動が可能になる。
特開2008−310301号公報
光スキャナの周波数特性(駆動周波数に対する偏向角の量)は、線形な周波数特性と非線形な周波数特性との二種類に分類できる。線形な周波数特性とは、駆動周波数に対して偏向角が一意に決まることを意味する(例えば、特許文献1の[0019]段落参照)。一方、非線形な周波数特性とは、駆動周波数に対して偏向角が一意に決まらないことを意味する。以下、図1を用いて、非線形な周波数特性を有する光スキャナについて説明を行う。
図1は、後記する本発明の実施形態で用いられる、スキャナ基体100の周波数特性の実測値を示す図である。図1の横軸はスキャナ基体100を駆動する駆動周波数を、図1の縦軸はスキャナ基体100に含まれる偏向ミラー111の偏向角を、それぞれ表す。駆動周波数をアップスイープ(低い周波数から高い周波数へと掃引)した場合の駆動周波数に対する偏向角の値は、塗潰し四角と直線とを用いて図1に示される。駆動周波数をダウンスイープ(高い周波数から低い周波数へと掃引)した場合の駆動周波数に対する偏向角の値は、塗潰し三角と点線とを用いて図1に示される。
非線形な周波数特性を有するスキャナ基体100は、(1)跳躍現象、(2)履歴現象、の2つの特徴的な現象を示す。跳躍現象は、駆動周波数の微小な変化に対して偏向角が大きくに変化する現象である。より詳細には、跳躍現象は、駆動周波数の微小な変化に対して偏向角が増加する偏向増加現象と、駆動周波数の微小な変化に対して偏向角が下落する偏向下落現象との両方を含む。履歴現象は、駆動周波数をアップスイープする場合とダウンスイープする場合とで、跳躍現象が起きる駆動周波数が異なる現象である。スキャナ基体100は、周波数値fと周波数値fとにおいて跳躍現象を示す(図1におけるA点及びB点)。具体的には、スキャナ基体100は、周波数値fにおいて偏向増加現象を、周波数値fにおいて偏向下落現象をそれぞれ示す。即ち、スキャナ基体100は、跳躍現象と履歴現象との両方を示す。以下、スキャナ基体100の偏向角の振る舞いを、アップスイープ時とダウンスイープ時との両方について説明する。
周波数値fよりも低い周波数値から駆動周波数をアップスイープした場合、偏向角は、駆動周波数が増加するに従って増大する。偏向角は、駆動周波数が周波数値fと等しい場合に最大となる。駆動周波数が周波数値fを上回ると、スキャナ基体100の偏向角は減少する、即ち偏向下落現象が現れる。
周波数値fよりも高い周波数値から駆動周波数をダウンスイープした場合、偏向角は、駆動周波数が減少するに従って増大する。但し、周波数値fよりも高い周波数値からのダウンスイープ時における偏向角は、周波数値fよりも低い周波数からのアップスイープ時における偏向角よりも小さい。駆動周波数が周波数値fに漸近すると、偏向角は急激に増加する、即ち偏向増大現象が現れる。
一般に、非線形な周波数特性を有する光スキャナは、所定の駆動電圧に対して、線形な周波数特性を有する光スキャナよりも大きな偏向角を得られる。即ち、大きな偏向角を得るためには、線形な周波数特性を有する光スキャナよりも、非線形な周波数特性を有する光スキャナが適している。そして、非線形な周波数特性を有する光スキャナにおいて最大の偏向角を得るためには、偏向下落現象が発生する直前の周波数値、例えば前記したスキャナ基体100においては周波数値fB、にて駆動されるのが理想である。しかし、前記した様に、光スキャナの共振周波数は、温度変化や経年変化等の外乱によって変化する。即ち、跳躍現象が起きる周波数値f及び周波数値fも、温度変化や経年変化等の外乱によって変化する。そのため、大きな偏向角を得ることと外乱に対して安定な駆動とを両立した定常駆動を行うためには、偏向下落現象が起きる周波数値fを知ることが必要になる。
特許文献1に記載の技術は、線形な周波数特性を有する光スキャナに対して用いられるのが前提となっている。従って、特許文献1に記載の技術は、非線形な周波数特性を有する光スキャナに対して適応することができない。そこで、本発明は、非線形な周波数特性を有する光スキャナであって、大きな偏向角を得ることと外乱に対して安定な駆動とを両立した定常駆動が可能な光スキャナ、この光スキャナを備えた画像表示装置、光スキャナの駆動方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、入射した光を所定方向に偏向する偏向ミラーと、前記偏向ミラーを支持するために、一端が前記偏向ミラーに連結された支持梁と、前記支持梁の他端が連結される固定部とを含むスキャナ基体と、前記偏向ミラー及び前記支持梁を揺動させることで、前記スキャナ基体を揺動駆動させる駆動部と、前記偏向ミラーの偏向状態を取得する偏向状態取得部と、前記スキャナ基体を所定の駆動周波数で揺動駆動させるための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に送信する制御部とを備え、前記スキャナ基体は、第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示し、前記制御部は、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ手段と、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知手段と、前記アップスイープ手段によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知手段によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定手段と、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ手段と、前記再アップスイープ手段の動作後に、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記目標駆動周波数における前記偏向状態を維持するように、前記スキャナ基体を定常駆動させる定常駆動手段と、前記偏向状態取得部の取得結果と、駆動周波数とを対応付けて記憶する記憶手段とを有し、前記偏向下落現象検知手段は、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向状態が減少しているか否かを判断する偏向減少判断手段と、前記偏向減少判断手段によって前記偏向状態が減少していると判断された場合に、前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象であるか否かを判断する偏向下落現象判断手段とを含み、前記目標駆動周波数決定手段はさらに、前記偏向減少判断手段によって前記偏向状態が減少していると判断され、且つ前記偏向下落現象判断手段によって前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象でないと判断された場合に、前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する、ことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、入射した光を所定方向に偏向する偏向ミラーと、前記偏向ミラーを支持するために、一端が前記偏向ミラーに連結された支持梁と、前記支持梁の他端が連結される固定部とを含むスキャナ基体と、前記偏向ミラー及び前記支持梁を揺動させることで、前記スキャナ基体を揺動駆動させる駆動部と、前記偏向ミラーの偏向状態を取得する偏向状態取得部と、前記スキャナ基体を所定の駆動周波数で揺動駆動させるための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に送信する制御部とを備え、前記スキャナ基体は、第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示し、前記制御部は、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向ミラーの位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段によって決定された前記偏向ミラーの位相と、前記駆動信号の位相との位相差を決定する位相差決定手段と、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ手段と、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知手段と、前記アップスイープ手段によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知手段によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定手段と、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ手段と、前記再アップスイープ手段の動作後に、前記位相差決定手段によって決定された位相差を、目標位相差として記憶する目標位相差記憶手段と、前記位相差決定手段によって決定された位相差が、前記目標位相差記憶手段に記憶された前記目標位相差に一致するように、前記駆動信号の駆動周波数を調整する駆動周波数調整手段とを有する、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記アップスイープ手段はさらに、駆動周波数を所定の周波数間隔で上昇する周波数上昇手段と、前記周波数上昇手段によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、同一の駆動周波数を所定の時間に亘って保持するウェイト手段とを含む、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の発明において、前記再アップスイープ手段はさらに、駆動周波数が前記目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなるように駆動周波数を上昇する周波数可変上昇手段を含む、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の発明において、光を走査して画像を形成するための、請求項1〜の何れか1項に記載の光スキャナと、その光スキャナに光を供給するための光源と、前記光スキャナによって走査された光を使用者の目に導く接眼光学系とを備える、ことを特徴する。
請求項に記載の発明は、第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、光スキャナの駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い所定の周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い所定の周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示す光スキャナを駆動する駆動方法であって、光スキャナを駆動する駆動部に送信する駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ工程と、光スキャナの偏向状態を取得する偏向状態取得工程と、前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知工程と、前記アップスイープ工程によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知工程によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定工程と、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ工程と、 前記再アップスイープ工程の後に、前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記目標駆動周波数における前記偏向状態を維持するように、光スキャナを定常駆動させるための前記駆動信号を送信する定常駆動工程と、前記偏向状態取得工程の取得結果と、駆動周波数とを対応付けて記憶する記憶工程とを備え、前記偏向下落現象検知工程は、前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向状態が減少しているか否かを判断する偏向減少判断工程と、前記偏向減少判断工程によって前記偏向状態が減少していると判断された場合に、前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象であるか否かを判断する偏向下落現象判断工程とを含み、前記目標駆動周波数決定工程はさらに、前記偏向減少判断工程によって前記偏向状態が減少していると判断され、且つ前記偏向下落現象判断工程によって前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象でないと判断された場合に、前記記憶工程によって記憶された記憶内容に基づいて、光スキャナの偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、光スキャナの駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い所定の周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い所定の周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示す光スキャナを駆動する駆動方法であって、光スキャナを駆動する駆動部に送信する駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ工程と、光スキャナの偏向状態を取得する偏向状態取得工程と、前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、光スキャナの偏向状態の位相を決定する位相決定工程と、前記位相決定工程によって決定された光スキャナの偏向状態の位相と、前記駆動信号の位相との位相差を決定する位相差決定工程と、記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知工程と、前記アップスイープ工程によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知工程によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定工程と、前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ工程と、前記再アップスイープ工程の動作後に、前記位相差決定工程によって決定された位相差を、目標位相差として記憶する目標位相差記憶工程と、前記位相差決定工程によって決定された位相差が、前記目標位相差記憶工程において記憶された前記目標位相差に一致するように、前記駆動信号の駆動周波数を調整する駆動周波数調整工程と、を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、前記アップスイープ工程はさらに、駆動周波数を所定の周波数間隔で上昇する周波数上昇工程と、前記周波数上昇工程によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、同一の駆動周波数を所定の時間に亘って保持するウェイト工程とを有する、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項6〜8の何れか1項に記載の発明において、前記
再アップスイープ工程はさらに、駆動周波数が前記目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなるように駆動周波数を上昇する周波数可変上昇工程を有する、ことを特徴とする。
請求項1及び2に記載の発明では、アップスイープ手段によって駆動信号の駆動周波数が第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇する方向へ掃引されることで、スキャナ基体は第2共振周波数で共振駆動が可能になる。そして、アップスイープ手段によって掃引された駆動周波数が第2共振周波数を上回った場合、偏向下落現象が生じる。目標駆動周波数決定手段は、偏向急変検知手段によって検知されたこの偏向下落現象が生じたときの駆動周波数よりも低い周波数値を、目標駆動周波数として決定する。そして、再アップスイープ手段の動作後に、定常駆動手段がこの目標駆動周波数にてスキャナ基体を定常駆動をさせる。従って、非線形な周波数特性を有する光スキャナを、大きな偏向角を得ることと外乱に対して安定な駆動とを両立した定常駆動することが可能になる。
後記する図6に示される様に、偏向下落現象が生じる駆動周波数よりも低い駆動周波数において、偏向状態のピークを示すスキャナ基体と示さないスキャナ基体との両方が存在する。請求項1に記載の発明では、偏向状態が減少していると判断された場合に、偏向状態の減少が偏向落下現象であるか否かが判断される。従って、偏向状態の減少が生じた場合、その減少が偏向状態のピークを示すのか、偏向落下現象を示すのか、切り分けが可能になる。
また、請求項1に記載の発明では、偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値が、目標駆動周波数として決定される。偏向落下現象の生じる周波数値よりも低い周波数値で光スキャナが駆動されることで、温度変化や経年変化等の外乱によって光スキャナの共振周波数が変化しても、偏向落下現象を回避できる。
さらに、請求項2に記載の発明では、再アップスイープ手段の動作後に、偏向ミラーの位相と駆動信号の位相との位相差が、目標位相差として記憶される。そして、位相差が目標位相差と一致するように、駆動信号の駆動周波数が調整される。仮に温度変化や経年変化等の外乱によってスキャナ基体の共振周波数が変化しても、スキャナ基体が定常駆動される際の位相差は、略一定の値を示す。そのため、位相差が目標位相差に常に一致するように駆動周波数が調整されることで、安定した定常駆動の維持が可能になる。
請求項に記載の発明では、周波数上昇手段によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、ウェイト手段によって同一の駆動周波数が所定の時間に亘って保持される。スキャナ基体のQ値が高い場合、駆動信号の駆動周波数が変化してからスキャナ基体の偏向状態が安定するまでに、ある程度の時間が必要となる。スキャナ基体の偏向状態が安定しない状態で駆動周波数が上昇し続けると、偏向下落現象が適切に検出されない可能性がある。従って、ウェイト手段が設けられることで、Q値の高いスキャナ基体が用いられる場合であっても、偏向下落現象が適切に検出される。
請求項に記載の発明では、駆動周波数が目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなる。駆動周波数が目標駆動周波数から大きく離れている場合は、駆動周波数の上昇する周波数間隔が広いため、駆動周波数を素早く目標駆動周波数に近付けることが可能になる。また、駆動周波数が目標駆動周波数に近い場合は、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭いため、駆動周波数を精度良く且つ再現性良く、目標駆
動周波数に一致させることが可能になる。
請求項に記載の発明では、請求項1〜のいずれか1項に記載の光スキャナが画像表示装置に用いられる。従って、非線形な周波数特性を有する光スキャナが用いられるため、大きな画像や精緻な画像を表示することが可能になる。また、温度変化や経年変化等の外乱に対しても適切に共振駆動を行うことが可能な光スキャナが用いられるため、安定した画像提示が可能になる。
請求項6に記載の発明では、光スキャナを第2目標駆動周波数で共振駆動可能にするために、アップスイープ工程は、駆動信号の駆動周波数を第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇する方向へ掃引する。そして、偏向下落現象検知工程は、偏向下落現象を検知する。従って、アップスイープ工程によって掃引された駆動周波数が第2共振周波数を上回った結果生じる偏向下落現象が、検知される。目標駆動周波数決定工程は、この偏向下落現象が生じたときの駆動周波数よりも低い周波数値を、目標駆動周波数として決定する。そして、再アップスイープ工程の後に、定常駆動工程がこの目標駆動周波数にてスキャナ基体を定常駆動させる。従って、非線形な周波数特性を有する光スキャナを、大きな偏向角を得ることと外乱に対して安定な駆動とを両立した定常駆動することが可能になる。
また、請求項6に記載の発明では、偏向状態が減少していると判断された場合に、偏向状態の減少が偏向落下現象であるか否かが判断される。従って、偏向状態の減少が生じた場合、その減少が偏向状態のピークを示すのか、偏向落下現象を示すのか、切り分けが可能になる。
また、請求項6に記載の発明では、偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値が、目標駆動周波数として決定される。偏向落下現象の生じる周波数値よりも十分に低い周波数値で光スキャナが駆動されることで、温度変化や経年変化等の外乱によって光スキャナの共振周波数が変化しても、偏向落下現象を回避できる。
さらに、請求項7に記載の発明では、再アップスイープ工程の動作後に、偏向ミラーの位相と駆動信号の位相との位相差が、目標位相差として記憶される。そして、位相差が目標位相差と一致するように、駆動信号の駆動周波数が調整される。仮に温度変化や経年変化等の外乱によってスキャナ基体の共振周波数が変化しても、スキャナ基体が定常駆動される際の位相差は、略一定の値を示す。そのため、位相差が目標位相差に常に一致するように駆動周波数が調整されることで、安定した定常駆動の維持が可能になる。
請求項に記載の発明では、周波数上昇工程によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、ウェイト工程によって同一の駆動周波数が所定の時間に亘って保持される。Q値が高いスキャナ基体を含む光スキャナが駆動される場合、駆動信号の駆動周波数が変化してからスキャナ基体の偏向状態が安定するまでに、ある程度の時間が必要になる。スキャナ基体の偏向状態が安定しない状態で駆動周波数が上昇し続けると、偏向下落現象が適切に検出されない可能性がある。従って、ウェイト手段が設けられることで、Q値の高いスキャナ基体を含む光スキャナが駆動される場合であっても、偏向下落現象が適切に検出される。
請求項に記載の発明では、駆動周波数が目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなる。駆動周波数が目標駆動周波数から大きく離れている場合は、駆動周波数の上昇する周波数間隔が広いため、駆動周波数を素早く目標駆動周波数に近付けることが可能になる。また、駆動周波数が目標駆動周波数に近い場合は、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭いため、駆動周波数を精度良く且つ再現性良く、目標駆動周波数に一致させることが可能になる。
第1の実施形態に係る、スキャナ基体100の周波数特性の実測値を示す図。 第1の実施形態に係る、光スキャナ10の機能ブロック図。 第1の実施形態に係る、スキャナ基体100及び駆動部300を説明する斜視図。 第1の実施形態に係る、制御回路部200による光スキャナ10の駆動制御処理を説明するフローチャート。 第1の実施形態に係る、制御回路部200による光スキャナ10の起動シーケンスを説明するフローチャート。 第1の実施形態に係る、偏向角のピークが存在する場合としない場合とにおける、周波数特性の違いを説明する模式図。 第1の実施形態に係る、駆動周波数と位相差との関係の実測値を示す図。 第2の実施形態に係る、光スキャナ11の機能ブロック図。 第3の実施形態に係る、光スキャナ12の機能ブロック図。 第4の実施形態に係る、画像表示装置1の全体構成について説明する図。 スキャナ基体の変形形状の例を示す平面図。
<第1の実施形態>
[光スキャナ10の構成]
図2は、光スキャナ10の機能ブロック図である。光スキャナ10は、スキャナ基体100と、制御回路部200と、駆動部300と、BDセンサ400と、直流電圧印加部500と、信号重畳部600とを備える。光スキャナ10の外部には、スキャナ基体100に入射する光を発生する光源LSが設けられる。以下、光スキャナ10に備えられる各構成について説明する。
スキャナ基体100は、入射した光を所定方向に走査する。このスキャナ基体100は、前記した図1に示される様に、非線形な周波数特性を有する。このスキャナ基体100に設けられる駆動部300は、制御回路部200からの駆動信号に応じて、スキャナ基体100を揺動駆動する。以下、図3を用いて、スキャナ基体100及び駆動部300について説明する。
[スキャナ基体100及び駆動部300の機械的構成]
図3は、スキャナ基体100及び駆動部300を説明する斜視図である。スキャナ基体100は、基体揺動部110と基体台座部120とを備える。基体揺動部110は、偏向ミラー111と、支持梁112と、外枠部113で構成される。平面視略円形に形成された偏向ミラー111は、基体揺動部110の中心に設けられる。偏向ミラー111に連結される支持梁112は、偏向ミラー112を両持支持する。支持梁112は、ミラー支持部112aと、結合部112bと、一対の梁部112cとで構成される。ミラー支持部112aの一端は、偏向ミラー111に連結する。ミラー支持部112aの他端は、結合部112bに連結する。結合部112bは、ミラー支持部112aに対して直交するように、ミラー支持部112aに連結する。結合部112bの両端は、一対の梁部112cに連結する。一対の梁部112cの一端は、結合部112bに対して直交するように、結合部112bに夫々連結する。一対の梁部112cの他端は、外枠部113に対して直交するように、外枠部113に夫々連結する。固定部として働く外枠部113は、反射ミラー111及び支持梁112の周囲に、四角環状に配置される。基体揺動部110は、例えば厚さ約30μm〜200μmの薄長矩形のシリコン基材をエッチング加工する等の方法によって、製造可能である。
基体台座部120は、外枠部113と同じ大きさの四角環状の構造を示す。基体台座部120は、例えばガラス板をブラスト加工することによって、製造可能である。基体台座部120と、基体揺動部110とが接着や陽極接合等によって固定されることで、スキャナ基体100が形成される。
駆動部300は、反射ミラー111及び支持梁112を揺動駆動させるために、スキャナ基体100に設けられる。駆動部300は、下部電極310と、圧電素子320と、上部電極330とで構成される。下部電極310は、一対の梁部112cの上面から外枠部113に亘って形成される。下部電極310は、例えばスパッタや蒸着等の製膜方法を用いて、白金(Pt)や金(Au)等を0.2μm〜0.6μmの厚さで堆積することで形成される。圧電素子320は、下部電極310の上に形成される。圧電素子320は、例えばエアロゾルデポジション法(例えば、特開2007−91416号公報を参照)等の製膜方法を用いて、PZT等の圧電素子を1μm〜3μmの厚さで堆積することで形成される。上部電極330は、圧電素子320の上に形成される。上部電極330は、下部電極310と同様の手法によって形成される。尚、下部電極310及び上部電極330は、図示しない配線ケーブルによって、信号重畳部600と電気的に接続される。
スキャナ基体100の動作を説明する。下部電極310と上部電極330との間に電圧が印加されることにより、分極した圧電素子320は、一対の梁部112cの長手方向に伸縮する。圧電素子320は下部電極310を介して一対の梁部112c及び外枠部113に固定されているので、圧電素子320の伸縮は、一対の梁部112cがスキャナ基体100の厚み方向に変位する屈曲変位に変換される。即ち、駆動部300は、ユニモルフとして働く。一対の梁部112cの屈曲変位は、結合部112bを介して、偏向ミラー111を揺動させるための回転トルクに変換される。
再び図2に戻り、光スキャナ10の機能ブロック図の説明を続ける。光スキャナ10の外部に設けられる光源LSは、スキャナ基体部100の偏向ミラー111に対して光を放つ。光源LSは、例えば半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザ等の、レーザ光源が利用される。但し、光源LSは、例えばLED等、他の種類の発光素子が利用されても差し支えない。
BDセンサ400は、偏向ミラー111の偏向状態を取得する。具体的には、BDセンサ400は、スキャナ基体部100によって走査された光源LSからの光(以下、走査光)が通過する軌跡上の所定の位置に配置される。言い換えれば、BDセンサ400は、偏向ミラー111の偏向角が所定の角度になったときに走査光を受信できるように、スキャナ基体100に対して所定の相対位置に配置される。走査光を受信したBDセンサ400は、偏向状態信号を発生する。発生した偏向状態信号は、制御回路部200に送信される。尚、BDセンサ400は、受信した光子に応じて電子を発生する光電素子(例えばフォトダイオード等)によって構成可能である。尚、偏向ミラー111が所定の角度以下で揺動する場合、走査光はBDセンサ400に入射しない。この場合、偏向状態信号が発生せず、制御回路部200によって偏向角は0度であると見なされる。また、BDセンサ400は、偏向下落現象が発生した場合に走査光が入射しない位置に配置される。即ち、偏向下落現象が発生した後の偏向角の値は、制御回路部200によって0度であると見なされる。
制御回路部200は、スキャナ基体部100を所定の駆動周波数で揺動駆動させるための駆動信号を生成し、信号重畳部600を介して駆動信号を駆動部300に送信する。制御回路部200はまた、スキャナ基体100の定常駆動を安定に行うための駆動周波数である目標駆動周波数を、BDセンサ400からの偏向状態信号を参照して決定することができる。制御回路部200は、駆動周波数決定手段201と、周波数変更制御部202と、駆動信号生成部203と、偏向角決定部204と、偏向角記憶部205と、偏向角比較部206と、跳躍現象判断手段207と、位相差決定部208と、目標位相差記憶部209とを含む。尚、制御回路部200を構成するこれらの要素は、例えばCPU,ROM,RAM等を含むマイコンや、FPGA,ASIC等によって構成可能である。以下、制御回路部200の構成要素について説明する。
駆動周波数決定手段201は、信号重畳部600を介して制御回路部200から駆動部300に対して送信される駆動信号の駆動周波数を決定する。具体的には、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数の周波数値や、その周波数値まで駆動周波数を変更する様態(周波数値を段階的に変更するか、一気に変更するか。段階的であれば、周波数間隔は幾らか等)を決定する。駆動周波数決定手段201は、さらに、跳躍現象判断手段207(詳細は後述)によって決定された跳躍現象が発生した際の駆動周波数を基にして、スキャナ基体100が定常駆動する際の周波数値である目標駆動周波数を決定する。駆動周波数決定手段201は、決定された駆動周波数を、周波数決定信号として周波数変更制御部202に対して送信可能である。
周波数変更制御部202は、駆動周波数決定手段201からの周波数決定信号に応じて、駆動周波数の周波数値を決定する。周波数変更制御部202は、決定された周波数値を、周波数変更信号として駆動信号生成部203に対して送信可能である。周波数変更制御部202は、現在の駆動周波数の周波数値や、段階的に周波数を変更する場合の周波数間隔等を一時記憶する機能を備える。
駆動信号生成部203は、周波数変更制御部202からの周波数変更信号に応じて、駆動信号を生成する。駆動信号生成部203は、生成された駆動信号を、位相差計測部208、信号重畳部600及び直流電圧印加部500に対して送信可能である。尚、この駆動信号は、一例として所定の振幅及び周波数で定義されるサイン波である。
偏向角決定部204は、BDセンサ400からの偏向状態信号に基づいて、偏向ミラー111の偏向角を決定する。偏向角は、揺動する偏向ミラー111の振幅が角度で表わされた値である。前記した様にBDセンサ400は、偏向角が所定の角度になった時に、走査光を受信する。そして、BDセンサ400が走査光を受信したタイミングは、偏向状態信号に含まれる。偏向角決定部204は、走査光を受信したタイミングと、BDセンサ400のスキャナ基体部100に対する相対位置とに基づいて、偏向角を決定する。偏向角決定部204は、決定された偏向角を、偏向角信号として偏向角記憶部205及び偏向角比較部206に対して送信可能である。
偏向角記憶部205は、受信した偏向角信号に含まれる偏向角決定部204によって決定された偏向角と、その偏向角における駆動周波数の周波数値とを対応付けて一時記憶する。偏向角記憶部205は、偏向角比較部206からのリクエストに応じて、記憶された偏向角と周波数値とを偏向角記憶信号として偏向角比較部206に対して送信可能である。
偏向角比較部206は、偏向角信号と変更角記憶信号とを比較する。具体的には、偏向角比較部206は、所望の駆動周波数における偏向角を取得するために、偏向角記憶部205にリクエストを送信する。そして、偏向角比較部206は、偏向角記憶部205から受信した偏向角記憶信号に含まれる偏向角と、偏向角決定部204からの偏向角信号に含まれる偏向角との差分を取る。偏向角比較部206は、前記差分の値を、偏向角比較信号として跳躍現象判断手段207に対して送信可能である。
跳躍現象判断手段207は、偏向角比較部206からの偏向角比較信号に基づいて、跳躍現象、より詳細には偏向下落現象が発生したか否かを判断する。跳躍現象判断手段207は、判断結果を跳躍判断信号として駆動周波数決定手段201及び周波数変更制御部202に対して送信可能である。
位相差決定部208は、BDセンサ400からの偏向状態信号と、駆動信号生成部203からの駆動信号とに基づいて、駆動信号の位相と偏向ミラー111の偏向角の位相との位相の差(以下、位相差)を決定する。位相差決定部208は、決定された位相差を、位相差信号として駆動周波数決定手段201及び目標位相差記憶部209に対して送信可能である。
目標位相差記憶部209は、位相差決定部208によって決定された位相差を目標位相差として記憶する。目標位相差記憶部209は、位相差決定部208からのリクエストに応じて、記憶した目標位相差を目標位相差信号として位相差決定部208に対して送信可能である。
直流電圧印加部500は、駆動信号に重畳される直流電圧を発生する。発生する直流電圧の値は、駆動信号における電圧の最小値が0V以上になる様に、駆動信号に応じて調整される。駆動部300に対して印加される電圧を常に0V以上にすることで、駆動部300に含まれる圧電素子320の分極状態が常に同一方向に保たれる。その結果、圧電素子320の特性の劣化を防止することができる。発生した直流電圧は、信号重畳部600に対して印加される。
信号重畳部600は、駆動回路部200からの駆動信号と、直流電圧印加回路600からの直流電圧とを重畳する。直流電圧が重畳された駆動信号は、駆動部300に対して送信される。
[光スキャナ10の駆動制御]
図4は、制御回路部200が行う光スキャナ10の駆動制御処理を説明するフローチャートである。この駆動制御処理は、外部から光スキャナ10に対して電力が供給されることにより、光スキャナ10が起動したときに開始する。以下、図4を用いて、光スキャナ10の駆動制御処理の流れを説明する。
スキャナ基体部100は、図1に示される様に、非線形な周波数特性を有する。スキャナ基体100は周波数fにて駆動されるのが大きな偏向角を得るためには理想的であるが、偏向下落現象が起きる周波数fは、前記した様に温度変化や経年変化等の外乱によって変化する。適切に定常駆動を行うためには、定常駆動するための目標駆動周波数を決定する必要がある。そのため、制御回路部200は、ステップS1において、目標駆動周波数を決定するための起動シーケンスを実行する。以下、図5を用いて、この起動シーケンスを説明する。
図5は、光スキャナ10の駆動制御の一部として、制御回路部200が行う起動シーケンスを説明するフローチャートである。ステップSA1において、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数の周波数値を、図1におけるA点(周波数値f)よりも低いサーチ開始周波数(例えば、fから100Hz低い周波数値)に設定する旨の周波数決定信号を生成する。ここで、図1のA点における周波数値fは、駆動周波数決定手段201に予め記憶された既知の周波数値である。周波数値fは、例えば工場出荷時に所定の温度環境下において、駆動周波数をスイープしながら偏向角の測定を行うことで得られる。駆動周波数決定手段201は、生成された周波数決定信号を、周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、受信した周波数決定信号に応じて、駆動信号の駆動周波数をサーチ開始周波数に変更するための周波数変更信号を生成する。生成された周波数変更信号は、駆動信号生成部203に対して送信される。周波数変更制御部202は、サーチ開始周波数を現在の駆動周波数の周波数値として一時記憶する。駆動信号生成部203は、受信した周波数変更信号に応じて駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、直流電圧印加部500及び信号重畳部600を介して、直流電圧が重畳された駆動信号として、駆動部300に印加される。その後、制御回路部200は、処理をステップSA2に移行する。
ステップSA2において、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数がアップスイープされる際の周波数上昇間隔を、1Hzに設定する旨の周波数決定信号を生成する。そして、駆動周波数決定手段201は、生成された周波数決定信号を、周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、この周波数決定信号に含まれる周波数上昇間隔(即ち、1Hz)を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA3に移行する。
ステップSA3において、周波数変更制御部202は、自身に一時記憶された周波数上昇間隔に従って、駆動周波数を上昇させる。具体的には、周波数変更制御部202は、駆動周波数の周波数値を、現在の駆動周波数の周波数値に1Hzを加算した周波数値に変更するための周波数変更信号を生成する。周波数変更制御部202は、生成された周波数変更信号を、駆動信号生成部203に対して送信される。周波数変更制御部202は、新たな駆動周波数の周波数値を、現在の駆動周波数の周波数値に上書きする。この周波数変更信号を受信した駆動信号生成部203は、直流電圧印加部500及び信号重畳部600を介して、直流電圧が重畳された駆動信号を、駆動部300に印加する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA4に移行する。
スキャナ基体部100のQ値は、大きな偏向角を得るために、比較的高い値(例えば、10程度)となっている。そのため、スキャナ基体100が実際に揺動駆動する駆動周波数が、新たな駆動信号の駆動周波数に追随するのにある程度の時間が必要となる。そこで、ステップSA3において、制御回路部200は、所定の時間(一例として、20ms程度)ウェイトをかける。具体的には、周波数変更制御部202は、自身が一時記憶している現在の駆動周波数の周波数値にて駆動信号を生成する旨の周波数変更信号(即ち、駆動周波数は一定に保たれる)を、20msの期間に亘って駆動信号生成部203に対して送信し続ける。その後、制御回路部200は、処理をステップSA5に移行する。
ステップSA5において、偏向角決定部204は、BDセンサ400からの偏向状態信号に基づいて、偏向ミラー111の偏向角を決定する。偏向角決定部204は、決定された偏向角を、偏向角信号として偏向角記憶部205及び偏向角比較部206に対して送信する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA6に移行する。
ステップSA6において、偏向角記憶部205は、受信した偏向角信号に含まれる偏向角と、現在の駆動周波数の周波数値とを対応付けて一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA7に移行する。
ステップSA7において、偏向角比較部206は、偏向角記憶部205に対してリクエストを送信することで、1つ前のループにおける偏向角の値、即ち現在の駆動周波数の周波数値よりも1Hz低い駆動周波数における偏向角の値を取得する。そして、偏向角比較部206は、取得された1つ前のループにおける偏向角の値と、偏向角決定部204から受信した偏向角信号に含まれる現在の偏向角の値とを比較する。この比較は、具体的には、現在の偏向角の値から、一つ前のループにおける偏向角の値を差し引くことで達成される。偏向角比較部206は、現在の偏向角と一つ前のループにおける偏向角との差分の値(以下、偏向角差分量)を、偏向角比較信号として跳躍現象判断手段207に対して送信する。尚、一つ前のループが存在しない場合、即ち偏向角記憶部205に何も一時記憶されていない場合、偏向角比較部206は、比較不可能を表す旨の偏向角比較信号を、跳躍現象判断手段207に対して送信する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA8に移行する。
ステップSA8において、跳躍現象判断手段207は、受信した偏向角比較信号に基づいて、最大偏向角が検知されたか否かを判断する。具体的には、跳躍現象判断手段207は、現在の偏向角が、一つ前のループにおける偏向角に対して減少しているか否かを判断する。偏向角差分量が負の場合、跳躍現象判断手段207は、最大偏向角が検知された(肯定)と判断する。一方、偏向角差分量が正の場合、又は一つ前のループが存在せずに偏向角の比較が不可能の場合、跳躍現象判断手段207は、最大偏向角が検知されていない(否定)と判断する。判断結果が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA9に移行する。一方、判断結果が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA3に戻すことで、次のループを開始する。ステップSA3〜ステップSA8のループが繰り返されることで、駆動周波数はアップスイープされる。
ステップSA9において、跳躍現象判断手段207は、最大偏向角が検知された後の偏向角の減少が、偏向下落現象の発生であるか否かを判断する。偏向下落現象が発生したか否かの判断は、偏向角の値に基づいてなされる。以下、図6を用いてこの理由を説明する。
図6は、偏向角のピークが存在する場合としない場合とにおける、周波数特性の違いを説明する模式図である。図6の横軸は駆動周波数を、縦軸は偏向角をそれぞれ表す。図6中の曲線は、図1におけるアップスイープの場合の周波数特性を模式的に表わしたものである。偏向角のピークが存在しないスキャナ基体において、図6(a)に示される様に、駆動周波数が、偏向下落現象が発生するB点(周波数値f)以下の場合、駆動周波数の増加に従って偏向角が増加する。そして、駆動周波数がB点を上回ると、偏向下落現象が発生する。一方、幾つかのスキャナ基体においては、図6(b)に示される様に偏向角のピークが存在する。図6(b)において、駆動周波数が偏向角のピーク位置(周波数値fMAX)以下の場合、駆動周波数の増加に従って偏向角が増加する。そして駆動周波数がピーク位置を上回ると、駆動周波数の増加に従って、偏向角はなだらかに減少する。この偏向角のなだらかな減少は、駆動周波数がB点に到達するまで継続する。そして、駆動周波数がB点を上回ると偏向下落現象が発生する。
再び図5に戻り、ステップSA9の説明を続ける。跳躍現象判断手段207は、周波数変更制御部202を介して、駆動周波数を周波数上昇間隔に従って上昇させる。そして、跳躍現象判断手段207は、偏向角比較部206からの偏向角比較信号に基づいて、偏向角の減少が10回続くか否かを判断する。偏向角の減少が10回続いた場合、跳躍現象判断手段207は、偏向下落現象が発生していないと判断した旨の跳躍判断信号を、駆動周波数決定手段201に対して送信する。一方、仮に偏向下落現象が発生したのであれば、走査光がBDセンサ400に入射しないため、偏向角は0度であると見なされる。即ち、偏向下落現象が発生した後は、検知される偏向角は0度と見なされるため、偏向角差分量も0度となる。偏向角の減少が10回続かない場合、即ち偏向角差分量が0度の状態が続く場合、跳躍現象判断手段207は、偏向下落現象が発生したと判断した旨の跳躍判断信号を、駆動周波数決定手段201に対して送信する。ステップSA9の判断結果が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA13に移行する。一方、ステップSA9の判断結果が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA10に移行する。
ステップSA10において、跳躍現象判断手段207は、ステップSA8において検知された最大偏向角を、偏向角のピーク値として一時記憶する。跳躍現象判断手段207はさらに、最大偏向角が検知されたときの駆動周波数の周波数値を、偏向角のピーク値と対応付けて一時記憶する。一時記憶された偏向角のピーク値及び最大偏向角が検知されたときの駆動周波数の周波数値は、跳躍現象判断手段207から駆動周波数決定手段201に対して送信され、駆動周波数決定手段201に一時記憶される。その後、制御回路部200は、処理をステップSA11に移行する。
ステップSA11において、跳躍現象判断手段207は、周波数変更制御部202を介して、駆動周波数を周波数上昇間隔に従ってさらに上昇させる。この駆動周波数の上昇は、偏向下落現象が発生するまで、即ち偏向角差分量が0度になるまで継続される。跳躍現象が発生したと判断された旨の跳躍判断信号が跳躍現象判断手段207から駆動周波数決定手段201に対して送信された後に、制御回路部200は、処理をステップSA12に移行する。
ステップSA12において、駆動周波数決定手段201は、偏向角のピークが検知されたときの駆動周波数よりも所定値だけ低い駆動周波数を、目標駆動周波数として決定する。この所定値は、温度変化や経年変化等の外乱に起因する、偏向角のピークが検知される駆動周波数の不定性に対して、十分なマージンを持つように設定される。一例として、偏向角のピークが検知されたときの駆動周波数よりも10Hzだけ低い駆動周波数が、目標駆動周波数として決定される。駆動周波数決定手段201は、決定された目標駆動周波数を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA14に移行する。
ステップSA13において、駆動周波数決定手段201は、偏向下落現象が発生したと判断されたときの駆動周波数よりも所定値だけ低い駆動周波数を、目標駆動周波数として決定する。この所定値は、温度変化や経年変化等の外乱に起因する、偏向下落現象が検知される駆動周波数の不定性に対して、十分なマージンを持つように設定される。一例として、偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも10Hzだけ低い駆動周波数が、目標駆動周波数として決定される。駆動周波数決定手段201は、決定された目標駆動周波数を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA14に移行する。
ステップSA14において、駆動周波数決定手段201は、現在の駆動周波数をサーチ開始周波数に再設定する。具体的には、ステップSA1で説明した様に、駆動周波数決定手段201、周波数変更制御部202及び駆動信号生成部203が協働することで、ステップSA14の処理が達成される。その後、制御回路部200は、処理をステップSA15に移行する。
ステップSA15において、駆動周波数決定手段201は、現在の駆動周波数の周波数値が、自身に一時記憶された目標駆動周波数の20Hz以内のか否かを判断する。ステップSA15の判断結果が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA17に移行する。一方、ステップSA15の判断結果が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA16に移行する。
ステップSA16において、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数がアップスイープされる際の周波数上昇間隔を、10Hzに設定する旨の周波数決定信号を生成する。そして、駆動周波数決定手段201は、生成された周波数決定信号を、周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、この周波数決定信号に含まれる周波数上昇間隔(即ち、10Hz)を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA21に移行する。
ステップSA17において、駆動周波数決定手段201は、現在の駆動周波数の周波数値が、自身に一時記憶された目標駆動周波数の10Hz以内か否かを判断する。ステップSA17の判断結果が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA19に移行する。一方、ステップSA17の判断結果が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA18に移行する。
ステップSA18において、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数がアップスイープされる際の周波数上昇間隔を、1Hzに設定する旨の周波数決定信号を生成する。そして、駆動周波数決定手段201は、生成された周波数決定信号を、周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、この周波数決定信号に含まれる周波数上昇間隔(即ち、1Hz)を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA21に移行する。
ステップSA19において、駆動周波数決定手段201は、現在の駆動周波数の周波数値が、自身に一時記憶された目標駆動周波数の周波数値に一致するか否かを判断する。尚、ここでの一致は、厳密に同一の周波数値で無い場合を含んで良い。例えば、現在の駆動周波数の周波数値が、目標駆動周波数の+/−0.1Hz以内であれば、一致と見なされても良い。ステップSA19の判断結果が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA22に移行する。一方、ステップSA20の判断結果が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップSA20に移行する。
ステップSA20において、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数がアップスイープされる際の周波数上昇間隔を、0.1Hzに設定する旨の周波数決定信号を生成する。そして、駆動周波数決定手段201は、生成された周波数決定信号を、周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、この周波数決定信号に含まれる周波数上昇間隔(即ち、0.1Hz)を一時記憶する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA21に移行する。
ステップSA21において、周波数変更制御部202は、駆動周波数の周波数値を、現在の駆動周波数の周波数値に自身に一時記憶された周波数上昇間隔(即ち、10Hz,1Hz,0.1Hzの何れか)を加算した周波数値に変更するための周波数変更信号を生成する。周波数変更制御部202は、生成された周波数変更信号を、駆動信号生成部203に対して送信する。周波数変更制御部202は、新たな駆動周波数の周波数値を、現在の駆動周波数の周波数値に上書きする。この周波数変更信号を受信した駆動信号生成部203は、直流電圧印加部500及び信号重畳部600を介して、直流電圧が重畳された駆動信号を、駆動部300に印加する。その後、制御回路部200は、処理をステップSA15に移行する。
以上説明したように、ステップSA14の処理によって現在の駆動周波数がサーチ開始周波数に再設定され、ステップSA15〜ステップSA21の処理が繰り返されることにより、駆動周波数は再度アップスイープされる。
ステップSA22において、位相差決定部208は、スキャナ基体100が目標駆動周波数にて駆動されるときの位相差(以下、目標位相差)を決定する。ここで、目標位相差について、図7を用いて説明する。図7は、スキャナ基体100における、駆動周波数と位相差との関係の実測値を示す図である。図7の横軸は駆動周波数を、図7の縦軸は位相差を、それぞれ表す。駆動周波数をアップスイープした場合の駆動周波数に対する位相差の値は、塗潰し四角と直線とを用いて図7に示される。駆動周波数をダウンスイープした場合の駆動周波数に対する位相差の値は、塗潰し三角と点線とを用いて図7に示される。
スキャナ基体100は非線形な周波数特性を有するので、位相差は、駆動周波数に対して一意に決まらない。図7に示される様に、周波数値fよりも低い周波数値から駆動周波数をアップスイープした場合、位相差は、駆動周波数が増加するに従って増大する。位相差は、偏向下落現象が発生するB点において急激に上昇する。周波数値fよりも高い周波数から駆動周波数をダウンスイープした場合、位相差は、駆動周波数が減少するに従って増大する。但し、周波数fよりも高い周波数からのダウンスイープ時における位相差は、周波数fよりも低い周波数からのアップスイープ時における位相差よりも大きい。位相差は、偏向増加現象が発生するA点において急激に減少する。
位相差決定部208は、BDセンサ400からの偏向状態信号と駆動信号生成部203からの駆動信号とを比較することで、この目標駆動周波数における位相差を決定する。位相差決定部208は、決定された位相差を、位相差信号として目標位相差記憶部209に対して送信する。目標位相差記憶部209は、この位相差信号に含まれる位相差を、目標位相差として一時記憶する。その後、制御回路部200は、一連の起動シーケンスを終了し、処理を図4のステップS2に戻す。
ステップS2において、制御回路部200は、一連の駆動制御処理を終了するか否かを判断する。この判断は、例えば、制御回路部200が、外部から光スキャナ10の駆動を終了する旨の信号を受信したか否かを判断することで達成される。ステップS2における判断が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、一連の駆動制御処理を終了する。一方、ステップS2における判断が否定(No)の場合、制御回路部200は、処理をステップS3に移行する。
ステップS3において、位相差決定部208は、BDセンサ400からの偏向状態信号と駆動信号生成部203からの駆動信号とを比較することで、現在の駆動周波数における位相差を決定する。位相差決定部208は、決定された位相差を、位相差信号として駆動周波数決定手段201に対して送信する。その後、制御回路部200は、処理をステップS4に移行する。
ステップS4において、駆動周波数決定手段201は、現在の位相差と目標位相差とが一致するか否かを判断する。具体的には、駆動周波数決定手段201は、位相差計測部208を介して目標位相差記憶部209に一時記憶された目標位相差を取得する。そして、駆動周波数決定手段201は、ステップS2において受信した位相差信号に含まれる現在の位相差と目標位相差とが一致するか否かを判断する。尚、ここでの一致は、厳密に同一の位相差でない場合も含んで良い。例えば、現在の位相差が、目標位相差の+/−1°以内であれば、一致と見なされても良い。ステップS4における判断が肯定(Yes)の場合、制御回路部200は、処理をステップS2に戻す。一方、ステップS4における判断が否定(No)の場合、処理をステップS5に移行する。
ステップS5において、駆動周波数決定手段201は、現在の位相差が目標位相差に一致するように、駆動周波数の周波数値を決定する。具体的には、現在の位相差が目標位相差よりも大きい場合、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数の周波数値を低くする決定を行う。一方、現在の位相差が目標位相差よりも小さい場合、駆動周波数決定手段201は、駆動周波数の周波数値を高くする決定を行う。駆動周波数決定手段201は、決定結果を周波数決定信号として周波数変更制御部202に対して送信する。周波数変更制御部202は、駆動信号生成部203を介して、駆動信号の周波数値を変更する。その後、制御回路部200は、処理をステップS2に戻す。
以上説明した様に、ステップS3〜ステップS5の処理が繰り返されることによって、BDセンサ400からの偏向状態信号に基づいて、光スキャナ10の定常駆動を行うことが可能になる。仮に温度変化や経年変化等の外乱によってスキャナ基体の共振周波数が変化しても、目標位相差はあまり変化しない。そのため、位相差が目標位相差に一致するように駆動周波数が調整されることで、安定した定常駆動の維持が可能になる。
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態における光スキャナ11の機能ブロック図である。光スキャナ11は、(1)インターフェス700を備える、(2)BDセンサ400が光スキャナ11の外部に存在する、の2点において、第1の実施形態における光スキャナ10と相違する。光スキャナ11における光スキャナ10との共通の構成要素は、図2と同一の図番を振ることで、説明を省略する。
インターフェス700は、BDセンサ400から偏向状態信号を受信する。そして、インターフェス700は、受信した偏向状態信号を、伝達信号として偏向角決定部204及び位相差決定部208に対して送信可能である。換言すれば、インターフェス700は、偏向ミラー111の偏向状態を取得する構成と見なせる。インターフェス700は、BDセンサ400からの信号形式を変換する変換回路や、BDセンサからの配線に電気的に接続されるソケット、或いは光スキャナ11からBDセンサ400に対して延びる配線等、様々な構成であって良い。
制御回路部200が行う光スキャナ11の駆動制御処理は、第1の実施形態における光スキャナ10の駆動制御処理(図4、図5を参照)と略同一である。唯一異なる点は、第1の実施形態においては、制御回路部200がBDセンサ400からの偏向状態信号を直接受信するが(ステップS3、ステップSA5)、本実施形態においては、制御回路部200がBDセンサ400からの偏向状態信号をインターフェス700を介して受信する点である。
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態における光スキャナ12の機能ブロック図である。光スキャナ12は、(1)圧電検知部800を備える、(2)BDセンサ400が存在しない、の2点において、第1の実施形態における光スキャナ10と相違する。光スキャナ12における光スキャナ10との共通の構成要素は、図2と同一の図番を振ることで、説明を省略する。
圧電検知部800は、偏向ミラー111の偏向状態を取得する。圧電検知部800は、スキャナ基体100の一対の梁部112cの屈曲変位を検知可能なように、一対の梁部112c上に設けられる。具体的には、図3においてスキャナ基体100の手前側の支持梁112と奥側の支持梁112との両方に形成された駆動部300うち、いずれか一方の駆動部が圧電検知部800として用いられる。圧電検知部800は、一対の梁部112cの屈曲変位に追随して屈曲変位するので、圧電効果によってスキャナ基体100の厚み方向に分極する。その結果、圧電検知部800の屈曲変位量に応じた電位差が下部電極と上部電極との間に発生する。この電位差を偏向状態信号として読み出すことにより、偏向ミラー111の偏向状態が取得される。
制御回路部200が行う光スキャナ12の駆動制御処理は、第1の実施形態における光スキャナ10の駆動制御処理(図4、図5を参照)と略同一である。唯一異なる点は、第1の実施形態においては、制御回路部200がBDセンサ400からの偏向状態信号を受信するが(ステップS3、ステップSA5)、本実施形態においては、制御回路部200が圧電検知部800からの偏向状態信号を受信する点である。
<第4の実施形態>
前記した第1〜第3の実施形態における光スキャナ10,11,12は、画像表示装置1に用いることが可能である。図10は、画像表示装置1の全体構成について説明する図である。画像表示装置1は、観察者の瞳孔52に入射した光束を用いて網膜54上に画像を投影することによって、観察者に虚像を視認させる装置である。この装置は、網膜走査型ディスプレイともいわれる。
画像表示装置1は、光束生成手段2、光ファイバ19、コリメート光学系20、光スキャナ10、第1リレー光学系22、垂直走査部23及び第2リレー光学系24を備える。光束生成手段2は、映像信号処理回路3、光源部30及び光合波部40で構成される。尚、光スキャナ10の代わりに、光スキャナ11又は光スキャナ12が用いられても差し支えない。映像信号処理回路3は、外部から供給される映像信号に基づいて、画像を合成するための要素となるB信号、G信号、R信号、水平同期信号及び垂直同期信号を発生する。
光源部30は、Bレーザドライバ31、Gレーザドライバ32、Rレーザドライバ33、Bレーザ34、Gレーザ35及びRレーザ36を備える。Bレーザドライバ31は、映像信号処理回路3からのB信号に応じた強度の青色の光束を発生させるように、Bレーザ34を駆動する。Gレーザドライバ32は、映像信号処理回路3からのG信号に応じた強度の緑色の光束を発生させるように、Gレーザ35を駆動する。Rレーザドライバ33は、映像信号処理回路3からのR信号に応じた強度の赤色の光束を発生させるように、Rレーザ36を駆動する。Bレーザ34,Gレーザ35及びRレーザ36は、例えば半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザを用いて構成できる。
光合波部40は、コリメート光学系41,42,43と、このコリメートされたレーザ光を合波するためのダイクロイックミラー44,45,46と、合波されたレーザ光を光ファイバ19に導く集光光学系47とを備える。Bレーザ34から出射した青色レーザ光は、コリメート光学系41によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー44に入射する。Gレーザ35から出射した緑色レーザ光は、コリメート光学系42によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー45に入射する。Rレーザ36から出射した赤色レーザ光は、コリメート光学系43によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー46に入射する。ダイクロイックミラー44,45,46にそれぞれ入射した3原色のレーザ光は、波長選択的に反射または透過されて1本の光束として合波され、集光光学系47に達する。合波されたレーザ光は、集光光学系47によって集光され、光ファイバ19へ入射する。
光スキャナ10は、映像信号処理回路3からの制御信号に従って、駆動される。垂直走査ドライバ62は、映像信号処理回路3からの制御信号に従って、垂直走査スキャナ23を駆動する。レーザ光は、光スキャナ10及び垂直走査スキャナ23の走査によって、水平方向と垂直方向とに走査された光束として変換され、画像として投影可能な状態になる。具体的には、光ファイバ19から出射したレーザ光は、コリメート光学系20によって平行光に変換された後に、スキャナ基体100の偏向ミラー111に導かれる。偏向ミラー111によって水平方向に走査されたレーザ光は、第1リレー光学系22を通過した後に、垂直走査スキャナ23に平行光線として入射する。このとき、第1リレー光学系22によって、垂直走査スキャナ23の位置に光学瞳が形成される。垂直走査スキャナ23によって垂直方向に走査されたレーザ光は、第2リレー光学系24を通過した後に、観測者の瞳孔52に平行光線として入射する。このとき、第2リレー光学系24によって、観測者の瞳孔52と垂直走査スキャナ23の位置にある光学瞳とが共役となる。
<変形例>
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
前記した実施形態において、スキャナ基体100は、図3に示される形状である。しかし、スキャナ基体はこれ以外の形状であっても良い。図11に、スキャナ基体の変形形状の例を示す平面図を示す。例えば、図11(a)に示されるスキャナ基体130の様に、支持梁132は、一対の梁部132cのみよって構成されて良い。この場合、偏向ミラー131と外枠部133とは、一対の梁部132cのみよって直接連結される。あるいは、図11(b)に示されるスキャナ基体140の様に、支持梁142は、偏向ミラー141を片持支持するために、一本だけ設けられても良い。あるいは、図11(c)に示されるスキャナ基体150の様に、偏向ミラー151が一対の支持梁152によって両持支持されるような構成でもよい。スキャナ基体150は、基板153上に設けられた駆動部301によって誘起される基板153の板波を利用して偏向ミラー151及び支持梁152が揺動駆動される構成である(例えば、特開2006−293116号公報を参照)。要は、非線形な周波数特性を有するスキャナ基体であれば、形状は問わない。また、外枠部153は、図11(c)に示される様に、偏向ミラー152及び支持梁152の周囲を取り囲まなくてもよい。
前記した実施形態において、偏向ミラー111及び支持梁112は、圧電素子320を含む駆動部300によって揺動駆動される。しかし、これ以外の駆動機構によって偏向ミラー111及び支持梁112が揺動駆動されても良い。例えば、偏向ミラー111の裏面と基体台座部120とに一対の電極が設けられることによって、クーロン力を利用して反射ミラーを揺動駆動する静電駆動方式が採用されても良い。あるいは、偏向ミラー111の裏面にコイルが、基体台座部120に永久磁石が夫々設けられることによって、磁力を利用して反射ミラーを揺動駆動する電磁駆動方式が採用されても良い。
前記した実施形態において、偏向角の値を利用して、偏向下落現象が発生したか否かが判断される(図5のステップSA9参照)。しかし、偏向ミラー111の他の偏向状態、例えば位相差や偏向状態信号の受信タイミング等を利用して、偏向下落現象が発生したか否かが判断されてもよい。
スキャナ基体100の用いられる温度環境に依存して、サーチ開始周波数は変化する。実験的に、0℃の状態と50℃の状態とでは、サーチ開始周波数に100Hz程度の差が出る場合も確認されている。前記した図5に示される起動シーケンスにおいて、サーチ開始周波数は、周波数値fよりも100Hzだけ低い周波数値である(ステップSA1参照)。周波数値fよりも100Hzだけ低い周波数値は、温度変化等の外乱によるサーチ開始周波数の変動を考慮して決定された、サーチ開始周波数としての一例である。例えば、より安定した起動が望まれるのであれば、周波数値fよりも200,300,400Hz等低い周波数値がサーチ開始周波数として採用されても差し使えない。あるいは、スキャナ基体100が温度変化の少ない環境下で用いられるのであれば、起動シーケンスの高速化のために、周波数値fよりも10,20,40Hz等低い周波数値が、サーチ開始周波数として採用されても差し使えない。
前記した図5に示される起動シーケンスにおいて、駆動周波数は、アップスイープされる際に1Hzずつ上昇する(ステップSA2参照)。しかし、駆動周波数がアップスイープされる際の周波数間隔は、1Hz以外でも差し支えない。例えば、起動シーケンス処理に必要な時間を短縮したい場合は、1Hzよりも大きな値(2Hz,5Hz,10Hz等)であっても良い。一方、偏向下落現象が起きる周波数値を精度良く検知したい場合は、1Hzよりも小さな値(0.5Hz,0.2Hz,0.1Hz等)であっても良い。
前記した図5に示される起動シーケンスにおいて、ウェイト時間は20msに設定されている(ステップSA4参照)。しかし、ウェイト時間は、スキャナ基体100が実際に揺動駆動する駆動周波数が、新たな駆動信号の駆動周波数に追随するのに十分な時間であれば良い。即ち、20msは一例であって、ウェイト時間は、光スキャナに用いられるスキャナ基体のQ値に応じて変化して良い。例えば、スキャナ基体100よりもQ値が高いスキャナ基体が利用される場合であれば、20msよりも長い時間(40ms,100ms,200ms等)であっても良い。一方、スキャナ基体100よりもQ値が低いスキャナ基体が利用される場合であれば、20msより短い時間(10ms,5ms,2ms等)であっても良い。
前記した図5に示される起動シーケンスにおいて、目標駆動周波数は、偏向角のピークが検知されたときの駆動周波数よりも10Hzだけ低い駆動周波数に設定される(ステップSA13参照)。しかし、目標駆動周波数は、温度変化や経年変化等の外乱による、偏向下落現象が発生する周波数値の変動に対して、十分低い周波数であれば良い。即ち、偏向角のピーク位置での周波数値よりも10Hzだけ低い周波数値は、目標駆動周波数としての一例である。偏向角のピーク位置での周波数値よりも5Hz,20Hz,40Hz,100Hz等、低い周波数値が目標駆動周波数として採用されても差し使えない。同様に、ステップSA14の場合も、偏向下落現象が発生する周波数値よりも5Hz,20Hz,40Hz,100Hz等、低い周波数値が、目標駆動周波数として採用されても差し使えない。
前記した図5に示される起動シーケンスにおいて、目標駆動周波数が決定された後、現在の駆動周波数がサーチ開始周波数に再設定される(ステップSA15参照)。しかし、周波数値fより低い駆動周波数であれば、サーチ開始周波数以外の値に駆動周波数が再設定されても良い。
前記した実施形態において、図5に示される起動シーケンス処理は、定常駆動(図4のステップS3〜ステップS5参照)の前に一度だけ実行される。しかし、起動シーケンスは、定常駆動の間に適宜実行されても良い。例えば、定常駆動中に起動シーケンスを行うか否かの判断がなされ、その判断が肯定であった場合に起動シーケンスが行われる等でも良い。起動シーケンスを行うか否かの判断としては、例えば、所定時間が経過したか否か、外部から起動シーケンスの実行を指示する入力があったか否か等が用いられて良い。
1 画像表示装置
2 光束生成手段
3 映像信号処理回路
10,11,12 光スキャナ
19 光ファイバ
20,41,42,43 コリメート光学系
22 第1リレー光学系
23 垂直走査スキャナ
24 第2リレー光学系
30 光源部
31 Bレーザドライバ
32 Gレーザドライバ
33 Bレーザドライバ
34 Bレーザ
35 Gレーザ
35 Rレーザ
40 光合波部
44,45,46 ダイクロイックミラー
47 集光光学系
52 観察者の瞳孔
54 観察者の網膜
61 水平走査ドライバ
62 垂直走査ドライバ
100,130,140 スキャナ基体
110 基体揺動部
111,131,141,151 偏向ミラー
112,132,142,152 支持梁
112a,142a ミラー支持部
112b,142b 結合部
112c,132c,142c 一対の梁部
113,133,143,153 外枠部
120 基体台座部
200 制御回路部
201 駆動周波数決定手段
202 周波数変更制御部
203 駆動信号生成部
204 偏向角決定部
205 偏向角記憶部
206 偏向角比較部
207 目標駆動周波数判断手段
208 位相差決定部
209 目標位相差記憶部
300,301 駆動部
310 下部電極
320 圧電素子
330 上部電極
400 BDセンサ
500 直流電圧印加回路
600 信号重畳部
700 インターフェス

Claims (9)

  1. 入射した光を所定方向に偏向する偏向ミラーと、前記偏向ミラーを支持するために、一端が前記偏向ミラーに連結された支持梁と、前記支持梁の他端が連結される固定部とを含むスキャナ基体と、
    前記偏向ミラー及び前記支持梁を揺動させることで、前記スキャナ基体を揺動駆動させる駆動部と、
    前記偏向ミラーの偏向状態を取得する偏向状態取得部と、
    前記スキャナ基体を所定の駆動周波数で揺動駆動させるための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に送信する制御部とを備え、
    前記スキャナ基体は、
    第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、
    駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、
    駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、
    前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示し、
    前記制御部は、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ手段と、
    前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知手段と、
    前記アップスイープ手段によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知手段によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定手段と、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ手段と、
    前記再アップスイープ手段の動作後に、前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記目標駆動周波数における前記偏向状態を維持するように、前記スキャナ基体を定常駆動させる定常駆動手段と、
    前記偏向状態取得部の取得結果と、駆動周波数とを対応付けて記憶する記憶手段とを有し、
    前記偏向下落現象検知手段は、
    前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向状態が減少しているか否かを判断する偏向減少判断手段と、
    前記偏向減少判断手段によって前記偏向状態が減少していると判断された場合に、前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象であるか否かを判断する偏向下落現象判断手段とを含み、
    前記目標駆動周波数決定手段はさらに、
    前記偏向減少判断手段によって前記偏向状態が減少していると判断され、且つ前記偏向下落現象判断手段によって前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象でないと判断された場合に、前記記憶手段の記憶内容に基づいて、前記偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する、ことを特徴とする光スキャナ。
  2. 入射した光を所定方向に偏向する偏向ミラーと、前記偏向ミラーを支持するために、一端が前記偏向ミラーに連結された支持梁と、前記支持梁の他端が連結される固定部とを含むスキャナ基体と、
    前記偏向ミラー及び前記支持梁を揺動させることで、前記スキャナ基体を揺動駆動させる駆動部と、
    前記偏向ミラーの偏向状態を取得する偏向状態取得部と、
    前記スキャナ基体を所定の駆動周波数で揺動駆動させるための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に送信する制御部とを備え、
    前記スキャナ基体は、
    第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、
    駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、
    駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、
    前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示し、
    前記制御部は、
    前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向ミラーの位相を決定する位相決定手段と、
    前記位相決定手段によって決定された前記偏向ミラーの位相と、前記駆動信号の位相との位相差を決定する位相差決定手段と、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ手段と、
    前記偏向状態取得部の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知手段と、
    前記アップスイープ手段によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知手段によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定手段と、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ手段と、
    前記再アップスイープ手段の動作後に、前記位相差決定手段によって決定された位相差を、目標位相差として記憶する目標位相差記憶手段と、
    前記位相差決定手段によって決定された位相差が、前記目標位相差記憶手段に記憶された前記目標位相差に一致するように、前記駆動信号の駆動周波数を調整する駆動周波数調整手段とを有する、
    ことを特徴とする光スキャナ。
  3. 前記アップスイープ手段はさらに、
    駆動周波数を所定の周波数間隔で上昇する周波数上昇手段と、
    前記周波数上昇手段によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、同一の駆動周波数を所定の時間に亘って保持するウェイト手段とを含む、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光スキャナ。
  4. 前記再アップスイープ手段はさらに、駆動周波数が前記目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなるように駆動周波数を上昇する周波数可変上昇手段を含む、
    ことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の光スキャナ。
  5. 光を走査して画像を形成するための、請求項1〜の何れか1項に記載の光スキャナと、
    その光スキャナに光を供給するための光源と、
    前記光スキャナによって走査された光を使用者の目に導く接眼光学系とを備える、
    ことを特徴する画像表示装置。
  6. 第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、光スキャナの駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い所定の周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い所定の周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示す光スキャナを駆動する駆動方法であって、
    光スキャナを駆動する駆動部に送信する駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ工程と、
    光スキャナの偏向状態を取得する偏向状態取得工程と、
    前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知工程と、
    前記アップスイープ工程によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知工程によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定工程と、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ工程と、
    前記再アップスイープ工程の後に、前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記目標駆動周波数における前記偏向状態を維持するように、光スキャナを定常駆動させるための前記駆動信号を送信する定常駆動工程と、
    前記偏向状態取得工程の取得結果と、駆動周波数とを対応付けて記憶する記憶工程とを備え、
    前記偏向下落現象検知工程は、
    前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向状態が減少しているか否かを判断する偏向減少判断工程と、
    前記偏向減少判断工程によって前記偏向状態が減少していると判断された場合に、前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象であるか否かを判断する偏向下落現象判断工程とを含み、
    前記目標駆動周波数決定工程はさらに、
    前記偏向減少判断工程によって前記偏向状態が減少していると判断され、且つ前記偏向下落現象判断工程によって前記偏向状態の減少が前記偏向落下現象でないと判断された場合に、前記記憶工程によって記憶された記憶内容に基づいて、光スキャナの偏向状態が最大のときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する、ことを特徴とする光スキャナの駆動方法。
  7. 第1共振周波数と、前記第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とにおいて共振状態にて揺動駆動する共振駆動が可能で、光スキャナの駆動周波数が前記第1共振周波数よりも低い所定の周波数値から上昇した場合、第2共振周波数にて共振駆動し、駆動周波数が前記第1共振周波数よりも高い所定の周波数値から下降した場合、第1共振周波数にて共振駆動し、前記第2共振周波数にて共振駆動しているときに、駆動周波数が前記第2共振周波数を上回った場合、前記偏向状態が下落する偏向下落現象を示す光スキャナを駆動する駆動方法であって、
    光スキャナを駆動する駆動部に送信する駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、上昇する方向へ掃引するアップスイープ工程と、
    光スキャナの偏向状態を取得する偏向状態取得工程と、
    前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、光スキャナの偏向状態の位相を決定する位相決定工程と、
    前記位相決定工程によって決定された光スキャナの偏向状態の位相と、前記駆動信号の位相との位相差を決定する位相差決定工程と、
    前記偏向状態取得工程の取得結果に基づいて、前記偏向下落現象を検知する偏向下落現象検知工程と、
    前記アップスイープ工程によって掃引された駆動周波数において前記偏向下落現象検知工程によって前記偏向下落現象が検知された場合に、前記偏向下落現象が検知されたときの駆動周波数よりも低い周波数値を目標駆動周波数として決定する目標駆動周波数決定工程と、
    前記駆動信号の駆動周波数を、前記第1共振周波数よりも低い周波数値から、前記目標駆動周波数まで、上昇する方向へ再度掃引する再アップスイープ工程と、
    前記再アップスイープ工程の動作後に、前記位相差決定工程によって決定された位相差を、目標位相差として記憶する目標位相差記憶工程と、
    前記位相差決定工程によって決定された位相差が、前記目標位相差記憶工程において記憶された前記目標位相差に一致するように、前記駆動信号の駆動周波数を調整する駆動周波数調整工程と、
    を備えることを特徴とする光スキャナの駆動方法。
  8. 前記アップスイープ工程はさらに、
    駆動周波数を所定の周波数間隔で上昇する周波数上昇工程と、
    前記周波数上昇工程によって駆動周波数が所定の周波数間隔を上昇した後に、同一の駆動周波数を所定の時間に亘って保持するウェイト工程とを有する、
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の光スキャナの駆動方法。
  9. 前記再アップスイープ工程はさらに、駆動周波数が前記目標駆動周波数に近づくに従って、駆動周波数の上昇する周波数間隔が狭くなるように駆動周波数を上昇する周波数可変上昇工程を有する、ことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の光スキャナの駆動方法。
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