JP2009204804A - 光走査装置及び振動ミラーの起動方法 - Google Patents

光走査装置及び振動ミラーの起動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速に起動可能な光走査装置及び振動ミラーの起動方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る光走査装置は、所定の軸に沿って回動可能に構成された振動ミラー1と、所定の駆動周波数で振動ミラー1を駆動する駆動手段111と、駆動周波数を設定する制御手段113と、振動ミラーの駆動特性データを保持する記憶手段114と、振動ミラー1の環境パラメータを測定する環境検出センサ106と、を有し、制御手段113は、起動時に、駆動特性データを参照して、環境検出センサ106により測定された環境パラメータの下における振動ミラー1の共振周波数を推定し、推定された共振周波数に基づいて起動時の駆動周波数を決定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、振動ミラーを利用した光走査装置及び振動ミラーの駆動方法に関する。
近年、マイクロメカニクス技術を用いたマイクロアクチュエータの開発が盛んである。例えば、一対の弾性支持部(トーションバー)でねじり回転可能に支持された振動ミラーを備えた光走査装置は、簡便な構成で画像表示装置を形成することが可能なデバイスとして開発が進んでいる。
このようなMEMS(Micro Electro Mechanical System)により形成された振動ミラーを駆動する方法としては、静電引力を利用した方式、電磁力を利用した方式、圧電素子を利用した方式が主に挙げられる。この振動ミラーは、その共振周波数で駆動させることにより、小さい駆動力で大きな振幅(偏向角)を得ることができる。
ところで、この振動ミラーの共振を利用した光走査装置では、温度、湿度、気圧、経時劣化等の様々な環境因子によりその共振周波数が変化してしまう。動作中は、振動ミラーの状態がモニタでできるため、駆動周波数を常に共振周波数と同じにすることが可能である。例えば、特許文献1では、振動ミラーの振幅をモニタして、振幅が一定となるように温度を調節することで、共振周波数を一定に維持する技術が開示されている。
特開2004−69731号公報
しかしながら、起動時は、振動ミラーの共振周波数が不明であるため、上記の特許文献1の技術をそのまま適用することはできない。従って、振動ミラーが取りうる広い周波数範囲の中で少しずつ駆動周波数を変化させ、共振周波数を検出する動作が必要であり、起動時間が長くなるという欠点がある。この振動ミラーが取りうる周波数範囲を仮に1kHz程度と想定し、この範囲において0.1Hzずつ駆動周波数を変えて共振周波数を検出しようとすると、膨大な起動時間がかかることとなる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高速に起動可能な光走査装置及び振動ミラーの起動方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の光走査装置は、所定の軸に沿って回動可能に構成された振動ミラーと、所定の駆動周波数で振動ミラーを駆動する駆動手段と、駆動周波数を設定する制御手段と、振動ミラーの駆動特性データを保持する記憶手段と、振動ミラーの環境パラメータを測定する環境検出センサと、を有し、制御手段は、起動時に、駆動特性データを参照して、環境検出センサにより測定された環境パラメータの下における振動ミラーの共振周波数を推定し、推定された共振周波数に基づいて起動時の駆動周波数を決定する。
上記構成では、起動時に、制御手段により、振動ミラーの駆動特性データが参照されて、環境検出センサにより測定された環境パラメータの下における振動ミラーの共振周波数が推定される。ここで、環境パラメータは、温度、湿度、気圧、積算時間等の振動ミラーの動作に影響を与える環境因子のいずれか又はその組み合わせからなる。
上記のようにして、現在の環境下における振動ミラーの共振周波数が推定されることにより、実際の共振周波数を探すための時間を短縮でき、ひいては起動時間を短縮できる。
例えば、制御手段は、推定された共振周波数に基づいて複数の駆動周波数を含む周波数検出範囲を設定し、駆動手段は、周波数検出範囲内において振動ミラーの駆動周波数を変えていく。本発明では、予め共振周波数を推定しておくことにより、周波数検出範囲は限定的なものとなる。したがって、この範囲内において、駆動手段により実際に振動ミラーを駆動させれば、実際の共振周波数を検出できる。
好ましくは、振動ミラーの動作をモニタする動作検出センサをさらに有し、制御手段は、動作検出センサの検出結果に基づいて実際の振動ミラーの共振周波数を決定し、当該共振周波数を起動時の駆動周波数として決定する。動作検出センサは、最終的に振動ミラーの共振周波数を決定するために必要な情報を取得できればよく、例えば、振動ミラーにより反射される光を受光するフォトダイオード等の受光素子や、振動ミラーに取り付けられた圧電素子により構成される。例えば、最も振動ミラーの振幅が大きい場合の周波数が共振周波数として決定される。
記憶手段は、製造時及び/又は過去の駆動時における所定の環境パラメータの下での振動ミラーの動作パラメータを、駆動特性データとして保持する。動作パラメータは、振動ミラーの動作特性を示す数値であり、例えば、振動ミラーの共振周波数、振幅、駆動電圧、駆動電流のいずれか又はその組み合わせである。このように、本発明では、実際に使用する振動ミラーの駆動特性データが使用されることにより、共振周波数の推定精度が向上する。このうち、経時変化による誤差を最小にするため、最も直近の駆動時における駆動特性データを用いることが好ましい。このため、駆動特性データは、更新されるようにしておくとよい。これにより、初回の起動時には製造時の駆動特性データが用いられ、2回目以降の起動時には前回の駆動時における駆動特性データが用いられる。
制御手段は、起動時に、さらに、製造時における駆動特性データと、過去の駆動時における駆動特性データとを比較して、両者の差が所定の範囲外の場合に、振動ミラーが不良であると判定する。これにより、振動ミラーの故障検出が可能となる。
上記の目的を達成するため、本発明の振動ミラーの起動方法は、所定の軸に沿って回動可能に構成された振動ミラーの周囲の環境パラメータを測定する工程と、予め保持しておいた駆動特性データを参照して、測定された環境パラメータの下における振動ミラーの共振周波数を推定する工程と、推定された共振周波数に基づいて、駆動周波数を設定するステップと、を有する。
上記構成では、起動時に、振動ミラーの駆動特性データが参照されて、測定された環境パラメータの下における振動ミラーの共振周波数が推定される。ここで、環境パラメータは、温度、湿度、気圧、積算時間等の振動ミラーの動作に影響を与える環境因子のいずれか又はその組み合わせからなる。
上記のようにして、現在の環境下における振動ミラーの共振周波数が推定されることにより、実際の共振周波数を探すための時間を短縮でき、ひいては起動時間を短縮できる。
駆動周波数を設定するステップは、推定された共振周波数に基づいて、周波数検出範囲を設定するステップと、周波数検出範囲内の周波数で振動ミラーを駆動して、振動ミラーの共振周波数を決定するステップと、を有する。本発明では、予め共振周波数を推定しておくことにより、周波数検出範囲は限定的なものとなる。したがって、この範囲内において、実際に振動ミラーを駆動させれば、実際の共振周波数を検出できる。
製造時及び/又は過去の駆動時における所定の環境パラメータの下での振動ミラーの動作パラメータを、駆動特性データとして用いる。このように、本発明では、実際に使用する振動ミラーの駆動特性データが使用されることにより、共振周波数の推定精度が向上する。このうち、経時変化による誤差を最小にするため、最も直近の駆動時における駆動特性データを用いることが好ましい。例えば、駆動特性データは、更新されるようにしておくとよい。これにより、初回の起動時には製造時の駆動特性データが用いられ、2回目以降の起動時には前回の駆動時における駆動特性データが用いられる。
振動ミラーの製造時における駆動特性データと、振動ミラーの過去の駆動時における駆動特性データとを比較して、振動ミラーの異常の有無を判定するステップをさらに有する。これにより、振動ミラーの故障検出が可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る振動ミラーの構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。
振動ミラー1は、可動板11と、支持枠12と、可動板11を支持枠12に対してねじり回転可能に支持する一対の弾性支持部13とを有する。可動板11、支持枠12、及び弾性支持部13は、例えば、シリコン基板をエッチング加工することにより一体形成される。
可動板11上には反射膜21が形成されている。また、可動板11の反射膜21と反対側には、磁石22が接合されている。磁石22は、可動板11を平面視したときに、可動板11の回転中心軸である軸線Xに直交する方向に磁化されている。すなわち、磁石22は、軸線Xを介して対向する互いに極性の異なる一対の磁極を有している。支持枠12は、ホルダ20に接合されており、ホルダ20上には、可動板11を駆動させるためのコイル23が配置されている。
上記の振動ミラー1では、周期的に変化する電流(交流)がコイル23に供給される。これにより、コイル23は上方(可動板11側)に向く磁界と、下方に向く磁界とを交互に発生させる。これにより、コイル23に対し磁石22の一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するようにして、弾性支持部13を捩れ変形させながら、可動板11がX軸回りに回動させられる。
図1では、磁石22とコイル23間の電磁力を利用した駆動方式の振動ミラーを示している。しかしながら、本発明は、静電引力を利用した方式や、圧電素子を利用した方式を採用してもよい。例えば、静電引力を利用した方式の場合には、磁石22は不要であり、コイル23の代わりに可動板11に対向する1つ又は複数の電極が設置される。そして、可動板11と電極との間に周期的に変化する交流電圧を印加することにより、可動板11と電極との間に静電引力を作用させて、弾性支持部13を捩れ変形させながら、可動板11をX軸回りに回動させる。
図3は、上記の振動ミラー1を含む光走査装置の概略構成図である。図3に示す光走査装置は、水平走査ミラーとして図1に示す振動ミラー1を用いている。
図3に示す光走査装置は、振動ミラー1の他に、レーザ光源101と、ダイクロイックミラー102と、フォトダイオード103と、垂直ミラー104と、動作検出センサ105と、環境検出センサ106とを備える。
レーザ光源101は、赤色レーザ光を出射する赤色レーザ光源101Rと、青色レーザ光を出射する青色レーザ光源101Bと、緑色レーザ光を出射する緑色レーザ光源101Gとを有する。ただし、2色以下又は4色以上のレーザ光源を用いてもよい。
ダイクロイックミラー102は、赤色レーザ光源101Rからの赤色レーザ光を反射するダイクロイックミラー102Rと、青色レーザ光を反射し赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Bと、緑色レーザ光を反射し青色レーザ光及び赤色レーザ光を透過させるダイクロイックミラー102Gとを有する。この3種のダイクロイックミラー102により、赤色レーザ光、青色レーザ光、及び緑色レーザ光の合成光が振動ミラー1に入射する。
フォトダイオード103は、各ダイクロイックミラー102R,102G,102Bに反射されずに透過した赤色レーザ光、緑色レーザ光、青色レーザ光の光量を検出する。
振動ミラー1は、ダイクロイックミラー102から送られたレーザ光を水平方向(軸線Xの垂直方向)に走査する。振動ミラー1は、上述したように、MEMSにより形成された、共振型ミラーである。
垂直ミラー104は、振動ミラー1により反射されたレーザ光を垂直方向に走査する。垂直ミラー104は、例えば、ガルバノミラーにより構成される。ガルバノミラーとはミラーに軸を付け、電気振動に応じてミラーの回転角を変えられるようにした偏向器である。振動ミラー1によるレーザ光の水平走査、及び垂直ミラー104によるレーザ光の垂直走査により画像が表示される。
動作検出センサ105は、振動ミラー1の動作をモニタする。動作検出センサ105は、振動ミラーの共振周波数を含む動作パラメータを取得するために必要な動作をモニタできればよく、例えば、振動ミラーにより反射される光を受光するフォトダイオード等の受光素子や、振動ミラーに取り付けられた圧電素子により構成される。
環境検出センサ106は、振動ミラー1の環境パラメータを測定する。ここで、環境パラメータは、温度、湿度、気圧、積算時間等の振動ミラーの動作に影響を与える環境因子のいずれか又はその組み合わせからなる。このため、環境検出センサ106は、例えば、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、タイマー等の各種のセンサ又はその組み合わせからなる。なお、上記の環境因子のうち、振動ミラー1の共振周波数の変動に最も大きな影響を与えるものは、温度であると考えられる。
本実施形態に係る光走査装置は、上記のレーザ光源101、振動ミラー1、垂直ミラー104の駆動制御系として、さらに、レーザ光源101を駆動するレーザ駆動手段110と、振動ミラー1を駆動する水平ミラー駆動手段111と、垂直ミラー104を駆動する垂直ミラー駆動手段112と、全体の動作の制御を担う制御手段113と、記憶手段114とを有する。
記憶手段114は、例えば、各種のプログラムを収納するROMと、変数等を収納するRAMと、不揮発性メモリとにより構成される。本実施形態では、記憶手段114は、振動ミラー1の製造時及び/又は過去の駆動時における駆動特性データを保持している。駆動特性データとは、所定の環境パラメータと、そのときの動作パラメータとを含むデータである。動作パラメータは、振動ミラー1の動作特性を示す数値であり、例えば、振動ミラー1の共振周波数、振幅、駆動電圧、駆動電流のいずれか又はその組み合わせである。
上記の環境パラメータとして温度を例にとり、動作パラメータとして共振周波数を例にとると、後述するように、所定の温度の下での共振周波数のデータがあれば、所定の演算式又はLUT(Look up table)を用いて、他の温度の下での共振周波数の推定が可能である。なお、経時変化による誤差を最小にするため、共振周波数の推定演算には、最も直近の駆動時における駆動特性データを用いることが好ましい。例えば、駆動特性データは、更新されるようにしておくとよい。これにより、初回の起動時には製造時の駆動特性データが用いられ、2回目以降の起動時には前回の駆動時における駆動特性データが用いられる。
制御手段113は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種の映像ソース115から送られた画像情報に基づいて、これらの画像を表示すべく、レーザ駆動手段110、水平ミラー駆動手段111、垂直ミラー駆動手段112の動作を制御する。また、制御手段113は、フォトダイオード103からの出力に基づいて、レーザ駆動手段110をAPC制御する。さらに、制御手段113は、動作検出センサ105からの出力に基づいて、振動ミラー1の周波数を含む動作パラメータを計算する。
以下に示すようにして、動作検出センサ105からの出力に基づいて、振動ミラー1の動作パラメータが求められる。
図4及び図5は、動作検出センサ105として2つのフォトダイオード(PD)105a,105bを用いた場合における、振動ミラー1の動作パラメータ検出原理を説明するための図である。
図4及び図5に示すように、フォトダイオード105a,105bは2つ並んで配置されており、振動ミラー1により偏向された光が通過した瞬間にフォトダイオード105a,105bからパルスが出力される。振動ミラー1の捩れ振動運動は、フォトダイオード105a,105bの出力値を繋ぐ正弦波形で表すことができる。この結果、振動ミラー1の振幅、位相、周波数が求められる。
図6及び図7は、動作検出センサ105として圧電素子(ピエゾ素子)105cを用いた場合における、振動ミラー1の動作パラメータ検出原理を説明するための図である。
図6及び7に示すように、圧電素子105cは振動ミラー1の弾性支持部13に設置されており、圧電素子105cからは振動ミラー1の捩れ運動に対応する出力が得られる。このため、振動ミラー1の振幅、位相、周波数が求められる。
次に、本実施形態に係る振動ミラー1の起動方法について、図8のフローチャートを参照して説明する。また、以下では、理解の容易のため、環境パラメータとして温度を用い、動作パラメータとして共振周波数を用いた例について説明する。
まず、制御手段113は、駆動特性データとして、記憶手段114に保持された製造時(初期)の振動ミラー1の環境パラメータおよびそのときの動作パラメータを取得する(ステップST1)。例えば、図9に示すように、製造時の駆動特性データ(温度、共振周波数)として、(T1、f1)という駆動特性データが取得されるとする。このとき、図9に示すように、この駆動特性データ(T1、f1)を基に、共振周波数fは、温度Tの関数、すなわちf1(T)として表すことができる。このf1(T)は、演算式又はLUTのような形で記憶手段114により保持される。
次に、制御手段113は、初期の動作パラメータを正規化する(ステップST2)。本願明細書では、正規化とは、所定の環境下における動作パラメータを、標準環境下における動作パラメータの値に変換することをいう。例えば、図9に示すように、駆動特性データ(T1、f1)を正規化することにより、駆動特性データ(T0、f0)が得られる。例えば、T0は25℃である。
次に、制御手段113は、記憶手段114に保持された、過去の駆動時、好適には前回駆動時(最新)の振動ミラー1の環境パラメータおよびそのときの動作パラメータを取得する(ステップST3)。例えば、図10に示すように、前回駆動時の駆動特性データ(温度、共振周波数)として、(T2、f2)という駆動特性データが保持されているとする。このとき、図10に示すように、この駆動特性データ(T2、f2)を基に、共振周波数fは、温度Tの関数、すなわちf2(T)として表すことができる。このf2(T)も、f1(T)と同様に、演算式又はLUTのような形で記憶手段114により保持される。
次に、制御手段113は、最新の動作パラメータを正規化する(ステップST4)。例えば、図10に示すように、最新の駆動特性データ(T2、f2)を正規化することにより、駆動特性データ(T0、f'0)が得られる。例えば、T0は25℃である。
次に、正規化された動作パラメータ同士を比較して、その差が規定範囲内か否かを判定する(ステップST5)。比較対象となる製造時の動作パラメータと、最新の動作パラメータとは互いに正規化されているため、動作パラメータの適切な比較が行なわれる。
ステップST5の判定処理において、2つの動作パラメータの差が規定範囲外である場合には、振動ミラー1に異常があると判定する。この場合には、ステップST6以降の起動処理を行なうことなく、ユーザに振動ミラー1が異常である旨知らせる。
ステップST5の判定処理において、2つの動作パラメータの差が規定範囲内である場合には、制御手段113は、環境検出センサ106の出力に基づいて、現在の環境パラメータ、すなわち、温度、湿度、気圧、積算時間等の情報を取得する(ステップST7)。
次に、制御手段113は、予め保持しておいた駆動特性データを参照して、現在の環境下における振動ミラー1の共振周波数を推定する(ステップST8)。経時劣化による誤差を最小にするため、この駆動特性データとしては、製造時のものよりも、最新の駆動特性データを使用することが好ましい。例えば、図10に示すように、環境検出センサ106により温度がT3と検出された場合には、最新の駆動特性データ(T2、f2)に基づいた計算式f2(T)又はLUTを利用して、現在の環境下における共振周波数f3を求める。
次に、制御手段113は、推定された共振周波数f3を中心として周波数検出範囲を設定する(ステップST9)。例えば、推定された共振周波数f3を中心として上下に数Hz(Xとする)設定した場合には、周波数検出範囲は、f3−X以上f3+X以下となる。そして、制御手段113は、駆動周波数を周波数検出範囲の下限であるf3−Xに設定する。
次に、制御手段113は、駆動周波数f3−Xで水平ミラー駆動手段111に振動ミラー1を駆動させ、動作検出センサ105からの出力に基づいて、振動ミラー1の振幅及び/又は位相差を計測し、計測した振幅及び/又は位相差を記憶手段114に一時保存する(ステップST10)。振幅は、図5及び図7を参照して説明した通り、振動ミラー1の捩れ振動の振幅を指す。位相差とは、水平ミラー駆動手段111から振動ミラー1へ入力される駆動電流(駆動電圧)の位相と、実際に振動ミラー1の捩れ振動の位相との差を示す。共振状態において、この位相差が略90°となることは一般的に知られている事項である。
次に、駆動周波数が周波数検出範囲の上限値f3+Xに達したか否かの判定を行なう(ステップST11)。上限値に達していない場合には、駆動周波数を増加させて(ステップST12)、駆動周波数が上限値に達するまで、ステップST10〜ステップST12の処理を繰り返す。駆動周波数の増加分に限定はないが、例えば、0.1Hzである。
駆動周波数が上限値f3+Xに達した後(ステップST11)、記憶手段114に保存された振幅及び/又は位相差のデータに基づいて、実際の振動ミラー1の共振周波数を決定する(ステップST13)。
振幅のデータから共振周波数を決定する場合には、図11に示すように、ステップST10において計測及び保存された振幅のデータのうち、最も大きい振幅が得られたときの駆動周波数f4を共振周波数とする。
また、位相差のデータから共振周波数を決定する場合には、図12に示すように、ステップST10において計測及び保存された位相差のデータのうち、90°の位相差が得られたときの駆動周波数f4を共振周波数とする。
このようにして、振動ミラー1の実際の共振周波数f4が決定される。以降の工程としては、振動ミラー1は、水平ミラー駆動手段111により駆動周波数f4で駆動されて、画像処理中、共振状態とされる。なお、駆動時には駆動周波数f4で駆動されるが、この画像表示中を通して駆動周波数f4に固定するわけではない。例えば、画像処理中の温度等の環境パラメータの変化は環境検出センサ106によりモニタしておき、常に共振周波数に追従するように駆動周波数が調節される。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置によれば、起動時に、制御手段113により、振動ミラー1の駆動特性データが参照されて、環境検出センサ106により測定された現在の環境パラメータの下における振動ミラー1の共振周波数が推定される。そして、この推定された共振周波数を中心として周波数検出範囲を設定し、周波数検出範囲内において振動ミラーの駆動周波数を徐々に変えていき、動作検出センサ105の出力に基づいて、実際の振動ミラーの共振周波数を探索する。
このように、予め共振周波数を推定することにより、周波数検出範囲を限定することができ、共振周波数を探索するのに要する時間を短縮でき、ひいては起動時間を短縮できる。例えば、何ら共振周波数を推定しない場合には、振動ミラー1の個体差及び環境変化等を考慮して周波数検出範囲を1kHz程度までしか限定できないのに対し、本実施形態の場合には、10Hz程度(推定共振周波数±5Hz)にまで限定することも可能となる。この周波数検出範囲を0.1Hzずつ駆動周波数を変えて共振点を探索すると仮定した場合には、従来技術に対して、かなりの駆動時間の短縮を図ることができることは明白である。
共振周波数を推定するのに用いる駆動特性データとして、最新の駆動特性データを参照することにより、経時変化による誤差を最小にでき、共振周波数の推定精度を向上することができる。
また、周波数検出範囲を設定する前に、製造時における駆動特性データと、最新の駆動時における駆動特性データとを比較して、両者の差が所定の範囲外の場合に、振動ミラーが不良であると判定することにより、振動ミラーの故障検出が可能となり、安全性を向上させることができる。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、振動ミラー1の構造に限定はない。例えば、可動板11は円形以外の多角形でもよい。また、本実施形態では、1次元1自由度で駆動するタイプの振動ミラー1を例示したが、2次元に駆動するタイプの振動ミラーであってもよく、また、1次元2自由度で駆動するタイプの振動ミラーであってもよい。2次元に駆動するタイプの振動ミラーを用いた場合には、垂直ミラー104は不要である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
振動ミラーの平面図である。 振動ミラーの断面図である。 光走査装置の概略構成図である。 フォトダイオードからの出力に基づく動作パラメータの検出原理を説明するための図である。 フォトダイオードの出力と、振動ミラーへの駆動電圧と、振動ミラーの振れ角との関係を示す図である。 ピエゾ抵抗素子からの出力に基づく動作パラメータの検出原理を説明するための図である。 ピエゾ抵抗素子の出力と、振動ミラーへの駆動電圧と、振動ミラーの振れ角との関係を示す図である。 本実施形態に係る振動ミラーの起動方法を示すフローチャートである。 製造時における駆動特性データの一例を示す図である。 過去の駆動時における駆動特性データの一例を示す図である。 駆動周波数と振動ミラーの振幅の関係を示す図である。 駆動周波数と位相差の関係を示す図である。
符号の説明
1…振動ミラー、11…可動板、12…支持枠、13…弾性支持部、20…ホルダ、21…反射膜、22…磁石、23…コイル、101…レーザ光源、101R…赤色レーザ光源、101G…緑色レーザ光源、101B…青色レーザ光源、102,102R,102G,102B…ダイクロイックミラー、103,103R,103G,103B…フォトダイオード、104…垂直ミラー、105…動作検出センサ、105a…フォトダイオード、105b…フォトダイオード、105c…圧電素子、106…環境検出センサ、110…レーザ駆動手段、111…水平ミラー駆動手段、112…垂直ミラー駆動手段、113…制御手段、114…記憶手段、115…映像ソース

Claims (9)

  1. 所定の軸に沿って回動可能に構成された振動ミラーと、
    所定の駆動周波数で前記振動ミラーを駆動する駆動手段と、
    前記駆動周波数を設定する制御手段と、
    前記振動ミラーの駆動特性データを保持する記憶手段と、
    前記振動ミラーの環境パラメータを測定する環境検出センサと、を有し、
    前記制御手段は、
    起動時に、前記駆動特性データを参照して、前記環境検出センサにより測定された環境パラメータの下における前記振動ミラーの共振周波数を推定し、推定された前記共振周波数に基づいて起動時の前記駆動周波数を決定する、
    光走査装置。
  2. 前記制御手段は、前記推定された共振周波数に基づいて複数の駆動周波数を含む周波数検出範囲を設定し、
    前記駆動手段は、前記周波数検出範囲内において前記振動ミラーの駆動周波数を変えていく、
    請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記振動ミラーの動作をモニタする動作検出センサをさらに有し、
    前記制御手段は、前記動作検出センサの検出結果に基づいて実際の前記振動ミラーの共振周波数を決定し、当該共振周波数を前記起動時の前記駆動周波数として決定する、
    請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記記憶手段は、製造時及び/又は過去の駆動時における所定の環境パラメータの下での前記振動ミラーの動作パラメータを、前記駆動特性データとして保持する、
    請求項1〜3のいずれかに記載の光走査装置。
  5. 前記制御手段は、起動時に、さらに、製造時における駆動特性データと、過去の駆動時における駆動特性データとを比較して、両者の差が所定の範囲外の場合に、前記振動ミラーが不良であると判定する、
    請求項4に記載の光走査装置。
  6. 所定の軸に沿って回動可能に構成された振動ミラーの周囲の環境パラメータを測定する工程と、
    予め保持しておいた駆動特性データを参照して、前記測定された環境パラメータの下における前記振動ミラーの共振周波数を推定する工程と、
    前記推定された共振周波数に基づいて、前記駆動周波数を設定するステップと、
    を有する振動ミラーの起動方法。
  7. 前記駆動周波数を設定するステップは、
    前記推定された共振周波数に基づいて、周波数検出範囲を設定するステップと、
    前記周波数検出範囲内の周波数で前記振動ミラーを駆動して、前記振動ミラーの共振周波数を決定するステップと、
    を有する請求項6記載の振動ミラーの起動方法。
  8. 製造時及び/又は過去の駆動時における所定の環境パラメータの下での前記振動ミラーの動作パラメータを、前記駆動特性データとして用いる、
    請求項6記載の振動ミラーの起動方法。
  9. 前記振動ミラーの製造時における前記駆動特性データと、前記振動ミラーの過去の駆動時における駆動特性データとを比較して、前記振動ミラーの異常の有無を判定するステップをさらに有する、
    請求項6記載の振動ミラーの起動方法。
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