JP5445258B2 - 転がり軸受のモデリング方法、解析方法、及びモデリングシステム - Google Patents

転がり軸受のモデリング方法、解析方法、及びモデリングシステム Download PDF

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Description

本発明は、転がり軸受の挙動の数値解析等を行うためのモデリング方法、解析方法、モデリングシステム、及び解析システムに関する。
近年、コンピュータの発達とともに、有限要素法を用いたシミュレーションが多用されている。
例えば、転がり軸受の設計の分野においては、各転動体の仮想断面上における接触荷重を求め、各接触荷重を合成して合成荷重ベクトル及び合成トルクベクトルを求めることにより、シャフトが結合されて変動負荷を受ける状態における転がり軸受の挙動を解析する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、車輪操舵用のラックバーを所定方向に付勢するための部品であるラックガイドの導管内での挙動を数値解析するために、ラックガイドの中心軸上に所定の間隔で節点を定義し、節点に非線形特性の仮想的なばね要素を定義し、さらに、導管とのクリアランスを表現するためにばね要素の特性を設定する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−291356号公報 特開2007−316848号公報
ところで、転がり軸受の解析の精度を高めるためには、軸受を構成する内輪、外輪、及び転動体の3次元形状を求め、この3次元形状のデータから有限要素モデルを作成する必要がある。しかも、転動体と内外輪との接触領域は狭いことが多いため、解析精度を向上させるためには、3次元形状のデータのメッシュ分割を細かくする必要がある。
しかし、メッシュの分割数を多くすると、モデル作成及び解析のための計算時間が膨大となり、迅速な処理が困難となってしまう。また、内外輪と転動体との間や軸受に対するシャフトあるいはハウジングとの間のクリアランス、軌道溝径または転動体径などの寸法を僅かに変更した場合でも、メッシュの作り換えや計算プログラムの複雑な書換え等が必要となり、解析効率が低下してしまう。
本発明の目的は、転がり軸受のモデルの解析の効率を、高い解析精度を確保しつつ向上させることが可能な転がり軸受のモデリング方法、解析方法、及びモデリングシステムを提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 内輪と外輪との間に複数の転動体が周方向へ転動可能に設けられた転がり軸受の解析モデルを解析処理装置を用いて作成する転がり軸受のモデリング方法であって、
前記解析処理装置は、CADデータ作成部と有限要素モデル作成部とを有し、
入力されたデータに従って、前記CADデータ作成部が、前記転がり軸受に関する3次元CADデータを作成するステップと、
前記有限要素モデル作成部が、前記3次元CADデータから前記内輪及び前記外輪について要素分割するとともに、当該有限要素モデル作成部の要素置換手段が、前記転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換えるステップと、
前記有限要素モデル作成部の特性設定手段が、前記転がり軸受の径方向のクリアランスに基づいて前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定するステップと、
を含むことを特徴とする転がり軸受のモデリング方法。
この転がり軸受のモデリング方法によれば、転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいはばね要素と等価なばね等価要素として有限要素モデルを作成するので、ばね要素とした転動体のメッシュ分割を不要とすることができる。また、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定して有限要素モデルを作成する。これらにより、有限要素モデルのメッシュ数を大幅に削減することができ、高い解析精度を確保しつつ有限要素モデルの作成に係る計算時間を極力短縮させ、解析効率を向上させることができる。さらに、各寸法を変更した何通りもの解析を行う際にも、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を変更することにより容易に対応することができ、メッシュの作り換えや計算プログラムの複雑な書換え等をなくし、迅速に解析することができる。
(2) 前記解析処理装置は、さらに解析処理部を有し、
(1)に記載のモデリング方法によって作成された解析モデルに対して、前記解析処理部が、前記転がり軸受、前記転がり軸受に支持されるシャフトあるいはハウジングの変位、歪、あるいは応力を求めることを特徴とする転がり軸受の解析方法。
この転がり軸受の解析方法によれば、転がり軸受、転がり軸受に支持されるシャフトあるいはハウジングの変位、歪、あるいは応力を求めることにより、転がり軸受における荷重分布、転動体にかかる荷重、転がり軸受の全体の変形量、シャフトやハウジングの変形量等を求めることができる。
(3) 前記解析処理装置は、さらに解析処理部を有し、
(1)に記載のモデリング方法によって作成された解析モデルに対して、前記解析処理部が、前記転がり軸受の寿命を求める寿命解析処理を行うことを特徴とする転がり軸受の解析方法。
(4) 前記解析処理部は、(3)に記載の解析方法によって得られた解析結果に基づいて、前記転がり軸受の寿命を長期化させる前記転がり軸受の諸元を求める諸元解析処理を行うことを特徴とする転がり軸受の解析方法。
(5) 前記転動体はころであり、
前記有限要素モデル作成部の前記要素置換手段が、前記ころを、軸方向において複数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換える処理を行うことを特徴とする(1)に記載のモデリング方法。
(6) 前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変化の特性は、軸方向の位置によってそれぞれ異なることを特徴とする(5)に記載のモデリング方法。
(7) 内輪と外輪との間に複数の転動体が周方向へ転動可能に設けられた転がり軸受の解析モデルを解析処理装置を用いて作成する転がり軸受のモデリングシステムであって、
前記解析処理装置は、入力されたデータに従って、前記転がり軸受に関する3次元CADデータを作成するCADデータ作成部と、有限要素モデル作成部と、を有し、
前記有限要素モデル作成部は、前記3次元CADデータから前記内輪及び前記外輪について要素分割する手段と、前記転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換える要素置換手段と、前記転がり軸受の径方向のクリアランスに基づいて前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定する特性設定手段と、を有することを特徴とする転がり軸受のモデリングシステム。
この構成の転がり軸受のモデリングシステムによれば、転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいはばね要素と等価なばね等価要素として有限要素モデルを作成することができるので、ばね要素とした転動体のメッシュ分割を不要とすることができる。また、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定して有限要素モデルを作成する。これらにより、有限要素モデルのメッシュ数を大幅に削減することができ、高い解析精度を確保しつつ有限要素モデルの作成に係る計算時間を極力短縮させ、解析効率を向上させることができる。さらに、各寸法を変更した何通りもの解析を行う際にも、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を変更することにより容易に対応することができ、メッシュの作り換えや計算プログラムの複雑な書換え等をなくし、迅速に解析することができる。
本発明の転がり軸受のモデリング方法、解析方法、モデリングシステム、及び解析システムによれば、転がり軸受のモデルの解析の効率を、高い解析精度を確保しつつ向上させることができる。
本発明の実施形態に係る転がり軸受のモデリングシステムの概略構成図である。 モデリングの対象である転がり軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 転がり軸受のモデリングシステムによる解析手順を説明するフローチャートである。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された転がり軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 ばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。 ラジアルクリアランスを変更した際のばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。 モデリングの対象であるアンギュラ玉軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換されたアンギュラ玉軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 ばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。 モデリングの対象である円筒ころ軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された円筒ころ軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 ばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。 モデリングの対象である円すいころ軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された円すいころ軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図である。 ばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。 モデリングの対象である転がり軸受を示す横断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された転がり軸受を示す横断面図である。 モデリングの対象である転がり軸受を示す横断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された転がり軸受を示す横断面図である。 モデリングの対象である転がり軸受を示す横断面図である。 要素置換手段によって一部がばね要素に置換された転がり軸受を示す横断面図である。 (a)〜(e)は、転動体以外の部品もばね要素に置換した場合の軸支持部分を示す概略側断面図である。
以下、本発明に係る転がり軸受のモデリング方法、解析方法、モデリングシステム、及び解析システムの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る転がり軸受のモデリングシステムの概略構成図、図2はモデリングの対象である転がり軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図、図3は転がり軸受のモデリングシステムによる解析手順を説明するフローチャート、図4は要素置換手段によって一部がばね要素に置換された転がり軸受を示す図であって、(a)は横断面図、(b)は側断面図、図5はばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図、図6はラジアルクリアランスを変更した際のばね要素の荷重に対する変位の特性を示すグラフ図である。
図1に示すように、本実施形態に係るモデリングシステム(解析システム)10は、解析処理装置11を備えている。
この解析処理装置11は、コンピュータのCPUからなるもので、この解析処理装置11には、ハードディスクや半導体メモリ等からなる主記憶装置31、入力データ記憶装置32、CADデータ記憶装置33及び有限要素モデル記憶装置34が接続されている。さらに、解析処理装置11には、キーボードやマウス等の入力装置41及びプリンターやディスプレイ等の出力装置42が接続されている。
解析処理装置11は、CADデータ作成部22、有限要素モデル作成部23及び解析処理部24を有している。
CADデータ作成部22は、入力装置41から入力されて入力データ記憶装置32に記憶された転がり軸受に関する部品の寸法や部品同士のクリアランス等の各種データに基づいて、3次元CADデータを作成する。この3次元CADデータとしては、表面だけでなく中身を持つボリュームモデルであるボクセルモデルやポリゴンモデル(STL)などがある。そして、このCADデータ作成部22にて作成された3次元CADデータは、CADデータ記憶装置33に記憶される。
有限要素モデル作成部23は、CADデータ記憶装置33から3次元CADデータを引き出し、この3次元CADデータを要素分割して有限要素モデルを作成する。この有限要素モデル作成部23にて有限要素モデルを作成する際のソフトウェアとしては、例えば、NX I−deas(UGS社製)、あるいはPatran(MSC.Software Corp.製)などが用いられる。そして、この有限要素モデル作成部23にて作成された有限要素モデルは、有限要素モデル記憶装置34に記憶される。
また、この有限要素モデル作成部23は、転がり軸受を構成する所定の部品等をばね要素あるいはばね要素と等価なばね等価要素に置き換える要素置換手段23aと、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定する特性設定手段23bとを有している。
解析処理部24は、有限要素モデル記憶装置34から有限要素モデルを引き出し、この有限要素モデルに基づいて各種の解析処理を行う。この解析処理部24にて解析処理を行う際のソフトウェアとしては、例えば、NASTRAN(MSC.Software Corp.製)、あるいはMARC(MSC.Software Corp.製)などが用いられ、さらに、Abaqus(SIMULIA 社製)、ANSYS(ANSYS Inc.製)、あるいはADINA(ADINA R&D Inc.製)などを用いることもできる。解析処理部24での数値解析手法としては、例えば、静的な釣合解析、動的な運動や振動を伴う解析、熱伝導や流体との連成を伴う解析、音の伝播を扱う音響解析、音響解析と構造解析の連成解析等がある。
この解析処理部24は、有限要素モデルに対して、転がり軸受、転がり軸受に支持されるシャフト、あるいは転がり軸受が取り付けられるハウジングの変位、歪、あるいは応力を求める構造解析手段24aと、有限要素モデルに基づいて転がり軸受の寿命を求める寿命解析手段24bと、この寿命解析手段24bによって求められた寿命の解析結果に基づいて、転がり軸受の諸元を求める諸元解析手段24cとを有している。
なお、有限要素モデル作成部23及び解析処理部24にて用いるソフトウェアは、主記憶装置31に格納されており、この主記憶装置31からそれぞれ引き出されて使用される。
図2(a)(b)に示すように、モデリングシステム10によって解析処理が行われる転がり軸受51は、内輪52と外輪53とを有している。これら内輪52の外周及び外輪53の内周には、それぞれ断面視円弧状の軌道溝52a,53aが形成されており、これらの軌道溝52a,53aに、複数の玉からなる転動体54が周方向に配設されている。これらの転動体54は、保持器(図示略)によって周方向へ等間隔に保持されており、内輪52と外輪53との間にて転動可能になされている。
このような構成の転がり軸受51は、例えば、その外輪53がハウジング56の取付孔56aに嵌合されて支持され、内輪52の嵌合孔52bにシャフト57が嵌合され、これにより、シャフト57が転がり軸受51によってハウジング56に対して回転可能に支持される。
次に、モデリングシステム10による転がり軸受51の解析処理について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
モデリングシステム10によって解析処理が開始されると、まず、CADデータ作成部22が、入力データ記憶装置32に記憶された転がり軸受51に関する部品の寸法や部品同士のクリアランス等の各種データに基づいて、3次元CADデータを作成する(ステップS01)。
次に、有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転がり軸受51を構成する転動体54を、図4(a)(b)に示すように、ばね要素Kに置き換える要素置換処理を行う(ステップS02)。
なお、要素置換処理では、ばね要素に限らずばね要素と同等のばね等価要素に置換しても良い。ここで、ばね等価要素としては、トラス要素という細長い棒状の要素があり、この要素を用いた場合、ばね要素と等価となるように、断面積および材料物性値としてヤング率とポアソン比を与えて計算することが可能となる。
さらに、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う(ステップS03)。
このばね要素Kの荷重に対する変位の特性は、実験あるいは計算によって求められるもので、計算によって求める場合、Heltzの接触理論などを用いて求めることができる。
ここで、図5に示すものは、Heltzの接触理論を用いて計算したばね要素Kの荷重に対する変位の特性を示すものである。また、実験によって、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を求めてもかまわない。図5に示すように、転がり軸受51の径方向のクリアランス(ラジアルクリアランス)がCであるとき、内輪52の軌道溝52aと外輪53の軌道溝53aとが径方向に接近しても相対変位がC/2以下の場合、ばね要素Kには、荷重がほとんど作用しない状態となる。内輪52の軌道溝52aと外輪53の軌道溝53aとがさらに接近して相対変位がC/2となったとき、転動体54は内輪52及び外輪53と接触し始める。その後、荷重が増えるにしたがって、転動体54、内輪52、及び外輪53が弾性変形して少しずつ変位していき、転動体54と、内輪52及び外輪53との接触領域が広がっていくので、剛性が高くなっていく。なお、隙間分がC/2となるのは、内輪52及び外輪53の中心が同心であると仮定して計算するためである。
このように、有限要素モデル作成部23は、要素置換手段23aが、転がり軸受51の転動体54をばね要素Kに置き換える要素置換処理を行い、さらに、特性設定手段23bが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定することにより、転動体54がばね要素Kとされた転がり軸受51の有限要素モデルを作成する。
その後、解析処理部24の構造解析手段24aが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を、有限要素法の解析プログラムにソルバとして組み込むことにより、転がり軸受51、シャフト57、あるいはハウジング56の変位、歪、あるいは応力を求める構造解析処理を行う(ステップS04)。
ここで、シャフト57、転がり軸受51、及びハウジング56の系において、最も変形し易い箇所が転がり軸受51である。したがって、上記の構造解析処理の結果から、転がり軸受51における荷重分布、転動体54にかかる荷重、転がり軸受51の全体の変形量、シャフト57やハウジング56の変形量等を求めることができる。
さらに、解析処理部24の寿命解析手段24bが、有限要素モデルに基づいて転がり軸受51の寿命を求める寿命解析処理を行う(ステップS05)。
この寿命の解析は、例えば、それぞれの転動体54の荷重を取り出し、有限要素法の解析プログラムに軸受寿命を求めるソルバとして組み込むことにより、転がり軸受51の寿命を求めることができる。
また、解析処理部24の諸元解析手段24cが、寿命解析手段24bによって求められた寿命の解析結果に基づいて、転がり軸受51の寿命を長期化させるための、強度、寸法、クリアランスなどの諸元を求める諸元解析処理を行う(ステップS06)。
このように、上記のモデリングシステム10によれば、転動体54をばね要素Kとして有限要素モデルを作成するので、ばね要素Kとした転動体54のソリッド要素等へのメッシュ分割を不要とすることができる。また、ばね要素あるいはばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定して有限要素モデルを作成する。これらにより、有限要素モデルのメッシュ数を大幅に削減することができ、高い解析精度を確保しつつ有限要素モデルの作成に係る計算時間を極力短縮させ、解析効率を向上させることができる。
(クリアランスを変更した場合の対応)
ここで、転がり軸受の解析では、例えば、ラジアルクリアランスCをパラメータにとって何通りもの解析を行うことがある。このような場合、通常では、転動体54あるいは内輪52や外輪53などの大きさを、ラジアルクリアランスCに対応したものに作成し直す必要がある。したがって、これらの転動体54あるいは内輪52、外輪53のそれぞれを、再度メッシュ分割する必要が生じ、よって有限要素モデルの作成のために長時間を要してしまう。
これに対して、上記実施形態にかかるモデリングシステム10では、ラジアルクリアランスCをパラメータにとって何通りもの解析を行う場合であっても、転動体54として置き換えたばね要素Kの荷重に対する変位の特性を書き換えるだけで対応することができる。これにより、再度のメッシュ分割を不要にすることができる。
例えば、ラジアルクリアランスCがC1の場合とC2の場合(C1<C2)をそれぞれ解析する際には、図6に示すように、ラジアルクリアランスC1のときの荷重に対する変位の特性とラジアルクリアランスC2のときの荷重に対する変位の特性とを用いるだけで対応することができる。
なお、ラジアルクリアランスCは、ミクロンオーダーであるのに対して、内輪52あるいは外輪53の厚みはミリメートルオーダーであるため、内輪52あるいは外輪53に対して作成したメッシュ及びばね要素は変更せずに、そのまま解析に使用することができる。ここで、ラジアルクリアランスCを変えるために、転動体54の径や内輪52、あるいは外輪53の厚みを変えると、これら自身の強度や剛性も変わるが、ばね要素Kの荷重に対する変位の影響に比べれば小さく、大きな問題にならず、無視できる。
(軌道溝の大きさや形状、転動体の径を変更した場合の対応)
また、内輪52の軌道溝52aあるいは外輪53の軌道溝53aの大きさや形状、又は転動体54の径のいずれか少なくとも一つの寸法を変更する場合でも、改めてメッシュを変更する必要はなく、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで対応することができる。
ここで、内輪52の軌道溝52aあるいは外輪53の軌道溝53aの大きさや形状、又は転動体54の径の寸法が変わると、これら自身の強度や剛性も変わるが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性の影響に比べれば小さく、大きな問題にはならない。
したがって、内輪52の軌道溝52aあるいは外輪53の軌道溝53aの大きさや形状、又は転動体54の径の寸法を変える場合、内輪52の軌道溝52a、あるいは外輪53の軌道溝53aの大きさや形状、又は転動体54の径の寸法を変更した際の影響をばね要素Kの荷重に対する変位の特性に組み込むことにより、容易に対応することができ、メッシュの作り換えや計算プログラムの複雑な書換え等をなくし、迅速に解析することができる。
次に、上記の転がり軸受のモデリングシステム10の他の適用例について説明する。
(アンギュラ玉軸受)
図7(a)(b)に示すように、アンギュラ玉軸受(転がり軸受)61は、内輪52と外輪53との間にて周方向へ配置された転動体54の列が複列(本例では2列)とされている。このアンギュラ玉軸受61では、外輪53が複数の分割体53Aから構成されており、これら分割体53A同士の間に間座62が嵌め込まれている。これにより、外輪53には、分割体53A同士が間座62によって互いに離間する方向へ向かう予圧が付与され、よって、転動体54は、内輪52と外輪53との間にて、クリアランスなく保持されている。なお、転動体54は、予圧が付与されたことにより、内輪52に対する接触位置と外輪53に対する接触位置とが軸方向にずれている。
上記のアンギュラ玉軸受61に対して有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aは、図8(a)(b)に示すように、転動体54をばね要素K(あるいはばね要素と等価なばね等価要素)に置換する。ここで、ばね要素Kに置換する場合、それぞれ転動体54の内輪52及び外輪53との接触位置をばね要素Kによって接続するように配置する。この場合、ばね要素Kの内輪52及び外輪53との接続位置は、アンギュラ玉軸受61に荷重が付与された際に転動体54が内輪52及び外輪53に接触する位置とすることが好ましいが、荷重付与時における接触位置を求めることが困難な場合は、荷重が付与されていない初期状態にて転動体54が内輪52及び外輪53に接触する位置であってもかまわない。
そして、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bは、転動体54をばね要素Kに置換したアンギュラ玉軸受61に対して、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。
ここで、アンギュラ玉軸受61では、予圧が付与されて転動体54が内輪52と外輪53との間にて、クリアランスなく保持されているので、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性は、図9に示すように、荷重がかかり始めると、その荷重が増えるにしたがって、転動体54、内輪52及び外輪53が弾性変形して少しずつ変位していき、剛性が高くなっていく。
このように、アンギュラ玉軸受61の場合も、有限要素モデル作成部23は、要素置換手段23aが、転動体54をばね要素Kに置き換える要素置換処理を行い、さらに、特性設定手段23bが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定することにより、転動体54がばね要素Kとされた有限要素モデルを作成する。
その後、解析処理部24の構造解析手段24aが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を、有限要素法の解析プログラムにソルバとして組み込むことにより、有限要素モデルに対して、アンギュラ玉軸受61、シャフト57あるいはハウジング56の変位、歪、あるいは応力を求める構造解析処理を行う。
さらに、解析処理部24の寿命解析手段24bが、有限要素モデルに基づいてアンギュラ玉軸受61の寿命を求める寿命解析処理を行う。
また、解析処理部24の諸元解析手段24cが、寿命解析手段24bによって求められた寿命の解析結果に基づいて、アンギュラ玉軸受61の寿命を長期化させるための、強度、寸法、予圧などの諸元を求める諸元解析処理を行う。
そして、このアンギュラ玉軸受61のように、予圧を付与した軸受においても、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで、内輪52の軌道溝52aあるいは外輪53の軌道溝53aの大きさ、又は転動体54の径のいずれか少なくとも一つの寸法を変更する場合、改めてメッシュを変更する必要はなく、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで対応することができる。
なお、予圧のみが変更となる場合は、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変えるだけで対応することができる。
(円筒ころ軸受)
図10(a)(b)に示すように、円筒ころ軸受(転がり軸受)71は、内輪52と外輪53との間にてころからなる複数の転動体72が周方向へ等間隔に保持されている。
上記の円筒ころ軸受71に対して有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが転動体72をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換する場合、先の玉からなる転動体54を有する転がり軸受51あるいはアンギュラ玉軸受61と同様に、一つの転動体72を一つのばね要素Kとしても良い。なお、この場合、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性は転がり軸受51あるいはアンギュラ玉軸受61と異なることとなる。
円筒ころ軸受71の場合、ころからなる転動体72と内輪52及び外輪53との接触範囲は、軸方向に細長くなる。
したがって、円筒ころ軸受71の場合、有限要素モデル作成部23は、図11(a)(b)に示すように、要素置換手段23aが、要素置換処理によって転動体72を複数本のばね要素Kに置き換える。なお、一つの転動体72を複数本のばね要素Kに置き換える場合、それぞれのばね要素Kを、転動体72の中心軸に垂直となるように、内輪52の軌道面と外輪53の軌道面に接続し、互いに平行に配置させる。なお、これらのばね要素K同士の間隔は任意に設定することができる。
このように、一つの転動体72を複数本のばね要素Kに置換した円筒ころ軸受71に対して、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bは、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。このばね要素Kの荷重に対する変位の特性は、実験あるいは計算によって求められる。計算によって求める場合、Palmglenの接触理論などを用いて求めることができる。
図12に示すように、円筒ころ軸受71の径方向のクリアランス(ラジアルクリアランス)がCであるとき、内輪52の軌道溝52aと外輪53の軌道溝53aとが径方向に接近しても相対変位がC/2以下の場合、ばね要素Kには、荷重がほとんど作用しない状態となる。内輪52の軌道溝52aと外輪53の軌道溝53aとがさらに接近しても相対変位がC/2となったとき、転動体72は内輪52及び外輪53と接触し始める。その後、荷重が増えるにしたがって、転動体72、内輪52、及び外輪53が弾性変形して少しずつ変位していき、転動体72と、内輪52及び外輪53との接触領域が広がっていくので、剛性が高くなっていく。なお、隙間分がC/2となるのは、転がり軸受51の場合と同様に、内輪52及び外輪53の中心が同心であると仮定して計算するためである。
このように、有限要素モデル作成部23は、要素置換手段23aが、円筒ころ軸受71の転動体72をばね要素Kに置き換える要素置換処理を行い、さらに、特性設定手段23bが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定することにより、一つの転動体72が複数本のばね要素Kとされた円筒ころ軸受71の有限要素モデルを作成する。
その後、解析処理部24の構造解析手段24aが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を、有限要素法の解析プログラムにソルバとして組み込むことにより、有限要素モデルに対して、円筒ころ軸受71、シャフト57、あるいはハウジング56の変位、歪、あるいは応力を求める構造解析処理を行う。
さらに、解析処理部24の寿命解析手段24bが、有限要素モデルに基づいて円筒ころ軸受71の寿命を求める寿命解析処理を行う。
また、解析処理部24の諸元解析手段24cが、寿命解析手段24bによって求められた寿命の解析結果に基づいて、円筒ころ軸受71の寿命を長期化させるための、強度、寸法、クリアランスなどの諸元を求める諸元解析処理を行う。
そして、この円筒ころ軸受71のように、ころからなる転動体72を備えた軸受においても、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで、改めてメッシュを変更することなく何通りもの解析を行うことができる。
特に、ころからなる転動体72を複数本のばね要素Kに置き換えることにより、解析精度を大幅に向上させることができる。
ここで、円筒ころ軸受71の場合、転動体72がころであるので、転動体72をクラウニング形状とする場合がある。そして、このようなクラウニング形状の転動体72を有する円筒ころ軸受71において、そのクラウニング形状を変更する場合も、それぞれの転動体72毎に置換したばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更することにより、改めてメッシュやプログラムの変更を行うことなく解析を行うことができる。なお、クラウニング形状の転動体72を複数本のばね要素Kに置換する場合、それぞれのばね要素Kの荷重に対する変位の特性は、ラジアルクリアランスCの違いなどから軸方向の位置によってそれぞれ異なるものとなる。さらに、円筒ころ軸受71の内輪52の軌道溝52a、あるいは外輪53の軌道溝53aのいずれか少なくとも一方に、クラウニングが設けられている場合にも、同様な解析を行うことができる。
(円すいころ軸受)
図13(a)(b)に示すように、円すいころ軸受(転がり軸受)81は、内輪52と外輪53との間にてころからなる複数の転動体82が周方向へ等間隔に保持されている。この円すいころ軸受81では、内輪52及び外輪53の軌道面が軸心に対して傾斜しており、これにより、転動体82も軸心に対して傾斜した状態に保持されている。
上記の円すいころ軸受81に対して有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが転動体82をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換する場合も、先の玉からなる転動体54を有する転がり軸受51あるいはアンギュラ玉軸受61と同様に、一つの転動体82を一つのばね要素Kとしても良いが、円筒ころ軸受71の場合と同様に、図14(a)(b)に示すように、要素置換処理によって転動体82を複数本のばね要素Kに置き換えるのが好ましい。
このように、一つの転動体82を複数本のばね要素Kに置換した円すいころ軸受81に対して、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bは、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。
ここで、円すいころ軸受81では、予圧が付与されて転動体82が内輪52と外輪53との間にてクリアランスなく保持された状態で使用されることが多く、したがって、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性は、図15に示すように、荷重がかかり始めると、その荷重が増えるにしたがって、転動体82、内輪52及び外輪53が弾性変形して少しずつ変位していき、剛性が高くなっていく。
このように、有限要素モデル作成部23は、要素置換手段23aが、円すいころ軸受81の転動体82をばね要素Kに置き換える要素置換処理を行い、さらに、特性設定手段23bが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定することにより、一つの転動体82が複数本のばね要素Kとされた円すいころ軸受81の有限要素モデルを作成する。
その後、解析処理部24の構造解析手段24aが、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を、有限要素法の解析プログラムにソルバとして組み込むことにより、有限要素モデルに対して、円すいころ軸受81、シャフト57あるいはハウジング56の変位、歪、あるいは応力を求める構造解析処理を行う。
さらに、解析処理部24の寿命解析手段24bが、有限要素モデルに基づいて円すいころ軸受81の寿命を求める寿命解析処理を行う。
また、解析処理部24の諸元解析手段24cが、寿命解析手段24bによって求められた寿命の解析結果に基づいて、円すいころ軸受81の寿命を長期化させるための、強度、寸法、予圧などの諸元を求める諸元解析処理を行う。
そして、この円すいころ軸受81のように、ころからなる転動体82を備えた軸受においても、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで、改めてメッシュを変更することなく何通りもの解析を行うことができる。
特に、ころからなる転動体82を複数本のばね要素Kに置き換えることにより、解析精度を大幅に向上させることができる。
なお、予圧のみが変更となる場合は、アンギュラ玉軸受61と同様に、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変えるだけで対応することができる。円すいころ軸受81についても、円筒ころ軸受71と同様に、ころからなる転動体82、内輪52の軌道溝52a、あるいは外輪53の軌道溝53aにクラウニングが設けられている場合にも、同様な解析を行うことができる。
(外径に相互差がある転動体を備えた転がり軸受)
図16に示す転がり軸受91は、複数の転動体92のうちの少なくとも一つ(本例では対称位置に配置された二つ)の転動体92aが他の転動体92と異なる径(本例では他の転動体92よりも小さい径)に形成されたものである。
このような転がり軸受91に対して、モデリングシステム10は、有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、図17に示すように、転動体92,92aをばね要素K,Ka(あるいはばね要素K,Kaと等価なばね等価要素)に置換し、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bが、ばね要素K,Kaの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。
この場合、特性設定手段23bでは、他の転動体92として置換したばね要素Kに対して、径の異なる転動体92aとして置換したばね要素Kaのみ荷重に対する変位の特性を変更することにより、作成した有限要素モデルに基づいて精度良く解析を行うことができる。
このような他の転動体92に対して径の異なる転動体92aを有する転がり軸受91の解析手法は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受等の各種の転がり軸受に適用することができる。
(材質に相互差がある転動体を備えた転がり軸受)
図18に示す転がり軸受101は、複数の転動体102のうちの少なくとも一つ(本例では対称位置に配置された二つ)の転動体102aが他の転動体102と異なる材質から形成されたものである。
このような転がり軸受101に対して、モデリングシステム10は、有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、図19に示すように、転動体102,102aをばね要素K,Kb(あるいはばね要素K,Kbと等価なばね等価要素)に置換し、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bが、ばね要素K,Kbの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。
この場合、特性設定手段23bでは、他の転動体102として置換したばね要素Kに対して、材質の異なる転動体102aとして置換したばね要素Kbのみ荷重に対する変位の特性を変更することにより、作成した有限要素モデルに基づいて精度良く解析を行うことができる。
このように、他の転動体102に対して材質の異なる転動体102aを有する転がり軸受101の解析手法は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受等の各種の転がり軸受に適用することができる。転動体102aの材質として、セラミックス等が挙げられる。
(内輪軌道面あるいは外輪軌道面が真円でない転がり軸受)
図20に示す転がり軸受111は、内輪112の軌道溝112aあるいは外輪53の軌道溝53aのうち少なくとも一方が真円でない場合である。例えば、軌道溝形状にうねりがある場合、すなわち、各転動体位置でのラジアルクリアランスが異なる場合である(本例では内輪軌道径が対称位置2箇所のみ他の軌道径と異なる。)
このような転がり軸受111に対して、モデリングシステム10は、有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが図21に示すように、転動体114、114aをばね要素K、Kc(あるいはばね要素K、Kcと等価なばね等価要素)に置換し、有限要素モデル作成部23の特性設定手段23bが、ばね要素K、Kcの荷重に対する変位の特性を設定する特性設定処理を行う。この場合、特性設定手段23bでは、他の転動体114として置換したばね要素Kに対して、軌道径の異なる位置に配置された転動体114aとして置換したばね要素Kcだけ荷重に対する変位の特性を変更することにより、作成した有限要素モデルに基づいて精度よく解析を行うことができる。この場合、転動体114aが配置された箇所の内輪軌道径をわざわざ変えることをせずに、内輪軌道面を真円としてメッシュを作成しても、ばね要素Kcの荷重に対する変位の特性の影響に比べれば小さく、大きな問題にはならない。こうすることにより、メッシュの作成が容易になり、迅速に解析することができる。
このように、内輪軌道溝112aあるいは外輪軌道溝53aが真円でない転がり軸受111の解析手法は、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受等の各種の転がり軸受に適用することができる。
(転動体以外の部品もばね要素とした場合)
上記の各実施形態では、転がり軸受51の転動体54をばね要素Kあるいはばね要素Kと等価なばね等価要素に置換して有限要素モデルを作成したが、転動体54以外の部品もばね要素Kとして有限要素モデルを作成して解析を行っても良い。以下に、転動体54以外の部品をばね要素Kとした場合を、参考例として示す。
図22(a)に示すものは、モデリングシステム10の有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転動体54及び内輪52をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換した例である。
図22(b)に示すものは、モデリングシステム10の有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転動体54、内輪52及びシャフト57をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換した例である。
図22(c)に示すものは、モデリングシステム10の有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転動体54、内輪52及び外輪53をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換した例である。
図22(d)に示すものは、モデリングシステム10の有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転動体54及び外輪53をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換した例である。
図22(e)に示すものは、モデリングシステム10の有限要素モデル作成部23の要素置換手段23aが、転動体54、内輪52、外輪53及びシャフト57をばね要素K(あるいはばね要素Kと等価なばね等価要素)に置換した例である。
そして、モデリングシステム10は、上記のように要素置換手段23aによって各部品をばね要素Kに置換するとともに、特性設定手段23bによってばね要素Kの荷重に対する変位の特性を設定し、転がり軸受51の有限要素モデルを作成する。そして、この作成した有限要素モデルに基づいて解析を行う。
このように、転動体54以外の部品もばね要素Kとする手法によれば、ばね要素Kの荷重に対する変位の特性を変更するだけで、ばね要素Kに置き換えなかった部分についての変位、歪、応力等の構造解析を精度良く、かつ短時間に行うことができる。
なお、転動体54以外の部品もばね要素Kとする手法についても、先の深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受等の各種の転がり軸受に適用することができる。
そして、上記の手法は、軸支持に用いる転がり軸受を、玉軸受あるいはころ軸受のいずれにするのが適切であるかを判断する場合などに用いて好適である。
ここで、Heltzの接触理論あるいはPalmglenの接触理論によれば、玉軸受の場合及びころ軸受の場合のそれぞれの変位と荷重の関係は、次のように表わされる。
玉軸受の場合 :変位∝荷重2/3 (Heltzの接触理論より)
ころ軸受の場合:変位∝荷重0.9 (Palmglenの接触理論より)
したがって、上記の関係を用いた荷重に対する変位の特性、あるいは実験で得られた荷重に対する変位の特性を解析に用いることにより、軸支持に用いる転がり軸受として、玉軸受あるいはころ軸受のいずれが適しているかを適切に判断することができる。
深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、あるいは円すいころ軸受等の各種転がり軸受の内輪および外輪をメッシュ分割する際に用いる要素は、6面体要素を用いることにより、解析精度が上がる。
10 モデリングシステム(解析システム)
23a 要素置換手段
23b 特性設定手段
24a 構造解析手段
24b 寿命解析手段
24c 諸元解析手段
51、91、101、111 転がり軸受
52、112 内輪
53 外輪
54、72、82、92、92a、102、102a、114、114a 転動体
56 ハウジング
57 シャフト
61 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
71 円筒ころ軸受(転がり軸受)
81 円すいころ軸受(転がり軸受)
K、Ka、Kb、Kc ばね要素

Claims (7)

  1. 内輪と外輪との間に複数の転動体が周方向へ転動可能に設けられた転がり軸受の解析モデルを解析処理装置を用いて作成する転がり軸受のモデリング方法であって、
    前記解析処理装置は、CADデータ作成部と有限要素モデル作成部とを有し、
    入力されたデータに従って、前記CADデータ作成部が、前記転がり軸受に関する3次元CADデータを作成するステップと、
    前記有限要素モデル作成部が、前記3次元CADデータから前記内輪及び前記外輪について要素分割するとともに、当該有限要素モデル作成部の要素置換手段が、前記転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換えるステップと、
    前記有限要素モデル作成部の特性設定手段が、前記転がり軸受の径方向のクリアランスに基づいて前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定するステップと、
    を含むことを特徴とする転がり軸受のモデリング方法。
  2. 前記解析処理装置は、さらに解析処理部を有し、
    請求項1に記載のモデリング方法によって作成された解析モデルに対して、前記解析処理部が、前記転がり軸受、前記転がり軸受に支持されるシャフトあるいはハウジングの変位、歪、あるいは応力を求めることを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  3. 前記解析処理装置は、さらに解析処理部を有し、
    請求項1に記載のモデリング方法によって作成された解析モデルに対して、前記解析処理部が、前記転がり軸受の寿命を求める寿命解析処理を行うことを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  4. 前記解析処理部は、請求項3に記載の解析方法によって得られた解析結果に基づいて、前記転がり軸受の寿命を長期化させる前記転がり軸受の諸元を求める諸元解析処理を行うことを特徴とする転がり軸受の解析方法。
  5. 前記転動体はころであり、
    前記有限要素モデル作成部の前記要素置換手段が、前記ころを、軸方向において複数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換える処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のモデリング方法。
  6. 前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変化の特性は、軸方向の位置によってそれぞれ異なることを特徴とする請求項5に記載のモデリング方法。
  7. 内輪と外輪との間に複数の転動体が周方向へ転動可能に設けられた転がり軸受の解析モデルを解析処理装置を用いて作成する転がり軸受のモデリングシステムであって、
    前記解析処理装置は、入力されたデータに従って、前記転がり軸受に関する3次元CADデータを作成するCADデータ作成部と、有限要素モデル作成部と、を有し、
    前記有限要素モデル作成部は、前記3次元CADデータから前記内輪及び前記外輪について要素分割する手段と、前記転動体を周方向において当該転動体と同一数のばね要素あるいは前記ばね要素と等価なばね等価要素に置き換える要素置換手段と、前記転がり軸受の径方向のクリアランスに基づいて前記ばね要素あるいは前記ばね等価要素の荷重に対する変位の特性を設定する特性設定手段と、を有することを特徴とする転がり軸受のモデリングシステム。
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