JP5444613B2 - 光学シート、バックライトユニットおよびディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
光源の利用効率の向上には、光源(バックライト)の発光変換効率を高める、周辺の明るさに応じて光源(バックライト)を調光する、さらに、光の利用効率を高めるなどの手段が提案されている。
このバックライトユニットでは、輝度強調フィルム(以下、BEF:Brightness Enhancement Film)185が光源190の光出射面190bに配置される。図5に示すように、屈折作用xによって、光源190からの光Pが、最終的には、制御された角度φで出射されることによって、視聴者の視覚方向Fの光の強度を高めるように制御することができる。
図5および図6に示すように、輝度強調フィルム(BEF)185は、特定方向の輝度を上げて出射させるフィルムであって、透明部材186の上に断面三角形状の単位プリズム187が一方向に周期的に配列されたフィルムである。なお、BEFは、米国3M社の登録商標である。
なお、「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的にはディスプレイ画面に対する法線方向である。
そのため、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の光学特性制御を行なうためには、プリズム群の配列方向が互いに略直交するように2枚のBEFシートを重ねて組み合わせて用いる必要がある。
図7は、輝度強調フィルム(BEF)185を用いて、視覚方向を変えた場合の光強度の分布を示すグラフである。輝度強調フィルム(BEF)185を用いた光学シートから出射される光は、視聴者の視覚正面方向F(視覚方向0度)で最も光強度が高められるが、±90度近傍にも光強度の小さなサブピーク(サイドローブ:side−lobe)が見られる。つまり、横方向へ無駄に光が出射されている。
ここで、この空気層は光を中央に再度集光して、中心輝度を向上させる重要な役割を担う。具体的には、光拡散部材で拡散された光を、樹脂部材と空気層との界面屈折を利用して、中央に再度集光して中心輝度を向上させる。
また、粘着剤等の膜厚を薄くした場合には、密着性が不十分となり、光拡散部材の表面の凹凸形状に起因する浮きが発生する場合があった。さらにまた、高温環境下では、粘着剤等が流動化するとともに、各部材の熱による伸縮度の違いにより、一方の基材部材が反り、粘着剤等で浮き、剥がれが発生する場合があった。
さらにまた、柔軟な粘着剤等を用いた場合には、十分な密着性を付与することができたが、高温環境下、たとえば、バックライト(光源)を点灯させた状態において、粘着剤等の流動性が高まり、脆弱な接合部から剥がれや気泡が生じて、空気層が潰れてしまう場合が発生した。
本発明の光学シートは、光を拡散して出射する光拡散部材と、光の方向、範囲、色、輝度分布のうち少なくともいずれか一つの特性を制御する光学機能部材と、前記光拡散部材と前記光学機能部材とを接合する粘着材層と、を具備してなり、前記光拡散部材と前記光学機能部材との間に空気層が設けられ、前記空気層を透過する光を液晶ディスプレイ用照明光として用いる光学シートであって、前記粘着材層は粘着材組成物に流動防止用微粒子が分散されてなり、前記流動防止用微粒子の平均粒子径が50nm以上10μm以下であり、前記粘着材層の厚みが10μm以上100μm以下であり、前記流動防止用微粒子の添加量が5質量%以上50質量%以下であり、前記光学機能部材の光入射面に複数の凸部が形成されており、前記凸部の周囲が空気層とされており、前記凸部の高さが10μm以上60μm以下の範囲内であり、かつ、前記凸部の高さが前記粘着材の厚み以下であることを特徴とする。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である光学シートおよびバックライトユニットの一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、バックライトユニット40は、光源20の光出射面20bに、光学シート10を配して形成されている。
光学機能部材17の光入射面17aには、光反射性部材22からなる凸部14が設けられている。凸部14の接合面14aは、粘着材層18の他面18bと接合されており、凸部14の周囲は空気層28とされている。
図1に示すように、光学機能部材17と光拡散部材13は、粘着材層18によって接合されており、粘着材層18は、粘着材組成物32に流動防止用微粒子30が分散されて構成されている。
無機酸化物からなる微粒子としては、シリカまたはアルミナなどのような粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる微粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、アクリル、スチレン共重合体およびその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTEE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、およびETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)などの含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子などを挙げることができる。
なお、これらの微粒子を2種類以上混合して使用してもよい。
流動防止用微粒子30の平均粒子径が上記範囲に含まれる場合には、粘着材組成物32を構成する高分子の間に入り込み、粘着材組成物32を構成する高分子の流動を防止することができる。
平均粒子径が10μmを超える場合には、粘着材組成物32を構成する高分子の間に入り込むことができず、粘着材層18を構成する材料の挙動が流動防止用微粒子30を加えていない場合と変わらなくなるため好ましくない。
また、平均粒子径が50μm未満の場合には、皮膜強度が低下して、高温環境下で基材の反りに追従できず、剥がれが生ずるため好ましくない。
流動防止用微粒子30の添加量を上記範囲内とすることにより、高温環境下での粘着材層18における浮き、剥がれを抑制することができる。
添加量が50質量%を超える場合には、密着力が損なわれ、高温環境下で剥がれ、浮きを生ずるため好ましくない。逆に、添加量が5質量%未満の場合には、高温環境下での挙動が安定せず、空気層28をつぶしてしまうため好ましくない。
粘着材層18も、光の経路の一部であり、粘着材層18の粘着材組成物32と流動防止用微粒子30との間の屈折率差によって、光散乱効果が発現される。その結果、光学機能部材17から出射される光の輝度に影響するので、流動防止用微粒子30の屈折率は、所望の値に調節することが好ましい。
粘着材組成物32としてアクリル系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れた粘着材層18を形成することができる。
イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋材をアクリル系ポリマーに添加し、アクリル系ポリマーに設けた架橋基点であるカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基などと反応させ、架橋する。
粘着材組成物32は、粘着材層8によって接合する凸部14、光学機能部材17および光拡散部材13を構成する樹脂成分を考慮して、密着性が最適となる樹脂を選択する。
なお、粘着材層18は、単層であるかどうかは特に規定されない。
ガラス転移点Tgとは、高温度では液体であるガラスなどの物質が温度の降下によりある温度範囲で急激にその粘度を増し、ほとんど流動性を失って非晶質固体になる温度である。
Tgがこの範囲であれば、密着性を高く保持するとともに、高温環境下における基板の反りなどに追従させることができ、浮き、剥がれなどを抑制することができる。
Tgが−70℃以下の場合には、密着性を高く保持することができず浮き、剥がれなどを生じるため、好ましくない。
また、Tgが0℃以上の場合には、流動性が生じ、空気層18を潰すおそれが発生するため、好ましくない。
Tgがこの範囲であれば、密着性をより高く保持するとともに、基板の反りなどに対応することができ、浮き、剥がれなどを抑制することができるとともに、流動防止用微粒子30を、粘着材組成物32を構成する高分子の間に入り込ませ、粘着材組成物32を構成する高分子の流動を防止することができる。
粘着材層18の厚みが100μmを超える場合には、粘着材層18を形成する際、塗工性が低下するとともに、粘着材層18の流動性が高くなり、空気層18を容易に埋めるおそれが発生する。さらに、積載時の異物やハンドリングなどの押圧により空気層28が潰れる場合ある。また、空気層28が潰れた場合にも、復元機能も著しく低下する。
逆に、粘着材層18の厚みが3μm未満の場合には、粘着材層18が有する高温環境下における緩衝材としての機能が失われて、粘着材層18が剥がれ易くなるため好ましくない。
粘着材層18を形成する面、つまり凸部14の接合面14aや光拡散部材13の光出射面13bの表面処理方法も特に規定されるものではなく、コロナ処理、プラズマ処理など表層の材質を変化させない処理手法をとることができる。
このとき用いる基材は、安価なPETなどの基材に離型処理を施したフィルムを使用してもよい。また、基材への塗布方式、乾燥方式としては特に制限はない。
また、光拡散部材13もしくは光学機能部材17のいずれかに、粘着材層18を塗布してから、もう一つの部材に貼着する接合方法もある。この際も、どちらの部材に先にドライフィルムを貼着するかは問わない。
光拡散部材13は、光散乱機能を有する光拡散部材である。一般的に用いられる光散乱機能を有する部材を使用することができる。
たとえば、図1に示すように、透明樹脂26とこの透明樹脂26の中に分散された透明粒子24とを具備して構成する。なお、透明樹脂26の屈折率と透明粒子24との屈折率を異なるもので構成する。
屈折率差が0.02未満の場合は十分な光散乱性能が得られないためである。なお、屈折率差が0.5を超える場合には、光散乱性能はそれほど変わらないので、0.5未満でよい。
そのため、たとえば、光学機能部材17の材料としてPETを用い、光拡散部材13の透明樹脂26の材料としてポリカーボネートを用いた場合には、ポリカーボネートの線膨張係数(6.7×10−5(cm/cm/℃))の方がPETの線膨張係数(2.7×10−5(cm/cm/℃))よりも大きいので、高温環境下で光学シート10が熱変形するとき、ポリカーボネート側、すなわち、光拡散部材13側に反りが発生する。
無機酸化物としては、シリカまたはアルミナなどのような粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、アクリル、スチレン共重合体およびその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子、PTEE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、およびETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)などの含フッ素ポリマー粒子、シリコーン樹脂粒子などを挙げることができる。
なお、これらの透明粒子を2種類以上混合して使用してもよい。
光拡散部材13の厚みは、1〜5mmであることが好ましい。
光拡散部材13の厚みが1mm未満の場合には、光拡散部材13が薄すぎて、かつ、剛性がないので、たわむという欠点が生ずる。逆に、5mmを超える場合には、光源20からの光透過率が減少するという欠点が生ずる。
この場合、光拡散部材13は、押出し法、キャスト法、または押出し法とキャスト法を併用した方法で形成することができる。
光学機能部材17は、内部に入射された光の方向、範囲、色、輝度分布のうち少なくともいずれか一つの特性を制御して出射させる部材である。たとえば、正面方向Fの光強度を向上させて出射させる。
これらのレンズ16は、たとえば、押出し成形法を用いて形成することができる。あるいは、PET等の基材上に熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いて成形して形成することができる。
図1に示すように、レンズ16の形状は、シリンドリカルとされているが、他の形状であっても良い。たとえば、四角錘、球面、プリズムなどを挙げることができる。
また、レンズ16のピッチは同ピッチにしても、ランダムピッチにしても良い。
なお、光源20の周囲に反射板を設けることにより、全ての光を正面方向Fへ出射させる構成とすることもできる。
図2は、本発明の実施形態である光学シートの別の一例を示す断面模式図である。
輝度制御部材17の光入射面17aが凹凸形状に加工され、複数の凸部14が形成されている他は、実施形態1と同様の構成とされている。なお、同じ符号をつけて示した部材は、実施形態1で示した部材と同様のものとする。
複数の凸部14は、輝度制御部材17と同じ部材から構成され、凸部14の接合面14aには粘着材層18の他面18bが接合されている。なお、凸部14の接合面14aに光反射性部材22を形成してもよい。
また、上記押出し成形の際に、樹脂中に金属酸化物などを分散混合させて、光反射性部材22を形成することもできる。さらにまた、押出し成形後に、凸部14に塗工あるいは転写により光反射性部材22を形成することができる。
図3は、本発明の実施形態である光学シートの更に別の一例を示す断面模式図である。
光拡散部材13の光出射面13bが凹凸形状に加工され、複数の凸部14が形成されている他は、実施形態1と同様の構成とされている。なお、同じ符号をつけて示した部材は、実施形態1で示した部材と同様のものとする。
複数の凸部14は、光拡散部材13と同じ部材から構成されている。なお、凸部14の接合面14aに光反射性部材22を形成してもよい。
また、凸部14の断面形状は半楕円形状とされている。
図4は、本発明の実施形態であるディスプレイ装置の一例を示す断面模式図である。
図4に示すように、ディスプレイ装置50は、ディスプレイ部45と、ディスプレイ部45の光入射面45aに配置されたバックライトユニット40と、からなる。
また、バックライトユニット40は、実施形態1で示した構成とされており、光源20と、光学シート10とから構成されている。
まず、エポキシ系架橋剤を含むアクリル系粘着剤(粘着材組成物)からなる粘着材溶液を調整した。これを、PETフィルム(雛形フィルム)に塗布して、膜厚10μmの粘着材を形成した。この粘着材のTgは−26℃であった。
なお、粘着材の膜厚は接触式膜厚計で測定し、粘着材のTgはレオメーターで測定した。
次に、PETフィルム(雛形フィルム)に塗工された粘着材層の一面をレンズシートに形成された反射層の一面に接着して、レンズシートと粘着材層を貼り合せた。
次に、PETフィルム(離型フィルム)を剥がして、粘着材層の別の一面を露出させ、この面に前記拡散板を貼り合せて、レンズシートと拡散板とを粘着材層で貼り合せた試験例1の光学シートを作製した。
戻り時間に差異はあるものの、完全にもとの状態に戻ったものを○と評価した。異物などを咬んだ箇所のみ部分的に復元しないものを△と評価した。異物などを咬んだ箇所以外で復元しない箇所があるものを×と評価した。
粘着材としては、エポキシ系架橋剤を含むアクリル系粘着剤(粘着材組成物)にアクリル系樹脂微粒子(流動防止用微粒子)を5質量%分散混合させて、粘着材溶液を調整した。これを、PETフィルムに塗布して、膜厚3μmの粘着材を形成した。この粘着材のTgは−26℃であった。
試験例1と同様にして、試験例2の光学シートを作製した。試験例2の光学シートの作製条件および評価結果については、表1にまとめた。
流動防止用微粒子の平均粒子径、流動防止用微粒子の添加量、反射層膜厚、粘着材層膜厚、粘着材層のTgをそれぞれ、表1〜5に示すように変えて、試験例3〜38の光学シートを作製した。試験例3〜38の光学シートの作製条件および評価結果については、表1〜5にまとめた。
試験例28、29は、流動防止用微粒子の平均粒子径が15μmと大きすぎ、粘着材組成物の高分子の間に十分入り込ませることができず、高温下密着性、高温下空気層保持性および空気層復元性のどれもが悪い結果となった。
Claims (5)
- 光を拡散して出射する光拡散部材と、光の方向、範囲、色、輝度分布のうち少なくともいずれか一つの特性を制御する光学機能部材と、前記光拡散部材と前記光学機能部材とを接合する粘着材層と、を具備してなり、
前記光拡散部材と前記光学機能部材との間に空気層が設けられ、前記空気層を透過する光を液晶ディスプレイ用照明光として用いる光学シートであって、
前記粘着材層は粘着材組成物に流動防止用微粒子が分散されてなり、
前記流動防止用微粒子の平均粒子径が50nm以上10μm以下であり、
前記粘着材層の厚みが10μm以上100μm以下であり、
前記流動防止用微粒子の添加量が5質量%以上50質量%以下であり、
前記光学機能部材の光入射面に複数の凸部が形成されており、前記凸部の周囲が空気層とされており、
前記凸部の高さが10μm以上60μm以下の範囲内であり、かつ、前記凸部の高さが前記粘着材の厚み以下であることを特徴とする光学シート。 - 光を拡散して出射する光拡散部材と、光の方向、範囲、色、輝度分布のうち少なくともいずれか一つの特性を制御する光学機能部材と、前記光拡散部材と前記光学機能部材とを接合する粘着材層と、を具備してなり、
前記光拡散部材と前記光学機能部材との間に空気層が設けられ、前記空気層を透過する光を液晶ディスプレイ用照明光として用いる光学シートであって、
前記粘着材層は粘着材組成物に流動防止用微粒子が分散されてなり、
前記流動防止用微粒子の平均粒子径が50nm以上10μm以下であり、
前記粘着材層の厚みが10μm以上100μm以下であり、
前記流動防止用微粒子の添加量が5質量%以上50質量%以下であり、
前記光拡散部材の光出射面に複数の凸部が形成されており、前記凸部の周囲が空気層とされており、
前記凸部の高さが10μm以上60μm以下の範囲内であり、かつ、前記凸部の高さが前記粘着材の厚み以下であることを特徴とする光学シート。 - 前記凸部が光反射性部材からなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の光学シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学シートと、光源と、を有することを特徴とするバックライトユニット。
- 請求項4に記載のバックライトユニットと、液晶ディスプレイ部と、を有することを特徴とするディスプレイ装置。
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