以下、図面を参照しながら本実施形態を詳細に説明する。図面は、実施形態に係る熱電モジュール1を模式的に示しているに過ぎない。そのため、厚さと平面寸法との関係や各部材の厚さの比率等が、現実の設計通りに現されているとは限らないことに留意すべきである。
図1は、第1の実施形態に係る熱電モジュール1の構成を概略的に示す斜視図である。熱電モジュール1は、筐体10及び発電部材20で構成されている。図2は、筐体10の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2に示す筐体10のB−B断面の概観図である。図4は、図2に示す筐体10のC−C断面の概観図である。筐体10は、低温層101、断熱層102、高温層103、筒状部104を備える。筐体10は、一端側の層から低温層101、断熱層102、高温層103、断熱層102、低温層101の順の5層構造である。
筐体10は、一端側の層から低温層101、断熱層102、高温層103、断熱層102、低温層101、…の順を繰り返す階層構造であれば階層数は問わない。また、筐体10は、一端側の層から高温層103、断熱層102、低温層101、断熱層102、高温層103、…の順であってもよい。
低温層(第2の温度層)101は、低温の媒体(例えば水)により層全体を低温にする層である。低温層101は、矢印αで示すように、図2の手前側に設けられた吸入口101aから水を吸入し、層全体に水を循環させて図2の奥側に設けられた排出口101bから排出することで、層全体を低温にする。低温媒体が低温層101に流入、低温層101から流出する方向、位置、角度及び、低温層101内部での流れは問わない。
低温層101とは、後述する高温層103との相対的な温度差によって定義されている。ここでは、低温層101は、水流によって低温にしているが、他の液体、気体などの流体を循環させる層であってもよい。また、低温層101は、外部機器により低温に冷却される媒体であってもよい。
断熱層102は、その内部空間を減圧雰囲気にすることで、低温層101と高温層103の間を断熱する。断熱層102は、断熱効果を有する媒体であってもよい。断熱層102が低温層101と高温層103の間に配置されているため、高温層103から低温層101に熱が直接逃げることはない。
高温層(第1の温度層)103は、高温の媒体(例えばガス)で層全体を高温にする層である。高温層103は、矢印βで示すように、図2の右側に設けられた吸入口103aからガスを吸入し、層全体にガスを循環させて図2の左側に設けられた排出口103bから排出することで、層全体を高温にする。高温媒体が高温層103に流入、高温層103から流出する方向、位置、角度及び、高温層103内部での流れは問わない。
ここでは、高温層103は、ガスによって高温にしているが他の気体、液体などの流体を循環させる層であってもよい。また、高温層103は、外部機器により高温に加熱される媒体であってもよい。
筒状部(貫通孔)104は、低温層101、断熱層102、高温層103で構成される階層構造のうち一端側の層の外面から他端側の層の外面に対して貫通している。筒状部104は、貫通孔を内部に有する円筒状である。
筐体10は、例えばCu,Ni,Fe,Alなどの金属或いはそれらをベースとする合金、または窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミ、アルミナなどを材料とするセラミックス材料で構成されている。
図5は、発電部材20の構成を概略的に示す斜視図である。発電部材20は、一端を高温、他端を低温にして発電させた際に、電流方向が異なる第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204、均熱板205で構成されている。
第1の熱電材料201は、一例として熱電効果を有する材料で構成されたp型半導体である。第2の熱電材料202は、一例として熱電効果を有する材料で構成されたn型半導体である。第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202は、その両端に温度差が生じると発電する。第1の熱電材料201は、温度の高い側から温度の低い側に向かって電流が流れる。逆に第2の熱電材料202は、温度の低い側から温度の高い側に向かって電流が流れる。従って、第1の熱電材料201と第2の熱電材料202は、発電したときの電流方向が同じになるように積層されている。
第1の電極203及び第2の電極204は、発電部材20の両端に設けられており、熱電モジュール1と外部回路との間で電気エネルギーを授受するために用いられる。
均熱板205は、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202へ効率的に熱を伝える。均熱板205は、積層された際に隣接する第1の熱電材料201と第2の熱電材料202との間に設けられている。図5に示す例では、均熱板205は、第1の電極203と第1の熱電材料201との間、第2の電極204と第2の熱電材料202との間にも設けられているが、これらの位置には均熱板205を設けなくてもよい。均熱板205は、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202よりも電気抵抗率が低く(導電性が高く)かつ高熱伝導率の材料で構成されている。均熱板205は、例えば、Cu、Al、Fe、Mo、Ti,Ni、Co,Cr,Zr、Ta、Wなどの材料の一つ或いは複数で構成されている。
発電部材20は、筒状部104の内径よりも小さい径の円柱状である。したがって、発電部材20は、筒状部104に収納される。このようにして、図1に示す熱電モジュール1が形成される。
図6は、図1に示す熱電モジュール1のA−A断面図である。図6は、発電部材20が筒状部104に収納された状態を示している。発電部材20は、筐体10に対して次のような位置関係である。
第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202は、第2の電極204から第1の電極203に向かって一定方向に電流が流れるように配置されている。第1の熱電材料201は、第1の電極側203側の一端が低温層101の領域に位置し、第2の電極204側の他端が高温層202の領域に位置するように配置されている。同様に、第2の熱電材料202は、第1の電極203側の一端が高温層202の領域に位置し、第2の電極204側の他端が低温層101の領域に位置するように配置されている。
第1の電極203及び第2の電極204は、筒状部104の両端を封止するように設けられていてもよい。第1の実施形態では、第2の電極204から第1の電極203に向かって電流が流れる。
第1の実施形態では、熱伝導部材206を筐体10と発電部材20との間に設けている。熱伝導部材206は、発電部材20と高温層103及び低温層101の間に設けられており、発電部材20と断熱層102との間には、断熱するための空間或いは断熱部材が配置されている。
熱伝導部材206は、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202に対して低温層101または高温層103から熱を伝播する。また、熱伝導部材206は、発電部材20と筐体10における筒状部104とを電気的に絶縁する。熱伝導部材206は、例えばMgO、アルミナ、窒化アルミ、セラミック、マイカなどの材料、または絶縁加工された金属などの熱伝導率の良い材料で構成されることが好ましい。なお、熱伝導部材206は、絶縁加工されていない材料で作成されてもよい。この場合、熱伝導部材206は、熱伝導部材206と接する筐体10、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、均熱板205との間を絶縁する必要がある。
ここで、熱伝導部材206は、第1の熱電材料201または第2の熱電材料202の両端部に配置されている。熱伝導部材206は、断熱層102の領域と、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202との間には配置されていない。つまり、第1の熱電材料201と断熱層102の領域との間、第2の熱電材料202と断熱層102の領域との間には、空間が存在する。これは、第1の熱電材料201または第2の熱電材料202と筐体10との絶縁を保ちつつ、第1の熱電材料201または第2の熱電材料202の両端の温度差を確保するためである。筐体10と発電部材20との間の空間によって、低温層101と高温層103との熱パスを減らすことができる。そのため、第1の熱電材料201または第2の熱電材料202の両端の温度差が小さくなることによる、発電効率の低下が防止される。
上記説明したように、熱電モジュール1には筐体10と発電部材20との間に空間が設けられているが、この空間を埋めるように熱伝導性の悪いリング状の断熱部材を配置してもよい。
なお、熱電モジュール1は高温層101と低温層103との間に断熱層102を配置した方が熱−電気変換効率を高められるが、断熱層102を配置しなくても第1の実施形態の効果は奏しうる。
また、第1の熱電材料201と第2の熱電材料202の大きさは、必ずしも同一でなくても良い。また、発電部材20に複数の第1の熱電材料201と複数の第2の熱電材料202が設けられている場合、第1の熱電材料201同士の大きさ、種類、第2の熱電材料202同士の大きさ、種類は必ずしも同一でなくても良い。さらに、第1の熱電材料201は、複数の第1の熱電材料の積層構造であってもよい。第2の熱電材料202についても同様である。
なお、筐体10が導体で構成されている場合、熱電モジュール1は、筐体10と発電部材20を絶縁するために、上記説明したような熱伝導部材206を必要とする。一方、筐体10が絶縁体で構成されている場合は、上記説明したような熱伝導部材206を必要としない。
また、熱伝導部材206は、発電部材20の外周面、或いは筒状部104の内周面の少なくともいずれか一方に設けられていればよく、組み付けられた際に両者間に位置すればよい。
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、図1に示す熱電モジュール1のA−A断面図である。第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した熱伝導部材206の代わりに絶縁層207を筐体10と発電部材20との間に配置した構成である。絶縁層207は筒状であり、筐体10と発電部材20が直接接触しないように配置されている。筒状部104の内部は、発電部材20及び絶縁層207で埋められているため空間が存在しない。絶縁層207は、1つの材料で構成されていなくてもよい。
ここで、絶縁層207は、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202と、高温層103及び低温層101間における熱パスとなる。したがって、絶縁層207は、熱伝導性の悪い材料で構成されることが望ましい。この場合、絶縁層207の厚みが薄ければ、発電部材20の鉛直方向の熱パスは少なくなり、径方向の熱パスは確保できる。
絶縁層207は、発電部材20の外周面、筒状部104の内周面の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。なお、筐体10が絶縁体で構成されている場合は、絶縁層207を必要としない。
次に、第3の実施形態について説明する。図8は、第3の実施形態に係る熱電モジュール1の構成を概略的に示す斜視図である。図9は、図8に示す熱電モジュール1のD−D断面図である。図10は、図9に示す状態において、熱電モジュール1から筒状部104に収納された発電部材20を分離した状態を示す図である。第2の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第3の実施形態は、筐体10に設けられる筒状部104がテーパを有する形状に設けている。絶縁層207及びこれに収納された発電部材20は、筒状部104が有するテーパと同じテーパを有して構成されている。
したがって、第3の実施形態によれば、発電部材20を筒状部104に圧入するだけで、筐体10に対する発電部材20の位置決めが容易となる。
絶縁層207は、発電部材20の外周面、筒状部104の内周面の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。なお、筐体10が絶縁体で構成されている場合、熱電モジュール1は、筐体10と発電部材20とが絶縁されているため、絶縁層207を必要としない。
次に、第4の実施形態について説明する。図11は、図1に示す熱電モジュール1のA−A断面図である。第2の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第4の実施形態では、発電部材20に熱伝導部材208が設けられている。熱伝導部材208は、第1の熱電材料201と第2の熱電材料202の間であって高温層103の領域に位置する。第1の熱電材料201の端部及び第2の熱電材料202の端部は、高温層103の領域に位置した状態が維持されている。図11では、第1の熱電材料201と熱伝導部材208の間、第2の熱電材料202と熱伝導部材208の間には、均熱板205が設けられている例を示しているが、均熱板205は設けられていなくてもよい。また、熱伝導部材208に相当する部材を、低温層101の領域に設ける構成であっても構わない。
熱伝導部材208は、均熱板205と同様の群から選ばれる少なくとも一つの材料により構成されている。発電部材20に熱伝導部材208が設けられており、発電部材20の全体の長さは変わらないため、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202の体積は、第1の実施形態に比べて小さくなる。これにより、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202は、高温層103の領域に位置する部分が小さくなるが、熱伝導部材208によって温度差が保持されるため、発電効率を損なうことなく、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202の材料の節約ができる。
ここでは、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202の積層部分が高温層103に位置する場合に、熱伝導部材208を配置する例を示したが、第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202の積層部分が低温層101に位置する場合も同様である。
次に、第5の実施形態について説明する。図12は、熱電モジュール1の概略を示す斜視図である。第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第5の実施形態では、低温層101及び高温層103の内部に整流板30が設けられている。整流板30は、低温層101であれば、水などが筒状部104に向かって流れるように配置されている。同様に、整流板30は、高温層103であれば、ガスなどが筒状部104に向かって流れるように配置されている。
第5の実施形態によれば、筒状部104に収納された発電部材20の第1の熱電材料201及び第2の熱電材料202に効率よく熱を伝播することができる。ここでは、整流板30は、低温層101及び高温層103双方の内部に配置した例を説明したが、いずれか一つの層に配置した場合も同様の効果を奏する。
次に、第6の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。図13は、熱電モジュール1の概略を示す斜視図である。熱電モジュール1には、複数の筒状部104が設けられ、それぞれに発電部材20が収納されている。
また、図14は、第6の実施形態の他の例の熱電モジュール1の概略を示す斜視図である。熱電モジュール1には、開孔の形状が矩形状の筒状部104が設けられている。したがって、発電部材20も四角柱状である。また、図15は、第6の実施形態の他の例の熱電モジュール1の概略を示す斜視図である。熱電モジュール1には、開孔の形状が三角形状の筒状部104が設けられている。したがって、発電部材20も三角柱状である。
第6の実施形態によれば、熱電モジュール1に複数の発電部材20を設けることができるので、その数に応じて発電量も増加する。また、筒状部104と直交する面における発電部材20の断面形状は、どのような形状であってもよい。
上記第1の実施形態から第6の実施形態を適宜組み合わせることで、発電効率の高い熱電モジュール1を提供し得る。
次に、第7の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第7の実施形態は、図1に示す第1の実施形態で説明した熱電モジュール1を用いた発電装置2についてである。図16は、第7の実施形態に係る発電装置2の構成を概略的に示す斜視図である。図17は、図16に示す発電装置2のE−E断面図である。
発電装置2は、熱電モジュール1、封止部材401、封止部材402を有している。熱電モジュール1は、第1の実施形態で説明した構成と同様であり、発電部材20が1つ設けられている。
封止部材401は、端子401aと絶縁部材401bと封止枠401cから構成されている。絶縁部材401bは、セラミックなどの絶縁材料から構成されている。この絶縁部材401bには貫通孔が形成されており、両面に設けられる電極端子を電気的に接続して端子401aを構成している。端子401aと絶縁部材401bをセラミック基板などの一体構造としても良い。封止枠401cは、例えばCu,Ni,Fe,Alなどの金属あるいはそれらをベースとする合金で構成されている。封止部材401は、封止枠401cを介して筐体10に溶接やろう付けなどで固定され、貫通孔104の第1の電極203側を気密に封止している。端子401aは、発電部材20で発電した電力を取り出すために機能する。端子401aは、はんだや導電性ペーストなどの接合材501で第1の電極203と接合される。
同様に、封止部材402は、端子402aと絶縁部材402bと封止枠402cから構成されている。絶縁部材402bは、セラミックなどの絶縁材料から構成されている。この絶縁部材402bには貫通孔が形成されており、両面に設けられる電極端子を電気的に接続して端子402aを構成している。端子402aと絶縁部材402bをセラミック基板などの一体構造としても良い。封止枠402cは、例えばCu,Ni,Fe,Alなどの金属あるいはそれらをベースとする合金で構成されている。封止部材402は、封止枠402cを介して筐体10に溶接やろう付けなどで固定され、貫通孔104の第2の電極204側を気密に封止している。端子402aは、発電部材20で発電した電力を取り出すために機能する。端子402aは、はんだや導電性ペーストなどの接合材502で第2の電極204と接合される。
封止部材401は、熱電モジュール1の階層構造のうち一端側の層から、筒状部104を覆うように接続される。同様に、封止部材402は、熱電モジュール1の他端側の層から、筒状部104を覆うように接続される。したがって、発電部材20を収納した筒状部104の内部は、封止部材401と封止部材402によって気密性が保たれる。筒状部104の内部は、減圧雰囲気に保たれていても、Arなどの不活性ガスが充填されていてもよい。
第7の実施形態によれば、発電装置2は、発電部材20を収納する筒状部104内部が封止されているため、発電装置2の使用環境に関わらず、発電部材20の劣化を防止できる。
次に、第8の実施形態について説明する。第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第8の実施形態は、図14に示すような複数の発電部材20が設けられた熱電モジュール1を用いた発電装置2についてである。さらに、第8の実施形態は、熱電モジュール1に設けられた複数の発電部材20を直列接続する場合である。
図18は、第8の実施形態に係る発電装置2の構成を概略的に示す斜視図である。図19は、図18に示す発電装置2のF−F断面図である。図20は、封止部材404の構成を概略的に示す斜視図である。
発電装置2は、熱電モジュール1、封止部材403、封止部材404を有している。熱電モジュール1は、2つの筒状部104と、それぞれに収納された発電部材20を有する。
2つの発電部材20は、電流の方向が互いに異なる方向となるように、2つの筒状部材104にそれぞれ収納されている。つまり、熱電モジュール1の一端側の層に第1の電極203が位置する並びの発電部材20と第2の電極が位置する並びの発電部材20が熱電モジュール1に設けられている。
封止部材403には、端子403a、端子403b、絶縁部材403c、封止枠403dから構成されている。絶縁部材403cは、セラミックなどの絶縁材料から構成されている。この絶縁部材403cには複数本(本実施の形態では2本)の貫通孔が形成されており、それぞれ両面に設けられる電極端子を電気的に接続して端子403a,403bを構成している。端子403aと端子403bと絶縁部材403cをセラミック基板などの一体構造としても良い。封止枠403dは、例えばCu,Ni,Fe,Alなどの金属あるいはそれらをベースとする合金で構成されている。封止部材403は、封止枠403dを介して筐体10に溶接やろう付けなどで固定され、貫通孔104の一方の側を気密に封止している。端子403a及び端子403bは、発電部材20で発電した電力を取り出すために機能する。端子403aは、はんだや導電性ペーストなどの接合材501で第1の電極203と接合される。同様に端子403bは第2の電極204と接合される。
封止部材404は、配線404a、絶縁部材404b、封止枠404cを有する。例えば、絶縁部材404bは、セラミックなどの絶縁材料から構成されている。この絶縁部材404bの一方の面には、一方の発電部材20の第2の電極と他方の発電部材20の第1の電極203とを、電気的に接続するための配線404aが設けられている。配線404aと絶縁部材404bをセラミック基板などの一体構造としても良い。封止枠404cは、筐体10と同様の材料群から選ばれる少なくとも一つの材料から構成されている。封止部材404は、封止枠404cを介して筐体10に溶接やろう付けなどで固定され、貫通孔104の他方の側を気密に封止している。
封止部材403は、熱電モジュール1の階層構造のうち一端側の層から、2つの筒状部104を覆うように接続される。同様に、封止部材404は、熱電モジュール1の他端側の層から、2つの筒状部104を覆うように接続される。
したがって、発電部材20を収納した筒状部104の内部は、封止部材403と封止部材404によって封止される。筒状部104の内部は、減圧雰囲気に保たれていても、Arなどの不活性ガスが充填されていてもよい。また、封止部材403及び封止部材404によって、複数の発電部材20は直列接続される。したがって、発電装置2は、直列接続された複数の発電部材20によって発電された電力を出力することができる。
ここでは、発電装置2に設けられた2つの発電部材20を直列接続する例を示したが、発電装置2に設けられた3つ以上の発電部材2を直列接続する場合も同様である。つまり、熱電モジュール1に設けられている発電部材20のそれぞれの電流の流れる方向、封止部材403及び封止部材404に設ける端子、配線を適宜調整すればよい。
また、図13に示したように熱電モジュール1に複数の筒状部104が設けられている場合、それぞれの筒状部104に封止部材403と封止部材404を1組としてそれぞれ設けることができる。他にも、1組の封止部材403と封止部材404で複数の筒状部材104を覆うようにしてもよい。
ここでは、発電装置2に設けられた2つ以上の発電部材20を並列接続する場合について説明する。図21は、図18,19で示した発電装置2において、封止部材403の代わりに封止部材405、封止部材404の代わりに封止部材406を設けた例である。さらに、複数の発電部材20は、電流方向が同じとなるように、熱電モジュール1に設けられている。つまり、熱電モジュール1の階層構造のうち一端側の層に第1の電極203が位置する並びで全ての発電部材20が熱電モジュール1に設けられている。
封止部材405は、端子405a、配線405b、絶縁部材405c、封止枠405dを有する。例えば、絶縁部材405cは、セラミックなどの絶縁材料から構成されている。この絶縁部材405cの一方の面には、複数の発電部材20の第1の電極203を、電気的に接続するための配線405bが設けられている。また、絶縁材料405cの他方の面には、絶縁材料405cに設けられた貫通孔を介して電気的に接続されている端子405aが設けられており、発電部材20で発電した電力を取り出すために機能している。端子405aと配線405bと絶縁部材405cをセラミック基板などの一体構造としても良い。また、配線405bは、ハンダや導電性ペーストなどの接合材501により、複数の第1の電極203と接合される。封止枠405dは、筐体10と同様の材料群から選ばれる少なくとも一つの材料から構成されている。封止部材405は、封止枠405dを介して筐体10に溶接やろう付けなどで固定され、貫通孔104の一方の側を気密に封止している。
同様に、封止部材406は、端子406a、配線406b、絶縁部材406c、封止枠406dを有する。端子406aは、発電部材20で発電した電力を取り出すために機能する。配線406bは、複数の発電部材20の第2の電極204同士を接続する。配線406bは、はんだや導電性ペーストなどの接合材501で複数の第2の電極204と接合される。したがって、発電装置2は、並列接続された複数の発電部材20によって発電された電力を出力することができる。
次に、第9の実施形態について説明する。第9の実施形態は、筐体10に対する発電部材20及び熱伝導部材206の位置決め及び固定を正確にすることに関する。上記のように、熱電モジュール1は、発電部材20と低温層101及び高温層103との熱パスを確保し、発電部材20と断熱層102との熱パスをなくすために、筒状部104内に中空構造を有する。この中空構造は、筐体10に対する発電部材20及び熱伝導部材206の正確な位置決め及び固定によって実現する。しかしながら、筐体10に対する発電部材20及び熱伝導部材206の位置決め及び固定は、容易ではない。
図22は、第9の実施形態にかかるリング部材209の構成を概略的に示す斜視図である。図23は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。リング部材209は、上記した熱伝導部材206と均熱板(均熱部材)205を組み合わせたものを指す。熱伝導部材206は、筐体10の筒状部104に嵌るように、筒状部104の内径とほぼ同じ内径の円筒状である。なお、熱伝導部材206の形状は、第6の実施形態で説明したような筒状部104の形状に応じて可変である。熱伝導部材206は、高さ方向に亘って均一の内径の貫通孔を内部に有する。熱伝導部材206の高さ方向のサイズは、高温層103及び低温層101の高さ方向のサイズとほぼ同じである。ここでは、高温層103及び低温層101の積層方向を高さ方向と定義する。均熱板205は、熱伝導部材206の高さ方向の中間部分に位置する。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔の内径と同じ外径の板状部材である。均熱板205は、熱伝導部材206に対して固定されている。なお、熱伝導部材206に対する均熱板205の固定方法は、いかなる方法であってもよく、限定されるものではない。
図24は、第9の実施形態にかかるリング部材209、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204が連結した発電部材20の構成を概略的に示す斜視図である。図25は、図24に示すリング部材209によって連結された発電部材20のH−H断面の概観図である。第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、リング部材209の貫通孔の内径と同じ外径の円柱状である。第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、発電部材20の組み立て時には、均熱板205と接する位置までリング部材209を圧入する。第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、リング部材209によって互いに連結されるため、熱伝導部材206が連結した発電部材20は、容易に組み立てることができる。
図26は、図1に示す熱電モジュール1のA−A断面図であって、筐体10に対してリング部材209が連結した発電部材20を圧入する前の状態を示す図である。図27は、図26に示す状態から筐体10に対してリング部材209が連結した発電部材20を圧入した後の状態を示す図である。熱伝導部材206が連結した発電部材20は、リング部材209が高温層103または低温層101と対向する位置まで筒状部104に圧入される。その後、リング部材209が連結した発電部材20は、筐体10に対して位置決め及び固定される。なお、筐体10とリング部材209との固定方法は、いかなる方法であってもよく、限定されるものではない。
次に、筐体10とリング部材209との固定方法の一例を説明する。図10を用いて説明した第3の実施形態と同様に、筒状部104は高さ方向にテーパを有する形状であり、リング部材209及び発電部材20も筒状部104が有するテーパと同じテーパを有する形状である。さらに、各リング部材209は、所望の位置(具体的には、高温層103または低温層101と対向する位置)で筒状部104に嵌るような大きさである。したがって、リング部材209が連結した発電部材20は、筒状部104に圧入されるだけで、筐体10に対する位置決め及び固定が容易となる。
筐体10とリング部材209との固定方法の他の例を説明する。筐体10は、熱伝導部材206及び発電部材20の少なくとも一方よりも熱膨張の小さい材料を用いて作成される。発電装置2の使用時には、熱伝導部材206及び発電部材20は膨張するため、熱伝導部材206は、筐体10に対して密着する。したがって、発電部材20及び熱伝導部材206は、筐体10に対して固定される。熱膨張の小さい材料で作成された筐体10は、熱抵抗を下げる効果を有する。そのため、発電装置2は、発電効率を高められる。なお、筐体10に用いる熱膨張の小さい材料は、例えば、インバー合金(Fe−36.5Niなど)、スーパーインバー合金(Fe−32Ni−5Co)、熱収縮材料などである。
次に、第10の実施形態について説明する。第10の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図28は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。熱伝導部材206がセラミックなどの絶縁材料で構成される場合、熱伝導部材206の外周面は、薄膜210で覆われる。薄膜210は、Cuなどの熱伝導率の良い導体材料である。熱伝導部材206と筐体10との間の熱抵抗は、熱伝導部材206が薄膜210で覆われていない場合に比べて下げることができる。したがって、発電装置2は、発電効率を高められる。
次に、第11の実施形態について説明する。第11の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図29A及び29Bは、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。熱伝導部材206が金属などの導体で構成される場合、図29Aに示すように、熱伝導部材206の外周面は、薄膜211で覆われる。薄膜211は、絶縁材料である。同様に、熱伝導部材206が金属などの導体で構成される場合、図29Bに示すように、熱伝導部材206の貫通孔の内周面は、薄膜211で覆われる。熱伝導部材206と筐体10との間の熱抵抗は、熱伝導部材206が薄膜211で覆われていない場合に比べて下げることができる。したがって、発電装置2は、発電効率を高められる。
次に、第12の実施形態について説明する。第12の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図30A、30B及び30Cは、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。図30Aに示す例では、熱伝導部材206は、高さ方向の第1面(図30Aの上側)から第2面(図30Aの下側)にかけてテーパを有する貫通孔を有する。均熱板205も熱伝導部材206の貫通孔が有するテーパと同じテーパを有する形状である。均熱板205は、所望の位置(具体的には、熱伝導部材206の高さ方向の中間部分)で熱伝導部材206に嵌るような大きさである。
図30Bに示す例では、熱伝導部材206の貫通孔の形状は、均熱板205が嵌められる中間部分、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204の内いずれか1つが第1面(図30Bの上側)の開孔から嵌められる第1部分、第2面(図30Bの下側)の開孔から嵌められる第2部分に分離して説明する。熱伝導部材206の貫通孔における中間部分は、均熱板205の厚み分だけ第1面から第2面にかけてテーパを有する形状である。熱伝導部材206の貫通孔における第1部分は、第1面から中間部分にかけて同一の内径を有する形状である。なお、熱伝導部材206の貫通孔における第1部分と中間部分の接続箇所の形状は、同一である。熱伝導部材206の貫通孔における第2部分は、第2面から中間部分にかけてテーパを有する形状である。なお、熱伝導部材206の貫通孔における第2部分と中間部分の接続箇所の形状は、同一である。また、熱伝導部材206の第2面における貫通孔の開孔の大きさは、第1面における開孔の大きさと同じであってもよい。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分が有するテーパと同じテーパを有する形状である。さらに、均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分で熱伝導部材206に嵌るような大きさである。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズと同一またはそれ以上の厚みを有しても良い。
図30Cに示す例では、熱伝導部材206の貫通孔の形状は、図30Bに関して説明したように、中間部分、第1部分、第2部分に分離して説明する。熱伝導部材206の貫通孔における中間部分は、高さ方向の均熱板205の厚み分だけ第1面から第2面にかけてテーパを有する形状である。熱伝導部材206の貫通孔における第1部分は、第1面から中間部分にかけて同一の内径を有する形状である。なお、熱伝導部材206の貫通孔における第1部分と中間部分の接続箇所の形状は、同一である。熱伝導部材206の貫通孔における第2部分は、中間部分から第2面にかけて同一の内径を有する形状である。なお、熱伝導部材206の貫通孔における第2部分と中間部分の接続箇所の形状は、同一である。したがって、熱伝導部材206の第2面における貫通孔の開孔の大きさは、第1面における開孔の大きさよりも小さい。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分が有するテーパと同じテーパを有する形状である。さらに、均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分で熱伝導部材206に嵌るような大きさである。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズと同一またはそれ以上の厚みを有しても良い。
第12の実施形態では、図30A、30B及び30Cを用いて説明したように、熱伝導部材206の貫通孔の形状は、少なくとも均熱板205が嵌る部分にテーパを有していればよい。したがって、第12の実施形態によれば、熱伝導部材206に対する均熱板205の固定は容易となる。
次に、第13の実施形態について説明する。第13の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図31は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第13の実施形態では、熱伝導部材206の貫通孔の形状は、図30Bに関して説明したように、中間部分、第1部分、第2部分に分離して説明する。熱伝導部材206は、均熱板205が嵌められる中間部分を除いて、高さ方向に亘って均一の内径の貫通孔を内部に有する。熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズは、均熱板205の厚み分のサイズと同じである。なお、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズよりも均熱板205が厚くてもよい。熱伝導部材206は、貫通孔における中間部分(均熱板205と接する位置)に、内周面から突出する突起部212を有する。突起部212は、熱伝導部材206の内周面の周方向に亘って連続的に設けられていても、非連続的に設けられていてもよい。つまり、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分は、第1部分及び第2部分の内径よりも小さい内径を有する。
熱伝導部材206は、突起部212により、第1部分と中間部分の接続箇所に段差を有する。同様に、熱伝導部材206は、突起部212により、第2部分と中間部分の接続箇所に段差を有する。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分に固定される。第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、発電部材20の組み立て時には、熱伝導部材206の貫通孔における段差で引っかかる。言い換えると、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、熱伝導部材206における適切な位置まで挿入された時点で、それ以上の挿入を阻害される。したがって、熱伝導部材206に対する第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第1の電極203、第2の電極204それぞれの位置決めは容易となる。
次に、第14の実施形態について説明する。第14の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図32は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第14の実施形態における熱伝導部材206及び均熱板205の構成は、図31を用いて説明した第13の実施形態と同様である。
第14の実施形態では、リング部材209は、さらに均熱板213及び均熱板214を有する。均熱板213及び均熱板214は、熱伝導部材206の貫通孔における第1部分(または第2部分)の内径と同じ内径を有する形状である。均熱板213及び均熱板214は、均熱板205と同様の材料で構成される。均熱板213及び均熱板214は、均熱板205を高さ方向に両側から挟む。均熱板213は、突起部212(第1部分と中間部分の接続箇所の段差)及び均熱板205と接する。均熱板214は、突起部212(第2部分と中間部分の接続箇所の段差)及び均熱板205と接する。均熱板205、均熱板213、均熱板214は、溶接などにより、熱伝導部材206に対して位置決め及び固定をすることができる。なお、固定方法は限定されないが、例として、拡散接合や抵抗溶接などの溶接があげられる。固定は、少なくとも均熱板213、均熱板214それぞれと接する熱伝導部材206の全体に対してであっても、一部に対してであってもよい。第14の実施形態によれば、熱伝導部材206に対する均熱板205の固定は容易となる。なお、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズよりも均熱板205が厚くてもよい。
次に、第15の実施形態について説明する。第15の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図33は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第15の実施形態では、熱伝導部材206の貫通孔の形状は、図30Bに関して説明したように、中間部分、第1部分、第2部分に分離して説明する。熱伝導部材206は、均熱板205が嵌められる中間部分を除いて、高さ方向に亘って均一の内径の貫通孔を内部に有する。熱伝導部材206の貫通孔における中間部分の高さ方向のサイズは、均熱板205の厚み分のサイズ以上である。熱伝導部材206は、貫通孔における中間部分に、内周面から窪む溝部215を有する。溝部215は、熱伝導部材206の内周面の周方向に亘って連続的に設けられている。つまり、熱伝導部材206の貫通孔における中間部分は、第1部分及び第2部分の内径以上の内径を有する。均熱板205は、熱伝導部材206の貫通孔における第1部分(または第2部分)の内径よりも大きい内径であって、中間部分の内径よりも小さい内径を有する形状である。均熱板205は、発電部材20の組み立て時には、溝部215に圧入される。したがって、熱伝導部材206に対する均熱板205の固定は容易となる。
次に、第16の実施形態について説明する。第16の実施形態は、リング部材209の構成に関する。図34は、図22に示すリング部材209のG−G断面の概観図であって、一例として第1の電極203をリング部材209に圧入した状態を示す図である。上記した各実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。第16の実施形態では、リング部材209は、熱伝導部材206及び均熱膜216を組み合わせたものを指す。均熱膜216は、均熱板205と同様の材料で構成される。均熱膜216は、弾性を有する金属箔である。均熱膜216の大きさは、熱伝導部材206における貫通孔の開孔の大きさよりも大きい。第1の電極203は、発電部材20の組み立て時には、熱伝導部材206に対して圧入される側が均熱膜216で覆われた状態で、熱伝導部材206に対して均熱膜216と共に圧入される。均熱膜216は、熱伝導部材206に対する第1の電極203の圧入により、熱伝導部材206の貫通孔の所望の位置まで圧入される。さらに、均熱膜216は、第1の電極203と熱伝導部材206の内周面との間に挟まれているので、熱伝導部材206に対して固定が容易となる。
なお、熱伝導部材206の高さ方向の第1面側から均熱膜216が第1の電極203によって圧入された場合、熱伝導部材206の高さ方向の第2面側から第1の熱電材料201と共に別の均熱膜が圧入されなくてもよい。また、均熱膜216は、熱伝導部材206に対する第1の電極203の圧入が完了したときに熱伝導部材206から外部にはみ出る大きさであっても良い。つまり、均熱膜216は、第1の電極203が第1の熱電材料201と直接接しないように覆い、第1の電極203と熱伝導部材206の内周面との間に一部が挟まれるような大きさであればよい。なお、熱伝導部材206に対して均熱膜216と共に、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202、第2の電極204のいずれかを圧入する場合も同様である。
上記各実施形態によれば、均熱板205を熱伝導部材206に対して固定したリング部材209を用いることで、発電部材20の組み立ては容易となり、筐体10に対する発電部材20及び熱伝導部材206の位置決め及び固定も容易となる。したがって、上記各実施形態によれば、熱電モジュール1及びこれを用いた発電装置2は、発電部材20に対する熱パスの制御を容易にできる。その結果、熱電モジュール1及びこれを用いた発電装置2は、効率よく発電できる。
なお、上記各実施形態では、筐体10と熱伝導部材206が別体として説明したが、筐体10及び熱伝導部材206が同一材料である場合、筐体10及び熱伝導部材206は、一体として作成されてもよい。この場合、均熱板205は、各実施形態のうちのいずれかの構成によって熱伝導部材206に固定される。したがって、筐体10に対する発電部材20の位置決め精度は向上する。
次に第17の実施形態について説明する。筐体10は、図1に示されるように、いずれの最外層も低温層101で構成される。筐体10の最外層が低温層101で構成されていると、次のような効果を有する。例えば、高温層103内を600度程度のガスが循環し、低温層101内を冷却水が循環する場合、発電装置2の使用時には、筐体10の外周付近の温度は、150度程度と低い。これは一例であり、発電装置2は低温層101と高温層103に温度差が生じる環境下で使用されればよい。したがって、例えば、高温層103内を150度程度のガスが循環し、低温層101内を60度程度の液体が循環する場合もありえ、筐体10の外周付近の温度が150度程度となる場合に限られるものではない。第1の熱電材料201と第1の電極203、第2の熱電材料202と第2の電極204それぞれの間では、金属拡散、酸化による劣化の影響を抑えることができる。したがって、第1の電極203と第2の電極204の材料の選定自由度が上がる。図16に示すように、筐体10の最外層に封止部材401、封止部材402を設ける場合も、それらの形成は容易となる。同様に、端子401aと第1の電極203、端子401aと第2の電極204との間のはんだ付けも容易となる。
比較例として、筐体10がいずれの最外層も高温層103で構成される場合について説明する。筐体10の最外層が高温層103で構成されていると、次のような課題を有する。発電装置2の使用時には、第1の電極203及び第2の電極204は、高温層103によって高温になる。その結果、第1の電極203、第2の電極204それぞれは、第1の熱電材料201、第2の熱電材料202との間の金属拡散、酸化の影響を考慮した材料を選択する必要がある。図16に示すように、筐体10の最外層に封止部材401、封止部材402を設ける場合も、封止部材401、封止部材402は、耐久性を考慮した材料を選択する必要がある。同様に、端子401aと第1の電極203、端子401aと第2の電極204との間のはんだ付けも容易ではない。したがって、筐体10の最外層が低温層101で構成されていることは効果的である。
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の実施形態を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。