JP5443202B2 - 屋根上取付具 - Google Patents

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Description

本発明は、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させて屋根上に取り付けるようにした屋根上取付具に関する。
一般に、折板屋根(角波形屋根)、丸波形屋根等の波形屋根の上面に、例えばテレビアンテナや空調機器、太陽電池パネル、断熱シート等の各種機器・部材類を配設することが実施されており、従来には、これらの機器・部材類を屋根上に取り付けるための種々の屋根上取付具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特に、山部と谷部とが交互に連続してなる波形屋根における山部の頂部で、隣接する屋根材同士を重ねてなる重合部をボルト体とナットの螺着によって連結、固定した構造のものでは、重合部を屋根の下方より貫通して屋根上に突出された、屋根材連結のためのボルト体の軸部を、先端が相対向する挟着片で挟み込んで固定する構造とした屋根上取付具も提案されている。
この屋根上取付具は、略門形に形成した挟着具の両脚片を横方向に貫通する緊締用ボルト、ナットで両脚片を緊締して、両脚片のそれぞれの下端から対向するように延びた両挟着片をボルト体に挟着させる構造となっている。そのため、挟着片の先端がボルト体のネジ溝に食い込んだ状態で固定されるので、屋根上取付具が容易に外れるおそれはない。
また、特許文献1のものは、挟着具が支点連結された一対の挟着部材より構成されているが、この種のものを、両挟着片をボルト体に挟着させる構造に適用させた場合でも、同様に、屋根上取付具が容易に外れるおそれはない。
特許第3368374号
しかしながら、挟着具の取り付けに使用するボルト体として、上記のように屋根材同士の連結に使用している既存のボルトを代用することが通例であり、その場合にはボルト体のネジ山が経年変化で錆びついたり、傷ついていたり、擦り減っていたりして損傷していることがあり、そのようにネジ山が損傷したボルト体への挟着では十分な挟着強度が得られないおそれがあった。このように十分な挟着強度が得られなければ挟着具は当然に外れやすくなるおそれがあった。
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、挟着具の装着対象であるボルト体がネジ山の損傷により十分な被挟着性を有していない場合でも、挟着具を確実にかつ十分な挟着強度でもってボルト体に挟着できる屋根上取付具を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の屋根上取付具は、先端同士が対向する一対の挟着片を下部に設けた略門形の挟着具を備えてなり、該挟着具の一対の挟着片を相互に近接させて、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させるようにした屋根上取付具において、縮径用スリットを有し、外周胴部に凹溝が形成された管状体をさらに備えた構成とされ、上記挟着具は、上記挟着片が上記ボルト体に装着された上記管状体に挟着して該管状体を縮径するとともに、該管状体の凹溝に係止されて固定される構造としたことを特徴とする。
請求項2に記載の屋根上取付具では、挟着具は挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を両端に有した上板とを含んで一体形成され、一対の脚片を緊締することで一対の挟着片を近接させる構造としている。
請求項3に記載の屋根上取付具では、挟着具は、挟着片がそれぞれの下端に折曲形成された一対の挟着部材を開閉自在に連結して構成されている。
請求項1に記載の屋根上取付具によれば、挟着片がボルト体に装着された管状体に挟着して管状体を縮径するとともに、挟着片が管状体の凹溝に係止されて固定される構造となっているため、挟着具はしっかりと固定され、上方に抜け出ることを確実に防止できる。また、管状体をボルト体に被せる構成であるため、ボルト体のネジ山が損傷して被挟着性を失っていてもなんら問題なく挟着具をボルト体に取り付けることができる。
請求項2に記載の屋根上取付具によれば、挟着具が挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、脚片を両端に有した上板とを含んで一体形成されているので、挟着具を頑丈かつシンプルな形状に構成できる。また、一体形成であるため、両挟着片間でずれが発生する可能性も少ない。
請求項3に記載の屋根上取付具によれば、挟着具は、挟着片がそれぞれの下端に折曲形成された一対の挟着部材を開閉自在に連結して構成されているため、緊締によらず、省力かつ簡易な操作で挟着片をボルト体に挟着させることができる。
本発明に係る屋根上取付具の第1実施形態の説明図であり、屋根上取付具の波形屋根への取り付け前の状態を示した斜視図である。 (a)、(b)は、同屋根上取付具に使用される管状体のボルト体への装着後の状態を示す正面図、側面図である。 (a)、(b)は、同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。 (c)、(d)は、同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。 本発明に係る屋根上取付具の第2実施形態の説明図であり、屋根上取付具の波形屋根への取り付け前の状態を示した斜視図である。 同屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図である。 (a)、(b)は、同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。 (c)、(d)は、同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。 本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態の説明図であり、(a)は同屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図、(b)は同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。 本発明に係る屋根上取付具の第4実施形態の正面図である。
以下に、本発明に係る屋根上取付具の実施の形態について、図面とともに説明する。
本発明に係る屋根上取付具の第1実施形態の説明図であり、屋根上取付具の波形屋根への取り付け前の状態を示した斜視図である。図2(a)、(b)は、同屋根上取付具に使用される管状体のボルト体への装着後の状態を示す正面図、側面図である。図3(a)、(b)および図4(c)、(d)は、図1で示した屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
図例として示した折板屋根Yは、山部Y1と谷部Y2が交互に連続する屋根であって、複数の折板屋根材を側端縁の山部Y1の頂部Y1aで重合し、その重合部でボルト体BとナットB2の螺着によって連結した重ね式接合構造となっている。また、ボルト孔からの水の浸入を防止するために、ナットB2と頂部Y1aとの間に防水パッキンC1が取り付けられ、さらに、ナットB2と防水パッキンC1との間に防水パッキンC1を覆う山座Cが設けられている。
また、折板屋根Yの裏側には、正面視で折板屋根Yと略同形状をなす、ボルト止めのための支持金具Y3が取り付けられている。なお、屋根上取付具Aを取り付けるためのボルト体Bの取付位置は隣接する折板屋根材の接合部に限らず、他の頂部に支持金具Y3を用いてボルト体Bを取り付けてもよい。
このように頂部Y1aより突き出たボルト体Bには、中空部を有した管状体31が装着される。
管状体31は、下端から中央やや上まで長手方向に沿って延びる2本の縮径用スリット31a、31aを有し、外周胴部31bおよび内周面31cにはネジ溝(山)が形成されており、ボルト体Bに被せた状態で、外周胴部31bの縮径用スリット31aが形成された箇所を後述する挟着具1の挟着片13で挟着することで弾性的に縮径してボルト体Bに固定できる構造となっている。なお、外周胴部31bのネジ溝31dは挟着具1を挟着させるための凹溝を構成しており、かならずしもネジ溝でなくてもよい。また、管状体31を弾性変形させやすくするために、管状体31の上下に貫通する1本のスリットで縮径用スリットを構成してもよい。
管状体31のボルト体Bへの装着は、管状体31の内周面31cをボルト体Bの軸部B1に螺着させるか、あるいはボルト体Bの軸部B1のネジ山が損傷している場合等にはハンマーで管状体31を叩いてボルト体Bの軸部B1に圧嵌することでなされる。なお、管状体31はボルト体Bの全長を覆うように装着することが望ましい。
一方、屋根上取付具Aは、金属板または硬質樹脂板よりなり、折板屋根Yの頂部Y1aより上方に突出した重合部連結用のボルト体Bに管状体31を介して挟着して、取り付け、固定する構造となっている。
具体的には、屋根上取付具Aは、上板11と、その両端から下方に延びた一対の脚片12と、脚片12のそれぞれの下端から、先端が相対向するように折曲形成された挟着片13とが一体形成された、略門形の挟着具1により構成され、両脚片12を緊締して、両挟着片13の先端を相互に近接させて、ボルト体Bに挟着させる構造となっている。この両脚片12の緊締は、対向する両脚片12に開設された軸孔12aに貫通された緊締用ボルト25と、緊締用ナット26との螺合によってなされる。また、上板11の中央には剣先ボルト3等を立設し、各種機器・部材類E(図4(d)参照)を取り付け可能にしている。
挟着具1の挟着片13の先端中央には、折板屋根Yの頂部Y1aの上面に突出した管状体31の外周胴部31bに嵌合可能な凹所14が形成され、その凹所14の中央の底部には、底部片14aがやや上方に切り起こされている。この底部片14aによって管状体31に対して鋭角的に嵌合、挟着することができる。また、凹所14の両側には挟着片13を補強するリブ16が形成されている。
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
まず、両脚片12の軸孔12aの一方から緊締用ボルト25の軸部25aを貫通させ、緊締用ボルト25の先端側から緊締用ナット26を軽く締めて仮止め状態にしたうえで、管状体31を被せたたボルト体Bの上方から、両挟着片13の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図3(a)、(b)参照)。
次に、仮止め状態にしていた緊締用ボルト25および緊締用ナット26を緊締すると、この締め付け力によって両脚片12が近接して、両挟着片13も互いに近接し、これらの挟着片13の凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31の外周胴部31bに嵌合し、挟着片13が管状体31を介してボルト体Bに挟着する(図3(b)、図4(c)参照)。
このとき、図4(c)の要部拡大部分縦断面図および図4(d)の要部拡大横断面図に示すように、凹所14の側縁部(底部片14aおよび両側部14b)が管状体31に挟着するとともに、管状体31の外周胴部31bのネジ溝31dに係止されて挟着具1が固定する。
このように、挟着具1は管状体31に挟着して管状体31を縮径するとともに、凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31の外周胴部31bのネジ溝31dに食い込んでしっかりと係止されるので、挟着具1が上方に抜け出ることを防止できる。
また、管状体31をボルト体Bに被せる構成であるため、経年等によって軸部B1のネジ山が損傷して被挟着性を失ったボルト体Bに対しても、なんら問題なく挟着具1を取り付けることができる。
さらに、本実施形態の屋根上取付具Aによれば、挟着具1が挟着片13と脚片12と上板11とを含んで一体形成されているので、挟着具1を頑丈かつシンプルな形状に構成できる。また、一体形成であるため、両挟着片13間でずれが発生する可能性も低い。
さらにまた、一対の脚片12を緊締することで一対の挟着片13を近接させる構造としているため、一対の脚片12を緊締するための緊締用ボルト25等を設けるだけで緊締の構造を実現でき、そのため構造をシンプルにできる。また本実施形態では、上板11には各種機器・部材類Eの取付用の剣先ボルト3等を突出させているが、剣先ボルト3等を設けない構成としてもよく、そうすることで、上板11の上面を平坦面にして、その上方を種々の態様に使用することができる。
ついで、第2実施形態について説明する。
図5は、本発明に係る屋根上取付具の第2実施形態の説明図であり、屋根上取付具を波形屋根へ取り付ける前の状態を示した斜視図である。図6は、同屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図である。図7(a)、(b)および図8(c)、(d)は、図5で示した屋根上取付具(挟着具)の施工状態を示す正面図である。
なお、管状体31の形状、構造ならびにボルト体Bへの装着状態は第1実施形態で使用したものと同様であるため、管状体31の各部の説明および装着状態の正面図、側面図の図示は省略する。
この屋根上取付具Aが取り付けされる波形屋根としては、第1実施形態のものと同様、図例として示した折板屋根Y(角波形屋根)や丸波形屋根が挙げられる。また、屋根の素材としては、金属や合成樹脂、セメント系等のものが適用できる。
また、屋根上取付具Aの取付対象である折板屋根Yについても、第1実施形態で示した折板屋根Yと同一であり、その構造については、同一の符号を付して説明を省略する。
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10を開閉自在に支点連結して挟着具1´を構成し、挟着具1´の作用点とされる相対向した一対の挟着片13を相互近接させ固定して、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに装着された管状体31に挟着させる構造とした取付具であって、各挟着部材10の挟着片13の先端には、第1実施形態と同様に、管状体31に挟着できる凹所14が形成されている。
この挟着具1´は、より具体的には第1実施形態と同様に、これらの挟着片13の凹所14の底部片14aがやや上方に切り起こされ、凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31の外周胴部31bに挟着するとともに、凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31のネジ溝31dに係止されて折板屋根Yに固定される構造となっている。
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され、ボルト貫通孔11eから一方の側端縁に至る切り溝11dが形成された上板11と、上板11の基端より折曲して下方に延びる脚片12と、脚片12の下端から上板11と略同一の方向に延びる挟着片13とより構成されている。
挟着具1´は、上記2つの挟着部材10の上板11同士を相対向させた状態で、相互の上板11の先端が相手の上板11の基端の下に配されるように、上板11の切り溝11d同士を相互差し込みして両上板11を揺動自在に噛み合わせてボルト貫通孔11e同士を一致させ、その一致させたボルト貫通孔11eに挟着具締付ボルト21を通し、締付ナット22を螺合することで挟着片13の先端同士を近接させる構造となっている。
ここで、挟着具締付ボルト21としては、図示するように、角根丸頭ボルトを使用すればよく、締付ナット22としては、ハット状の座金22bの頂面にナット22aが回動自在に取り付けられた座金付きナットを使用すればよい。ボルト止め23は合成樹脂等より製され、孔23aの周縁に複数の切り込み23bが形成してある。
以上の構造を要約すれば、2つの挟着部材10は上板11に形成された切り溝11dで交差状に連結され、挟着具締付ボルト21と締付ナット22で上下から2つの上板11を締め付けることで、切り溝11d部分を支点として力点となる上板11の先端を拡開させ、交差状態にある両上板11をより平板状に近づけ、それによって作用点とされる両挟着片13を相互近接させるような変形鋏構造となっている。
また、さらに具体的には、図7に示すように、上板11は平板状の基端部11aと、その基端部11aより先端側に形成された段差部11cと、その段差部11cよりさらに先端側に形成された、基端部11aよりほぼ板厚1枚分低い位置にある先端部11bとを備えている。そして、上板11のほぼ中央には、段差部11cを中心に基端部11aと先端部11bにまたがる長孔が設けてあり、この長孔が上記ボルト貫通孔11eを構成している。さらに、この長孔の先端部11b側の端部側には、下向きに切り起こした押さえ爪11fが形成されている。また、このボルト貫通孔11eに連通する上記切り溝11dは、段差部11cに沿って形成されている。なお上板11は、全体として緩い前方傾斜状となっていることが望ましい。
このように、段差部11cを、上板11の中央に設けたボルト貫通孔11eと切り溝11dとに沿って形成することで、上板11の先端部11bが開いたときに、重合した2枚の上板11がほぼ平板状となり、かつ上板11の基端部11aと相手の挟着部材10の上板11の先端部11bとの間の隙間がより小さくなって、ぐらつくおそれのない、より安定した形状とすることができる。
このような屋根上取付具Aによれば、挟着具1´が2つの挟着部材10で構成され、それらが開閉自在に支点連結されているので、挟着具締付ボルト21と締付ナット22とが緩んだ状態にあるときは、2つの挟着部材10も緩んだ状態にある。そのため、挟着片13を閉状態に固定するためには、締付ナット22を締め付けて上板11同士を固定するだけでよく、施工性がよい。
以上のように構成した本発明の屋根上取付具Aは、以下の要領で折板屋根Yに取り付けて使用する。
まず、屋根上取付具Aを挟着具1´を構成する両挟着部材10の各挟着片13が十分に開いた状態、つまり挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合を緩めて、2つの挟着部材10を開閉自在に支点連結しておき、折板屋根Yに立設されたボルト体Bの上方から、両挟着片13間の間隙Sを通じてボルト体Bを嵌挿する(図7(a)、(b)を参照)。
次に、仮止め状態にしていた挟着具締付ボルト21および締付ナット22を締め付けていくと、揺動自在に緩んだ状態で交差状に重合していた両上板11が平板状に近づき、それと同時に両脚片12の下端より延びた両挟着片13も互いに近接し、この挟着片13に設けた凹所14にボルト体Bが嵌合して、両挟着片13がボルト体Bを管状体31を介して挟持し、両上板11の揺動が不能となるように固定されて一対の挟着部材10は固定した状態となる(図7(b)、図8(c)参照)。
このとき、挟着片13の先端の凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31の外周胴部31bに挟着するとともに、凹所14の底部片14aおよび両側部14bが管状体31の外周胴部31bのネジ溝31dに係止されて挟着具1´が上方に抜け出ないように固定される。
こうして折板屋根Yに取り付けた屋根上取付具Aの上板11の上方には、上板11に立設された挟着具締付ボルト21等によって各種機器・部材類Eを取り付けることができる(図8(d)参照)。
このように、本実施形態の屋根上取付具Aによれば、第1実施形態と同様、挟着具1´は管状体31に挟着するとともに、管状体31のネジ溝31dに引っ掛かってしっかりと固定されるので、挟着具1´が上方に抜け出ることを防止できる。
また、本実施形態の屋根上取付具Aの挟着具1´は、挟着片13がそれぞれの下端に折曲形成された一対の挟着部材10を開閉自在に連結して構成されているため、緊締によらず、省力かつ簡易な操作で挟着片13をボルト体Bに挟着させることができる。
ついで、他の種々の実施形態について説明する。
図9は本発明に係る屋根上取付具の第3実施形態の説明図であり、図9(a)は同屋根上取付具に使用される挟着具の分解斜視図、図9(b)は同屋根上取付具の施工状態を示す正面図である。
この屋根上取付具Aは、一対の挟着部材10を開閉自在に挟着具締付ボルト21、締付ナット22で連結して挟着具1´を構成し、挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺進によって相対向した一対の挟着片13を相互近接させ固定して、折板屋根Yの頂部Y1aより突出したボルト体Bに装着させた管状体31に挟着させる構造とした取付具であって、挟着具1´の挟着片13の先端には、管状体31のネジ溝31dに螺合、挟着できる分割雌ネジ凹部14Aが形成されている。
挟着具1´を構成する一対の挟着部材10のそれぞれは、中央にボルト貫通孔11eが開設され上板11と、上板11の基端より折曲して下方に延びる脚片12と、脚片12の下端から上板11と略同一の方向に延びる挟着片13とより構成されている。また挟着部材10は、上板11の端部から脚片12の下端にいたるまで、中央位置に上方に盛り上がったリブ15が形成されている。両上板11は上下にほとんど隙間なく重合、嵌合できるように、上側の挟着部材10のリブ15幅が下側の挟着部材10のリブ15幅よりも大きくなっている。
両挟着片13のそれぞれの先端部には、先端部の辺縁から上方に延びた起立片13aが形成されている。これらの起立片13aは、緊締前において、所定の空隙を介してほぼ平行に起立しており、それぞれの中央には、上下方向に沿って凹溝状の分割雌ネジ凹部14Aが形成されている。
この分割雌ネジ凹部14Aは、両起立片13aの対向両面に内周を半円形に湾曲させて形成したもので、内周面にはネジ山とネジ溝よりなる雌ネジ部が形成されている。また、起立片13aのその裏面側の中央には分割雌ネジ凹部14Aによってできた凸条が見られる。
このような挟着部材10を挟着具締付ボルト21、締付ナット22の螺合により連結し、螺進させていくと、上板11が下側に配されている上板11のリブ15による突出部が、上側のリブ15による凹部に嵌り込んで両挟着部材10は固定され、それとともに挟着片13の先端が近接し、2つの分割雌ネジ凹部14Aが管状体31に隙間なく嵌合して挟着し、その挟着によって管状体31が縮径して、挟着具1´は強固に固定される。
このような分割雌ネジ凹部14Aを有した構成によれば、管状体31の外周胴部31bと分割雌ネジ凹部14Aとはネジ溝31dとネジ山とが相互に噛み合う構成であるため、強固な挟着関係を形成できる。
また、このとき挟着片13の先端にある起立片13aが管状体31に連結されるとともに、管状体31のネジ溝31dに係止し合った状態となって、挟着具1´の上方へのずれおよび抜け出しを阻止できる。
なお、管状体31による他の効果についても第1、第2実施形態と同様であり、また一対の挟着部材10を連結して挟着具1´を構成したことによる効果については第2の実施形態と同様であるため、それらの説明は省略する。
図10は、本発明に係る屋根上取付具の第4実施形態の正面図である。
この屋根上取付具Aは、寸法の異なる2つの略門形の挟着具1A、1Bを入れ子状態に組み合わせ、その状態で、緊締用ボルト25を重なり合った両方の軸孔12aに貫通させて緊締用ナット26で螺合して一体化したものである。
外側に配した大きな挟着具1Aと、内側に配した小さな挟着具1Bは、同一の構造を有しているため、それぞれの挟着具1A、1Bの各部については、図面では同一の符号を付している。また以下では、2つの挟着具1A、1Bを区別して説明する場合には、外側に配した大きな挟着具1Aを挟着具(大)1Aと記し、内側に配した小さな挟着具1Bを挟着具(小)1Bと記す。
2つの挟着具1A、1Bはそれぞれ、上板11と、その両端から下方に延びる両脚片12と、両脚片12のそれぞれの下端部から対向するように折曲延設された両挟着片13とをすくなくとも備えている。また、上板11および両脚片12には、リブ15、15が形成されている。
挟着具(小)1Bは挟着具(大)1Aに内包されており、上板11同士および脚片12同士が密着するように入れ子状態になっている。両挟着具1A、1Bの重なり合った軸孔12aには緊締用ボルト25が貫通され、緊締用ナット26と螺合しており、緊締することで上下2段に配された挟着片13をそれぞれ、横方向に相互に近接させて、挟着片13の先端に配した凹所(本図では不図示)で管状体31を挟着するようになっている。
両挟着具1A、1Bの緊締が完了した状態では、挟着具(小)1Bの挟着片13と挟着具(大)1Aの挟着片13とが管状体31の下端部の上下に挟着するとともに、挟着具1が上方に移動しないように管状体31のネジ溝31dに係止される。
このように、挟着片13は管状体31のネジ溝31dに係止されているので、挟着具1の上方へのずれおよび抜け出しを防止できる。また、本図例のものは、上下の挟着片1で管状体31に挟着し、係止されて固定されるので、固定状態はより安定化する。
以上の4つの実施形態では、挟着片13の凹所14または分割雌ネジ凹部14Aによる管状体31への挟着構造を示したが、これらには限定されず、他の形状、構造によって挟着できるものでもよい。
また、これらの種々の挟着構造、係止構造は、一体型の挟着具1(第1実施形態)、一対の挟着部材10の組み合わせによる挟着具1´(第2、第3実施形態)、挟着具1を入れ子状態にしたもの(第4実施形態)のいずれにも適用できることはいうまでもない。
さらに、第4実施形態では2つの挟着具1を入れ子状態にして上下2段の挟着片13で管状体31に挟着する構造を示したが、3以上の挟着具を入れ子状態にしたものでもよく、また一体型の挟着具で上下複数段の挟着片を形成したものでもよい。
A 屋根上取付具
1、1´、1A、1B 挟着具
10 挟着部材
11 上板
12 脚片
13 挟着片
14 凹所
14a 底部片
14b 両側部
14A 分割雌ネジ凹部
31 管状体
31a 縮径用スリット
31b 外周胴部
31c 内周面
31d ネジ溝(凹溝)
21 挟着具締付ボルト
22 締付ナット
23 ボルト止め
25 緊締用ボルト
26 緊締用ナット
3 剣先ボルト
B ボルト体
B1 軸部
B2 ナット
Y 折板屋根(波形屋根)
Y1 山部
Y1a 頂部
Y2 谷部

Claims (3)

  1. 先端同士が対向する一対の挟着片を下部に設けた略門形の挟着具を備えてなり、該挟着具の一対の挟着片を相互に近接させて、波形屋根の頂部より突出したボルト体に挟着させるようにした屋根上取付具において、
    縮径用スリットを有し、外周胴部に凹溝が形成された管状体をさらに備えた構成とされ、
    上記挟着具は、上記挟着片が上記ボルト体に装着された上記管状体に挟着して該管状体を縮径するとともに、該管状体の凹溝に係止されて固定される構造としたことを特徴とする屋根上取付具。
  2. 請求項1において、
    上記挟着具は、上記挟着片を下端に折曲形成させた脚片と、該脚片を両端に有した上板とを含んで一体形成され、一対の脚片を緊締することで一対の挟着片を近接させる構造としている屋根上取付具。
  3. 請求項1において、
    上記挟着具は、上記挟着片がそれぞれの下端に折曲形成された一対の挟着部材を開閉自在に連結して構成されている屋根上取付具。
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