JP5441351B2 - 通気溝付き外断熱パネル - Google Patents
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Description
また、この外断熱工法では、断熱材の屋外側に通気層を設けることで、建築物の壁体内に冬季の高温高湿の室内から屋外側へ湿気を排出させ、断熱材の内部での結露を防止することが行われつつある。
そこで、外断熱パネルの通気溝の天端開口が塞がれた場合でも外壁面の開口部に隣接して取り付ける外断熱パネルの通気溝に連通させることで通気性を確保できるようにした外断熱パネルが考えられ、種々提案されている(特許文献1、2参照)。
また、図7に示す外断熱パネル1Bでは、通気層用突起5をひし形状に形成することで、直交する斜め方向の通気溝3bを形成したものである。
さらに、図8に示す外断熱パネル1Cでは、通気層用突起6を6角形状に形成することで、直線状の通気溝3と斜線状の通気溝3bとを組み合わせた通気溝を形成したものである。
また、ひし形状の通気層用突起5を形成することで、交差する斜め方向の通気溝3b,3bを形成したパネル1Bでは、斜め方向の通気溝3bで隣接パネル1Bへの湿気の移動は横方向の通気溝に比べ容易になるものの、上方にはジグザグ状の通気溝3b,3bとなり、直線状の通気溝に比べその長さが√2倍に長くなって圧力損失の増大を招いてしまうという問題がある。
さらに、6角形状の通気層用突起6を形成したパネル1Cでも直線状の通気溝3とジグザグ状の通気溝3b、3bとなり、ひし形状に比べ、わずかに圧力損失を低減できるものの湿気の排出性能としては改良の余地がある。
また、裁断したパネル1A´〜1C´を使用する場合に、隣接するパネル1A〜1Cと通気溝同士を確実に連通させる必要がある。
これにより、開口部などでパネル天端開口が塞がれる場合でも、通気性を確保でき、流路抵抗を抑えて湿気などを円滑に排出することができる。
これにより、スチレンペーパーの外側にモルタルなどの湿式の外装仕上げを施工する場合でも、通気溝を埋めることがなく、しかも開口部などでパネル天端開口が塞がれる場合でも、通気性を確保でき、流路抵抗を抑えて湿気などを円滑に排出することができる。
図1および図2はこの発明の通気溝付き外断熱パネルを乾式の外断熱パネルに適用した一実施の形態にかかり、図1(a)はパネルの底面図、図1(b)は裁断したパネルとともに示す外装材を省略した正面図、図2は裁断したパネルとともに示す正面図である。
また、乾式の外装仕上げに加え、スチレンペーパーを取り付けたパネルでは、モルタルなどによる湿式の外装仕上げもできる。
さらに、この通気溝付き外断熱パネルの外装下地材と板状の断熱材との間には、通気溝を備えるとともに、特に窓などの開口部があってパネルの天端開口が塞がれる場合でも隣接するパネルと通気溝を連通させて通気性を確保できるようにしたものである。
そして、この通気溝付き外断熱パネル10では、これら縦通気溝12および斜め通気溝13を覆って断熱材11の屋外側に外装下地材14(、あるいは外装材)が取り付けてある。
これにより、この通気溝付き外断熱パネル10では、最小の構成単位として、2本の縦通気溝12の間にジグザグに直交する斜め通気溝13,13が配置され、上下2つのひし形状の突起15の間に上下方向に底辺が位置する左右2つの直角二等辺3角形状の突起16,16が位置するようになっている。
これにより、裁断した通気溝付き外断熱パネル10´から隣接する通気溝付き外断熱パネル10に斜め通気溝13を介して斜め連通溝13同士を連通させることができ、しかも移動する湿気は、斜め方向の上昇流路(斜め通気溝13)から開口部7に最も近い縦通気溝12を移動することになり、流路抵抗や圧力損失を抑え、湿気に作用する浮力だけで効率的に排出することができる。
なかでも断熱材11としては、外断熱工法としてコンクリートの外面に取り付けられることから、コンクリートに含まれる湿度分を透過させることができる、透湿性に優れたものが好ましく、金型成形により縦通気溝12および斜め通気溝13の溝加工が容易な硬質ポリスチレンフォームのビーズ法によるものが好ましい。
特に、合成樹脂発泡体の板状の断熱材11として硬質ポリスチレンフォームを用い、これにスチレンペーパーを熱融着することで、湿式の外装仕上げ用の通気溝付き外断熱パネルを構成すれば、その製作が容易となる。
そこで、通気溝付き外断熱パネル10の表面に、図2に示すように、縦通気溝12および斜め通気溝13の位置が分かるように表示部17を設けてあり、外装下地材14の表面に線を描くことで表示し、位置が目視できるようにしてある。
これにより、図3に示すように、斜め通気溝13,13同士が、裁断した通気溝付き外断熱パネル10´と通常の通気溝付き外断熱パネル10とで連通しない状態で施工されることを防止できる。
また、外装下地材やスチレンペーパーなどに浅い凹部や低い凸部を一体または別体に形成しても良く、外側から目視でき、外装仕上げに支障がないものであれば良い。
さらに、外装材に設ける表示部17としては、その表面自体が外装仕上げ面になることから、表示部材を介して表示部を設けるようにすれば良く、例えば紙やフィルムなどに描いたり、印刷したものを貼り合わせ、使用後に取り除く使い捨てとしたり、型紙やパターンゲージのように当てて使用するものを別に用意し、繰り返し使用することで通気溝の配置を確認できるようにすることもできる。
なお、縦通気溝12および斜め通気溝13の深さについては、溝深さが大きくなると、通気溝部分の断熱材11が薄くなって断熱効果が小さくなり、しかもコンクリートの側圧に対する強度も低下することを考慮して設定すれば良い。
これにより、開口部7などでパネル天端開口が塞がれる場合でも、通気性を確保でき、流路抵抗を抑えて湿気などを円滑に排出することができる。
この通気溝付き外断熱パネル10Aは、すでに説明した通気溝付き外断熱パネル10のパネル、特に裁断して使用するパネルの上下・左右を任意として施工することができるようにしたものである。
すなわち、この通気溝付き外断熱パネル10Aでは、縦通気溝12および斜め通気溝13に交差して断熱材11の屋外側となる表面に左右方向に沿う横通気溝18を形成してある。そして、この横通気溝18を縦通気溝12と90度回転対称に形成してある。
したがって、パネルを裁断して使用する通気溝付き外断熱パネル10A´では、横通気溝18が縦に配置されても隣接するパネル10の縦通気溝12と同一位置で連通させることができ、図4中、矢印W2で示すように、湿気が排出でき、一層確実に通気性を確保して湿気を排出することができる。
また、この通気溝付き外断熱パネル10Aによれば、縦通気溝12と横通気溝13を90度回転対称に形成してパネル10Aの上下・左右を任意に配置可能に構成したので、パネル10Aを切断して使用する場合に横通気溝18が縦に配置されても隣接するパネル10Aの縦通気溝12と同一位置で連通させることができ、一層確実に通気性を確保して湿気を排出することができる。
この実施例は、建築物の開口部で天端開口が塞がれた通気溝付き外断熱パネル10´から隣接する通気溝付き外断熱パネル10への通気性を確認するため、温風を入れ、風速を測定したものである。
実施例では、図1(b)に示した開口部7の下に設置する裁断した通気溝付き外断熱パネル10´とこれに隣接して同一幅(図1の半分の幅)の通気溝付き外断熱パネル10を連結した場合において、図中の矢印W1で示すパネル下部の入口からドライヤーで温風を送り、パネル入口の風速およびパネル上部の出口での風速をパネルを垂直にした状態で測定した。
なお、通気溝の幅は20mm,深さは10mm、通常のパネルの長さを910mm、裁断したパネルの長さを450mmとした。
その結果を表1に示した。同表から明らかなように、縦通気溝と斜め通気溝を設けた実施例のパネルでは、入口風速が平均6.3m/secであり、これに対する出口風速が平均で6.1m/secとほとんど変化がなく、通気性が十分確保できることが分かる。
比較例1として、図6に示したパネルのように、縦通気溝3と横通気溝3aを形成した以外は、実施例と同一にして矢印A´の入口と出口の風速を測定した。
その結果は、表1に示すように、入口風速が平均6.3m/secであるのに対し、出口風速の平均が5.0m/secとなり、流路抵抗が大きくなった。
比較例2として、図7に示したパネルのように、互いに直交する斜め通気溝3b,3baを形成した以外は、実施例と同一にして矢印B´の入口と出口の風速を測定した。
その結果は、表1に示すように、入口風速が平均6.3m/secであるのに対し、出口風速の平均が4.7m/secとなり、流路抵抗がさらに大きくなった。
このような実施例および比較例から裁断したパネルとこれに隣接するパネルとの通気性を確保するためには、斜め通気溝や横通気溝を形成して隣接するパネルと連通させるだけでは足りず、縦通気溝が必ず必要であり、この縦通気溝がないと、通気流路が長くなるとともに、流路抵抗が増大し、湿気に作用する浮力だけで湿気を上昇させ、パネルの上端開口から排出することができなくなってしまう。
なお、この場合の横通気溝は通気性の確保の観点よりもパネルの上下・左右を任意に選んで施工したり、裁断できるようにすることに有効となるものである。
11 板状の断熱材
12 縦通気溝
13 斜め通気溝
14 外装下地材
15 ひし形状の突起
16 直角二等辺3角形状の突起
17 表示部
18 横通気溝
W,W1,W2 湿気の流れ
7 開口部
Claims (7)
- 合成樹脂発泡体の板状の断熱材の屋外側となる表面に上下方向に沿う縦通気溝を複数本平行に形成するとともに、これらの縦通気溝間に、ジグザグに直交し前記縦通気溝に対し交差する斜め通気溝を複数本平行に形成し、前記斜め通気溝が、前記断熱材の端部まで形成され、この断熱材の屋外側に外装材または外装下地材を設けてなることを特徴とする通気溝付き外断熱パネル。
- 合成樹脂発泡体の板状の断熱材の屋外側となる表面に上下方向に沿う縦通気溝を複数本平行に形成するとともに、これらの縦通気溝間に、ジグザグに直交し前記縦通気溝に対し交差する斜め通気溝を複数本平行に形成し、前記斜め通気溝が、前記断熱材の端部まで形成され、この断熱材の屋外側に前記縦通気溝および斜め通気溝を覆うスチレンペーパーを設けてなることを特徴とする通気溝付き外断熱パネル。
- 前記斜め通気溝を前記縦通気溝に対して45度で交差するとともに、当該縦通気溝に対して線対称に形成してなることを特徴とする請求項1または2記載の通気溝付き外断熱パネル。
- 前記縦通気溝および前記斜め通気溝に交差して前記断熱材の屋外側となる表面に左右方向に沿う横通気溝を形成してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通気溝付き外断熱パネル。
- 前記縦通気溝と前記横通気溝を90度回転対称に形成してパネルの上下・左右を任意に配置可能に構成してなることを特徴とする請求項4記載の通気溝付き外断熱パネル。
- 前記請求項1〜5のいずれかに記載の通気溝付き外断熱パネルの屋外側に、前記縦通気溝、前記斜め通気溝、前記横通気溝の配置を表示する表示部を設けてなることを特徴とする通気溝付き外断熱パネル。
- 前記表示部を、スチレンペーパー、外装下地材または外装材に直接設け、あるいは外装材に表示部材を介して設けて構成したことを特徴とする請求項6記載の通気溝付き外断熱パネル。
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