以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(静電容量計測装置の基本構成例)
2.第2の実施の形態(計測時間を短縮可能にする例)
3.第3の実施の形態(静電容量の計測に方向性を持たせる例)
4.第4の実施の形態(検出電極とシールド電極が同じ電圧になるように制御する例)
5.第5の実施の形態(第4の実施の形態の計測時間を短縮可能にする例)
6.第6の実施の形態(複数の電極を検出電極とシールド電極の両方に使用可能にする例)
7.第7の実施の形態(2枚の電極間の静電容量を計測する例)
8.第8の実施の形態(静電容量センサに適用した例)
9.第9の実施の形態(閾値電圧を自動設定できるようにした例)
10.変形例
<1.第1の実施の形態>
図1乃至図16を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
[静電容量計測装置101の構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態である静電容量計測装置101の構成例を示す図である。
静電容量計測装置101は、検出電極112と検出電極112の周囲の空間との間の静電容量を計測する装置である。
なお、静電容量そのものを計測するかわりに、静電容量に対応する静電容量パラメータを計測するようにすることも可能である。静電容量パラメータは、計算式によって静電容量に換算できる物理量であり、例えば、電圧、電荷量、所定の電圧になるまでの動作の繰り返し回数、所定の電圧になるまでの時間等を含む。
また、本発明の静電容量計測装置が計測する静電容量には、計算式によって静電容量に換算できる物理量である静電容量パラメータを含む。従って、以下、静電容量を計測する処理を、「静電容量パラメータを計測する」と記載する場合もある。
後述するように、静電容量計測装置101は、例えば、検出電極112が所定の位置に設置された状態で、電源104により所定の基準電圧点に対して所定の電位を有し、検出対象ではない物体103が検出電極112の近くに存在する場合に、検出電極112に電荷を蓄積させることによって検出電極112の基準電圧点に対する電位を変化させて、検出電極112と物体103の電位が等しくなったときに静電容量を計測する。これにより、物体103の有する電位の影響を除去して、検出対象となる物体102と検出電極112との間の静電容量を正確に計測することができる。
なお、基準電圧点は、静電容量計測装置101の使用用途などに応じて任意に設定することができ、例えば、アース、車両のボディアース等に設定される。
静電容量計測装置101は、マイクロコンピュータ111、検出電極112、抵抗R1、コンデンサC1、および、接続端子T1を含むように構成される。また、マイクロコンピュータ111は、電圧計測部121,122、パラメータ計測部123、演算処理部124、出力部125、電荷供給部126、および、SW(スイッチ)1乃至3を含むように構成される。
抵抗R1の一端はマイクロコンピュータ111のポートP1に接続され、抵抗R1の他の一端はコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他の一端は、マイクロコンピュータ111のポートP2および接続端子T1に接続されている。
検出電極112は、接続端子T1に着脱自在である。なお、検出電極112を、接続端子T1ではなく、ポートP2に直接接続するようにしてもよい。
SW1の一端は電荷供給部126に接続され、SW1の他の一端は、ポートP1およびSW2の一端に接続されている。SW2の他の一端は、グラウンドに接続されている。SW3の一端は、ポートP2に接続され、SW3の他の一端は、グラウンドに接続されている。なお、グラウンドは外部の基準電圧点に接続され、その結果、マイクロコンピュータ111の動作の基準電圧が基準電圧点に設定される。
電圧計測部121は、入力端子がポートP1に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
電圧計測部122は、入力端子がポートP2に接続されており、入力端子に入力される電圧の計測結果をパラメータ計測部123に供給する。
例えば、電圧計測部121、122は、図2に示されるように、比較器141により構成される。比較器141は、入力端子に入力された電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値電圧Vrefと比較し、その結果を出力する。
なお、比較器141として、マイクロコンピュータ111のデジタル信号入力端子を用いることが可能である。すなわち、デジタル信号入力端子は、入力信号の電圧が所定の閾値以上であるか否かに基づいて、入力信号がハイレベルかローレベルかを識別しているため、その機能を利用することが可能である。また、例えば、入出力用にマイクロコンピュータ111の2ビット分の端子を用いて、抵抗分圧して電圧を入力することで、閾値電圧Vrefを任意の値に設定することが可能である。
なお、電圧計測部121、122とも、閾値電圧Vrefは、非検出対象の物体103と基準電圧点との間の電圧(=電源104の電圧)とほぼ等しい値に設定される。ただし、電圧計測部121の閾値電圧Vrefは、必ずしも物体103と基準電圧点との間の電圧に設定する必要はなく、他の値に設定するようにしてもよい。
パラメータ計測部123は、SW1乃至SW3の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部123は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータに基づいて、他の静電容量パラメータ、例えば、静電容量の演算を行う。演算処理部124は、パラメータ計測部123により計測された静電容量パラメータ、および、演算した静電容量パラメータを出力部125に供給する。
出力部125は、静電容量パラメータを外部に出力する。
なお、以下、コンデンサC1の静電容量をC1、電圧をVc1、蓄積電荷量をQc1で表す。また、検出電極112と周囲の空間との間の静電容量をCxで表し、検出電極112の電圧をVx、蓄積電荷量をQxで表す。さらに、抵抗R1の抵抗値をR1で表す。また、以下、コンデンサC1の抵抗R1側の電極を正極と称し、コンデンサC1の検出電極112側の電極を負極と称する。
また、以下、電荷供給部126を、定電圧電源である電源Vccにより構成する例を示す。それに伴い、明細書および図面において、電荷供給部126の代わりに、電源Vccを示す。また、以下、電源Vccの電圧をVccで表す。
さらに、以下、抵抗R1とコンデンサC1の間のA点の電圧(基準電圧点を基準とするA点の電位)をVaで表す。また、コンデンサC1、ポートP2および接続端子T1の間の接続点Bの電圧(基準電圧点を基準とするB点の電位)をVbで表す。なお、電圧Vbは、電圧計測部122に入力される電圧とほぼ等しくなる。
[静電容量計測装置101の処理]
次に、図3乃至図13を参照して、静電容量計測装置101の処理について説明する。
まず、図3乃至図5を参照して、静電容量計測装置101により実行される計測処理について説明する。なお、図3は、計測処理を説明するためのフローチャートである。図4は、計測処理中のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1、および、検出電極112の蓄積電荷量Qxの推移を示す図である。図5は、A点の電圧VaおよびB点の電圧Vbの推移を示すグラフである。なお、図5の横軸は時間を示し、縦軸は電圧(基準電圧点に対する電位)を示している。
ステップS1において、静電容量計測装置101は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図6および図7を参照して、ステップS1の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図6は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図7は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS21において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A1の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、検出電極112からSW3を介してグラウンドに矢印A2の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS22において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1および検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS23において、パラメータ計測部123は、SW2、SW3をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図3に戻り、ステップS2において、静電容量計測装置101は、C1、検出電極充電処理を実行する。
ここで、図8および図9を参照して、ステップS2のC1、検出電極充電処理の詳細について説明する。なお、図8は、C1、検出電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図9は、C1、検出電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
なお、ステップS2の開始時刻をt1とすると、時刻t1において、図4に示されるように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および検出電極112の蓄積電荷量Qxは、ほぼ0になる。また、A点の電圧VaおよびB点の電圧Vbは、基準電圧点とほぼ等しくなる。
ステップS41において、パラメータ計測部123は、SW1をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A3の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極から検出電極112に矢印A4の方向にほぼ同じ量の正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。
このとき、抵抗R1によりコンデンサC1および検出電極112の充電速度が決定する。すなわち、抵抗R1の抵抗値R1が大きくなるほど、充電時間は遅くなり、抵抗値R1が小さくなるほど、充電時間は速くなる。
また、コンデンサC1に蓄積される電荷量と検出電極に蓄積される電荷量はほぼ等しいため、次式(1)が成り立つ。
C1×Vc1=Cx×Vx ・・・(1)
ステップS42において、電圧計測部122は、検出電極112の電圧Vx(より正確には、検出電極112と基準電圧点との間の電圧)を計測する。そして、電圧計測部122は、計測した電圧Vxを所定の閾値、すなわち閾値電圧Vrefと比較し、その結果をパラメータ計測部123に供給する。
ステップS43において、パラメータ計測部123は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、検出電極112の電圧Vxが閾値(=閾値電圧Vref)以上であるか否かを判定する。検出電極112の電圧Vxが閾値未満であると判定された場合、処理はステップS42に戻る。その後、ステップS43において、検出電極112の電圧Vxが閾値以上であると判定されるまで、ステップS42およびS43の処理が繰返し実行される。従って、検出電極112の電圧Vxが閾値以上に達するまで、コンデンサC1および検出電極112が充電される。
一方、ステップS43において、検出電極112の電圧Vxが閾値以上であると判定された場合、処理はステップS44に進む。
ステップS44において、パラメータ計測部123は、SW1をオフする。これにより、コンデンサC1および検出電極112の充電が停止する。その後、C1、検出電極充電処理は終了する。
この時点の時刻をt2とし、検出電極112の電圧Vxが閾値電圧Vrefに達したときの検出電極112の蓄積電荷量をQrefとすると、図4に示されるように、時刻t2において、コンデンサC1および検出電極112の蓄積電荷量は、蓄積電荷量Qrefとほぼ等しくなる。
また、時刻t2において、検出電極112の電圧Vxと物体103の電圧がほぼ等しくなるため、検出電極112と物体103との間の静電容量がほぼ0の状態で、コンデンサC1および検出電極112に電荷が蓄積される。すなわち、検出電極112と物体103との間の静電容量の影響をほとんど受けずに、コンデンサC1および検出電極112に電荷を蓄積することができる。さらに換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷を、コンデンサC1および検出電極112に蓄積することができる。従って、蓄積電荷量Qrefは、物体103の影響を除去した検出電極112と周囲の空間の静電容量Cxに比例した値となる。
また、時刻t2において、検出電極112の電圧Vxが閾値電圧Vrefとほぼ等しいため、コンデンサC1の電圧Vc1は、次式(2)により表される。
Vc1=(Cx/C1)×Vref ・・・(2)
従って、図5に示されるように、時刻t2において、A点の電圧Va=Vref+Vc1となり、B点の電圧Vb=Vrefとなる。
図3に戻り、ステップS3において、静電容量計測装置101は、検出電極放電処理を実行する。
ここで、図10および図11を参照して、ステップS3の検出電極放電処理の詳細について説明する。なお、図10は、検出電極放電処理を説明するためのフローチャートであり、図11は、検出電極放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS61において、パラメータ計測部123は、SW3をオンする。これにより、検出電極112からSW3を介してグラウンドに矢印A5の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。
ステップS62において、パラメータ計測部123は、所定の時間、すなわち、検出電極112の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS63において、パラメータ計測部123は、SW3をオフする。その後、検出電極放電処理は終了する。
これにより、コンデンサC1の電荷が保持されたまま、検出電極112の電荷が放電される。従って、この時点の時刻をt3とすると、図4に示されるように、時刻t3において、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1=Qref、検出電極112の蓄積電荷量Qx=0となる。また、図5に示されるように、時刻t3において、A点の電圧Va=Vc1となり、B点の電圧Vb=0となる。なお、図5において、紙面の都合上、時刻t2と時刻t3をほぼ同時刻に示している。
図3に戻り、ステップS4において、パラメータ計測部123は、ステップS2乃至S4の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS2に戻り、ステップS4において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS2乃至S4の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS4において、ステップS2乃至S4の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS5に進む。
この時点の時刻をt4とすると、時刻t3と時刻t4の間に、ステップS2の処理で1回充電されるごとに、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1が約Qrefずつ増加し、コンデンサC1の電圧Vc1は、上述した式(2)に示される値ずつ大きくなる。そして、ステップS2およびS3の処理がn回繰り返されたとすると、時刻t4において、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1=n×Qrefとなる。また、コンデンサC1の電圧Vc1は、次式(3)により表される。
Vc1=n×(Cx/C1)×Vref ・・・(3)
ステップS5において、静電容量計測装置101は、パラメータ計測処理を実行する。
ここで、図12および図13を参照して、ステップS5のパラメータ計測処理の詳細について説明する。なお、図12は、パラメータ計測処理を説明するためのフローチャートであり、図13は、パラメータ計測処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS81において、パラメータ計測部123は、SW1、SW3をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A6の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の負極からSW3を介してグラウンドに矢印A7の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1のみの充電が開始される。
ステップS82において、パラメータ計測部123は、時間計測を開始する。
ステップS83において、パラメータ計測部123は、SW1をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が一時中断される。
ステップS84において、電圧計測部121は、コンデンサC1の電圧Vc1を計測する。このとき、SW1がオフされ、抵抗R1にはほとんど電流が流れておらず、SW3がオンされ、コンデンサC1の負極がグラウンドに接続されている。従って、電圧計測部121により計測される電圧は、コンデンサC1の正極と基準電圧点との間の電圧とほぼ等しくなる。そして、電圧計測部121は、計測した電圧を所定の閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果をパラメータ計測部123に出力する。
ステップS85において、パラメータ計測部123は、SW1をオンする。これにより、コンデンサC1の充電が再開される。
ステップS86において、パラメータ計測部123は、電圧計測部121による計測結果に基づいて、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かを判定する。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS83に戻る。その後、ステップS86において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS83乃至S86の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS86において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS87に進む。
この時点の時刻をt5とすると、図4に示されるように、時刻t5において、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1=Qref’(=(C1/Cx)×Qref)となり、検出電極112に蓄積電荷量Qx=0となる。また、図5に示されるように、時刻t5において、A点の電圧Va=Vrefとなり、B点の電圧Vb=0となる。
ステップS87において、パラメータ計測部123は、時間計測を終了する。
これにより、コンデンサC1の電圧Vc1が、上述した式(3)に示される電圧から閾値電圧Vrefに達するまでの充電時間tが計測される。パラメータ計測部123は、計測した充電時間tを演算処理部124に供給する。
なお、検出電極112の静電容量Cxが大きく、蓄積電荷量Qrefの値が大きくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が大きくなるため、充電時間tは短くなる。逆に、検出電極112の静電容量Cxが小さくなるほど、パラメータ計測処理開始時のコンデンサC1の蓄積電荷量Qc1および電圧Vc1が小さくなるため、充電時間tは長くなる。より具体的には、充電時間tは、次式(4)により求められる。
なお、上述したように、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1は、物体103の影響をほとんど受けないため、充電時間tも物体103の影響をほとんど受けない。すなわち、充電時間tは、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを反映した値となる。
ステップS88において、パラメータ計測部123は、SW1、SW3をオフする。これにより、コンデンサC1の充電が停止する。その後、パラメータ計測処理は終了する。
図3に戻り、ステップS6において、演算処理部124は、演算処理を行う。例えば、演算処理部124は、充電時間tを用いて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。具体的には、上述した式(4)を静電容量Cxについて解くと、次式(5)となる。
演算処理部124は、式(5)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。これにより、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電時間tを出力部125に供給する。
ステップS7において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電時間tの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、基準電圧点と異なる電圧の物体103の影響を除去して、検出電極112とその周囲の空間との間の静電容量を計測することができる。
例えば、自動車の車内で周囲の空間の静電容量を計測する場合、他の電子回路や他のセンサの検出部など、基準となるボディアースと電位差をもつ物体が、検出電極の周囲に存在することが多い。しかし、静電容量計測装置101を用いれば、検出電極112の周囲にボディアースに対して電位差を持つ物体が存在する場合でも、その物体の影響を受けずに静電容量を計測することができる。
なお、静電容量パラメータは、以上の例に限定されるものではなく、検出電極112の静電容量Cx(1回の充電で蓄積される検出電極112の蓄積電荷量Qref)に応じて変化する他の種類のパラメータを計測するようにしてもよい。ここで、図14乃至図16を参照して、静電容量パラメータの他の例について説明する。
[静電容量パラメータの第1の変形例]
まず、図14を参照して、静電容量パラメータの第1の変形例について説明する。図14は、静電容量パラメータの第1の変形例に対応する計測処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS121において、図3のステップS1の処理と同様に、全電荷放電処理が実行される。
ステップS122において、図3のステップS2の処理と同様に、C1、検出電極充電処理が実行される。
ステップS123において、図3のステップS3の処理と同様に、検出電極放電処理が実行される。
ステップS124において、パラメータ計測部123は、SW3をオンする。
ステップS125において、図12のステップS84の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が計測され、電圧Vc1と閾値(閾値電圧Vref)を比較した結果が、電圧計測部122からパラメータ計測部123に供給される。
ステップS126において、パラメータ計測部123は、SW3をオフする。
ステップS127において、パラメータ計測部123は、充電回数をインクリメントする。
ステップS128において、図12のステップS86の処理と同様に、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であるか否かが判定される。コンデンサC1の電圧Vc1が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS122に戻る。その後、ステップS128において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定されるまで、ステップS122乃至S128の処理が繰り返し実行される。これにより、ステップS122の処理で1回充電されるごとに、コンデンサC1の蓄積電荷量Qc1が約Qrefずつ増加し、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値電圧Vref以上になるまでの充電回数がカウントされる。
なお、上述したように、1回あたりにコンデンサC1に蓄積される電荷量Qrefは、物体103の影響をほとんど受けないため、充電回数nも物体103の影響をほとんど受けない。すなわち、充電回数nは、物体103の影響を除いた検出電極112の静電容量Cxを反映した値となる。
一方、ステップS128において、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上であると判定された場合、処理はステップS129に進む。
ステップS129において、演算処理部124は、演算処理を行う。具体的には、パラメータ計測部123は、カウントした充電回数を演算処理部124に供給する。演算処理部124は、充電回数に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。なお、コンデンサVc1が閾値電圧Vref以上になったときの充電回数をnとすると、上述した式(3)により、検出電極112の静電容量Cx=C1/nとなる。演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電回数nを出力部125に供給する。
ステップS130において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電回数nの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
なお、充電回数nの代わりに、コンデンサC1の電圧Vc1が閾値以上になるまでの充電時間を静電容量パラメータとして計測するようにしてもよい。
[静電容量パラメータの第2の変形例]
次に、図15を参照して、静電容量パラメータの第2の変形例について説明する。図15は、静電容量パラメータの第2の変形例に対応する計測処理を説明するためのフローチャートである。
ステップS141において、図3のステップS1の処理と同様に、全電荷放電処理が実行される。
ステップS142において、パラメータ計測部123は、充電時間の計測を開始する。
ステップS143において、図3のステップS2の処理と同様に、C1、検出電極充電処理が実行される。
ステップS144において、パラメータ計測部123は、充電時間の計測を終了する。
ステップS145において、図3のステップS3の処理と同様に、検出電極放電処理が実行される。
ステップS146において、パラメータ計測部123は、充電回数をインクリメントする。
ステップS147において、パラメータ計測部123は、充電時間が所定の時間を超えたか否かを判定する。充電時間が所定の時間を超えていないと判定された場合、処理はステップS142に戻る。その後、ステップS147において、充電時間が所定の時間を超えたと判定されるまで、ステップS142乃至S147の処理が繰り返し実行される。
コンデンサC1の充電は、蓄積電荷量Qc1が増加するにつれて遅くなるため、ステップS142乃至S147の処理を1回行う毎に、パラメータ計測部123により計測される充電時間も長くなる。そして、ステップS147において、充電時間が所定の時間を超えたと判定された場合、処理はステップS148に進む。
ステップS149において、演算処理部124は、演算処理を行う。具体的には、パラメータ計測部123は、カウントした充電回数を演算処理部124に供給する。演算処理部124は、充電回数に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出する。
ここで、n回充電した後のコンデンサC1の電圧をVc1(n)とすると、上述した式(3)に基づいて、電圧Vc1(n)は、次式(6)により表される。
Vc1(n)=n×(Cx/C1)×Vref ・・・(6)
一方、n回充電した後、n+1回目の充電を行う際の充電時間tと検出電極112の電圧Vx(n+1)の関係は、次式(7)により表される。
Vx(n+1)が閾値電圧Vrefに到達するまでの時間をtdとし、式(6)のVc1(n)を式(7)に代入すると、次式(8)が得られる。
そして、式(8)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを算出することができる。
演算処理部124は、算出した静電容量Cx、および、パラメータ計測部123により計測された充電回数nを出力部125に供給する。
ステップS149において、出力部125は、計測結果を出力する。このとき、静電容量Cxおよび充電回数nの両方を出力するようにしてもよいし、いずれか一方を出力するようにしてもよい。その後、計測処理は終了する。
[静電容量パラメータの第3の変形例]
次に、図16を参照して、静電容量パラメータの第3の変形例について説明する。
この第3の変形例の場合、電圧計測部121、122は、例えば、図16に示されるようにA/D変換器151により構成される。すなわち、電圧計測部121、122は、入力されたアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換して出力する。
また、この場合、図3のステップS5のパラメータ計測処理は、図16のフローチャートに従って実行される。
すなわち、ステップS161において、パラメータ計測部123は、SW3をオンする。
ステップS162において、電圧計測部122は、コンデンサC1の電圧Vc1を計測し、計測結果をパラメータ計測部123に供給する。この場合、コンデンサC1の電圧Vc1と閾値電圧Vrefの比較結果ではなく、電圧Vc1の実測値がパラメータ計測部123に供給される。パラメータ計測部123は、取得した電圧Vc1の実測値を静電容量パラメータに設定する。
そして、電圧Vc1が分かれば、上述した式(1)に基づいて、検出電極112の静電容量Cxを求めることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、図17および図18を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、計測時間を短縮できるようにするものである。
[静電容量計測装置201の構成例]
図17は、本発明の第2の実施の形態である静電容量計測装置201の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置201は、図1の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ211が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ211は、マイクロコンピュータ111と比較して、ポートP3が追加されている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置201では、静電容量計測装置101と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1はポートP1とポートP3の間に接続され、コンデンサC1はポートP2とポートP3の間に接続されている。SW2の一端はポートP3に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部121は、入力端子がポートP3に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置101と同様である。
このように静電容量計測装置201を構成することにより、図18の矢印A21に示されるように、コンデンサC1の電荷を抵抗R1を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。
また、コンデンサC1の充電を継続したまま、電圧計測部121によりコンデンサC1の電圧Vc1を計測することができ、計測時間を短縮することができる。
<3.第3の実施の形態>
次に、図19および図20を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、検出電極112の静電容量Cxの検出に方向性を持たせるようにするものである。
[静電容量計測装置の構成例]
図19は、本発明の第3の実施の形態である静電容量計測装置301の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置301は、図1の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ311が設けられ、シールド電極312および接続端子T2が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ311は、マイクロコンピュータ111と比較して、ポートP3が追加されている点が異なる。
ポートP3は、グラウンドに接続されるとともに、接続端子T2に接続されている。
シールド電極312は、電界の遮蔽に用いられる電極であり、接続端子T2に着脱自在である。また、シールド電極312は、接続端子T2に接続された状態において、接続端子T2およびポートP3を介してマイクロコンピュータ311のグラウンドに接続され、基準電圧点の電圧に保持される。なお、シールド電極312を、接続端子T2ではなく、ポートP3に直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、シールド電極312の電圧をVs、蓄積電荷量をQsで表す。
図20は、シールド電極312の形状の一例を模式的に示す断面図である。この例において、シールド電極312は、検出電極112を覆うような箱形の形状をしている。
上述したように、シールド電極312は、基準電圧点の電圧に保持されるため、シールド電極312側から物体が接近しても、検出電極112周辺の電界はほとんど変化しない。従って、静電容量の計測方向を限定することが可能である。例えば、図20の例の場合、静電容量の計測方向を紙面の上方向に限定することが可能である。また、例えば、図19に示されるように、検出電極112と物体103の間にシールド電極312を配置することにより、物体103の影響をより小さくして、静電容量を計測することが可能になる。
なお、以上の説明では、シールド電極312をグラウンドに接続する例を示したが、グラウンド以外の電圧保持手段に接続して、シールド電極312の電圧がほぼ一定になるようにするようにしてもよい。
<4.第4の実施の形態>
次に、図21乃至図29を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、第3の実施の形態と比較して、検出電極112とシールド電極312が同じ電圧になるように制御するようにしたものである。
[静電容量計測装置401の構成例]
図21は、本発明の第4の実施の形態である静電容量計測装置401の構成例を示す図である。なお、図中、図19と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置401は、図19の静電容量計測装置301と比較して、マイクロコンピュータ311の代わりマイクロコンピュータ411が設けられ、抵抗R2が追加されている点が異なる。また、マイクロコンピュータ411は、マイクロコンピュータ311と比較して、電圧計測部421、同電位制御部423、SW4、およびSW5が追加され、パラメータ計測部123の代わりにパラメータ計測部422が設けられている点が異なる。
抵抗R2は、接続端子T2とポートP3の間に接続されている。また、SW4の一端は電源Vccに接続され、他の一端はポートP3、SW5の一端に接続されている。SW5の他の一端は、グラウンドに接続されている。
電圧計測部421は、入力端子がポートP3に接続されている。電圧計測部421は、電圧計測部121、122と同様に、入力端子に入力される電圧を計測し、計測した電圧を所定の閾値(閾値電圧Vref)と比較し、比較した結果を同電位制御部423に供給する。
パラメータ計測部422は、SW1乃至SW3の開閉を制御するとともに、電圧計測部121および電圧計測部122の計測結果に基づいて、静電容量パラメータを計測する。パラメータ計測部422は、計測した静電容量パラメータを演算処理部124に供給する。
同電位制御部423は、電圧計測部421の計測結果に基づいて、SW4およびSW5の開閉を制御して、検出電極112とシールド電極312の電圧が同じになるように調整する。
[静電容量計測装置401の処理]
次に、図22至図28を参照して、静電容量計測装置401の処理について説明する。
まず、図22のフローチャートを参照して、静電容量計測装置401により実行される計測処理について説明する。
ステップS301において、静電容量計測装置401は、全電荷放電処理を実行する。
ここで、図23および図24を参照して、ステップS301の全電荷放電処理の詳細について説明する。なお、図23は、全電荷放電処理を説明するためのフローチャートであり、図24は、全電荷放電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS321において、パラメータ計測部422は、SW2、SW3、SW5をオンする。これにより、コンデンサC1から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A41の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、検出電極112からSW3を介してグラウンドに矢印A42の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。さらに、シールド電極312から抵抗R2およびSW5を介してグラウンドに矢印A43の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の放電が開始される。
ステップS322において、パラメータ計測部422は、所定の時間、すなわち、コンデンサC1、検出電極112、および、シールド電極312の電荷が全て放電されるのに十分な時間待機する。
ステップS323において、パラメータ計測部422は、SW2、SW3、SW5をオフする。その後、全電荷放電処理は終了する。
図22に戻り、ステップS302において、静電容量計測装置401は、C1、検出電極、シールド電極充電処理を実行する。
ここで、図25および図26を参照して、ステップS302のC1、検出電極、シールド電極充電処理の詳細について説明する。なお、図25は、C1、検出電極、シールド電極充電処理を説明するためのフローチャートであり、図26は、C1、検出電極、シールド電極充電処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS341において、パラメータ計測部422は、SW1、SW4をオンする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A43の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極から検出電極112に矢印A44の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。さらに、電源VccからSW4および抵抗R2を介してシールド電極312に矢印A45の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の充電が開始される。
ステップS342において、パラメータ計測部422は、SW1がオンであるか否かを判定する。SW1がオンであると判定された場合、処理はステップS343に進む。
ステップS343において、電圧計測部122および電圧計測部421は、検出電極112の電圧Vxおよびシールド電極312の電圧Vsを計測する。具体的には、電圧計測部122は、検出電極112の電圧Vx(より正確には、検出電極112と基準電圧点との間の電圧)を計測し、計測した電圧Vxを閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果をパラメータ計測部422に供給する。
ステップS344において、パラメータ計測部422は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、検出電極112の電圧Vxが閾値以上であるか否かを判定する。検出電極112の電圧Vxが閾値以上であると判定された場合、処理はステップS345に進む。
ステップS345において、パラメータ計測部422は、SW1をオフする。これにより、コンデンサC1および検出電極112の充電が停止する。その後、処理はステップS346に進む。
一方、ステップS344において、検出電極112の電圧Vxが閾値未満であると判定された場合、ステップS345の処理はスキップされ、処理はステップS346に進む。
また、ステップS342において、SW1がオフであると判定された場合、ステップS343乃至S345の処理はスキップされ、処理はステップS346に進む。
ステップS346において、同電位制御部423は、SW4がオンであるか否かを判定する。SW4がオンであると判定された場合、処理はステップS347に進む。
ステップS347において、電圧計測部421は、シールド電極312の電圧Vsを計測する。具体的には、電圧計測部421は、シールド電極312の電圧Vs(より正確には、シールド電極312と基準電圧点との間の電圧)を計測し、計測した電圧Vsを閾値(閾値電圧Vref)と比較し、その結果を同電位制御部423に供給する。
ステップS348において、同電位制御部423は、電圧計測部421による計測結果に基づいて、シールド電極312の電圧Vsが閾値以上であるか否かを判定する。シールド電極312の電圧Vsが閾値以上であると判定された場合、処理はステップS349に戻る。
ステップS349において、同電位制御部423は、SW4をオフする。これにより、シールド電極312の充電が停止する。その後、処理はステップS350に進む。
一方、ステップS348において、シールド電極312の電圧Vsが閾値未満であると判定された場合、ステップS349の処理はスキップされ、処理はステップS350に進む。
また、ステップS346において、SW4がオフであると判定された場合、ステップS347乃至S349の処理はスキップされ、処理はステップS350に進む。
ステップS350において、パラメータ計測部421は、SW1、SW4が両方オフであるか否かを判定する。SW1、SW4の少なくとも一方がオンであると判定された場合、処理はステップS342に戻る。その後、ステップS350において、SW1、SW4が両方オフであると判定されるまで、ステップS342乃至S350の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS350において、SW1、SW4が両方オフであると判定された場合、C1、検出電極、シールド電極充電処理は終了する。
図22に戻り、ステップS303において、静電容量計測装置401は、電極電位調整処理を実行する。
ここで、図27および図28を参照して、ステップS303の電極電位調整処理の詳細について説明する。なお、図27は、電極電位調整処理を説明するためのフローチャートであり、図28は、電極電位調整処理中の正電荷の流れを示す図である。
ステップS361において、図25のステップS343、S347の処理と同様に、検出電極112、シールド電極312の電圧が計測される。そして、計測した電圧を閾値(閾値電圧Vref)と比較した結果が、同電位制御部423に供給される。
ステップS362において、同電位制御部423は、電圧計測部122による計測結果に基づいて、検出電極112の電圧Vxが閾値以上であるか否かを判定する。検出電極112の電圧Vxが閾値以上であると判定された場合、処理はステップS363に進む。
ステップS363において、同電位制御部423は、SW1をオフ、SW2をオンする。これにより、コンデンサC1の正極から抵抗R1およびSW2を介してグラウンドに矢印A46の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の放電が開始される。また、コンデンサC1の正極から正電荷が出ていくことにより、検出電極112からコンデンサC1の負極に矢印A47の方向に正電荷が移動し、検出電極112の放電が開始される。その後、処理は、ステップS365に進む。
一方、ステップS362において、検出電極112の電圧Vxが閾値未満であると判定された場合、処理はステップS364に進む。
ステップS364において、同電位制御部423は、SW1をオン、SW2をオフする。これにより、電源VccからSW1および抵抗R1を介してコンデンサC1の正極に矢印A48の方向に正電荷が移動し、コンデンサC1の充電が開始される。また、コンデンサC1の正極に正電荷が蓄積されることにより、コンデンサC1の負極から検出電極112に矢印A49の方向に正電荷が移動し、検出電極112の充電が開始される。その後、処理はステップS365に進む。
ステップS365において、同電位制御部423は、電圧計測部421による計測結果に基づいて、シールド電極312の電圧Vsが閾値以上であるか否かを判定する。シールド電極312の電圧Vsが閾値以上であると判定された場合、処理はステップS366に進む。
ステップS366において、同電位制御部423は、SW4をオフ、SW5をオンする。これにより、シールド電極312から抵抗R2およびSW5を介してグラウンドに矢印A50の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の放電が開始される。その後、処理は、ステップS368に進む。
一方、ステップS364において、シールド電極312の電圧Vsが閾値未満であると判定された場合、処理はステップS367に進む。
ステップS367において、同電位制御部423は、SW4をオン、SW5をオフする。これにより、電源VccからSW4および抵抗R2を介してシールド電極312に矢印A51の方向に正電荷が移動し、シールド電極312の充電が開始される。その後、処理は、ステップS368に進む。
ステップS368において、同電位制御部423は、電圧計測部122および電圧計測部421の計測結果に基づいて、2電極、すなわち、検出電極112およびシールド電極312の電圧がともに閾値以上であるか否かを判定する。少なくとも一方の電極の電圧が閾値未満であると判定された場合、処理はステップS361に戻り、ステップS368において、2電極の電圧がともに閾値以上であると判定されるまで、ステップS361乃至S368の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS368において、2電極の電圧がともに閾値以上であると判定された場合、処理はステップS369に進む。
ステップS369において、同電位制御部423は、ステップS361乃至S369の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。ステップS361乃至S369の処理を、まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS361に戻る。その後、ステップS369において、ステップS361乃至S369の処理を所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS361乃至S369の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS369において、ステップS361乃至S369の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS370に進む。
ステップS370において、同電位制御部423は、SW1、SW2、SW4、SW5をオフする。これにより、コンデンサC1、検出電極112、および、シールド電極312の充電または放電が停止される。その後、電極電位調整処理は終了する。
このようにして、検出電極112の電圧Vxおよびシールド電極312の電圧Vsがともに閾値電圧Vrefに近づくように、コンデンサC1、検出電極112およびシールド電極312の充電および放電が繰り返され、最終的に両電極の電圧ともほぼ閾値電圧Vrefとなる。
従って、検出電極112、シールド電極312および物体103の電圧がほぼ等しく、検出電極112と物体103およびシールド電極312との間の静電容量がほぼ0の状態で、コンデンサC1および検出電極112に電荷が蓄積される。すなわち、検出電極112と物体103およびシールド電極312との間の静電容量の影響をほとんど受けずに、コンデンサC1および検出電極112に電荷を蓄積することができる。さらに換言すれば、検出電極112とその周囲との間の静電容量のうち検出電極112と物体103およびシールド電極312との間の静電容量を除いた静電容量に応じた電荷を、コンデンサC1および検出電極112に蓄積することができる。従って、1回あたりの充電量である蓄積電荷量Qrefは、物体103およびシールド電極312の影響を除去した検出電極112と周囲の空間の静電容量Cxに比例した値となる。
そのため、検出電極112およびシールド電極312の形状、比誘電率、温度等が変化しても、その影響をほとんど受けることなく、静電容量を計測することが可能になる。
図22に戻り、ステップS304において、図3のステップS3の処理と同様に、検出電極放電処理が実行される。すなわち、コンデンサC1およびシールド電極312の電荷が保持されたまま、検出電極112の電荷が放電される。
ステップS305において、パラメータ計測部422は、ステップS302乃至S305の処理を所定の回数繰り返したか否かを判定する。まだ所定の回数繰り返していないと判定された場合、処理はステップS302に戻る。その後、ステップS305において、所定の回数繰り返したと判定されるまで、ステップS302乃至S305の処理が繰り返し実行される。
一方、ステップS305において、ステップS302乃至S305の処理を所定の回数繰り返したと判定された場合、処理はステップS306に進む。
ステップS306乃至S308の処理は、図3のステップS5乃至S7の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。その後、計測処理は終了する。
以上のようにして、第3の実施の形態と比較して、さらに静電容量の計測精度を向上させることができる。
[静電容量計測装置401の変形例]
図29は、静電容量計測装置401の変形例を示している。この例では、シールド電極312に、静電容量が既知のオフセットコンデンサ451が追加され、シールド電極312およびオフセットコンデンサ451により1つのシールド電極が構成される。なお、オフセットコンデンサ451の一端は、抵抗R2とシールド電極312の間に接続され、他の一端は基準電圧点に接続されている。
このように、オフセットコンデンサ451を追加することにより、シールド電極312に物体が近づくなどの要因によりシールド電極312の静電容量が変化しても、その変化の度合いを小さくすることができる。その結果、シールド電極312の電圧の変動が小さくなり、検出電極112とシールド電極312を同じ電圧にする制御が容易になる。
例えば、シールド電極312の静電容量をCs、オフセットコンデンサ451の静電容量をCofsとすると、シールド電極全体の静電容量Ctは、次式(9)により表される。
Ct=Cs+Cofs
=Cofs×(Cs/Cofs+1) ・・・(9)
ここで、Cs≪Cofsとなるように静電容量Cofsを設定すると、Cs/Cofsがほぼ0になる。従って、静電容量Csが変化しても、静電容量Ctはほとんど変化しない。
<5.第5の実施の形態>
次に、図30および図31を参照して、本発明の第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態は、第4の実施の形態と比較して、計測時間を短縮できるようにするものである。
[静電容量計測装置501の構成例]
図30は、本発明の第5の実施の形態である静電容量計測装置501の構成例を示す回路図である。なお、図中、図21と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置501は、図21の静電容量計測装置401と比較して、マイクロコンピュータ411の代わりにマイクロコンピュータ511が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ511は、マイクロコンピュータ411と比較して、ポートP4、P5が追加されている点が異なる。
さらに、静電容量計測装置501では、静電容量計測装置401と比較して、各部品の接続が一部異なっている。具体的には、抵抗R1はポートP1とポートP4の間に接続され、コンデンサC1はポートP2とポートP4の間に接続されている。SW2の一端はポートP4に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部121は、入力端子がポートP4に接続されている。
また、抵抗R2は、ポートP3とポートP5の間に接続され、接続端子T2はポートP5に接続されている。SW5の一端はポートP5に接続され、他の一端はグラウンドに接続されている。電圧計測部421は、入力端子がポートP5に接続されている。その他の部品の接続は、静電容量計測装置401と同様である。
このように静電容量計測装置501を構成することにより、図31の矢印A71に示されるように、コンデンサC1の電荷を抵抗R1を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。また、矢印A72に示されるように、シールド電極312の電荷を抵抗R2を介さずに放電することができ、放電時間を短縮することができる。
また、コンデンサC1の充電を継続したまま、電圧計測部121によりコンデンサC1の電圧Vc1を計測することができ、計測時間を短縮することができる。さらに、シールド電極312の充電を継続したまま、電圧計測部421によりシールド電極312の電圧Vsを計測することができ、計測時間を短縮することができる。
<6.第6の実施の形態>
次に、図32乃至図34を参照して、本発明の第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態は、複数の電極を設けて、各電極を検出電極またはシールド電極のいずれにも使用できるようにするものである。
[静電容量計測装置601の構成例]
図32は、本発明の第6の実施の形態である静電容量計測装置601の構成例を示す図である。
静電容量計測装置601は、マイクロコンピュータ611、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、接続端子T1−1乃至T1−n、および、電極612−1乃至612−nにより構成される。また、マイクロコンピュータ611は、ポートP1−1乃至P1−nおよびP2−1乃至P2−nを備える。
抵抗R1−i(i=1〜n)の一端は、ポートP1−iに接続され、他の一端はコンデンサC1−iの一端に接続されている、コンデンサC1−iの一端は、ポートP2−iおよび接続端子T1−iに接続されている。電極612−iは、接続端子T1−iに着脱自在である。なお、電極612−iを、接続端子T1−iではなく、ポートP4−iに直接接続するようにしてもよい。
なお、以下、抵抗R1−1乃至R1−n、コンデンサC1−1乃至C1−n、電極612−1乃至612−n、ポートP1−1乃至P1−n、および、ポートP2−1乃至P2−nを、それぞれ個々に区別する必要がない場合、単に、抵抗R1、コンデンサC1、電極612、ポートP1、および、ポートP2と称する。
[マイクロコンピュータ611の構成例]
図33は、マイクロコンピュータ611の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には、同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
マイクロコンピュータ611は、計測部631−1乃至631−n、役割設定部632、および、同電位制御部633を含むように構成される。
計測部631−1乃至631−nは、それぞれ図1のマイクロコンピュータ111と同様の構成を有している。従って、計測部631−i(i=1〜n)、抵抗R1−i、コンデンサC1−i、および、電極612−iにより、静電容量計測装置101と同様の構成を備える1つのユニットが構成され、合計n個のユニットが、静電容量計測装置601に設けられている。
なお、以下、計測部631−1乃至631−nを個々に区別する必要がない場合、単に計測部631と称する。
役割設定部632は、各計測部631に接続されている電極612の役割を設定する。すなわち、役割設定部632は、各電極612を、検出電極として用いるか、シールド電極として用いるかを設定する。
同電位制御部633は、図21の同電位制御部423と同様の機能を有しており、各電極612が同じ電圧になるように制御する。
[静電容量計測装置601の処理]
次に、図34のフローチャートを参照して、静電容量計測装置601により実行される計測処理について説明する。
ステップS601において、役割設定部632は、各電極612の役割を設定する。すなわち、役割設定部632は、ユーザ設定等に基づいて、各電極612を検出電極またはシールド電極のいずれの電極として用いるかを設定する。
ステップS602乃至S608の処理は、図3のステップS1乃至S7の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
[静電容量計測装置601の使用例]
静電容量計測装置601では、各電極の役割を切り替えることにより、電極を所定の位置に設置した後でも、静電容量を計測する位置や方向を変更することが可能である。
例えば、車両のドアの表と裏にそれぞれ1つずつ電極612を設置しておき、ドアの表側の電極612を検出電極に設定し、裏側の電極612をシールド電極に設定することにより、ドアの裏側の影響を受けずに、ドアの表側の静電容量を計測することができる。逆に、ドアの表側の電極612をシールド電極に設定し、裏側の電極612を検出電極に設定することにより、ドアの表側の影響を受けずに、ドアの裏側の静電容量を計測することができる。
<7.第7の実施の形態>
次に、図35を参照して、本発明の第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態は、2枚の電極間の静電容量を計測できるようにするものである。
[静電容量計測装置701の構成例]
図35は、本発明の第7の実施の形態である静電容量計測装置701の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので省略する。
静電容量計測装置701は、図1の静電容量計測装置101と比較して、接続端子T2および基準電圧電極711が追加されている点が異なる。
接続端子T2は、基準電圧点に接続されており、基準電圧電極711は、接続端子T2に接続されている。従って、基準電圧電極711の電圧は基準電圧点の電圧に保持される。
これにより、検出電極112と基準電圧電極711との間に発生する静電容量を計測することができる。そして、検出電極112と基準電圧電極711とで形成される空間付近に導電帯や誘電体が存在すると、静電容量の実測値が変化する。
<8.第8の実施の形態>
次に、図36および図37を参照して、本発明の第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態は、本発明を、静電容量に基づいて周囲の物体の検出(例えば、物体の有無や動き等の検出)を行う静電容量センサに適用するようにしたものである。
[静電容量センサ801の構成例]
図36は、本発明の第8の実施の形態である静電容量センサ801の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量センサ801は、図1の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ811が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ811は、マイクロコンピュータ111と比較して、物体検出部821が設けられ、演算処理部124および出力部125が設けられていない点が異なる。
物体検出部821は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、検出電極112の周囲の物体の有無を検出する。
[計測静電容量センサ801の処理]
次に、図37のフローチャートを参照して、静電容量センサ801により実行される物体検出処理について説明する。
ステップS701乃至S705において、図3のステップS1乃至S5と同様の処理が行われ、検出電極112の静電容量Cxに基づく静電容量パラメータである、コンデンサC1の充電時間tが計測される。なお、上述したように、検出電極112の静電容量Cxが大きくなるほど、充電時間tは短くなり、静電容量Cxが小さくなるほど、充電時間tは長くなる。
ステップS706において、物体検出部821は、充電時間tが所定の閾値以上であるか否かを判定する。充電時間tが閾値未満であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値以上である場合、処理はステップS707に進む。
ステップS707において、物体検出部821は、検出電極112の周囲に物体が存在すると判定する。物体検出部821は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
一方、ステップS706において、充電時間tが閾値以上であると判定された場合、すなわち、検出電極112の静電容量Cxが所定の値未満である場合、処理はステップS708に進む。
ステップS708において、物体検出部821は、検出電極112の周囲に物体が存在しないと判定する。物体検出部821は、判定結果を外部に出力し、物体検出処理は終了する。
上述したように、静電容量パラメータの計測値は、物体103の影響をほとんど受けないため、物体103の影響をほとんど受けずに、検出電極112の周囲の物体(例えば、物体102)を確実に検出することができる。
なお、他の静電容量パラメータ、例えば、上述した充電回数n、コンデンサC1の電圧Vc1、検出電極112の静電容量Cx等を用いて、物体の検出を行うようにしてもよい。
また、静電容量パラメータの変化に基づいて、物体の接近または遠離などの動きを検出するようにすることも可能である。
<9.第9の実施の形態>
次に、図38および図39を参照して、本発明の第9の実施の形態について説明する。この第9の実施の形態では、物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動設定できるようにするものである。
[静電容量計測装置901の構成例]
図38は、本発明の第9の実施の形態である静電容量計測装置901の構成例を示す図である。なお、図中、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
静電容量計測装置901は、図1の静電容量計測装置101と比較して、マイクロコンピュータ111の代わりにマイクロコンピュータ911が設けられている点が異なる。また、マイクロコンピュータ911は、マイクロコンピュータ111と比較して、閾値電圧設定部921が設けられている点が異なる。
閾値電圧設定部921は、パラメータ計測部123により計測される静電容量パラメータに基づいて、閾値電圧Vrefを求め、電圧計測部121、122に設定する。
[静電容量計測装置901の処理]
次に、図39のフローチャートを参照して、静電容量計測装置901により実行される閾値電圧設定処理について説明する。なお、この処理は、例えば、検出電極112を実際に使用する位置に設置し、検出対象から除外したい物体103以外の物体が、検出電極112の周囲に存在しない状態で行われる。
ステップS801において、閾値電圧設定部921は、閾値電圧Vrefを仮設定する。例えば、閾値電圧設定部921は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを基準電圧点の電圧に設定する。
ステップS802において、図3を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS801において仮設定した閾値電圧Vrefを用いて静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部921に供給される。
ステップS803において、閾値電圧設定部921は、閾値電圧Vrefを変更する。例えば、閾値電圧設定部921は、電圧計測部121、122の閾値電圧Vrefを所定の値だけ大きくする。
ステップS804において、図3を参照して上述した計測処理が実行される。すなわち、ステップS803において変更した閾値電圧Vrefを用いて、静電容量が計測され、計測結果が出力部125から閾値電圧設定部921に供給される。
ステップS805において、閾値電圧設定部921は、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少しているか否かを判定する。いまの場合、まだ計測処理が2回しか行われていないため、この処理は行われずに、処理はステップS803に戻る。
その後、ステップS805において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定されるまで、ステップS803乃至S805の処理が繰り返し実行される。これにより、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefが検索される。
一方、ステップS805において、今回の静電容量が前回より増加し、前回の静電容量が前々回より減少していると判定された場合、処理はステップS806に進む。
ステップS806において、閾値電圧設定部921は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値に設定する。すなわち、前回の閾値電圧Vrefは、静電容量の計測値が最小となる閾値電圧Vrefであり、物体103の電圧に最も近いと予想される。従って、閾値電圧設定部921は、前回の閾値電圧Vrefを正式な値として、電圧計測部121、122に設定する。
その後、閾値電圧設定処理は終了する。
このようにして、検出対象から除外したい物体103の電圧に応じて閾値電圧Vrefを自動的に設定することができる。
なお、以上の説明では、静電容量に基づいて閾値電圧Vrefを設定する例を示したが、静電容量以外の静電容量パラメータを用いて設定するようにしてもよい。
また、上述したように、電圧計測部121の閾値電圧Vrefは、必ずしも物体103の電圧に合わせる必要がないため、この処理の対象から除外するようにしてもよい。
<10.変形例>
以上の説明では、静電容量パラメータを計測した後、演算処理部124により検出電極112の静電容量Cxを算出する例を示したが、静電容量Cxの値を特に求める必要がない場合、この演算処理を省略するようにしてもよい。
また、可能な範囲で各実施の形態を組み合わせるようにしてもよい。例えば、第3の実施の形態および第6乃至第9の実施の形態に、第2の実施の形態の静電容量計測装置201の構成を適用することが可能である。
さらに、以上の説明では、コンデンサC1、検出電極112、シールド電極312に電荷を供給する電荷供給部126に電源Vccを用いる例を示したが、他の電荷供給手段を用いるようにしてもよい。なお、以上の説明では電源電圧Vccを元に電荷量を計算して静電容量を計算していたが、各コンデンサ、検出電極112、シールド電極312に供給される電荷量がわかれば、供給された電荷量をもとに静電容量を計算できる。
例えば、定電流回路を電荷供給部126に用いるようにしてもよい。この場合、定電流回路は一定の電流で電荷を供給し続けるので、所定の時間の間に供給される電荷量は一定となる。従って、所定の時間の間に供給される電荷量に基づいて静電容量を求めることができる。また、この場合、各静電容量計測装置の抵抗R1の抵抗値を小さい値に設定することができる。
また、例えば、単位時間毎に所定の条件を満たす電荷を供給する所定電荷供給回路を電荷供給部126に用いるようにしてもよい。この場合、例えば、単位時間に所定量の電荷を供給するようにすることで、供給された所定量の電荷量を基に静電容量を求めることができる。なお、この場合、マイクロコンピュータのプログラム制御により供給する電荷量を変更できるようにしてもよい。
また、例えば、時間間隔を空けて、繰り返し電荷を供給する間歇電荷供給回路を電荷供給部126に用いるようにしてもよい。この場合、間歇的に所定の電荷が供給されるようにすれば、供給された電荷量をもとに静電容量を求めることができる。
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、上述したマイクロコンピュータの他、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
また、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。