以下、添付図面を参照して、本発明に係る圧縮空気除湿システムの最良の形態について説明する。
最初に、圧縮空気除湿システムS1Aの構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す圧縮空気除湿システムS1Aは、本発明に係る圧縮空気除湿システムの一例であって、本発明における油水分離システムの一例である油水分離システム1Aを備えると共に、エアコンプレッサ2および除湿装置(エアドライヤ)3を備えて構成されている。この圧縮空気除湿システムS1Aは、大気を所定の圧力に圧縮すると共に圧縮空気中に含まれる水分を除去して例えば工場設備(以下、「供給対象体」ともいう)に供給可能に構成されている。この場合、この圧縮空気除湿システムS1Aでは、大気を圧縮するためのエアコンプレッサ2として、オイル式のエアコンプレッサを採用している。また、エアコンプレッサ2は、圧縮空気を除湿装置3に供給するために、圧縮空気供給用配管4aによって除湿装置3に接続されている。さらに、エアコンプレッサ2は、大気の圧縮に際して生じたドレン水を油水分離システム1Aに供給するために、ドレン水供給用配管5aによって油水分離システム1Aに接続されている。
除湿装置3は、本発明における除湿装置の一例であって、圧縮器41a、蒸発器41b、膨張弁41cおよび凝縮器41dを有する冷凍装置41が直方体状の筐体42内(図2〜4参照)に収容されて構成されている。この除湿装置3は、エアコンプレッサ2によって圧縮されて圧縮空気供給用配管4aを介して供給された圧縮空気を露点温度以下の所定温度まで冷却することにより、圧縮空気中の水分を結露させて除去する構成が採用されている。なお、除湿装置3のように冷凍装置41によって圧縮空気中の水分を除去する装置の動作原理については公知のため、その詳細な説明を省略する。この場合、この除湿装置3では、冷凍装置41における圧縮器41aや凝縮器41dから排出される熱を筐体42の外部に排熱するために、図3に破線で示すように、筐体42の側面パネル(一例として、背面パネルX2)に排熱孔42aが設けられている。なお、排熱孔42aは、パンチングメタルや金網等で閉塞されて、筐体42内への塵埃の侵入が阻止されている。
また、図1に示すように、この除湿装置3は、水分を除去した圧縮空気を供給対象体に供給するために、圧縮空気供給用配管4bによって供給対象体(図示せず)に接続されている。さらに、除湿装置3は、圧縮空気供給用配管4aを介して供給された圧縮空気中から除去した水分(ドレン水)を油水分離システム1Aに供給するために、ドレン水供給用配管5aによって油水分離システム1Aに接続されている。この場合、除湿装置3によって圧縮空気中から除去された水分(ドレン水)には、エアコンプレッサ2による大気の圧縮に際してエアコンプレッサ2内において生じたミスト(エアコンプレッサ2のシリンダ内で霧化した油)や、圧縮空気供給用配管4a内に錆が生じるのを回避するために圧縮空気供給用配管4aの施工時に塗布された油などが含まれている。なお、本発明における除湿装置は、上記の除湿装置3のように冷凍装置41によって圧縮空気中の水分を結露させて除去するタイプの装置に限定されず、フィルタ式の除湿装置を採用することもできる。
一方、油水分離システム1Aは、図1,3,4に示すように、油水分離装置10a,10b(以下、区別しないときには、「油水分離装置10」ともいう)および一対の固定具18Aを備えて構成されている。また、油水分離装置10は、図2〜4に示すように、除湿装置3の筐体42における側面パネル(この例では、背面パネルX2:本発明における「壁面」の一例)に固定されている。この場合、油水分離装置10aは、本発明における「一方の油水分離装置」に相当し、図5に示すように、ベース部11、配管接続部12a,12b、フィルタエレメント13aおよびハウジング14を備えて構成されている。また、油水分離装置10bは、本発明における「他方の油水分離装置」に相当し、図6に示すように、フィルタエレメント13aに代えてフィルタエレメント13bを備えている点を除いて上記の油水分離装置10aと同様に構成されている。なお、以下の説明においてフィルタエレメント13a,13bを区別しないときには、「フィルタエレメント13」ともいう。
この油水分離装置10a,10bは、後述するようにして、油分や異物が含まれているドレン水を対象とする油水分離処理を実行し、油分や異物を除去したドレン水を排出可能に構成されている。具体的には、この油水分離システム1Aでは、まず、油水分離装置10aが、エアコンプレッサ2や除湿装置3からドレン水供給用配管5aを介して供給されるドレン水を対象とする油水分離処理(粗処理)を実行して油分や異物をある程度除去し、処理したドレン水を連結用配管5cを介して油水分離装置10bに供給する。次いで、油水分離装置10bが、連結用配管5cを介して供給されるドレン水を対象とする油水分離処理(本処理)を実行して油分や異物をほぼ完全に除去し、処理したドレン水をドレン水排出用配管5bを介して排出する。なお、上記の油水分離装置10a,10bによる油水分離処理については、後に詳細に説明する。
ベース部11は、上端部側が閉塞された円筒状に形成されると共に、その内部には、フィルタエレメント13を取り付けるためのフィルタヘッド11aが配設されている。また、ベース部11の周壁には、ドレン水供給用配管5a(または、連結用配管5c)が接続される配管接続部12a(本発明における「第1の配管接続部」)と、ドレン水排出用配管5b(または、連結用配管5c)が接続される配管接続部12b(本発明における「第2の配管接続部」)とがそれぞれ連結されている。なお、配管接続部12bは、ベース部11の周壁を貫通してフィルタヘッド11aに連結され、これにより、フィルタヘッド11aを介してフィルタエレメント13とドレン水排出用配管5b(または、連結用配管5c)とを連通させる。
この場合、上記のドレン水供給用配管5aは、本発明における供給側配管の一例であって、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)では、ドレン水の流路における上流側に位置する油水分離装置10aの配管接続部12aに接続されている。さらに、上記のドレン水排出用配管5bは、本発明における排出側配管の一例であって、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)では、ドレン水の流路における下流側に位置する油水分離装置10bの配管接続部12bに接続されている。また、上記の連結用配管5cは、油水分離装置10aにとっては、本発明における排出側配管に相当し、油水分離装置10bにとっては、本発明における供給側配管に相当する。具体的には、連結用配管5cは、油水分離装置10aの配管接続部12bと油水分離装置10bの配管接続部12aとを相互に接続する配管であって、油水分離装置10aによる粗処理が完了して油水分離装置10aから排出されたドレン水を油水分離装置10bに供給する。
フィルタエレメント13aは、本発明における粗処理用フィルタエレメントの一例であって、図5に示すように、フィルタエレメント用容器20と、フィルタエレメント用容器20内に収容された不織布25および油吸着材26a,26bを備えている。フィルタエレメント用容器20は、その底部に流入口21aが開口された容器本体21と、流出口22aが形成されると共に容器本体21の上方開口部に取り付けられた蓋体22とを備えてベース部11のフィルタヘッド11aに取り付け可能に構成されている。この場合、容器本体21は、一例として、ポリプロピレンを用いたブロー成形処理によって容器状に加工した後に、その底部に流入口21aを開口することで形成されている。また、蓋体22は、一例としてポリエチレンを用いた射出成型処理によって形成されている。この場合、蓋体22の外面における流出口22aの周縁部分には、フィルタヘッド11aとの連結管として機能する円筒体が立設されて、その内面にシール用のOリング23が配設されている。
また、不織布25は、本発明における「シート状のエマルジョン破壊材」に相当し、一例として、アミン系のエマルジョン破壊シートで構成されている。この場合、フィルタエレメント13aでは、流入口21aを閉塞するようにして数枚の不織布25が容器本体21内に積層されるようにして配設されている。また、油吸着材26aは、比較的大きな空隙を有する油吸着材であって、一例として、短冊状に裁断したポリプロピレンの小片(本発明における「短冊状吸着材」の一例)で構成されると共に、容器本体21内に充填されて本発明における第1の油吸着層を構成する。この場合、短冊状に裁断したポリプロピレンの小片に代えて、シート状のポリプロピレン(本発明における「シート状吸着材」の一例)を巻回または折り重ねた状態で容器本体21内に充填することで本発明における第1の油吸着層を構成することもできる。なお、油吸着材26aとしてシート状吸着材を採用する場合には、容器本体21の側方から見て各シート状吸着材に重なりが生じるように(流入口21aから流入したドレン水が各シート状吸着材の間を通過して流出口22aに向かって流れるように)充填することで、フィルタエレメント13aを通過する際のドレン水の流動抵抗が過剰に大きくなる事態を回避することができる。
さらに、油吸着材26bは、比較的小さな空隙を有する油吸着材であって、一例として、綿状に加工されたポリプロピレン(本発明における「綿状吸着材」の一例)で構成されると共に、容器本体21内に充填されて本発明における第2の油吸着層を構成する。この場合、綿状に加工されたポリプロピレンに代えて、ポリプロピレンの繊維を編んだ細紐(本発明における「細紐状吸着材」の一例)を容器本体21内に充填することで本発明における第2の油吸着層を構成することもできる。このフィルタエレメント13aでは、不織布25を積層した上に、上記の油吸着材26aが充填された層(本発明における第1の油吸着層)および上記の油吸着材26bが充填された層(本発明における第2の油吸着層)がこの順で設けられて、流入口21aから容器本体21内に流入したドレン水が、不織布25、油吸着材26aの層および油吸着材26bの層を順に通過して流出口22aから流出する構成が採用されている。
一方、フィルタエレメント13bは、本発明における本処理用フィルタエレメントの一例であって、図6に示すように、上記のフィルタエレメント13aにおいて油吸着材26aが充填された層および油吸着材26bが充填された層に代えて、容器本体21内に油吸着材26bが充填された層だけが設けられている点を除き、フィルタエレメント13aとほぼ同様に構成されている。この場合、このフィルタエレメント13bでは、流入口21aを閉塞するようにして数十枚の不織布25が容器本体21内に積層されるようにして配設されている。また、このフィルタエレメント13bでは、不織布25を積層した上に、上記の油吸着材26bが充填された層(本発明における油吸着層)が設けられて、流入口21aから容器本体21内に流入したドレン水が、不織布25および油吸着材26bの層を順に通過して流出口22aから流出する構成が採用されている。
なお、フィルタエレメント用容器20内に配設する不織布25の枚数や、油吸着材26a,26bの充填量については、処理対象のドレン水の状態(処理対象のドレン水に含まれる異物や油分の量)に応じてフィルタエレメント13a,13b毎に適宜変更することができる。また、この油水分離システム1Aでは、油水分離装置10a,10b内のフィルタエレメント13a,13bにおけるドレン水の通過方向の長さ(すなわち、容器本体21の底部から蓋体22における円筒体の先端部までの距離L3)が、一例として、315mmとなっている。この場合、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)では、上記したように、油水分離装置10a,10bにおけるフィルタエレメント13a,13bの全体(フィルタエレメント用容器20、油吸着材26a,26bおよび不織布25のすべて)が樹脂材料(この例では、ポリプロピレン)で形成されているため、その重量が1つ当り10kg以下と非常に軽量となっている。したがって、後述する交換作業時には、フォークリフト等の重機が不要となっている。
ハウジング14は、有底円筒体に形成され、図5,6に示すように、その内部にフィルタエレメント13が収容されるようにして(フィルタエレメント13を覆うようにして)ベース部11に取り付けられる。また、ハウジング14の底壁は、中央部分へ近づくに従って外側に突出するドーム状に形成されて、その最も突出した部位(中央部)にドレン口15が配設されている。この場合、上記のように構成されたベース部11およびハウジング14は、一例として、ベース部11の周壁における開口側端部(下端部)に、ハウジング14の周壁における開口側端部(上端部)が挿入されて互いに連結されている。また、ベース部11の周壁およびハウジング14の周壁の各重合部分には、シール用のOリング16が配設されている。このベース部11およびハウジング14は、金属製のバンド17によって連結部位を締め付けるようにして一体化されている。この場合、この油水分離システム1Aでは、油水分離装置10a,10bにおけるハウジング14の上端部からドレン口15の下端部までの距離L4が、一例として、400mmとなっている。
一方、固定具18Aは、油水分離システム1A(油水分離装置10a,10b)を壁面(この例では、除湿装置3の筐体42における背面パネルX2の外表面)に取り付けるための固定用金具であって、この圧縮空気除湿システムS1Aでは、油水分離システム1Aを構成する油水分離装置10a,10bのうちの1つ(この例では、油水分離装置10a)の配管接続部12a、および他の1つ(この例では、油水分離装置10b)の配管接続部12bの2カ所をそれぞれ固定具18Aによって保持して油水分離システム1A(油水分離装置10a,10b)を釣支(釣り下げて支持)するようにして固定する構成が採用されている。この固定具18Aは、図7に示すように、配管接続部12a(または、配管接続部12b)を締め付けた状態で保持するU字ステー31と、側面視L字状のブラケット32aと、ブラケット32aにU字ステー31を固定するためのボルト33と、配管接続部12a(12b)およびU字ステー31の間に配設された緩衝材34(一例として、弾性樹脂またはゴム)とを備えて構成されている。なお、この固定具18Aでは、ブラケット32aにおける水平延出部の上方に配管接続部12a(12b)を載置するようにしてU字ステー31によって締め付けた状態で保持する構成を採用しているが、ブラケット32aにおける水平延出部の下方に配管接続部12a(12b)を配置してU字ステー31等によって釣支する構成を採用することもできる。
次いで、圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)の使用方法について、図面を参照して説明する。
この圧縮空気除湿システムS1Aでは、上記したように、油水分離システム1A(両油水分離装置10a,10b)を2つの固定具18Aによって釣支するようにして除湿装置3の筐体42における背面パネルX2の外表面に固定する構成が採用されている。具体的には、図2〜4に示すように、油水分離装置10aの配管接続部12bと油水分離装置10bの配管接続部12aとを連結用配管5cによって連結すると共に、油水分離装置10aの配管接続部12aおよび油水分離装置10bの配管接続部12bに固定具18Aをそれぞれ取り付ける。次いで、筐体42における排熱孔42aの近傍に両油水分離装置10a,10bが位置するように両固定具18Aを筐体42に固定する。続いて、油水分離装置10aの配管接続部12aにドレン水供給用配管5aを接続すると共に、油水分離装置10bの配管接続部12bにドレン水排出用配管5bを接続する。なお、この油水分離システム1Aでは、図2〜4に示すように、油水分離装置10bにおける配管接続部12bとドレン水排出用配管5bとの間に処理水監視槽が接続されているが、本発明についての理解を容易とするために、この処理水監視槽についての説明を省略する。また、図2〜4および後に参照する図8では、ドレン水供給用配管5aにおける油水分離装置10a(10b)側の端部だけを図示すると共に、ドレン水供給用配管5aにおけるエアコンプレッサ2や除湿装置3側の端部の図示を省略している。
上記のような設置が完了した状態においては、圧縮空気除湿システムS1Aを稼働させた際に、エアコンプレッサ2や除湿装置3から排出された処理対象のドレン水が、ドレン水供給用配管5a、油水分離装置10a、連結用配管5c、油水分離装置10bおよびドレン水排出用配管5bをこの順で通過して排水路(図示せず)などに排水される。具体的には、ドレン水供給用配管5aを介して油水分離装置10aに供給されたドレン水は、まず、配管接続部12aからベース部11におけるフィルタヘッド11aの周囲に導入され、フィルタエレメント13aにおけるフィルタエレメント用容器20とハウジング14との間を下方に向けて圧送される。次いで、ハウジング14の底面に達したドレン水は、大きな異物がハウジング14とフィルタエレメント用容器20との間に引っ掛かるようにして取り除かれた後に、フィルタエレメント13aにおける流入口21aからフィルタエレメント用容器20内に流入し、不織布25が積層された層、油吸着材26aが充填された層、および油吸着材26aが充填された層をこの順で通過させられる(本発明における「処理対象のドレン水がハウジング内を上昇させられるとき」との状態の一例)。
この場合、エアコンプレッサ2や除湿装置3から排出されたドレン水には、油分と水分とが混じり合ってエマルジョン化した液(乳濁液:以下、単に「エマルジョン」ともいう)が含まれている。したがって、この油水分離システム1Aでは、まず最初に、エマルジョンを含んだドレン水が不織布25(シート状のエマルジョン破壊材)の層を通過するようにドレン水の流路を構成して、ドレン水中のエマルジョンを破壊(油分と水分とを分離)させる構成が採用されている。また、不織布25の層を通過してエマルジョン破壊されたドレン水は、油吸着材26a(この例では、短冊状に裁断したポリプロピレンの小片)の層を通過する際に、比較的大きな油分の塊が油吸着材26aに付着して取り除かれた後に、油吸着材26b(この例では、綿状に加工されたポリプロピレン)の層を通過する際に、油吸着材26aの層において取り除くことができなかったある程度小さな油分の塊が油吸着材26bに付着して取り除かれる。これにより、油水分離装置10a(フィルタエレメント13a)によるドレン水の粗処理が完了する。この後、粗処理が完了したドレン水は、流出口22aからフィルタヘッド11a内に流出し、配管接続部12bから連結用配管5cに排出される。
一方、連結用配管5cを介して油水分離装置10bに供給されたドレン水は、まず、配管接続部12aからベース部11におけるフィルタヘッド11aの周囲に導入され、フィルタエレメント13bにおけるフィルタエレメント用容器20とハウジング14との間を下方に向けて圧送される。次いで、ハウジング14の底面に達したドレン水は、フィルタエレメント13bにおける流入口21aからフィルタエレメント用容器20内に流入し、不織布25が積層された層、および油吸着材26bが充填された層をこの順で通過させられる(本発明における「処理対象のドレン水がハウジング内を上昇させられるとき」との状態の他の一例)。この際に、油水分離装置10a(フィルタエレメント13a)による粗処理が完了したドレン水には、極く少量の(極く小さな塊の)エマルジョンが依然として含まれていることがある。したがって、この油水分離システム1Aでは、粗処理が完了したドレン水がまず最初に不織布25(シート状のエマルジョン破壊材)の層を通過するようにドレン水の流路を構成して、ドレン水中のエマルジョンを完全に破壊させる構成が採用されている。
また、不織布25の層を通過してエマルジョンが破壊されたドレン水は、油吸着材26b(この例では、綿状に加工されたポリプロピレン)の層を通過する際に、油水分離装置10a(フィルタエレメント13a)によって取り除くことができなかった小さな油分の塊や、フィルタエレメント13bにおける不織布25の層によって新たにエマルジョン破壊された小さな油分の塊が油吸着材26bに付着してほぼ完全に取り除かれる。これにより、油水分離装置10b(フィルタエレメント13b)によるドレン水の本処理が完了する。この後、本処理が完了したドレン水は、流出口22aからフィルタヘッド11a内に流出し配管接続部12bからドレン水排出用配管5bに排出される。この場合、この油水分離システム1Aでは、上記の油水分離装置10a,10bの双方において、ドレン水がフィルタエレメント13内を上昇する方向で各処理層(不織布25の層、油吸着材26aの層および油吸着材26bの層)を通過する構成が採用されている。この場合、ドレン水に含まれている油分やエマルジョン破壊によって生じた油分は、水分よりも軽量であるため、フィルタエレメント13内をフィルタヘッド11aに向かって浮上しようとする力が働く。したがって、この油水分離システム1Aでは、除去すべき油分が、水分と共に上方に向かって圧送されつつ、自らが浮上しようとする力によって上記の各処理層を通過することとなる。これにより、油分がハウジング14の底部に留まることなく各油吸着材26a,26bに付着し易くなっている。
また、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)では、前述したように、両油水分離装置10a,10bを2つの固定具18Aによって釣支するようにして除湿装置3の筐体42における背面パネルX2の外表面に固定する構成が採用されている。したがって、油水分離システム1Aを筐体42の上方部位に固定することにより、両油水分離装置10の下方に十分なスペースを確保することが可能となっている。この場合、この油水分離システム1Aでは、上記したように、両油水分離装置10のフィルタエレメント13は、その下端部から上端部までの距離L3が315mmとなっている。また、この油水分離システム1Aでは、両油水分離装置10におけるハウジング14の上端部からドレン口15の下端部までの距離L4が400mmとなっている。したがって、両油水分離装置10の下方に確保されるスペースの高さ方向の距離L5(図2,3)が、上記の距離L4と等しい400mm以上(すなわち、油水分離装置10におけるハウジング14の上端部と床面X1と間の距離L1(図2,3参照)が上記の距離L3および距離L4の和である715mm以上)となるように油水分離システム1A(両油水分離装置10)を筐体42に固定することにより、フィルタエレメント13をベース部11に取り付けた状態を維持しつつ、ハウジング14を下方に移動させてベース部11から容易に取り外すことが可能となる。
この場合、ベース部11からのハウジング14の取り外しに際して、バンド17を十分に拡げることができるように作業スペースを確保するためには、両油水分離装置10を固定する壁面(この例では、筐体42における背面パネルX2の外表面)とベース部11およびハウジング14との間の距離L2(図2,4参照)が30mm以上となっているのが好ましい。これにより、バンド17を十分に拡げてベース部11からハウジング14を容易に取り外すことが可能となる。これにより、ベース部11に取り付けられているフィルタエレメント13を容易に取り外すことが可能となる。この際に、両油水分離装置10の下方に十分な広さのスペースが確保されているため、フィルタエレメント13から滴り落ちるドレン水を収容するための容器(図示せず)を油水分離装置10の下方に設置した状態でフィルタエレメント13の交換作業を実施することができる。
なお、ベース部11からハウジング14を取り外した後にベース部11からフィルタエレメント13を取り外す際には、上記したように、両油水分離装置10の下方のスペースにおける高さ方向の距離L5が400mm以上必要となるが、例えば、ベース部11に対するハウジング14の連結を解除して、ハウジング14をベース部11に対して下方に向けて僅かに移動させた状態において、ハウジング14内にフィルタエレメント13を落下させるようにして、ベース部11からフィルタエレメント13を取り外すこともできる。このような取り外し方法を採用する場合においては、フィルタエレメント13の上端部(例えば、蓋体22の外周部)に触れることができる状態までハウジング14を下方に移動させるだけで済むため、両油水分離装置10の下方のスペースにおける高さ方向の距離L5が100mm程度あれば、ベース部11からフィルタエレメント13を取り外すことが可能となる。
この場合、前述したように、フィルタエレメント13が非常に軽量に構成されているため、両油水分離装置10のフィルタエレメント13の交換時には、フォークリフト等の重機が不要となるだけでなく、1人の作業員で作業したとしても、30分以下で作業を完了することが可能となっている。なお、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)の油水分離装置10で採用されているフィルタエレメント13は、出願人が開示している従来のエアドライヤにおける油水分離装置のフィルタエレメントよりも小型となっている。したがって、その交換頻度は、従来の装置よりもある程度多くなる可能性がある。
しかしながら、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)では、処理対象のドレン水が両油水分離装置10a,10bを順に通過する際に段階的に処理される構成が採用されている。具体的には、この油水分離システム1Aでは、前述したように、処理対象のドレン水が、油水分離装置10a内のフィルタエレメント13aを通過する際に粗処理された後に、油水分離装置10b内のフィルタエレメント13bを通過する際に本処理される。したがって、油水分離装置10a内の粗処理用のフィルタエレメント13aは、処理対象のドレン水に含まれている比較的大きな油分や異物だけを除去して細かな油分や異物は通過させるため、十分に長い期間に亘って浄化能力を維持することが可能となっている。また、油水分離装置10b内の本処理用のフィルタエレメント13bは、油水分離装置10a内のフィルタエレメント13aによって粗処理されたドレン水(比較的大きな油分や異物が除去されたドレン水)に含まれている細かな油分や異物だけを除去するだけで済むため、上記のフィルタエレメント13aと同様にして、十分に長い期間に亘って浄化能力を維持することが可能となっている。この場合、処理を完了したドレン水の油分の濃度が基準値を超えた状態においては、そのドレン水を下水道等に排出することができず、産業廃棄物として通常の下水とは別個に処理する必要が生じる。したがって、油分の濃度が基準値以下となる処理能力を維持することは、非常に大きな意味がある。
また、上記したように、この圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1)では、フィルタエレメント13を非常に短時間で容易に交換することができるため、つまり、メンテナンス性が向上されているため、交換作業時の人的負荷や時間的負荷が十分軽減されている。さらに、上記のように交換作業が容易であるため、フィルタエレメント13のフィルタリング能力が大きく低下する前に、短期間で定期的に交換することが可能となっている。また、この圧縮空気除湿システムS1Aでは、前述したように、除湿装置3の筐体42における排熱孔42aの近傍に両油水分離装置10a,10bを固定している。このため、圧縮空気除湿システムS1Aの稼働時には、筐体42内の冷凍装置41(圧縮器41aや凝縮器41d)からの排熱が排熱孔42aを通過して両油水分離装置10a,10bに伝熱することとなる。したがって、ドレン水の凍結を招くような冬期においても、両油水分離装置10a,10bが除湿装置3からの排熱によって暖められる。
一方、特許第3541886号公報には、油水を分離する油分離槽(10)と、エマルジョン破壊をおこさせるフィルターエレメント(22)が配設された異物捕捉槽(20)と、エマルジョン破壊粒子付吸着材(32)、油吸着材(33)および活性炭(34)が配設されたエマルジョン破壊油吸着槽(30)とを備えた油水分離装置(1A)が開示されている。この場合、この油水分離装置(1A)では、上記の油分離槽(10)、異物捕捉槽(20)およびエマルジョン破壊油吸着槽(30)がそれぞれ別体に構成されると共に、油分離槽(10)と異物捕捉槽(20)とが接続管(272)によって相互に接続され、かつ異物捕捉槽(20)とエマルジョン破壊油吸着槽(30)とが接続管(273)によって相互に接続されている。したがって、この油水分離装置(1A)では、油分離槽(10)において分離された油分と水分とが接続管(272)を通過する際に、エマルジョン化したり、異物捕捉槽(20)においてエマルジョン破壊された油分と水分とが接続管(273)を通過する際に再びエマルジョン化したりするおそれがある。
このため、この油水分離装置(1A)では、ドレン水の流路における末端に位置するエマルジョン破壊油吸着槽(30)内にエマルジョン破壊粒子付吸着材(32)の層を幾重にも設ける必要が生じており、その製造コストが高騰するおそれがあると共に、エマルジョン破壊油吸着槽(30)内において十分にエマルジョン破壊できなかったエマルジョンが処理済みのドレン水として水分と共に排出されるおそれがある。また、ドレン水の流路が非常に長い上記の油水分離装置(1A)では、ドレン水に加わっている圧力の損失(ドレン水の圧送力の低下)が非常に大きくなっている。このため、エマルジョンや油分を含んだドレン水が、複数の処理層を幾重にも重ねた上記のエマルジョン破壊油吸着槽(30)内を通過するのが容易ではないことに起因して、浄化処理がスムーズにできないおそれがある。
これに対して、この油水分離システム1(油水分離装置10におけるフィルタエレメント13)では、上記したように、エマルジョン破壊を目的とした不織布25の層と、油分を吸着するための油吸着材26a,26b(または油吸着材26bのみ)とが1つのフィルタエレメント用容器20内に収容されている。したがって、この油水分離システム1Aでは、不織布25の層を通過する際にエマルジョン破壊で生じた油分が再びエマルジョン化する前に油吸着材26に付着して取り除かれる。また、ドレン水の流路を十分に短くすることができるため、ドレン水に加わっている圧力の損失を十分に低減することができる結果、スムーズかつスピーディな浄化処理が可能となっている。
このように、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aでは、フィルタエレメント13a(粗処理用フィルタエレメント)が取り付けられた油水分離装置10a、およびフィルタエレメント13b(本処理用フィルタエレメント)が取り付けられた油水分離装置10bが連結用配管5cを介して相互に連結されると共に、両油水分離装置10a,10bにおける各配管接続部12a,12bおよび各ベース部11の6つのうちの少なくとも1つ(この例では、油水分離装置10aの配管接続部12aと、油水分離装置10bの配管接続部12bの2つ)に、両油水分離装置10a,10bを釣支して壁面および天井面のいずれか(この例では、除湿装置3における筐体42の背面パネルX2:壁面の一例)に固定するための固定具18Aが取り付けられている。
したがって、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、油水分離装置10a,10bの2つ備えたことにより、油水分離装置10aのフィルタエレメント13aで除去し切れなかった油分や異物を油水分離装置10bのフィルタエレメント13bによって確実に除去することができるだけでなく、従来のエアドライヤとは異なり、フィルタエレメント13a,13bの交換に際して筐体42を取り外す作業や分離装置本体(この例では、ベース部11等)を取り外す作業を不要とすることができる結果、交換作業を短時間でしかも容易に実行することができる。また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、両油水分離装置10a,10bを壁面(この例では、筐体42の背面パネルX2の外表面)に取り付けたことによって両油水分離装置10a,10bの下方に十分に広いスペースを確保することができる。したがって、交換作業時にハウジング14やフィルタエレメント13a,13bをベース部11に対して下方に移動させるだけでベース部11から容易に取り外すことができるため、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、油分等を吸着してフィルタエレメント13a,13bの重量が増加した状態においても容易に交換することができる。また、両油水分離装置10a,10bによって貴重な設置スペースが占有される事態を回避して、両油水分離装置10a,10b油水分離システム1Aの下方に確保されるスペースを有効活用することができる。
また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、シート状吸着材および短冊状吸着材の少なくとも一方(この例では、短冊状に裁断したポリプロピレンの小片からなる油吸着材26a:短冊状吸着材)をフィルタエレメント用容器20内に油吸着材として充填して本発明における粗処理用フィルタエレメントに相当するフィルタエレメント13aを構成すると共に、細紐状吸着材および綿状吸着材の少なくとも一方(この例では、綿状に加工されたポリプロピレンからなる油吸着材26b:綿状吸着材)をフィルタエレメント用容器20内に油吸着材として充填して本発明における本処理用フィルタエレメントに相当するフィルタエレメント13bを構成したことにより、処理対象のドレン水が油水分離装置10aのフィルタエレメント13aを通過させられる際に、ドレン水に含まれている比較的大きな油分の塊が比較的大きな空隙を有する油吸着材26aに吸着されて除去されると共に、ある程度小さな塊の油分についてはフィルタエレメント13aにおいて除去することなく油水分離装置10bに処理させることで、フィルタエレメント13a(油吸着材26a)が短期間で目詰まりする事態を回避して十分に長い期間に亘ってフィルタエレメント13aの浄化能力を維持することができ、しかも、油水分離装置10aによって粗処理されたドレン水が油水分離装置10bのフィルタエレメント13bを通過させられる際に、ドレン水に含まれている小さな油分の塊が比較的小さな空隙を有する油吸着材26bに吸着されるため、処理対象のドレン水から油分を確実に除去することができる。また、別個独立したフィルタエレメント13a,13b(粗処理用フィルタエレメントおよび本処理用フィルタエレメント)を備えたこの油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、粗処理用フィルタエレメント用のフィルタエレメント用容器20に対する油吸着材26a等の充填量と、本処理用フィルタエレメント用のフィルタエレメント用容器20に対する油吸着材26b等の充填量とを別個に最適な量に規定することができるため、処理すべきドレン水の状態に応じてこれらを適宜規定することで、ドレン水の通過を大きく妨げることなく、しかも確実かつ短時間で油分を除去することができる。
さらに、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、フィルタエレメント用容器20におけるドレン水の流入口21aを閉塞するようにして不織布25(シート状のエマルジョン破壊材)を配設すると共に、シート状吸着材および短冊状吸着材の少なくとも一方(この例では、短冊状に裁断したポリプロピレンの小片からなる油吸着材26a:短冊状吸着材)を充填した第1の油吸着層と、細紐状吸着材および綿状吸着材の少なくとも一方(この例では、綿状に加工されたポリプロピレンからなる油吸着材26b:綿状吸着材)を充填した第2の油吸着層とを不織布25の層の上にこの順で設けてフィルタエレメント13aを構成したことにより、油吸着材に付着し難い(油吸着材によって除去し難い)エマルジョンが含まれている処理対象のドレン水が不織布25の層を通過する際にエマルジョン破壊(油分および水分の分離)されるため、処理対象のドレン水からエマルジョン化した油分を確実に取り除くことができるだけでなく、エマルジョン破壊された直後に、油吸着材26aによって油分が吸着されるため、エマルジョン破壊した油分および水分が再びエマルジョン化する事態を回避して油分を確実に取り除くことができる。また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、油吸着材26aの層において比較的大きな油分の塊だけが除去されるため、例えば不織布25の層の直ぐ後ろに油吸着材26bの層を設ける構成と比較して、油吸着材26aの層が短期間で目詰まりする事態を回避して十分に長い期間に亘ってフィルタエレメント13aの浄化能力を維持することができ、しかも、油吸着材26aの層において取り除くことができなかった油分を油吸着材26bの層において十分に取り除くことができる。
また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、フィルタエレメント用容器20におけるドレン水の流入口21aを閉塞するようにして不織布25(シート状のエマルジョン破壊材)を配設すると共に、細紐状吸着材および綿状吸着材の少なくとも一方(この例では、綿状に加工されたポリプロピレンからなる油吸着材26b:綿状吸着材)を充填した油吸着層を不織布25の層の上に設けてフィルタエレメント13bを構成したことにより、フィルタエレメント13aを通過する際に粗処理されたドレン水内にエマルジョンが含まれていたとしても、このドレン水が不織布25の層を通過する際にエマルジョン破壊(油分および水分の分離)されるため、ドレン水からエマルジョン化した油分を確実に取り除くことができるだけでなく、エマルジョン破壊された直後に、油吸着材26bによって油分が吸着されるため、エマルジョン破壊した油分および水分が再びエマルジョン化する事態を回避して油分を確実に取り除くことができる。
さらに、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、エマルジョン破壊材をアミン系のエマルジョン破壊材で構成したことにより、エマルジョン化した油分および水分を確実に破壊(油分と水分とに分離)することができる。
また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、両油水分離装置を壁面および天井面のいずれかに固定した状態において、処理対象のドレン水がハウジング内を上昇させられるときに粗処理用フィルタエレメントおよび本処理用フィルタエレメント内を通過するようにドレン水の流路を油水分離装置内に形成したことにより、油吸着材26a,26b(または、油吸着材26bのみ)に吸着させて除去すべき油分がハウジング14内を浮上する方向でドレン水を圧送することで、ドレン水から除去すべき油分をハウジング14の底面に沈殿させることなく、油吸着材26に対して確実に付着させることができる。
また、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、両油水分離装置10a,10bを固定具18Aによって除湿装置3の筐体42における側面パネル(この例では、背面パネルX2)の外表面に固定したことにより、両油水分離装置10a,10bの下方(すなわち、除湿装置3の設置場所の周囲)の設置スペースを有効活用することができる。
さらに、この油水分離システム1Aおよび圧縮空気除湿システムS1Aによれば、両油水分離装置10a,10bを側面パネル(この例では、背面パネルX2)の外表面における排熱孔42aの近傍に固定したことにより、排熱孔42aからの排熱によって両油水分離装置10a,10bを暖めることができるため、冬期に圧縮空気除湿システムS1Aを使用する際に両油水分離装置10a,10b内でドレン水が凍結する事態を回避することができる。
なお、上記の圧縮空気除湿システムS1Aの油水分離システム1Aでは、除湿装置3の筐体42における背面パネルX2の外表面に固定具18Aによって両油水分離装置10を固定する構成を採用しているが、例えば、エアコンプレッサ2や除湿装置3を設置した建物の壁面に固定具18Aによって両油水分離装置10を固定する構成を採用することもできる。このような構成においても、上記の油水分離システム1Aや圧縮空気除湿システムS1Aと同様にして、従来のエアドライヤとは異なり、フィルタエレメント13の交換に際して筐体42を取り外す作業を不要とすることができる結果、交換作業を短時間でしかも容易に実行することができる。また、両油水分離装置10を壁面に取り付けたことによって両油水分離装置10の下方に十分に広いスペースを確保することができる。したがって、交換作業時にハウジング14やフィルタエレメント13をベース部11に対して下方に移動させるだけでベース部11から容易に取り外すことができるため、油分等を吸着してフィルタエレメント13の重量が増加した状態においても容易に交換することができる。また、両油水分離装置10によって貴重な設置スペースが占有される事態を回避して、両油水分離装置10の下方に確保されるスペースを有効活用することができる。
また、図8に示す圧縮空気除湿システムS1Bにおける油水分離システム1Bでは、両油水分離装置10を2つの固定具18Bによって天井面X3(一例として、圧縮空気除湿システムS1Bを設置した建物の天井)から釣り下げるようにして固定する構成を採用している。なお、この圧縮空気除湿システムS1Bおよび油水分離システム1Bにおいて前述した圧縮空気除湿システムS1Aおよび油水分離システム1Aと同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。この圧縮空気除湿システムS1B(油水分離システム1B)では、上記の圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)における固定具18Aに代えて、油水分離システム1B(両油水分離装置10)を天井面X3に固定するための2つの固定具18Bを備えている。
この場合、固定具18Bは、油水分離装置10aの配管接続部12a、および油水分離装置10bの配管接続部12bの2カ所をそれぞれ保持して天井面X3に固定する構成が採用されている。具体的には、図9に示すように、固定具18Bは、配管接続部12a(または、配管接続部12b)を締め付けた状態で保持するためのU字ステー31と、側面視コ字状のブラケット32bと、ブラケット32bに対してU字ステー31を固定するためのボルト33と、配管接続部12a(12b)およびU字ステー31の間に配設された緩衝材34(一例として、弾性樹脂またはゴム)とを備えて構成されている。なお、この固定具18Bでは、ブラケット32bにおける下側の水平延出部の下方に配管接続部12a(12b)を配置してU字ステー31等によって釣支する構成を採用しているが、ブラケット32bにおける下側の水平延出部の上方に配管接続部12a(12b)を載置するようにしてU字ステー31によって締め付けた状態で保持する構成を採用することもできる。
この圧縮空気除湿システムS1B(油水分離システム1B)では、上記したように、両油水分離装置10を2つの固定具18Bによって釣支するようにして天井面X3に固定する構成が採用されている。このため、上記した圧縮空気除湿システムS1A(油水分離システム1A)と同様にして、両油水分離装置10の下方に十分なスペースを確保することが可能となっている。したがって、図8に示すように、両油水分離装置10の下方に例えば除湿装置3を設置して設置スペースを有効活用することが可能となっている。この場合、両油水分離装置10の下方に確保されるスペースの高さ方向の距離L5(この例では、油水分離装置10の下端部と除湿装置3における筐体42の天板上面X1aとの間の距離)が、前述した距離L4と等しい400mm以上となるように両油水分離装置10を天井面X3に固定することにより、フィルタエレメント13をベース部11に取り付けた状態を維持しつつ、ハウジング14を下方に移動させてベース部11から容易に取り外すことが可能となる。
なお、ベース部11からハウジング14を取り外した後にベース部11からフィルタエレメント13を取り外す際には、上記したように、両油水分離装置10の下方のスペースにおける高さ方向の距離L5が400mm以上必要となるが、例えば、ベース部11に対するハウジング14の連結を解除して、ハウジング14をベース部11に対して下方に向けて僅かに移動させた状態において、ハウジング14内にフィルタエレメント13を落下させるようにして、ベース部11からフィルタエレメント13を取り外すこともできる。このような取り外し方法を採用する場合においては、上記したように、フィルタエレメント13の上端部(例えば、蓋体22の外周部)に触れることができる状態までハウジング14を下方に移動させるだけで済むため、両油水分離装置10の下方のスペースにおける高さ方向の距離L5が100mm程度あれば、ベース部11からフィルタエレメント13を取り外すことが可能となる。
また、両油水分離装置10の下方に除湿装置3等を設置しない場合においては、両油水分離装置10が過剰に高い位置に固定されているときに、フィルタの交換作業に際して踏み台等が必要となり、交換作業が煩雑となるおそれがある。したがって、例えば、作業者の平均的な身長を1.7mとしたときに、ハウジング14の上端部と床面X1との間の距離L1aが1.5m±40cmの範囲内となるように両油水分離装置10を固定具18Bによって天井面X3に取り付けることにより、踏み台等を使用することなく、ベース部11からハウジング14やフィルタエレメント13を取り外すことが可能となる。
このように、この油水分離システム1Bおよび圧縮空気除湿システムS1Bでは、フィルタエレメント13a(粗処理用フィルタエレメント)が取り付けられた油水分離装置10a、およびフィルタエレメント13b(本処理用フィルタエレメント)が取り付けられた油水分離装置10bが連結用配管5cを介して相互に連結されると共に、両油水分離装置10a,10bにおける各配管接続部12a,12bおよび各ベース部11の6つのうちの少なくとも1つ(この例では、油水分離装置10aの配管接続部12aと、油水分離装置10bの配管接続部12bの2つ)に、両油水分離装置10a,10bを釣支して壁面および天井面のいずれか(この例では、除湿装置3等を設置した建物の天井面X3)に固定するための固定具18Bが取り付けられている。
したがって、この油水分離システム1Bおよび圧縮空気除湿システムS1Bによれば、油水分離装置10a,10bの2つ備えたことにより、油水分離装置10aのフィルタエレメント13aで除去し切れなかった油分や異物を油水分離装置10bのフィルタエレメント13bによって確実に除去することができるだけでなく、従来のエアドライヤとは異なり、フィルタエレメント13a,13bの交換に際して除湿装置3の筐体42など取り外す作業や分離装置本体(この例では、ベース部11等)を取り外す作業を不要とすることができる結果、交換作業を短時間でしかも容易に実行することができる。また、この油水分離システム1Bおよび圧縮空気除湿システムS1Bによれば、両油水分離装置10を天井面X3(この例では、除湿装置3等を設置した建物の天井面X3)に取り付けたことによって両油水分離装置10a,10bの下方に十分に広いスペースを確保することができる。したがって、交換作業時にハウジング14やフィルタエレメント13a,13bをベース部11に対して下方に移動させるだけでベース部11から容易に取り外すことができるため、この油水分離システム1Bおよび圧縮空気除湿システムS1Bによれば、油分等を吸着してフィルタエレメント13a,13bの重量が増加した状態においても容易に交換することができる。また、両油水分離装置10a,10bによって貴重な設置スペースが占有される事態を回避して、両油水分離装置10a,10bの下方に確保されるスペースを有効活用することができる。
また、上記の圧縮空気除湿システムS1A,S1B(油水分離システム1A,1B)では、配管接続部12a,12bに固定具18A,18Bを取り付けた構成を採用しているが、ベース部11に固定具18A,18Bに相当する固定具を取り付けて壁面や天井面X3に固定する構成を採用することもできる。加えて、上記の例では、エアコンプレッサ2や除湿装置3から供給されるドレン水を本発明における処理対象のドレン水として分離処理する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、エアコンプレッサ2と除湿装置3との間の圧縮空気供給用配管4aや、除湿装置3と供給対象体との間の圧縮空気供給用配管4bにおいて生じるドレン水(結露水)を分離処理できるようにドレン水供給用配管5aを接続して圧縮空気除湿システムS1A,S1Bに供給する構成を採用することができる。