JP5440760B2 - 変倍光学系、この変倍光学系を有する光学機器 - Google Patents

変倍光学系、この変倍光学系を有する光学機器 Download PDF

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Description

本発明は、変倍光学系、この変倍光学系を有する光学機器に関する。
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また近年、変倍光学系に対しては、収差性能だけではなく、光学性能を損なう要因の一つであるゴーストやフレアに関する要求も厳しさを増しており、そのためレンズ面に施される反射防止膜にもより高い性能が要求され、要求に応えるべく多層膜設計技術や多層膜成膜技術も進歩を続けている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2006−227526号公報 特開2000−356704号公報
しかしながら、従来の変倍光学系では、構成レンズ枚数が多くなり、コンパクト性が損なわれ、また、高変倍化を図ると、光学性能の劣化が著しく、満足できる性能のものがないという課題があった。これに加えて、従来の変倍光学系では、光学面から光学性能に影響を与えるゴーストやフレアとなる反射光が発生しやすいという問題もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、コンパクトで高変倍でありながら、ゴーストやフレアを低減させ、良好な光学性能を達成することができる、変倍光学系、この変倍光学系を有する光学機器を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式0.65<(−f2)/f3<0.90及び0.58≦f2/f4<0.75の条件を満足し、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備える。
また、本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、前記第5レンズ群の焦点距離をf5としたとき、次式0.65<(−f2)/f3<0.90、0.42<f2/f4<0.75及び1.48≦f5/(−f4)<2.00の条件を満足し、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備える。
また、本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、前記第5レンズ群の焦点距離をf5としたとき、次式0.65<(−f2)/f3<0.90、0.55<f2/f4<0.75及び1.40<f5/(−f4)<2.00の条件を満足し、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備える。
また、本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第4レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx4とし、前記第3レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx3としたとき、次式0.65<(−f2)/f3<0.90、0.55<f2/f4<0.75及び0.65<x4/x3<0.90の条件を満足し、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備える。
本発明に係る変倍光学系において、前記第5レンズ群の焦点距離をf5とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式1.20<f5/(−f4)<2.00の条件を満足することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第4レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx4とし、前記第3レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx3としたとき、次式0.65<x4/x3<0.90の条件を満足することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、前記反射防止膜は多層膜であり、前記多層膜の最表面層は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層であることが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線における屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、開口絞りを前記第3レンズ群の近傍または内部に配置し、前記反射防止膜が設けられた光学面は、前記開口絞りから見て凹面であることが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第5レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx5としたとき、次式0.70<x5/(−f2)<2.10の条件を満足することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群が像側から物体側に移動することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第5レンズ群が像側から物体側に移動することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、前記第2レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、近距離物点への合焦を行うことが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、前記第2レンズ群は、非球面形状のレンズ面を有することが好ましい。
本発明に係る変倍光学系において、前記第3レンズ群は、少なくとも1つの正レンズ成分を含み、前記正レンズ成分のうち最も屈折率の高い正レンズ成分の媒質のd線における屈折率をnd3bとしたとき、次式1.70<nd3b<1.85の条件を満足することが好ましい。
本発明に係る光学機器は、上記いずれかの変倍光学系を有する。
本発明の変倍光学系、この変倍光学系を有する光学機器によれば、コンパクトで高変倍でありながら、ゴーストやフレアを低減させ、良好な光学性能を達成することができる。
第1実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態における諸収差図であり、(a)は広角端状態での無限遠合焦状態における収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第1実施例の中間撮影距離状態での無限遠合焦状態における収差図である。 第1実施例の望遠端状態での無限遠合焦状態における諸収差であり、(a)は望遠端状態での無限遠撮影状態における収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第1実施例に係る変倍光学系において、入射光線が第1番目のゴースト発生面と第2番目のゴースト発生面で反射する様子を説明する図である。 第2実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態における諸収差図であり、(a)は広角端状態での無限遠合焦状態における収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第2実施例の中間撮影距離状態での無限遠合焦状態における収差図である。 第2実施例の望遠端状態での無限遠合焦状態における諸収差であり、(a)は望遠端状態での無限遠撮影状態における収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第3実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態における諸収差図であり、(a)は広角端状態での無限遠合焦状態における収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第3実施例の中間撮影距離状態での無限遠合焦状態における収差図である。 第3実施例の望遠端状態での無限遠合焦状態における諸収差であり、(a)は望遠端状態での無限遠撮影状態における収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第4実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。 第4実施例の広角端状態での無限遠合焦状態における諸収差図であり、(a)は広角端状態での無限遠合焦状態における収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 第4実施例の中間撮影距離状態での無限遠合焦状態における収差図である。 第4実施例の望遠端状態での無限遠合焦状態における諸収差であり、(a)は望遠端状態での無限遠撮影状態における収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。 本実施形態に係る変倍光学系を搭載するデジタル一眼レフカメラの断面図を示す。 本実施形態に係る変倍光学系の製造方法を説明するためのフローチャートである。 本実施例に係る反射防止膜の構造を示す説明図である。 本実施例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本変倍光学系ZL(ZL1)は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを有して構成される。そして、これらレンズ群G1〜G5の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部を、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動させる。また、変倍光学系ZLは、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が変化し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が変化し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が変化する。
上記構成を有する変倍光学系ZLにおいて、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とし、第4レンズ群G4の焦点距離をf4としたとき、以下に示す条件式(1)及び(2)を満足することが望ましい。
0.65 < (−f2)/f3 < 0.90 … (1)
0.42 < f2/f4 < 0.90 … (2)
条件式(1)は、第2レンズ群G2の焦点距離に対する第3レンズ群G3の焦点距離を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(1)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(1)の上限値を上回ると、第3レンズ群G3の屈折力が強くなり、望遠端状態における球面収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.80にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、第2レンズ群G2の屈折力が強くなり、広角端状態における非点収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.67にすることが好ましく、第2レンズ群G2の屈折力を適切に設定することができ、変倍時のコマ収差変動を小さくできる。
条件式(2)は、第2レンズ群G2の焦点距離に対する第4レンズ群G4の焦点距離を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(2)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(2)の上限値を上回ると、第2レンズ群G2の屈折力が弱くなり、所定の変倍比を得るために第1レンズ群G1を大きく繰り出さなければならず、製造後の像面湾曲及び非点収差が劣化するため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を0.75にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の上限値を0.65にすることが好ましい。反対に、条件式(2)の下限値を下回ると、第4レンズ群G4の屈折力が弱くなり、変倍時の像面湾曲の変動を補正することが困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を0.50にすることが好ましく、第2レンズ群G2の屈折力を適切に設定することができ、変倍時のコマ収差変動を小さくできる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(2)の下限値を0.55にすることが好ましい。
さらに、本変倍光学系ZLは、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜が施された構成となっている。なお、前記反射防止膜は多層膜であり、この多層膜の最表面層はウェットプロセスを用いて形成された層であることが好ましい。この構成とすることで、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本変倍光学系ZLでは、前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線(波長587.6nm)における屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足することが好ましい。この条件式を満足することで、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本変倍光学系ZLでは、開口絞りを前記第3レンズ群の近傍または内部に配置し、前記反射防止膜が設けられた光学面は、前記開口絞りから見て凹面であることが好ましい。開口絞りに対して凹面にゴーストが発生し易いため、この構成により、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
なお、反射防止膜は、ウェットプロセスに限らず、(ドライプロセス等により)屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにしてもよい。このように構成しても、ウェットプロセスを用いた場合と同様の効果を得ることができる。なおこの時、屈折率が1.30以下になる層は、多層膜を構成する層のうち最表面層であることが望ましい。
また、本変倍光学系ZLは、第5レンズ群G5の焦点距離をf5としたとき、以下に示す条件式(3)を満足することが望ましい。
1.20 < f5/(−f4) < 2.00 … (3)
条件式(3)は、第5レンズ群G5の焦点距離に対する第4レンズ群G4の焦点距離を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(3)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(3)の上限値を上回ると、第4レンズ群G4の屈折力が強くなり、望遠端状態におけるコマ収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を1.80にすることが好ましく、第4レンズ群G4の屈折力を適切に設定することができ、望遠端状態におけるコマ収差を小さくできる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の上限値を1.60にすることが好ましい。反対に、条件式(3)の下限値を下回ると、第5レンズ群G5の屈折力が強くなり、広角端状態における非点収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を1.20にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(3)の下限値を1.40にすることが好ましい。
また、本変倍光学系ZLは、像側から物体側への移動量を正とした場合、第5レンズ群G5の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx5としたとき、以下に示す条件式(4)を満足することが望ましい。なお、条件式(4)においては、像側から物体側への移動量を正とし、物体側から像側への移動量を負として計算を行っている。これらは、以降の条件式(5)においても同様である。
0.70 < x5/(−f2) < 2.10 … (4)
条件式(4)は、第5レンズ群G5の移動量に対する第2レンズ群G2の焦点距離を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(4)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(4)の上限値を上回ると、第2レンズ群G2の屈折力が強くなり、広角端状態における非点収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を1.90にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(4)の上限値を1.70にすることが好ましい。反対に、条件式(4)の下限値を下回ると、第5レンズ群G5の移動量が小さくなり、各レンズ群の屈折力を強く設定しなければならず、高次のコマ収差が発生し性能が劣化するため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を0.90にすることが好ましく、第5レンズ群G5の移動量を適切に設定することができ、所定の変倍比を確保しつつ、より高次のコマ収差を補正できる。また、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を1.10にすることが好ましい。
また、変倍光学系ZLは、像側から物体側への移動量を正とした場合、第4レンズ群G4の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx4とし、第3レンズ群G3の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx3としたとき、以下に示す条件式(5)を満足することが望ましい。
0.65 < x4/x3 < 0.90 … (5)
条件式(5)は、第4レンズ群G4の移動量に対する第3レンズ群G3の移動量を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(5)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(5)の上限値を上回ると、第3レンズ群G3の移動量が小さくなり、望遠端状態における球面収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を0.82にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の上限値を0.78にすることが好ましい。反対に、条件式(5)の下限値を下回ると、第4レンズ群G4の移動量が小さくなり、変倍時の像面湾曲の変動とコマ収差の変動を補正することが困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を0.68にすることが好ましく、変倍時の像面湾曲の変動とコマ収差の変動を小さくできる。また、本実施形態の効果を更に確実にするために、条件式(5)の下限値を0.70にすることが好ましい。
また、本変倍光学系ZLは、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、第1レンズ群G1が像側から物体側に移動することが好ましい。これにより、球面収差と像面湾曲の変動を効果的に補正しつつ、所定の変倍比を確保することができる。
また、本変倍光学系ZLは、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、第5レンズ群G5が像側から物体側に移動することが好ましい。これにより、球面収差と像面湾曲の変動を効果的に補正しつつ、所定の変倍比を確保することができる。
また、本変倍光学系ZLは、第2レンズ群G2の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、近距離物点への合焦を行うことが望ましい。これにより、合焦時の球面収差、像面湾曲等の収差変動を効果的に補正することができる。
また、本変倍光学系ZLにおいて、第2レンズ群G2は、非球面形状のレンズ面を有することが望ましい。これにより、広角端状態における歪曲収差と像面湾曲を同時に補正することができる。
また、本変倍光学系ZLおいて、第3レンズ群G3は、少なくとも1つの正レンズ成分を含み、正レンズ成分のうち最も屈折率の高い正レンズ成分の媒質のd線における屈折率をnd3bとしたとき、以下に示す条件式(6)を満足することが望ましい。
1.70 < nd3b < 1.85 … (6)
条件式(6)は、第3レンズ群G3中の最も屈折率の高い正レンズ成分の媒質のd線における屈折率を規定するための条件式である。本変倍光学系ZLは、この条件式(6)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。条件式(6)の上限値を上回ると、ペッツバール和が小さくなり、広角端状態における像面湾曲の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の上限値を1.80にすることが好ましく、媒質の屈折率を適切に設定することができ、広角端状態における像面湾曲をより良好に補正することができる。反対に、条件式(6)の下限値を下回ると、正レンズ成分の曲率が強くなり、望遠端状態で高次の球面収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を1.75にすることが好ましく、より良い光学性能を実現することができる。
図18に、上述の変倍光学系ZLを備える光学機器として、デジタル一眼レフカメラ1(以後、単にカメラと記す)の略断面図を示す。このカメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2(変倍光学系ZL)で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして、焦点板4に結像された光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へと導かれる。これにより、撮影者は、物体(被写体)像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、撮影レンズ2で集光された不図示の物体(被写体)の光は撮像素子7上に被写体像を形成する。これにより、物体(被写体)からの光は、当該撮像素子7により撮像され、物体(被写体)画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による物体(被写体)の撮影を行うことができる。なお、図18に記載のカメラ1は、変倍光学系ZLを着脱可能に保持するものでも良く、変倍光学系ZLと一体に成形されるものでも良い。また、カメラ1は、いわゆる一眼レフカメラでも良く、クイックリターンミラー等を有さないコンパクトカメラでも良い。
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
本実施形態の変倍光学系ZLは、5群構成の変倍光学系ZLを示したが、以上の構成条件等は、6群構成にも適用可能であり、更に、7群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。特に、前述したように第2レンズ群G2の少なくとも一部を合焦レンズ群とするのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第3レンズ群G3の少なくとも一部、または第4レンズ群G4の少なくとも一部を防振レンズ群とするのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、レンズ面が、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を妨げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしても良い。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、開口絞りSが第3レンズ群G3近傍または第3レンズ群G3の内部に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、変倍比が3.5〜10程度である。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第1レンズ群G1が正のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。または、第1レンズ群G1が正のレンズ成分を2つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、負正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第2レンズ群G2が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を3つ有するのが好ましい。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、負負正負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3が正のレンズ成分を3つ有するのが好ましい。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、正正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。または、第3レンズ群G3が正のレンズ成分を3つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、正負正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第4レンズ群G4が負のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、負負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。または、第4レンズ群G4が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、正負負の順番にレンズ成分を配置するのが好ましい。
また、本実施形態の変倍光学系ZLは、第5レンズ群G5が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、正負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
なお、本発明を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
以下、本実施形態の変倍光学系ZLの製造方法の概略を、図19を参照して説明する。まず、各レンズを配置してレンズ群をそれぞれ準備する(ステップS100)。具体的に、本実施形態では、例えば、図1に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を配置して第1レンズ群G1とし、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24を配置して第2レンズ群G2とし、物体側から順に、両凸正レンズL31、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、及び、両凸レンズL34を配置して第3レンズ群G3とし、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズのL42接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43を配置して第4レンズ群G4とし、物体側から順に、両凸レンズL51、及び、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズを配置して第5レンズ群G5とする。なお、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2における光学面のうち少なくとも1面には、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜が施されている。具体的には、前記反射防止膜は、負メニスカスレンズL21における物体側のレンズ面と、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に施されている。
この際、これらのレンズ群G1〜G5の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部を、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動可能に配置する(ステップS200)。また、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が変化し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が変化し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が変化し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が変化するように各レンズ群を配置する(ステップS300)。
そして、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とし、第4レンズ群G4の焦点距離をf4としたとき、以下に示す条件式(1)及び(2)を満足するように配置する(ステップS400)。
0.65 < (−f2)/f3 < 0.90 … (1)
0.42 < f2/f4 < 0.90 … (2)
以下、各実施例について図面に基づき説明する。図1、図6、図10及び図14は、第1実施例〜第4実施例に係る変倍光学系ZL(ZL1〜ZL4)の構成及び屈折力配分並びに無限遠合焦状態から近距離合焦状態への合焦状態の変化における各レンズ群の移動の様子を示す断面図である。
図1、図6及び図10に示すように、第1実施例〜第3実施例に係る変倍光学系ZL(ZL1〜ZL3)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少するように、各レンズ群の間隔が変化する。
また、図14に示すように、第4実施例に係る変倍光学系ZL(ZL4)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群とから構成されている。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が減少し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との空気間隔が増大するように、各レンズ群の間隔が変化する。
以下に、各実施例における諸元の値を掲げる。[全体諸元]において、fは全系の焦点距離を、FNOはFナンバーを、ωは半画角を、Bfはバックフォーカスを示す。また、全長は、無限遠合焦時のレンズ面の第1面から像面Iまでの光軸上の距離を表す。
[レンズデータ]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数を、ndはd線に対する屈折率を示す。また、レンズ面が非球面である場合には、面番号に*印を付し、曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示す。なお、曲率半径の「0.0000」は平面又は開口を示す。また、空気の屈折率「1.00000」の記載は省略している。[レンズ群焦点距離データ]において、各群の開始面及び焦点距離を示す。
[可変間隔データ]においては、変倍光学系ZL(ZL1〜ZL4)の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データを挙げ、d1は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔を、d2は第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔を、d3は第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔を、d4は第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔を、(第4実施例のみ、d5は第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔を)示す。なお、いずれの実施例においても、軸上空気間隔d1〜d4(d5)は変倍に際して変化している。[条件式対応値]において、上記の条件式(1)〜(6)に対応する値を示す。
[非球面データ]には、[レンズデータ]に示した非球面について、その形状を次式(a)で示す。すなわち、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で示している。なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。また、「E-n」は、「×10-n」を表す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。
S(y)=(y2/r)/{1+(1−κ・y2/r21/2
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 …(a)
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている、焦点距離、曲率半径、面間隔、その他の長さの単位は、一般に「mm」が使われている。但し、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
以上の説明は、他の実施例においても同様とする。
(第1実施例)
第1実施例について、図1〜図5及び表1〜表4を用いて説明する。図1は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の構成を示す図である。図1に示す、第1実施例に係る変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は、像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。無限遠から0.45mまでの合焦に際して、この第2レンズ群G2が像側から物体側へ、広角端で1.8mm、望遠端で6.2mm移動する。
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸レンズL31、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、及び、両凸レンズL34から構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43から構成されている。
第5レンズ群G5は、物体側から順に並んだ、両凸レンズL51、及び、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズから構成され、最も物体側に位置する両凸レンズL51は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズ(両凸レンズL31)の像側に隣接して位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
無限遠から近距離物点への合焦は、第2レンズ群G2を物体方向に移動させて行う。像ブレ補正(防振)は、第4レンズ群G4の接合レンズを光軸と略垂直方向の成分を持つように移動させることにより行う。
なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(ぶれ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の移動レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい。第1実施例の広角端状態においては、防振係数は0.98であり、焦点距離は24.6(mm)であるので、0.64°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.28(mm)である。第1実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.47であり、焦点距離は117.1(mm)であるので、0.29°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.40(mm)である。
以下の表1に、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の各諸元の値([全体諸元]、[レンズデータ]及び[レンズ群焦点距離データ])を掲げる。表1における面番号1〜31は、図1に示す面1〜31に対応している。
(表1)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.6 〜 50.6 〜 117.1
FNO = 4.1 〜 4.1 〜 4.1
2ω = 85.4 〜 45.1 〜 20.4
全長 = 145.9 〜 162.0 〜 190.8
Bf = 38.4 〜 49.7 〜 65.7
[レンズデータ]
面番号 r d νd nd
1 214.7722 2.0000 23.77 1.846660
2 87.5000 7.4635 67.87 1.593189
3 -1279.2497 0.1000
4 58.9352 5.2795 52.29 1.755000
5 147.0393 (d1)
6* 244.7505 1.3500 42.72 1.834810
7 15.8707 7.5000
8 -34.1921 1.0000 42.72 1.834810
9 -306.6108 0.1000
10 64.5088 4.7500 23.77 1.846660
11 -28.6256 0.5082
12 -24.9541 1.0000 40.94 1.80610
13* -142.4696 (d2)
14 53.3000 2.5581 52.29 1.755000
15 -319.1136 1.4000
16 0.0000 0.5000 (開口絞りS)
17 31.1069 2.0000 23.77 1.846660
18 17.5705 7.2500 70.45 1.487490
19 -90.7232 0.1000
20 40.8460 2.7000 67.87 1.593189
21 -3872.3835 (d3)
22 -56.1850 3.3307 32.35 1.850260
23 -16.8047 1.0000 52.29 1.755000
24 69.3978 2.7459
25 -49.7769 1.0000 52.29 1.755000
26 -208.3941 (d4)
27* 131.4027 5.5000 61.18 1.589130
28 -24.1216 0.1000
29 471.8066 6.6400 70.45 1.487490
30 -20.9950 1.2000 32.35 1.850260
31 -99.6677 (Bf)
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 始面 焦点距離
G1 1 107.1
G2 6 -18.1
G3 14 25.3
G4 22 -30.3
G5 27 45.4
第1実施例において、第6面、第13面、及び、第27面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。次の表2に、非球面データ、すなわち頂点曲率半径R、円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
(表2)
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10
第6面 1.0000 9.85080E-06 -2.64620E-08 4.20250E-11 -2.74520E-14
第13面 10.0000 -9.97690E-07 -1.34120E-08 -3.09280E-11 1.00000E-14
第27面 -30.0000 -1.12040E-05 1.08940E-08 -4.34270E-11 9.85800E-14
第1実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔d4は、変倍に際して変化する。次の表3に、可変間隔データ、すなわち無限遠及び近距離物点での広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表3)
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.9 22.0 44.2
d2 24.8 10.8 1.2
d3 2.5 6.2 9.1
d4 8.2 4.2 1.4
次の表4に、第1実施例における各条件式対応値を示す。なお、表4において、f2は第2レンズ群G2の焦点距離を、f3は第3レンズ群G3の焦点距離を、f4は第4レンズ群G4の焦点距離を、x5は第5レンズ群G5の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量を、x4は第4レンズ群G4の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量を、x3は第3レンズ群G3の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量を、nd3bは第3レンズ群G3中の最も屈折率の高い正レンズ成分の媒質のd線における屈折率を、それぞれ表している。以上、条件式対応値に係る符号の説明は、以降の実施例においても同様である。
(表4)
[条件式対応値]
(1)(―f2)/f3=0.72
(2)f2/f4=0.60
(3)f5/(−f4)=1.50
(4)x5/(−f2)=1.18
(5)x4/x3=0.72
(6)nd3b=1.76
第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図3に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(a)に示す。また、第1実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図2(b)に示し、望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図4(b)に示す。
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高を、Aは各像高に対する半画角を、dはd線(波長587.6nm)を、gはg線(波長435.8nm)をそれぞれ示す。また、非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示す。以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
各収差図から明らかなように、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
なお、図5に示すように、物体側からの光線BMが変倍光学系ZL1に入射すると、その光は負メニスカスレンズL21における物体側のレンズ面(第1番目のゴースト発生面であり、面番号6に該当)で反射した後に、その反射光は正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面(第2番目のゴースト発生面であり、面番号4に該当)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストを発生させてしまう。なお、第1番目のゴースト発生面(面番号6)と第2番目のゴースト発生面(面番号4)は、開口絞りSに対して凹面である。このような面に、より広い波長範囲で広入射角に対応した反射防止膜を形成することで、ゴーストを効果的に低減させることができる。なお、反射防止膜について詳細は後述するが、各実施例に係る反射防止膜は7層からなる多層構造であり、最表面層の第7層はウェットプロセスを用いて形成され、d線に対する屈折率は1.26(以下に示す、表17参照)である。
(第2実施例)
第2実施例について、図6〜図9及び表5〜表8を用いて説明する。図6は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の構成を示す図である。図6に示す、第2実施例に係る変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。無限遠から0.45mまでの合焦に際して、この第2レンズ群G2が像側から物体側へ、広角端で1.6mm、望遠端で5.6mm移動する。
第3レンズ群G3は物体側から順に、両凸レンズL31、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、及び、両凸レンズL34から構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43から構成されている。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズから構成され、最も物体側に位置する両凸レンズL51は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズ(両凸レンズL31)の像側に隣接して位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
無限遠から近距離物点への合焦は、第2レンズ群G2を物体方向に移動させて行う。像ブレ補正(防振)は、第4レンズ群G4の接合レンズを光軸と略垂直方向の成分を持つように移動させることにより行う。
なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(ぶれ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の移動レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい。第2実施例の広角端状態においては、防振係数は0.98であり、焦点距離は24.6(mm)であるので、0.64°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.28(mm)である。第2実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.47であり、焦点距離は117.0(mm)であるので、0.29°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4の移動量は0.40(mm)である。
以下の表5に、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の各諸元の値([全体諸元]、[レンズデータ]及び[レンズ群焦点距離データ])を掲げる。表5における面番号1〜31は、図6に示す面1〜31に対応している。
(表5)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.6 〜 50.6 〜 117.0
FNO = 4.1 〜 4.1 〜 4.1
2ω = 85.4 〜 45.1 〜 20.4
全長 = 145.8 〜 163.7 〜 192.6
Bf = 40.4 〜 50.5 〜 67.8
[レンズデータ]
面番号 r d νd nd
1 168.6057 1.5000 23.75 1.846660
2 74.0037 7.6844 67.87 1.593189
3 -1572.0876 0.1000
4 52.4243 5.1021 52.29 1.755000
5 109.4928 (d1)
6* 120.3215 1.3500 45.34 1.796680
7* 14.6301 7.4992
8 -43.6507 1.0000 49.61 1.772500
9 67.8619 0.1000
10 37.0188 4.8917 25.41 1.805180
11 -37.6071 0.7823
12 -28.2744 1.0000 49.61 1.772500
13 -190.4764 (d2)
14 63.8494 2.3065 52.29 1.755000
15 -291.0862 1.4000
16 0.0000 0.5000 (開口絞りS)
17 30.3754 1.3958 23.75 1.846660
18 18.7015 7.6600 70.45 1.487490
19 -56.3191 0.1000
20 44.8038 2.6036 67.87 1.593189
21 -1480.7317 (d3)
22 -60.0697 3.3444 32.33 1.850260
23 -19.3470 1.0000 52.29 1.755000
24* 64.5794 3.5520
25 -26.7812 1.0000 46.63 1.816000
26 -54.8874 (d4)
27* 60.5775 7.3885 61.18 1.589130
28* -21.7258 0.1000
29 -197.0389 5.3709 70.45 1.487490
30 -23.1778 1.5000 31.31 1.903660
31 -102.0182 (Bf)
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 始面 焦点距離
G1 1 102.8
G2 6 -16.7
G3 14 24.3
G4 22 -26.3
G5 27 39.1
第2実施例において、第6面、第7面、第24面、第27面、及び、第28面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。次の表6に、非球面データ、すなわち頂点曲率半径R、円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
(表6)
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10
第6面 1.0000 3.76150E-06 -4.32870E-08 1.63110E-10 -1.91840E-13
第7面 1.0000 -5.24680E-06 -9.55930E-08 -1.37810E-10 -4.65040E-13
第24面 1.0000 -2.42520E-06 1.40090E-08 -4.50560E-11 0.00000E+00
第27面 1.0000 -1.17490E-05 1.46620E-08 -7.63690E-11 -8.46830E-15
第28面 1.0000 1.03350E-05 1.08360E-08 -3.24650E-12 -1.56130E-13
第2実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔d4は、変倍に際して変化する。次の表7に、可変間隔データ、すなわち無限遠及び近距離物点での広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表7)
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.7 22.1 42.5
d2 21.6 10.0 1.2
d3 2.8 6.5 9.4
d4 8.1 4.4 1.5
次の表8に、第2実施例における各条件式対応値を示す。
(表8)
[条件式対応値]
(1)(−f2)/f3=0.69
(2)f2/f4=0.63
(3)f5/(−f4)=1.48
(4)x5/(−f2)=1.64
(5)x4/x3=0.76
(6)nd3b=1.76
第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図7(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図8に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図9(a)に示す。また、第2実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図7(b)に示し、望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図9(b)に示す。
各収差図から明らかなように、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
(第3実施例)
第3実施例について、図10〜図13及び表9〜表12を用いて説明する。図10は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の構成を示す図である。図10に示す、第3実施例に係る変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は、像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。無限遠から0.45mまでの合焦に際して、この第2レンズ群G2が像側から物体側へ、広角端で1.7mm、望遠端で5.6mm移動する。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、及び、両凸レンズL34から構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43から構成されている。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、及び、両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズから構成され、最も物体側に位置する両凸レンズL51は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
開口絞りSは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
無限遠から近距離物点への合焦は、第2レンズ群G2を物体方向に移動させて行う。像ブレ補正(防振)は、第3レンズ群G3の最も物体側の両凸レンズL31とその像側に隣接して配置された接合レンズ(物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ)とを光軸と略垂直方向の成分を持つように移動させることにより行う。
なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(ぶれ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の移動レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい。第3実施例の広角端状態においては、防振係数は1.69であり、焦点距離は24.7(mm)であるので、0.64°の回転ぶれを補正するための第3レンズ群G3の移動量は0.16(mm)である。第3実施例の望遠端状態においては、防振係数は2.60であり、焦点距離は111.8(mm)であるので、0.29°の回転ぶれを補正するための第3レンズ群G3の移動量は0.22(mm)である。
以下の表9に、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の各諸元の値([全体諸元]、[レンズデータ]及び[レンズ群焦点距離データ])を掲げる。表9における面番号1〜32は、図10に示す面1〜32に対応している。
(表9)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.7 〜 49.0 〜 111.8
FNO = 4.1 〜 4.1 〜 4.1
2ω = 85.4 〜 45.1 〜 20.4
全長 = 147.6 〜 162.2 〜 190.9
Bf = 34.7 〜 46.1 〜 59.2
[レンズデータ]
面番号 r d νd nd
1 246.0491 2.0000 23.77 1.846660
2 84.7836 7.7000 67.87 1.593189
3 -885.6521 0.1000
4 59.1074 5.4790 46.63 1.816000
5 140.2546 (d1)
6* 824.4655 0.1000 38.09 1.553890
7 195.0000 1.5000 46.63 1.816000
8 15.9678 8.0000
9 -34.9410 1.0000 42.72 1.834810
10 -201.2418 0.1000
11 54.8341 4.5000 23.77 1.846660
12 -33.9457 0.5374
13 -29.1034 1.2000 40.94 1.806100
14* -537.4230 (d2)
15 0.0000 1.5000 (開口絞りS)
16 55.6400 3.0000 52.29 1.755000
17 -194.6988 0.1000
18 29.1963 2.2576 23.77 1.846660
19 16.8888 6.8000 70.45 1.487490
20 -196.1439 0.5000
21 49.6966 3.0000 67.87 1.593189
22 -205.9500 (d3)
23 -62.4232 3.3000 32.35 1.850260
24 -17.7266 1.0000 52.29 1.755000
25 85.0141 2.4116
26 -40.4411 1.0000 55.52 1.696800
27 -241.7912 (d4)
28* 115.7889 6.4000 61.18 1.589130
29 -22.7957 0.1000
30 -433.8211 6.5000 70.45 1.487490
31 -19.6120 1.3500 32.35 1.850260
32 -85.0846 (Bf)
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 始面 焦点距離
G1 1 107.2
G2 6 -17.8
G3 15 25.3
G4 23 -30.7
G5 28 45.5
第3実施例において、第6面、第14面、及び、第28面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。次の表10に、非球面データ、すなわち頂点曲率半径R、円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
(表10)
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10
第6面 1.0000 1.59500E-05 -3.85270E-08 5.99450E-11 -5.06110E-14
第14面 1.0000 6.16800E-07 -1.55190E-08 -1.73480E-11 0.00000E+00
第28面 -30.0000 -1.26410E-05 -2.71420E-10 6.17710E-11 -2.07970E-13
第3実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔d4は、変倍に際して変化する。次の表11に、可変間隔データ、すなわち無限遠及び近距離物点での広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表11)
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 3.1 20.1 44.7
d2 24.0 10.2 1.2
d3 4.0 8.2 11.1
d4 10.3 6.1 3.3
次の表12に、第3実施例における各条件式対応値を示す。
(表12)
[条件式対応値]
(1)(−f2)/f3=0.70
(2)f2/f4=0.58
(3)f5/(−f4)=1.48
(4)x5/(−f2)=1.38
(5)x4/x3=0.71
(6)nd3b=1.76
第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図11(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図12に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図13(a)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図11(b)に示し、望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図13(b)に示す。
各収差図から明らかなように、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
(第4実施例)
第4実施例について、図14〜図17及び表13〜表16を用いて説明する。図14は、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の構成(6群構成)を示す図である。図14に示す、第4実施例に係る変倍光学系ZL4において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13からなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとL21、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。無限遠から0.45mまでの合焦に際して、この第2レンズ群G2が像側から物体側へ、広角端で1.6mm、望遠端で5.6mm移動する。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、及び、両凸レンズL34から構成されている。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と両凹レンズL42との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43から構成されている。
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸レンズL51、及び、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズから構成され、最も物体側に位置する両凸レンズL51は、物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL61から構成されている。
開口絞りSは、第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズ(両凸レンズL31)の像側に隣接して位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。
無限遠から近距離物点への合焦は、第2レンズ群G2を物体方向に移動させて行う。像ブレ補正(防振)は、第4レンズ群G4の接合レンズを光軸と略垂直方向の成分を持つように移動させることにより行う。
なお、全系の焦点距離がfで、防振係数(ぶれ補正での移動レンズ群の移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の移動レンズ群を(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい。第4実施例の広角端状態においては、防振係数は0.98であり、焦点距離は24.8(mm)であるので、0.64°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4における接合レンズの移動量は0.28(mm)である。第4実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.47であり、焦点距離は111.9(mm)であるので、0.29°の回転ぶれを補正するための第4レンズ群G4における接合レンズの移動量は0.40(mm)である。
以下の表13に、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の各諸元の値([全体諸元]、[レンズデータ]及び[レンズ群焦点距離データ])を掲げる。表13における面番号1〜33は、図14に示す面1〜33に対応している。
(表13)
[全体諸元]
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.8 〜 44.4 〜 111.9
FNO = 4.1 〜 4.0 〜 4.0
2ω = 85.4 〜 50.2 〜 21.0
全長 = 148.2 〜 159.3 〜 190.0
Bf = 26.4 〜 37.7 〜 57.1
[レンズデータ]
面番号 r d νd nd
1 198.1451 2.0000 23.77 1.846660
2 83.1076 7.5952 67.87 1.593189
3 -2407.2718 0.1000
4 58.1135 5.4790 52.29 1.755000
5 143.3465 (d1)
6* 426.6084 1.2000 46.63 1.816000
7 15.6978 8.0182
8 -34.0153 1.0000 45.30 1.795000
9 -123.5592 0.1000
10 63.2721 4.2000 23.77 1.846660
11 -32.4461 0.5374
12 -27.9469 1.0000 40.94 1.806100
13* -528.6953 (d2)
14 50.2914 2.4342 52.29 1.755000
15 -1099.3184 1.4000
16 0.0000 0.5000 (開口絞りS)
17 31.0475 3.0000 23.77 1.846660
18 17.1303 6.6000 70.45 1.487490
19 -82.4820 0.1000
20 41.5438 3.5000 67.87 1.593189
21 -589.6794 (d3)
22 -54.3208 3.5000 32.35 1.850260
23 -17.0699 1.0000 52.29 1.755000
24 84.5694 3.0000
25 -52.8099 1.0000 53.89 1.713000
26 -590.9085 (d4)
27* 94.2512 5.7349 61.18 1.589130
28 -24.4009 0.1000
29 -311.9655 6.5095 70.45 1.487490
30 -20.8486 1.0000 32.35 1.850260
31 -100.0000 (d5)
32 -200.0000 2.0000 46.63 1.816000
33 -120.0032 (Bf)
[レンズ群焦点距離データ]
レンズ群 始面 焦点距離
G1 1 106.8
G2 6 -17.8
G3 14 25.3
G4 22 -30.7
G5 27 48.3
G6 32 363.6
第4実施例において、第6面、第13面、及び、第27面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。次の表14に、非球面データ、すなわち頂点曲率半径R、円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A10の値を示す。
(表14)
[非球面データ]
κ A4 A6 A8 A10
第6面 1.0000 1.16370E-05 -2.95490E-08 4.79300E-11 -4.07190E-14
第13面 1.0000 -1.33470E-06 -2.08660E-08 3.94960E-12 -9.57420E-14
第27面 -30.0000 -8.76090E-06 -1.75720E-09 3.64680E-11 -1.18100E-13
第4実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との軸上空気間隔d4、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との軸上空気間隔d5は、変倍に際して変化する。次の表15に、可変間隔データ、すなわち無限遠及び近距離物点での広角端状態、中間焦点距離状態、及び、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔を示す。
(表15)
[可変間隔データ]
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.9 17.2 44.5
d2 24.0 11.7 1.2
d3 1.6 5.6 8.8
d4 8.1 4.7 1.1
d5 12.4 9.7 4.7
次の表16に、第4実施例における各条件式対応値を示す。
(表16)
[条件式対応値]
(1)(−f2)/f3=0.70
(2)f2/f4=0.58
(3)f5/(−f4)=1.57
(4)x5/(−f2)=1.72
(5)x4/x3=0.69
(6)nd3b=1.82
第4実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図15(a)に示し、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図16に示し、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図17(a)に示す。また、第4実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図15(b)に示し、望遠端状態での無限遠撮影状態において0.29°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図17(b)に示す。
各収差図から明らかなように、第4実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有することが分かる。
ここで、第1〜第4実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL4)に用いられる反射防止膜について説明する。本実施形態に係る反射防止膜101は、図20に示すように、7層(第1層101a〜第7層101g)からなり、本変倍光学系ZLの光学部材102の光学面に形成されている。
第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。この第1層101aの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。続いて、第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。さらに、第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。そして、第6層101fの上にウェットプロセスによりシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる第7層101gが形成される。このようにして本実施形態の反射防止膜101が形成される。
なお、第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、光学部材の光学面上に光学薄膜材料であるゾルを塗布し、ゲル膜を堆積後、液体に浸漬し、この液体の温度及び圧力を臨界状態以上にしてその液体を気化・乾燥させることにより、膜を生成する製法である。但し、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ることなしに固体膜を得る方法を用いてもよい。
以上のように、反射防止膜101は、第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最表面層(最上層)である第7層101gはフッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより形成されている。
続いて、上記構成の反射防止膜101を形成する手順を説明する。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて、第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、真空蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にバインダー成分を添加したものをスピンコート法により塗布して、第7層101gとなるシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる層を形成する。ここで、フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の式(b)に示す。
2HF+Mg(CH3COO)2 → MgF2+2CH3COOH …(b)
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。より具体的には、上記のゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmのMgF2粒子ができ、さらに、それらの粒子が数個集まって二次粒子が形成され、それら二次粒子が堆積することにより第7層101gが形成される。
上記のようにして形成された反射防止膜101の光学的性能について、図21に示す分光特性を用いて説明する。なお、図21は、基準波長λを550nmとしたときに、以下の表17で示される条件で反射防止膜101を設計した場合、光線が垂直入射するときの分光特性を表している。また、表17では、酸化アルミニウムをAl23、酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、シリカとフッ化マグネシウムの混合物をSiO2+MgF2と示しており、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.46、1.62、1.74及び1.85の4種類であるときの各々の設計値を示している。
(表17)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 SiO2+MgF2 1.26 0.275λ 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.46 1.62 1.74 1.85
図21より、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。
なお、第1実施例の変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL31の屈折率は1.755000であるため、正メニスカスレンズL31における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は1.834810であるため、負メニスカスレンズL21の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第2実施例の変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の屈折率は1.755000であるため、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は1.796680であるため、負メニスカスレンズL21の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第3実施例の変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の屈折率は1.816000であるため、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の物体側の樹脂の屈折率は1.553890であるため、負メニスカスレンズL21の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第4実施例の変倍光学系ZL4において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL13の屈折率は1.755000であるため、正メニスカスレンズL13における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、第2レンズ群G2の負メニスカスレンズL21の屈折率は1.816000であるため、負メニスカスレンズL21の物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
このように、本実施形態の反射防止膜101を、第1〜第4実施例の変倍光学系ZL(ZL1〜ZL4)にそれぞれ適用することで、コンパクトで高変倍でありながら、ゴーストやフレアをより低減させた、良好な光学性能を持つ変倍光学系及びこの変倍光学系を有する光学機器を提供することができる。
なお、上記の反射防止膜101は、平行平面板の光学面に設けた光学素子として利用することも可能であるし、曲面状に形成されたレンズの光学面に設けて利用することも可能である。
次に、上記反射防止膜101の変形例について説明する。この変形例の反射防止膜は5層からなり、以下の表18で示される条件で構成される。なお、第5層の形成に、前述のゾル−ゲル法を用いている。また、表18では、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.52であるときの設計値を示している。
(表18)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第5層 シリカとフッ化マグネシウムの混合物 1.26 0.269λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.043λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.217λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.066λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.290λ
基板 BK7 1.52
図22に、変形例の反射防止膜に光が垂直入射するときの分光特性を示す。図22により、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。なお、図23に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
比較のため、図24に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜し、以下の表19で示される条件で構成される多層広帯域反射防止膜の垂直入射時の分光特性を示す。なお、図25に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
(表19)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF 1.39 0.243λ
第6層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.119λ
第5層 酸化アルミニウム 1.65 0.057λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.220λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.064λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.057λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.193λ
基板 BK7 1.52
図22及び図23で示す変形例の分光特性を、図24及び図25で示す従来例の分光特性と比較すると、変形例に係る反射防止膜の反射率の低さが良く分かる。
以上の各実施例によれば、コンパクトで高変倍でありながら、ゴースト、フレアをより低減させることができる、良好な光学性能を持つ変倍光学系が実現できる。
なお、本実施形態に係る発明を分かりやすくするために、上記実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
ZL(ZL1〜ZL4) 変倍光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
S 開口絞り
I 像面
1 デジタル一眼レフカメラ(光学機器)
2 撮影レンズ(変倍光学系)
3 クイックリターンミラー
4 焦点板
5 ペンタプリズム
6 接眼レンズ
7 撮像素子
101 反射防止膜
101a 第1層
101b 第2層
101c 第3層
101d 第4層
101e 第5層
101f 第6層
101g 第7層
102 光学部材

Claims (16)

  1. 物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、
    前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、
    前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式
    0.65 < (−f2)/f3 < 0.90
    0.58 ≦ f2/f4 < 0.75
    の条件を満足し、
    前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備えることを特徴とする変倍光学系。
  2. 物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、
    前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、
    前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、前記第5レンズ群の焦点距離をf5としたとき、次式
    0.65 < (−f2)/f3 < 0.90
    0.42 < f2/f4 < 0.75
    1.48 ≦ f5/(−f4) < 2.00
    の条件を満足し、
    前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備えることを特徴とする変倍光学系。
  3. 物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、
    前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、
    前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、前記第5レンズ群の焦点距離をf5としたとき、次式
    0.65 < (−f2)/f3 < 0.90
    0.55 < f2/f4 < 0.75
    1.40 < f5/(−f4) < 2.00
    の条件を満足し、
    前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備えることを特徴とする変倍光学系。
  4. 物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とを有し、
    前記レンズ群の中のいずれかのレンズ群の少なくとも一部は、光軸と略垂直方向の成分を持つように移動し、
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が変化し、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が変化し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔が変化し、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔が変化し、
    前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4とし、像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第4レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx4とし、前記第3レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx3としたとき、次式
    0.65 < (−f2)/f3 < 0.90
    0.55 < f2/f4 < 0.75
    0.65 < x4/x3 < 0.90
    の条件を満足し、
    前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面は、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を備えることを特徴とする変倍光学系。
  5. 前記第5レンズ群の焦点距離をf5とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式
    1.20 < f5/(−f4) < 2.00
    の条件を満足することを特徴とする請求項1又は4に記載の変倍光学系。
  6. 像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第4レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx4とし、前記第3レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx3としたとき、次式
    0.65 < x4/x3 < 0.90
    の条件を満足することを特徴とする請求項2に記載の変倍光学系。
  7. 前記反射防止膜は多層膜であり、
    前記多層膜の最表面層は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  8. 前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線における屈折率をndとしたとき、次式
    nd≦1.30
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  9. 開口絞りを前記第3レンズ群の近傍または内部に配置し、
    前記反射防止膜が設けられた光学面は、前記開口絞りから見て凹面であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  10. 像側から物体側への移動量を正とした場合、前記第5レンズ群の広角端状態から望遠端状態までの光軸上の移動量をx5としたとき、次式
    0.70 < x5/(−f2) < 2.10
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  11. 広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群が像側から物体側に移動することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  12. 広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第5レンズ群が像側から物体側に移動することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  13. 前記第2レンズ群の少なくとも一部を光軸に沿って移動させることにより、近距離物点への合焦を行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  14. 前記第2レンズ群は、非球面形状のレンズ面を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  15. 前記第3レンズ群は、少なくとも1つの正レンズ成分を含み、前記正レンズ成分のうち最も屈折率の高い正レンズ成分の媒質のd線における屈折率をnd3bとしたとき、次式
    1.70 < nd3b < 1.85
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の変倍光学系。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の変倍光学系を有することを特徴とする光学機器。
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