一般に、ビジネス文書では、黒文字の文書であっても、会社のマークであるロゴマークのみが2以上の有彩色で印刷されている場合が少なくない。ロゴマークの色も、会社を表す重要な要素だからである。また、複数のアンダーラインやマーカーが複数の有彩色で印刷されていることも少なくない。
そして、ロゴマークの色は、会社そのものを表現するコーポレートカラーであることが多いため、当該ロゴマークの色を記録紙上に忠実に再現することを求めるユーザのニーズがある。また、アンダーラインやマーカーも記録紙上に忠実に再現されることが望ましい。
ところが、特許文献1記載の画像形成装置は、2色カラーモードを実行するに際し、予め装置に設定された複数の有彩色のうち、カウント値が最も多く得られた画素の有彩色を特定色として設定しているため、特定色が予め装置に設定された各有彩色のいずれかに限定されてしまう。
そのため、ロゴマークの色が複数の有彩色であるときには、当該ロゴマークの色が、予め装置に設定された各有彩色のいずれかに限定されてしまう。また、複数のアンダーラインやマーカーが複数の有彩色で印刷されている場合には、文書において存在する全てのアンダーラインやマーカーの色が、予め装置に設定された各有彩色のいずれかに限定されてしまう。
この場合、ロゴマークの色の再現性を求めるユーザのニーズに応えることができない。また、アンダーラインやマーカーも、元の色と違う色に設定されることは望ましくない。
本発明は、カラー画像の各色の出現頻度を表す度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を、カラー画像における背景色とみなし、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を、カラー画像における文字色とみなし、第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、カラー画像における特定模様の色である模様色とみなし、複数色のうちいずれかの色、第1色及び第2色の出現頻度に基づくフルカラー特定模様印刷モードを設定できる技術において、フルカラー特定模様印刷モードを設定した場合に、模様色の再現性を向上させることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る画像形成装置は、カラー画像を表す画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部により取得された画像データに基づいて、当該画像データの各画素についての色を階級とし、当該各色の出現頻度を表す度数分布を取得する度数分布取得部と、前記度数分布取得部によって取得された度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を前記カラー画像における背景色に設定し、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を前記カラー画像における文字色に設定し、前記度数分布において前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色のうちいずれかの色、前記第1色、及び前記第2色の出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、前記カラー画像における特定模様の色である模様色に設定する色設定部と、前記色設定部により前記フルカラー特定模様印刷モードが設定されたとき、当該フルカラー特定模様印刷モードとして、前記第2色の色トナーを用いて前記カラー画像における文字を印刷し、前記色設定部により設定された前記模様色の色トナーを用いて前記カラー画像における特定模様を印刷する制御部と、を備え、前記画像データ取得部は、前記各画素の色を、予め設定された3つの要素色の濃度値によって表し、前記度数分布取得部は、前記各濃度値を3次元座標の各座標に割り当てることにより、前記各色を前記各階級として3次元座標上に配置し、当該各階級と前記出現頻度とを対応付けることによって、前記度数分布を3次元座標で表した3次元度数分布情報を生成し、前記色設定部は、前記3次元度数分布情報における3次元座標上で前記第1色と前記第2色とを直線的に結んだ経路上に配置された階級であって、かつ前記3次元座標上における前記第1色からの距離が予め設定された判定距離を超え、かつ前記第2色からの距離が前記判定距離を超える階級の色を除外して、得られる前記出現頻度の順に基づき前記模様色を設定することを特徴とする。
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、カラー画像を表す画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部により取得された画像データに基づいて、当該画像データの各画素についての色を階級とし、当該各色の出現頻度を表す度数分布を取得する度数分布取得部と、前記度数分布取得部によって取得された度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を前記カラー画像における背景色に設定し、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を前記カラー画像における文字色に設定し、前記度数分布において前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色のうちいずれかの色、前記第1色、及び前記第2色の出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、前記カラー画像における特定模様の色である模様色に設定する色設定部と、前記色設定部により前記フルカラー特定模様印刷モードが設定されたとき、当該フルカラー特定模様印刷モードとして、前記第2色の色トナーを用いて前記カラー画像における文字を印刷し、前記色設定部により設定された前記模様色の色トナーを用いて前記カラー画像における特定模様を印刷する制御部と、を備え、前記画像データ取得部は、前記各画素の色を、予め設定された3つの要素色の濃度値によって表すと共に、当該各濃度値を予め設定された基本ビット数で表し、前記度数分布取得部は、前記各要素色の濃度値における予め設定された上位ビットを3次元座標の各座標に割り当てることにより、前記上位ビットが前記各要素色についてそれぞれ共通する色グループを前記各階級として前記3次元座標上に配置し、当該各階級と前記色グループの出現頻度とを対応付けることによって、前記色グループの度数分布を3次元度数分布情報として取得し、前記色設定部は、前記3次元座標上で前記第1色の色グループからの距離が予め設定されたユークリッド距離に満たない第1領域と、前記3次元座標上で前記第2色の色グループからの距離が前記ユークリッド距離に満たない第2領域とを直線的に結んで形成した領域のうち、前記第1領域及び前記第2領域を除外した領域の階級の色グループを除外して、得られる前記出現頻度の順に基づき前記模様色を設定することを特徴とする。
本発明のさらに他の局面に係る画像形成装置は、カラー画像を表す画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部により取得された画像データに基づいて、当該画像データの各画素についての色を階級とし、当該各色の出現頻度を表す度数分布を取得する度数分布取得部と、前記度数分布取得部によって取得された度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を前記カラー画像における背景色に設定し、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を前記カラー画像における文字色に設定し、前記度数分布において前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色のうちいずれかの色、前記第1色、及び前記第2色の出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、前記第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、前記カラー画像における特定模様の色である模様色に設定する色設定部と、前記色設定部により前記フルカラー特定模様印刷モードが設定されたとき、当該フルカラー特定模様印刷モードとして、前記第2色の色トナーを用いて前記カラー画像における文字を印刷し、前記色設定部により設定された前記模様色の色トナーを用いて前記カラー画像における特定模様を印刷する制御部と、を備えることを特徴とする(発明1)。
ここに、フルカラーとは、複数の色のことを意味する。
この構成によれば、カラー画像において最も出現頻度が高い階級の色である第1色をカラー画像における背景色に設定し、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色をカラー画像における文字色に設定し、カラー画像において第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色のうちいずれかの色、第1色、及び第2色の出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を特定模様の模様色に設定する。
例えば、カラー画像が、白地に黒文字を含み、かつ黒文字よりも小さな占有率でカラーの特定模様、例えばロゴマークを含む画像である場合には、当該画像において最も出現頻度が高いと考えられる白色を背景色に設定し、白色の次に出現頻度が高いと考えられる黒色を文字色に設定する。
そして、カラー画像において黒色よりも出現頻度が低い階級の複数色のうちいずれかの色、白色、及び黒色の出現頻度に基づいて、カラー画像の一部に、複数の有彩色の特定模様が含まれるものとみなしてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、黒色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、模様色に設定する。
そして、フルカラー特定模様印刷モードを実行して、第2色の色トナーとして黒トナーを用いてカラー画像における文字を印刷し、色設定部により設定された模様色の色トナーを用いてカラー画像における特定模様を印刷する。
これにより、一部に、複数の有彩色の特定模様を含む画像を印刷するときに、特定模様の有彩色の再現性を向上させることが可能となる。
上記構成において、前記色設定部は、前記カラー画像の全画素数と、前記第1色及び前記第2色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第1基準頻度に満たず、かつ前記第2色の次に出現頻度が高い階級の色である第3色の次に出現頻度が高い階級の色である第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度以上のときには、前記フルカラー特定模様印刷モードを設定することが好ましい(発明2)。
もし、カラー画像の全画素数と、背景色と考えられる第1色及び文字色と考えられる第2色それぞれの出現頻度の合計との差が第1基準頻度に満たないときには、第1色及び第2色以外の色、つまり、模様色と考えられる色の特定模様の画像面積が小さい可能性がある。
そして、第2色の次に出現頻度の高い階級の色である第3色の次に出現頻度の高い第4色の出現頻度が第2基準頻度以上であれば、模様色は複数色である可能性がある。
この構成によれば、カラー画像の全画素数と、第1色及び第2色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第1基準頻度に満たず、かつ第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度以上のときには、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
これにより、画像の中に、画像面積が小さく、2以上の有彩色の特定模様が含まれる場合に限り、フルカラー特定模様印刷モードが設定され、各有彩色のトナーを用いた特定模様の印刷が行われることとなる。その結果、特定模様の印刷に高価な有彩色トナーがさほど消費されないため、印刷コストを抑制させつつ、特定模様の有彩色の再現性を向上させることが可能となる。
上記構成において、前記色設定部は、前記カラー画像の全画素数と、前記第1色及び前記第2色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第1基準頻度に満たず、かつ第2色の次に出現頻度が高い階級の色である第3色の次に出現頻度が高い階級の色である第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度に満たず、かつ前記カラー画像の全画素数と、前記第1色、前記第2色、前記第3色、及び前記第4色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第3基準頻度に満たないとき、所定の単一色特定模様印刷モードを設定し、前記制御部は、前記色設定部によって前記単一色特定模様印刷モードが設定されたとき、前記色設定部によって設定された模様色の色トナーを用いて前記特定模様を印刷し、前記第2色の色トナーを用いて前記文字を印刷することが好ましい(発明3)。
もし、カラー画像の全画素数と、背景色と考えられる第1色及び文字色と考えられる第2色それぞれの出現頻度の合計との差が第1基準頻度に満たないときには、第1色及び第2色以外の色、つまり、模様色と考えられる色の特定模様の画像面積が小さい可能性がある。
また、第2色の次に出現頻度の高い階級の色である第3色の次に出現頻度の高い第4色の出現頻度が第2基準頻度に満たなければ、特定模様の色が第3色一色である可能性がある。
上記構成において、前記カラー画像の全画素数に対する前記第1色及び前記第2色それぞれの出現頻度の合計の比率が予め設定された基準比率以上であり、かつ前記第2色の次に出現頻度が高い階級の色である第3色の次に出現頻度が高い階級の色である第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度以上のときには、前記フルカラー特定模様印刷モードを設定することが好ましい(発明4)。
もし、背景色と考えられる第1色及び文字色と考えられる第2色それぞれの出現頻度の合計と、カラー画像の全画素数との比率が基準比率に満たない場合、第2色よりも出現頻度の低い色である特定模様の画像全体に占める割合が大きい可能性がある。画像全体に占める特定模様の画像面積の割合が大きければ、たとえ、特定模様が印刷されるべき記録紙サイズが大きくなるほど印刷にかかる課金を高く設定していたとしても、当該課金の中に占める有彩色トナーの消費コストが大きいため、サービス提供者が損をしてしまう。
そして、第2色の次に出現頻度の高い階級の色である第3色の次に出現頻度の高い第4色の出現頻度が第2基準頻度以上であれば、模様色が、複数色の可能性がある。
この構成によれば、第1色及び第2色それぞれの出現頻度の合計と、カラー画像の全画素数との比率が予め設定された基準頻度以上であり、かつ第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度以上のときには、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
これにより、画像の中に2以上の有彩色の特定模様が含まれている場合において、当該特定画像が画像全体に占める割合が一定の割合に満たない限り、当該課金の中に占める有彩色トナーの消費コストが小さくなる。
そのため、サービス提供者が、特定模様が印刷されるべき記録紙サイズが大きくなるほど印刷にかかる課金を高く設定していれば、サービス提供者が損をせずに、ユーザに対して、特定模様を有彩色トナーを用いて印刷するサービスを提供することが可能となる。
上記構成において、前記画像データ取得部は、前記各画素の色を、予め設定された3つの要素色の濃度値によって表し、前記度数分布取得部は、前記各濃度値を3次元座標の各座標に割り当てることにより、前記各色を前記各階級として3次元座標上に配置し、当該各階級と前記出現頻度とを対応付けることによって、前記度数分布を3次元座標で表した3次元度数分布情報を生成し、前記色設定部は、前記3次元度数分布情報における3次元座標上で前記第1色と前記第2色とを直線的に結んだ経路上に配置された階級であって、かつ前記3次元座標上における前記第1色からの距離が予め設定された判定距離を超え、かつ前記第2色からの距離が前記判定距離を超える階級の色を除外して、得られる前記出現頻度の順に基づき前記模様色を設定することが好ましい(発明5)。
この構成によれば、色設定部が模様色を設定するに際しては、3次元度数分布情報における3次元座標上で第1色と第2色とを直線的に結んだ経路上に配置された階級であって、かつ3次元座標上における第1色からの距離が予め設定された判定距離を超え、かつ3次元座標上における第2色からの距離が判定距離を超える階級の色を除外する。
これにより、文字色は、当該文字色とは濃度が異なる文字色を含めて、模様色と考えられる色の設定対象から除外されるため、模様色の再現性がさらに向上する。
上記構成において、前記画像データ取得部は、前記各画素の色を、予め設定された3つの要素色の濃度値によって表すと共に、当該各濃度値を予め設定された基本ビット数で表し、前記度数分布取得部は、前記各要素色の濃度値における予め設定された上位ビットを3次元座標の各座標に割り当てることにより、前記上位ビットが前記各要素色についてそれぞれ共通する色グループを前記各階級として前記3次元座標上に配置し、当該各階級と前記色グループの出現頻度とを対応付けることによって、前記色グループの度数分布を3次元度数分布情報として取得し、前記色設定部は、前記3次元座標上で前記第1色の色グループからの距離が予め設定されたユークリッド距離に満たない第1領域と、前記3次元座標上で前記第2色の色グループからの距離が前記ユークリッド距離に満たない第2領域とを直線的に結んで形成した領域のうち、前記第1領域及び前記第2領域を除外した領域の階級の色グループを除外して、得られる前記出現頻度の順に基づき前記模様色を設定することが好ましい(発明6)。
この構成によれば、各要素色の濃度値における予め設定された上位ビットを3次元座標の各座標に割り当てることにより、上位ビットが各要素色についてそれぞれ共通する色グループを各階級として3次元座標上に配置し、各階級と色グループの出現頻度とを対応付けることによって、色グループの度数分布を取得する。
そして、当該度数分布において、3次元座標上で第1色の色グループからの距離が予め設定されたユークリッド距離に満たない第1領域と、3次元座標上で第2色の色グループからの距離が前記ユークリッド距離に満たない第2領域とを直線的に結んで形成した領域のうち、第1領域及び第2領域を除外した領域の階級の色グループを除外して、模様色を設定する。
これにより、基本ビット全てを用いて、各色の出現頻度を表す度数分布を取得する場合とは異なり、度数分布取得部のハードウェア構成を簡易にしつつ、模様色を精度良く設定することができる。
上記構成において、前記各画素の色は、シアン、マゼンタ、及びイエロー、或いは、レッド、グリーン、及びブルーの各々の濃度値によって表されており、前記シアン、前記マゼンタ、前記イエロー、或いは、前記レッド、前記グリーン、前記ブルー、及びブラックのトナーを用いて画像形成を行う画像形成部と、前記各画素における前記各濃度値のうちグレーに対応する部分をブラックに置き換える下色除去部と、をさらに備え、前記下色除去部は、前記色設定部によりフルカラー特定模様印刷モードが設定されたとき、前記第2色を前記ブラックに置き換える100%UCR処理を行うことが好ましい(発明7)。
ロゴマーク、アンダーライン、マーカー等の特定模様の色の再現性を向上させるには、当該特定模様を含む文書をフルカラーモードで印刷することが考えられる。
しかしながら、フルカラーモードでは、文字について、ブラックのトナーを用いずに、ブラックのトナーよりも高価な有彩色トナーを用いて印刷することが多い。この場合、文字の印刷にコストがかかるため、ユーザに課す課金を抑制することができない。
この構成によれば、下色除去部は、通常は、各画素について、シアン、マゼンタ、及びイエロー、或いは、レッド、グリーン、及びブルーの各々の濃度値のうちグレーに対応する部分をブラックに置き換える、いわゆるUCR(undercolor removal)処理を行う。
さらに、下色除去部は、色設定部によりフルカラー特定模様印刷モードが設定されたとき、文字色と考えられる第2色を100%の比率でブラックに置き換える。
これにより、いずれの色が第2色に設定されていても、フルカラー特定模様印刷モードが設定されたときには、当該第2色がブラックに置き換わるため、フルカラー特定模様印刷モードを実行したときに文字がブラックのトナーを用いて印刷されることとなる。
その結果、文字色を価格の高い複数の有彩色トナーを混ぜ合わせて作ることと比較して、印刷コストを抑制することができ、フルカラー特定模様印刷モードにおける課金を抑制することが容易となる。
上記構成において、ユーザの識別情報の入力を受け付ける識別情報入力部と、モノクロコピーのみ実行可能なユーザである第1ユーザを示す識別情報が予め登録された管理部と、前記第1ユーザに対して前記フルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定を受け付ける第1設定部と、をさらに備えており、前記制御部は、前記第1設定部により前記第1ユーザに対して前記フルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定が受け付けられ、かつ前記識別情報入力部により前記第1ユーザを示す識別情報の入力が受け付けられたときに、前記第1ユーザに対して、前記モノクロコピーと前記フルカラー特定模様印刷モードとの実行を許容することが好ましい(発明8)。
一般に、画像データの印刷を提供するサービスにおいて、モノクロコピーとカラーコピーとの間で、ユーザに対する課金を異ならせている場合がある。かかる場合、カラーコピーに使用される有彩色の色トナーはモノクロコピーに使用されるブラックのトナーよりも高価であるため、カラーコピーにおける課金は、モノクロコピーにおける課金よりも割高とされていることが多い。
しかしながら、例えば、会社のビジネス文書のように、白黒画像がメインで、ごく一部の領域に、ロゴマーク、アンダーライン、マーカー等の特定画像が存在するような場合には、白黒画像については白黒印刷し、特定画像についてはカラー印刷を行うことを望むユーザのニーズがある。
そして、ロゴマーク、アンダーライン、マーカー等の特定模様の画像面積が小さいときには、フルカラー特定模様印刷モードで消費されるカラートナーの量はごく少量であるため、フルカラー特定模様印刷モードに要するコストは、モノクロコピーよりも極僅か高くなるだけで済む。そのため、フルカラー特定模様印刷モードにおける課金を、モノクロコピーと同程度あるいは当該モノクロコピーよりも極僅かだけ高く設定しても、サービス提供者が損をしない。
この構成によれば、モノクロコピーのみ実行可能なユーザとして登録されている第1ユーザに対して、第1ユーザに対するフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定がなされている場合には、当該フルカラー特定模様印刷モードの実行を可能とする。
これにより、フルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定がなされており、かつ特定画像の画像面積が小さい場合に、モノクロコピーのみ可能とされているユーザに対して、特定模様を、有彩色トナーを用いて印刷するフルカラー特定印刷モードを、安価に提供することができる。
上記構成において、少なくとも前記第1基準頻度を設定するための第2設定部をさらに備えることが好ましい(発明9)。
この構成によれば、第1基準頻度を設定する第2設定部を備える。これにより、サービス提供者は、特定画像がどの程度小さいときに、フルカラー特定模様印刷モードの設定を行うかを、自身の事情や顧客の要望に応じて柔軟に設定することができる。
上記構成において、少なくとも前記基準比率を設定するための第3設定部をさらに備えることが好ましい(発明10)。
この構成によれば、基準比率を設定する第3設定部を備える。これにより、サービス提供者は、特定画像が画像全体に占める割合がどの程度小さいときに、フルカラー特定模様印刷モードの設定を行うかを、自身の事情や顧客の要望に応じて柔軟に設定することができる。
上記構成において、前記画像データにおいて、前記背景色を予め定められた色に変更する背景色変更処理を施す画像処理部をさらに備えることが好ましい(発明11)。
この構成によれば、カラー画像における背景色を予め定められた色に変更する。これにより、カラー画像の元原稿において下地の濃度が濃かったり、元原稿の裏ページが透けて見える場合など、カラー画像において背景色であるべき画素が別の色の画素となっている場合に、当該背景色であるべき画素の色を背景色に置き換える。
その結果、カラー画像における背景色、文字色、及び模様色を忠実に再現することができる。
上記構成において、前記画像データ取得部は、前記各画素の色を、予め設定された3つの要素色の濃度値によって表すと共に、当該濃度値を予め設定された基本ビット数で表すものであり、前記度数分布取得部は、前記濃度値の、前記基本ビット数における予め設定された上位ビットが前記各要素色についてそれぞれ共通する色グループ毎に前記階級を割り当てて前記度数分布を取得し、前記色設定部は、前記度数分布において、2番目に出現頻度が高い階級の色グループである第2色グループよりも出現頻度が低い階級の複数の色グループのうちいずれかの色グループ、最も出現頻度が高い階級の色グループである第1色グループ、前記第2色グループの出現頻度に基づいて前記フルカラー特定模様印刷モードを設定し、前記第2色グループよりも出現頻度が低い階級の各色グループにおいて、最も出現頻度の高い色を前記模様色に設定する
ことが好ましい(発明12)。
この構成によれば、予め設定された3つの要素色の濃度値の、基本ビット数における予め設定された上位ビットが各要素色についてそれぞれ共通する色グループ毎に階級を割り当てて度数分布を取得する。
そして、2番目に出現頻度が高い階級の第2色グループよりも出現頻度が低い階級の複数の色グループのうちいずれかの色グループ、最も出現頻度が高い第1色グループ、及び前記第2色グループの出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、第2色グループよりも出現頻度が低い階級の各色グループにおいて、最も出現頻度の高い色を模様色に設定する。
つまり、この構成によれば、基本ビット全てを用いて各色の出現頻度を表す度数分布を取得する場合とは異なり、基本ビットの一部である上位ビットが共通する各色グループの出現頻度を表す度数分布を取得して、当該度数分布を用いて、背景色と考えられる第1色、文字色と考えられる第2色、及び模様色と考えられる色がそれぞれ属する色グループを取得して、取得した各色グループを用いて、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
結果として、基本ビット全てを用いて各色の出現頻度を表す度数分布を取得する場合と比較して、度数分布取得部のハードウェア構成を簡易にして、フルカラー特定模様印刷モードを設定することができる。
本発明によれば、カラー画像の各色の出現頻度を表す度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を、カラー画像における背景色とみなし、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を、カラー画像における文字色とみなし、第2色よりも出現頻度が低い階級の複数色を、カラー画像における特定模様の色である模様色とみなし、複数色のうちいずれかの色、第1色及び第2色の出現頻度に基づくフルカラー特定模様印刷モードを設定できる技術において、フルカラー特定模様印刷モードを設定した場合に、模様色の再現性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を用いて説明する。尚、本実施形態では、画像形成装置として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色トナーを用いたフルカラー印刷を行うカラー画像形成装置が例示されている。
尚、画像形成装置1は、レッド、グリーン、ブルー、及びブラックの各色トナーを用いたフルカラー印刷を行ってもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置1は、画像読取部200と画像形成本体部22とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ部220と、CIS231と、画像形成本体部22の前面に露出するように配置されたユーザインタフェース部Iと、後述する反転機構を備えてなる。
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
前記プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、該タイミングセンサの出力要求に基づき、前記読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。前記タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
スキャナ部220は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部220は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charged Coupled Device)229を備える。
このスキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、前記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導く。スキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いて構成されていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
ガラス221には、前記原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ部220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
更に、原稿給紙部210は、切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた反転機構を有する。この反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度CCD229によって裏面の読み取りが行われる。
この反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
更に、本実施形態の画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部220)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部210により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
この両面反転読取モード及び両面同時読取モードは、ADF読取モードを用いて原稿の両面読み取りを行う際の読取モードとして備えられている。両面反転読取モードは、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合に利用される一方、両面同時読取モードは、両面の印刷画像の画質に差があっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合に利用される。なお、本実施形態における画像形成装置1は、両面同時読取モードに初期設定されており、前記読取モードのモード設定操作が何も行われないまま画像形成指示が入力された場合には、両面同時読取モードで原稿の画像読取動作が行われるようになっている。
画像形成装置1は、画像形成本体部22と、画像形成本体部22の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。画像形成本体部22は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。また、画像形成本体部22は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部220で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
図2は、画像形成装置1の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
画像形成装置1では、後述の構成要素がバスBに接続されている。当該画像形成装置1は、画像処理用ASIC10、先述したインタフェース部I、システム制御部14、画像読取制御部15、画像形成制御部(制御部)16、管理部17、操作制御部19、第1設定部101、第2設定部102、第3設定部103、下色除去部104、第4設定部105、及び第5設定部106を備える。
画像形成用ASIC10は、画像データ取得部11、画像処理部12、度数分布取得部13、及び色設定部100を備える。画像データ取得部11は、カラー画像を表す画像データを取得し、当該画像データをなす各画素の色を、予め設定された3つの要素色、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の濃度値によって表す。また、画像データ取得部11は、各濃度値を、予め定められた基本ビット数、例えば8ビットで表す。
尚、画像データ取得部11は、画像データを、レッド、グリーン、及びブルーの濃度値によって表してもよい。この場合においても、レッド、グリーン、ブルーの各濃度値を、基本ビット数、例えば8ビットで表す。
ここにおいて、画像データ取得部11により取得される画像データとしては、例えば、画像読取部200により得られた画像データや、図示しない通信相手先のファクシミリ装置やパーソナルコンピュータから受信した画像データ、さらにこれらの画像データに裏写り除去などの中間画像処理が施された画像データが挙げられる。
画像処理部12は、画像データ取得部11により取得された画像データについて、予め定められた画像処理を施す。
例えば、画像処理部12は、画像データにおける背景色を予め定められた色に変更する背景色変更処理を施す(例えば、特開平11−187266号公報参照)。
かかる背景色変更処理は、カラー画像の元原稿において下地の濃度が濃い場合や、元原稿の裏ページが透けて見える場合など、カラー画像において背景色、例えば白色であるべき画素が別の色の画素となっている場合に、当該画素の色を白色に置き換えるものである。
度数分布取得部13は、画像データ取得部11により取得された画像データに基づいて、当該画像データの各画素についての色を階級とし、当該各色の出現頻度を表す度数分布を取得する。
色設定部100は、度数分布取得部13によって取得された度数分布において、度数分布取得部13によって取得された度数分布において、最も出現頻度が高い階級の色である第1色を前記カラー画像における背景色に設定し、2番目に出現頻度が高い階級の色である第2色を前記カラー画像における文字色に設定する。
また、色設定部100は、前記第1色、前記第2色、及び、当該第2色よりも出現頻度が低い色の出現頻度に基づいてフルカラー特定模様印刷モードを設定し、第2色よりも出現頻度が低い色を用いて、カラー画像における特定模様の色である模様色を設定する。
尚、色設定部100の処理の詳細については後述する。
ユーザインタフェース部Iは、複数の操作ボタンからなる操作入力部(識別情報入力部)18と、LEDやタッチパネルなどで構成された表示部5とを備えている。そして、操作制御部19は、操作入力部18の操作ボタンの操作を受け付けて、当該操作に基づいた表示を表示部5により行う他、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドをバスBに送るものである。
システム制御部14は、画像形成装置1を統括的に制御するために配置されている。また、画像読取制御部15は、画像読取部200による画像読取を制御するために配置されている。
また、画像形成制御部16は、画像形成部40による画像形成を制御するために配置されている。
画像形成制御部16は、管理部17において、モノクロコピーのみ許容するユーザの識別情報として登録されている識別情報のユーザ(以下、第1ユーザという)に対して、モノクロコピーを許容する。
そして、画像形成制御部16は、第1ユーザに対して後述のフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定が、既に、第1設定部101により行われていれば、第1ユーザに対して、モノクロコピーの他にフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する。
管理部17は、例えば、RAMを用いて構成された記憶装置である。管理部17には、ユーザの識別情報、例えば、IDコードが予め登録(記憶)されており、第1ユーザを示す識別情報と、モノクロコピーだけではなくフルカラーコピーをも実行可能な第2ユーザの識別情報とが区分されて登録(記憶)されている。
ここにおいて、モノクロコピーは、画像データをブラック(K)の色トナーのみを用いて印刷することにより、当該画像データを白黒画像として記録紙上に形成するものである。一方で、フルカラーコピーは、画像データを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色トナーを用いて印刷することにより、当該画像データをカラー画像として記録紙上に形成するものである。
尚、フルカラーコピーは、レッド、グリーン、及びブルーの各色トナーを用いて印刷するものであってもよい。
第1設定部101は、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドがバスBに送られ、当該コマンドが第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定を行うことを要求しているときには、第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定を行う。
具体的には、第1設定部101は、例えば、管理部17に対し、フルカラー特定模様印刷モードの実行を許容することを表す情報を、管理部17に登録されている第1ユーザを示す識別情報と対応させて登録させる。
第1設定部101により、第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する設定が行われたときには、画像形成制御部16が、第1ユーザに対して、フルカラー特定模様印刷モードの実行を許容する。
第2設定部102は、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドがバスBに送られ、当該コマンドが後述する第1基準頻度tf1の設定を要求しているときには、当該第1基準頻度tf1を設定する。
第3設定部103は、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドがバスBに送られ、当該コマンドが後述する基準比率の設定を要求しているときには、当該基準比率を設定する。
第4設定部105は、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドがバスBに送られ、当該コマンドが後述する第2基準頻度tf2の設定を要求しているときには、当該第2基準頻度tf2を設定する。
後述するように、第4色の出現頻度が、第2基準頻度tf2以上であるか、当該第2基準頻度tf2に満たないかに応じて、フルカラー特定模様印刷モードが設定されるか、されないかが決定される。第2基準頻度tf2を設定するための第4設定部105が配置されることにより、ユーザは、第4色の出現頻度がどの程度であるときに、フルカラー特定模様印刷モードを設定すべきかを容易に決定できる。
第5設定部106は、操作入力部18の操作ボタンの操作に応じたコマンドがバスBに送られ、当該コマンドが後述する第3基準頻度tf3の設定を要求しているときには、当該第3基準頻度tf3を設定する。
後述するように、画像の全画素数と、第1〜第4色それぞれの出現頻度の合計との差が、第3基準頻度tf3以上であるか、当該第3基準頻度tf3に満たないかに応じて、フルカラー特定模様印刷モードが設定されるか、されないかが決定される。第3基準頻度tf3を設定するための第5設定部106が配置されることにより、ユーザは、画像の全画素数と、第1〜第4色それぞれの出現頻度の合計との差がどの程度であるときに、フルカラー特定模様印刷モードを設定すべきかを容易に決定できる。
下色除去部104は、通常時、つまり、特定模様印刷モードの設定がされていない状態で画像形成部40により画像データを印刷するに際して、当該画像データの各画素について、シアン、マゼンタ、及びイエローの各々の濃度値のうちグレーに対応する部分をブラックに書き換える、UCR(undercolor removal)処理を実行する。
尚、下色除去部104は、画像データの各画素について、レッド、グリーン、及びブルーの各々の濃度値のうちグレーに対応する部分をブラックに置き換えてもよい。
一方、下色除去部104は、特定模様印刷モードの設定がされている状態で画像形成部40により画像データを印刷するに際しては、文字色と考えられる第2色をブラックに置き換える、100%UCR処理を行う。
図3は、画像データ取得部11により取得され、背景色変更処理が施された画像データDの一例を概念的に示した図である。かかる画像データDは、例えば、記録紙の右上に位置するロゴマークLを表すデータを含む。かかるロゴマークLは、特定模様の1つであり、例えば、深緑色及び赤色が混在するロゴマークとされている。
尚、本実施形態では、特定模様として、ロゴマークLを例示しているが、これには限られず、複数の有彩色からなる複数のアンダーラインやマーカーであってもよい。
さらにまた、画像データDは、文字Cを表すデータや、背景Bを表すデータを含む。
ここにおいて、背景(B)には、背景(B)の背景色とは異なる色が、裏写りなどによって混在している場合が考えられるが、このように混在した色は、先述の背景色変更処理によって、背景色に変更される。したがって、画像データDに存在する色は、背景色、文字色、及び、ロゴマークLの模様色のみとなる。
図4は、画像形成装置1の基本処理の一例を説明するための、画像データDの各画素の色の出現頻度を表したヒストグラム例である。図5〜図7は、画像形成装置1の基本処理の一例を示したフローチャートである。
図4(a)及び図4(c)は、複数色のロゴマークLが存在する画像データDの各画素の色の出現頻度を表したヒストグラムである。図4(b)は、単一色のロゴマークLが存在する画像データDの各画素の色の出現頻度を表したヒストグラムである。
尚、図4では、画像データDの全画素数は、551キロピクセルとされている。画像データDの各画素の色は、第1色から第6色までのいずれかの色とされており、各色が、背景色、文字色、及びロゴマークLの模様色のいずれかとされている。
図4(a)では、背景色である第1色の出現頻度が340と最も高く、文字色である第2色の出現頻度が150と第1色の出現頻度に続いている。
そして、ロゴマークLの色は、第3色、第4色、第5色、及び第6色であり、第3色の出現頻度が40と前記第2色に続いており、第4色の出現頻度が20と前記第3色に続いており、第5色及び第6色の出現頻度が0.5と前記第4色に続いている。
また、図4(b)では、背景色である第1色の出現頻度が340と最も高く、文字色である第2色の出現頻度が150と第1色の出現頻度に続いている。
そして、ロゴマークLの色は、第3色であり、第3色の出現頻度が60と前記第2色に続いており、第4色及び第5色の出現頻度が、第3色に比べて極めて低い出現頻度である0.5とされている。そして、第6色の出現頻度が0とされている。
そしてまた、図4(c)では、背景色である第1色の出現頻度が340と最も高く、文字色である第2色の出現頻度が150と第1色の出現頻度に続いている。
そして、ロゴマークLの色は、第3色、第4色、第5色、及び第6色であり、第3色の出現頻度が20と前記第2色に続いており、第4色の出現頻度が0.5と前記第3色に続いている。そして、第5色の出現頻度が0.4と前記第4色に続いており、第6色の出現頻度が0.3と前記第5色に続いている。
以下、画像形成装置1の処理について、図5〜図7を用いて説明する。尚、以下の説明において、背景Bの色が第1色、文字Cの色が第2色、ロゴマークLの色が、画像データDにおいて第2色よりも出現頻度が低い色であるとする。
そして、第2色よりも出現頻度が低い色は、画像データDにおいて第2色の次に出現頻度が高い第3色、当該第3色の次に出現頻度が高い第4色、当該第4色の次に出現頻度が高い第5色、及び、当該第5色の次に出現頻度が高い第6色であるとする。
画像形成装置1では、操作入力部18が、管理部17に予め登録されている第1ユーザを示す識別情報の入力を受け付けたときには、画像形成制御部11が、当該第1ユーザのログインを許可する(ステップS1のYES)。
そして、画像形成装置1が画像データ取得部11により画像データDを取得したときに(ステップS2)、画像形成制御部16が、管理部17を参照することにより、ログインが許可された第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許可する設定がなされているか否かを判断する(ステップS3)。
そして、当該第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許可する設定がなされていないときには(ステップS3のNO)、画像形成制御部16は、モノクロ印刷モードを実行して、ブラック(K)の色トナーのみを用いて画像データDを印刷する(ステップS4)。
ついで、画像形成制御部16は、ユーザの課金情報を更新する(ステップS5)。例えば、画像形成装置1は、管理部17に予めユーザの識別情報毎に、当該ユーザに請求すべき金額を課金情報として登録するようにしておき、モノクロ印刷モードによる画像形成を実行した後に、実行されたモードに対応する金額を、ユーザの識別情報に対応する課金情報として順次登録する。
このように、実行されたモノクロ印刷モードに対応する金額を課金情報として順次登録するため、ユーザがどれくらいの課金が課されているかが容易に判る。
一方で、第1ユーザに対してフルカラー特定模様印刷モードの実行を許可する設定がなされているときには(ステップS3のYES)、画像形成制御部16は、度数分布取得部13、色設定部100、及び、画像形成制御部16に、例えば、以下の処理を行わせる。
度数分布取得部13は、画像データDの各画素についての色を階級とし、各色の出現頻度を表す度数分布を取得する(ステップS6)。そして、度数分布取得部13は、ステップS6において取得された度数分布において、各色の出現頻度をカウントする(ステップS7)。
ついで、色設定部100は、ステップS6において取得された度数分布において、最も出現頻度の高い色、例えば白色を背景色に設定し(ステップS8)、2番目に出現頻度の高い色、例えば黒色、グレー、紺色等を文字色に設定する(ステップS9)。そしてまた、色設定部100は、度数分布において、3番目に出現頻度が高い色を第3色、4番目に出現頻度が高い色を第4色としてそれぞれ抽出する(ステップS10)。
そして、色設定部100は、第2色よりも出現頻度が低い色が、特定模様を構成する模様色であると仮定して、以下の処理を行う。
もし、カラー画像の全画素数と、背景色と考えられる第1色及び文字色と考えられる第2色それぞれの出現頻度の合計との差、つまり、第2色よりも出現頻度が低い色の出現頻度が大きければ、第2色よりも出現頻度が低い色と考えられる特定模様を印刷するための有彩色トナーの消費量が多くなる。このことは、印刷コスト削減の点から問題がある。
その一方、もし、第2色よりも出現頻度が低い色の出現頻度が低ければ、前記特定模様を印刷するための有彩色トナーの消費量を抑制することができる。この場合、第2色よりも出願頻度が低い色の有彩色トナーを用いて特定模様を印刷したときに、有彩色トナーを用いることによるコストの増大が小さい範囲で、ユーザにとって重要な意味を持つロゴマークLの色や、アンダーライン、マーカー等の色を記録紙上に忠実に再現することができる。
かかる観点から、色設定部100は、例えば、第1色の出現頻度と第2色の出現頻度の和(SUM1)を取得し(ステップS11)、カラー画像の全画素数から、第1色及び第2色それぞれの出現頻度の和(SUM1)を減じて得た値{(全画素数)−(SUM1)}を取得する(ステップS12)。
そして、色設定部100は、SUM1が、予め定められた第1基準頻度tf1を超えているか否かを判断する(ステップS13)。
もし、カラー画像の全画素数から、第1色及び第2色の出現頻度それぞれの和(SUM1)を減じて得た値{(全画素数)−(SUM1)}が小さければ、画像データDにおいて、第2色よりも出現頻度が低い色と考えられるロゴマークL等の特定模様の占める領域が小さい。
したがって、色設定部100は、ステップS13において、当該値{(全画素数)−(SUM1)}が第1基準頻度tf1に満たないときには(ステップS13のYES)、特定模様のサイズが小さいとみなして、ステップS14の処理に移る。
一方で、値{(全画素数)−(SUM1)}が第1基準頻度tf1以上であるときには(ステップS13のNO)、画像形成制御部16に、値{(全画素数)−(SUM)}が第1基準頻度tf1以上であることを表す情報を送る。そうすると、画像形成制御部16が、ステップS19〜S21の処理に移る。
もし、値{(全画素数)−(SUM1)}が第1基準頻度tf1以上であれば、画像データDにおけるロゴマークLなどの特定模様の占める領域が大きいと考えられるので、特定模様を有彩色トナーで印刷するコストを省くという観点では、画像データD全体を、ブラックトナーを用いて印刷するモノクロ印刷モードを実行することが好ましい。
しかしながら、文字色と考えられる第2色が有彩色であれば、当該第2色を、当該第2色の色トナーを用いて忠実に再現することが好ましい。そのため、ステップS19において、色設定部100は、第2色が無彩色であるか否かを判定している(ステップS19)。
そして、色設定部100は、第2色が無彩色であれば(ステップS19のYES)、モノクロ印刷モードを実行する(ステップS20)。一方、有彩色であれば(ステップS19のNO)、色設定部100は、モノカラー印刷モードを実行する(ステップS21)。
モノカラー印刷モードでは、文字(C)が第2色の有彩色トナーを用いて印刷され、ロゴマークLがブラックのトナーを用いて印刷される。これにより、文字の色を忠実に再現することができる。
尚、色設定部100は、ステップS13の処理に代えて、第1色及び第2色それぞれの出現頻度の合計(SUM1)と、カラー画像の全画素数との比率{(SUM1)/(全画素数)}が予め設定された基準比率以上であるか否かを判断してもよい。
サービス提供者が、特定模様が印刷されるべき記録紙サイズが大きくなるほど印刷にかかる課金を高く設定していれば、特定画像がカラー画像全体に占める割合が一定の割合に満たない限り、当該課金の中に占める有彩色トナーの消費コストが小さいため、サービス提供者が損をせずに、ユーザに対して、特定模様を有彩色トナーを用いて印刷するサービスを提供することが可能となるからである。
そして、色設定部100は、比率{(SUM1)/(全画素数)}が基準比率以上である場合にはステップS14に移り、基準比率に満たない場合にはステップS19に移る。
ステップS14では、色設定部100は、第4色の出現頻度が予め定められた第2基準頻度tf2以上であるか否かを判断する(ステップS14)。第4色の出現頻度が一定以上あれば、特定模様が、少なくとも、第3色及び第4色であると考えられるからである。
かかる判断の結果、第4色の出現頻度が第2基準頻度tf2に満たないときには(ステップS14のYES)、色設定部100は、ステップS15の処理に移り、第2基準頻度以上であるときには(ステップS14のNO)、特定模様が複数色とみなして、フルカラー特定模様印刷モードを設定する(ステップS18)。
例えば、第2基準頻度tf2が1である場合、図4(a)では、ロゴカラー2で表される第4色の出現頻度が20であり第2基準頻度tf2以上であるため、ロゴマークLが複数色とみなされて、フルカラー特定模様印刷モードが設定される。
ステップS15では、色設定部100は、第3色及び第4色の出現頻度の合計(SUM2)を取得する。
そして、色設定部100は、ステップS12で取得された値からSUM2を減じた値、すなわち、カラー画像の全画素数から、第1〜第4色の出現頻度の合計を減じた値が、予め設定された第3基準頻度tf3以上であるか否かを判定する(ステップS16)。以下、ステップS16の処理が行われる理由を説明する。
例えば、第2基準頻度tf2が1である場合、図4(b)では、ロゴカラー2で表される第4色の出現頻度が0.5であり第2基準頻度tf2に満たないため、色設定部100は、ロゴマークLを単一色とみなすことができる。
しかしながら、第2基準頻度tf2が1であるとき、図4(c)でも、ロゴカラー2で表される第4色の出現頻度が0.5であるため、ロゴマークLが単一色とみなされてしまう。この場合、ロゴマークLが複数色であるにもかかわらず、誤って単一色とみなされてしまう。
これを抑制するため、ステップS16の処理が行われる。
ステップS16において、カラー画像の全画素数から、第1〜第4色の出現頻度の合計を減じた値が、予め設定された第3基準頻度tf3に満たないときには(ステップS16のYES)、色設定部100は、単一色特定模様印刷モードを設定する(ステップS17)。
例えば、第3基準頻度tf3が1である場合、図4(b)では、「1〜4以外」で表される、カラー画像の全画素数から、第1〜第4色の出現頻度の合計を減じた値0.5が第3基準頻度tf3に満たないため、単一色特定模様印刷モードが設定される。
色設定部100は、単一色特定模様印刷モードを設定したときには、第3色のみを特定模様の模様色に設定し、単一色特定模様印刷モードを設定したこと、及び、第3色のみを特定模様の模様色に設定したことを画像形成制御部16に通知する。
そうすると、画像形成制御部16は、単一色特定模様印刷モードを実行して、色設定部100によって設定された模様色の色トナーを用いて特定模様を印刷し、第2色の色トナー、例えばブラックのトナーを用いて文字Cを印刷する。
一方で、カラー画像の全画素数から、第1〜第4色の出現頻度の合計を減じた値が、予め設定された第3基準頻度tf3以上であるときには(ステップS16のNO)、色設定部100は、フルカラー特定模様印刷モードを設定する(ステップS18)。
例えば、第3基準頻度tf3が1である場合、図4(c)では、「1〜4以外」で表される、カラー画像の全画素数から、第1〜第4色の出現頻度の合計を減じた値40.5が第3基準頻度tf3以上であるため、フルカラー特定模様印刷モードが設定される。
色設定部100は、フルカラー特定模様印刷モードを設定したときには(ステップS18)、第2色よりも出現頻度が低い色全てを模様色に設定する(ステップS22)。例えば、色設定部100は、第3色から第6色までの各色を模様色に設定する。
そして、画像形成制御部16が、ステップS23及びS24の処理を行う。
もし、画像データDにおける文字Cの色が黒色以外であった場合には、文字Cの色を表現するために、高価な有彩色トナー、つまり、シアン、マゼンタ、及びイエローの色トナーが使用されてしまう。この場合、画像データDの印刷コストを抑制することができない。
そのため、画像形成制御部16は、下色除去部104に100%UCR処理を実行させて、第2色をブラックに置き換えさせる(ステップS23)。
このように、第2色をブラックに置き換えさせるため、文字色が黒色以外の色、例えば、グレー、紺色などの有彩色であっても、文字がブラックのトナーで印刷されることとなるため、印刷コストの抑制が可能となる。
そして、画像形成制御部16は、フルカラー特定模様印刷モードを実行し、画像形成部40によって、文字Cをブラックのトナーを用いて印刷させ、有彩色トナーを用いて特定模様を印刷させる(ステップS24)。ここにおいて、ステップS24では、画像形成部40は、ステップS22で設定された模様色を有彩色トナーで表現する。
例えば、画像形成部40は、深緑色や赤色については、シアン、マゼンタ、イエローを所定の割合で混合させることにより、それぞれの色を表現する。
画像形成装置1は、ステップS24を行った後、ユーザの課金情報を更新する(ステップS25)。例えば、画像形成装置1は、管理部17に予めユーザの識別情報毎に、当該ユーザに請求すべき金額を課金情報として登録するようにしておき、フルカラー特定模様印刷モードによる画像形成を実行した後に、実行されたモードに対応する金額を、ユーザの識別情報に対応する課金情報として順次登録する。
このように、フルカラー特定模様印刷モードに対応する金額を課金情報として順次登録するため、ユーザがどれくらいの課金が課されているかが、容易に判る。
以下、背景色、文字色、及び模様色の設定処理の詳細について、図8〜図12を用いて説明する。
尚、以下の処理は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の濃度値の上位4ビットを座標軸に持つ3次元座標を用いて実行されているが、この例には限られない。例えば、各色の濃度値の全ビットを座標軸に持つ3次元座標を用いて、各色を階級とした、当該色の出現頻度を表す度数分布を取得し、当該度数分布を用いて、背景色、文字色、及び模様色を設定してもよい。
また、図8〜図11では、後述する各色グループG(1)、G(2)、G(3)、G(4)、G(5)、G(6)、G(11)、G(12)を、小さなボックスの形で表している。
尚、以下の処理は、レッド、グリーン、及びブルーの各色について行われてもよい。
図8は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色についてそれぞれ上位4ビットが共通する各色グループの出現頻度を表す度数分布の一例を概念的に示した図である。
度数分布取得部13には、図8に示すように、シアン(C)の濃度値である基本ビット数における上位4ビット(16進数で表すと1〜F)をX軸で表し、マゼンタ(M)の濃度値である基本ビット数における上位4ビット(16進数で表すと1〜F)をY軸で表し、イエロー(Y)における基本ビット数における上位4ビット(16進数で表すと1〜F)をZ軸で表した3次元座標を表す3次元座標情報が予め準備されている。
そして、度数分布取得部13は、画像データDをなす各画素の色について、各色を表す、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の濃度値における上位4ビットを当該3次元座標のX座標、Y座標、Z座標に割り当てる。
このとき、度数分布取得部13は、シアンの濃度値における上位4ビットをX座標に割り当て、マゼンタの濃度値における上位4ビットをY座標に割り当て、イエローの濃度値における上位4ビットをZ座標に割り当てる。
これにより、度数分布取得部13は、上位4ビットが各要素色、つまり、シアン、マゼンタ、イエローの各々についてそれぞれ共通する色グループを階級として3次元座標上に配置する。
そして、度数分布取得部13は、各色グループに対して、当該色グループの出現頻度を対応付ける。これにより、度数分布取得部13は、色グループの度数分布を3次元度数分布情報として取得する。
そして、色設定部100は、度数分布取得部13により取得された度数分布(図8参照)において、最も出現頻度の高い色グループを第1色グループG(1)として取得し、当該第1色グループG(1)に属する色、例えば白色を第1色として設定する。そしてまた、色設定部は、第1色グループG(1)の次に高い出現頻度の色グループを第2色グループG(2)として取得し、当該第2色グループG(2)に属する色、例えば、黒色を第2色として設定する。
図9は、第1色グループG(1)及び第2色グループG(2)の各々が属するグループ集合体の構成の一例を概略的に示した図である。
色設定部100は、前記3次元度数分布度数情報を得たときには、第1色グループG(1)が位置する座標との間で予め設定された判定距離に満たない階級の色のグループである色グループと、第1色グループG(1)とで、1つのグループ集合体S(1)を形成する。
また、色設定部100は、図9に示すように、第2色グループG(2)が位置する座標との間で予め設定された判定距離に満たない階級の色のグループである色グループと、第2色グループG(2)とで、1つのグループ集合体S(2)を形成する。
例えば、色設定部100は、第1グループG(1)が位置する座標と、第2色グループG(2)が位置する座標との各々との間で、ユークリッド距離が2未満である座標に位置する色グループを、1つのグループ集合体の中に含める。
ここにおいて、上記3次元座標において、第1色グループG(1)が位置する座標(X,Y,Z)を座標a(a1,a2,a3)とする一方で、任意の座標(X,Y,Z)を座標b(b1,b2,b3)としたときに、2つの座標間のユークリッド距離を、以下の数(1)の形で表すことができる。
但し、d(a,b)は、座標aと座標bとの間のユークリッド距離を示す。
図10はグループ集合体の構成の一例を模式的に示した斜視図である。図11はグループ集合体の構成の一例を模式的に示した分解斜視図である。図10及び図11では、グループ集合体S(1)の構成が例示されている。尚、グループ集合体S(2)については、グループ集合体S(1)と同様であるため図示及び説明を省略する。
グループ集合体S(1)は、図10及び図11に示すように、第1色グループG(1)と、当該第1色グループG(1)と面或いは辺同士が接し合う色グループ(以下、第1隣接色グループという)G(11)と、第1色グループG(1)とは面及び辺同士が接し合わずに点同士が接し合う色グループ(以下、第2隣接色グループという)G(12)とで構成されている。
尚、図10及び図11において、第1色グループG(1)が破線で表され、第1隣接色グループG(11)が白色で表され、第2隣接色グループG(12)が網掛け模様により表されている。
かかるグループ集合体S(1)では、第1隣接色グループG(11)と、第2隣接色グループG(12)とが、第1色グループG(1)との間でユークリッド距離が2未満である座標に位置している。
色設定部100は、かかるグループ集合体S(1)において、第1隣接色グループG(11)及び第2隣接色グループG(12)の出現頻度を、第1色グループG(1)の出現頻度に加算して、得られた出現頻度を第1色グループG(1)の出現頻度として、図示しないレジスタなどに記憶させる。
また、色設定部100は、グループ集合体S(2)においても、グループ集合体S(1)と同様に、第1隣接色グループ及び第2隣接色グループの出現頻度を、第2色グループG(2)の出現頻度に加算して、得られた出現頻度を第2色グループG(2)の出現頻度として、図示しないレジスタなどに記憶させる。
さらにまた、色設定部100は、第1色グループG(1)と第2色グループG(2)とを直線的に結んだ経路上に配置された階級であって、かつ3次元座標上における第1色グループG(1)に属する各色からの距離が、予め設定された判定距離、例えば、ユークリッド距離2を超える階級の色と、第2色グループG(2)に属する各色からの距離が前記判定距離を超える階級の色とを除外して、模様色と考えられる第3色及び第4色を設定する。
例えば、色設定部100は、図9に示すように、第1色グループG(1)が属するグループ集合体S(1)と、第2色グループG(2)が属するグループ集合体S(2)とを直線的に結んで、グループ集合体S(1)及びS(2)を含む直方体形状の領域A(図9参照)を形成する。そして、色設定部100は、当該領域Aのうち、グループ集合体S(1)とグループ集合体S(2)とを除いた領域A(1)を取得する。
そして、色設定部100は、領域A(1)を除いた3次元座標において、第2色グループG(2)の次に高い出現頻度の第3色グループG(3)を取得し、当該第3色グループG(4)の次に高い出現頻度の第4色グループG(4)を取得する。
尚、領域A(1)を除いた3次元座標において、第4色グループG(4)よりも出現頻度が低い色グループ、例えば、第5色グループG(5)(図8参照)や、第5色グループG(5)よりも出現頻度が低い第6色グループG(6)(図8参照)が存在する場合には、色設定部100は、これら各色グループも取得する。
そして、色設定部100は、画像データDにおける全画素数から、第1色グループG(1)及び第2色グループG(2)の出現頻度それぞれの和(SUM1)を減じて得た値{(全画素数)−(SUM1)}が、第1基準頻度tf1に満たないときには、特定画像の画像サイズが小さいとみなす。
ついで、色設定部100は、第4色グループG(4)の出現頻度が第2基準頻度tf2以上であるとき、特定模様が複数の有彩色から構成されているとみなして、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
或いは、色設定部100は、第4色グループG(4)の出現頻度が第2基準頻度tf2に満たなくても、第1色グループG(1)から第4色グループG(4)までの出現頻度の和を、全画素数から減じた値が、第3基準頻度tf3以上であるときには、特定模様が複数の有彩色から構成されているとみなして、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
或いは、色設定部100は、第1色グループG(1)及び第2色グループG(2)それぞれの出現頻度の合計(SUM1)と、画像データDにおける全画素数との比率{(SUM1)/(全画素数)}が基準比率以上であるときに、特定画像の画像サイズが小さいとみなす。
そして、色設定部100は、第4色グループG(4)の出現頻度が第2基準頻度tf2以上であるとき、特定模様が複数の有彩色から構成されているとみなして、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
色設定部100は、フルカラー特定模様印刷モードを設定した後、度数分布取得部13と協働して、例えば、以下の処理を行う。
図12は、フルカラー特定模様印刷モードが設定されたときにおける、度数分布取得部13及び色設定部100の処理について概念的に説明するための図である。
そして、図12(a)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)について、上位4ビットをX、Y、Z軸で表した3次元座標を示しており、図12(b)は、第3色グループG(3)に属する複数色を示している。
ここにおいて、図12(b)では、第3色グループG(3)に属する各色、例えば、色CO(1)、色CO(2)、色CO(3)、色CO(4)、色CO(5)を、小さなボックスの形で表している。
尚、第4色グループG(4)〜第6色グループG(6)に属する各色については、第3色グループG(3)に属する各色と同様であるため、図示を省略する。
度数分布取得部13には、先述したように、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)について、上位ビットをX、Y、Z軸で表した3次元座標(図12(a)参照)を表す3次元座標情報の他に、図12(b)に示すように、シアン(C)の濃度値である基本ビット数における下位4ビット(16進数で表すと1〜F)をX軸で表し、マゼンタ(M)の濃度値である基本ビット数における下位4ビット(16進数で表すと1〜F)をY軸で表し、イエロー(Y)における基本ビット数における下位4ビット(16進数で表すと1〜F)をZ軸で表した3次元座標を表す3次元座標情報が予め準備されている。
そして、度数分布取得部13は、第3色グループG(3)に属する色について、当該色をなすシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の濃度値の下位4ビットを用いて、当該色を図12(b)に示す3次元座標上に配置する。
色設定部100は、第3色グループG(3)について、3次元座標上に配置された色、例えば、色CO(1)〜色CO(5)の出現頻度を取得し、図示しないレジスタなどに記憶させる。そして、色設定部100は、図12(b)に示す3次元座標において、最も出現頻度の高い色、例えば、色CO(1)を第3色として取得して、当該第3色を特定模様の模様色に設定する。
そして、色設定部100は、第4色グループG(4)についても第3色グループG(3)と同様の処理を行い、第4色グループG(4)の中で最も出現頻度の高い色を第4色として取得し、取得した第4色を特定模様の模様色に設定する。
尚、色設定部100は、先述の第5色グループG(5)や第6色グループG(6)が取得されている場合には、第5色グループG(5)や第6色グループG(6)についても第3色グループG(3)と同様の処理を行い、各色グループの中で最も出現頻度の高い色を、それぞれ、第5色、第6色として取得し、取得した各色を特定模様の模様色に設定する。
なお、上記構成において、前記色設定部は、前記カラー画像の全画素数と、前記第1色及び前記第2色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第1基準頻度に満たず、かつ第2色の次に出現頻度が高い階級の色である第3色の次に出現頻度が高い階級の色である第4色の出現頻度が予め設定された第2基準頻度に満たず、かつ前記カラー画像の全画素数と、前記第1色、前記第2色、前記第3色、及び前記第4色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第3基準頻度以上のときには、前記フルカラー特定模様印刷モードを設定することが好ましい。
もし、カラー画像の全画素数と、背景色と考えられる第1色及び文字色と考えられる第2色それぞれの出現頻度の合計との差が第1基準頻度に満たないときには、第1色及び第2色以外の色、つまり、模様色と考えられる色の特定模様の画像面積が小さい可能性がある。
また、第2色の次に出現頻度の高い階級の色である第3色の次に出現頻度の高い第4色の出現頻度が第2基準頻度に満たなければ、特定模様の色が第3色一色である可能性がある。
しかしながら、第4色の出現頻度が第2基準頻度に満たなくても、カラー画像の全画素数と、第1色、第2色、第3色、及び第4色それぞれの出現頻度の合計との差が予め設定された第3基準頻度以上であれば、特定模様の色が、第3色、及び、第3色よりも出現頻度の低い色、例えば、第4色や第5色である可能性がある。
この構成によれば、カラー画像の全画素数と、第1色及び第2色それぞれの出現頻度の合計との差が第1基準頻度に満たず、かつ第4色の出現頻度が第2基準頻度に満たず、かつカラー画像の全画素数と、第1色、第2色、第3色、及び第4色それぞれの出現頻度の合計との差が第3基準頻度以上のときには、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
これにより、第4色の出現頻度が一定頻度に満たなくて、特定模様の色が第3色一色である可能性のある場合でも、カラー画像の全画素数と、第1色、第2色、第3色、及び第4色それぞれの出現頻度の合計との差が一定頻度以上であれば、特定模様が複数色とみなして、フルカラー特定模様印刷モードを設定する。
その結果、特定模様が複数色であると精度良く判定することが可能となる。