JP5438925B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
ここで、当該転写ベルトは、駆動ローラと従動ローラとの間に掛け回されているが、さらに、この転写ベルトの転写面をドラムとは別の位置で押圧させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
詳しくは、このベルトは、一般に樹脂の単層の構造が使用されるが、多層、つまり、樹脂層の上に弾性層を配置した構造も多く使用される。均一で高品質な転写画質を得るためである。
ここで、この多層のベルトを押圧すると、弾性層のヤング率は低いのに対し、樹脂層のヤング率は高いので、弾性層は変形するのに対し、樹脂層は殆ど変形しない。
すなわち、仮に折り曲げローラを転写ベルトとは別に駆動させる際に、この折り曲げローラの表面速度をベルトの新たな中立面における速度に略等しく設定すると、折り曲げローラと転写面との間でスリップが生じてしまう。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、折り曲げローラを用いつつも、画像欠陥を防止できる画像形成装置を提供することである。
第1の発明によれば、ベルト部材は、駆動及び従動ローラ間に掛け回されているが、このベルト部材は、折り曲げローラによって画像担持体との当接面が押圧されており、逆側に屈曲している。これにより、画像形成装置の省スペース化が図られる。
そして、折り曲げローラが軟質の層を硬質の層に向けて押圧すると、ベルト部材の中立面は、ベルト部材の内側、詳しくは、硬質の層側に移り、この新たな中立面における速度がベルト部材の平均速度になって、当接面の速度との差がより大きくなる。
しかしながら、本発明の折り曲げローラは、その表面速度がベルト部材の平均速度よりも小さく設定され、当接面の速度に略一致されているので、これら折り曲げローラと当接面との間ではスリップが生じない。よって、画像欠陥が防止可能になる結果、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、折り曲げローラの表面速度V2とベルト部材の平均速度V1とが上述の式を満たせば、この折り曲げローラの表面速度は当接面の速度に常に一致し、これら折り曲げローラと当接面との間のスリップを確実に防止できる。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、折り曲げローラの表面速度の設定値が、上述の式で求められた折り曲げローラの表面速度V2の±1%以内の値に設定されていれば、折り曲げローラの表面にはトナーの付着が全く生じないので、特に顕著な効果を奏する。
図1は、本実施例であるタンデム方式のカラープリンタの概略構成図であり、同図の右方向がプリンタ1の正面に対応し、左方向が背面に対応している。
同図に示されるように、この装置本体2の下部には用紙のカセット3が配置されており、カセット3には画像形成前の用紙Pが積層状態で収容され、この用紙Pは1枚ずつ分離され、カセット3から右方向に向けて送出される。
ここで、本実施例の画像形成部6は、4つの画像形成ユニット6C,6M,6Y,6Bで構成されている。
また、各ドラム7の周囲の適宜位置には、それぞれ対応する帯電器8、露光装置(LEDプリントヘッドユニット等)9、現像器10、中間転写ローラ12、摺擦ローラ13が設けられている。
現像器10は、ドラム7の回転方向で見て露光装置9の下流側に配置されており、各コンテナ11C,11M,11Y,11Bからシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーがそれぞれ供給され、これら各色のトナーをドラム7の表面に静電的に付着させる。
詳しくは、上記ベルト14は、誘電体樹脂製のシート材の両端部分を重ね合わせて接合したエンドレス形状のベルトや、継ぎ目を有しないシームレスのベルトが用いられており、図2にも示されるように、駆動ローラ15と従動ローラ16との間に掛け回され、固定ハウジング32内に設置された駆動モータによって同図の時計回りに走行する。
なお、誘電体樹脂製のシート材としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート(PETシート)、ポリフッ化ビニリデン樹脂製のシート(PVDFシート)などの高抵抗高分子誘電体樹脂性のシートが使用可能である。
詳しくは、図2に示される如く、従動ローラ16の近傍にはベルト接離機構30が設置され、この接離機構30がベルト14を各ドラム7に対して接触及び離間させる。
そして、カラー印刷時には、作動部36が可動ハウジング34を固定ハウジング32に対して持ち上げており、ベルト14が各ドラム7の総てに接触する(図2)。
具体的には、この折り曲げローラ24は、ベルト14の搬送方向で見て転写部17の下流側であって、従動ローラ16の上流側の適宜位置に配設されており、弾性層14e側である転写面14aをベルト14の内側に向けて押圧している。これにより、このベルト14は、逆側、換言すれば、ベルト14の内側に向けて凸形状に屈曲されることになる。
これは、図4にも示されるように、このローラ24の表面25が転写面14aを押圧しているため、この表面25に例えばブレードを当接させてクリーニングする必要があるからである。
そこで、この回転速度の設定する際には、これら表面25と弾性層14eとが接している点を鑑み、当該表面25の速度(ローラ表面速度V2)をベルト14の平均速度(ベルト線速V1)よりも小さく設定している。
一方、表面25が弾性層14eに接している状態では、弾性層14eは縮むのに対し、樹脂層14rは殆ど縮まず、その中立面は、上述した厚さの半分の位置から樹脂層14r側に移り、この新たな中立面における速度がベルト線速V1になる。つまり、ベルト線速V1と転写面14aの速度(ベルト表面速度v)との差がさらに大きくなる。
したがって、上述のベルト線速V1とベルト表面速度vとの比は、ローラ24の中心と中立面との距離(r2+te+0.5tr)とローラ24の中心と転写面14aとの距離(r2)との比に等しくなる。
したがって、ローラ表面速度V2を設定する際には、この表面速度V2を、ベルト線速V1に設定するのではなく、ベルト表面速度vに一致させ、ベルト線速V1よりも小さな値に設定するのである。
また、プリンタ1では露光装置9によるレーザ光の照射が制御される。これにより、画像形成部6において各ドラム7上に原稿画像の静電潜像が作られ、続いてこの潜像から各ドラム7上にトナー像が形成され、ベルト14を介して用紙Pに転写される。用紙Pは未定着トナー像を担持した状態で定着部18に向けて送られ、カラー画像或いはモノクロ画像が形成された後、搬送路20を通ってトレイ22に排出される。
そして、本実施例によれば、ベルト14は、駆動及び従動ローラ15,16に掛け回されているが、このベルト14は、折り曲げローラ24によって転写面14aが押圧されており、ベルト14の内側に向けて凸形状に屈曲している。
しかしながら、本実施例では、ローラ表面速度V2がベルト線速V1よりも小さく設定され、また、ベルト表面速度vに略一致されているので、これら表面25と転写面14aとの間ではスリップが生じない。よって、転写面14aや表面25は傷付き難くなり、画像欠陥が防止可能になる。この結果、プリンタ1の信頼性向上に寄与する。
ローラ表面速度V2を1mm/s刻みで増減させると、上述した約333.6mm/sの理想的な速度に対して約331.0mm/s〜約336.0mm/sの範囲では、同図に○で示されるように、トナーの付着が発生しないことが分かる。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
7 感光体ドラム(画像担持体)
14 転写ベルト(ベルト部材)
14a 転写面(当接面)
14e 弾性層(軟質の層)
14r 樹脂層(硬質の層)
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
24 折り曲げローラ
25 表面
Claims (2)
- 画像担持体を有しており、その駆動によって該画像担持体上の潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する画像形成部と、
駆動及び従動ローラ間に掛け回されており、その駆動によって前記トナー像を用紙に直接的若しくは間接的に転写させるとともに、硬質の層及び前記画像担持体との当接面側に位置する軟質の層の少なくとも2層で構成されたベルト部材と、
該ベルト部材とは独立した駆動によって回転可能に構成されており、前記当接面を押圧し、該ベルト部材を逆側に屈曲させる折り曲げローラとを具備し、
該折り曲げローラの表面速度を前記当接面の速度に略一致させ、前記ベルト部材の平均速度よりも小さく設定するにあたり、
前記ベルト部材の平均速度V1、前記折り曲げローラの理想的な表面速度V2とし、該折り曲げローラの半径r2、前記硬質の層の厚さtr、及び前記軟質の層の厚さteとしたとき、
V2={r2/(r2+te+0.5tr)}×V1
を満たすことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記折り曲げローラの表面速度の設定値は、前記折り曲げローラの理想的な表面速度V2に対して±1%以内の値に設定されることを特徴とする画像形成装置。
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