JP5438442B2 - ピエゾ式噴霧器用薬液 - Google Patents
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Description
(1)有害生物防除剤を溶媒に溶解させてなるピエゾ式噴霧器用薬液であって、前記溶媒が、パラフィン系溶剤と、ジアルキレングリコールジアルキルエーテルおよびジアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートから選ばれるグリコールエーテル系化合物の1種又は2種以上、とを含む混合溶液である、ことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。
(2)前記グリコールエーテル系化合物が、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートのうちのいずれかである、前記(1)記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
なお、本明細書においては、特に断りのない限り、薬液が放散されることを「蒸散」と称し、有効成分(有害生物防除剤)が放散されることを「揮散」と称する。
本発明における前記有害生物防除剤としては、所期の効果を達成できるものであれば特に制限はなく、例えば、有害生物として害虫を防除対象とする場合には、例えば、シフェノトリン、ビフェントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン、プロポクスル、メトキサジアゾン、アミドフルメト、ジノテフラン、ハイドロプレン、メトプレン、エトフェンプロックス等が挙げられ、有害生物としてカビ類や菌類を防除対象とする場合には、イソプロピルメチルフェノール、チオベンダゾール、ヒノキチオール、ローズマリーエキス等が挙げられる。これらの中でも、シフェノトリン、プロポクスル、メトキサジアゾン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、イソプロピルメチルフェノール、エトフェンプロックス等が、本発明の薬液としてピエゾ式噴霧器に適用した場合の揮散性が良好で、駆除効果に優れ、後述する特定の溶媒に対する溶解性が高く、結果として継続して安定した防除効果を発揮しうることから好ましい。なお、有害生物防除剤としては1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
図1に示すピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子5と、この振動子5に連結された超音波発振機7とを備えている。吸液芯3の上端部と振動子5との間には金属やセラミックなどからなる接合片6が配置され、これにより振動子5は吸液芯3に間接的に(接合片6を介して)接触している。8は電源としての電池である。また、吸液芯3は、容器1の上部開口にはめ込まれた中空円盤型の芯支持体4により支持されている。
図2に示すピエゾ式噴霧器は、薬液2を収容した容器1と、この容器1の上部開口から上部が突出し下部が容器1内の薬液2に浸漬された吸液芯3と、この吸液芯3の上端部に接触した超音波振動子10と、この振動子10を固定し容器1の上部開口にはめ込まれた蓋部11と、振動子10に連結された超音波発振機(不図示)とを備えている。
この他にも、米国特許6450419号明細書に記載されているようなピエゾ式噴霧器を用いることもできる。
(1)送風機を用いない。
(2)超音波発振機の周波数が50〜300kHzである。
(3)1回当たり、5m秒〜1秒間の駆動と、0.5〜180秒の停止とが交互に行われる間欠蒸散ができる。
(4)1回の駆動により蒸散される薬液量が0.01〜1μLである。
(5)1回の駆動における消費電力が0.3〜10Wである。
(6) アルカリ電池(LR20(単1)、LR14(単2)、LR6(単3)、LR3(単4)、LR1(単5))またはマンガン電池(R20P(単1)、R14P(単2)、R6P(単3)、R3P(単4)、R1P(単5))により駆動することができる。
有害生物防除剤であるエトフェンプロックスを表1に示す溶媒に、エトフェンプロックス/溶媒=20質量%/80質量%の割合で、室温(25℃)にて溶解させて、薬液を調製した。詳しくは、表1に示す溶媒のうち、実施例1〜3および比較例1〜4の溶媒は、いずれも、パラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物とを1:1(質量比)で混合してなるものである。また、使用したパラフィン系溶剤のうち、n−パラフィンとしては新日本石油化学(株)製「NP−SH」を用い、流動パラフィンとしては、中央化成(株)製「チオテック」を用いた。
〔結晶の析出試験〕
得られた薬液を円柱形のガラスサンプル瓶(φ10mm、長さ50mm)に分取し、(A)5℃の低温条件下で12時間静置したときの結晶の析出状況と、(B)種結晶として薬液100gに対して5mgのエトフェンプロックスを添加した後、5℃の低温条件下で12時間静置したときの結晶の析出状況とを、それぞれ目視にて確認し、(A)、(B)それぞれについて以下の基準で評価した。
×:結晶の析出あり
(B)の条件の場合;◎:結晶の析出はなく、添加した種結晶も溶解している
○:添加した種結晶は成長していない
△:添加した種結晶に成長が認められる
×:添加した種結晶の成長とともに、薬液中の結晶も析
出している
・DMFDG(*):ジプロピレングリコールジメチルエーテル
・DPMA(*):ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート
・BDGAC(*):ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
・TPM:トリプロピレングリコールメチルエーテル
・DPNB:ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
・TPNB:トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル
・BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・PGDA:プロピレングリコールジアセテート
これに対して、パラフィン系溶剤とジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(ジアルキレングリコールジアルキルエーテルおよびジアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートに該当しないもの)との混合溶媒を用いた比較例1〜4の薬液や、パラフィン系溶剤を単独で溶媒とした比較例5、6の薬液や、上記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルを単独で溶媒とした比較例7〜9の薬液は、(B)の条件では充分に結晶の析出を抑制することはできず、明らかに実施例の薬液に比べ結晶の析出抑制効果に劣ることが分る。
なお、アルキレングリコールジアセテートを単独で溶媒とした比較例10の薬液や、ジアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートを単独で溶媒とした比較例11の薬液については、実施例の薬液と同等の結晶の析出抑制効果を有していた。
次に、良好な結晶の析出抑制効果を有していた実施例1〜3および比較例10、11の薬液と同じ溶媒を用いて、薬液の自然蒸散量を調べるべく、d,d−T−シフェノトリン(有害生物防除剤)/エトフェンプロックス(有害生物防除剤)/ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)/表2に示す溶媒=3質量%/20質量%/0.2質量%/残部(質量%)の組成で薬液を調製した。実施例4〜6の溶媒は、実施例1〜3と同様、パラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物とを1:1(質量比)で混合してなるものであり、使用したn−パラフィンは新日本石油化学(株)製「NP−SH」である。
なお、比較例13には、上述したものとは別のアルキレングリコールジアセテートとして1,3−ブチレングリコールジアセテート(表中では「1,3−BDGA」の略号で示す)を単独で溶媒とした薬液の例を挙げた。
図2に示すピエゾ式噴霧器(吸液芯:φ6.7mm×長さ60mmのポリエステル繊維芯、圧電素子:外径φ16mm×内孔径φ8.8mm×厚み0.6mm、振動板:ニッケル製、φ15.3mm×厚み0.05mm)に、薬液40mLを容器に入れて収容し、下記の駆動条件で連続通電させた。そして、通電開始時の薬液を収容した容器の質量と、12時間通電後の薬液を収容した容器の質量とを測定し、その質量減少量(mg)を通電時間(12時間)で除することにより、単位時間当たりの蒸散量(mg/H)を求めた。
<ピエゾ式噴霧器の駆動条件>
・超音波発振機の周波数:207〜218kHzの範囲で素子に最適な共振周波数に調整
・駆動条件:10m秒間駆動し、1秒間停止する間欠駆動
・電源:安定化電源1.5V(別途回路制御にACアダプター電源5.0V))
実施例1において、溶媒におけるパラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との混合割合(質量比)を、表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との比率が異なる薬液を調製した。
(実施例9〜11)
実施例2において、溶媒におけるパラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との混合割合(質量比)を、表4に示すように変更したこと以外は、実施例2と同様にして、パラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との比率が異なる薬液を調製した。
(実施例12〜14)
実施例3において、溶媒におけるパラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との混合割合(質量比)を、表4に示すように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、パラフィン系溶剤とグリコールエーテル系化合物との比率が異なる薬液を調製した。
次に、上記各薬液のうち、実施例7〜10、12、13の薬液を用い、実施例1〜3と同様の結晶の析出試験を(B)の条件で行った。その結果、表4に示すように、グリコールエーテル系化合物の種類に拘わらず、いずれの場合も、グリコールエーテル系化合物の割合が多いほど、結晶の析出抑制効果は高くなることが分かった。
2 薬液
3 吸液芯
4 芯支持体
5、10 超音波振動子
6 接合片
7 超音波発振機
8 電池
11 蓋部
12 爪部
13 固定部材
14 噴霧口
15 接合片
Claims (2)
- 有害生物防除剤を溶媒に溶解させてなるピエゾ式噴霧器用薬液であって、
前記溶媒が、パラフィン系溶剤とジアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートとを含む混合溶液である、ことを特徴とするピエゾ式噴霧器用薬液。 - 前記ジアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートが、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートまたはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである、請求項1記載のピエゾ式噴霧器用薬液。
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