JP2913074B2 - 超音波ポンプによる殺虫・殺菌方法 - Google Patents

超音波ポンプによる殺虫・殺菌方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超音波ポンプによる殺虫
・殺菌方法に関する。さらに詳しくは、殺虫剤および/
または殺菌剤を溶解してなる薬液に超音波エネルギーを
与えることによりポンプ機能を発生させ、吸い上げると
同時に霧化し、これを空気中に飛散させて殺虫・殺菌を
行う方法であり、一般家庭、レストラン、食堂、工場な
どでの殺虫・殺菌や、農園芸分野におけるビニールハウ
スや温室での殺虫・殺菌にも用いられる。少量の薬剤で
殺虫・殺菌が可能な狭い場所での処理はもちろん、本発
明の方法は大量に薬剤の処理が必要な広い場所での殺虫
・殺菌にも利用される。
【0002】
【従来の技術】従来の殺虫・殺菌処理の方法としては、
乳剤、油剤、水和剤等を手押しあるいは電動噴霧器を用
いて散布する方法、燻煙剤や蚊取線香またはマット用電
気蚊取器、液体用電気蚊取器のように熱によって殺虫剤
や殺菌剤を空中へ揮散させる熱揮散方法、エアゾール剤
のように噴射ガスを利用して殺虫剤や殺菌剤をスプレー
する方法、また農園芸の分野でビニールハウス内の殺虫
・殺菌に広く使用されている燻煙方法やULV方法があ
る。また、超音波を利用するものとしては特公昭57−
61388号公報にみられる超音波発振器による殺虫・
殺菌方法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術の噴霧器による散布法は広範囲に均一に薬剤を噴霧す
ることが困難であり、また熱揮散法やスプレー式では広
い部屋に均一に薬剤を供給するには繰り返し処理しなけ
ればならず効率的でなく、かつ経済的でない。また、超
音波発振器による方法においては液面からの揮散である
ため、薬剤を噴霧しはじめた時と長時間霧化した後とで
は薬剤濃度に変化が生じ、徐々に濃度が濃くなって一定
揮散が難しいという問題点がある。また、従来の超音波
発振器による霧化は表面に超音波エネルギーが働き、そ
こから薬剤液が霧化され、薬剤が揮散するという機構で
あるため、薬剤液がいくらか残り、完全に薬剤液を揮散
させることができないという問題点もあった。さらに、
従来の超音波発振器による霧化は効率的に超音波エネル
ギーが使われず、液温が上昇するという問題点があっ
た。
【0004】また、超音波ポンプに関する技術は特開昭
63−167098号公報等で報告されているが、これ
を殺虫・殺菌剤の霧化、揮散に実際に適用した報告はな
されていない。しかし、前記の如く霧化し、揮散させる
方法には、一般に薬液の濃度が一定に保たれないとか、
最後まで薬液が揮散されないとか、超音波発生回路が高
温になり機能が停止したり、装置の高温化に伴い薬液の
温度が上昇し、有効成分に悪い影響を与えたりするなど
の問題点があり、超音波ポンプを利用するに際しても同
様の問題点が課題として指摘される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究をした。その結果、超音波ポ
ンプを利用することにより、有効な霧化状態を得る方法
を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明者
らは有効な霧化状態を得るために、超音波ポンプの基本
的機能である吸い上げ、霧化、拡散(噴き上げ高さ)と
いう観点から、液性状に種々の影響を与えている液剤系
の物理化学的性質、すなわち沸点、融点、粘度、屈折
率、分子量、分子構造、分子間引力、その他種々の条件
を検討した。その結果、有効な霧化状態を得るために
は、溶剤系の粘度と沸点が超音波ポンプの機能に大きく
関与していることを見出した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、粘度0.1〜10
cp(20℃)であり、かつ沸点50〜330℃の特性
を有する有機溶剤、界面活性剤および殺虫剤および/ま
たは殺菌剤を含有し、前記界面活性剤の濃度を0.01
%〜0.5%(w/w)とした薬液を超音波ポンプを用
いて霧化し、空気中へ揮散させることにより殺虫あるい
は殺菌を行うことを特徴とする超音波ポンプによる殺虫
・殺菌方法にあり、なかでも超音波ポンプが超音波トラ
ンスデューサーを利用するものに関する。
【0007】本発明の方法において、殺虫剤や殺菌剤を
溶解する有機溶剤を表1および表2に例示したが、有機
溶剤としては粘度が0.1〜10cp(20℃)であっ
て、かつ沸点が50〜330℃(760mmHg)の特性を
有する有機溶剤が好ましく用いられる。例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、ヘプ
タノールなどの低級アルコール類、ヘキサン、オクタ
ン、ノナン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化
水素類、ギ酸ブチル、酢酸エチルなどのエステル類、キ
シロール、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの
芳香族炭化水素類、アセトンなどのケトン類、ジイソプ
ロピルエーテルなどのエーテル類、ギ酸などの有機酸類
が挙げられる。特にキシロール、灯油、ドデカン、デカ
ン、エタノールなどは拡散(噴き上げ高さ)もよく、広
い場所での殺虫・殺菌処理をする場合などにおいては効
率よく隅々まで霧化した薬剤が広がり、効果的に殺虫・
殺菌処理ができる。なお、噴き上げ高さとは超音波ポン
プのノズルの先端より噴き上げている目視できる霧化液
の高さ(cm)である。有機溶剤の粘度、沸点の少なくと
もいずれか一方が、前記の範囲からはずれたものである
場合には著しく霧化量が少ないか全く霧化しなくなるの
で好ましくない。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】本発明の方法により有効に揮散される殺虫
剤、殺菌剤としては、アレスリン[3−アリル−2−メ
チルシクロペンタ−2−エン−4−オン−1−イル d
l−シス/トランス−クリサンテマート]、フタルスリ
ン[(1,3,4,5,6,7 −ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−
2−イソインドリル)メチル]、レスメトリン[5−ベ
ンジル−3−フリルメチル−dl−シス/トランス−ク
リサンテマート]、フラメトリン[5−プロパギル−3
−フリルメチル−クリサンテマート]、プラレスリン
[2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シ
クロペンタ−2−エニル−クリサンテマート]、ペルメ
トリン[3−フェノキシベンジル−2,2−ジメチル−
3−(2',2' −ジクロロ)ビニール−シクロプロパン
カルボキシレート]、ベンフルスリン[(+)1R−ト
ランス−2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロビ
ニール)−シクロプロパンカルボン酸2,3,5,6,
−テトラフルオロベンジル]、エンペントリン[1−エ
チニル−2−メチル−2−ペンテニル シス/トランス
−クリサンテマート]などのピレスロイド系殺虫剤、フ
ェニトロチオン[O,O−ジメチル−O−(3−メチル
−4−ニトロフェニル)チオノフォスフェート]、シア
ホス[O,O−ジメチル−O−(4−シアノフェニル)
フォスフォロチオエート]、ダイアジノン[O,O−ジ
メチル−O−2−イソプロピル−4−メチル−ピリミジ
ール−(6)−チオノフォスフェート]、ジクロロボス
[O,O−ジメチル−O−2,2−ジクロロビニールホ
スフェート]、DDVPなどの有機リン系殺虫剤、サン
プラス[3−ブロモ−2,3−ヨード−2−プロペニル
=エチル=カルボナート]、PCMX[パラクロロメタ
キシレノール]、IBP[O,O−ジイソプロピル−S
−ベンジルチオフォスフェート]、EDDP[O−エチ
ル−S,S−ジフェニルジチオフォスフェート]、IF
−1000[4−クロルフェニル−3’−ヨードプロパ
ルギルホルマール]などの有機殺菌剤などが挙げられ
る。
【0011】これらの殺虫剤および/または殺菌剤の一
種以上を前記のような各種の有機溶剤に溶解し、これを
超音波ポンプにより霧化して揮散させる。殺虫剤、殺菌
剤の濃度はこれらを溶解している有機溶剤の沸点にも影
響され、通常0.1%〜80%(w/w)で希望する霧
化が得られる。表3に示すように80%(w/w)を越
えると霧化量は減少し始め、90%(w/w)になると
霧化量は半減し、これ以上の濃度になるとほとんど霧化
されなくなり、100%(w/w)では霧化されない。
このように本発明の方法においては、薬剤濃度が80%
といった高いものである場合であっても、薬剤を有効に
揮散することが可能であり、従来の噴霧方式や蒸散など
の散布方法ではせいぜい10%程度であるのと比較し
て、大きく異なる点である。
【0012】
【表3】
【0013】さらに霧化効率を上げるためには、界面活
性剤の添加が効果的である。各種の界面活性剤の中から
消泡効果の高い界面活性剤として、ポリオキシアルキレ
ングリコールモノエーテル系のもの、例えばポリオキシ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリ(オキシ
エチレン,オキシプロピレン)グリコールモノメチルエ
ーテル等が有効である。この界面活性剤の使用により超
音波によって発生する有機溶剤中の気泡を抑え、超音波
ポンプのノズルへの泡の流入を抑えて、効果的に薬液を
噴き上げることができる。これらの消泡効果を持つ界面
活性剤の濃度は、0.01%〜0.5%(w/w)の添
加で有効であり、好ましくは0.1〜0.3%(w/
w)である。界面活性剤の濃度が0.01%未満である
と充分な消泡効果は得られず、0.5%を超えると霧化
量を減少させる傾向となるので好ましくない。
【0014】本発明の方法において用いられる超音波ポ
ンプは、その機構に特に限定されるものではなく、いず
れのタイプの超音波ポンプであっても使用することがで
きる。例えば、圧電素子の超音波振動を利用するもの
(特開昭63−167098号公報、実開平3−470
63号公報、実開平3−47064号公報等に記載の超
音波ポンプ)が知られている。本発明においては、それ
らのうちいずれでもよいが、好ましくは圧電素子の超音
波振動を有機溶剤(例えば、灯油など)の霧化が最適な
ものに調整されたものが好ましい。図1に1例として超
音波ポンプの霧化機構の概略を示すが、図1に示すよう
な超音波トランスデューサーを利用するタイプは、圧電
素子、液吸い上げ口、噴霧筒および回路の機構からなる
ものであり、その霧化機構の原理は圧電素子に交番電圧
を負荷させ、圧電素子の固有振動数とトランスデューサ
ーを共振させ、パワーをトランスデューサー先端に拡大
し伝達させ、超音波霧化させるものである。本発明にお
ける超音波の使用は、超音波ポンプの超音波トランスデ
ューサーの下端を薬液につけて、直流電流を通して超音
波を発生させ、薬液を吸い上げ霧化させる。本霧化器の
設置場所としては、床、壁など特に限定はなく、広範囲
に霧化したい時はファンにて拡散能力を高めるという方
法で薬剤を揮散させるものである。このようにして本発
明において超音波ポンプを用いると、非常に短時間に効
率よく適用場所に合った適正濃度の薬剤を噴霧すること
ができるので、人為的な散布手段を全く必要としない。
従って、従来法と異なり省力化と安全性の面で有用性の
高い方法であるといえる。
【0015】超音波ポンプの使用の際に霧化効率を上げ
るためには、気泡の超音波ポンプのノズル部への流入を
抑えるという観点から、後述の試験例1に示すように超
音波ポンプのノズルを傾斜させて用いるのがよい。
【0016】また、後述の試験例2に示すように超音波
ポンプのノズルをセットする液面からの距離が拡散(噴
き上げ高さ)に影響しており、液面にできるだけ近くセ
ットした方が拡散(噴き上げ高さ)がよく、液面から2
0mm以上の距離をおくと、極めて霧化効率が悪くなる。
【0017】このように有効に霧化するには、各種の要
因を満たすことにより有効な霧化状態を得ることが可能
である。しかし、殺虫・殺菌効果を評価する場合、揮散
量もさることながら空気中へ揮散される殺虫・殺菌剤の
粒子径も重要な要因である。本発明の方法においては、
後述の試験例3および4に示すように、超音波ポンプの
霧化器で霧化した粒子が上方へ噴霧するように筒(通
常、直径3〜7cm、長さ5〜15cm)を設置し、さらに
筒の上にキャップ(通常、口径1cm〜2cm)をつけるこ
とにより、噴口を小さくして大きな粒子をカットするな
ど、所望の粒子径となるよう容易に調整することができ
る。本発明の方法においては、殺虫・殺菌処理に適した
粒子径として、通常0.5〜5μ程度まで微小化するこ
とにより効率よく殺虫・殺菌効果を発揮することが可能
である。
【0018】また、薬液の粘度によっても揮散する粒子
の粒子径や揮散量に影響があり、薬液は、粘度0.1〜
10cp(20℃)であり、かつ沸点50〜330℃の
特性を有する有機溶剤に溶解して調製することが好まし
い。薬剤濃度は前記のように約90%(w/w)までは
揮散可能であるが、粒子径や霧化量を考慮すると、通常
70%(w/w)程度までが最適である。
【0019】
【実施例】以下、実施例および試験例により本発明につ
いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例
によりなんら限定されるものではない。 実施例1(殺虫効力試験1) 80m3 (約20畳)の容積を有する室内において、室
内の四隅で壁より中心方向へ30cm離した場所(A、
B、C、D)および中央Eにチャバネゴキブリ(雌成
虫)20匹宛入れた腰高シャーレを設置し、薬液(殺虫
剤としてフェニトロチオン10部、界面活性剤としてポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部および有
機溶剤としてキシロール85部からなる薬液100部)
を超音波ポンプを用いて10g/1分間で15分間霧化
し、微粒子を揮散させ、KT50を試験した。さらに3時
間暴露した後、25℃恒温室に移し、24時間後の致死
率を求めた。その結果、A、B、C、D、EのKT50
それぞれ14分、13分、15分、13分、12分であ
り、平均13分であった。24時間後の致死率はいずれ
も100%であった。なお、用いた超音波ポンプは、圧
電素子の超音波振動を利用する図1に示す構造からなる
ものである(以下の実施例、試験例においても同様)。
【0020】実施例2(殺虫効力試験2) 実施例1において薬液をフェニトロチオン30部、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル12部およびキ
シロール58部からなる液100部に代える以外は、実
施例1と同様に行ない、KT50及び24時間後の致死率
を求めた。その結果、A、B、C、D、EのKT50はそ
れぞれ10分、9分、9分、10分、8分であり、平均
9分であった。24時間後の致死率はいずれも100%
であった。
【0021】実施例3(殺虫効力試験3) 実施例1において薬液をフェニトロチオン50部、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル18部およびキ
シロール32部からなる薬液100部に代える以外は実
施例1と同様に行ない、KT50及び24時間後の致死率
を求めた。その結果、A、B、C、D、EのKT50がそ
れぞれ14分、15分、14分、16分、13分であ
り、平均14分であった。24時間後の致死率はいずれ
も100%であった。
【0022】実施例4(殺虫効力試験4) 実施例1において薬液をペルメトリン1部および灯油9
9部からなる薬液100部に代える以外は実施例1と同
様に行ない、KT50及び24時間後の致死率を求めた。
その結果、A、B、C、D、EのKT50はそれぞれ4
分、3分、4分、3分、2分であり、平均3分であっ
た。24時間後の致死率はいずれも100%であった。
【0023】実施例5(殺虫効力試験5) 実施例1において薬液をペルメトリン1部、サンプラス
2部および灯油97部からなる薬液100部に代える以
外は実施例1と同様に行ない、KT50及び24時間後の
致死率を求めた。その結果、A、B、C、D、EのKT
50はそれぞれ3分、3分、2分、4分、4分であり、平
均3分であった。24時間後の致死率はいずれも100
%であった。
【0024】実施例6(殺虫効力試験6) 8m×10mの山型ビニールハウス中にアブラムシが発
生した鉢植えのバラを図2に示すようにA〜Iの位置に
設置し、ビニールハウスの中央に本発明における超音波
ポンプ霧化器をセットした。次いで10g/分で3分間
噴霧し、処理前後のアブラムシの生息数を試験した。そ
の結果、Aの位置からは処理前のアブラムシは153匹
であったものが、処理後には7匹に、同様にBからは1
63匹から9匹に、Cからは201匹から11匹に、D
からは143匹から8匹に、Eからは161匹から12
匹に、Fからは165匹から11匹に、Gからは133
匹から7匹に、Hからは161匹から5匹に、Iからは
183匹から6匹になっており、ビニールハウス内での
殺虫効果にかたよりはみられなかった。
【0025】試験例1 アレスリン1gを灯油99gに溶解し、霧化させてその
霧化量を測定した。その場合、超音波ポンプのノズルを
液面に垂直に設置した場合と傾斜した場合の霧化量を比
較した。いずれの場合も、吸液するノズルの先端は液面
より5mmの位置に設置した。その結果、垂直に設置した
場合の霧化量は7g/分、垂直より30度傾けた場合、
10g/分、垂直より45度傾けた場合、12g/分で
あった。本試験結果より、超音波ポンプのノズルを傾斜
させることにより有機溶剤中に超音波によって発生した
気泡をノズルの中に入り込む確率を少なくするととも
に、万一ノズルの中に入った場合も、ノズルの側面に突
き当たり、気泡が消滅してしまうという効果があり、効
果的な霧化が可能となることが判明した。
【0026】試験例2 アレスリン1gを灯油99gに溶解し、超音波ポンプに
て霧化させて、その揮散状況を測定した。試験は、超音
波ポンプのノズルの先端を液面からいろいろな距離に設
定し、揮散状況は噴き上げ高さで評価した。その結果、
ノズルの設置場所が液面から5mmの場合、噴き上げ高さ
は45cm、液面から10mmの場合噴き上げ高さは36c
m、液面から15mmの場合噴き上げ高さは24cm、液面
から20mmの場合噴き上げ高さは10cmであった。本試
験結果から、超音波ポンプのノズルの設置位置は液上面
に近ければ近いほど効果的に霧化、揮散されるというこ
とが判明した。
【0027】試験例3 アレスリン1gを灯油99gに溶解し、80m3 (約2
0畳)の部屋の中央に超音波ポンプ霧化器を設置し、そ
の四隅(A、B、C、D)と霧化器を設置した中央部E
にテフロン処理したプレパラートを設置し、顕微鏡にて
その粒子径を測定した。なお、霧化器には霧化した粒子
が上方へ噴霧するように直径5cm、長さ10cmの筒
を設置した。その結果、A〜Dでは、20μ以下、特に
2μ以下の粒子が多く捕捉された。またEでは50μ〜
100μ程度の粒子も見られた。
【0028】試験例4 試験例3と同じ設定で試験を行った。但し、本試験は超
音波ポンプ霧化器にとりつけた5cm×10cmの筒の
上に大きな粒子をカットする目的で、キャップ(口径1
cm)をセットし噴口を小さくした。さらに、粒子の分散
をよくするために、小型ファンをセットした。その結
果、A〜Dでは20μ以下の粒子が主であり、特に2μ
以下が多く、Eでは20μ以下の粒子が主であり、50
μ以上の粒子は見られなかった。
【0029】試験例5 薬液としてアレスリン1gを灯油99gに溶解したもの
を用い、実施例1で用いたのと同じ超音波ポンプを用い
て、霧化する液の温度変化による霧化量の変化を試験し
た。その結果、液温の0℃、10℃、15℃、20℃、
25℃、30℃の変化に対し、霧化量はそれぞれ13.
8g/分、13.9g/分、14.3g/分、14.5
g/分、14.6g/分、14.8g/分であり、温度
変化による霧化量の変化は、実用上殆ど無視できる程度
であった。
【0030】試験例6 スミチオン・DDVP油剤(フェニトロチオン0.5%
(W/W)、DDVP0.3%(W/W))又はスミチ
オン乳剤(フェニトロチオン50%(W/W))を用い
て、それぞれ120gを実施例1で用いたのと同じ超音
波ポンプの霧化器にセットし、霧化開始時と100g霧
化させた時の有効成分濃度及び液温を測定した。測定は
いずれも超音波ポンプ霧化器中の薬液について行った。
その結果、スミチオン・DDVP油剤を用いた試験で
は、フェニトロチオンの濃度が霧化開始直後0.501
%(W/W)、100g霧化後では0.500%(W/
W)であり、DDVPの濃度は同様に0.302%(W
/W)から0.301%(W/W)であり、薬剤濃度に
変化を認めなかった。また液温についても、霧化開始直
後および100g霧化後のいずれにおいても15℃であ
り変化を認めなかった。また、スミチオン乳剤を用いた
試験では、フェニトロチオンの濃度は霧化開始直後で5
2.6%(W/W)、100g霧化後では52.5%
(W/W)であり、薬剤濃度に変化を認めず、液温もい
ずれも17℃と変化を認めなかった。この結果より、本
発明の方法を用いた場合、揮散開始から終了まで一定温
度でかつ一定量霧化されていると判断された。
【0031】
【発明の効果】本発明の超音波ポンプを利用して殺虫剤
や殺菌剤を揮散させることにより、従来の噴霧方式や蒸
散などによる散布方法に比べて高濃度の薬剤を揮散する
ことが可能となり、広い場所の殺虫・殺菌処理が可能と
なる。さらに人為的な散布手段を全く必要としないこと
から、省力化と安全性の面からも大変有効な方法であ
る。超音波発振器による霧化方法においても、同様な効
果はみられるが、その場合前記のように液温上昇、一定
濃度の揮散の難しさ、さらに薬液が完全に霧化されない
などの問題点が残されていた。これに対し、本発明の方
法はこれらの問題点を完全に解消するものである。
【0032】さらに、霧化器に筒やキャップをセットす
ることにより、霧化された薬剤の粒子径を微粒子化し、
殺虫・殺菌に適した0.5〜5μの粒子とすることも可
能である。これにより効率よく殺虫・殺菌処理を行うこ
とが可能になる。また本発明の方法は加熱する必要がな
く、低出力のエネルギーで常温で霧化揮散できることも
大きな特徴である。さらに本超音波ポンプは殺虫剤や殺
菌剤のみならず有機溶剤に可溶な忌避剤、誘引剤、芳香
剤、消臭剤、昆虫成長抑制剤等を単独又は併用して噴霧
することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は超音波ポンプの霧化機構の概略を示す図
であり、実施例および試験例において用いた超音波ポン
プでもある。
【図2】図2は、実施例6における鉢植えのバラを設置
した位置を示す図である。
【符号の説明】 1 超音波トランスデューサー 2 Oリング 3 圧電素子 4 電極 5 圧電素子ロックナット 6 液充填槽 7 フィルター 8 トランスデューサー固定子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−90632(JP,A) 特開 昭54−140204(JP,A) 特開 昭52−660(JP,A) 特開 昭63−167098(JP,A) 実開 平3−47063(JP,U) 実開 平3−47064(JP,U) 実開 昭56−64775(JP,U) 特公 昭57−61388(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01M 7/00 A01N 25/02 A61L 2/02 A61L 9/14 B05B 17/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度0.1〜10cp(20℃)であ
    り、かつ沸点50〜330℃の特性を有する有機溶剤
    界面活性剤および殺虫剤および/または殺菌剤を含有
    し、前記界面活性剤の濃度を0.01%〜0.5%(w
    /w)とした薬液を超音波ポンプを用いて霧化し、空気
    中へ揮散させることにより殺虫あるいは殺菌を行うこと
    を特徴とする超音波ポンプによる殺虫・殺菌方法。
  2. 【請求項2】 超音波ポンプが超音波トランスデューサ
    ーを利用するものである請求項1記載の殺虫・殺菌方
    法。
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