JP5438397B2 - 遊星ローラ機構 - Google Patents

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本発明は、遊星ローラ機構に関し、特に、サンローラと、リングローラと、サンローラおよびリングローラのそれぞれと接する複数のピニオンローラとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構に関する。
従来、サンローラと、リングローラと、サンローラおよびリングローラのそれぞれと接する複数のピニオンローラとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構が知られている。また、伝達されるトルクに応じて押圧力を作用させる押圧機構を備えた遊星ローラ機構が公知である。例えば、特許文献1には、ブラケットに形成された受圧凹部と、固定リングに設けられた受圧凹部との間に鋼球が嵌入されており、鋼球により固定リング(リングローラ)が押圧される遊星摩擦式変速装置が開示されている。
特開昭51−137063号公報
ここで、押圧機構の押圧部材がリングローラを軸方向に押圧し、押圧されたリングローラがピニオンローラを径方向内側に押圧する場合、押圧部材とピニオンローラとの位置関係によってピニオンローラに作用する押圧力が変動してしまうこととなる。動力の伝達時には、ピニオンローラが周方向に回転(公転)することで、押圧部材とピニオンローラとの周方向における相対位置が変化する。リングローラの撓み等により、上記相対位置に応じて、押圧部材からリングローラを介してピニオンローラに作用する押圧力が変動してしまうこととなる。
リングローラからピニオンローラに作用する押圧力が変動することで、ピニオンローラとサンローラとの間に作用する押圧力も変動してしまう。遊星ローラ機構において伝達できる動力の大きさは、各ローラ間に作用する押圧力の大きさの和によって決まる。例えば、サンローラとピニオンローラとを介して動力が伝達される場合、伝達できる動力の大きさは、各ピニオンローラとサンローラとの間に作用する押圧力の大きさの和によって決まる。このため、リングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力の大きさの和が変動することを抑制できることが望ましい。
押圧力の大きさの和が変動することを抑制するために、リングローラの剛性を高めることが考えられるが、この場合、遊星ローラ機構が大型化してしまうという問題がある。遊星ローラ機構の大型化を抑制しつつ、リングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力の大きさの和が変動することを抑制できることが望まれている。
本発明の目的は、サンローラと、リングローラと、サンローラおよびリングローラのそれぞれと接する複数のピニオンローラとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構において、伝達される動力に応じて押圧部材がリングローラを軸方向に押圧する押圧機構を備える場合に、大型化を抑制しつつ、リングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力の大きさの和が変動することを抑制できる遊星ローラ機構を提供することである。
本発明の遊星ローラ機構は、サンローラと、前記サンローラの径方向外方に前記サンローラと同軸上に配置されたリングローラと、前記サンローラの外周部および前記リングローラの内周部のそれぞれと接触する複数のピニオンローラと、前記ピニオンローラを回転可能に支持し、かつ前記サンローラと同軸上に支持されたキャリアとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、前記入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構であって、前記ピニオンローラと前記リングローラとが接触する部分が、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面をなし、前記リングローラと軸方向に対向し、前記リングローラから離間する軸方向の移動が規制された本体部と、前記本体部における前記リングローラと対向する部分に前記リングローラに対して周方向に等間隔に配置された複数の押圧部材とを有する押圧機構を備え、前記押圧部材は、前記伝達される動力に応じて前記本体部と前記リングローラとの相対回転を規制することで、前記伝達される動力に応じて前記リングローラを軸方向に押圧し、前記軸方向に押圧されたリングローラは、前記押圧部材から作用する軸方向の押圧力により前記テーパ面を介して前記ピニオンローラを径方向内側に押圧し、前記サンローラ、前記ピニオンローラ、および前記リングローラは、前記伝達される動力に応じて前記押圧機構が発生させる押圧力で互いに押圧しつつ動力を伝達し、前記ピニオンローラは、前記サンローラに対して周方向に等間隔に配置されており、前記押圧部材の周方向の配置数が、前記ピニオンローラの周方向の配置数の倍数と異なり、前記ピニオンローラの周方向の配置数と、前記押圧部材の周方向の配置数とは、1を除く公約数を有し、それぞれの前記ピニオンローラには、周方向の位置が180度異なる対となる前記ピニオンローラが存在し、それぞれの前記押圧部材には、周方向の位置が180度異なる対となる前記押圧部材が存在することを特徴とする。
本発明の遊星ローラ機構は、サンローラと、前記サンローラの径方向外方に前記サンローラと同軸上に配置されたリングローラと、前記サンローラの外周部および前記リングローラの内周部のそれぞれと接触する複数のピニオンローラと、前記ピニオンローラを回転可能に支持し、かつ前記サンローラと同軸上に支持されたキャリアとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、前記入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構であって、前記ピニオンローラと前記リングローラとが接触する部分が、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面をなし、前記リングローラと軸方向に対向し、前記リングローラから離間する軸方向の移動が規制された本体部と、前記本体部における前記リングローラと対向する部分に前記リングローラに対して周方向に等間隔に配置された複数の押圧部材とを有する押圧機構を備え、前記押圧部材は、前記伝達される動力に応じて前記本体部と前記リングローラとの相対回転を規制することで、前記伝達される動力に応じて前記リングローラを軸方向に押圧し、前記軸方向に押圧されたリングローラは、前記押圧部材から作用する軸方向の押圧力により前記テーパ面を介して前記ピニオンローラを径方向内側に押圧し、前記サンローラ、前記ピニオンローラ、および前記リングローラは、前記伝達される動力に応じて前記押圧機構が発生させる押圧力で互いに押圧しつつ動力を伝達し、前記ピニオンローラは、前記サンローラに対して周方向に等間隔に配置されており、前記押圧部材の周方向の配置数が、前記ピニオンローラの周方向の配置数の倍数と異なり、前記ピニオンローラの周方向の配置数が、前記押圧部材の周方向の配置数に対して2倍以上の倍数であり、それぞれの前記ピニオンローラには、周方向の位置が180度異なる対となる前記ピニオンローラが存在し、それぞれの前記押圧部材には、周方向の位置が180度異なる対となる前記押圧部材が存在することを特徴とする。
本発明にかかる遊星ローラ機構は、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構であって、ピニオンローラとリングローラとが接触する部分が、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面をなし、リングローラから離間する軸方向の移動が規制された本体部と、本体部におけるリングローラと対向する部分にリングローラに対して周方向に等間隔に配置された複数の押圧部材とを有する押圧機構を備える。押圧部材は、伝達される動力に応じて本体部とリングローラとの相対回転を規制することで、伝達される動力に応じてリングローラを軸方向に押圧する。
ピニオンローラは、サンローラに対して周方向に等間隔に配置されており、押圧部材の
周方向の配置数が、ピニオンローラの周方向の配置数の倍数と異なっている。これにより
、ピニオンローラごとにリングローラとの間に作用する押圧力の大きさの変動の位相を異
ならせ、リングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力の大きさの和が変動する
ことを抑制することができる。また、リングローラの強度を高めることなく、押圧力の大
きさの和が変動することを抑制できるため、遊星ローラ機構の大型化が抑制される。
また、ピニオンローラの周方向の配置数と、押圧部材の周方向の配置数とは、1を除く公約数を有し、それぞれのピニオンローラには、周方向の位置が180度異なる対となるピニオンローラが存在し、それぞれの押圧部材には、周方向の位置が180度異なる対となる押圧部材が存在する。よって、ピニオンローラからサンローラに作用する径方向の押圧力が打ち消される。
図1は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態の軸方向の断面図である。 図2は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態を示す斜視図である。 図3は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態が適用されたハイブリッド車の動力伝達装置を示す概略構成図である。 図4は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態における径方向の外方から見たカムローラの近傍を示す図である。 図5は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態において動力が伝達されている場合のトルクカムの動作について説明するための図である。 図6は、本発明にかかる遊星ローラ機構の実施形態におけるリングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力を示す図である。 図7は、カムローラの周方向の配置数とピニオンローラの周方向の配置数とが同数とされた場合のリングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力の一例を示す図である。
以下に、本発明にかかる遊星ローラ機構の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
(実施形態)
図1から図7を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、サンローラと、リングローラと、サンローラおよびリングローラのそれぞれと接する複数のピニオンローラとを備え、動力を伝達する遊星ローラ機構に関する。図1は、本発明にかかる遊星ローラ機構20の実施形態の軸方向の断面図、図2は、本発明にかかる遊星ローラ機構20の実施形態を示す斜視図、図3は、本発明にかかる遊星ローラ機構20の実施形態が適用されたFF(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動)形式のハイブリッド車の動力伝達装置100を示す概略構成図である。
図3において、1はエンジンであり、このエンジン1としては従来公知の内燃機関、具体的にはガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンなどを用いることができる。エンジン1は、燃料の燃焼によりクランクシャフト2から動力を出力する。クランクシャフト2は車両の幅方向に、かつ、水平に配置され、クランクシャフト2は、インプットシャフト5に接続されている。符号4は、中空のトランスアクスルケースを示す。トランスアクスルケース4の内部には、インプットシャフト5、第1のモータジェネレータ6、動力合成機構7、第2のモータジェネレータ9、遊星ローラ機構20等が設けられている。
第1のモータジェネレータ6は、インプットシャフト5の径方向外側に配置され、第2のモータジェネレータ9は、第1のモータジェネレータ6よりもエンジン1から遠い位置に配置されている。第1のモータジェネレータ6および第2のモータジェネレータ9は、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。第1のモータジェネレータ6および第2のモータジェネレータ9としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。第1のモータジェネレータ6および第2のモータジェネレータ9は、図示しないバッテリと接続されており、バッテリから供給される電力により駆動し、あるいは、発電した電力をバッテリに充電する。
第1のモータジェネレータ6は、トランスアクスルケース4に固定されたステータ6aと、回転自在なロータ6bとを有している。インプットシャフト5の外周には、中空シャフト17が取り付けられており、インプットシャフト5と中空シャフト17とが相対回転可能に構成されている。ロータ6bは、中空シャフト17の外周側に連結されている。第2のモータジェネレータ9は、トランスアクスルケース4に固定されたステータ9aと、回転自在なロータ9bとを有している。
動力合成機構(言い換えれば動力分配機構)7は、第1のモータジェネレータ6と第2のモータジェネレータ9との間に設けられている。動力合成機構7は、いわゆるシングルピニオン形式の遊星歯車機構7Aを有している。遊星歯車機構7Aは、サンギヤ12と、サンギヤ12と同心状に配置されたリングギヤ13と、サンギヤ12およびリングギヤ13に係合するピニオンギヤ14を保持したキャリア15とを有している。そして、サンギヤ12と中空シャフト17とが連結され、キャリア15とインプットシャフト5とが連結されている。なお、リングギヤ13の外周側にはカウンタドライブギヤ33が形成されている。
遊星ローラ機構20は、第2のモータジェネレータ9のロータ9bの回転を減速してリングギヤ13に伝達する減速機として機能する。遊星ローラ機構20のうち、後述するサンローラ21は、ロータ9bの回転軸であるMGシャフト45に連結されており、MGシャフト45と一体回転する。ピニオンローラ24を回転可能に支持するキャリア29は、リングギヤ13と接続されており、リングギヤ13と一体回転する。MGシャフト45を介して伝達される第2のモータジェネレータ9の回転は、遊星ローラ機構20で減速されてリングギヤ13に出力される。すなわち、第2のモータジェネレータ9のトルクは、遊星ローラ機構20で増幅されてリングギヤ13に伝達される。エンジン1からの動力と、第2のモータジェネレータ9からの動力とは、動力合成機構7で合成され、カウンタドライブギヤ33を介してカウンタドリブンギヤ35に伝達される。カウンタドリブンギヤ35に伝達された動力は、ファイナルドライブピニオンギヤ36およびデファレンシャル37を介してフロントドライブシャフト43から前輪44に伝達される。
上記のように構成されたハイブリッド車においては、車速およびアクセル開度などの条件に基づいて、前輪44に伝達するべき要求トルクが算出され、その算出結果に基づいて、エンジン1、第1のモータジェネレータ6、第2のモータジェネレータ9が制御される。エンジン1から出力されるトルクを前輪44に伝達する場合は、クランクシャフト2の動力(言い換えればトルク)がインプットシャフト5を介してキャリア15に伝達される。
キャリア15に伝達されたトルクは、リングギヤ13、カウンタドライブギヤ33、カウンタドリブンギヤ35、ファイナルドライブピニオンギヤ36、デファレンシャル37を介して前輪44に伝達され、駆動力が発生する。また、エンジン1のトルクをキャリア15に伝達する際に、第1のモータジェネレータ6を発電機として機能させ、発生した電力をバッテリ(図示せず)に充電することもできる。
さらに、第2のモータジェネレータ9を電動機として駆動させ、その動力をリングギヤ13に伝達することができる。第2のモータジェネレータ9の動力がMGシャフト45を介して遊星ローラ機構20に伝達されると、回転速度が減速されてリングギヤ13に伝達される。すなわち、第2のモータジェネレータ9のトルクが増幅されて動力合成機構7に伝達される。このようにして、エンジン1の動力および第2のモータジェネレータ9の動力が動力合成機構7に入力されて合成され、合成された動力が前輪44に伝達される。つまり、動力合成機構7は、エンジン1および第2のモータジェネレータ9の動作状態に応じて、エンジン1の動力、あるいは、第2のモータジェネレータ9の動力のうち少なくともいずれか一方を前輪44に伝達する。
次に、図1および図2を参照して、遊星ローラ機構20について詳しく説明する。遊星ローラ機構20は、入力回転数を変速して出力する変速機として機能するものである。図1に示すように、遊星ローラ機構20は、サンローラ21、リングローラ22,23、ピニオンローラ24、およびトルクカム(押圧機構)25を備える。サンローラ21は、中心軸線Xを中心軸とする円筒形状をなしており、本実施形態では、第2のモータジェネレータ9の動力が入力される入力ローラ(入力部材)として機能する。
一対のリングローラ22,23は、リング形状をなしており、本実施形態では、動力の伝達時に回転が固定される固定輪として機能する。リングローラ22,23は、サンローラ21の径方向外方にサンローラ21と同軸上に配置されている。リングローラ22,23は、軸方向において互いに対向しており、かつ、ピニオンローラ24を軸方向の両側から挟むように配置されている。言い換えると、一対のリングローラ22,23のうち、リングローラ22は、ピニオンローラ24の軸方向の一方側(図1において左側)に配置されており、リングローラ23は、ピニオンローラ24の軸方向の他方側(図1において右側)に配置されている。
リングローラ22,23には、それぞれテーパ面22a,23aが形成されている。テーパ面22aは、リングローラ22の径方向内側(内周面)に形成されている。テーパ面22aは、軸方向の一方側が軸方向の他方側と比較して内径(中心軸線Xからの距離)が小さいテーパ形状に形成されている。すなわち、リングローラ22の内周面に形成されたテーパ面22aは、リングローラ23から軸方向に離れるにつれてサンローラ21の中心軸線Xへ向かうテーパ形状となっている。
テーパ面23aは、リングローラ23の径方向内側に形成されている。テーパ面23aは、軸方向の他方側が軸方向の一方側と比較して内径が小さいテーパ形状に形成されている。すなわち、リングローラ23の内周面に形成されたテーパ面23aは、リングローラ22から軸方向に離れるにつれてサンローラ21の中心軸線Xへ向かうテーパ形状となっている。テーパ面22aのテーパ角の大きさと、テーパ面23aのテーパ角の大きさとは等しく、かつ、テーパ面22aの内径の最大値および最小値は、テーパ面23aの内径の最大値および最小値とそれぞれ等しい。言い換えると、テーパ面22aとテーパ面23aとは、軸方向と直交する面(ピニオンローラ24の軸方向の中心において中心軸線Xと直交する面)に関して対称である。
ピニオンローラ24は、軸方向の中央部が円筒形状をなし、かつ、軸方向の両端部がそれぞれ先細りとなる円錐台状をなしている。ピニオンローラ24の軸方向の中央部には、円筒形状の円筒部24aが形成されている。ピニオンローラ24は、円筒部24aの外周面においてサンローラ21の外周面と接触しており、円筒部24aの外周面を介してサンローラ21との間で動力を伝達する。円筒部24aの軸方向の両端部には、円錐台部24b,24cが形成されている。円錐台部24b,24cは、軸方向において円筒部24aから離れるに連れて径方向の幅が減少する円錐台形状に形成されている。円錐台部24bは、円筒部24aの軸方向の一方側の端部に形成されており、円錐台部24cは、円筒部24aの軸方向の他方側の端部に形成されている。円錐台部24bは、軸方向と直交する断面形状の径が軸方向の一方側へ向かうほど小さくなるテーパ面24dを有しており、円錐台部24cは、軸方向と直交する断面形状の径が軸方向の他方側へ向かうほど小さくなるテーパ面24eを有している。
テーパ面24dのテーパ角の大きさと、テーパ面24eのテーパ角の大きさとは等しく、かつ、テーパ面24dの径の最大値および最小値は、テーパ面24eの径の最大値および最小値とそれぞれ等しい。言い換えると、テーパ面24dとテーパ面24eとは、軸方向と直交する面(ピニオンローラ24の軸方向の中心において中心軸線Xと直交する面)に関して対称である。なお、本実施形態では、テーパ面22a,23aのテーパ角の大きさと、テーパ面24d,24eのテーパ角の大きさとは等しい。
ピニオンローラ24は、サンローラ21の外周に沿って周方向に等間隔に複数配置されている。ピニオンローラ24は、サンローラ21の外周部およびリングローラ22,23の内周部のそれぞれと接触している。言い換えると、ピニオンローラ24は、サンローラ21とリングローラ22,23とによって径方向に挟まれた状態で支持されている。より具体的には、ピニオンローラ24は、円筒部24aの外周部においてサンローラ21の外周部と接触している。また、ピニオンローラ24は、テーパ面24dにおいてリングローラ22のテーパ面22aと接触しており、テーパ面24eにおいてリングローラ23のテーパ面23aと接触している。言い換えると、ピニオンローラ24とリングローラ22,23とが接触している部分は、径方向の外側から内側へ向けて軸方向に拡大するテーパ形状をなしている。
ピニオンローラ24とリングローラ22とが接触する部分は、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面Tをなしている。一方、ピニオンローラ24とリングローラ23とが接触する部分は、軸方向の他方側から一方側に向けて径方向に拡大するテーパ面Tをなしている。なお、本実施形態では、図1の左側を軸方向の一方側、右側を他方側として説明するが、この対応関係は限定されず、単に相対的な位置関係を示すに過ぎない。つまり、テーパ面Tは、トルクカム25により軸方向に押圧されたリングローラ22,23が、テーパ面Tを介してピニオンローラ24を径方向内側に押圧する方向の傾きを有しているものであり、軸方向の一方が他方と比較して径方向に拡大している。
各ピニオンローラ24は、キャリア29(図3参照)によって回転可能に支持されている。キャリア29は、サンローラ21およびインプットシャフト5と同軸上に回転可能に支持されている。従って、ピニオンローラ24は、キャリア29により支持されつつ、自転運動、および、サンローラ21の中心軸線Xを中心とする公転運動を行うことが可能である。
本実施形態では、ピニオンローラ24は周方向に6個配置されている。図2を参照して説明すると、一つのピニオンローラ(第一ピニオンローラ241とする)から、ピニオンローラ24の公転方向とは反対方向に向けて順に、第二ピニオンローラ242、第三ピニオンローラ243、第四ピニオンローラ244、第五ピニオンローラ245、第六ピニオンローラ(図示せず)が配置されている。
図1に示すトルクカム25は、リングローラ22,23に対してピニオンローラ24に向かう軸方向の押圧力を作用させるものである。トルクカム25は、一対のカムディスク(本体部)26,27と、複数のカムローラ(押圧部材)28を有する。カムディスク26,27は、サンローラ21およびリングローラ22,23と同軸上に配置されており、かつ、カムディスク26とカムディスク27とは軸方向において互いに対向している。一対のカムディスク26,27のうち、カムディスク26は、リングローラ22の軸方向の一方側に配置されている。つまり、カムディスク26は、一対のリングローラ22,23に対して軸方向の一方側に配置されている。一対のカムディスク26,27のうち、もう一つのカムディスク27は、リングローラ23の軸方向の他方側に配置されている。つまり、カムディスク27は、一対のリングローラ22,23に対して軸方向の他方側に配置されている。
カムディスク26は、中心軸線Xを中心軸とするリング形状に形成されている。カムディスク27は、中心軸線Xを中心軸とするリング形状に形成されている。カムディスク26,27は、それぞれトランスアクスルケース4に固定されている。つまり、カムディスク26,27は、リングローラ22,23から離間する軸方向の移動が規制されている。
ピニオンローラ24の軸方向の一方側に配置されたリングローラ22と、カムディスク26とは、軸方向において互いに対向しており、リングローラ22と、カムディスク26との間には、円筒形状のカムローラ(転動体)28が配置されている。言い換えると、カムローラ28は、カムディスク26におけるリングローラ22と対向する部分に配置されている。同様に、ピニオンローラ24の軸方向の他方側に配置されたリングローラ23と、カムディスク27とは、軸方向において互いに対向しており、リングローラ23とカムディスク27との間には、カムローラ28が配置されている。つまり、カムローラ28は、カムディスク27におけるリングローラ23と対向する部分に配置されている。以下に図4および図5を参照して説明するように、リングローラ22,23およびカムディスク26,27のそれぞれには、カム面が形成されており、カムローラ28は、軸方向に互いに対向するカム面の間で押圧力を伝達する。
図4は、径方向の外方から見たカムローラ28の近傍を示す図である。カムディスク26において、リングローラ22と対向する面(軸方向の他方側の面)には、カム面26dが形成されている。カム面26dは、リングローラ22から遠ざかる方向に凹んだ断面V字形状の溝部である。言い換えると、カム面26dは、カムディスク26のうちリングローラ22と対向する面に径方向に形成された溝部であって、周方向(溝幅方向)の中央部へ向かうに連れて溝深さが大きくなっている。一方、リングローラ22において、カムディスク26と対向する面(軸方向の一方側の面)には、カム面22bが形成されている。カム面22bは、カムディスク26から遠ざかる方向に凹んだ断面V字形状の溝部であり、径方向に形成されている。
カムディスク26のカム面26dと、リングローラ22のカム面22bとは軸方向に互いに対向しており、カムローラ28は、カム面26dと、カム面22bとの間の領域に配置され、カム面26dと、カム面22bとに保持されている。リングローラ22には、カム面22bが複数形成されており、かつ、カム面22bは、リングローラ22に対して周方向に等間隔に配置されている。同様に、カムディスク26には、カム面26dが複数形成されており、かつ、カム面26dは、カムディスク26に対して周方向に等間隔に配置されている。カム面22bの配置間隔と、カム面26dの配置間隔とは、等しい間隔に設定されている。つまり、カム面22bとカム面26dとにより、カムローラ28が周方向に等間隔に保持されている。
カムディスク27とリングローラ23との間に配置されたカムローラ28についても周辺の構成は同様である。カムディスク27において、リングローラ23と対向する面(軸方向の一方側の面)には、カム面27dが形成されている。カム面27dは、リングローラ23から遠ざかる方向に凹んだ断面V字形状の溝部であり、径方向に形成されている。リングローラ23において、カムディスク27と対向する面(軸方向の他方側の面)には、カム面23bが形成されている。カム面23bは、カムディスク27から遠ざかる方向に凹んだ断面V字形状の溝部であり、径方向に形成されている。
カムディスク27のカム面27dと、リングローラ23のカム面23bとは、軸方向に互いに対向しており、カムローラ28は、カム面27dと、カム面23bとの間の領域に配置され、カム面27dとカム面23bとに保持されている。リングローラ23には、カム面23bが複数形成されており、かつ、カム面23bは、リングローラ23に対して周方向に等間隔に配置されている。同様に、カムディスク27には、カム面27dが複数形成されており、かつ、カム面27dは、カムディスク27に対して周方向に等間隔に配置されている。カム面22bの配置間隔と、カム面27dの配置間隔とは、等しい間隔に設定されている。つまり、カム面23bとカム面27dとにより、カムローラ28が周方向に等間隔に保持されている。さらに、カム面26dの配置間隔および位相とカム面27dの配置間隔および位相とは等しく設定されており、トルクカム25のカムローラ28は、リングローラ22およびリングローラ23を挟んで軸方向に対向している。
図5は、遊星ローラ機構20において動力が伝達されている場合のトルクカム25の動作について説明するための図である。
遊星ローラ機構20において動力の伝達がなされて、リングローラ22にトルクが作用すると、リングローラ22がカムディスク26に対して相対回転し、リングローラ22とカムディスク26との間に位相差が生じる。すると、図5に示すように、カムローラ28が、カムディスク26のカム面26d、およびリングローラ22のカム面22bのそれぞれと当接した状態となる。具体的には、カムローラ28が、カム面22bのうち回転方向の前方に向いた部分と、カム面26dのうち回転方向後方を向いた部分とに当接する。カムローラ28が、カム面26dとカム面22bにおける周方向に互いに対向する部分に当接することで、リングローラ22の回転が規制される。言い換えると、カムローラ28は、カムディスク26とリングローラ22との相対回転を規制する。
このとき、カムディスク26からカムローラ28を介してリングローラ22に対して、軸方向の押圧力F1が作用する。軸方向の押圧力F1の大きさは、リングローラ22に作用するトルクの大きさ、言い換えると、遊星ローラ機構20で伝達される動力の大きさに基づく。つまり、カムローラ28は、伝達される動力に応じてカムディスク26とリングローラ22との相対回転を規制することで、伝達される動力に応じてリングローラ22を軸方向に押圧する。これにより、トルクカム25は、遊星ローラ機構20で伝達される動力の大きさに応じてリングローラ22に対してピニオンローラ24に向かう軸方向の押圧力F1を作用させることができる。これと同時に、カムディスク26には、軸方向の押圧力F1に対する軸方向の反力F2が作用する。
同様に、ピニオンローラ24からリングローラ23にトルクが作用すると、リングローラ23の回転が規制され、カムローラ28からリングローラ23に対して軸方向の押圧力F1が作用する。これと同時に、カムディスク27には、軸方向の押圧力F1に対する軸方向の反力F2が作用する。リングローラ22,23の回転が規制されてリングローラ22,23が固定輪として機能することで、サンローラ21の回転に応じてピニオンローラ24が自転しつつサンローラ21の外周部に沿って公転し、キャリア29が回転する。これにより、サンローラ21に入力される回転が、減速されてキャリア29から出力される。すなわち、遊星ローラ機構20は、第2のモータジェネレータ9の回転を減速して伝達する減速機として機能する。つまり、本実施形態の遊星ローラ機構20は、サンローラ21を動力が伝達される入力ローラとし、サンローラ21と異なるピニオンローラ24を動力の出力ローラとして動力を伝達する。
軸方向に押圧されたリングローラ22,23は、カムローラ28から作用する軸方向の押圧力F1により、テーパ面Tを介してピニオンローラ24を径方向内側に押圧する。このときにリングローラ22,23とピニオンローラ24との接触面(テーパ面T)に押圧力F3(図1参照)が作用する。さらに、リングローラ22,23によりピニオンローラ24が径方向内側に押圧されることで、ピニオンローラ24とサンローラ21との接触面に押圧力F4(図1参照)が作用する。遊星ローラ機構20で伝達される動力が大きくなるほど、トルクカム25によって発生する軸方向の押圧力F1が増加し、軸方向の押圧力F1の増加に連れて各接触面に作用する押圧力F3,F4が増加する。よって、トルクカム25により、伝達トルクに応じて押圧力F3,F4を増減させることができる。つまり、サンローラ21、ピニオンローラ24、およびリングローラ22,23は、伝達される動力に応じてトルクカム25が発生させる押圧力で互いに押圧しつつ動力を伝達する。高トルクにおいては各接触面に作用する押圧力F3,F4が上昇して確実にトルクを伝達することができ、低トルクにおいては、押圧力F3,F4が低下することで効率の悪化を抑制することができる。
ハイブリッド車や電気自動車(EV)等、モータで走行する車両において、モータの低コスト化は必須であり、そのためにはモータの高回転化が有効である。高回転のモータを採用した場合の減速機(変速機)として、従来の遊星歯車では耐久性・効率・騒音の問題があり、その対策として遊星ローラ機構の採用が有効である。しかしながら、遊星ローラ機構を車両駆動用に使用する場合、低トルクから高トルク(大トルク)まで広いトルク範囲で使用されるため、伝達トルクに応じて押圧力を増減させる機構が必要である。本実施形態では、トルクカム25により、伝達トルクに応じて軸方向の押圧力F1を増減させ、遊星ローラ機構20の効率を向上させることができる。
また、本実施形態のトルクカム25では、単に伝達トルクに応じて押圧力F3,F4を増減させることができるだけでなく、軸方向の両側から軸方向の押圧力F1を作用させることで、押圧によるピニオンローラ24の軸方向の移動をなくし、押圧の応答性を向上させることができる。例えば、軸方向の片側のみから軸方向の押圧力F1を作用させる場合には、ピニオンローラ24が軸方向に移動してしまい、押圧の応答性が低下してしまう。本実施形態では、トルクカム25が、リングローラ22に対して軸方向の他方側へ向かう軸方向の押圧力F1を作用させると同時に、リングローラ23に対して軸方向の一方側へ向かう軸方向の押圧力F1を作用させる。リングローラ22に作用する軸方向の押圧力F1の向きと、リングローラ23に作用する軸方向の押圧力F1の向きとが反対方向であるため、軸方向の押圧力F1によりピニオンローラ24に作用する軸方向の力が打ち消しあう。よって、押圧によるピニオンローラ24の軸方向の移動をなくし、押圧の応答性を向上させることができる。
ここで、遊星ローラ機構20による動力の伝達時に、ピニオンローラ24の公転(キャリア29の回転)に伴い、リングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3、およびピニオンローラ24とサンローラ21との間に作用する押圧力F4が変動してしまうという問題がある。この問題は、カムローラ28の数とピニオンローラ24の数との関係によって生じる。例えば、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数とが同数とされることがある。ここでは、遊星ローラ機構20においてピニオンローラ24が周方向に6個配置され、かつ、リングローラ22およびリングローラ23のそれぞれにカムローラ28が周方向に6個ずつ配置されている場合について説明する。
この場合、ピニオンローラ24は60度の間隔で配置され、カムローラ28も60度の間隔で配置される。ピニオンローラ24の周方向の間隔とカムローラ28の周方向の間隔とが等しいことで、キャリア29が回転する際に、各ピニオンローラ24においてカムローラ28と周方向の位置が重なるタイミングが同期することとなる。言い換えると、ピニオンローラ24の位相とカムローラ28の位相とが等しくなるときには、全てのピニオンローラ24において、カムローラ28と周方向の位置が重なる状態となる。また、ピニオンローラ24の位相とカムローラ28の位相とがずれる場合には、全てのピニオンローラ24において、カムローラ28に対して同じ角度だけ周方向の位置がずれることとなる。
カムローラ28からピニオンローラ24へはリングローラ22,23を介して押圧力が作用するため、ピニオンローラ24の位相とカムローラ28の位相とがずれている場合には、ピニオンローラ24に作用する押圧力F3が低下する。ピニオンローラ24の周方向の位置とカムローラ28の周方向の位置とがずれている場合には、リングローラ22,23に撓みが生じ、その撓み量に応じて押圧力F3が低下する。
カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数とが同数である場合、全てのピニオンローラ24において、カムローラ28との位相差が等しくなるため、図7に示すように、リングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3は、全ピニオンローラ24において等しい大きさとなる。図7は、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数とが同数とされた場合のリングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の一例を示す図である。
図7において、横軸はキャリア29の回転角、縦軸は、押圧力の大きさを示す。ピニオンローラ24の回転位相(周方向の位置)は、キャリア29の回転角に応じて変化する。符号201は、リングローラ22,23とそれぞれのピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の大きさを示す。また、符号202は、リングローラ22,23と各ピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の大きさの和(以下、単に「押圧力F3の合計」と記述する)を示す。全てのピニオンローラ24において、カムローラ28との位相差が等しくなるため、リングローラ22,23とそれぞれのピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の大きさは、同位相で変動する。
したがって、ピニオンローラ24とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3の大きさを全てのピニオンローラ24で均等としたい場合には、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数とを同数とすることが有利である。ピニオンローラ24の周方向の配置数とカムローラ28の周方向の配置数を共に6個とした場合、リングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3(201)は、60度の周期で変動し、かつ、全ピニオンローラ24で押圧力F3の位相が等しくなっている。また、この場合、ピニオンローラ24とサンローラ21との間に作用する押圧力F4の大きさも全てのピニオンローラ24で均等とすることができる。
ところで、このようにピニオンローラ24とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3の大きさが全てのピニオンローラ24において同位相で変動する場合、押圧力F3の合計202は、周期的に大きく変動することとなる。カムローラ28が60度毎に配置されていることで、押圧力F3の合計202は、60度の周期で大きく変動してしまう。押圧力F3の合計202が変動することで、サンローラ21とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F4の合計も大きく変動することとなる。その結果、遊星ローラ機構20の出力回転数・出力トルクが変動してしまい、回転精度が低下してしまうこととなる。
この押圧力F3の合計202の変動を抑制するためにリングローラ22,23の剛性を高め、リングローラ22,23の撓み等を抑制することが考えられるが、この方法では、遊星ローラ機構20が大型化してしまうという問題がある。一方、大型化を避けるためにリングローラ22,23を薄くすると、リングローラ22,23の剛性が低下してピニオンローラ24にかかる押圧力F3の大きさが周期的に変動してしまう。このように、遊星ローラ機構20の小型化と、ピニオンローラ24にかかる押圧力F3の大きさの変動を抑制することとは両立が困難であった。
これに対して、本実施形態の遊星ローラ機構20では、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数との関係が所定の関係に設定されることで、押圧力F3の合計202の変動が抑制される。上記のように押圧力F3の合計202が周期的に大きく変動してしまう現象は、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数とが同数である場合に限らず、カムローラ28の周方向の配置数が、ピニオンローラ24の周方向の配置数の倍数(1を含む整数倍)である場合に生じるものである。
本実施形態の遊星ローラ機構20では、カムローラ28の周方向の配置数が、ピニオンローラ24の周方向の配置数の倍数と異なる値に設定されている。具体的には、ピニオンローラ24の周方向の配置数6に対して、カムローラ28の周方向の配置数が4に設定されている。これにより、以下に説明するように、押圧力F3の合計の変動が抑制される。
図6は、本実施形態のリングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3を示す図である。図6において、符号211は、第一ピニオンローラ241および第四ピニオンローラ244とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3を示す。符号212は、第二ピニオンローラ242および第五ピニオンローラ245とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3を示す。符号213は、第三ピニオンローラ243および第六ピニオンローラ246とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3を示す。
カムローラ28が90度の間隔で配置されていることにより、サンローラ21を挟んで径方向に互いに対向する(周方向の位置が180度ずれている)ピニオンローラ24同士では、押圧力F3が同位相で変動する。つまり、図6に示すように、第一ピニオンローラ241と第四ピニオンローラ244、第二ピニオンローラ242と第五ピニオンローラ245、第三ピニオンローラ243と第六ピニオンローラ246では、それぞれ押圧力F3が同じ大きさとなる。
また、周方向に隣接するピニオンローラ24では、押圧力F3の位相が30度ずれることとなる。これにより、各ピニオンローラ24とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3の和214は、図6に示すように、一定値となる。よって、本実施形態の遊星ローラ機構20では、伝達可能なトルクの大きさの変動が抑制され、回転精度の低下が抑制される。剛性の低いリングローラ22,23であっても押圧力F3の和の変動が抑制されるため、遊星ローラ機構20の小型化と、高い回転精度との両立が可能となる。
また、本実施形態では、カムローラ28の周方向の配置数は、動力伝達系で共振が発生することを抑制できる値とされている。具体的には、カムローラ28の周方向の配置数は、動力伝達経路に設けられた歯車(例えば、カウンタドライブギヤ33やカウンタドリブンギヤ35)の歯数の倍数あるいは約数のいずれとも異なる値に設定されている。カムローラ28の周方向の配置数が、歯車の歯数の倍数あるいは約数と一致していると、リングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の変動周波数と歯車の噛合い周波数とが一致して共振が生じることがある。これにより、騒音の増大等の問題を招く虞がある。
本実施形態では、カムローラ28の周方向の配置数が、動力伝達系に設けられて動力を伝達する歯車の歯数の倍数あるいは約数と異なるため、パワートレーンにおける共振の発生が抑制される。
本実施形態では、サンローラ21を入力ローラ、ピニオンローラ24を出力ローラとして動力を伝達する場合について説明したが、入力ローラと出力ローラとの組合せは、これには限定されない。他の様々な入力ローラと出力ローラとの組み合わせで動力を伝達する場合においても、リングローラ22,23とピニオンローラ24との間に作用する押圧力F3の和の変動が抑制されることで、遊星ローラ機構20において高い回転精度が実現される。
なお、遊星ローラ機構20の適用対象は、ハイブリッド車両には限定されず、電気自動車(EV)や、その他の車両の動力伝達経路に配置されることができる。例えば、遊星ローラ機構20は、インホイールモータを備える電気自動車のモータ用減速機として搭載されることができる。
また、以下に説明するように、サンローラ21にラジアル荷重が作用することを抑制できるように、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数が設定されることができる。
カムローラ28の周方向の配置数が、ピニオンローラ24の周方向の配置数の倍数である場合、ピニオンローラ24とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3の大きさは、どのピニオンローラ24でも同じであるため、ピニオンローラ24からサンローラ21に作用する押圧力F4は、サンローラ21で打ち消しあい、サンローラ21には押圧力F4によるラジアル荷重が作用しない。一方、カムローラ28の周方向の配置数が、ピニオンローラ24の周方向の配置数の倍数と異なる値である場合、ピニオンローラ24とリングローラ22,23との間に作用する押圧力F3の大きさが、ピニオンローラ24によって異なる。このため、それぞれのピニオンローラ24からサンローラ21に作用する押圧力F4が打ち消されず、押圧力F4の合力が、サンローラ21に対してラジアル荷重として作用する場合がある。
これに対して、カムローラ28の周方向の配置数とピニオンローラ24の周方向の配置数との関係を以下のように設定することで、押圧力F4の径方向の合力を0とすることが可能である。
(1)ピニオンローラ24の周方向の配置数とカムローラ28の周方向の配置数とに公約数(ただし、1を除く)が存在する。
(2)ピニオンローラ24の周方向の配置数がカムローラ28の周方向の配置数の倍数(ただし、2倍以上)である。
本実施形態の遊星ローラ機構20は、上記(1)に相当する。ピニオンローラ24の周方向の配置数6と、カムローラ28の周方向の配置数4とには、公約数2が存在する。一つのピニオンローラ24(例えば、第一ピニオンローラ241)には、周方向の位置が180度異なる対となるピニオンローラ24(第四ピニオンローラ244)が存在する。同様に、一つのカムローラ28には、周方向の位置が180度異なる対となるカムローラ28が存在する。これにより、一対のピニオンローラ24同士では、サンローラ21に作用させる押圧力F4の大きさが同じで、向きが互いに異なる。よって、サンローラ21においてピニオンローラ24から作用する押圧力F4が打ち消され、押圧力F4の径方向の合力が0となる。
1 エンジン
4 トランスアクスルケース
6 第1のモータジェネレータ
7 動力合成機構
9 第2のモータジェネレータ
20 遊星ローラ機構
21 サンローラ
22,23 リングローラ
22a,23a テーパ面
22b,23b カム面
24 ピニオンローラ
24a 円筒部
24b,24c 円錐台部
24d,24e テーパ面
25 トルクカム
26,27 カムディスク
26d,27d カム面
28 カムローラ
29 キャリア
43 フロントドライブシャフト
44 前輪
45 MGシャフト
100 動力伝達装置
F1 軸方向の押圧力
F2 軸方向の反力
F3 リングローラとピニオンローラとの間に作用する押圧力
F4 ピニオンローラとサンローラとの間に作用する押圧力

Claims (2)

  1. サンローラと、
    前記サンローラの径方向外方に前記サンローラと同軸上に配置されたリングローラと、
    前記サンローラの外周部および前記リングローラの内周部のそれぞれと接触する複数のピニオンローラと、
    前記ピニオンローラを回転可能に支持し、かつ前記サンローラと同軸上に支持されたキャリアとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、前記入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構であって、
    前記ピニオンローラと前記リングローラとが接触する部分が、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面をなし、
    前記リングローラと軸方向に対向し、前記リングローラから離間する軸方向の移動が規制された本体部と、前記本体部における前記リングローラと対向する部分に前記リングローラに対して周方向に等間隔に配置された複数の押圧部材とを有する押圧機構を備え、
    前記押圧部材は、前記伝達される動力に応じて前記本体部と前記リングローラとの相対回転を規制することで、前記伝達される動力に応じて前記リングローラを軸方向に押圧し、
    前記軸方向に押圧されたリングローラは、前記押圧部材から作用する軸方向の押圧力により前記テーパ面を介して前記ピニオンローラを径方向内側に押圧し、
    前記サンローラ、前記ピニオンローラ、および前記リングローラは、前記伝達される動力に応じて前記押圧機構が発生させる押圧力で互いに押圧しつつ動力を伝達し、
    前記ピニオンローラは、前記サンローラに対して周方向に等間隔に配置されており、
    前記押圧部材の周方向の配置数が、前記ピニオンローラの周方向の配置数の倍数と異なり、
    前記ピニオンローラの周方向の配置数と、前記押圧部材の周方向の配置数とは、1を除く公約数を有し、
    それぞれの前記ピニオンローラには、周方向の位置が180度異なる対となる前記ピニオンローラが存在し、
    それぞれの前記押圧部材には、周方向の位置が180度異なる対となる前記押圧部材が存在する
    ことを特徴とする遊星ローラ機構。
  2. サンローラと、
    前記サンローラの径方向外方に前記サンローラと同軸上に配置されたリングローラと、
    前記サンローラの外周部および前記リングローラの内周部のそれぞれと接触する複数のピニオンローラと、
    前記ピニオンローラを回転可能に支持し、かつ前記サンローラと同軸上に支持されたキャリアとを備え、いずれかのローラを動力が入力される入力ローラとし、前記入力ローラと異なるローラを動力の出力ローラとして動力を伝達する遊星ローラ機構であって、
    前記ピニオンローラと前記リングローラとが接触する部分が、軸方向の一方側から他方側に向けて径方向に拡大するテーパ面をなし、
    前記リングローラと軸方向に対向し、前記リングローラから離間する軸方向の移動が規制された本体部と、前記本体部における前記リングローラと対向する部分に前記リングローラに対して周方向に等間隔に配置された複数の押圧部材とを有する押圧機構を備え、
    前記押圧部材は、前記伝達される動力に応じて前記本体部と前記リングローラとの相対回転を規制することで、前記伝達される動力に応じて前記リングローラを軸方向に押圧し、
    前記軸方向に押圧されたリングローラは、前記押圧部材から作用する軸方向の押圧力により前記テーパ面を介して前記ピニオンローラを径方向内側に押圧し、
    前記サンローラ、前記ピニオンローラ、および前記リングローラは、前記伝達される動力に応じて前記押圧機構が発生させる押圧力で互いに押圧しつつ動力を伝達し、
    前記ピニオンローラは、前記サンローラに対して周方向に等間隔に配置されており、
    前記押圧部材の周方向の配置数が、前記ピニオンローラの周方向の配置数の倍数と異なり、
    前記ピニオンローラの周方向の配置数が、前記押圧部材の周方向の配置数に対して2倍以上の倍数であり、
    それぞれの前記ピニオンローラには、周方向の位置が180度異なる対となる前記ピニオンローラが存在し、
    それぞれの前記押圧部材には、周方向の位置が180度異なる対となる前記押圧部材が存在する
    ことを特徴とする遊星ローラ機構。
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