しかしながら、上述した特許文献1〜3のように、人の存否情報や人数等に応じて空調設備や照明設備などの設備の制御を行う場合、人が単位空間を利用する目的(例えば、通過や執務、読書など)によっては不適切な制御動作が発生し易いという問題があった。特に、単位空間を通過する人(通行者)と、執務や休憩などのように主に滞在する人(滞在者)が同じ単位空間の利用者である場合に不適切な制御動作が発生し易い。以下では、不適切な制御動作が発生する典型的な事例として、通行者と滞在者が同じ単位空間を利用するオフィスの例について説明する。
〔事例1〕
図20に示すように、制御対象空間100が複数の単位空間Z(Z1〜Z9)に分割され、単位空間Z毎に人の存否を検出する在室センサ(図示せず)が設けられており、単位空間Z毎に照明設備(図示せず)が制御されるものとする。在室センサは人の在否を検知し、人が存在する場合には在室センサが設けられている単位空間に位置している照明設備が予め設定された照度で点灯し、人が不在となると照明設備が消灯する。
オフィス空間では、執務や読書、会議等、主に滞在を目的とする滞在者と、空間内を移動する通行者が、各々、任意のタイミングで任意の単位空間を利用するような特徴を持つ場合が多い。本事例では執務滞在を目的とする執務者と通過を目的とする通行者が制御対象空間100の利用者であるとする。
オフィス空間では、会議や休憩により、あるいは、残業時間帯等に、任意の単位空間内に執務者が不在となることもめずらしくない。単位空間Z4、Z5、Z6に執務者が不在の際に、制御対象空間100をA地点からD地点まで一人の通行者が通過する場合の制御動作を考える。単位空間Z4に通行者が入ると、単位空間Z4の在室センサが人の存在を検知し、単位空間Z4の照明設備が点灯する(図21(a)参照)。単位空間Z4を通行者が通過し、単位空間Z5に入ると、人が不在となった単位空間Z4の照明設備が消灯し、単位空間Z5の在室センサが人の存在を検知して単位空間Z5の照明設備が点灯する(図21(b)参照)。同様に、単位空間Z5を通行者が通過し、単位空間Z6に入ると、単位空間Z5の照明設備が消灯し、単位空間Z6の照明設備が点灯する(図21(c)参照)。そして、単位空間Z6を通行者が通過すると、単位空間Z6の照明設備が消灯する。
執務者と通行者が制御対象空間100の利用者であるようなオフィスの場合、通常は、利用者が執務者であることを想定した照度(例えば、800ルクス)を照度設定値として照明設備を点灯させることが多い。
すなわち、この事例1では、通行者は執務作業で必要とするほどの照度を必要としないにも拘わらず、執務者であることを想定した照度(高照度)で照明設備が点灯され、無駄なエネルギーを消費することになる。また、例えば、通行者による無駄なエネルギー消費を抑制するために、利用者が通行者であることを想定した照度(低照度)を照度設定値とすると、単位空間Zに執務者が存在する場合には執務に必要な照度が不足することとなる。
なお、本事例は、通行者と執務者の典型例で説明しているが、例えば、執務と休憩で利用される領域を含む単位空間において、休憩者にとっては執務作業ほどの照度(高照度)は不要であるにも関わらず、執務者が不在の際に休憩者が単位空間を利用すると、上述したのと同様に無駄なエネルギ−を消費したり、あるいは、必要な照度が不足する、ということが発生する。
このように、人の在否情報を利用する制御では、人が単位空間Zを利用する目的によって、無駄なエネルギーを消費したり、必要な照度が得られないなどといった不適切な制御動作が発生することとなる。さらに、本事例のようにA地点からD地点まで人が通過するような場合、短時間の間に高照度での点灯と消灯が通行者の移動に伴って発生し、照明装置の劣化を早めたり、通行者があった単位空間Zの周辺にいる利用者にとって不快な照明のちらつきが発生することになる。
なお、通行者に対する制御動作を抑制する方法として、単位空間Zに人が入った場合、最初は低照度(通行者であることを想定した照度)で照明設備を点灯させ、その後、所定時間が経過してもなお単位空間Zに人が存在していれば、高照度(執務者であることを想定した照度)で照明設備を点灯させるというように、時間経過に応じて照度を変更する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、執務者に対して必要な照度での照明動作が遅れるという、不適切な制御動作が発生することとなる。人数を検知し、検知した人数により空調負荷を算出し、その算出値を制御動作に反映するような人数負荷制御においても、人が単位空間Zを利用する目的の違いに応じて、同様の問題が発生してしまう。
〔事例2〕
例えば、単位空間Z毎に、赤外線を使った人検知センサなど微分型のセンサを設けるものとする。この場合、執務や読書等のように動きの少ない作業を行う滞在者がいると、単位空間Zに人が存在するにも拘わらず、その存在を検知することができずに、照明設備が消灯してしまうことがある。
この対策として、予め長めの動作単位時間を設定し、微分型のセンサが人の存在を検知するたびに、その時点から動作単位時間分の点灯動作延長を行うという方法が一般的に採用されている。ここで、点灯動作延長を行う動作単位時間は、滞在者が単位空間を利用する目的(読書、執務等)に合わせた値に設定することが望ましく、オフィス空間では執務に合わせて、通常、10〜15分程度である。
しかしながら、このような場合、滞在者不在の単位空間Zを人が通過すると(オフィス空間では、通常、数秒〜数十秒程度)、前記人検知センサが進入した人を検知して照明設備が高照度(滞在者であることを想定した照度)で点灯され、その人が通過して単位空間Zが無人となった後も、滞在者を想定して決定された動作単位時間分の照明点灯動作が続けられるため、無駄なエネルギーを消費するという問題が発生する。
なお、上述した事例1,2では、照明設備を制御する例で説明したが、空調設備を制御する場合にも同様の問題が生じる。例えば、事例1において、設備を空調設備とした場合、通行者があった単位空間Zにおいて、空調設備の断続的な発停や短時間での設定温度、及び、吹き出し風量の変更など、不適切な制御動作が発生する。この場合も、無駄なエネルギーが消費されるばかりでなく、単位空間Z内のみならず周辺の単位空間Zに存在する利用者に不快な思いをさせたり、空調設備の制御に用いる操作端の劣化を早めたりする。
また、上述した事例1の通行者に対する制御動作を抑制する方法を採用した場合、通行者に対しては無駄なエネルギー消費を抑えられるが、執務者に対して必要な空調制御動作が遅れる。また、上述した事例2では、滞在者が不在の単位空間Zを人が通過する場合、その人が単位空間Zから退出して無人となっても、滞在者を想定して設定された動作単位時間分の空調動作が続けられ、無駄なエネルギーを消費する。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、移動体が単位空間を利用する目的(移動体が人であれば、通過や執務、読書など)を制御動作に反映することで、不適切な制御動作の発生を低減することができる設備制御システムおよび設備制御方法を提供することにある。特に、単位空間の通過を目的とする移動体によって発生する不適切な制御動作の低減が可能となる。
このような目的を達成するために本発明は、制御対象空間を複数の単位空間に分割し、この制御対象空間の単位空間毎に設備の制御を行う設備制御システムにおいて、制御対象空間に存在している移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段と、単位空間の位置を示す単位空間情報を記憶する単位空間情報記憶手段と、制御対象空間を用途に応じて区画して定められた複数の領域とその個々の領域の用途とを関連付けた用途情報を記憶する用途情報記憶手段と、現在位置検出手段によって検出される移動体の現在位置と単位空間情報とに基づいて制御対象空間に存在している移動体が位置している単位空間を特定する単位空間特定手段と、現在位置検出手段によって検出される移動体の現在位置と用途情報とに基づいて制御対象空間に存在している移動体が位置している領域の用途を特定する用途特定手段と、単位空間特定手段によって特定された移動体が位置している単位空間と用途特定手段によって特定された移動体が位置している領域の用途とに基づいて単位空間毎に設備の制御を行う設備制御手段とを設けたものである。
この発明によれば、制御対象空間に存在している移動体の現在位置が検出され、この検出された移動体の現在位置と単位空間情報とに基づいて移動体が位置している単位空間が特定され、また、この検出された移動体の現在位置と用途情報(制御対象空間を用途に応じて区画して定められた複数の領域とその個々の領域の用途とを関連付けた情報)とに基づいて移動体が位置している領域の用途が特定され、この特定された移動体が位置している単位空間と領域の用途とに基づいて、単位空間毎に設備の制御が行われる。
例えば、本発明では、制御対象空間をオフィスとし、移動体を人とした場合、制御対象空間を区画して定められた領域として、通路を用途とする通路領域、執務を用途とする執務領域、会議を用途とする会議領域があれば、これらの領域についてその領域と用途とを関連付けた情報を用途情報として記憶させておく。このような情報はレイアウト情報として制御対象空間の利用者あるいは保有者が決定し、保持している場合も多い。そして、制御対象空間に存在している人が位置している領域の用途に基づいて、その人の種類を識別する。例えば、通路領域に位置していれば通行者であるとし、執務領域に位置していれば執務者とし、会議領域に位置していれば会議参加者であるとする。あるいは、通路領域に位置していれば通行者であるとし、執務領域及び会議領域に位置していれば共に滞在者としてもよい。そして、この特定した識別種別に基づいて、単位空間毎に設備の制御を行う。
本発明では、単位空間毎の設備の制御を、各単位空間内の移動体が位置している領域の用途に基づいた制御(以下、この制御を空間的重み付けを施した制御と呼ぶ)とするが、この空間的重み付けを施した制御に時間的重み付けを施した制御を組み合わせたり、隣接する単位空間の環境を考慮した制御を組み合わせたりしてもよい。
ここで、時間的重み付けとは、時間の経過に対応した変化を与えることであり、例えば、照明設備を150ルクスの照度で30秒間点灯してその後消灯する、あるいは、時間経過に応じて照明設備や空調設備の設定値を変更するといった制御である。隣接する単位空間の環境を考慮した制御とは、隣接する単位空間の環境(制御設定値や制御状態、実測値など)を単位空間の制御動作に反映させることを示し、例えば、通行者の存在により照明設備の点灯あるいは照度を上げるといった制御変更を行う際に、隣接する2つ以上の単位空間で照明設備の点灯が確認されれば、該当する単位空間内において充分な照度が確保されていると判断し、照明設備の点灯や照度を上げる指令を出さないようにするなどがある。
もちろん、識別種別に応じ、空間的重み付けを施した制御に、時間的重み付けを施した制御を組み合わせたり、隣接する単位空間の環境を考慮した制御を組み合わせたり、時間的重み付けを施した制御と隣接する単位空間の環境を考慮した制御とを組み合わせるなど、組み合わせる制御動作を変更してもよい。
以上に述べた本発明の重要な着眼点について以下に説明しておく。まず、通行者によって発生する不適切な制御動作を低減するために、制御動作の重み付けとして領域の用途を利用する点に、発明者は着眼した。背景技術における時間遅れ、あるいは動作単位時間等を利用する対策は、制御動作の発停や制御パラメータ等に対する時間的な重み付けに着目したものである。また、単位空間内に存在する時間が異なる通行者と滞在者に対し、一律に対応するための時間的な妥協点を探すものといえる。
つまり、通行者によって発生する不適切な制御動作の抑制を重視すれば、滞在者に対して不適切な制御動作が発生する、というように、トレードオフを避けられない。よって、通行者と滞在者を同一に扱うのではなく、それらの識別に関わる量を制御動作の重み付けとして採用すれば、通行者あるいは滞在者それぞれに対応する設備制御を実現することができる。例えば、通行者に対しては空気調和制御の動作を抑制したり、滞在者に対して適当な照度の照明制御を実施することが可能となる。
一方で、オフィスなどの制御対象空間は利用される用途に応じて領域が分割されており、制御対象空間の人が任意の領域に存在する目的は、これらの領域の用途をほぼ反映していると考えてよい。つまり、例えば、人の存在位置が通路であれば通行、オフィスの執務領域であれば執務滞在、病院の待ち合い領域であれば順番待ちの滞在として、その種類を識別できる。以上の点から、発明者は、領域の用途に関連する空間的な重み付けを設備制御の制御動作に採用することが、課題解決のために有効である事に想到した。
本発明によれば、制御対象空間に存在している移動体の現在位置を検出するようにし、この検出された移動体の現在位置と単位空間情報とに基づいて移動体が位置している単位空間を特定し、また、この検出された移動体の現在位置と用途情報(制御対象空間を用途に応じて区画して定められた複数の領域とその個々の領域の用途とを関連付けた情報)とに基づいて移動体が位置している領域の用途を特定し、この特定した移動体が位置している単位空間と領域の用途とに基づいて単位空間毎に設備の制御を行うようにしたので、移動体が単位空間を利用する目的に対応しない制御動作の発生を低減することが可能となる。特に、単位空間を通過する移動体(移動体を人とした場合は通行者)があることによる不適切な制御動作の発生を低減することができるようになる。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1(空間的重み付けを施した制御)〕
図1はこの発明に係る設備制御システムの一実施の形態の要部を示す図である。同図において、100は制御対象空間であり、複数の単位空間Zに分割されている。この例では、制御対象空間100はオフィス空間とし、9つの単位空間Z1〜Z9に分割されているとする。照明設備1−1〜1−9は、単位空間Z1〜Z9に対応して位置しているとする。
また、制御対象空間100に対しては、この制御対象空間100に存在している人の現在位置を検出する現在位置検出手段として、ICタグ2とこのICタグ2内に書き込まれている情報を無線で読み取るICタグリーダ3とが設けられている。ICタグ2は制御対象空間100に入室する人毎に配布され、携帯される。また、ICタグ2には、ICタグ毎に異なるID番号が書き込まれている。
図1には、ICタグ2を携帯している人Mを1人しか示していないが、実際には制御対象空間100内にはICタグ2を携帯している人Mが複数存在することが多い。また、図1では、説明を簡単とするために、ICタグリーダ3を1台とし、制御対象空間100の全領域をICタグリーダ3の検出範囲としているが、制御対象空間100内にいる人Mの任意の位置が検出できればよいのであって、例えば、検出範囲や検出精度等を考慮して、単位空間の分割の境界とは無関係に複数のICタグリーダ3を制御対象空間100内に配置しても構わない。
ICタグリーダ3は、制御対象空間100内に位置しているICタグ2に書き込まれているID番号を読み取ると共に、そのICタグ2が位置している制御対象空間100における座標位置(X,Y)を求め、この読み取ったID番号と座標位置(X,Y)とを対として照明制御装置4へ送る。なお、ここでは、制御対象空間100における座標位置(X,Y)は、単位空間Z1の角部Oを原点位置(0,0)とし、横方向をX軸、縦方向をY軸として表されるものとする。
照明制御装置4は、CPU4−1と、ハードディスクなどの記憶装置4−2と、RAM4−3と、インタフェース4−4,4−5とを備えている。CPU4−1は、RAM4−3にアクセスしながら、記憶装置4−2に格納されたプログラムに従って動作する。記憶装置4−2には、本実施の形態特有のプログラムとして、照明制御プログラムPGが格納されている。この照明制御プログラムPGは、例えばCD−ROMなどの記録媒体に記録された状態で提供され、この記録媒体から読み出されて記憶装置4−2にインストールされている。
また、記憶装置4−2には、制御対象空間100における単位空間Z1〜Z9の位置を示す単位空間情報J1(図2(a)参照)と、制御対象空間100を用途に応じて区画して定められた領域とその領域の用途とを関連付けた用途情報J2(図2(b)参照)とが格納されている。
この例では、制御対象空間100に対して通路を用途とする通路領域AR1、執務を用途とする執務領域AR2、会議を用途とする会議領域AR3が定められており、これら領域についてその領域と用途とを関連付けた情報が用途情報(レイアウト情報)J2として記憶装置4−2に格納されている。
また、記憶装置4−2には、領域の用途と人の識別種別との関係を示すテーブルTB1と、人の識別種別と照度設定値との関係を示すテーブルTB2とが格納されている。
この例では、図3に示すように、テーブルTB1において、「通路領域」については「通行者」が人の識別種別として対応づけられ、「執務領域」および「会議領域」については「滞在者」が人の識別種別として対応づけられている。
また、図4に示すように、テーブルTB2において、「通行者」に対しては照度設定値として「150ルクス」が対応づけられ、「滞在者」に対しては照度設定値として「800ルクス」が対応づけられている。
なお、テーブルTB2には、任意の単位空間内に識別種別が異なる移動体が混在する場合の混在時ルール、及び、任意の単位空間内に移動体が存在しない場合の不在時ルールが付加されている。この例では、混在時ルールには「通行者、滞在者混在時は滞在者に対しての制御のみを実施する(通行者は考慮しない)」というルールが付加されている。また、不在時のルールとして、「通行者、滞在者が共に不在時には照度設定値を0ルクスにする(消灯する)」というルールが付加されている。なお、付加する混在時ルールや不在時ルールには、各識別種別の移動体すべてが混在、あるいは、すべて不在の場合のルール以外に、任意の識別種別の複数の組合せに対するルール、あるいは、特定の識別種別に対するルール(不在ルールの場合)を設定しても構わない。
以下、図5〜図7に示すフローチャートを参照して、記憶装置4−2に格納されている照明制御プログラムPGに従ってCPU4−1が実行する本実施の形態特有の処理動作について説明する。
CPU4−1は、定められた時間間隔で(例えば1秒毎)に、ICタグリーダ3からのID番号と座標位置(X,Y)との対を制御対象空間100に存在している人Mの現在位置情報として取り込み(図5:ステップS101)、この取り込んだ現在位置情報をRAM4−3中のテーブルTA1に書き込む(ステップS102)。
この制御対象空間100に存在している人Mの現在位置情報は、図8に示すように、そのID番号に対応する座標位置(Xn,Yn)が現在位置PnとしてテーブルTA1に書き込まれるが、その際に、それまで現在位置Pnとして書き込まれていた座標位置(Xn−1,Yn−1)は前回位置Pn−1として残される。
一方、CPU4−1は、定期的にRAM4−3中のテーブルTA1にアクセスし、ID番号毎にその現在位置Pnと前回位置Pn−1とを比較し、現在位置Pnと前回位置Pn−1との間に変化があった場合、人の移動が発生したと判断する(図6:ステップS201のYES)。
例えば、今、図1において、単位空間Z3に位置している人Mが移動して単位空間Z6に入ったとする(図9参照)。なお、この単位空間Z6に入った人Mが携帯しているICタグ2には、ID番号#1が書き込まれているものとする。すると、CPU4−1は、RAM4−3中のテーブルTA1において、ID番号#1の現在位置Pnと前回位置Pn−1との間に変化があったことから、ID番号#1のIDタグ2を携帯している人Mが移動したと判断する。
そして、CPU4−1は、RAM4−3中のテーブルTA1からID番号#1の現在位置Pnを読み出し(図7:ステップS301)、この読み出したID番号#1の現在位置Pnから記憶装置4−2中の単位空間情報J1,用途情報J2およびテーブルTB1を用いて、ID番号#1のIDタグ2を携帯している人Mの移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)を特定する(ステップS302)。
この例では、ID番号#1の現在位置Pnから単位空間情報J1を用いて、移動先の単位空間Zaftを単位空間Z6として特定する(図10(b)参照)。また、ID番号#1の現在位置Pnから用途情報J2を用いて、移動先の領域の用途Aaftを通路領域として特定する(図10(c)参照)。また、この特定した移動先の領域の用途Aaft(通路領域)からテーブルTB1(図3)を用いて、移動した人の識別種別Paftを通行者として特定する。
次に、CPU4−1は、RAM4−3中のテーブルTA1からID番号#1の前回位置Pn−1を読み出し(ステップS303)、この読み出したID番号#1の前回位置Pn−1から記憶装置4−2中の単位空間情報J1,用途情報J2およびテーブルTB1を用いて、ID番号#1のIDタグ2を携帯している人Mの移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)を特定する(ステップS304)。
この例では、ID番号#1の前回位置Pn−1から単位空間情報J1を用いて、移動元の単位空間Zbfoを単位空間Z3として特定する(図10(b)参照)。また、ID番号#1の前回位置Pn−1から用途情報J2を用いて、移動元の領域の用途Abfoを通路領域として特定する(図10(c)参照)。また、この特定した移動元の領域の用途Abfo(通路領域)からテーブルTB1(図3)を用いて、移動した人の識別種別Pbfoを通行者として特定する。
なお、人Mの移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)、人Mの移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)は、人Mが携帯しているIDタグ2のID番号と対応させてテーブルとして別途保持しておいても良い。
上記のステップS302での処理において、ID番号#1の現在位置Pnから用途情報J2を用いて移動先の領域の用途Aaftを特定する機能、上記のステップS304での処理において、ID番号#1の前回位置Pn−1から用途情報J2を用いて移動元の領域の用途Abfoを特定する機能が本発明でいう用途特定手段に対応し、図1ではこの機能を実現するための処理部を用途特定部4AとしてCPU4−1中に示している。
そして、CPU4−1は、移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)と移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)とを比較する(ステップS305)。ここで、移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)と移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)とが異なっていれば、所属情報の変化を検知したとして(ステップS305のYES)、RAM4−3中に作成されている単位空間Z毎の現在存在している通行者の人数と滞在者の人数とを示すテーブルTA2において、移動先の単位空間Zaftの識別種別Paftの人数を1人増やし(ステップS306)、移動元の単位空間Zbfoの識別種別Pbfoの人数を1人減らす(ステップS307)。
なお、前記移動元の所属情報と移動先の所属情報の更新(S301〜S304)は、必ずしも人Mの移動を検知した後(図6のステップS201のYESの後)でなくてもよい。例えば、人Mの移動検知に関係なく、テーブルTA1の位置情報の更新と同時に人Mの移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)と人Mの移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)を更新し、この情報の更新毎に移動元の所属情報と移動先の所属情報を比較しても構わない(S305)。
この例では、移動先の所属情報(Zaft,Aaft,Paft)が(Z6、通路領域、通行者)、移動元の所属情報(Zbfo,Abfo,Pbfo)が(Z3、通路領域、通行者)であるので、図11に示すように、RAM4−3中のテーブルTA2において、単位空間Z6の通行者の人数を1人増やし、単位空間Z3の通行者の人数を1人減らす。
なお、ここでは説明を簡単にするために移動する人数を1人として説明しているが、複数の人の移動が同時に検出された場合には、移動があった単位空間の識別種別に対し、対応する人数分の更新が同時に行われることとなる。
そして、CPU4−1は、このテーブルTA2中のZaft,Zbfoの通行者および滞在者の数に基づいて、テーブルTB2(図4)とこのテーブルTB2に付加されている混在時ルールおよび不在時ルールに従って、Zaft,Zbfoに対する照明動作を制御する(ステップS308)。このステップS308において、移動先の単位空間Zaftや移動元の単位空間Zbfoに対する照明動作を制御する機能が本発明でいう設備制御手段に対応し、図1ではこの機能を実現するための処理部を設備制御部4BとしてCPU4−1中に示している。
この例では、図11のテーブルTA2に示されているように、移動先の単位空間Zaftが単位空間Z6とされ、この単位空間Z6の通行者の人数が1(0→1)となり、滞在者の人数は0のまま変化しない。この場合、CPU4−1は、単位空間Z6内の滞在者人数が0、単位空間Z6内の通行者の人数が1となるため、混在時ルール及び不在時ルールを適用せず、テーブルTB2の人の識別種別(通行者)に従って照明設定値を決定する。よって、この場合、単位空間Z6に対する照度設定値を150ルクスとする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6が150ルクスの照度(通行者であることを想定した照度)で点灯する。
また、この例では、図11のテーブルTA2に示されているように、移動元の単位空間Zbfoが単位空間Z3とされ、この単位空間Z3の通行者の人数が0(1→0)、滞在者の人数が0となる。この場合、CPU4−1は、テーブルTB2に付加されている不在時のルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値を0ルクスとする。これにより、単位空間Z3に対応する照明設備1−3が消灯する。
なお、上述した例では、単位空間Z3から単位空間Z6に人Mが移動したことによって単位空間Z6における通行者の人数が1(0→1)、滞在者の人数が0、単位空間Z3における通行者の人数が0(1→0)、滞在者の人数が0となった場合について説明したが、他の事例でも同様にして照明動作が制御される。さらに、この例ではZbfoとZaftが異なる例を示しているが、同じ単位空間内において人の移動があり、AbfoとAaft、あるいは、PbfoとPaftが異なる場合も同様である。図12に人の所属情報の変化検知時の照明制御動作の他の事例を示す。
例えば、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が0のまま変化せず、滞在者の人数が1(0→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2の人の識別種別(滞在者)に従って、単位空間Z6に対する照度設定値を800ルクスとする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6が800ルクス(滞在者であることを想定した照度)で点灯する。
また、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が3(2→3)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB2の人の識別種別(通行者)に従って、単位空間Z6に対する照度設定値を150ルクスとする。この例の場合、人数によらず一定の照度設定であり、また、単位空間Z6に存在していた通行者によって、すでに単位空間Z6に対する照度設定値は150ルクスとされているので、その照度設定値を維持することになる。
また、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2、滞在者の人数が1となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値を800ルクスとする。この場合、通行者の人数が1→2になった場合と、滞在者の人数が0→1となった場合が考えられる。通行者の人数が1→2になった場合には、すでに存在していた滞在者により、単位空間Z6に対する照度設定値は800ルクスとされているので、混在時ルールに従ってその照度設定値を維持する。滞在者の人数が0→1となった場合には、すでに存在していた通行者によって単位空間Z6に対する照度設定値は150ルクスとされているが、混在時ルールに従って単位空間Z6に対する照度設定値を800ルクスに変更する。
以上の説明から分かるように、本実施の形態によれば、通行者以外の識別種別の人が存在しない場合、その単位空間Zに対応する照明設備1が150ルクスの照度(通行者であることを想定した照度)で点灯し、滞在者が存在する場合、その単位空間Zに対応する照明設備1が800ルクスの照度(滞在者であることを想定した照度)で点灯するので、通行者に対して無駄にエネルギーが消費されたり、滞在者に対して必要な照度が不足するというような問題が解消され、通行者があることによる不適切な制御動作の発生が低減されるものとなる。
なお、この実施の形態では、領域の用途と人の識別種別との関係を示すテーブルTB1(図3)と人の識別種別と照度設定値との関係を示すテーブルTB2(図4)とを用いるようにしたが、テーブルTB1とテーブルTB2とを人の識別種別でマージし、領域の用途別に照度設定値を登録したテーブルを利用するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、領域の用途を通路,執務,会議として分類したが、読書,リフレッシュ,待合いなどの用途も考えられる。そして、これらの用途各々に対応した人の識別種別を分類し、その分類した識別種別に対して各々異なる照度設定値を設定するようにしてもよい。この場合、制御対象空間の特徴や識別種別の分類に応じた混在時ルールを定めるようにするとよい。
〔実施の形態2(空間的重み付け+時間的重み付けを施した制御)〕
上述した実施の形態1では、人の識別種別と照度設定値との関係を示すテーブルTB2(図4)を用いるようにしたが、制御に時間的重み付けを付加し、人の識別種別と照度設定値と点灯時間設定値との関係を示すテーブルTB2’(図13)を用いるようにしてもよい。このテーブルTB2’に対してもテーブルTB2と同様の混在時ルールを付加する。他の構成は実施の形態1と同じとする。図14にこのテーブルTB2’を用いた場合の人の所属情報の変化検知時の照明制御動作の事例を示す。
例えば、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が1(0→1)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB2’の人の識別種別(通行者)に従って、単位空間Z6に対する照度設定値を150ルクスとし、点灯時間設定値を30秒とする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6が150ルクスの照度で30秒間点灯する。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2(1→2)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB2’の人の識別種別(通行者)に従って、単位空間Z6に対する照度設定値を150ルクスとし、点灯時間設定値を30秒とする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6は、すでに単位空間Z6に存在していた通行者によって150ルクスの照度で点灯中であるものとした場合、通行者の人数が2(1→2)となったことにより、この照明設備1−6の150ルクスの照度での点灯時間が30秒延長される。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2のまま変化せず、滞在者の人数が1(0→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2’に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値を800ルクスとし、点灯時間設定値を600秒とする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6は、すでに単位空間Z6に存在していた通行者によって150ルクスの照度で点灯中であるものとした場合、滞在者の人数が1(0→1)となったことにより、この照明設備1−6の照度が800ルクスの点灯に変えられ、この800ルクスの照度での点灯を600秒間続ける。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が3(2→3)となり、滞在者の人数が1のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB2’に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値の変更は行わず、そのままの状態を維持する。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6はすでに単位空間Z6に存在していた滞在者に対する800ルクスの照度、600秒間の点灯中であるものとした場合、その動作状態を維持する(600秒間の点灯を継続する)。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が3のまま変化せず、滞在者の人数が1(1→2)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2’に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値を800ルクスとし、点灯時間設定値を600秒とする。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6はすでに単位空間Z6に存在していた滞在者によって800ルクスの照度で点灯中であるものとした場合、この照明設備1−6の800ルクスの照度での点灯時間が600秒延長される。
単位空間Z6から人Mが退出したことによって、単位空間Z6における通行者の人数が3のまま変化せず、滞在者の人数が1(2→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2’に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対する照度設定値の変更は行わず、そのままの状態を維持する。これにより、単位空間Z6に対応する照明設備1−6はすでに単位空間Z6に存在していた滞在者に対する800ルクスの照度で点灯中であるものとした場合、その動作状態を維持する(600秒間の点灯を継続する)。
〔実施の形態3(空間的重み付け+時間的重み付け+隣接する単位空間の環境を考慮した制御)〕
上述した実施の形態2では、人の識別種別と照度設定値と点灯時間設定値との関係を示すテーブルTB2’(図13)を用いるようにしたが、さらに、隣接する単位空間の環境を考慮し、人の識別種別と隣接する単位空間の環境(条件)と照度設定値と点灯時間設定値との関係を示すテーブルTB2”(図15)を用いるようにしてもよい。このテーブルTB2”に対してもテーブルTB2’と同様の混在時ルールを付加する。
この実施の形態3において、テーブルTB2”では、人の識別種別が通行者である場合、隣接する単位空間が2つ未満の照明がONであれば照度設定値を150ルクス(点灯時間設定値は30秒)とし、隣接する単位空間が2つ以上の照明がONであれば点灯しないものとする。また、人の識別種別が滞在者である場合には、隣接する単位空間の照明のON/OFFに拘わらず、照度設定値を800ルクス(点灯時間設定値は600秒)とする。
なお、この実施の形態3において、記憶装置4−2には、単位空間毎にその単位空間と隣接する単位空間との対応関係を示すテーブルTB3(図16)を記憶させる。この例では、単位空間Z1については隣接する単位空間をZ2,Z4とし、単位空間Z2については隣接する単位空間をZ1,Z3,Z5とし、単位空間Z3については隣接する単位空間をZ2,Z6とし、単位空間Z4については隣接する単位空間をZ1,Z5,Z7とする。また、単位空間Z5については隣接する単位空間をZ2,Z4,Z6,Z8とし、単位空間Z6については隣接する単位空間をZ3,Z5,Z9とし、単位空間Z7については隣接する単位空間をZ4,Z8とし、単位空間Z8については隣接する単位空間をZ5,Z7,Z9とし、単位空間Z9については隣接する単位空間をZ6,Z8とする。図17にこのテーブルTB2”を用いた場合の人の所属情報の変化検知時の照明制御動作の事例を示す。
例えば、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が1(0→1)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、単位空間Z3,Z5,Z9のうち2つ以上で照明がONとされていれば、CPU4−1は、テーブルTB2”の人の識別種別(通行者)と条件に従って、照明設備1−6の点灯は行わない。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が1(0→1)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、単位空間Z3,Z5,Z9のうち照明がONとされている単位空間が2つ未満とされていれば、CPU4−1は、テーブルTB2”の人の識別種別(通行者)と条件に従って、照明設備1−6を150ルクスの照度で30秒間点灯させる。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2(1→2)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、単位空間Z3,Z5,Z9のうち照明がONとされている単位空間が2つ未満とされていれば、CPU4−1は、テーブルTB2”の人の識別種別(通行者)と条件に従って、照明設備1−6の150ルクスの照度での点灯時間を30秒延長する。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2のまま変化せず、滞在者の人数が1(0→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB2”に付加されている混在ルールに従って、照明設備1−6を800ルクスの照度で600秒点灯する。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が3(2→3)となり、滞在者の人数が3のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB2”に付加されている混在ルールに従って、照明設備1−6の800ルクスの照度での600秒の点灯を継続する。
なお、この実施の形態3では、人の識別種別と隣接する単位空間の環境(条件)と照度設定値と点灯時間設定値との関係を示すテーブルTB2”を用いるようにしたが、人の識別種別と隣接する単位空間の環境(条件)と照度設定値との関係を示すテーブルを用いるようにしてもよい。すなわち、時間的重み付けを行わず、空間的重み付けを施した制御と隣接する単位空間の環境を考慮した制御とを組み合わせた制御とするようにしてもよい。
〔実施の形態4〕
上述した実施の形態1〜3では設備を照明設備とした例で説明したが、空調設備についても実施の形態1〜3と同様の制御を適用することができる。例えば、実施の形態1に対応する制御とする場合、図4に示したテーブルTB2に代えて、図18に示すようなテーブルTB4を用いる。
このテーブルTB4では、「通行者」に対しては空気調和制御動作を「動作変更しない」(制御動作を維持)とし、「滞在者」に対しては空気調和制御動作を「人数負荷制御」(人数分の空調負荷に応じ、設定値を変更)とする。また、不在時のルールとして、「通行者、滞在者が共に不在時には、設定値27℃で運転する」というルールが付加されている。図19に人の所属情報の変化検知時の空気調和制御動作の事例を示す。
例えば、単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が1(0→1)となり、滞在者の人数が0のまま変化しない場合、CPU4−1は、テーブルTB4の人の識別種別(通行者)に従って、単位空間Z6に対応する空調設備(図示せず)の動作変更はしない(不在ルールによる設定値27℃の運転を継続)。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が0のまま変化せず、滞在者の人数が1(0→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB4の人の識別種別(滞在者)に従って、単位空間Z6に対応する空調設備を人数負荷制御(滞在者1名分)で動作させる。
単位空間Z6に人Mが移動してきたことによって、単位空間Z6における通行者の人数が2のまま変化せず、滞在者の人数が1(0→1)となった場合、CPU4−1は、テーブルTB4に付加されている混在時ルールに従って、単位空間Z6に対応する空調設備を人数負荷制御(滞在者1名分)で動作させる。
なお、本発明において、用途に応じて区画して定められた領域は、什器や簡易な間仕切りで仕切られている場合もあるが、必ずしも物理的に仕切られるわけではない。 また、本発明において、設備は照明設備や空調設備に限られるものではなく、OA機器(プリンタ、パーソナルコンピュータ)なども含まれる。この場合、例えば、単位空間に特定の識別種別の人(執務者など)の存在を検知した場合に、その単位空間の利用者が使用するOA機器を自動で起動したりすることが可能である。
さらには、領域の用途および識別種別に対応させる設備制御動作は、制御対象の設備に応じて、季節毎、時間毎等で異なる制御動作を行うようにしても、もちろん、構わない。例えば、夏季と冬季、あるいは、就業時間帯と休憩時間帯、残業時間帯などに対応させて、領域の用途および識別種別に対応させる制御動作を変更して構わない。
また、本発明における制御対象空間の代表例としてオフィス空間が挙げられる。オフィス空間では、利用開始後に利用者の意図によって用途に応じたレイアウトが決定されたり、変更されることが少なくない。制御の単位空間の分割の境界は、制御対象空間内において居住者から容易に確認できない場合も多く、また、制御の単位空間に必ず対応させてレイアウトを決定するのは、レイアウトの自由度を制限し、利用者側の利便性を損なう場合もある。
つまり、単位空間の分割の境界と、レイアウトによって決定される用途領域の区画の境界は異なることが多い。よって、このような制御対象空間では、例えば、通行領域と滞在領域とが同じ単位空間内に存在するというように、複数の用途に対応する領域を含む単位空間が存在しやすくなる。そして、例えば、通行領域と滞在領域とが単位空間内に存在する場合、通行者があることによる不適切な動作が発生しやすくなる。病院、図書館、商業施設などの空間もこのような制御対象空間になり得る。
また、本発明において、移動体とは移動可能な対象であればよく、人に限られるものではない。例えば、ノートパソコンや携帯電話などのように運搬可能なもの、あるいは、カートや車両、ロボットなどであってもよい。そして、例えば、ノートパソコンを移動体とした場合には、空気調和制御動作にノートパソコンの台数による空調負荷を反映させるといったことが可能となる。
また、移動体の種類が複数ある場合でも、ICタグのID番号などにより移動体の種類を特定できるようにしておけば、各々の移動体の識別種別の情報を設備制御動作に反映させることが可能となる。例えば、人とノートパソコンの両方を移動体とし、予め定めた一人分及び1台分の空調負荷と、検出した人数及び台数、さらに、移動体の各々が存在する位置から特定した識別種別から、単位空間毎に人とノートパソコンの両方を考慮した空調負荷を算出し、空気調和制御の制御動作に反映することなどが可能となる。
具体例としては、人とノートパソコンの各々の識別種別として、通路領域に位置していれば通行者および携帯中、執務領域に位置していれば滞在者および利用中とし、空調負荷として算出に用いる識別種別を滞在者および利用中と特定することで、滞在者の人数と利用中のノートパソコンの台数から単位空間毎に空調負荷を算出して、単位空間毎の設備の制御を行う。
また、本発明において、制御対象空間に存在している人の現在位置を検出する現在位置検出手段としては、ICタグとICタグリーダとの組合せの他、RFID(Radio Frequency Identification)とのRFID用のリーダとを組み合わせた構成、カメラの画像処理などで制御対象空間に存在している人の現在位置を検出する構成などが考えられる。