JP5437836B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

本発明は電動機や発電機などの回転電機に係り,特に、高周波成分を有する電圧で駆動される回転電機に関する。
近年、回転電機は、運転効率を高めるために高周波成分を有する電圧で稼動されている。そして、特許文献1に開示のように、固定子コイルの主絶縁層の表面をコロナシールド層で被覆し、この固定子コイルを固定子鉄心に形成したスロット内に導電性のスロットライナを介して装着し、ウェッジによって固定している。
特開平10−174334号公報
上記特許文献1に記載の回転電機の固定子コイルにおいては、固定子鉄心のスロット内のコロナシールド層とスロットライナとの接触は比較的良好に保持されているので、コロナシールド層とスロットライナとはほぼ全域に亘って接触し、その結果、入力電圧の電圧変化分に比例した充電電流が全域に亘って分散される。
しかしながら、固定子鉄心のスロット端から張出した固定子コイルのコイルエンド部のコロナシールド層とスロットライナとの接触は、製作条件に起因するスロットライナの反り返りやうねりのために部分接触することがある。そのため、入力電圧の電圧変化分に比例した充電電流がコロナシールド層とスロットライナとの部分接触部分に集中して流れるので、局所的に電流密度が高くなってコロナシールド層を焼損させることが懸念される。
本発明の目的は、簡単な手段によって固定子鉄心のスロット外に延在するコロナシールド層の焼損を防止し得ると共に、スロットライナやコロナシールド層の損傷が防止できる回転電機を提供することにある。
本発明の回転電機上記目的を達成するために、高周波成分を有する電圧で運転され、主絶縁層の表面にコロナシールド層を形成した固定子コイルを固定子鉄心に形成したスロット内にスロットライナを介して装着した回転電機において、スロット外に延在した固定子コイルのコイルエンド部のスロットライナとコロナシールド層との間に、前記スロットライナの端部外周を緊縛して充電電流の流路を確保する緊縛体を設け、かつ、前記緊縛体と前記コロナシールド層との間に、離型材が介在されているか、或いは前記緊縛体と該緊縛体が接する前記スロットライナとの間に、離型材が介在されていることを特徴とする
上記構成とすることで、スロットライナに反り返りやうねりが生じてコロナシールド層との間で部分接触しても、緊縛体によって確保された流路にも充電電流が流れるので、部分接触部分に集中して充電電流が流れるのを防止することができ、充電電流の集中によるコロナシールド層の焼損を防止できる効果を奏するほか、発生する応力を離型材により緩和することができ、スロットライナやコロナシールド層の損傷を防止することができる。
本発明によれば、簡単な手段によって固定子鉄心のスロット外に延在するコロナシールド層の焼損を防止し得ると共に、スロットライナやコロナシールド層の損傷を防止できる回転電機を得ることができる。
本発明による回転電機の第1の参考例を示す固定子コイルのコイルエンド部近傍の概略縦断側面図。 図1のスロットライナ端部を示す拡大斜視図。 本発明による回転電機の第2の参考例を示す図1相当する図。 本発明による回転電機の第の実施の形態を示す図1相当する図。 本発明による回転電機の第の実施の形態を示す図1相当する図。 本発明による回転電機の第3の参考例を示す図1相当する図。 本発明による回転電機の第4の参考例を示す図2相当する図。 高周波成分を有する電圧で運転される回転電機の固定子を示す斜視図。 図8のコイルエンド部を示す拡大斜視図。
以下、本発明による回転電機の第1の参考例を図1、図2、図8及び図9に示す電動機に基づいて説明する。
電動機1は、大きくは、回転子2と、この回転子2の外径側に空隙を介して対向する固定子3とで構成されている。
回転子2は、回転軸4に支持された回転子鉄心とこの回転子鉄心に装着された回転子巻線とを有する。
一方、固定子3は、電磁薄鋼板を積層して構成した固定子鉄心5と、この固定子鉄心5の内径側に軸方向に沿い周方向に複数形成されスロット6と、これら複数のスロット6内に装着された複数の固定子コイル7と、前記固定子鉄心5の外径側を支持する固定子枠8と、この固定子枠8の軸方向両端部に固定される図示しない端板と、この端板に前記回転軸4を支承する図示しない軸受とを有する。
前記固定子コイル7は、コイル導体9と、このコイル導体9の表面に形成した主絶縁層10とを有している。また、固定子コイル7は、前記固定子鉄心5のスロット6内に装着される直線部7Aと、スロット6外に張出したコイルエンド部7Bとから構成されている。
前記スロット6内に固定子コイル7の直線部7Aを装着する際、上下方向に隣接する固定子コイル7間に絶縁材11を介し、さらに、上下方向に隣接した固定子コイル7を一纏めにしてスロットライナ12で覆った状態で装着し、スロット6の開口側にウェッジ13を嵌着して固定子コイル7を強固に支持している。
尚、固定子コイル7のスロット6内に装着される直線部7Aの主絶縁層10の外周には、固定子鉄心5と固定子コイル7間のコロナ放電を防止する目的で、コロナシールド層14が被覆されている。また、固定子コイル7のコイルエンド部7Bにおいては、コロナシールド層14のスロット6外に張出した端部での電界集中によって沿面放電が発生し、これによって主絶縁層10を劣化させる虞があるので、コロナシールド層14の端部を覆って固定子鉄心5から離れる方向に高抵抗コロナシールド層15を被覆している。
このような固定子コイル7を高周波電源16に接続して電動機1を駆動させている。
以上のように構成することで、スロット6内においては、主絶縁層10とコロナシールド層14とスロットライナ12とは夫々ほぼ全域に亘って密着して装着されており、スロット6に十分に接触させることができる。そのため、入力電圧の電圧変化分に比例した充電電流が全域に亘って分散されるので、充電電流の集中する部分はなく、充電電流の集中によるコロナシールド層14の焼損は固定子コイル7の直線部7Aには存在しない。
しかしながら、固定子鉄心5のスロット6の端から張出した固定子コイル7のコイルエンド部7Bのコロナシールド層14とスロットライナ12との接触は、製作条件に起因するスロットライナ12の反り返りやうねりのために部分接触することがある。その結果、入力電圧の電圧変化分に比例した充電電流が部分接触部分に集中して流れるので、コロナシールド層14を焼損させることが懸念される。
そこで参考例は、スロットライナ12に反り返りやうねりが生じても、固定子鉄心5のスロット6の端から張出したコロナシールド層14とスロットライナ12との間に部分接触が少なくなるように、積極的に充電電流流路確保手段によって充電電流の流路を形成したことを特徴とする
充電電流流路確保手段による充電電流の流路確保の具体例として、図1及び図2に示すように、スロットライナ12の端部を、ガラスクロステープやガラスロービング或いは熱収縮性テープ等の緊縛体17で緊縛してスロットライナ12をコロナシールド層14上に密着させたのである。尚、緊縛体17の電気的特性としては、絶縁性から半導電性や導電性に至る材料、さらには、非線形抵抗特性を有する材料が適用できるが、望ましくは、スロットライナ12と同等の抵抗率を有する材料が望ましい。例えば、緊縛体17としてガラスクロステープを用いる場合には、ガラスクロステープにスロットライナ12と同等の抵抗率を有する半導電性の熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状にしたプリプレグテープを巻付け、その後、半導電性の熱硬化性樹脂を加熱硬化させて固めている。
このような緊縛体17を用いることで、スロットライナ12とコロナシールド層14との密着性が向上し、従来において部分接触していたことによって集中していた両者間を流れる充電電流を新たな流路に分散して流すことができ、その結果、充電電流の集中によるコロナシールド層14の焼損を防止することができる。
ところで、本参考例においては、スロット6外に張出したスロットライナ12の端部にのみ緊縛体17を施したが、スロット6外に張出したスロットライナ12の全長に渡って緊縛体17を施しても良い。
さらに、全ての固定子コイル7のコイルエンド部7Bにおいてスロットライナ12の端部外周に緊縛体17を設けることが望ましいが、特に、インバータ制御における電動機への入力波形の印加電圧及び印加電圧の立上り、あるいは立下り時の電圧変化成分が極端に大きくなければ、インバータとの接続部から最初の1本或いは複数本の固定子コイル7にのみ適用してもよい。
次に、本発明による回転電機の第2の参考例を、図3に示す電動機の固定子コイルのコイルエンド部に基づいて説明する。尚、図1、図2、図8、図9と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
参考例において、第1の参考例と異なる点は、緊縛体18の設置構成である。即ち、本参考例においては、反り返りやうねりが生じ易いスロットライナ12の端部近傍と、スロットライナ12の端部近傍に対向するコロナシールド層14とに連続して緊縛体18を施工したことを特徴とする。具体的には、ガラスクロステープにスロットライナ12と同等の抵抗率を有する半導電性の熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化状にしたプリプレグテープを、スロットライナ12の端部とその近傍のコロナシールド層14に巻付け、その後、半導電性の熱硬化性樹脂を加熱硬化させて固めたのである。
このように構成することで、スロットライナ12とコロナシールド層14との密着性が向上し、その結果、第1の参考例と同様に、両者間を流れる充電電流の電流流路を分散でき、充電電流の集中によるコロナシールド層14の焼損を防止することができる。
さらに、本参考例においては、スロットライナ12の端部とコロナシールド層14との間が緊縛体18で封止されるので、スロットライナ12の端部とコロナシールド層14との隙間に飛散異物の侵入による両者間の剥離が防止でき、密着信頼性を向上させることができる。
尚、本参考例においては、スロットライナ12の端部とその近傍のコロナシールド層14に緊縛体18を施したが、固定子鉄心5のスロット6から張出したスロットライナ12全長に亘って緊縛体18を施してもよい。そのとき、緊縛体18と固定子鉄心5とが接触する可能性がある場合には、予め、離型材等で緊縛体18と固定子鉄心5との接着を防止し、固定子鉄心5と緊縛体18との間に、コイル導体9の熱伸縮に伴う圧縮応力や引つ張り応力が作用しないようにすることが望ましい。
図4は、本発明による回転電機の第の実施の形態である電動機の固定子コイルのコイルエンド部を示す。本実施の形態において、図1〜図3、図8、図9と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
本実施の形態は、図3に示す第2の参考例と基本的には同じである。しかし、本実施の形態では、さらに改善してスロットライナ12の端部近傍に対向するコロナシールド層14と緊縛体18との間に、離型材19を設けたことを特徴とする。このように構成することで、前記各参考例と同等の効果を奏するほか、スロットライナ12やコロナシールド層14の損傷を防止することができる。
即ち、緊縛体18とスロットライナ12とコロナシールド層14の夫々が、緊縛体18の半硬化状熱硬化性樹脂を介して強固に接着した場合、固定子コイル7の配置時やコイルエンド部7Bの結線時、或いは電動機運転時などに、スロットライナ12とコロナシールド層14の間に圧縮応力や引っ張り応力が作用してスロットライナ12やコロナシールド層14を損傷させる虞がある。しかしながら、コロナシールド層14と緊縛体18との間に離型材19を配置することで、発生する圧縮応力や引っ張り応力を摺動させて緩和させることができ、スロットライナ12やコロナシールド層14の損傷を防止することができる。尚、離型材19の抵抗特性は、スロットライナ12やコロナシールド層14と同等にすることが望ましい。
図5は、本発明による回転電機の第の実施の形態である電動機の固定子コイルのコイルエンド部を示す。本実施の形態において、図1〜図4、図8、図9と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
本実施の形態は、図に示す第参考例と基本的に同じ構成をしているが、本実施の形態では、さらに改善してスロットライナ12の端部とその近傍に対向するコロナシールド層14に設けた緊縛体18のうち、緊縛体18が接するロットライナ12との間に、離型材20を設けたことを特徴とする。このように構成することで、第の実施の形態と同等の効果を奏することができる。即ち、上記構成とすることで、緊縛体18はスロットライナ12とコロナシールド層14の間に圧縮応力や引っ張り応力が作用しても、緊縛体18が接するスロットライナ12との間に、離型材20を設けているので、緊縛体18はコロナシールド層14に追従してスロットライナ12と相対変位するため、スロットライナ12とコロナシールド層14の間に生じる圧縮応力や引っ張り応力を緩和させることができ、両者の損傷を防止することができる。
次に、本発明による回転電機の第3の参考例を、図6に示す電動機の固定子コイルのコイルエンド部に基づいて説明する。本参考例において、図1〜図5、図8、図9と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
上記各実施の形態及び各参考例と異なる点は、スロットライナ12の端部を緊縛する専用の緊縛体を用いず、高抵抗コロナシールド層15の端部15Lをスロットライナ12の端部まで延長させ、その端部15Lでスロットライナ12の端部を緊縛するように構成したことである。
このように、高抵抗コロナシールド層15を緊縛体として機能させることで、第1の実施の形態と同様な効果を奏することができるほか、スロットライナ12の端部が高抵抗コロナシールド層15の端部15Lで覆われているので、スロットライナ12の端部とコロナシールド層14との間に飛散異物が侵入するのを防止することができる。
尚、本参考例においても、高抵抗コロナシールド層15とスロットライナ12との接触部分に離型材を介在させて両者間に作用する圧縮応力や引っ張り応力による損傷を防止するようにしてもよい。
次に、本発明による回転電機の第4の参考例を、図7に示す電動機の固定子コイルのコイルエンド部(スロットライナ端部)に基づいて説明する。本参考例において、図1〜図6、図8、図9と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
通常、スロットライナ12の反り返しやうねりは、スロットライナ12の端部における、特に、巻き終わりに発生することが散見される。そこで参考例においては、ウェッジ13の端部を、スロットライナ12の固定子鉄心5のスロット6から張出した端部、或いはそれ以上に延在させ、この延在させたウェッジ13と固定子コイル7とでスロットライナ12の巻き終わりを挟圧してスロットライナ12とコロナシールド層14を密着させ充電電流の流路を確保したのである。
このように構成することで、前記第1の参考例と同じように、スロットライナ12の端部とコロナシールド層14との密着性が向上し、従来において部分接触していたことによって集中していた両者間を流れる充電電流を新たな流路に分散して流すことができ、その結果、充電電流の集中によるコロナシールド層14の焼損を防止することができる。
以上の各説明は、回転電機として電動機を一例に説明したが、電動機に限らずタービン発電機やガスタービン発電機などの発電機にも適用できるのは勿論である。
1…電動機、2…回転子、3…固定子、4…回転軸、5…固定子鉄心、6…スロット、7…固定子コイル、7A…直線部、7B…コイルエンド部、8…固定子枠、9…コイル導体、10…主絶縁層、11…絶縁材、12…スロットライナ、13…ウェッジ、14…コロナシールド層、15…高抵抗コロナシールド層、15L…端部、16…高周波電源、17,18…緊縛体、19,20…離型材。

Claims (3)

  1. 高周波成分を有する電圧で運転され、主絶縁層の表面にコロナシールド層を形成した固定子コイルを固定子鉄心に形成したスロット内にスロットライナを介して装着した回転電機において、
    スロット外に延在した固定子コイルのコイルエンド部のスロットライナとコロナシールド層との間に、前記スロットライナの端部外周を緊縛して充電電流の流路を確保する緊縛体を設け、かつ、前記緊縛体と前記コロナシールド層との間に、離型材が介在されていることを特徴とする回転電機。
  2. 高周波成分を有する電圧で運転され、主絶縁層の表面にコロナシールド層を形成した固定子コイルを固定子鉄心に形成したスロット内にスロットライナを介して装着した回転電機において、
    スロット外に延在した前記固定子コイルのコイルエンド部のスロットライナとコロナシールド層との間に、前記スロットライナの端部外周を緊縛して充電電流の流路を確保する緊縛体を設け、かつ、前記緊縛体と該緊縛体が接する前記スロットライナとの間に、離型材が介在されていることを特徴とする回転電機。
  3. 前記緊縛体は、前記コロナシールド層と同等の抵抗率を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機。
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