図1を参照して、この実施例の携帯電話機10a(後述する携帯電話機10bと区別しない場合は、単に「携帯電話機10」と言う。)は携帯通信端末の一種であり、CPUまたはコンピュータと呼ばれるプロセッサ24を含む。このプロセッサ24には、無線通信回路14、A/D16、D/A20、キー入力装置26、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32およびRAM34が接続される。また、無線通信回路14にはアンテナ12が接続され、A/D16にはマイク18が接続され、D/A20にはアンプ(図示せず)を介して、スピーカ22が接続される。また、表示ドライバ28にはディスプレイ30が接続される。
プロセッサ24は、携帯電話機10の全体制御を司る。記憶部であるRAM34は、プロセッサ24の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ32には、携帯電話機10の文字、画像、音声、音および映像のようなコンテンツのデータが記録される。
A/D16は、当該A/D16に接続されたマイク18を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換する。D/A20は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換(復号)して、アンプを介してスピーカ22に与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音がスピーカ22から出力される。
入力部であるキー入力装置26は、通話キーおよび終話キーなどを備えるとともに、「0」−「9」キー、「*」キーおよび「#」キーを含むダイヤルキーも備える。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ24に入力される。
なお、キー入力装置26に含まれる各キーが操作されると、フィードバック処理が実行され、図示しないスピーカからフィードバック音が出力される。そのため、使用者は、フィードバック音を聞くことで、キー入力操作に対する操作感を得ることができる。
表示ドライバ28は、プロセッサ24の指示の下、当該表示ドライバ28に接続されたディスプレイ30の表示を制御する。なお、表示ドライバ28は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。
無線通信回路14は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、使用者がキー入力装置26を用いて音声発信を指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声発信処理を実行し、アンテナ12を介して音声発信信号を出力する。音声発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の携帯電話機10bに送信される。そして、相手の携帯電話機10bにおいて着信処理が行われると、接続状態(通信可能状態)が確立され、プロセッサ24は通話処理を実行する。
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の携帯電話機10bから送られてきた変調音声信号(高周波信号)はアンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、D/A20によってアナログ音声信号に変換された後、スピーカ22から出力される。一方、マイク18を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D16によってデジタル音声信号に変換された後、プロセッサ24に与えられる。デジタル音声信号に変換された送話信号には、プロセッサ24の指示の下、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ12を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の携帯電話機10bに送信される。
また、相手の携帯電話機10bからの発信信号がアンテナ12によって受信されると、無線通信回路14は、着呼(音声着信ともいう)をプロセッサ24に通知する。これに応じて、プロセッサ24は、表示ドライバ28を制御して、着信通知に記述された発信元情報(電話番号)をディスプレイ30に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセッサ24は、図示しないスピーカから着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある。)を出力させる。また、プロセッサ24は、図示しないLEDを点滅させ、図示しないモータを駆動(回転)させることで携帯電話機10aを振動させる。
そして、使用者が、通話キーを用いて応答操作を行うと、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声着信処理を実行し、接続状態(通信可能状態)が確立され、プロセッサ24は上述した通常の通話処理を実行する。
また、通話可能状態に移行した後に終話キーによって通話終了操作が行われると、プロセッサ24は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、プロセッサ24は、通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は、通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。
また、携帯電話機10は、ネットワーク100に接続されるメールサーバ102とのデータ通信を確立することで、電子メールの送受信を行う電子メール機能も有している。たとえば、携帯電話機10aの使用者は、メール機能を実行することで、電子メールの送受信を行うことができる。具体的には、携帯電話機10bに設定されたメールアドレスを宛先とする電子メールが携帯電話機10aから送信されると、その電子メールはメールサーバ102によって受信される。また、メールサーバ102は、受信した電子メールに設定された宛先に基づいて、携帯電話機10bに電子メールを送信する。そして、携帯電話機10bはメールサーバ102が送信した電子メールを受信する。なお、メールサーバ102は、受信した電子メールに設定された宛先が存在していなければ、発信元(ここでは、携帯電話機10a)に対して、エラーメール(エラーメッセージ)を返送する。そして、このエラーメールは、送信された電子メールが送信完了できないこと、すなわち、送信された電子メールが相手(ここでは、携帯電話機10b)の宛先にて適切に受信できなかったことを示す。
さらに、携帯電話機10は、アドレス帳機能を有している。アドレス帳機能は、他の端末や電話機の使用者の氏名および宛先情報(電話番号、メールアドレス)などを含むアドレスデータを管理するための機能である。また、RAM34(またはフラッシュメモリ32)には、複数のアドレスデータから構成されるアドレス帳データが記憶されている。
そして、本実施例の携帯電話機10は、電子メール機能を利用して、アドレスデータに含まれる宛先情報を変更することができる。
図2(A)−図2(C)は、アドレスデータに含まれるメールアドレスを自動的に変更する手順を示す。たとえば、キー入力装置26に対して受信した電子メール(受信メール)を表示する操作が行われると、ディスプレイ30には、図2(A)に示すGUIが表示される。このとき、電子メールの題名が「変更通知」であり、電子メールの本文中に旧メールアドレス(第1宛先情報)と新メールアドレス(第2宛先情報)とが記述された、変更メール(変更メッセージ)であれば、アドレスデータに含まれる旧メールアドレスを新メールアドレスに自動的に変更する処理が実行可能な状態になる。
図2(A)を参照して、ディスプレイ30の表示領域は、状態表示領域60および機能表示領域62から構成される。状態表示領域60には、アンテナ12による電波受信状態および電池の残電池容量を示すアイコン(ピクトと言うこともある。)と、現在日時とが表示される。なお、現在時刻は、図示しないRTCが出力する時刻情報に基づく。
また、機能表示領域62には、メール表示画面が表示されており、その画面には、送信者表示部70、題名表示部72および本文表示部74が表示される。さらに、メール表示画面には、各表示部を選択するカーソルCu、返信キー76、変更キー78aおよびメニューキー80も表示される。宛先表示部70には相手のメールアドレス(xxx@●.co.jp)が表示される。題名表示部72には電子メールの題名として「変更通知」の文字列が表示される。本文表示部74には、新メールアドレス(xxx@●.co.jp)および旧メールアドレス(m@●.co.jp)が表示される。また、本文表示領域74に含まれる宛先情報、つまりメールアドレスを示す文字列は本文の文字列から抽出され、RAM34のバッファに格納される。また、バッファに格納された文字列(メールアドレス)は、本文表示領域74において下線が引かれる。なお、電子メールの本文中からメールアドレスを抽出し、その表示を変化させる(下線を引く)ことは、広く一般的な技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、各表示部を任意に選択することが可能なカーソルCuは、キー入力装置26に含まれるカーソルキーによって操作される。
さらに、返信キー76、変更キー78aおよびメニューキー80はソフトキーとも呼ばれ、キー入力装置26は各ソフトキーと対応するハードキーを含む。たとえば、使用者は各ソフトキーを操作する場合、ソフトキーに対応するハードキーを押下すればよい。なお、各ソフトキーは、ディスプレイ30に表示されるGUIの状態の変化に応じて、対応付けられる処理も変化する。つまり、同一の参照番号であっても、名称および添え字が異なれば、対応付けられる処理も異なる。よって、以下の説明では、各ソフトキーの参照番号は同一であっても、各ソフトキーの名称および添え字のアルファベットが異なる場合があることに留意されたい。
たとえば、返信キー76が操作されると、表示されている電子メールに対する返信メールを作成する処理が実行される。また、メニューキー80が操作されると、メールの保存などに関するメニューが表示される。そして、送信者表示部70がカーソルCuによって選択された状態で、変更キー78aが操作されると、アドレスを自動的に変更する処理が実行される。
具体的には、RAM34のバッファに格納された2つのメールアドレスのうち、受信メールのヘッダに含まれる、発信元(携帯電話機10b)のメールアドレスと一致しないメールアドレスを旧メールアドレスとする。そして、プロセッサ20は、その旧メールアドレスを含むアドレスデータを、アドレス帳データから特定する。たとえば、図2(A)に示す状態では、新メールアドレスが「xxx@●.co.jp」であり、旧メールアドレスが「m@●.co.jp」である。そのため、図3(A)に示すように、RAM34に記憶されるアドレス帳データにおいて、「m@●.co.jp」を含むメールアドレスが特定される。そして、後述する成り済まし判定処理によって成り済ましでないと判定されると、図3(B)に示すように、RAM34に記憶されるアドレスデータにおいて、メールアドレスが新メールアドレス「xxx@●.co.jp」に変更される。
また、メールアドレスが変更されると、図2(B)に示すように、メールアドレスが変更されたことを示すポップアップ90がディスプレイ30に表示される。使用者は、ポップアップ90が表示されると、確認キー78bを操作することで、メールアドレスの変更を確認することができる。
そして、使用者がメールアドレスの変更を確認すると、宛先表示部70には相手の名前が表示される。図2(C)を参照して、新メールアドレス「xxx@●.co.jp」に対応するアドレスデータが特定されているため、アドレスデータにおける「氏名」の文字列(ここでは、「AAA」)が宛先表示部70に表示される。
なお、図2(C)で示す表示画面では、変更キー78aが選択キー78cに変更される。そして、宛先表示部70がカーソルCuによって選択された状態で選択キー78cが操作されると、名前「AAA」に対応するメールアドレス(xxx@●.co.jp)がアドレス帳データから読み出される。
ここで、本実施例では、メールアドレスを変更する処理が実行されると、第三者がメールアドレスの変更依頼を行った人物に成り済ましている可能性があるか否かを判定する。そして、携帯電話機10は、成り済ましで無いと判定すれば、メールアドレスは新メールアドレスに変更する。一方、成り済ましの可能性があると判定されると、携帯通信端末10は、メールアドレスを変更せずに、成り済ましの可能性があることを使用者に通知する。
具体的に説明すると、本実施例では、第三者による成り済ましを判断するために、旧メールアドレスを宛先とした、図4に示す内容の電子メールを送信する。図4を参照して、確認メール(確認メッセージ)の宛先110には、旧メールアドレス(たとえば、「m@●.co.jp」)が設定される。また、題名112には、確認メールであること示す文字列(たとえば、「変更確認」)が設定される。そして、本文114は、確認メールであることを具体的に説明する文章と、この確認メールに対する返信が不要であること示す文章とから構成される。
そして、図4に示す確認メールが送信され、旧メールアドレスが既に利用する事ができなければ、図5に示すエラーメールがメールサーバ102(図1参照)から返送される。つまり、旧メールアドレスが利用できないため、メールサーバ102はメールを送信完了すること、すなわち、宛先(xxx@●.co.jp)の端末に受信させることができず、発信元にエラーメールを返送する。図5を参照して、エラーメールのアドレス部120には、メールサーバ102を示す文字列(たとえば、「Postmaster」)またはメールアドレスが設定される。また、題名部122にはエラーメールであることを示す文字列(たとえば、「Returned Mail」)が設定される。さらに、本文部124は、エラーメールであることを具体的に示す文章と、確認メッセージの宛先に設定されていたメールアドレス(旧メールアドレス:m@●.co.jp)との文字列から構成される。
たとえば、図5に示すエラーメールを受信した場合には、旧メールアドレスが利用できないことが確認できるため、メールアドレスの変更を依頼するメールが正しいものであると判定する事ができる。そのため、エラーメールを受信した場合には、携帯電話機10は、図2(A)−図2(C)に示す手順で、メールアドレスを新メールアドレスに変更する。つまり、使用者は、成り済まし判定を全く意識することなく、メールアドレスを変更することができる。
一方、図5に示すエラーメールを、確認メールを送信してから所定時間(たとえば、10秒)経過しても、受信する事がなければ、メールアドレスの変更を依頼するメールは、第三者によって送信された可能性が高いと判定される。したがって、携帯電話機10は、図6に示すように使用者に注意を促すポップアップ130をディスプレイ30に表示する。
図6を参照して、ポップアップ130には、旧メールアドレスが利用可能であることを示す文章と、メールアドレスの変更を中止するか否かを問う文章とが表示される。さらに、ポップアップ130には、中止する事を承諾する承諾キー132および中止を否定する否定キー134が表示される。この二つのキーは、カーソルCuによって選択することが可能であり、使用者は、確定キー78dを操作することでカーソルCuによる選択結果を確定する事ができる。
そして、承諾キー132が選択され確定キー78dが操作されると、メールアドレスは変更せずに、ポップアップ130が消去され、図2(A)に示す画面に戻る。一方、否定キー134が操作されると、メールアドレスを新メールアドレスに変更し、図2(B)に示すポップアップ90がディスプレイ30に表示される。
このように、本実施例では、アドレスデータに含まれるメールアドレスが現在も利用できれば、第三者による成り済ましの可能性が高いことを、使用者に通知できる。
また、ネットワーク100の負荷によってエラーメールの返送が遅延する場合があるため、確認メールが送信されてから所定時間が経過しなければ、変更メッセージの送信者が第三者による成り済ましであると判定されない。つまり、成り済ましの判定結果の信頼性を向上させることができる。
図7は、RAM34のメモリマップ300を示す図解図である。RAM34のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。また、プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ32から一度に全部または必要に応じて部分的かつ順次的に読み出され、RAM34に記憶されてからプロセッサ24によって処理される。
プログラム記憶領域302には、携帯電話機10を動作させるためのプログラムが記憶されている。たとえば、携帯電話機10を動作させるためのプログラムは、アドレス変更プログラム310、成り済まし判定プログラム312およびタイマープログラム314などから構成されている。
アドレス変更プログラム310は、アドレスデータに含まれる宛先情報を、自動的に変更するためのプログラムである。成り済まし判定プログラム312は、第三者が宛先情報の変更を依頼するメールの送信者に成り済まして変更メールを送信しているかを判定するためのプログラムである。タイマープログラム314は、確認メッセージが送信されてからの時間を計測するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、携帯電話機10を動作させるためのプログラムには、通話状態を確立するためのプログラム、ディスプレイ30に表示されるGUIを制御するためのプログラムおよびアドレスデータを新規に登録するためのプログラムなどが含まれる。
続いて、データ記憶領域304には、キー情報バッファ330、ヘッダ情報バッファ332、新メールアドレスバッファ334および旧メールアドレスバッファ336が設けられる。また、データ記憶領域304には、アドレス帳データ338、照合用テーブルデータ340、確認メールデータ342および受信メールデータ344が記憶されるとともに、送信カウンタ346がさらに設けられる。
キー情報バッファ330は、キー入力装置26が出力するキー情報であり、プロセッサ20はキー情報バッファ330に格納される情報に基づいて、操作されたキーを判断する。ヘッダバッファ332は、ディスプレイ30に表示された電子メールのヘッダ部に記録される情報(発信元のメールアドレスなど)を一時的に記憶するためのバッファである。
新メールアドレスバッファ334は、変更メールを受信した場合に、新メールアドレスと判断された文字列が格納されるバッファである。旧メールアドレスバッファ336は、変更メールを受信した場合に、旧メールアドレスと判断された文字列が格納されるバッファである。
アドレス帳データ338は、複数のアドレスデータ338aから構成されるデータである。また、アドレス帳データ338およびアドレスデータ338aは、図3(A),(B)に示すように構成されている。
照合用テーブルデータ440は、変更メールであるか否かを判断するための文字列(たとえば、「変更依頼」)およびエラーメールであるか否かを判断するための文字列(たとえば、「Postmaster」)が記録されるテーブルである。なお、照合用テーブルデータ340の内容は、使用者によって任意に変更されてもよい。この場合、使用者は変更メールと判断されるための条件を任意に決めることができる。
確認メールデータ342は、図4に示す確認メールの題名および本文を示す文字列で構成されるデータである。つまり、成り済まし判定処理が実行されると、確認メールデータ342および旧メールアドレスバッファ336に記録される文字列が読み出され、確認メールが作成される。受信メールデータ344は、メールサーバ102から受信した電子メールのデータである。そして、受信メールデータ344は、使用者によって受信メールの表示操作が行われると読み出される。送信カウンタ346は、確認メールを送信してからの時間を計測(カウント)するためのカウンタである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、GUIを表示するためのデータなどが記憶されると共に、携帯電話機10の動作に必要なカウンタや、フラグも設けられる。
プロセッサ24は、Android(登録商標)およびREXなどのLinux(登録商標)ベースのOSや、その他のOSの制御下で、図8に示すアドレス変更処理、図9に示す成り済まし判定処理および図10に示すタイマー処理などを含む、複数のタスクを並列的に処理する。
図8はアドレス変更処理のフロー図である。たとえば、使用者が、電子メール機能を実行する操作を行うと、プロセッサ24は、ステップS1で受信メールの表示操作がされたか否かを判断する。たとえば、プロセッサ24は、使用者が複数の受信メールのうち、任意の電子メールを表示させる操作を、キー入力装置26に対して行ったか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり受信メールを表示させる操作がされなければ、ステップS1の処理を繰り返す。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり受信メールを表示させる操作がされれば、ステップS3で、受信メールの内容を表示する。たとえば、プロセッサ24は、ステップS1で選択された受信メールを、図2(A)に示すようにディスプレイ30に表示させる。なお、ステップS3で受信メールが表示されると、表示されたメールのヘッダがヘッダバッファ334に格納される。
続いて、ステップS5では、変更通知か否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、受信メールの題名が、照合用テーブルデータ340に含まれる、変更メールを示す文字列と一致するか否かを判断する。たとえば、照合用テーブルデータ340に含まれる、変更メールを示す文字列が「変更依頼」であれば、ステップS5では受信メールの題名が「変更依頼」であるか否かを判断する。
ステップS5で“NO”であれば、つまり表示された受信メールが変更メールでなければ、ステップS1に戻る。また、ステップS5で“YES”であれば、つまり、表示された電子メールの題名が「変更依頼」であれば、ステップS7に進む。また、ステップS5で“YES”である場合には、変更メールの本文において、ヘッダに含まれる発信元のメールアドレスと一致するメールアドレスは、新メールアドレスバッファ334に格納される。一方、新メールアドレスではないメールアドレスは、旧メールアドレスバッファ336に格納される。
ステップS7では、メールアドレスが2つ以上含まれているか否かを判断する。つまり、変更メールのヘッダに含まれる発信元のメールアドレスと一致する新メールアドレスと、アドレス帳データ338に含まれる旧メールアドレスとがRAM34のバッファに格納されているか否かを判断する。ステップS7で“NO”であれば、つまり変更メールにメールアドレスが2つ以上含まれていなければ、ステップS1に戻る。
また、ステップS7で“YES”であれば、つまり変更メールの本文に、新メールアドレスおよび旧メールアドレスが書かれており、各メールアドレスがRAM34のバッファに格納されていれば、ステップS9でアドレスデータの変更操作か否かを判断する。たとえば、図2(A)に示すように、送信者表示部70がカーソルCuで選択された状態で、変更キー78aが操作されたか否かを判断する。なお、ステップS9の処理を実行するプロセッサ24は変更操作受付部として機能する。
ステップS9で“NO”であれば、つまり変更キー78aが操作されず、他の受信メールの表示操作などがされると、ステップS1に戻る。一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり変更キー78aが操作されると、ステップS11で成り済まし判定処理を実行し、ステップS1に戻る。なお、成り済まし処理については、図9に示すフロー図を用いて後述するため、ここでの詳細な説明は省略する。
なお、図8に示すフロー図では示していないが、プロセッサ24は、電子メール機能を終了する操作がされると、アドレス変更処理を終了する。
図9は、成り済まし判定処理のフロー図である。たとえば、アドレス変更処理のステップS11(図8参照)の処理が実行されると、プロセッサ24は、旧メールアドレスを宛先とする確認メールを作成する。たとえば、旧メールアドレスバッファ336に格納される旧メールアドレスが「m@●.co.jp」であれば、図4に示す確認メールが作成される。続いて、ステップS23では、確認メールを送信する。つまり、ステップS21で作成された確認メールがメールサーバ102に送信される。なお、ステップS23の処理を実行するプロセッサ24は送信部として機能する。
続いて、ステップS25では、エラーメールを受信したか否かを判断する。つまり、プロセッサ24は、新着メールにエラーメールが含まれるか否かを判断する。また、具体的には、新着メールの送信者が、照合用テーブルデータに含まれる「Postmaster」と一致するか否かを判断する。
ステップS25で“YES”であれば、たとえば送信者が「Postmaster」のエラーメールを受信すれば、変更メールを送信した人物が第三者による成り済ましの可能性が低いと判定できるため、ステップS27で旧メールアドレスを含むアドレスデータを特定する。続く、ステップS29では、新メールアドレスに変更し、成り済まし判定処理を終了する。たとえば、ステップS27では、図3(A)に示すように、旧メールアドレスを含むアドレスデータを特定し、ステップS29では特定されたアドレスデータのメールアドレス「m@●.co.jp」を、新メールアドレス「xxx@●.co.jp」に変更する。なお、ステップS29の処理を実行するプロセッサ24は変更部として機能する。
一方、ステップS25で“NO”であれば、つまりエラーメールを受信していなければ、ステップS31で、確認メールを送信してから所定時間が経過したか否かを判断する。つまり、ステップS31では、送信カウンタ346の値が所定時間(たとえば、10秒)を示す値に達したか否かを判断する。ステップS31で“NO”であれば、つまり確認メールを送信してから、所定時間が経過していなければステップS25に戻る。このように、エラーメッセージを受信しない場合には、プロセッサ24は、確認メールを送信してから所定時間が経過するまで、ステップS25およびステップS31の判定を繰り返す。
ステップS31で“YES”であれば、つまり確認メールが送信されてから所定時間が経過すれば、ステップS33で変更確認用のポップアップ130を表示する。つまり、確認メールを送信してから、所定時間が経過してもエラーメールを受信しなければ、旧メールアドレスが現在も有効であり、変更メールを送信した人物が第三者による成り済ましの可能性が高いと判定できる。そのため、ステップS33では、図6に示すように、メールアドレスの変更を行うか否かを使用者に確認するポップアップ130をディスプレイ30に表示する。なお、ステップS33の処理を実行するプロセッサ24は、表示部として機能する。
続いて、ステップS35では、中止操作か否かを判断する。たとえば、図6に示すように、アドレスの変更を中止する事を承諾する承諾キー132がカーソルCuによって選択され、確定キー78dが操作されたか否かを判断する。ステップS35で“YES”であれば、つまり承諾キー132が選択された状態で、確定キー78dが操作されれば、ステップS37でバッファを初期化する。つまり、新メールアドレスバッファ334および旧メールアドレスバッファ336に格納されたメールアドレスを消去する。続いて、ステップS39では、ポップアップ130を消去する。たとえば、プロセッサ24は、ディスプレイ30の表示において、図6に示すポップアップ130を消去して、図2(A)示す表示状態に戻す。
また、ステップS35で“NO”であれば、つまりアドレスの変更を中止する事を否定する否定キー134が選択された状態で、確定キー78dが操作されれば、ステップS27に進む。つまり、ステップS27,S29の処理を実行することで、旧メールアドレスを新メールアドレスに変更する。
なお、ステップS29の処理でメールアドレスが変更されると、図2(B)に示すポップアップ90を表示する処理が実行される。
図10は、タイマー処理のフロー図である。プロセッサ24は、成り済まし判定処理のステップS23で確認メールを送信すると、タイマー処理を並列的に実行する。そして、タイマー処理が実行されると、プロセッサ24はステップS51で送信カウンタ346をインクリメントする。続いて、ステップS53では、送信カウンタの値が所定値より大きいか否かを判断する。ここで、ステップS51−S53の処理は、約10ms毎に繰り返されるため、送信カウンタ346は10ms毎にカウント(インクリメント)される。そして、送信カウンタ346は10ms毎にカウントされるため、所定時間が10秒である場合には、所定時間より長い時間をカウントできるように、所定値は1500(15秒分)とされる。なお、所定値は、ステップS31で所定時間を判断するときに用いられる値よりも大きな値であれば、どのような値が設定されていてもよい。また、ステップS51,S53の処理を実行するプロセッサ24は計測部として機能する。
ステップS53で“NO”であれば、たとえば送信カウンタ346の値がカウントされ始めて、15秒経過していなければステップS51に戻る。つまり、時間の計測を継続する。一方、ステップS53で“YES”であれば、たとえば送信カウンタ346の値がカウントされ始めて15秒経過すると、ステップS55で送信カウンタ346の値をリセットして、タイマー処理を終了する。つまり、時間の計測が不要であるため、ステップS55では送信カウンタ346の値をリセットした後に、タイマー処理を終了する。
以上の説明から分かるように、携帯電話機10は、電子メール機能およびアドレス帳機能を有している。また、携帯電話機10のRAM34には、旧メールアドレスを含むアドレスデータ338aが記憶されている。たとえば、題名が「変更依頼」とされ、本文に旧メールアドレスおよび新メールアドレスが書かれた、変更メールを受信すると、プロセッサ24はメールアドレスの変更操作を受け付けたか否かを判断する。そして、プロセッサ24は、変更操作を受け付けると、旧メールアドレスを宛先とする確認メールを送信し、メールサーバ102からエラーメールが返送されると、アドレスデータ338aに含まれる旧メールアドレスを、新メールアドレスに変更する。
このように、旧メールアドレスが利用できなくなっているかを確認することで、メールアドレスの変更を依頼する変更メッセージの送信者が第三者による成り済ましであるかを判断する事ができ、旧メールアドレスの適切な変更が可能となる。
つまり、メールアドレスの変更を依頼する変更メールを受信した場合、既に登録されているメールアドレスを宛先とする確認メールを送信することで、変更メールの送信者が第三者による成り済ましの可能性があるかを判断する。
また、アドレスデータに含まれる旧メールアドレスが利用できなければメールアドレスが変更されないため、メールアドレスの変更を装う第三者によるアドレスデータの変更を防止する事ができる。
つまり、変更メールの送信者が第三者による成り済ましの可能性が低いと判定されなければ、旧メールアドレスが変更されることはない。
なお、他の実施例では、メールの本文には新メールアドレスが書かれていなくてもよい。つまり、変更メールのヘッダに新メールアドレスが含まれているため、旧メールアドレスのみが本文に書かれていれば、それぞれのメールアドレスをRAM34のバッファに格納することができる。また、さらに他の実施例では、変更メールに含まれるアドレスは、新メールアドレスだけでもよい。この場合、旧メールアドレスの代わりに、変更メールの本文に書かれた電話番号や氏名などに基づいて、アドレスデータが特定される。
また、本実施例では、メールを利用したアドレスデータの変更について説明したが、SMS(Short Message Service)を利用してアドレスデータが変更されてもよい。この場合、変更される宛先情報はメールアドレスではなく、電話番号となる。
また、メールアドレスの変更を依頼するメールには、新旧のメールアドレスだけでなく、新旧の電話番号も記載されていてもよい。この場合、新メールアドレスに変更されるとともに、旧電話番号も新電話番号に変更される。つまり、アドレス変更処理では、2種類以上の宛先情報(電話番号およびメールアドレス)を同時に変更することができる。
また、メールアドレスの変更を依頼する変更メールであるか否かを判断するために、本実施例では題名に「変更依頼」の文言がある場合を例に説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。たとえば、「変更依頼」以外の文言、マーク、記号またはこれらの任意の組み合わせなどであってもよい。また、「変更依頼」が書かれる位置も、題名だけに限らず、本文やヘッダおよびフッダなどの適宜な位置であってもよい。
また、確認メールの送信およびエラーメールの受信によって料金が発生する場合には、メールアドレスを変更する処理は、携帯電話機10が工場から出荷された状態では機能しないように設定される。この場合、この機能を利用することで料金が発生する事を使用者に事前に通知し、その内容を使用者が承諾しない限り、上記機能が有効にされることは無い。
また、携帯電話機10の通信方式はCDMA方式であるが、LTE(Long Term Evolution)方式、W-CDMA方式、GSM方式、TDMA方式、FDMA方式およびPHS方式などが採用されてもよい。
また、アドレス変更プログラム310、成り済まし判定プログラム312およびタイマープログラム314は、データ配信用のサーバのHDDに記憶され、通信を介して携帯電話機10に配信されてもよい。また、メモリカードなどの記憶媒体にこれらのプログラムを記憶させた状態で、その記憶媒体が販売または配布されてもよい。
さらに、本願発明は、携帯電話機10のみに限らず、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、任意の電子機器およびPCなどに適用されてもよい。
そして、本明細書中で挙げた、時間や、判断のための値などの具体的な数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。